JP6262577B2 - 二軸延伸シート - Google Patents
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Description
さらに、例えば、レタスなどの生鮮葉菜類の包装用フィルム;果物容器、弁当類、トレイ、ドンブリ、カップ、蓋財、絵付成形品などを構成するラミネート用フィルム;封筒、窓貼用、展示パネル用、花包装用、ケーキ包装用、ラベル用フィルム;玩具;装飾品等にも使用される。
この種の用途において、シートおよびフィルムあるいは更に二次加工した成形品は、厚み斑が少なく、強度特性に優れたものが望まれる。スチレン系樹脂シートは、未延伸では強度的に不十分であるが、延伸によって強靱で腰に強いシートにすることができる。
[1]
線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)を含有し、かつ、下記(a)〜(e)を満たすビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む、二軸延伸シート:
(a)前記(B)が、前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している;
(b)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における前記ブロック共重合体の含有量が、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.5質量%以下である;
(c)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解に供する場合、当該酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)の比(Mz2/Mz1)が、0.30以上0.90以下である;
(d)200℃及び49Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.5g/10分以上10.0g/10分以下である。
(e)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物に含有される流動パラフィンが0.01質量%以上2.50質量%未満である。
[2]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を成形又は2軸延伸することによって得られ、かつ、シート厚みが1μm以上1mm以下である、[1]に記載の二軸延伸シート。
[3]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物における前記(B)が、前記(A)中に分散しており、10万倍に拡大した電子顕微鏡写真4μm2の面積あたり粒子径50nm以下の点粒子が0〜1000個存在する、[1]又は[2]に記載の二軸延伸シート。
[4]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度が10万Pa・sec以上100万Pa・sec以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[5]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の重量平均分子量が、20万以上40万以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[6]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の分岐度が0.30以上0.90未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[7]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における100万以上の分子量成分が、2.0%以上20%以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[8]
前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物が、下記(f)〜(h)を満たす、[1]〜[7]のいずれかに記載の二軸延伸シート:
(f)前記ブロック共重合体中の共役ジエン由来の構成成分量が5質量%以上40質量%以下であり、
(g)前記ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素由来の構成成分量が60質量%以上95質量%以下であり、
(h)前記ブロック共重合体におけるビニル結合量が7%以上70%以下である。
本実施形態の二軸延伸シートは、線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)と、を含有し、かつ、下記(a)〜(e)を満たすビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む:
(a)前記(B)が、前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している;
(b)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における前記ブロック共重合体の含有量が、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.5質量%以下である;
(c)四酸化オスミウムを触媒として、前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解に供する場合、当該酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)との比(Mz2/Mz1)が0.30以上0.90以下である;
(d)200℃及び49Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が、0.5g/10分以上10.0g/10分以下である。
