JP5464631B2 - スチレン系樹脂、押出発泡シートおよび容器、および板状押出発泡体 - Google Patents
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また本発明は断熱材等に用いられる板状押出発泡体の断熱性能を維持したまま軽量化が可能なスチレン系樹脂およびその材料を用いた板状押出発泡体に関するものである。
これに対して押出発泡成形時における発泡セル形態をコントロールしたり、真空成型容器の厚み、特に割れやすい部分の厚みを厚くしたりして軽量化しても容器強度を保つ工夫がされている(非特許文献1)。
さらに断熱材や畳の芯材等に用いられている板状押出発泡体についても軽量化が望まれているが、発泡倍率を上げて軽量化しようとすると発泡セルがうまく形成されず、発泡セルがつながったいわゆる連泡ができて断熱効率が低下したり、また外観が荒れたものになってしまうといった問題があった。
本発明は、少ない材料で製品強度及び熱強度を維持することができるスチレン系樹脂を提供することを目的とする。また、本発明は当該スチレン系樹脂を押出発泡成形してなる押出発泡シートおよび当該押出発泡シートを真空成形して得られる軽量化容器を提供すること並びに断熱性能を損なうことなく軽量化が可能な板状押出発泡体を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、以下に記載する通りのスチレン系樹脂を提供するものである。
(2)重量平均分子量Mwが20万〜40万である請求項1記載のスチレン系樹脂。
(3)重量平均分子量Mwが27.3万〜36.7万である請求項1記載のスチレン系樹脂。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のスチレン系樹脂を押出発泡成形してなる押出発泡シート。
(5)上記(4)に記載の押出発泡シートを真空成型して得られる容器。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のスチレン系樹脂を押出発泡成形してなる板状押出発泡体。
本発明のスチレン系樹脂に使用される単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等を用いることができる。スチレンが好ましい。本発明に使用されるスチレン系樹脂の目的を損なわない範囲において、スチレンと共重合可能なコモノマーをスチレンと共重合させてもかまわない。スチレンと共重合可能なコモノマーとしては例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン以外の芳香族ビニル単量体類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジ脂肪酸無水物類,N−フェニルマレイミド等の不飽和ジ脂肪酸イミド類等が挙げられる。これらの単量体は1種類または2種類以上併用してもかまわない。
また、押出発泡シートにフィルムをラミネートしても良い。使用するフィルムの種類として、一般のポリスチレンに使用されるもので差し支えない。
この押出発泡シートを真空成型してトレー等の容器を作る。
次に、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
(1)メルトマスフローレイト(MFR)
JIS K 7210にしたがって200℃、49N荷重でメルトマスフローレイト(グラム/10分)を測定した。
(2)貯蔵弾性率
レオメトリックス社製溶融粘弾性測定装置RMS−800を用いて貯蔵弾性率(Pa)を測定した。
測定は測定温度240℃、窒素気流中で行う。コーン&プレート治具は直径25mm、コーンの角度0.1ラジアンのものを用いた。歪みは20%、角速度100ラジアン/秒から0.01ラジアン/秒まで測定を行った。
(3)容器の腰強度
押出発泡シートを図1に示すトレーに真空成型して腰強度(N)を測定した。トレー容器の大きさは縦12cm、横20cm、深さ2cmである。トレーの横側面より圧縮して極大荷重を腰強度とした。
(4)分子量
分子量の測定に用いた装置及び条件は次の通りである。
使用装置:東ソー製HLC8020
分別カラム:東ソー製TSK−gel−GMH−XL
測定溶媒:テトラヒドロフラン
試料濃度:スチレン樹脂5mgを10mlの溶媒に溶解
測定温度:40℃
流速:0.35ml/分。
(5)板状押出発泡体の発泡体密度
発泡体の重量/発泡体の体積から発泡体密度(kg/m3)を計算した。
(6)板状押出発泡体の平均気泡径
ASTM・D3576−77に準じて発泡体押出断面の平均気泡径(mm)を測定した。
(7)板状押出発泡体の独立気泡率
ASTM・D2856−Aに準じて独立気泡率(%)を測定した。
(8)熱伝導率
下記の装置、条件で熱伝導率(W/(m・K))を測定した。
使用装置:京都電子工業株式会社製 熱伝導率計 Kemtherm QTM−D3
測定温度:室温
[スチレン系樹脂の製造]
スチレン90重量%、エチルベンゼン10重量%の混合液100重量部に対し、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを0.035重量部添加した重合液を4.6リットルの完全混合型反応器に0.78リットル/Hrで連続的に仕込み、101℃に調整した。重合体溶液を引き続き、攪拌器を備え3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器−1に連続的に仕込んだ。層流型反応器−1の温度を105℃/108℃/110℃に調整した。
完全混合型反応器および層流型反応器−1と並列に接続された、攪拌器を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器−2にスチレン80重量%、エチルベンゼン20重量%の混合液100重量部に対し、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン0.07重量部およびn−ドデシルメルカプタン0.35重量部を添加した重合液を0.42リットル/Hrで連続的に仕込み、層流型反応器−2の温度を140℃/150℃/160℃に順次調節した。
