JP6333140B2 - 板状押出発泡体 - Google Patents
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Description
[1]
線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)を含むビニル芳香族炭化水素重合体組成物であって、
前記(A)及び(B)が、1種のビニル芳香族炭化水素の単独重合体又は2種以上のビニル芳香族炭化水素の共重合体、ビニル芳香族炭化水素と不飽和カルボン酸との共重合体、ビニル芳香族炭化水素と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸のアルキルエステルとの共重合体、及びビニル芳香族炭化水素と不飽和カルボン酸無水物又はマレイミドとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含み、かつ、下記(a)〜(c)を満たすビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む、厚み5mm以上100mm以下の板状押出発泡体:
(a)前記(B)が、前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している;
(b)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における前記ブロック共重合体の含有量が、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.0質量%以下である;
(c)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解に供する場合、当該酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)の比(Mz2/Mz1)が、0.30以上0.90以下である。
[2]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物における前記(B)が、前記(A)中に分散しており、10万倍に拡大した電子顕微鏡写真4μm2の面積あたり粒子径50nm以下の点粒子が0〜1000個存在する、[1]に記載の板状押出発泡体。
[3]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度が10万Pa・sec以上100万Pa・sec以下である、[1]又は[2]に記載の板状押出発泡体。
[4]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)が、2.0以上4.0以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の板状押出発泡体。
[5]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃及び49Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.5g/10分以上10.0g/10分以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の板状押出発泡体。
[6]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の分岐度が0.30以上0.90未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載の板状押出発泡体。
[7]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における100万以上の分子量成分が、2.0%以上20%以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の板状押出発泡体。
[8]
前記ブロック共重合体中の共役ジエン由来の構成成分量が5質量%以上40質量%以下であり、
前記ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素由来の構成成分量が60質量%以上95質量%以下であり、
前記ブロック共重合体におけるビニル結合量が7%以上70%以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の板状押出発泡体。
本実施形態における板状押出発泡体は、線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)を含むビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む。なお、本明細書において、上記した本実施形態における線状ビニル芳香族炭化水素重合体を単に「(A)」と、上記した本実施形態における分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体を単に「(B)」と、それぞれ称する場合がある。
本実施形態において、前記(A)及び(B)は、1種のビニル芳香族炭化水素の単独重合体又は2種以上のビニル芳香族炭化水素の共重合体、ビニル芳香族炭化水素と不飽和カルボン酸との共重合体、ビニル芳香族炭化水素と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸のアルキルエステルとの共重合体、及びビニル芳香族炭化水素と不飽和カルボン酸無水物又はマレイミドとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。
さらに、本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、下記(a)〜(c)を満たす:
(a)前記(B)が、前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している;
(b)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における前記ブロック共重合体の含有量が、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.0質量%以下である;
(c)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解に供する場合、当該酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)の比(Mz2/Mz1)が、0.30以上0.90以下である。
さらにまた、本実施形態において、押出発泡シートの厚みは5mm以上100mm以下である。