(e)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物に含有される流動パラフィンが0.01質量%以上2.50質量%未満である。
上記のように構成されているため、本実施形態の二軸延伸シートは、分散粒子が少なく、延伸加工性と厚み均一性のバランスに優れ、特に低温成形性に優れる。また、分散粒子の大きさと数、延伸加工性、厚み均一性および、低温成形性については、例えば、後述する実施例に記載の方法で評価することができる。
本実施形態における上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物は線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)と、を含有する。さらに、上記(B)成分は、上記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している。
本実施形態におけるブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンから構成され、芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体とも称することができる。上記ブロック共重合体は、少なくとも1種類の共役ジエン系単量体及び少なくとも1種類の芳香族ビニル系単量体とを、例えば、リビングアニオン重合体の存在下で溶液重合させること等により、製造することができる。
(1)c−(A―B)n
(2)c−(B―A)n
(3)c−(B―A―B)n
(4)c−(A―B―A)n
(5)c−(A―B)n―A
(6)c−(B―A)n―B
(7)c−(B―A―A―B)n
(8)c−(A―B―B―A)n
(一般式(1)〜(8)中のいずれにおいても、Bは共役ジエン系重合体、或いは共役ジエンと芳香族ビニル化合物のランダム共重合体を表し、芳香族ビニル化合物の割合が漸増するテーパーブロックを有していてもよい。Aは芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを表す。cはリビングアニオン重合体の残基あるいはカップリング剤の残基を表す。nは1〜10の整数であり、cに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていてもよい。なお、上記の「主体とする」とは、50%超であることを意味する。)
本実施形態で用いるビニル芳香族炭化水素重合体組成物は、例えば、上記ブロック共重合体の存在下、ビニル芳香族炭化水素単量体を重合することにより得ることができる。即ち、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分の水素を引き抜き、あるいはビニル基にビニル芳香族炭化水素鎖が結合することにより分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が、線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)とともに得られ、分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)が高分子量成分を成す。
本実施形態の二軸延伸シートは、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物から製造することができる。本実施形態において、二軸延伸シートは、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を成形又は2軸延伸して得られ、かつ、シート厚みが1μm以上1mm以下であることが好ましい。より詳細には、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を従来公知の任意の成型加工方法、以下に限定されないが、例えば、インフレーション成形、押出成形でフィルム、シート等に成形加工することにより、本実施形態の二軸延伸シートを製造することができる。本実施形態において、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の押出シートを製造する際の条件は特に限定されないが、当該押出シートを二軸延伸成形する際の温度条件は、上記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物のビカット軟化温度+25℃として加熱、延伸することが好ましい。なお、ビカット軟化温度+25℃が110℃を超える場合は、110℃を加熱温度の上限として、加熱、延伸することが好ましい。
(1)ブロック共重合体中におけるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの各含有量
1H−NMRを測定し、ビニル芳香族炭化水素由来の芳香環のピーク面積と共役ジエン由来の1,4結合部のピーク面積とを用いて計算によりブロック共重合体中におけるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの各含有量をそれぞれ求めた。なお、測定装置としては日本電子(株)社製のJEOL−ECA500を使用した。
上記(1)と同様の方法で求めた。
測定用の試料0.1gを10mLの二硫化炭素で完全に溶解後、0.5mmセルを使用して赤外分光光度計〔島津製作所製、「FTIR−8400S」)を使用してスペクトルを測定した。次いで、得られたスベクトルをHampton法〔R.,R.:AnaLyt.Chem.,21(1949),p.923〕にてビニル結合量を求めた、
ISO1133に準拠し、各例のペレットを200℃の温度条件にてメルトマスフローレート測定に供した。メルトマスフローレートは流動性の指標とした。なお、後述の表4では単に「MFR」と表記する。
ツインキャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度40〜1000sec−1に対して、せん断粘度、伸長粘度のデータを採取し、せん断粘度と伸長粘度のグラフを作成して、せん断粘度2500Pa・secにおける、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の伸張粘度を算出した。その際の詳細な条件は次のとおりとした。
使用装置:ROSAND PRECISION社製 ツインキャピラリーレオメーター(型式RH7−2)、
ロングダイス:1mmφ×16mmL、
ショートダイス:1mmφ×0.25mmL、
温度:200℃。
予熱時間:ピストンを下降後、ロングダイス側圧力5MPaで6分。その後ロングダイス側圧力3MPaで3分予熱。
四酸化オスミウム溶液とターシャリーブチルハイドロパーオキサイドの混合分解剤を用いて、クロロホルム溶液中のポリマーを90℃に加熱して酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)に従い、酸化分解したポリマーをメタノールで沈殿回収し、酸化分解前後のZ平均分子量の比を算出した。ビニル芳香族炭化水素重合体組成物試料約0.07gをクロロホルム10mLに溶解し、tert−ブチルアルコール溶液とtert−ブチルハイドロパーオキサイドのtert−ブチルアルコール溶液の混合分解剤を20mL加え、90℃でバス中にて12分間還流下、分解した。これを冷却した後、当該溶液にメタノール200mLを撹拌しながら加えてポリスチレン成分を沈殿させた。これをガラスフィルターにて分離し、分離されたポリスチレン成分をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定用の試料とした。このGPC測定用試料について、後述する(7)の分子量測定法に基づき、次のとおりに酸化分解前後のZ平均分子量を測定した。
酸化分解前後のZ平均分子量の比=(酸化分解後のZ平均分子量)/(酸化分解前のZ平均分子量)
以下の条件で、各平均分子量(Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量、Mz:Z平均分子量)をそれぞれ測定した。すなわち、まず、ビニル芳香族炭化水素重合体組成物約1gに、メチルエチルケトン/メタノール混合溶媒(混合質量比90/10)20mLを加え、振とう機で60分かけ溶解させた。次に、R20A2型ロ−ターを備えた日立製作所製himacCR20型遠心分離機を用い、0℃、20,000rpmで60分遠心分離後、上澄み液をデカンデーションにより可溶分を採取した。その後、メタノールを添加し、残渣を回収した。次いで、室温で真空乾燥し、溶媒を除去した。次に、回収サンプルを以下の条件で測定した。なお、100万以上の分子量成分の割合は、上記の測定から得られた横軸ポリスチレン換算の相対分子量値と縦軸紫外吸光光度のピークから、積分により、相対分子量100万以上の成分の含有率を算出することにより得られる値を採用した。
使用装置:東ソー製HLC8020
分別カラム:東ソー製TSK−gel−GMHXL
測定溶媒:テトラヒドロフラン
試料濃度:ビニル芳香族炭化水素重合体組成物5mgを10mLの溶媒に溶解
測定温度:40℃
流速:0.35mL/分
まず、以下の条件下で重量平均分子量=100万における固有粘度を測定した。
使用装置:スペクトリス(株)製 絶対分子量測定 マルチ検出器GPC/SECシステム Viscotek TDA305
光散乱検出器波長:670 nm
カラム:東ソー、TSKgel G6000、5000、4000HXL
測定溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速:1.0 mL/分
分岐度=log(組成物の固有粘度)/log(標準PSの固有粘度)
(標準PS:TOSOH、TSKstandard、POLYSTYRENE、F−80(TS−201)、分子量=7.06×105)
超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真をとり、写真中の領域4μm2中に観測される分散粒子のうち、次のように特定される分散粒子の粒子径を測定することにより、粒子径を求めた。なお、測定装置としては、(株)日立ハイテクノロジーズ社製の透過電子顕微鏡HT7700を使用した。なお、分散粒子の粒子数は、次のとおりに測定した。すなわち、各例の組成物を80nmの超薄切片に切り出したものをオスミウム酸で染色後、透過型電子顕微鏡で撮影し、倍率100000倍の写真にした。この写真から、粒子径が50nm以下の分散粒子について、4μm2の面積について粒子数を求めた。ここで、粒子径は写真中の粒子面積から円相当径とした場合の粒子径とした。なお、点粒子が凝集した形態のものは、凝集した形態中の点粒子の個数をそれぞれ数えることとした。本測定は、写真を1000dpiの解像度でスキャナーに取り込み、粒子解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)を用いて測定した。
まず、各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の厚さ0.4mmの押出シートをナカタニ機械製20mm押出機を用いて作成した。その後、東洋製機製二軸延伸機EX6−S1を用いて、押出方向を縦として、ビカット軟化点温度+25℃、3分間予熱後、400%/分で、縦、横方向に等倍に延伸し、厚み50μmの二軸延伸シートを得た。この二軸延伸シートの中心から一辺10cmの正方形を切り出し、2cm間隔で厚みを測定し、平均の厚みを算出した。この平均値の厚みを±20%超える測定点が、全測定点の20%以上の場合を×、10〜20%の場合を△、10%未満の場合を○とした。
まず、各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の厚さ0.3mmのプレスシートを創研製圧縮成型機を用いて、200℃で作成した。その後、JIS−K7113−2の打ち抜きダンベルを作成した。次いで、東洋製機製二軸延伸機EX6−S1を用いて、115℃で20分間予熱後、100mm/分で延伸し、ダンベルの破断伸度を測定し、最大延伸倍率の指標とした。
