JP6865076B2 - スチレン系共重合体およびその製造方法 - Google Patents
スチレン系共重合体およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6865076B2 JP6865076B2 JP2017051631A JP2017051631A JP6865076B2 JP 6865076 B2 JP6865076 B2 JP 6865076B2 JP 2017051631 A JP2017051631 A JP 2017051631A JP 2017051631 A JP2017051631 A JP 2017051631A JP 6865076 B2 JP6865076 B2 JP 6865076B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- styrene
- based copolymer
- compound
- molecular weight
- acrylate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
Description
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、本発明の目的は、成形加工性に優れ、かつゲル状物質の少ないスチレン系共重合体及びその製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は下記に示すとおりである。
〔1〕
数平均分子量(Mn)が850〜100000である共役ジビニル化合物と、少なくともスチレン系化合物を含む1種類以上のモノビニル化合物とのスチレン系共重合体であって、
上記共役ジビニル化合物の含有量が、上記モノビニル化合物1モル当たり2.0×10−6〜4.0×10−4モルであり、
上記スチレン系共重合体は、重量平均分子量(Mw)が20万〜50万であり、
分子量200万以上の割合が0.3%〜6.0%である、スチレン系共重合体。
〔2〕
上記共役ジビニル化合物の数平均分子量(Mn)が1000〜30000である、項目1に記載のスチレン系共重合体。
〔3〕
上記共役ジビニル化合物が鎖状である、項目1または項目2に記載のスチレン系共重合体。
〔4〕
上記共役ジビニル化合物の共役ビニル基が末端に位置する、項目1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系共重合体。
〔5〕
上記スチレン系共重合体のMwに対するZ平均分子量(Mz)の比が1.8〜5.0である、項目1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系共重合体。
〔6〕
上記スチレン系共重合体の分子量100万以上の割合が4.0%〜20.0%である、項目1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系共重合体。
〔7〕
立上りはじめひずみが0.2〜1.3であり、最大立上り比が1.2〜4.0である、項目1〜6に記載のスチレン系共重合体。
〔8〕
上記共役ジビニル化合物が、(水添)ポリブタジエンジ(メタ)アクリレートである、項目1〜7のいずれか一項に記載のスチレン系共重合体。
〔9〕
連続溶液重合又は連続塊状重合を用いて、項目1〜8のいずれか一項に記載のスチレン系共重合体を重合することを含む、スチレン系共重合体の製造方法。
本実施形態のスチレン系共重合体は、数平均分子量(Mn)が850〜100000である共役ジビニル化合物と、少なくともスチレン系化合物を含む1種類以上のモノビニル化合物とのスチレン系共重合体であって、上記共役ジビニル化合物の含有量が、上記モノビニル化合物1モル当たり2.0×10−6〜4.0×10−4モルであり、上記スチレン系共重合体は、重量平均分子量(Mw)が20万〜50万であり、分子量200万以上の割合が0.3%〜6.0%である。
本実施形態のスチレン系共重合体は、少なくともスチレン系化合物を含む1種類以上のモノビニル化合物が(スチレン系共重合体を形成する単量体として)含まれており、モノビニル化合物は、スチレン系化合物(モノマー)のみからなっていても、スチレン系化合物とともにスチレン系化合物と共重合可能な他のモノビニル基を有する化合物からなっていてもよい。モノビニル化合物としては、スチレン系化合物の他、スチレン系化合物と共重合可能であれば特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリロニトリルなどのビニル系化合物、並びにジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、無水マレイン酸、マレイミド、及び核置換マレイミドなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレンである。また、スチレン系化合物の含有量としては、モノビニル化合物の含有量のうち50モル%以上が好ましく、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
