JP6262577B2 - 二軸延伸シート - Google Patents

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Description

本発明は、二軸延伸シートに関する。
ポリスチレンの二軸延伸シートは、剛性(シートの腰強さ)、光学特性(透明性)に優れていることから、真空成型、圧空成型等の方法により熱成型され軽量包装容器として食品包装用途を始めとして多用されている。
さらに、例えば、レタスなどの生鮮葉菜類の包装用フィルム;果物容器、弁当類、トレイ、ドンブリ、カップ、蓋財、絵付成形品などを構成するラミネート用フィルム;封筒、窓貼用、展示パネル用、花包装用、ケーキ包装用、ラベル用フィルム;玩具;装飾品等にも使用される。
これらのポリスチレンシートは、一般用ポリスチレン(以下GPPSと記す)を押出成形あるいはインフレーション成形等によって、またはGPPSを一旦シート状に成形し、このシートを再加熱して縦方向及び横方向に2軸延伸することによって得るという方法が採用されている。
この種の用途において、シートおよびフィルムあるいは更に二次加工した成形品は、厚み斑が少なく、強度特性に優れたものが望まれる。スチレン系樹脂シートは、未延伸では強度的に不十分であるが、延伸によって強靱で腰に強いシートにすることができる。
しかし、スチレン系樹脂の代表であるポリスチレン樹脂は、硬くて脆い性質のため、シートへの加工性に劣る。具体的には、低温でシーティングや延伸、更には低温での二次加工を行うに際して、流動性不足から厚み斑が発生し、シートが破断し易い等、加工性に劣るという問題がある。それ故、加工性に優れた高延伸倍率のシートを得ることは極めて難しく、改善が求められている。
上記の問題を解決するための試みとして、この種の用途において、ポリスチレン樹脂の欠点を改善した技術として、スチレン系単量体と、アクリル酸エステル単量体またはメタアクリル酸エステル単量体(以後、(メタ)アクリル酸エステル単量体と略す。)からなる共重合樹脂を用いる方法(例えば、特許文献1参照)や、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムの存在下で上記単量体を共重合した樹脂を用いる方法(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
特開2004−27191号公報 特開2006−213811号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、得られる共重合体のビカット軟化点温度が80℃未満であり、条件によっては成形加工が困難である。また、特許文献2に記載の技術では、85℃以上のビカット軟化点温度の共重合体が得られるものの、平均粒子径が0.1以上0.5μm以下の分散ゴム粒子を90%以上含有しているため、二軸延伸シートの用途が制限される。
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、延伸加工性と厚み均一性のバランスに優れる二軸延伸シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、特定の分岐状重合体を用いて、分子内に分岐構造を導入して高分子量化し、かつ、特定量の流動パラフィンを導入して流動性を高めたビニル芳香族炭化水素重合体組成物を材料に用いることにより、延伸加工性と厚み均一性のバランスに優れ、特に低温成形性にも優れた二軸延伸シートが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)を含有し、かつ、下記(a)〜(e)を満たすビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む、二軸延伸シート:
(a)前記(B)が、前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している;
(b)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における前記ブロック共重合体の含有量が、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.5質量%以下である;
(c)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解に供する場合、当該酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)の比(Mz2/Mz1)が、0.30以上0.90以下である;
(d)200℃及び49Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.5g/10分以上10.0g/10分以下である。
(e)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物に含有される流動パラフィンが0.01質量%以上2.50質量%未満である。
[2]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を成形又は2軸延伸することによって得られ、かつ、シート厚みが1μm以上1mm以下である、[1]に記載の二軸延伸シート。
[3]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物における前記(B)が、前記(A)中に分散しており、10万倍に拡大した電子顕微鏡写真4μmの面積あたり粒子径50nm以下の点粒子が0〜1000個存在する、[1]又は[2]に記載の二軸延伸シート。
[4]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度が10万Pa・sec以上100万Pa・sec以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[5]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の重量平均分子量が、20万以上40万以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[6]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の分岐度が0.30以上0.90未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[7]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における100万以上の分子量成分が、2.0%以上20%以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[8]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物が、下記(f)〜(h)を満たす、[1]〜[7]のいずれかに記載の二軸延伸シート:
(f)前記ブロック共重合体中の共役ジエン由来の構成成分量が5質量%以上40質量%以下であり、
(g)前記ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素由来の構成成分量が60質量%以上95質量%以下であり、
(h)前記ブロック共重合体におけるビニル結合量が7%以上70%以下である。
本発明の二軸延伸シートは、延伸加工性と厚み均一性のバランスに優れ、特に低温成形性に優れる。
図1は、メルトマスフローレート(MFR)と伸長粘度との関係を、実施例と比較例との対比で示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[二軸延伸シート]
本実施形態の二軸延伸シートは、線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)と、を含有し、かつ、下記(a)〜(e)を満たすビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む:
