JP5697374B2 - スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂組成物、押出シート及び成形品 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂組成物]
本発明のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂組成物は、スチレン単量体単位、メタクリル酸単量体単位、及びメタクリル酸メチル単量体単位の合計含有量を100質量%としたときに、スチレン単量体単位の含有量が69〜92質量%、メタクリル酸単量体単位の含有量が6〜16質量%、及びメタクリル酸メチル単量体単位の含有量が2〜15質量%であるスチレンとメタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合樹脂(a)87〜98質量%と、スチレン含有量が25〜50質量%、及びブタジエン含有量が50〜75質量%であるスチレンとブタジエンのブロック共重合体(b)13〜2質量%とからなる、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂組成物(以下、単に「本発明の樹脂組成物」ということもある)である。
また、スチレン−メタクリル酸系樹脂は、補強材として添加するスチレンとブタジエンのブロック共重合体と相溶性が良いため、ブロック共重合体の分散粒子径が小さくなる。メタクリル酸メチルの添加は、スチレン−メタクリル酸系樹脂と該スチレンブタジエンブロック共重合体との相溶性を妨げる結果、ブロック共重合体の分散粒子径が適度に大きくなり、得られる樹脂の機械的強度が大きく向上する。
本発明は、上述した本発明の樹脂組成物を用いて形成されてなる押出シートも提供する。押出シートは非発泡及び発泡のいずれでもよい。押出シートの製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。非発泡押出シートの製造方法としては、Tダイを取り付けた短軸又は二軸押出成形機で、一軸延伸機又は二軸延伸機でシートを引き取る装置を用いる方法等を用いることができ、発泡押出シートの製造方法としては、Tダイ又はサーキュラーダイを備え付けた押出発泡成形機を用いる方法等を用いることができる。
(1)共重合樹脂(a)のスチレン、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルの各々の単量体単位の含有量(質量%)
プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)測定機で測定したスペクトルの積分比から、樹脂組成を定量した。
試料調製:樹脂ペレット30mgをd6−DMSO 0.75mlに60℃で6時間加熱溶解した。
測定機器:日本電子 JNM ECA−500
測定条件:測定温度 25℃、観測核 1H、積算回数 64回、繰り返し時間 11秒
(スペクトルの帰属)
ジメチルスルホキシド重溶媒中で測定されたスペクトルの帰属は、0.5〜1.5ppmのピークはメタクリル酸、メタクリル酸メチル及び六員環酸無水物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH3)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素である。また、6.5〜7.5ppmのピークはスチレンの芳香族環の水素である。なお、本発明の樹脂は六員環酸無水物の含有量が少ないため、本測定の方法では通常定量化は難しい。
ISO306に準拠して測定した。荷重は49Nとした。
試料調製:樹脂組成物2.0gをメチルエチルケトン20mlに溶解後、更に標準物質入りのメタノール5mlを加え溶解した。
(測定条件)
機器 :島津製製作所製ガスクロマトグラフィー GC−17Apf
カラム :DB−1(100%ジメチルポリシロキサン) 30m、
膜厚0.1μm、0.25mmφ
カラム温度 :100℃−2分→5℃/分→260℃−5分
注入口温度 :200℃
検出器温度 :200℃
キャリアガス :窒素
試料調製 :樹脂組成物1.0gを標準物質入りジメチルフォルアミド25mlに溶解
(測定条件)
機器 :島津製製作所製ガスクロマトグラフィー GC−14Bpf
カラム :SUS 3mmφ×3m(パックドカラム)
充填剤 :液相→PEG−20M 25%
担体→Chromosorb W(AW) 60〜80メッシュ
カラム温度 :110℃
注入口温度 :220℃
検出器温度 :220℃
キャリアガス :窒素
試料調製 :テトラヒドロフランに樹脂約0.05質量%を溶解
(測定条件)
機器 :TOSHOH HLC−8220GPC
(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム :super HZM−H
温度 :40℃
キャリア :THF 0.35ml/min
検出器 :RI 、UV:254nm
検量線 :TOSOH製の標準PS使用
