JP6707400B2 - スチレン系樹脂、スチレン系樹脂組成物、そのシート及び成形品、並びにスチレン系樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
スチレン系単量体と不飽和カルボン酸系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを構成単位として含むスチレン系樹脂であって、上記スチレン系樹脂中の上記スチレン系単量体単位、上記不飽和カルボン酸系単量体単位、及び上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、上記スチレン系単量体単位の含有量が54質量%以上74質量%未満であり、上記不飽和カルボン酸単量体単位の含有量が10質量%以上16質量%以下であり、上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の含有量が16質量%より多く30質量%以下であり、上記スチレン系樹脂を厚さ2mmのスチレン系樹脂プレートにしたときの曇り度が2.0%以下である、スチレン系樹脂。
〔2〕
上記不飽和カルボン酸系単量体がメタクリル酸である、項目1に記載のスチレン系樹脂。
〔3〕
厚み2mmの上記スチレン系樹脂プレートを110℃の食用油に15分間浸漬したとき、浸漬前後における上記スチレン系樹脂プレートの曇り度の変化が10%以下である、項目1または2に記載のスチレン系樹脂。
〔4〕
項目1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂100質量部に対し、ゲル化抑制剤を0.05〜0.3質量部含む、スチレン系樹脂組成物。
〔5〕
項目1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される、シート。
〔6〕
項目1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される、押出シート。
〔7〕
項目1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される、二軸延伸シート。
〔8〕
項目5〜7のいずれか一項に記載のシートから構成される、成形品。
〔9〕
項目5〜7のいずれか一項に記載のシートから構成される、容器。
〔10〕
項目5〜7のいずれか一項に記載のシートから構成される、食品包装用容器の蓋。
〔11〕
項目1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される、射出成形品。
〔12〕
少なくとも一つの完全混合型反応器を使用し、上記スチレン系単量体と上記不飽和カルボン酸系単量体と上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを溶液重合または塊状重合で連続重合することを含み、最終重合反応率に対して、主反応を行う完全混合型反応器における重合割合が60%以上である、項目1に記載のスチレン系樹脂の製造方法。
本実施形態のスチレン系樹脂は、スチレン系単量体と不飽和カルボン酸系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを構成単位として含むスチレン系樹脂であって、上記スチレン系樹脂中の上記スチレン系単量体単位、上記不飽和カルボン酸系単量体単位、及び上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、上記スチレン系単量体単位の含有量が54質量%以上74質量%未満であり、上記不飽和カルボン酸単量体単位の含有量が10質量%以上16質量%以下であり、上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の含有量が16質量%より多く30質量%以下であり、上記スチレン系樹脂を厚さ2mmのスチレン系樹脂プレートにしたときの曇り度が2.0%以下である。
本実施形態においては、スチレン系樹脂中のスチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及びメタクリル酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたときに、スチレン系単量体の含有量は54質量%以上74質量%未満、好ましくは57質量%以上71質量%以下、より好ましくは60質量%以上68質量%以下である。スチレン系単量体の含有量が54質量%未満では、樹脂の流動性が低下し、一方74質量%を超えると、不飽和カルボン酸系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を所望量で存在させることができないため、耐熱性、耐熱油性の効果が得られない。
スチレン系樹脂の透明性は、曇り度によって評価できる。本実施形態において、スチレン系樹脂を厚さ2mmのスチレン系樹脂プレートに成型したときの曇り度は2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下である。厚み2mmのスチレン系樹脂プレートは、鏡面加工された金属板にスチレン系樹脂を挟んで200℃にて圧縮成型することにより得られる。曇り度が2.0%以下であれば、射出成形品用途、シート成形品用途等で、実用上十分な透明性を持たせることができる。また、スチレン系樹脂組成物中にハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂を添加する場合でも、より多くのHIPS樹脂を添加することが可能となり、強度と透明性とのバランスに優れた成形品を得ることができる。曇り度は、ISO14728に準拠して測定することができる。また、曇り度の下限は特にない。