(a)前記(B)が、前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している;
(b)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における前記ブロック共重合体の含有量が、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.5質量%以下である;
(c)四酸化オスミウムを触媒として、前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解に供する場合、当該酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)との比(Mz2/Mz1)が0.30以上0.90以下である;
(d)200℃及び49Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が、0.5g/10分以上10.0g/10分以下である。
(e)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物に含有される流動パラフィンが0.01質量%以上2.50質量%未満である。
上記のように構成されているため、本実施形態の二軸延伸シートは、分散粒子が少なく、延伸加工性と厚み均一性のバランスに優れ、特に低温成形性に優れる。また、分散粒子の大きさと数、延伸加工性、厚み均一性および、低温成形性については、例えば、後述する実施例に記載の方法で評価することができる。
上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、分岐状重合体を用いて、分子内に分岐構造を導入して高分子量化し、かつ、特定量の流動パラフィンを導入して流動性を高めることによりメルトマスフローレートを特定の範囲に調整している。このような本実施形態所望のビニル芳香族炭化水素重合体組成物を適用することで、本実施形態の二軸延伸シートは、延伸時に分子配向がかかり易く、延伸加工性と厚み均一性のバランスに優れ、特に低温成形性に優れる。
(ビニル芳香族炭化水素重合体組成物)
本実施形態における上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物は線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)と、を含有する。さらに、上記(B)成分は、上記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している。
本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中におけるブロック共重合体の含有量は、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.5質量%以下である。上記共役ジエン換算量としては、0.2質量%以上1.95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上1.9質量%以下である。上記共役ジエン換算量が0.1質量%未満の場合は、共役ジエン部分へのビニル芳香族炭化水素鎖の結合確率が少なくなり、高分子量化した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が得られず、高い伸張粘度の組成物が得られない。その結果、延伸加工性が低下する。また、上記共役ジエン換算量が2質量%を超える場合、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の加工性(流動性)が低下するので、延伸加工性が低下するとともに厚み均一性が低下する。なお、上記共役ジエン換算量は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
また、本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中の分岐状重合体(B)は、例えば、四酸化オスミウムを溶液とターシャリーブチルハイドロパーオキサイドの混合分解剤によって分子内の共役ジエンブロックを酸化分解することにより、その存在を確認することができる。即ち、分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が形成されていれば、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体の共役ジエン部分に結合していたビニル芳香族炭化水素鎖が酸化分解によって切断されるため、Z平均分子量が低下する。本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)の比(Mz2/Mz1)は、0.30以上0.90以下であり、好ましくは0.33以上0.85以下、より好ましくは0.45以上0.80以下である。Z平均分子量の比が0.90を超える場合、共役ジエン部分へのビニル芳香族炭化水素鎖の結合が少なく、高分子量化が図れず、高い伸張粘度の組成物が得られないので、延伸加工性が低下するとともに厚み均一性が低下する。また、Z平均分子量の比が0.30未満である場合、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の加工性(流動性)が低下するので、延伸加工性や低温成形性が低下する。なお、上記Z平均分子量の比は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃及び49N荷重におけるメルトマスフローレート(MFR)は、0.5g/10分以上10.0g/10分以下であり、好ましくは0.8g/10分以上9.5g/10分以下であり、より好ましくは2.0g/10分以上9.0g/10分以下である。MFRが0.5g/10分未満である場合、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の加工性(流動性)が低下するので、延伸加工性や低温成形性が低下する。またMFRが10.0g/10分より大きいと、当該二軸延伸シートの延伸加工性が低下し、製品の延伸加工性と厚み均一性との両立という目的が達成できない。なお上記MFRは、JIS K 7210に従って200℃及び49Nで測定される値である。
本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物における流動パラフィンの含有量は、0.01質量%以上2.50質量%未満であり、好ましくは0.03質量%以上1.80質量%未満であり、より好ましくは0.05質量%以上1.70質量%未満である。流動パラフィンの含有量が0.01質量%未満である場合、流動パラフィンによる流動性の改善効果が不十分なため、延伸加工性の向上は特に認められない。また流動パラフィンの含有量が2.50質量%以上である場合、当該二軸延伸シートの延伸加工性が低下し、製品の延伸加工性と厚み均一性との両立という本実施形態の目的が達成できない。
上記流動パラフィンの分子量は通常、動粘度で規定される。本実施形態における流動パラフィンとしては、例えば、試験方法JIS K2283で規定される40℃の動粘度が0.1〜60mm/秒の範囲のものを用いることができ、1〜40mm/秒のものが好ましい。また、流動パラフィンの好ましい重量平均分子量は150〜500、より好ましくは180〜450、特に好ましくは200〜350の範囲である。重量平均分子量は、例えばガスクロマトグラフィーを用い、流動パラフィンの各分子量成分の重量平均値をとることで求められる。この粘度範囲あるいはこの分子量範囲の流動パラフィンを用いる場合、より高粘度あるいはより高分子量の流動パラフィンに比較して、得られるビニル芳香族炭化水素重合体組成物を大きく可塑化し、スチレン系樹脂の成形性、例えば成形品の表面光沢を大きく向上させる傾向にある。なお、粘度0.1mm/秒以上あるいは重量平均分子量150以上の流動パラフィンを用いる場合、得られるビニル芳香族炭化水素重合体組成物の成形加工時に、金型汚染や成型品表面へのブリードを効果的に抑制する傾向があるため好ましい。