試料調製 :樹脂組成物0.5gをメチルエチルケトン20mlに溶解
(測定条件)
機器 :島津製製作所製ガスクロマトグラフィー GC2010
カラム :DB−WAX 30m、0.25mmφ、df=0.5μm
温度 :100℃→5℃/分→130℃→10℃/分→180℃−12分→20℃/分→220℃−20分
(7)シャルピー衝撃強さ(kJ/m2)の測定
ISO179に準拠して、ノッチ無しで測定した。
ISO527−1に準拠して、測定した。
ISO178に準拠して、測定した。
(9)の曲げ強さの測定時に、最大のたわみ量を測定した。
150×150×2.5mmの短冊型の金型を使用して、充填5.0秒で射出成形時にショートショットさせた。70ショット終了後、15分間射出成形を停止し、金型を冷却して、成形体先端部に相当する金型面を目視で観察し、金型の汚れを確認しつつ、700ショットまで成形を繰り返した。以下の評価基準で金型汚れを判定した:
◎:700ショットで金型汚れなし
○:420〜630ショットで金型汚れ発生
なお成形は、金型温度20℃、樹脂260℃で行った。また、金型汚れの付着物の成分を測定したところ、スチレンの二量体及び三量体が大部分で、樹脂に練り込んだアルコールが僅かに含まれていた。
(12)落錘衝撃強度(g・cm)の測定
創研社製の30mmφ短軸シート押出機で厚さ1.5mmのシートを引き、東洋精機社製のデュポン衝撃試験機(No451)を用いて、落錘衝撃強度を測定した。落下重錘の質量25g、撃心突端の半径3.1mm、撃心受台の半径9.4mmで、落錘衝撃強度は50%破壊の値を、(落下重錘の質量25g)×(高さcm)で求めた。
創研社製の30mmφ短軸シート押出機で連続1時間シートを押出した後、厚さ0.3mmのシートから10cm×20cmの大きさのシートを5枚切り出し、シート5枚の表面の(長径+短径)/2の平均径が1mm以上の異物であるゲル物の個数を数え、以下の評価基準で外観を判定した:
◎:ゲル物の個数が2点以下
○:ゲル物の個数が3〜5点
×:ゲル物の個数が6点以上
30mmφ短軸シート押出機でのシート押出時に、ダイス出口の臭気を確認し、以下の評価基準でダイス出口の臭気を判定した:
◎:臭いを殆ど感じない
○:臭いをわずかに感じた
(15)トレー容器の腰強度(N)測定
図1は、実施例におけるトレー容器の腰強度の測定方法を、説明する概要図である。
7.3倍に発泡した、厚さ3mmの発泡押出シートを図1に示すトレー容器に真空成形して腰強度(N)を測定した。トレー容器の大きさは縦10cm、横15cm、深さ2cmである。トレーの横側面より圧縮して極大荷重を腰強度とした。
[樹脂A]
スチレン76.9質量部、メタクリル酸5.4質量部、メタクリル酸メチル2.7質量部、エチルベンゼン15.0質量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.025質量部からなる重合原料組成液を、1.1リットル/時の速度で、容量が4リットルの完全混合型反応器、次いで、2リットルの層流型反応器からなる重合装置に、次いで、未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置に連続的に、順次供給し、樹脂を調製した。重合工程における重合反応条件は、完全混合反応器は重合温度118〜128℃、層流型反応器は温度121〜143℃とした。脱揮された未反応ガスは−5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収した。最終重合液中のポリマー分は、重合液を215℃、3kPaの減圧下で30分間乾燥後、(乾燥後の試料質量/乾燥前の試料質量×100%)により測定したところ、64.5質量%、重量平均分子量は27.5万であった(以下、表1参照)。
以下の表1に示す樹脂の性状(樹脂組成、樹脂中のスチレン単量体含有量、スチレンの二量体と三量体との合計含有量、重量平均分子量)になるように条件を調整し、樹脂Aと同様にして、樹脂B〜Fを調製した。
[樹脂G〜I]
表2に示す樹脂Gとして、旭化成ケミカルズ社製のタフプレン125(スチレン/ブタジエン=40/60)を、樹脂Hとして、同じくアサプレンT413(スチレン/ブタジエン=30/70)、そして樹脂Iとして、同じくタフプレン315P(スチレン/ブタジエン=20/80)を用いた。
以下の表3に示すように、共重合樹脂(a)として樹脂Aを95質量%、ブロック共重合体として樹脂Gを5質量%の割合に混ぜ、更にイソ脂肪族第1級アルコールを添加した後、二軸押出機で押出して樹脂ペレットを作製した。以下の表3に示す樹脂組成物中のアルコール含有量(質量%)はガスクロマトグラフィーで定量した値である。なお、以下の表3中のイソ脂肪族第1アルコールとしては日産化学社製の製品(ファインオキソコール180)を用いた(*1参照)。
以下の表3に示す割合で共重合樹脂(a)とブロック共重合体(b)を混ぜ、更にイソ脂肪族第1級アルコールを添加した後、二軸押出機で押出して樹脂ペレットを作製し、参考例1同様に、非発泡押出物及び発泡押出物を作製し、それらの性状及び物性を評価した。評価結果を以下の表3に示す。