本実施形態において、スチレン系樹脂を100質量%としたとき、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体の残存量と、残存する溶媒と、存在する場合他の揮発成分との合計量(以下、「総揮発成分量」という)は、好ましくは1000質量ppm以下、より好ましくは700質量ppm以下、更に好ましくは500質量ppm以下である。スチレン系樹脂の総揮発成分量が1000質量ppm以下であれば、シート押出時のダイス出口周りの臭気や、スチレン系樹脂の色調が改善されるため好ましい。ここで、スチレン系樹脂中の総揮発成分量は、それぞれ、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
本実施形態において、スチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、成形性の観点から、好ましくは0.2(g/10min)以上2.0(g/10min)以下であり、より好ましくは0.3(g/10min)以上1.5(g/10min)以下、さらに好ましくは0.4(g/10min)以上1.0(g/10min)以下である。
本実施形態において、スチレン系樹脂のビカット軟化温度は、電子レンジでの使用環境に耐える観点から、好ましくは116℃以上であり、より好ましくは119℃以上、さらに好ましくは122℃以上である。また、ビカット軟化温度の上限は特にない。ビカット軟化温度は、ISO306に準拠して測定することができる。
本実施形態において、スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は8万〜30万であることが好ましく、Z平均分子量(Mz)の重量平均分子量(Mw)に対する比(Mz/Mw)は1.6〜3.5であることが好ましい。Mwは、好ましくは10万〜25万より好ましくは12万〜20万である。Mwが8万〜30万であると、衝撃強度と流動性とのバランスにより優れ、またゲル化物の混入も少ない傾向にある。Mz/Mwの比は、好ましくは1.7〜3.0、より好ましくは1.7〜2.5である。Mz/Mwの比が1.6〜3.5であると、衝撃強度と流動性とのバランスに優れる樹脂が得られ、また、ゲル化物の混入も少ない傾向となる。Mz及びMwは、ゲルパーミエイション・クロマトグラフィーによりポリスチレン標準換算で測定することができる。
本実施形態のスチレン系樹脂の製造方法は、少なくとも一つの完全混合型反応器を使用し、上記スチレン系単量体と上記不飽和カルボン酸系単量体と上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを溶液重合もしくは塊状重合で連続重合することを含み、最終重合反応率に対して、主反応を行う完全混合型反応器における重合割合が60%以上である。本願明細書において「主反応を行う」とはスチレン系樹脂製造時の重合割合が、各反応器の中で最も高いことを意味する。
本実施形態のスチレン系樹脂は、様々な食用油に対する耐熱油性があってよい。食用油としては、大豆油やキャノーラ油、コーン油、オリーブ油、ごま油、紅花油、ひまわり油、パーム油、ヤシ油等の植物油や、牛脂や豚油、バター等の動物脂があげられる。中でも、特にスチレン系樹脂を侵し易い中鎖脂肪酸油を多く含んだヤシ油に対する耐熱油性があることが好ましい。
本実施形態のスチレン系樹脂は、他の樹脂、フィラー、添加剤等、任意の材料と混合して、スチレン系樹脂組成物として使用してもよい。
例えば、本実施形態のスチレン系樹脂は、ゲル化抑制剤を0.05〜0.3質量部含むスチレン系樹脂組成物であってもよい。スチレン系樹脂組成物は、ゲル化抑制剤を含有することで、ゲル物の生成を抑制し、シートにした際の外観をより向上させることが可能である。ゲル化抑制剤としては、脂肪族モノアルコール、及びポリオキシエチレンモノアルキルエーテル等があげられる。ゲル化抑制剤の添加方法としては特に制限はなく、スチレン系樹脂の重合前もしくは重合中に添加してもよく、製造されたスチレン系樹脂ペレットに押出機で練り込む方法等があげられる。
スチレン系樹脂組成物は、C(炭素数)12〜20の脂肪族モノアルコールを含有することで、メタクリル酸の脱水縮合反応を抑え、外観により優れたスチレン系樹脂組成物を得ることができる。スチレン系樹脂組成物中の脂肪族モノアルコールの含有量としては、スチレン系樹脂を100質量部としたとき、好ましくは0.05〜0.3質量部、より好ましくは0.1〜0.2質量部である。スチレン系樹脂組成物中の脂肪族モノアルコールの含有量が0.05質量部以上であると、外観の改善効果がより大きくなり、一方、0.3質量部以下であると、耐熱性により優れる傾向がある。また、成形時の金型汚れが低減される傾向がある。
スチレン系樹脂組成物は、下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテルを含有することによって、メタクリル酸の脱水縮合反応がより効果的に抑えられ、外観により優れるスチレン系樹脂組成物を得ることができる。ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの含有量はスチレン系樹脂を100質量部としたとき、好ましくは0.05〜0.3質量部、より好ましくは0.1〜0.2質量部である。
(RはC12〜20のアルキル基であり、Xはエチレンオキサイドの平均付加数であり、4〜12の整数である。)
スチレン系樹脂組成物の透明性は、曇り度によって評価できる。本実施形態において、スチレン系樹脂組成物を厚み2mmのスチレン系樹脂プレートに成型したときの曇り度は3.0%以下であることが好ましく、より好ましくは2.0%、以下である。厚み2mmのスチレン系樹脂プレートは、鏡面加工された金属板にスチレン系樹脂組成物を挟んで200℃にて圧縮成型することにより得られる。曇り度が2.0%以下であれば、射出成形品用途、シート成形品用途等で、実用上十分な透明性を持たせることができる。曇り度は、ISO14728に準拠して測定することができる。また、曇り度の下限は特にない。