層流型反応器−1と層流型反応器−2の重合体溶液は混合され、混合された重合体溶液を引き続き、静的攪拌器を備え3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器−3に連続的に仕込んだ。層流型反応器−3の温度を120℃/130℃/145℃に調整した。
メルトマスフローレイトは1.8グラム/10分であった。240℃、角速度0.1および100ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置による貯蔵弾性率の比G’(0.1)/G’(100)は0.0044であった。重量平均分子量は33.9万であった。
直径150mmのサーキュラーダイを備えた押出発泡機を用いて、上記のポリスチレン樹脂100重量部に対して、発泡核剤としてタルク(平均粒径1.3μm)を0.15重量部、発泡剤として液化ブタンを4重量部添加して押出発泡シートを製造した。樹脂溶融ゾーンの温度は200〜230℃、ロータリークーラー温度は130〜170℃、ダイス温度を150℃に調整した。押出発泡された発泡体を冷却マンドレルで冷却し、円周上の1点でカッターにより切断後、幅1000mm、シート厚み:1.9mm、見かけ密度:100g/L(発泡倍率:10.5倍)、坪量:180g/m2のポリスチレン樹脂発泡シートを得た。
[ポリスチレン樹脂発泡シートの熱成形]
上記発泡シートを真空成形して図1に示す形状の発泡トレー容器を得た。この容器について腰強度の測定を行った結果を表2に示す。
液化ブタン量を5重量部にして発泡倍率を高くした以外は実施例1と同様に実施した。
結果を表2に示す。
重合条件を表1−1のとおり変更した以外は実施例2と同様に実施して、表2に示す性状のポリスチレン樹脂を製造した。結果を表2に示す。
[スチレン系樹脂の製造]
スチレン90重量%、エチルベンゼン10重量%の混合液100重量部に対し、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを0.027重量部添加した重合液を4.6リットルの完全混合型反応器に0.72リットル/Hrで連続的に仕込み、102℃に調整した。完全混合型反応器と並列に接続された、攪拌器を備え3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器−1にスチレン70重量%、エチルベンゼン30重量%の混合液100重量部に対し、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン0.026重量部およびα−メチルスチレンダイマー0.3重量部を添加した重合液を0.25リットル/Hrで連続的に仕込み、層流型反応器−2の温度を125℃/130℃/112℃に順次調節した。
完全混合型反応器と層流型反応器−1の重合体溶液は混合され、混合された重合体溶液を引き続き、静的攪拌器を備え3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器−2およびそれと直列に配された、攪拌器を備え3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器−3に連続的に仕込んだ。層流型反応器−2および層流型反応器−3の温度を110℃/120℃/130℃および140℃/150℃/160℃に調整した。
重合反応器より連続して排出される重合体溶液を直列に配置した2基の、予熱器として0.6リットルの静的混合器を内蔵した4リットルの脱揮タンクに導いた。予熱器温度を240℃とし、脱揮タンク内で240℃に保ちながら、10torrの減圧下、脱揮後ペレタイズした。
以下実施例1と同様に実施した。重合条件を表1−2に示す。また結果を表2に示す。
重合条件を表2のとおり変更した以外は比較例1と同様に実施して、表3に示す性状のポリスチレン樹脂を製造した。結果を表2に示す。
実施例1〜4で得たポリスチレン樹脂を用いて板状押出発泡体を製造した。
[ポリスチレン樹脂の板状発泡押出]
ポリスチレン樹脂を、単軸押出機、ミキサー、ロータリークーラー、及びダイからなる押出発泡機を用いて、発泡核剤を樹脂に対して1重量部、発泡剤を樹脂に対して5重量部添加し、厚さ30mmの板状押出発泡体を製造した。樹脂の溶融ゾーンの温度は180〜200℃、ロータリークーラー温度は150〜160℃、ダイ温度を120〜130℃に調整した。発泡核剤には日本ミストロン製、ミストロンベーパーを用い、発泡剤にはLPG(ノルマルブタン/イソブタン=70/30<体積分率>)を用いた。得られた発泡体の発泡体密度、平均気泡径、独立気泡率、熱伝導率測定を行った。この結果を表3に示した。
発泡剤を6重量部にして発泡倍率を高くした以外は実施例5と同様に実施した。結果を表3に示す。
比較例1〜3のポリスチレン樹脂を用いた以外は比較例1と同様に実施して、板状押出発泡体を製造した。結果を表3に示す。
Claims (6)
- 200℃、49N荷重で測定したメルトマスフローレイト(MFR)が1.2〜4.0グラム/10分であって、かつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnが6.5以上8.3以下であり、かつコーン&プレート型溶融粘弾性測定装置によって240℃、角速度0.1ラジアン/秒で測定した貯蔵弾性率G’(0.1)と角速度100ラジアン/秒で測定した貯蔵弾性率G’(100)の比G’(0.1)/G’(100)が0.0033〜0.0052であることを特徴とする押出発泡成形用スチレン系樹脂。
- 重量平均分子量Mwが20万〜40万である請求項1記載のスチレン系樹脂。
- 重量平均分子量Mwが27.3万〜36.7万である請求項1記載のスチレン系樹脂。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のスチレン系樹脂を押出発泡成形してなる押出発泡シート。
- 請求項4記載の押出発泡シートを真空成型して得られる容器。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のスチレン系樹脂を押出発泡成形してなる板状押出発泡体。
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