比較例1では、参考例4において共重合樹脂(a)として樹脂Cを95質量%、ブロック共重合体(b)として樹脂Gを5質量%の割合に混ぜたのに対し、共重合樹脂(a)として樹脂Cのみ100質量%を使用し、ブロック共重合体は使用しなかった。比較例1においては、残余の事項については参考例4と同様に実施し、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下の表3に示す。比較例1ではブロック共重合体(b)を使用しなかったため、参考例4に比較して、シャルピー衝撃強さ、曲げ強さ、たわみ、トレー容器の腰強度など、機械的強度が劣るものとなった。
比較例2では、参考例4において共重合樹脂(a)として樹脂Cを95質量%、ブロック共重合体(b)として樹脂Gを5質量%の割合に混ぜたのに対し、共重合樹脂(a)として樹脂Cを85質量%、ブロック共重合体として樹脂Gを15質量%の割合に混ぜた。比較例2においては、残余の事項については参考例4と同様に実施し、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下表3に示す。比較例2ではブロック共重合体の割合が多いため、参考例4に比較して、ビカット軟化温度が劣るものとなった。
比較例3では、参考例4において共重合樹脂(a)として樹脂Cを95質量%、ブロック共重合体(b)として樹脂Gを5質量%の割合に混ぜたのに対し、共重合樹脂(a)として樹脂Cを95質量%、ブロック共重合体として樹脂Iを5質量%の割合に混ぜた。比較例3においては、残余の事項については参考例4と同様に実施し、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下の表3に示す。比較例3と参考例4では、使用したブロック共重合体(b)の種類が異なる(表2参照)。比較例3では、ブタジエン含有量が80質量%と多い、すなわち、スチレン含有量が下限25質量%を下回る樹脂Iを用いたため、得られた成形品又はシートは、分散むらやゴムのゲル化などで異物が多く、外観が劣るものとなった。
比較例4では、参考例4において共重合樹脂(a)としてスチレンとメタクリル酸とメタクリル酸メチルの樹脂Cを95質量%、ブロック共重合体(b)として樹脂Gを5質量%の割合に混ぜたのに対し、共重合樹脂(a)としてスチレンとメタクリル酸の樹脂Fを95質量%、ブロック共重合体(b)として樹脂Gを5質量%の割合に混ぜた。比較例4においては、残余の事項については参考例4と同様に実施し、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下の表3に示す。比較例4では、使用した共重合樹脂(a)の組成にメタクリル酸メチルが存在していない(表1参照)。比較例4では、参考例4に比較して、シャルピー衝撃強さや落錘衝撃強度やトレー容器の腰強度など、機械的強度が劣っていた。
Claims (5)
- スチレン単量体単位、メタクリル酸単量体単位、及びメタクリル酸メチル単量体単位の合計含有量を100質量%としたときに、スチレン単量体単位の含有量が77〜86質量%、メタクリル酸単量体単位の含有量が9〜13質量%、及びメタクリル酸メチル単量体単位の含有量が5〜10質量%(未満)であるスチレンとメタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合樹脂(a)87〜98質量%と、スチレン含有量が30〜45質量%、及びブタジエン含有量が55〜70質量%であるスチレンとブタジエンのブロック共重合体(b)13〜2質量%とからなる、非発泡押出シート又は発泡押出シート用スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂組成物であって、該樹脂組成物を100質量%としたとき、スチレンの二量体及び三量体の残存量の合計が0.6質量%以下であり、且つスチレン単量体の残存量が700ppm以下であり、かつ、該樹脂組成物を100質量%としたとき、凝固点が−10℃以下であり、且つ炭素数が14以上である脂肪族第1級アルコールが0.02〜1.0質量%で含まれる、前記非発泡押出シート又は発泡押出シート用スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂組成物。
- 前記共重合樹脂(a)の重量平均分子量が10万〜35万である、請求項1に記載のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂組成物を用いて形成された非発泡押出シート。
- 請求項1又は2に記載のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂組成物を用いて形成された発泡押出シート。
- 請求項3に記載の非発泡押出シート又は請求項4に記載の発泡押出しシートを用いて形成された成形品。
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