本実施形態における共役ジビニル化合物は、数平均分子量(Mn)が850〜100000であり、分子内に共役ビニル基を2つ有する化合物である。また、本実施形態における共役ジビニル化合物は、網目状ではなく、鎖状であることが好ましく、主鎖には側鎖を有していても有しなくてもよい。鎖状であることにより、分子鎖をよりリニアな形状にすることができ、それにより、絡み合い効果を向上させやすい傾向があるためである。なお側鎖は、例えば炭素数6以下が好ましく、炭素数4以下がより好ましい。
さらに、共役ジビニル化合物中の共役ビニル基は、分子内の任意に位置させることができるが、2つの共役ビニル基は、分子中の異なる末端に位置していることが好ましい。また、共役ジビニル化合物が鎖状の場合には、当該2つの共役ビニル基は、主鎖の異なる末端に位置していることがより好ましい(すなわち、主鎖の両末端が共役ジビニル基になっていることがより好ましい)。共役ビニル基が末端に位置していることにより重合反応性を高めることができる。
ここで、「末端」とは、分子鎖の最も端となる位置とすることができるが、共役ビニル基は末端付近に存在すれば、モノビニル化合物と効果的な反応性を有しゲル化も抑制できるので、本実施形態において「末端」とは、分子鎖中で、分子鎖の最も端となる位置(原子)を含む、ある程度の範囲となる部分(端部分)とすることもできる(換言すれば、共役ビニル基を末端付近に位置させることができる)。当該ある程度の範囲となる部分とは、限定されるものではないが、共役ジビニル化合物の伸切り鎖長の20%以下であることが好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下がさらにより好ましい。
本実施形態の共役ジビニル化合物の含有量は、モノビニル化合物1モル当たり2.0×10−6〜4.0×10−4モル、好ましくは5.0×10−6〜3.5×10−4モル、より好ましくは1.5×10−5〜3.0×10−4モル、さらにより好ましくは2.0×10−5〜2.5×10−4モルである。含有量が2.0×10−6モル未満の場合は、高分子同士の十分な絡み合いが生じにくく、ひずみ硬化が発現しない、あるいはひずみ硬化度合いが小さいために、成形品の肉厚が不均一であったり、成形時に成形品が破けることが有り、成形加工性が劣る。一方、含有量が4.0×10−4モルを超える場合は、ゲル状物質の発生が多く、成形品の外観などが不良となる。
本実施形態のスチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は20万〜50万であり、好ましくは22万〜48万、より好ましくは24万〜45万である。スチレン系共重合体のMwを20万〜50万にすることにより、スチレン系共重合体の強度を確保しつつ、ゲル状物質の発生を抑えてより成形加工性と流動性を向上させることができる。また、本実施形態のスチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)に対するZ平均分子量(Mz)の比は1.8〜5.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜4.8、さらに好ましくは2.1〜4.7である。スチレン系共重合体のMwに対するMzの比を1.8〜5.0の範囲にすることにより、スチレン系共重合体の強度を確保しつつ、ゲル状物質の発生を抑えてより成形加工性と流動性を向上させることができる。
なお、本実施形態のスチレン系共重合体において、上記の重量平均分子量(Mw)、および重量平均分子量(Mw)に対するZ平均分子量(Mz)の比は、スチレン系単量体をラジカル重合する際に、共役ジビニル化合物の種類及び添加量、反応温度、滞留時間、重合開始剤の種類及び添加量、溶媒の種類及び量、連鎖移動剤の種類及び添加量等によって制御することができる。具体的には、上記の重量平均分子量(Mw)等の制御は、限定されるものではないが、例えば製造方法において、重合する際の重合開始剤の添加量を増加させ、重合の反応温度を低くすること、または、重合溶媒の使用量を少なくする、または、重合する際の滞留時間を長くする、等により制御することができ、このようにすることで、得られるスチレン系共重合体において、分子鎖を所望の形状とさせつつ、高分子量成分側も適切に増加させることができる。
なお、スチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)、後述の分子量100万以上の割合、200万以上の割合は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定される微分分子量分布の重量割合である。
本実施形態のスチレン系共重合体の分子量200万以上の割合は0.3〜6.0%であり、0.8〜5.0%であることが好ましく、1.4〜4.8%であることがより好ましい。分子量200万以上の割合を0.3〜6.0%の範囲にすることにより、ゲル状物質の含有量を非常に少なくすることができる。また、分子量100万以上の割合は4.0〜20.0%であることが好ましく、5.0〜18.0%であることがより好ましく、5.0〜15.0%がさらに好ましい。分子量100万以上の割合を4.0〜20.0%の範囲にすることにより、成形加工性と流動性に優れたスチレン系共重合体を得ることができる。