まず、各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の厚さ1.3mmのプレスシートを創研製圧縮成型機を用いて、200℃で作成した。その後、プレスシートを横120mm、縦80mmの長方形状に切り出し、岩本製作所製の槽内温風循環式二軸延伸機を用いて、115℃で20分間予熱後、横に17mm/秒で5倍、縦に1mm/秒で1.3倍に延伸成形を行い、シートの破断の有無を目視で確認し、延伸成形性の指標とした。シートの破断がなく、延伸可能であったものを○、シートの破断が起こり延伸不可であったものを×、シートの破断がある場合とない場合が混在したものを△とした。
(13)深絞り成形性評価
まず、各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物の厚さ0.7mmのプレスシートを創研製圧縮成型機を用いて、200℃で作成した。その後、創研製のシート容器成型機を用いて、このシート成型機の固定枠でプレスシートを挟み、ヒータの平均温度を220℃、雰囲気温度が120℃で30秒間加熱した。次いで、間口3cm×14cm、絞り比1.3の金型(温度40℃)に固定枠ごとスライドさせて真空成形を行い、成形体の側面に引裂きが生じていないかを目視で確認し、深絞り成形性の指標とした。引裂きが起こらず成形可能であった成形体を○、引裂きにより成形体に割れが観測されたものを×とした。
(14)低温成形性
(13)の方法で雰囲気温度をさらに低い温度に設定して真空成型を行い、シートの割れの有無を目視で確認し、低温成形性の指標とした。117℃以下で引裂きが起こらず成形可能であった場合を○、引裂きにより成形体に割れが観測された場合を×とした。
(15)インフレーション成形性評価
各例のビニル芳香族炭化水素重合体組成物のインフレーション成形性の確認は、ナカタニ機械製20mm押出機の先端にリング状の2重円筒を取り付け、2重円筒から出てくる樹脂を手で引きながら、リング中央部からエアーを流し、樹脂を膨らましてフィルムが作成できるがどうかで確認した。フィルムが作成できる場合を○、できない場合を×とした。
ビニル芳香族炭化水素含有量が90質量%、共役ジエン含有量が10質量%からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−1)を、次のようにして製造した。すなわち、予め洗浄乾燥させた容積10Lの撹拌装置及びジャケット付のオートクレーブを窒素ガス雰囲気下とし、スチレン30質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウム0.095質量部を添加し50℃にて重合した。次に、スチレン30質量部と1,3−ブタジエン10質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加え60分間反応させた。さらに、スチレン30質量部を25質量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を加え30分間反応させた。その後、重合を完全に停止するため、反応器中にエタノールをn−ブチルリチウムに対して等倍モル添加し、安定剤として当該重合体100質量部に対して、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを0.3質量部添加した。その後、溶媒を除去することによって、目的とする線状のビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−1)を回収した。このようにして得られたブロック共重合体B−1は、スチレン含有量90質量%の、S1−(S/B)−S2構造のブロック共重合体であった。なお、上記のブロック構造を表す式中の、S、B、S/Bは、それぞれブロック共重合体におけるビニル芳香族炭化水素ブロック(S)と、共役ジエン重合体ブロック(B)と、ランダム共重合体を含むブロック共重合体(S/B)と、を表すものとして、以下、同様に表記する。また、表1において、スチレン量、ブタジエン量を単に「St量」、「Bd量」と表記する。
ブロック共重合体B−2と同様に、表1に記載したビニル芳香族炭化水素含有量と共役ジエン含有量とからなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−3)を次のようにして製造した。すなわち、ブロック共重合体中におけるビニル結合量が表1に記載した値となるようにn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加量を調整して、B−S−B構造の線状のブロック共重合体B−3を得た。
ブロック共重合体B−1と同様に、表1に記載したビニル芳香族炭化水素含有量と共役ジエン含有量からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−4)を次のようにして製造した。すなわち、表1に記載したビニル結合量となる様に、n−ブチルリチウムの添加量を調整して、S3−(S/B)−S4構造のブロック共重合体B−4を得た。
ブロック共重合体B−2と同様に、表1に記載したビニル芳香族炭化水素含有量と共役ジエン含有量からなるビニル芳香族炭化水素・共役ジエン共重合体(ブロック共重合体B−5)を次のようにして製造した。すなわち、表1に記載したビニル結合量となる様に、n−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加量を調整して、B−S−B−S−B−S−B構造の線状のブロック共重合体B−5を得た。
[ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の製造]