上記のように構成されているため、本実施形態における板状押出発泡体は、高倍率化しても高い独立気泡率を維持することができ、発泡体密度と製品強度のバランスに優れる。また、独立気泡率、発泡体密度については、例えば、後述する実施例に記載の方法で評価することができる。
本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物に含まれる(B)成分は、上記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している。
本実施形態におけるブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンから構成され、芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体とも称することができる。上記ブロック共重合体は、少なくとも1種類の共役ジエン系単量体及び少なくとも1種類の芳香族ビニル系単量体とを、例えば、リビングアニオン重合体の存在下で溶液重合させる等の方法により、製造することができる。
(1)c−(A―B)n
(2)c−(B―A)n
(3)c−(B―A―B)n
(4)c−(A―B―A)n
(5)c−(A―B)n―A
(6)c−(B―A)n―B
(7)c−(B―A―A―B)n
(8)c−(A―B―B―A)n
(一般式(1)〜(8)中のいずれにおいても、Bは共役ジエン系重合体、或いは共役ジエンと芳香族ビニル化合物のランダム共重合体を表し、当該芳香族ビニル化合物の割合が漸増するテーパーブロックを有していてもよい。Aは芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを表す。cはリビングアニオン重合体の残基あるいはカップリング剤の残基を表す。nは1〜10の整数であり、cに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていてもよい。なお、上記の「主体とする」とは、50%超であることを意味する。)
本実施形態で用いるビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、例えば、上記ブロック共重合体の存在下、ビニル芳香族炭化水素単量体を重合することにより得ることができる。即ち、上記ブロック共重合体の共役ジエン部分の水素引き抜き、あるいはビニル基にビニル芳香族炭化水素鎖が結合することにより、分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が、線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)とともに得られ、分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が高分子量成分を成す。
本実施形態の板状押出発泡体は、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物から製造することができる。より詳細には、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を発泡させることにより、本実施形態の板状押出発泡体を製造することができる。上記発泡に際しては、通常知られている方法を用いて行うことができる。また、押出発泡時の発泡剤や発泡核剤については通常用いられる物質を使用できる。上記発泡剤としては、特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、フロン、水等を使用することができ、ブタンが好適である。上記発泡核剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク等を使用できる。本実施形態の板状押出発泡体は、断熱効果等の観点から、厚み5mm以上100mm以下、発泡体密度20g/L以上50g/L以下、発泡セル径0.005mm以上0.5mm以下であることが好ましく、上記の値を目安に好ましく製造することができる。ここで、板状押出発泡体の発泡セル径は、後述する粒子径測定と同様に、超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真をスキャナーに取り込み、粒子解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)を用いて測定することができる。
(1)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素及び、共役ジエンの含有量
1H−NMRを測定し、ビニル芳香族炭化水素由来の芳香環のピーク面積と共役ジエン由来のビニル結合部のピーク面積とを用いて計算により求めた。なお、測定装置としては日本電子(株)社製のJEOL−ECA500を使用した。
ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中の共役ジエンの含有量の決定には、予め作成した共役ジエンの各含有量が0、2.0質量%、4.0質量%の組成物を用いて、上記(1)と同様の方法で計算により求めた共役ジエン含有量から作成した検量線を用いた。
測定用の試料0.1gを10mLの二硫化炭素で完全に溶解後、0.5mmセルを使用して赤外分光光度計〔島津製作所製、「FTIR−8400S」)を使用してスペクトルを測定した。次いで、得られたスベクトルをHampton法〔R.,R.:AnaLyt.Chem.,21(1949),p.923〕にてビニル結合量を求めた、
ISO1133に準拠して各例のペレットを200℃の温度条件にてメルトマスフローレート測定に供した。メルトマスフローレートは流動性の指標とした。
ツインキャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度40〜1000sec−1に対して、せん断粘度、伸長粘度のデータを採取し、せん断粘度と伸長粘度のグラフを作成して、せん断粘度2500Pa・secにおける、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の伸張粘度を算出した。その際の詳細な条件は次のとおりとした。
使用装置:ROSAND PRECISION社製 ツインキャピラリーレオメーター(型式RH7−2)、
ロングダイス:1mmφ×16mmL
ショートダイス:1mmφ×0.25mmL
温度:200℃
予熱時間:ピストンを下降後、ロングダイス側圧力5MPaで6分。その後ロングダイス側圧力3MPaで3分予熱。