なお、本実施形態のスチレン系共重合体の分子量の割合は、スチレン系単量体をラジカル重合する際に、共役ジビニル化合物の種類及び添加量、反応温度、滞留時間、重合開始剤の種類及び添加量、溶媒の種類及び量、連鎖移動剤の種類及び添加量等によって制御することができる。具体的には、上記の分子量200万以上、分子量100万以上の割合等の制御は、限定されるものではないが、例えば製造方法において、重合する際の重合開始剤の添加量を増加させ、重合の反応温度を低くすること、または、重合溶媒の使用量を少なくする、または、重合する際の滞留時間を長くする、等により制御することができ、このようにすることで、得られるスチレン系共重合体において、低分子量成分側を低減させて、分子量200万以上、分子量100万以上の割合を適切にしつつ高分子量成分側を増加させることができる。
本実施形態のスチレン系共重合体のメルトマスフローレート(MFR)は0.5〜5.0が好ましい。より好ましくは0.6〜4.0、さらにより好ましくは0.7〜3.5、とりわけ好ましくは0.8〜3.0である。メルトマスフローレートを0.5〜5.0の範囲にすることにより、より成形加工性と流動性のバランスに優れたスチレン系共重合体が得られる。
本実施形態のスチレン系共重合体の立上りはじめひずみは、好ましくは0.2〜1.3であり、より好ましくは0.3〜1.1、さらにより好ましくは0.4〜1.0である。本願明細書において「立上りはじめひずみ」とは、ひずみ硬化の発現するひずみであり、成形加工性の指標となる。立上りはじめひずみが小さいほど、言い換えれば立ち上がりが早いほど低延伸時からひずみ硬化がおこり、成形加工性に優れるため、成形品の肉厚がより均一になることがあり、また成形品を薄肉化できることがある。
本実施形態のスチレン系共重合体には、必要に応じてゴム質を含有する成分としてHI−PS樹脂、MBS樹脂等のゴム強化芳香族ビニル系樹脂やSBS等の芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーが1%〜50%程度含有されていてもよい。また、未反応モノマーの回収工程における高分子の熱分解を抑制するために、例えば2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−フェニルペンチル)エチル]−4,6−ジ−t−フェニルペンチルアクリレートのような加工安定剤が含まれていてもよい。また、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸及びその塩やエチレンビスステアリルアミド等の滑剤、流動パラフィン等の可塑剤、酸化防止剤が含まれていてもよい。その他、スチレン系樹脂の分野で慣用されている添加剤、例えば核剤、難燃剤、着色剤等と本実施形態の目的を損なわない範囲で組み合わせてスチレン系共重合体に添加してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク等の核剤、ヘキサブロモシクロドデカン等の難燃剤、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤等が挙げられる。またスチレン系樹脂をペレットとし、当該ペレットの外部潤滑剤として、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等をペレットにまぶして使用してもよい。
〈重合工程〉
本実施形態のスチレン系共重合体の重合方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法等、公知のスチレン重合方法が挙げられる。これらの重合法は、バッチ重合法であっても連続重合法であってもよく、生産性の点から連続重合法であることが好ましい。連続塊状重合法としては、例えば、モノビニル化合物、共役ジビニル化合物、必要に応じて溶剤、重合触媒、及び連鎖移動剤等を添加及び混合して、単量体類を含む原料溶液を調製する。直列及び/又は並列に配列された1個以上の反応器と、未反応単量体等の揮発性成分を除去する脱揮工程のための脱揮装置とを備えた設備に、上記原料溶液を連続的に送入し、段階的に重合を進行させる方法が挙げられる。
脱揮装置としては、例えば、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などの通常の脱揮装置を用いることができ、一般的には加熱器付きの真空脱揮槽や脱揮押出機などが用いられる。脱揮装置の配列としては、例えば、加熱器付きの真空脱揮槽を1段のみ使用したもの、加熱器付きの真空脱揮槽を直列に2段接続したもの、及び加熱器付きの真空脱揮槽と脱揮押出機とを直列に接続したもの等が挙げられる。揮発成分を極力低減するためには、加熱器付きの真空脱揮槽を直列に2段接続したもの、又は加熱器付きの真空脱揮槽と脱揮押出機とを直列に接続したものが好ましい。