本実施形態において、スチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度は、電子レンジでの使用環境に耐える観点から、好ましくは116℃以上であり、より好ましくは119℃以上、さらに好ましくは122℃以上である。また、ビカット軟化温度の上限は特にない。ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠して測定することができる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、様々な食用油に対する耐熱油性があってよい。食用油としては、大豆油やキャノーラ油、コーン油、オリーブ油、ごま油、紅花油、ひまわり油、パーム油、ヤシ油等の植物油や、牛脂や豚油、バター等の動物脂があげられる。中でも、特にスチレン系樹脂組成物を侵し易い中鎖脂肪酸油を多く含んだヤシ油に対する耐熱油性があることが好ましい。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂において一般的に使用される各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、鉱油等が挙げられる。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体やMBS樹脂等の補強材についても物性を損なわない範囲で添加してもよい。配合の方法については特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂の重合時に添加して重合する方法や、スチレン系樹脂組成物を得る際、ブレンダーで予め添加剤を混合し、押出機やバンバリーミキサー等にて溶融混錬する方法等が挙げられる。
本実施形態のシートは、上記で説明したスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成されるシートである。シートの製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。例えば、本実施形態におけるシートは、一実施形態において、上記で説明したスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される押出シートであってよく、他の実施形態において、上記で説明したスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される二軸延伸シートであってもよい。
本実施形態の成形品は、上記で説明したシートから構成される成形品である。成形品としては、限定されないが、容器、例えば食品包装用容器、及び食品包装用容器の蓋等が挙げられる。このような容器は、例えば、真空成形により成形して製造することができる。
スチレン系樹脂、スチレン系樹脂組成物、並びにシート等の各物性の測定及び評価方法は、下記のとおりである。
ISO 1133に準拠して測定した(200℃、荷重49N)。
ISO 306に準拠して測定した。荷重は49N、昇温速度は50℃/hとした。
試料調製 :スチレン系樹脂約0.05質量%をテトラヒドロフランに溶解した。
測定条件
機器 :TOSOH HLC−8220GPC
(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム :super HZM−H
温度 :40℃
キャリア :THF 0.35ml/min
検出器 :RI 、UV:254nm
検量線 :TOSOH製の標準PS使用
核磁気共鳴(13C−NMR)装置で測定したスペクトルの積分比から樹脂組成を定量した。
試料調製:スチレン系樹脂75mgをd6−DMSO 0.75mlに60℃で4〜6時間加熱溶解した。
測定機器:日本電子 JNM ECA−500
測定条件:測定温度 60℃、観測核 13C、積算回数 2万回、繰返し時間 45秒
スチレン系樹脂の質量を100質量%としたとき、スチレン単量体、(メタ)アクリル酸単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、残存する溶媒、及び他の揮発成分の残存量の合計を総揮発成分量として、ガスクロマトグラフィーにて測定した。
試料調製 :スチレン系樹脂1.0gを標準物質入りジメチルホルムアミド25mlに溶解した。
測定条件
機器 :島津製製作所製ガスクロマトグラフィー GC−14Bpf
カラム :SUS 3mmφ×3m(パックドカラム)
充填剤 :液相 PEG−20M 25%
担体 Chromosorb W(AW) 60〜80メッシュ
カラム温度 :110℃
注入口温度 :220℃
検出器温度 :220℃
キャリアガス :窒素
定量は、スチレンの2量体と3量体の標準物質で行った。
試料調整 :スチレン系樹脂をメチルエチルケトンに溶解した。
測定条件
検出方法 :FID
機器 :島津製作所 GC17Apf
カラム :DB−1(100%ジメチルポリシロキサン)
30m、膜厚0.1μm、0.25mmφ
カラム温度 :100℃に2分間保持し、5℃/分で昇温させ、260℃にて5分間保持した。
注入口温度 :200℃
検出器温度 :200℃
キャリアガス :窒素
鏡面加工された金属板にスチレン系樹脂又はスチレン系樹脂組成物を挟んで、200℃にて圧縮成型することにより厚み2mmのスチレン系樹脂プレートを作製した。ISO 14728に準拠し、該厚み2mmのスチレン系樹脂プレートの曇り度(HAZE)を測定することにより、透明性を評価した。
スチレン系樹脂又はスチレン系樹脂組成物を、創研社製の25mmφ単軸シート押出機で押し出して、厚さ0.3mmのシートを作製した。該シートから8cm×20cmの大きさの試料を3枚切り出し、3枚の試料の表面において、(長径+短径)/2の平均径が1mm以上の異物であるゲル物の個数を数え、以下の評価基準で外観を判定した:
◎:ゲル物の個数が2点以下
○:ゲル物の個数が3〜5点
×:ゲル物の個数が6点以上
上記創研社製の25mmφ単軸シート押出機にて、スチレン系樹脂又はスチレン系樹脂組成物100重量部に対してPSジャパン製475Dを1質量部添加して押出し、厚み1.5〜1.6mmのシートを作製した。作製したシートから10cm×10cmの大きさのシートを切出した。切出したシートを東洋精機製二軸延伸装置(EX6−S1)にて下記条件で同時二軸延伸を行い、厚み0.24mm〜0.26mmの二軸延伸シートを作製した。
延伸温度:Vicat軟化温度+20℃、
延伸速度:170%
延伸倍率:2.5倍
JIS P8115に準拠し、該二軸延伸シートのMIT耐折強度(回)を測定した。
鏡面加工された金属板にスチレン系樹脂又はスチレン系樹脂組成物を挟んで、200℃にて圧縮成型することにより、厚み2mmのスチレン系樹脂プレートを作製した。該スチレン系樹脂プレートを110℃のヤシ油(和光純薬製)に15分間浸漬して、浸漬前後における曇り度の変化(Δ曇り度)を、以下の式により算出した。
Δ曇り度(試験後曇り度(%)−試験前曇り度(%))
評価基準
◎・・Δ曇り度が5%以下
○・・Δ曇り度が5%より大きく10%以下
×・・Δ曇り度が10%より大きい
〈実施例1〉樹脂A
スチレン55.4質量部、メタクリル酸7.0質量部、メタクリル酸メチル12.8質量部、エチルベンゼン25.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.0225質量部からなる重合原料組成液を、0.8リットル/時の速度で、容量が3.6リットルの完全混合型反応器に供給し、次に未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発成分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置へと連続的に供給した。完全混合反応器の重合温度は130℃とした。単軸押出機の温度を200〜250℃、圧力を10torrに設定して、未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発成分を脱揮した。脱揮された揮発成分を−5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収し、スチレン系樹脂は樹脂ペレットとして回収した。上述の分析法によって得られたスチレン系樹脂(樹脂A)の物性を以下の表1に示す。
スチレン50.3質量部、メタクリル酸8.2質量部、メタクリル酸メチル15.5質量部エチルベンゼン26.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンシクロヘキサン0.0225質量部からなる重合原料組成液を、0.8リットル/時の速度で、容量が2.4リットルの完全混合型反応器に供給し、次に容量が1.6リットルの塔型反応器に供給し、次に未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発成分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置へと連続的に供給した。完全混合型反応器での温度を134℃とし、塔型反応器での温度を130〜150℃とした。塔型反応器以降は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂B)を製造した。
スチレン41.6質量部、メタクリル酸8.5質量部、メタクリル酸メチル18.6質量部、エチルベンゼン28.5質量部、流動パラフィン0.5質量部、αメチルスチレンリニアダイマー0.05質量部及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.020質量部からなる重合原料組成液を、0.8リットル/時の速度で、容量が2.0リットルの完全混合型反応器に供給し、次に容量が2.4リットルの塔型反応器に供給し、次に未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発成分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置に連続的に供給した。完全混合型反応器の温度を124℃とし、塔型反応器の温度を135〜155℃とした。塔型反応器以降は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂C)を製造した。
樹脂Cに脂肪族モノアルコールとして日産化学製FO−180をスチレン系樹脂100質量部に対して1600質量ppm添加し、創研社製20mm二軸押出し機で200℃、50rpmで押し出し、スチレン系樹脂組成物を得た。
樹脂Cにポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとして日油製S―207をスチレン系樹脂100質量部に対して1200質量ppm添加し、創研社製20mm二軸押出し機で200℃、50rpmで押し出し、スチレン系樹脂組成物を得た。
重合原料組成液をスチレン65.5質量部、メタクリル酸6.5質量部、メタクリル酸メチル7.0質量%、エチルベンゼン27.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.025質量部とし、完全混合型反応器の温度を134℃とした以外は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂D)を製造した。比較例1ではスチレン系樹脂中のメタクリル酸メチルの量が少なく、耐熱油性が劣る結果となった。