上記流動パラフィンは、例えば、食品衛生法、食品、添加物等の規格基準で定められた流動パラフィンから選ぶことができる。この種の流動パラフィンの具体例としては、以下に限定されないが、エクソンモービル社から市販されているクリクリストールN52、クリストールN62、クリストールN72、クリストールN82、クリストールN122、クリストールN172、クリストールN262、クリストールN352、プライモールN542等が挙げられる。また、(株)松村石油研究所から市販されているモレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−55、モレスコホワイトP−60、モレスコホワイトP−70、モレスコホワイトP−80、モレスコホワイトP−85、モレスコホワイトP−100、モレスコホワイトP−120、モレスコホワイトP−150、モレスコホワイトP−200、モレスコホワイトP−230、モレスコホワイトP−260、モレスコホワイトP−300、モレスコホワイトP−35 0、モレスコホワイトP−350P等が挙げられる。更に、三光化学工業(株)から市販されている流動パラフィン40−S、60−S、70−S、80−S、90−S、100−S、120−S、150−S、260−S、350−S等が挙げられる。更にまたCK Witco Corporationから市販されているホワイトミネラルオイルが挙げられる。
本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度は、10万Pa・sec以上100万Pa・sec以下であることが好ましく、より好ましくは11万Pa・sec以上90万Pa・sec以下であり、さらに好ましくは12万Pa・sec以上80万Pa・sec以下である。200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度が10万Pa・sec以上である場合、十分に良好な厚み均一性を確保できる傾向にあり、200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度が100万以下である場合、十分に良好な成形加工性を確保できる傾向にある。なお、上記伸長粘度は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、上記のとおり線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)を含むため、従来のビニル芳香族炭化水素単量体の直鎖状の重合物と比較すると、容易に高分子量重合体を得ることができる。当該ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の100万以上の分子量成分は、好ましくは2.0%以上20%以下であり、より好ましくは3.0%以上15%以下であり、更に好ましくは4.0%以上10%以下である。100万以上の分子量成分が2.0%以上である場合、特に良好な高分子量成分量を得ることができる傾向にあり、同じ重量平均分子量で比較した場合、従来のビニル芳香族炭化水素単量体の直鎖状の重合物に対してより優れた伸張粘度を有する組成物が得られる傾向にある。そのため、十分に良好な厚み均一性の二軸延伸シートを確保できる傾向にある。また、100万以上の分子量成分が20%以下である場合、十分に良好な成形加工性を確保できる傾向にある。なお、100万以上の分子量成分の値は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
さらに、本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の分岐度は、0.30以上0.90未満であることが好ましく、より好ましくは0.40以上0.85以下であり、更に好ましくは0.45以上0.80以下である。分岐度が0.90未満である場合、分子内の分岐数を特に良好なものとできる傾向にあり、より高い伸張粘度を有する組成物が得られる傾向にある。その結果、十分に良好な厚み均一性の二軸延伸シートを確保できる傾向にある。また、分岐度が0.30以上である場合、十分に良好な成形加工性を確保できる傾向にある。なお、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の分岐度は、絶対分子量測定 マルチ検出器GPC/SECシステム(例えば、スペクトリス(株)製Viscotek TDAmax)を用いて測定した、重量平均分子量=100万における固有粘度対数の比によって表すことができる。
本実施形態においては、分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)中に分散した点粒子のうち粒子径50nm以下の分散粒子が10万倍に拡大した電子顕微鏡写真4μmの面積あたり0個以上1000個以下の点状粒子として存在することが好ましい。上記点状粒子の4μmの面積あたりの個数として、より好ましくは、0個以上800個以下であり、更に好ましくは0個以上600個以下であり、より更に好ましくは0個以上400個以下であり、特に好ましくは0個以上200個以下である。最も好ましくは、0個(点状粒子が存在しないこと)である。なお、粒子径50nm以下の分散粒子についての4μmあたりの個数は、本実施形態のビニル芳香族炭化水素重合体組成物から切り出した80nmの超薄切片をオスミウム酸で染色した後、透過型電子顕微鏡で撮影した写真から求めることができる。ここで、点状の粒子とは、内部にオクルード構造を持たない、いわゆるコアシェル粒子やサラミ粒子でない粒子である。また、サラミ粒子とは、内部に小さなポリスチレン粒子が詰まったポリブタジエンゴムのことを指し、コアシェル粒子とは、内部に1個のポリスチレン粒子を含むポリブタジエンゴムのことを指す。なお、点粒子が凝集した形態のものは、凝集した形態中の点粒子の個数をそれぞれ数える。ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中にコアシェル粒子、サラミ粒子が多数存在すると剛性が低下する傾向があるが、本実施形態のビニル芳香族炭化水素重合体組成物では効果を害さない限り、これらコアシェル粒子、サラミ粒子を含んでいてもよい。なお、上記粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、重量平均分子量が20万以上40万以下であることが好ましい。より好ましくは25万以上38万以下であり、更に好ましくは29万以上36万以下である。重量平均分子量が20万以上である場合、十分に良好な製品強度を確保できる傾向にあり、40万以下である場合、十分に良好な成形加工性を確保できる傾向にある。なお、ここでの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。
本実施形態で用いるビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、スチレン系樹脂の分野で慣用されている添加剤、例えば酸化防止剤、滑剤、難燃剤、着色剤等と本実施形態の目的を損なわない範囲で組み合わされることによりビニル芳香族炭化水素重合体組成物として使用されてもかまわない。上記添加剤としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、白色鉱油等の可塑剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の滑剤、ヘキサブロモシクロドデカンや臭素化ビスフェノール系難燃剤等の難燃剤、酸化チタン等の着色剤等が挙げられる。またスチレン系樹脂をペレットとし、当該ペレットの外部潤滑剤として、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等をペレットにまぶして使用してもよい。