四酸化オスミウム溶液とターシャリーブチルハイドロパーオキサイドの混合分解剤を用いて、クロロホルム溶液中のポリマーを90℃に加熱して酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)に従い、酸化分解したポリマーをメタノールで沈殿回収し、酸化分解前後のZ平均分子量の比を算出した。さらに詳細に述べると、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物試料約0.07gをクロロホルム10mLに溶解し、tert−プチルアルコール溶液とtert−ブチルハイドロパーオキサイドのtert−プチルアルコール溶液の混台分解剤を20mLと、四酸化オスミウムの0.05%クロロホルム溶液6mLを加え、90℃でバス中にて12分間還流下、分解した。これを冷却した後、当該溶液にメタノール200mLを撹拌しながら加えてポリスチレン成分を沈殿させた。これをガラスフィルターにて分離し、分離されたポリスチレン成分をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定用の試料とした。このGPC測定用試料について、後述する(7)の分子量測定法に基づき、次のとおりに酸化分解前後のZ平均分子量を測定した。
酸化分解前後のZ平均分子量の比=(酸化分解後のZ平均分子量)/(酸化分解前のZ平均分子量)
各平均分子量(Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量、Mz:Z平均分子量)をそれぞれ以下の条件下で測定した。すなわち、まず、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物約1gに、メチルエチルケトン/メタノール混合溶媒(混合質量比90/10)20mLを加え、振とう機で60分かけ溶解させた。次に、R20A2型ロ−ターを備えた日立製作所製himacCR20型遠心分離機を用い、0℃、20,000rpmで60分遠心分離後、上澄み液をデカンデーションにより可溶分を採取した。その後、メタノールを添加し、残渣を回収した。次いで、室温で真空乾燥し、溶媒を除去した。次に、回収サンプルを以下の条件で測定した。なお、100万以上の分子量成分の割合は、上記の測定から得られた横軸ポリスチレン換算の相対分子量値と縦軸紫外吸光光度のピークから、積分により、相対分子量100万以上の成分の含有率を算出することにより得られる値を採用した。
使用装置:東ソー製HLC8020
分別カラム:東ソー製TSK−gel−GMHXL
測定溶媒:テトラヒドロフラン
試料濃度:ビニル芳香族炭化水素重合体組成物5mgを10mLの溶媒に溶解
測定温度:40℃
流速:0.35mL/分
まず、以下の条件下で重量平均分子量=100万における固有粘度を測定した。
使用装置:スペクトリス(株)製 絶対分子量測定 マルチ検出器GPC/SECシステム Viscotek TDA305、
光散乱検出器波長:670 nm
カラム:東ソー、TSKgel G6000、5000、4000HXL
測定溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速:1.0 mL/分で、固有粘度を測定した。
分岐度=log(組成物の固有粘度)/log(標準PSの固有粘度)
(標準PS:TOSOH、TSKstandard、POLYSTYRENE、F−80(TS−201)、分子量=7.06×105)
超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真をとり、写真中の領域4μm2中に観測される分散粒子のうち、次のように特定される分散粒子の粒子径を測定することにより、粒子径を求めた。なお、測定装置としては、(株)日立ハイテクノロジーズ社製の透過電子顕微鏡HT7700を使用した。なお、分散粒子の粒子数は、次のとおりに測定した。すなわち、各例の組成物を80nmの超薄切片に切り出したものをオスミウム酸で染色後、透過型電子顕微鏡で撮影し、倍率100000倍の写真にした。この写真から、粒子径が50nm以下の分散粒子について、4μm2の面積について粒子数を求めた。ここで、粒子径は写真中の粒子面積から円相当径とした場合の粒子径とした。なお、点粒子が凝集した形態のものは、凝集した形態中の点粒子の個数をそれぞれ数えることとした。本測定は、写真を1000dpiの解像度でスキャナーに取り込み、粒子解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)を用いて測定した。
ISO10350に基づいて、各例の発泡体密度を測定した。なお、測定装置としては島津製作所製の比重計(SGM−220−60測定器)を使用した。
発泡倍率は、上記(10)で求めた発泡体密度の値(ρf)及びビニル芳香族炭化水素重合体組成物の密度(ρ)を用いて、次式より算出した。
発泡倍率=ρ/ρf
まず、各例において得られる板状押出発泡体から、一辺が25mmの平面正方形状の試験片を5枚切り出した。なお、板状押出発泡体から試験片を切り出すにあたっては板状押出発泡体の表面が試験片に含まれないように板状押出発泡体の内部から切り出すこととした。次いで、得られた5枚の試験片を厚み方向に複数枚重ね合わせて積層体を作製した。この積層体の見掛け体積V1をノギスで測定した。次に、上記積層体の体積V2をASTM D2856−87に準拠して1−2−1気圧法により測定し、下記式に基づいて独立気泡率を算出した。なお、積層体の体積V2は、東京サイエンス社から市販されている空気比較式比重計1000型を用いて測定した。
独立気泡率(%)=100−100×(V1−V2)/V1
JIS K7220に準じた方法で圧縮強度を測定した。
ビニル芳香族炭化水素含有量が90質量%、共役ジエン含有量が10質量%からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−1)を、次のようにして製造した。すなわち、予め洗浄乾燥させた容積10Lの撹拌装置及びジャケット付のオートクレーブを窒素ガス雰囲気下とし、スチレン30質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウム0.095質量部を添加し50℃にて重合した。次に、スチレン30質量部と1,3−ブタジエン10質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加え60分間反応させた。さらに、スチレン30質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加え30分間反応させた。その後、重合を完全に停止するため、反応器中にエタノールをn−ブチルリチウムに対して等倍モル添加し、安定剤として当該重合体100質量部に対して、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを0.3質量部添加した。次いで、溶媒を除去することによって、目的とする線状のビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−1)を回収した。このようにして得られたブロック共重合体B−1は、スチレン含有量90質量%の、S1−(S/B)−S2構造のブロック共重合体であった。なお、上記のブロック構造を表す式中の、S、B、S/Bに付した番号は、それぞれブロック共重合体におけるビニル芳香族炭化水素ブロック(S)と、共役ジエン重合体ブロック(B)と、ランダム共重合体を含むブロック共重合体(S/B)と、を表すものとして、以下同様に表記する。