測定及び評価方法は以下のとおりである。
共役ジビニル化合物の数平均分子量(Mn)、スチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)、分子量100万以上の割合、分子量200万以上の割合は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。以下の条件で測定した。
装置:東ソー製HLC―8220
分別カラム:東ソー製TSK gel Super HZM−H(内径4.6mm)を2本直列に接続
ガードカラム:東ソー製TSK guard column Super HZ−H
測定溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
試料溶解:測定試料5mgを10mLの溶媒に溶解し、0.45μmのフィルターでろ過をおこなった。
注入量:10μl
測定温度:40℃
流速:0.35mL/分
検出器:紫外吸光検出器(UV−8020、波長254nm)
検量線の作成には東ソー製のTSK標準ポリスチレン11種類(F−850、F−450、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000)を用いた。1次直線の近似式を用いて検量線を作成した。
スチレン系共重合体のメルトマスフローレートは、ISO1133に準拠し、200℃、49Nの荷重条件にて測定した。
30mmφシート押出機(創研株式会社製)を用いてスチレン系共重合体を押し出し、厚さ0.5mmのシートを作製した。得られたシートから縦100mm×横100mmの大きさに試験片を20枚切出し、短径と長径の平均が2mm以上のゲル状物質を目視で測定した。判定はゲル状物質が含まれていた試験片の数が0〜2個を「◎」、3〜10個を「○」、11個以上の場合を「×」とした。
スチレン系共重合体の立上りはじめひずみ、最大立上りひずみ、及び最大立上り比の測定は、以下の粘弾性測定に基づいて行った。
装置名:粘弾性測定装置 ARES−G2(TA Instruments社製)
測定システム:ARES−EVFオプション
試験片寸法:長さ20mm、厚さ0.7mm、幅10mm
伸長ひずみ速度:0.01/秒
温度:150℃
測定雰囲気:窒素気流中
予熱時間:2分
予備伸長ひずみ速度:0.03/秒、
予備伸長長さ:0.295mm
予備伸長後緩和時間:2分
粘弾性測定は、試験片をローラーに取り付け、温度が測定温度で安定した後、上記の予熱時間、静置し、予熱をおこなった。予熱終了後、上記の条件で予備伸長をおこなった。予備伸長後、2分間静置し、予備伸長で生じた応力を緩和させ、測定した。
また、立上りはじめひずみを以下の方法で算出した。上記の粘弾性測定で得られた結果に基づき、横軸にヘンキーひずみを、縦軸に伸長粘度をプロットした両対数グラフを作成し、ヘンキーひずみが0.2〜0.5の範囲を線形領域として累乗近似の線形領域直線を作成した(例えば、図1の破線)。ひずみ硬化が起こると、この線形領域を外挿した近似直線の伸長粘度よりも、実際の伸長粘度が高くなる。同じヘンキーひずみにおける、非線形領域の伸長粘度と線形領域を外挿した近似直線の伸長粘度の差が非線形領域の伸長粘度の3%となる時のヘンキーひずみを立上りはじめひずみとした。最大立上り比は、(最大立上りひずみにおける非線形領域の伸長粘度/最大立上りひずみにおける線形領域を外挿した近似直線の伸長粘度)で算出した。
30mmφシート押出機(創研株式会社製)を用いてスチレン系共重合体を押し出し、厚さ0.5mmのシートを作成した。得られたシートから縦250mm×横250のmmの大きさに切出し、創研製のシート容器成型機を用いて、このシート成型機の固定枠でシートを挟み、ヒータの平均温度を220℃、雰囲気温度を110℃に設定し、20秒間加熱した。次いで、径10cm深さ10cmの丼容器の金型(温度40℃)に固定枠ごとスライドさせて真空成形を行い、成形体を20個ずつ成形した。この成形体の側面に引裂きが生じていないかを目視で確認し、引裂きが起こらず成形可能であった成形体の数を深絞り成形性の指標とした。
共役ジビニル化合物1、5及び6は、下記の方法に基づいて製造した。
撹拌機、温度計および還流冷却管を取り付けた容量5Lの反応容器内に、ポリブタジエン両末端アルコール(Mn:1900)2742g、アクリル酸メチル379g、n−ヘキサン380g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.8194g、及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.5533gを仕込んだ。得られた混合物を塩化カルシウム管内に通しながら、その混合物に空気を吹き込み、80〜85℃で還流脱水を行った。この混合物に含まれている水分をカールフィッシャー法により測定し、その含水量が200ppm以下であることを確認した。その後、エステル交換触媒として、テトラn−ブチルチタネート1.3685gを上記混合物に添加し、生成したメタノールをその共沸溶媒であるn−ヘキサンの還流下で反応系外に留去しながら、攪拌下で80〜85℃の反応温度で10時間反応させた。