上記酸化防止剤は、熱成形時または光暴露により生成したハイドロパーオキシラジカル等の過酸化物ラジカルを安定化するか、又は生成したハイドロパーオキサイド等の過酸化物を分解するための成分である。すなわち、上記酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤又は過酸化物分解剤である。前者は、ラジカル連鎖禁止剤として、後者は、系中に生成した過酸化物をさらに安定なアルコール類に分解して自動酸化を防止することができる。上記酸化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、以下に限定されないが、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スタイレネイテドフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキレイテッドビスフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキシスピロ〔5・5〕ウンデカン等である。また、上記酸化防止剤としての過酸化物分解剤の具体例としては、以下に限定されないが、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等の有機リン系過酸化物分解剤またはジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等の有機イオウ系過酸化物分解剤である。上記酸化防止剤の添加量は、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上0.5質量部以下である。
(ブロック共重合体)
本実施形態におけるブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンから構成され、芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体とも称することができる。上記ブロック共重合体は、少なくとも1種類の共役ジエン系単量体及び少なくとも1種類の芳香族ビニル系単量体とを、例えば、リビングアニオン重合体の存在下で溶液重合させること等により、製造することができる。
上記共役ジエン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等であり、一種又は二種以上用いられる。好ましい単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
また、上記芳香族ビニル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等であり、一種又は二種上用いられる。特にスチレンが好ましい。溶液重合で用いる炭化水素溶媒の例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が用いられる。好ましい例としては、ヘキサン、シクロヘキサンが挙げられる。
本実施形態におけるブロック共重合体のより詳細な製造方法を以下に示す。すなわち、リビングアニオン重合体を調製し、引き続き共役ジエン系単量体を添加し、単量体の重合終了後、芳香族ビニル単量体を添加し重合反応を続ける方法;リビングアニオン重合体を調製し、引き続き共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体を添加し重合反応を続ける方法等によって製造することができる。また、共役ジエン系単量体の存在する炭化水素溶媒中に、リビングアニオン重合体を添加し、単量体の重合終了後、芳香族ビニル単量体を添加し重合反応を続ける方法;共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体の存在する炭化水素溶媒中に、リビングアニオン重合体を添加し、重合反応を続ける方法等によって製造することができる。
本実施形態に使用されるブロック共重合体は、例えば、次の一般式(1)〜(8)で表される線状ブロック共重合体やラジアルブロック共重合体、或いはこれらのポリマー構造の任意の混合物とすることができる。
(1)c−(A―B)
(2)c−(B―A)
(3)c−(B―A―B)
(4)c−(A―B―A)
(5)c−(A―B)―A
(6)c−(B―A)―B
(7)c−(B―A―A―B)
(8)c−(A―B―B―A)
(一般式(1)〜(8)中のいずれにおいても、Bは共役ジエン系重合体、或いは共役ジエンと芳香族ビニル化合物のランダム共重合体を表し、芳香族ビニル化合物の割合が漸増するテーパーブロックを有していてもよい。Aは芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを表す。cはリビングアニオン重合体の残基あるいはカップリング剤の残基を表す。nは1〜10の整数であり、cに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていてもよい。なお、上記の「主体とする」とは、50%超であることを意味する。)
本実施形態において、上記ブロック共重合体の共役ジエン由来の構成成分量が5質量%以上40質量%以下であり、上記ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素由来の構成成分量が60質量%以上95質量%以下であることが好ましい。上記ブロック共重合体の共役ジエン由来の構成成分量として、より好ましくは7質量%以上38質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上35質量%以下である。また、上記ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素由来の構成成分量として、より好ましくは62質量%以上93質量%以下であり、さらに好ましくは65質量%以上90質量%以下である。上記ブロック共重合体の共役ジエン由来の構成成分量が5質量%以上である場合、共役ジエン部分の水素引き抜き、あるいはビニル基へのビニル芳香族炭化水素鎖の結合が十分なものとすることができる傾向にあり、目的とする高分子量成分を得やすくなる傾向にある。また、共役ジエン由来の構成成分量が40質量%以下である場合、上記ブロック共重合体同士の凝集を効果的に防止できる傾向にあり、分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)中に存在しても、その存在状態は均一で粒子とならないか、粒子になったとしても、点状の形態に維持しやすい傾向にある。また、上記ブロック共重合体におけるビニル結合量は7%以上70%以下であることが好ましい。さらに、上記ビニル結合量として、より好ましくは10%以上65%以下であり、さらに好ましくは12%以上60%以下である。上記ビニル結合量が7%以上である場合、目的とする高分子量成分を十分に確保できる傾向にある。また、上記ビニル結合量が70%以下である場合、高分子量成分の生成量を適切なものに制御しやすい傾向にあり、十分な成形加工性を確保できる傾向にある。
(ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の製造方法)
本実施形態で用いるビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、例えば、上記ブロック共重合体の存在下、ビニル芳香族炭化水素単量体を重合することにより得ることができる。即ち、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分の水素を引き抜き、あるいはビニル基にビニル芳香族炭化水素鎖が結合することにより分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が、線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)とともに得られ、分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が高分子量成分を成す。
上記ビニル芳香族炭化水素単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−,及びp−メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン等を用いることができる。中でも、スチレンが好ましい。ビニル芳香族炭化水素単量体は1種類又は2種類以上の併用で使用できる。