ビニル芳香族炭化水素含有量が80質量%、共役ジエン含有量が20質量%からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−2)を、次のようにして製造した。すなわち、予め洗浄乾燥させた容積10Lの撹拌装置及びジャケット付のオートクレーブを窒素ガス雰囲気下とし、1,3−ブタジエン10質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.095質量部とn−ブチルリチウムに対して0.3モルのテトラメチルエチレンジアミンを添加し50℃にて重合した。次に、スチレン80質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加えて60分間反応させた。その後、1,3−ブタジエン10質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加えて15分間反応させた。その後、重合を完全に停止するため、反応器中にエタノールをn−ブチルリチウムに対して等倍モル添加し、安定剤として当該重合体100質量部に対して、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを0.3質量部添加した。次いで、溶媒を除去することによって、目的とする線状のビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−2)を回収した。このようにして得られたブロック共重合体B−2は、スチレン含有量80質量%の、B−S−B構造の線状のブロック共重合体であった。
ブロック共重合体B−2と同様に、表1に規定したビニル芳香族炭化水素含有量と共役ジエン含有量からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−3〜B−8)は、表1に規定したビニル結合量となる様に、n−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加量を調整して、それぞれB−S−B構造の線状のブロック共重合体B−3〜B−8を得た。
[ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の製造]
スチレン85.7質量%と、エチルベンゼン8質量%と、表1記載のブロック重合体B−1を6.3質量%と、の混合液100質量部に対して、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを0.015質量部添加して得た重合原料液を、4.6Lの完全混合型反応器に0.78L/Hrで連続的に仕込み、103℃に調整した。反応器出口の固形分濃度は40質量%であった。なお、上記固形分濃度は、以下の方法により算出した。すなわち、まずw1(g)の重合液をアルミカップに取り、減圧下、230℃で15分間、重合液の未反応モノマー等の揮発成分を揮発させた。その後、残った固形分(反応生成物)w2(g)に対して、次式を用いて算出した。
(固形分濃度)=w2/w1×100(%)
ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を、単軸押出機、ミキサー、ロータリークーラー、及びダイからなる押出発泡機を用いて、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物100質量部に対して、発泡核剤としてタルク1質量部、ヘキサブロモシクロドデカン3質量部、更に熱安定剤を添加し、厚さ30mmの板状押出発泡体を製造した。樹脂の溶融ゾーンの温度は180〜200℃、ロータリークーラー温度は150〜160℃、ダイ温度を120〜130℃に調整した。発泡核剤には日本ミストロン製、ミストロンベーパーを用い、発泡剤にはLPG(ノルマルブタン/イソブタン=70/30<体積分率>)を用いた。得られた発泡体を、発泡体密度、独立気泡率及び圧縮強度測定に供した。この結果を表5に示す。
[ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の製造]
ブロック重合体の種類、各添加量、重合条件を表2に記載のとおりに変更したことを除き、実施例1と同様に実施して、実施例2〜12に係るビニル芳香族炭化水素重合体組成物を製造した。表2で用いた、メチルメタクリレートは旭化成ケミカルズ製、アクリル酸ブチルは東亜合成製、α−メチルスチレンダイマーは和光純薬工業製である。これらの物性等を表5に示す。
[スチレン系樹脂の製造]
スチレン82質量%とエチルベンゼン18質量%との混合液100質量部に対して、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(表2中、「PTA」と略記)を0.015質量部添加して得た重合原料液を、4.6Lの完全混合型反応器に0.78L/Hrで連続的に仕込み、107℃に調整した。反応器出口の固形分濃度は31質量%であった。完全混合型反応器の重合体溶液を引き続き、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5Lの層流型反応器−1及びそれと直列に配された、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5Lの層流型反応器−2に連続的に仕込んだ。層流型反応器−1の温度を115℃/124℃/129℃に、また層流型反応器−2の温度を145℃/150℃/160℃に調整した。上記以外は実施例1と同様に実施して、比較例1のビニル芳香族炭化水素重合体組成物及び板状押出発泡体を製造した。この物性等を表5に示す。
ブロック重合体の種類、各原料の添加量、重合条件を表3のとおりに変更したことを除き、比較例1と同様に実施して、比較例2〜5、8、9に係るビニル芳香族炭化水素重合体組成物および、発泡体を製造した。表3で用いた、メチルメタクリレートは旭化成ケミカルズ製、アクリル酸ブチルは東亜合成製、α−メチルスチレンダイマーは和光純薬工業製である。ただし、比較例8、9は、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の伸長粘度が低すぎて、板状押出発泡体を作成することができなかった。これらの物性等を表5に示す。