ポリブタジエン両末端アルコールの分子量をMn:25000に変更した以外は同様の条件にて製造した共役ジビニル化合物5は、ポリブタジエン両末端ジアクリレートの転化率が99.5%であった。また、GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は26000であった。
ポリブタジエン両末端アルコールの分子量をMn:57000に変更した以外は同様の条件にて製造した共役ジビニル化合物6は、ポリブタジエン両末端ジアクリレートの転化率が99.2%であった。また、GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は58000であった。
スチレン80質量部、エチルベンゼン20質量部、共役ジビニル化合物1(ポリブタジエン末端アクリレート Mn:1900)を0.035質量部(スチレン1モルに対して2.4×10−5モル)、重合開始剤1として2,2−ビス(4,4‐ジ‐ターシャリー‐ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン[日油株式会社製:パーテトラA]を0.030質量部添加して原料溶液を調整した。調製した原料溶液を、105℃の温度に保持した内容積5.4Lの完全混合型第1反応器に、1.00L/hrで連続的に供給した。ついで、第1反応器からの重合溶液を、内容積3Lのプラグフロー型第2反応器に供給した。第2反応器では、原料溶液が通過する順番に、3ゾーンの温度を119、133、143℃の温度に保持した。第2ゾーンにおいて、重合開始剤2として1,1−ジ−(ターシャリー−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン[日油株式会社製:パーヘキサC]を0.03質量部添加した。ついで、第2反応器からの重合溶液を240℃の温度に加熱された真空脱気槽に供給し、未反応モノマーや溶媒などの揮発性成分を取り除き、72時間の連続運転後に、評価用のスチレン系共重合体を得た。
スチレン系共重合体の製造条件と分析結果を表1に示す。また共役ジビニル化合物1は製造例に記載した方法にて合成した。数平均分子量(Mn)は、GPCにて測定したポリスチレン換算値である。スチレン(モノビニル化合物)1モルに対する共役ジビニル化合物の含有モル数は、1H−NMR及び13C−NMRを使用して測定した値である。なお、測定装置としては日本電子(株)社製のJEOL−ECA500を使用した。溶媒としてクロロホルム−d1を使用し、テトラメチルシランの共鳴線を内部標準として使用した。
実施例2〜12、14及び比較例1〜6、13は、表1及び2に示すように条件を変更したこと以外は実施例1と同様にして行い、スチレン共重合体のMw、Mz/Mw、分子量100万以上の割合、分子量200万以上の割合、立上りはじめひずみ、及び最大立上がり比を表1及び2に示すように制御した。
共役ジビニル化合物2:ポリブタジエンジアクリレート [巴工業社製:CN307] Mn:3800
共役ジビニル化合物3:ポリブタジエン末端アクリレート [大阪有機化学工業社製:BAC‐45] Mn:4800
共役ジビニル化合物4:ウレタンアクリレートオリゴマー [巴工業社製:CN9014NS] Mn:8000
共役ジビニル化合物7:芳香族ウレタンアクリレート [巴工業社製:CN9782] Mn:5200
共役ジビニル化合物8:(2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルビフェニル−4,4’−ジオール・2,6−ジメチルフェノール重縮合物)とクロロメチルスチレンとの反応生成物[三菱ガス化学株式会社製:OPE−2ST]Mn:1200
共役ジビニル化合物9:1,3−ブチレンジオールジメタクリレート [和光純薬工業株式会社製] 分子量:226
共役ジビニル化合物10:NKエステル A−GLY−20E [新中村化学工業株式会社製] 分子量:1295、共役ジビニル化合物10の1分子中の平均の共役ビニルの数は3である。
共役ジビニル化合物11:ジビニルベンゼン [和光純薬工業社製] 分子量:130
共役ジビニル化合物12:ポリエチレングリコールジメタクリレート [シグマアルドリッチ社製] 分子量:750
重合開始剤2:1,1−ジ−(ターシャリー−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン [日油株式会社製:パーヘキサC]
熱劣化防止剤1:2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−フェニルペンチル)エチル]−4,6−ジ−t−フェニルペンチルアクリレート[住友化学株式会社製:スミライザーGS]
熱劣化防止剤2:オクタデシルー3−(3,5−ジーターシャリーブチルー4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート[チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製:IRGANOX1076]