本実施形態で用いるビニル芳香族炭化水素重合体組成物の製造方法に関しては、以下に限定されないが、ビニル芳香族炭化水素単量体にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体を溶かした溶液を用いて、一般的な塊状重合、溶液重合、懸濁重合等を用いること等により製造する例を挙げることができる。また、本実施形態においては、線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)の分子量及び分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)の分子量調整のために、重合開始剤、溶媒、連鎖移動剤を使用することもできる。
上記重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物を用いることができる。上記有機過酸化物としては、特に限定されないが、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシエステル類、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、p−メンタハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーアミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等の多官能開始剤類を挙げることができる。上記した中でも、伸張粘度を増加させる観点から、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンが好ましい。
上記した有機過酸化物は、スチレン系単量体重合のいずれかの工程にて重合系(重合原料溶液又は重合途中の溶液)に添加することができる。これらの有機過酸化物は重合原料溶液に加えられても、重合途中の溶液に必要に応じて複数回に分割して添加されてもよい。上記有機過酸化物の添加量は、重合原料溶液100質量部に対して、好ましくは0.0005質量部以上0.2質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上0.1質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上0.08質量部以下である。上記有機過酸化物の添加量が0.2質量部以下である場合、重合時に発生する大量の反応熱を良好に制御できる傾向にあり、重合反応の制御の観点から好ましい。
上記溶媒としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が使用できる。上記溶媒の使用量としては特に限定されないが、重合原料溶液100質量%に対して、0質量%以上50質量%以下の範囲の使用が好ましい。上記連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等が用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量としては、重合原料溶液100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上2質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上1質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上0.8質量%以下である。本実施形態のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の製造方法における反応温度としては、好ましくは80℃以上200℃以下であり、より好ましくは90℃以上180℃以下である。上記反応温度が80℃以上である場合、十分に良好な生産性を確保できる傾向にあるため、工業的により適切な条件ということができる。一方、上記反応温度が200℃以下である場合、低分子量重合体の生成量を適切な範囲に制御しやすくなる傾向にあるため好ましい。目標分子量の調整に際しては、上記反応温度(重合温度)だけでなく、開始剤量、溶媒量、連鎖移動剤量等で制御することもできる。また、本実施形態のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の製造方法における反応時間としては、一般に0.5時間以上20時間以下、好ましくは2時間以上10時間以下である。上記反応時間が0.5時間以上である場合は反応を十分に進行させることができる傾向にあり、20時間以下である場合は生産性の観点から好ましい。
ビニル芳香族系炭化水素単量体の重合転化率については、特に限定されるものではないが、工業的な見地から、40%以上であることが好ましい。このようにして得られた重合溶液は、未反応単量体や溶媒を除去することにより、目的とするビニル芳香族炭化水素重合体組成物を分離することができ、また懸濁重合の場合には、そのまま次の工程に供することができる。
[二軸延伸シートの製造方法]
本実施形態の二軸延伸シートは、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物から製造することができる。本実施形態において、二軸延伸シートは、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を成形又は2軸延伸して得られ、かつ、シート厚みが1μm以上1mm以下であることが好ましい。より詳細には、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を従来公知の任意の成型加工方法、以下に限定されないが、例えば、インフレーション成形、押出成形でフィルム、シート等に成形加工することにより、本実施形態の二軸延伸シートを製造することができる。本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の押出シートを製造する際の条件は特に限定されないが、当該押出シートを二軸延伸成形する際の温度条件は、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物のビカット軟化温度+25℃として加熱、延伸することが好ましい。なお、ビカット軟化温度+25℃が110℃を超える場合は、110℃を加熱温度の上限として、加熱、延伸することが好ましい。
以下、実施例、比較例及び参考例により本発明の具体的な実施態様を示すが、これは本発明の趣旨をより具体的に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
各例におけるビニル芳香族炭化水素重合体組成物、当該ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む二軸延伸シートの各種測定評価は、以下の方法に基づいて行った。
[測定、評価方法]
(1)ブロック共重合体中におけるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの各含有量
H−NMRを測定し、ビニル芳香族炭化水素由来の芳香環のピーク面積と共役ジエン由来の1,4結合部のピーク面積とを用いて計算によりブロック共重合体中におけるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの各含有量をそれぞれ求めた。なお、測定装置としては日本電子(株)社製のJEOL−ECA500を使用した。
(2)ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中の共役ジエンの含有量
上記(1)と同様の方法で求めた。
(3)ビニル結合量
測定用の試料0.1gを10mLの二硫化炭素で完全に溶解後、0.5mmセルを使用して赤外分光光度計〔島津製作所製、「FTIR−8400S」)を使用してスペクトルを測定した。次いで、得られたスベクトルをHampton法〔R.,R.:AnaLyt.Chem.,21(1949),p.923〕にてビニル結合量を求めた、
(4)メルトマスフローレート
ISO1133に準拠し、各例のペレットを200℃の温度条件にてメルトマスフローレート測定に供した。メルトマスフローレートは流動性の指標とした。なお、後述の表4では単に「MFR」と表記する。
(5)伸張粘度
ツインキャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度40〜1000sec−1に対して、せん断粘度、伸長粘度のデータを採取し、せん断粘度と伸長粘度のグラフを作成して、せん断粘度2500Pa・secにおける、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の伸張粘度を算出した。その際の詳細な条件は次のとおりとした。
使用装置:ROSAND PRECISION社製 ツインキャピラリーレオメーター(型式RH7−2)、
ロングダイス:1mmφ×16mmL、
ショートダイス:1mmφ×0.25mmL、
温度:200℃。
予熱時間:ピストンを下降後、ロングダイス側圧力5MPaで6分。その後ロングダイス側圧力3MPaで3分予熱。
(6)四酸化オスミウム分解処理
四酸化オスミウム溶液とターシャリーブチルハイドロパーオキサイドの混合分解剤を用いて、クロロホルム溶液中のポリマーを90℃に加熱して酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)に従い、酸化分解したポリマーをメタノールで沈殿回収し、酸化分解前後のZ平均分子量の比を算出した。ビニル芳香族炭化水素重合体組成物試料約0.07gをクロロホルム10mLに溶解し、tert−ブチルアルコール溶液とtert−ブチルハイドロパーオキサイドのtert−ブチルアルコール溶液の混合分解剤を20mL加え、90℃でバス中にて12分間還流下、分解した。これを冷却した後、当該溶液にメタノール200mLを撹拌しながら加えてポリスチレン成分を沈殿させた。これをガラスフィルターにて分離し、分離されたポリスチレン成分をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定用の試料とした。このGPC測定用試料について、後述する(7)の分子量測定法に基づき、次のとおりに酸化分解前後のZ平均分子量を測定した。
酸化分解前後のZ平均分子量の比=(酸化分解後のZ平均分子量)/(酸化分解前のZ平均分子量)
(7)分子量測定
以下の条件で、各平均分子量(Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量、Mz:Z平均分子量)をそれぞれ測定した。すなわち、まず、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物約1gに、メチルエチルケトン/メタノール混合溶媒(混合質量比90/10)20mLを加え、振とう機で60分かけ溶解させた。次に、R20A2型ロ−ターを備えた日立製作所製himacCR20型遠心分離機を用い、0℃、20,000rpmで60分遠心分離後、上澄み液をデカンデーションにより可溶分を採取した。その後、メタノールを添加し、残渣を回収した。次いで、室温で真空乾燥し、溶媒を除去した。次に、回収サンプルを以下の条件で測定した。なお、100万以上の分子量成分の割合は、上記の測定から得られた横軸ポリスチレン換算の相対分子量値と縦軸紫外吸光光度のピークから、積分により、相対分子量100万以上の成分の含有率を算出することにより得られる値を採用した。
使用装置:東ソー製HLC8020
分別カラム:東ソー製TSK−gel−GMHXL
測定溶媒:テトラヒドロフラン
試料濃度:ビニル芳香族炭化水素重合体組成物5mgを10mLの溶媒に溶解
測定温度:40℃
流速:0.35mL/分
(8)分岐度
まず、以下の条件下で重量平均分子量=100万における固有粘度を測定した。
使用装置:スペクトリス(株)製 絶対分子量測定 マルチ検出器GPC/SECシステム Viscotek TDA305
光散乱検出器波長:670 nm
カラム:東ソー、TSKgel G6000、5000、4000HXL
測定溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速:1.0 mL/分
上記のようにして得られた固有粘度に基づき、下式により重量平均分子量=100万における分岐度を算出した。
分岐度=log(組成物の固有粘度)/log(標準PSの固有粘度)
(標準PS:TOSOH、TSKstandard、POLYSTYRENE、F−80(TS−201)、分子量=7.06×10
(9)50nm以下の粒子数の測定
超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真をとり、写真中の領域4μm中に観測される分散粒子のうち、次のように特定される分散粒子の粒子径を測定することにより、粒子径を求めた。なお、測定装置としては、(株)日立ハイテクノロジーズ社製の透過電子顕微鏡HT7700を使用した。なお、分散粒子の粒子数は、次のとおりに測定した。すなわち、各例の組成物を80nmの超薄切片に切り出したものをオスミウム酸で染色後、透過型電子顕微鏡で撮影し、倍率100000倍の写真にした。この写真から、粒子径が50nm以下の分散粒子について、4μmの面積について粒子数を求めた。ここで、粒子径は写真中の粒子面積から円相当径とした場合の粒子径とした。なお、点粒子が凝集した形態のものは、凝集した形態中の点粒子の個数をそれぞれ数えることとした。本測定は、写真を1000dpiの解像度でスキャナーに取り込み、粒子解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)を用いて測定した。
(10)二軸延伸シートの厚み均一性
まず、各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の厚さ0.4mmの押出シートをナカタニ機械製20mm押出機を用いて作成した。その後、東洋製機製二軸延伸機EX6−S1を用いて、押出方向を縦として、ビカット軟化点温度+25℃、3分間予熱後、400%/分で、縦、横方向に等倍に延伸し、厚み50μmの二軸延伸シートを得た。この二軸延伸シートの中心から一辺10cmの正方形を切り出し、2cm間隔で厚みを測定し、平均の厚みを算出した。この平均値の厚みを±20%超える測定点が、全測定点の20%以上の場合を×、10〜20%の場合を△、10%未満の場合を○とした。
(11)引張伸度測定
まず、各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の厚さ0.3mmのプレスシートを創研製圧縮成型機を用いて、200℃で作成した。その後、JIS−K7113−2の打ち抜きダンベルを作成した。次いで、東洋製機製二軸延伸機EX6−S1を用いて、115℃で20分間予熱後、100mm/分で延伸し、ダンベルの破断伸度を測定し、最大延伸倍率の指標とした。
(12)延伸成形性評価
まず、各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の厚さ1.3mmのプレスシートを創研製圧縮成型機を用いて、200℃で作成した。その後、プレスシートを横120mm、縦80mmの長方形状に切り出し、岩本製作所製の槽内温風循環式二軸延伸機を用いて、115℃で20分間予熱後、横に17mm/秒で5倍、縦に1mm/秒で1.3倍に延伸成形を行い、シートの破断の有無を目視で確認し、延伸成形性の指標とした。シートの破断がなく、延伸可能であったものを○、シートの破断が起こり延伸不可であったものを×、シートの破断がある場合とない場合が混在したものを△とした。
(13)深絞り成形性評価
まず、各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の厚さ0.7mmのプレスシートを創研製圧縮成型機を用いて、200℃で作成した。その後、創研製のシート容器成型機を用いて、このシート成型機の固定枠でプレスシートを挟み、ヒータの平均温度を220℃、雰囲気温度が120℃で30秒間加熱した。次いで、間口3cm×14cm、絞り比1.3の金型(温度40℃)に固定枠ごとスライドさせて真空成形を行い、成形体の側面に引裂きが生じていないかを目視で確認し、深絞り成形性の指標とした。引裂きが起こらず成形可能であった成形体を○、引裂きにより成形体に割れが観測されたものを×とした。
(14)低温成形性