攪拌機を備えた5L−7L−7L層流型反応機3基を直列連結し、その後に二段ベント付き二軸押出機を配置した重合装置を用いて、表4に示すとおりにビニル芳香族炭化水素重合体組成物を製造した。すなわち、スチレン90質量部、表1記載の線状ビニル芳香族炭化水素重合体B−8を5質量部、エチルベンゼン5質量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(表4中、「PHC」と略記。表2〜3中においても同じ。)0.04質量部からなる原料溶液を重合機に供給し重合を行った。第1段重合機で120℃、30rpmで攪拌機を回転させ2時間重合し、ゴム粒子を析出させた後、第2段重合機にて135℃で3時間重合を継続しゴム粒子を安定化させた後、更に第3段重合機にて145℃で3時間重合を進め、最終重合固形分69%とし、この重合溶液を220℃、2.666kPaのベント圧力の三段ベント付き単軸押出機により脱揮発後、比較例6のビニル芳香族炭化水素重合体組成物を得た。このビニル芳香族炭化水素重合体組成物を用い、比較例1と同様にして押出発泡シートを作成しようとしたところ、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の伸長粘度が低すぎて、押出発泡時に破泡が起こり、押出発泡シートを作成することができなかった。この物性等を表5に示す。
表1に記載のブロック共重合体B−1 5質量部と、PSジャパン製 ポリスチレンG9305(メルトマスフローレート=1.5g/10min)95質量部とを、東芝機械(株)製の二軸押出機(TEM26SS−12−2V)を用いて220℃、150rpmで造粒し、比較例7に係るビニル芳香族炭化水素重合体組成物および、発泡体を製造した。この物性等を表5に示す。なお、本例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、ポリスチレンとブロック共重合体を単純ブレンドしたものであったため、当該ブロック共重合体の共役ジエン化合物単位を起点とした高分子量成分が形成されなかった。すなわち、本実施形態所望の分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が得られなかった。
Claims (8)
- 線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)を含むビニル芳香族炭化水素重合体組成物であって、
前記(A)及び(B)が、1種のビニル芳香族炭化水素の単独重合体又は2種以上のビニル芳香族炭化水素の共重合体、ビニル芳香族炭化水素と不飽和カルボン酸との共重合体、ビニル芳香族炭化水素と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸のアルキルエステルとの共重合体、及びビニル芳香族炭化水素と不飽和カルボン酸無水物又はマレイミドとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含み、かつ、下記(a)〜(c)を満たすビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む、厚み5mm以上100mm以下の板状押出発泡体:
(a)前記(B)が、前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している;
(b)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における前記ブロック共重合体の含有量が、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.0質量%以下である;
(c)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解に供する場合、当該酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)の比(Mz2/Mz1)が、0.30以上0.90以下である。 - 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物における前記(B)が、前記(A)中に分散しており、10万倍に拡大した電子顕微鏡写真4μm2の面積あたり粒子径50nm以下の点粒子が0〜1000個存在する、請求項1に記載の板状押出発泡体。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度が10万Pa・sec以上100万Pa・sec以下である、請求項1又は2に記載の板状押出発泡体。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)が、2.0以上4.0以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の板状押出発泡体。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃及び49Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.5g/10分以上10.0g/10分以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の板状押出発泡体。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の分岐度が0.30以上0.90未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の板状押出発泡体。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における100万以上の分子量成分が、2.0%以上20%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の板状押出発泡体。
- 前記ブロック共重合体中の共役ジエン由来の構成成分量が5質量%以上40質量%以下であり、
前記ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素由来の構成成分量が60質量%以上95質量%以下であり、
前記ブロック共重合体におけるビニル結合量が7%以上70%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の板状押出発泡体。
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