重合原料組成液をスチレン51.1質量部、メタクリル酸11.9質量部、メタクリル酸メチル12.0質量%、エチルベンゼン25.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.0225質量部とし、完全混合型反応器の温度を132℃とした以外は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂E)を製造した。比較例2ではスチレン系樹脂中のメタクリル酸の含有量が多く、シートの外観が悪化した。
重合原料組成液をスチレン49.9質量部、メタクリル酸4.8質量部、メタクリル酸メチル18.3質量%、エチルベンゼン31.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.0225質量部とし、完全混合型反応器の温度を133℃とした以外は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂F)を製造した。比較例3ではスチレン系樹脂中のメタクリル酸の含有量が少なく、十分な耐熱性を得ることができなかった。
スチレン50.3質量部、メタクリル酸8.2質量部、メタクリル酸メチル15.5質量%、エチルベンゼン27.0質量部、n−ドデシルメルカプタン0.01質量部及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.020質量部からなる重合原料組成液を、0.8リットル/時の速度で、容量が1.6リットルの完全混合型反応器に供給し、次いで容量が4.0リットルの塔型反応器に供給し、次いで未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発成分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置へと連続的に供給した。完全混合型反応器での温度を122℃とし、塔型反応器での温度を135〜150℃とした。塔型反応器以降は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂G)を製造した。比較例4では、最終重合反応率に対する完全混合槽での重合反応率の割合が低く、実施例1〜3と比較して透明性が悪化した。
容量5Lの反応器に蒸留水2L、懸濁剤としてカルボキシメチルセルロース10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05gを入れて溶解させた。ここにスチレン650g、メタクリル酸150g、メタクリル酸メチル200g、ミスチリルアルコール3g、t−ブチルパーオキシベンゾエート1g、αメチルスチレンダイマー2gをこの順に仕込んで、反応器内を窒素置換した。撹拌を行いながら80℃で7時間懸濁重合し、次に110℃に昇温して3時間懸濁重合を継続した。得られたスチレン系樹脂を脱水した後に乾燥し、スチレン系樹脂(樹脂H)を得た。樹脂Hは完全混合型反応器を使用しておらず、曇り度が大幅に悪化した。
Claims (11)
- スチレン系単量体と不飽和カルボン酸系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを構成単位として含むスチレン系樹脂であって、前記スチレン系樹脂中の前記スチレン系単量体単位、前記不飽和カルボン酸系単量体単位、及び前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、前記スチレン系単量体単位の含有量が54質量%以上74質量%未満であり、前記不飽和カルボン酸単量体単位の含有量が10質量%以上16質量%以下であり、前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の含有量が16質量%より多く30質量%以下であり、前記スチレン系樹脂を厚さ2mmのスチレン系樹脂プレートにしたときの曇り度が2.0%以下であり、前記不飽和カルボン酸系単量体がメタクリル酸である、スチレン系樹脂。
- 厚み2mmの前記スチレン系樹脂プレートを110℃の食用油に15分間浸漬したとき、浸漬前後における前記スチレン系樹脂プレートの曇り度の変化が10%以下である、請求項1に記載のスチレン系樹脂。
- 請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂100質量部に対し、ゲル化抑制剤を0.05〜0.3質量部含む、スチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される、シート。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される、押出シート。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される、二軸延伸シート。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載のシートから構成される、成形品。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載のシートから構成される、容器。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載のシートから構成される、食品包装用容器の蓋。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂またはスチレン系樹脂組成物から構成される、射出成形品。
- 少なくとも一つの完全混合型反応器を使用し、前記スチレン系単量体と前記不飽和カルボン酸系単量体と前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを溶液重合または塊状重合で連続重合することを含み、最終重合反応率に対して、主反応を行う完全混合型反応器における重合割合が60%以上である、請求項1に記載のスチレン系樹脂の製造方法。
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