(13)の方法で雰囲気温度をさらに低い温度に設定して真空成型を行い、シートの割れの有無を目視で確認し、低温成形性の指標とした。117℃以下で引裂きが起こらず成形可能であった場合を○、引裂きにより成形体に割れが観測された場合を×とした。
(15)インフレーション成形性評価
各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物のインフレーション成形性の確認は、ナカタニ機械製20mm押出機の先端にリング状の2重円筒を取り付け、2重円筒から出てくる樹脂を手で引きながら、リング中央部からエアーを流し、樹脂を膨らましてフィルムが作成できるがどうかで確認した。フィルムが作成できる場合を○、できない場合を×とした。
[ブロック共重合体B−1の製造]
ビニル芳香族炭化水素含有量が90質量%、共役ジエン含有量が10質量%からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−1)を、次のようにして製造した。すなわち、予め洗浄乾燥させた容積10Lの撹拌装置及びジャケット付のオートクレーブを窒素ガス雰囲気下とし、スチレン30質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウム0.095質量部を添加し50℃にて重合した。次に、スチレン30質量部と1,3−ブタジエン10質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加え60分間反応させた。さらに、スチレン30質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加え30分間反応させた。その後、重合を完全に停止するため、反応器中にエタノールをn−ブチルリチウムに対して等倍モル添加し、安定剤として当該重合体100質量部に対して、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを0.3質量部添加した。その後、溶媒を除去することによって、目的とする線状のビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−1)を回収した。このようにして得られたブロック共重合体B−1は、スチレン含有量90質量%の、S1−(S/B)−S2構造のブロック共重合体であった。なお、上記のブロック構造を表す式中の、S、B、S/Bは、それぞれブロック共重合体におけるビニル芳香族炭化水素ブロック(S)と、共役ジエン重合体ブロック(B)と、ランダム共重合体を含むブロック共重合体(S/B)と、を表すものとして、以下、同様に表記する。また、表1において、スチレン量、ブタジエン量を単に「St量」、「Bd量」と表記する。
[ブロック共重合体B−2の製造] ビニル芳香族炭化水素含有量が82.5質量%、共役ジエン含有量が17.5質量%からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−2)を、次のようにして製造した。すなわち、予め洗浄乾燥させた容積10Lの撹拌装置及びジャケット付のオートクレーブを窒素ガス雰囲気下とし、1,3−ブタジエン10質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.095質量部とn−ブチルリチウムに対して0.3モルのテトラメチルエチレンジアミンを添加し50℃にて重合した。次に、スチレン82.5質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加えて60分間反応させた。その後、1,3−ブタジエン8.8質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加えて15分間反応させた。その後、重合を完全に停止するため、反応器中にエタノールをn−ブチルリチウムに対して等倍モル添加し、安定剤として当該重合体100質量部に対して、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを0.3質量部添加した。次いで、溶媒を除去することによって、目的とする線状のビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−2)を回収した。このようにして得られたブロック共重合体B−2は、スチレン含有量82.5質量%の、B−S−B構造の線状のブロック共重合体であった。
[ブロック共重合体B−3の製造]
ブロック共重合体B−2と同様に、表1に記載したビニル芳香族炭化水素含有量と共役ジエン含有量とからなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−3)を次のようにして製造した。すなわち、ブロック共重合体中におけるビニル結合量が表1に記載した値となるようにn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加量を調整して、B−S−B構造の線状のブロック共重合体B−3を得た。
[ブロック共重合体B−4の製造]
ブロック共重合体B−1と同様に、表1に記載したビニル芳香族炭化水素含有量と共役ジエン含有量からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−4)を次のようにして製造した。すなわち、表1に記載したビニル結合量となる様に、n−ブチルリチウムの添加量を調整して、S3−(S/B)−S4構造のブロック共重合体B−4を得た。
[ブロック共重合体B−5の製造]
ブロック共重合体B−2と同様に、表1に記載したビニル芳香族炭化水素含有量と共役ジエン含有量からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−5)を次のようにして製造した。すなわち、表1に記載したビニル結合量となる様に、n−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加量を調整して、B−S−B−S−B−S−B構造の線状のブロック共重合体B−5を得た。
Figure 0006262577
[実施例1]
[ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の製造]
スチレン83.4質量%と、エチルベンゼン8.5質量%と、表1記載のブロック重合体B−1を7.7質量%と、流動パラフィン0.4質量%と、の混合液100質量部に対して、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを0.015質量部添加して得た重合原料液を、4.6Lの完全混合型反応器に0.78L/Hrで連続的に仕込み、102℃に調整した。反応器出口の固形分濃度は36質量%であった。なお、上記固形分濃度は、以下の方法により算出した。すなわち、まずw1(g)の重合液をアルミカップに取り、減圧下、230℃で15分間、重合液の未反応モノマー等の揮発成分を揮発させた。その後、残った固形分(反応生成物)w2(g)に対して、次式を用いて算出した。
(固形分濃度)=w2/w1×100(%)
完全混合型反応器の重合体溶液を引き続き、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5Lの層流型反応器−1及びそれと直列に配された、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5Lの層流型反応器−2に連続的に仕込んだ。層流型反応器−1の温度を124℃/129℃/134℃に、また層流型反応器−2の温度を147℃/152℃/162℃に調整した。
重合反応器より連続して排出される重合体溶液を、未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する、240℃、1.333kPaのベント圧力の三段ベント付き単軸押出機を連結した脱揮装置に連続的に、順次供給し、樹脂を調製した。最終固形分濃度は78%であった。重合条件を表2に示す。また、得られたスチレン系樹脂組成物のGPCによる分子量測定(オスミウム酸分解前後)、分岐度測定、メルトマスフローレート測定、粒子径測定及び伸張粘度側定を行った。この結果を表4に示す。