スチレン83.4質量%と、エチルベンゼン8.5質量%と、表1記載のブロック重合体B−1を7.7質量%と、流動パラフィン0.4質量%と、の混合液100質量部に対して、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを0.015質量部添加して得た重合原料液を、4.6Lの完全混合型反応器に0.78L/Hrで連続的に仕込み、102℃に調整した。反応器出口の固形分濃度は36質量%であった。なお、上記固形分濃度は、以下の方法により算出した。すなわち、まずw1(g)の重合液をアルミカップに取り、減圧下、230℃で15分間、重合液の未反応モノマー等の揮発成分を揮発させた。その後、残った固形分(反応生成物)w2(g)に対して、次式を用いて算出した。
(固形分濃度)=w2/w1×100(%)
前記(10)の方法で得られた二軸延伸シートを、厚み均一性測定に供した。この結果を表4に示す。
ブロック重合体の種類、各添加量、重合条件を表2に記載のとおりに変更したことを除き、実施例1と同様に実施して、実施例2〜7に係るビニル芳香族炭化水素重合体組成を製造した。これらの物性等を表4に示す。
[スチレン系樹脂の製造]
スチレン82質量%とエチルベンゼン18質量%との混合液100質量部に対して、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを0.015質量部添加して得た重合原料液を、4.6Lの完全混合型反応器に0.78L/Hrで連続的に仕込み、107℃に調整した。反応器出口の固形分濃度は31質量%であった。
ブロック重合体の種類、各添加量、重合条件を表3のとおりに変更したことを除き、比較例1と同様に実施して、比較例2〜9のビニル芳香族炭化水素重合体組成物を製造した。ただし、比較例4と6については、前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の伸長粘度が低すぎて、二軸延伸シートを作成することができなかった。また、比較例8については、前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の流動性(MFR)が低すぎて、同様に二軸延伸シートを作成することができなかった。これらの物性等を表4に示す。
表1に記載の分岐状重合体B−1を5質量部、及びPSジャパン製 ポリスチレンG9305(メルトマスフローレート=1.5g/10min)95質量部と流動パラフィン0.6質量部を、東芝機械(株)製二軸押出機(TEM26SS−12−2V)を用いて220℃、150rpmで造粒し、比較例10のビニル芳香族炭化水素重合体組成物を製造した。これらの物性等を表4に示す。なお、比較例10で得られたブロック共重合体の種類について、表4では「B−1ブレンド」と表記する。
Claims (8)
- 線状ビニル芳香族炭化水素重合体(A)と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分にビニル芳香族炭化水素鎖が結合した分岐状ビニル芳香族炭化水素重合体(B)を含有し、かつ、下記(a)〜(e)を満たすビニル芳香族炭化水素重合体組成物を含む、二軸延伸シート:
(a)前記(B)が、前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位を起点として分岐している;
(b)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における前記ブロック共重合体の含有量が、共役ジエン換算量で0.1質量%以上2.5質量%以下である;
(c)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解に供する場合、当該酸化分解前のZ平均分子量(Mz1)と当該酸化分解後のZ平均分子量(Mz2)の比(Mz2/Mz1)が、0.30以上0.90以下である;
(d)200℃及び49Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)が0.5g/10分以上10.0g/10分以下である。
(e)前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物に含有される流動パラフィンが0.01質量%以上2.50質量%未満である。 - 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物を成形又は2軸延伸することによって得られ、かつ、シート厚みが1μm以上1mm以下である、請求項1に記載の二軸延伸シート。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物における前記(B)が、前記(A)中に分散しており、10万倍に拡大した電子顕微鏡写真4μm2の面積あたり粒子径50nm以下の点粒子が0〜1000個存在する、請求項1又は2に記載の二軸延伸シート。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の200℃、2500Pa・secで測定した伸張粘度が10万Pa・sec以上100万Pa・sec以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の重量平均分子量が、20万以上40万以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物の分岐度が0.30以上0.90未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物中における100万以上の分子量成分が、2.0%以上20%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
- 前記ビニル芳香族炭化水素重合体組成物が、下記(f)〜(h)を満たす、請求項1〜7のいずれか1項に記載の二軸延伸シート:
(f)前記ブロック共重合体中の共役ジエン由来の構成成分量が5質量%以上40質量%以下であり、
(g)前記ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素由来の構成成分量が60質量%以上95質量%以下であり、
(h)前記ブロック共重合体におけるビニル結合量が7%以上70%以下である。
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