得られた組成物のブタジエン換算ゴム量は0.6質量%、酸化分解前後のZ平均分子量の比は0.68、分岐度は0.78、100万以上の分子量成分量は8.1質量%、メルトマスフローレートは1.8g/10分であった。200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度は40.1万Pa・secであった。点粒子は存在しなかった。
[ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の二軸延伸シート]
前記(10)の方法で得られた二軸延伸シートを、厚み均一性測定に供した。この結果を表4に示す。
[実施例2〜7]
ブロック重合体の種類、各添加量、重合条件を表2に記載のとおりに変更したことを除き、実施例1と同様に実施して、実施例2〜7に係るビニル芳香族炭化水素重合体組成を製造した。これらの物性等を表4に示す。
[比較例1]
[スチレン系樹脂の製造]
スチレン82質量%とエチルベンゼン18質量%との混合液100質量部に対して、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを0.015質量部添加して得た重合原料液を、4.6Lの完全混合型反応器に0.78L/Hrで連続的に仕込み、107℃に調整した。反応器出口の固形分濃度は31質量%であった。
完全混合型反応器の重合体溶液を引き続き、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5Lの層流型反応器−1及びそれと直列に配された、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5Lの層流型反応器−2に連続的に仕込んだ。層流型反応器−1の温度を115℃/124℃/129℃に、また層流型反応器−2の温度を145℃/150℃/160℃に調整した。以上のことを除き、実施例1と同様に実施して、比較例1のビニル芳香族炭化水素重合体を製造した。これらの物性等を表4に示す。
[比較例2〜9]
ブロック重合体の種類、各添加量、重合条件を表3のとおりに変更したことを除き、比較例1と同様に実施して、比較例2〜9のビニル芳香族炭化水素重合体組成物を製造した。ただし、比較例4と6については、前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の伸長粘度が低すぎて、二軸延伸シートを作成することができなかった。また、比較例8については、前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の流動性(MFR)が低すぎて、同様に二軸延伸シートを作成することができなかった。これらの物性等を表4に示す。
[比較例10]
表1に記載の分岐状重合体B−1を5質量部、及びPSジャパン製 ポリスチレンG9305(メルトマスフローレート=1.5g/10min)95質量部と流動パラフィン0.6質量部を、東芝機械(株)製二軸押出機(TEM26SS−12−2V)を用いて220℃、150rpmで造粒し、比較例10のビニル芳香族炭化水素重合体組成物を製造した。これらの物性等を表4に示す。なお、比較例10で得られたブロック共重合体の種類について、表4では「B−1ブレンド」と表記する。
Figure 0006262577
Figure 0006262577
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図1からわかるように、実施例で使用したビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、伸張粘度と加工性(流動性:メルトマスフローレート)の値が比較例に対して高い。
表4からわかるように、実施例の二軸延伸シートは、比較例の二軸延伸シートに対して、厚み均一性が高い。
本発明の二軸延伸シートは、延伸時に分子配向がかかり易く、延伸方向に均一に延伸されるため、厚み均一性、延伸加工性、深絞り容器の二次成形性、低温成形性、インフレーション成形性に非常に優れる。

Claims (8)

  1. 線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)を含有し、かつ、下記(a)〜(e)を満たすビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む、二軸延伸シート:
    (a)前記(B)が、前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している;
    (b)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における前記ブロック共重合体の含有量が、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.5質量%以下である;
    (c)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解に供する場合、当該酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)の比(Mz2/Mz1)が、0.30以上0.90以下である;
    (d)200℃及び49Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.5g/10分以上10.0g/10分以下である。
    (e)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物に含有される流動パラフィンが0.01質量%以上2.50質量%未満である。
  2. 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を成形又は2軸延伸することによって得られ、かつ、シート厚みが1μm以上1mm以下である、請求項1に記載の二軸延伸シート。
  3. 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物における前記(B)が、前記(A)中に分散しており、10万倍に拡大した電子顕微鏡写真4μmの面積あたり粒子径50nm以下の点粒子が0〜1000個存在する、請求項1又は2に記載の二軸延伸シート。
  4. 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度が10万Pa・sec以上100万Pa・sec以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
  5. 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の重量平均分子量が、20万以上40万以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
  6. 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の分岐度が0.30以上0.90未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
  7. 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における100万以上の分子量成分が、2.0%以上20%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
  8. 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物が、下記(f)〜(h)を満たす、請求項1〜7のいずれか1項に記載の二軸延伸シート:
    (f)前記ブロック共重合体中の共役ジエン由来の構成成分量が5質量%以上40質量%以下であり、
    (g)前記ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素由来の構成成分量が60質量%以上95質量%以下であり、
    (h)前記ブロック共重合体におけるビニル結合量が7%以上70%以下である。
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