Claims (7)
- 数平均分子量(Mn)が850〜100000であり、2つの共役ビニル基が末端にそれぞれ位置している、鎖状の共役ジビニル化合物と、少なくともスチレン系化合物を含む1種類以上のモノビニル化合物とのスチレン系共重合体であって、前記スチレン系化合物の含有量は前記モノビニル化合物の合計量を基準として70モル%以上であり、
前記スチレン系化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン及びブロモスチレンからなる群から選択される1種以上であり、
前記共役ジビニル化合物の含有量が、前記モノビニル化合物1モル当たり2.0×10−6〜4.0×10−4モルであり、
前記スチレン系共重合体は、重量平均分子量(Mw)が20万〜50万であり、
分子量200万以上の割合が0.3%〜6.0%であり、
立上りはじめひずみが0.2〜1.3であり、最大立上り比が1.2〜5.0である、スチレン系共重合体。 - 前記モノビニル化合物が、前記スチレン系化合物(モノマー)のみ、又は、前記スチレン系化合物と共に前記スチレン系化合物と共重合可能な他のモノビニル基を有する化合物からなり、前記他のモノビニル基を有する化合物は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、無水マレイン酸、マレイミド、及び核置換マレイミドからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のスチレン系共重合体。
- 前記共役ジビニル化合物の数平均分子量(Mn)が1000〜30000である、請求項1又は2に記載のスチレン系共重合体。
- 前記スチレン系共重合体のMwに対するZ平均分子量(Mz)の比が1.8〜5.0である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系共重合体。
- 前記スチレン系共重合体の分子量100万以上の割合が4.0%〜20.0%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系共重合体。
- 前記共役ジビニル化合物が、(水添)ポリブタジエンジ(メタ)アクリレートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系共重合体。
- 連続溶液重合又は連続塊状重合を用いて、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスチレン系共重合体を重合することを含む、スチレン系共重合体の製造方法。
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016063833 | 2016-03-28 | ||
JP2016063833 | 2016-03-28 | ||
JP2016111337 | 2016-06-02 | ||
JP2016111337 | 2016-06-02 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017218576A JP2017218576A (ja) | 2017-12-14 |
JP6865076B2 true JP6865076B2 (ja) | 2021-04-28 |
Family
ID=60658404
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017051631A Active JP6865076B2 (ja) | 2016-03-28 | 2017-03-16 | スチレン系共重合体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6865076B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6869763B2 (ja) * | 2017-03-17 | 2021-05-12 | Psジャパン株式会社 | 二軸延伸シート及びその成形品 |
JP2020105403A (ja) | 2018-12-27 | 2020-07-09 | Psジャパン株式会社 | 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート、成形品 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5658607B2 (ja) * | 2010-03-31 | 2015-01-28 | 新日鉄住金化学株式会社 | 多分岐型超高分子量体を含有するスチレン系樹脂組成物の製造方法およびその組成物 |
CN103917594B (zh) * | 2011-11-07 | 2016-05-11 | 新日铁住金化学株式会社 | 含有高分支型超高分子聚合物的苯乙烯系树脂组合物的制造方法及其组合物 |
JP5913917B2 (ja) * | 2011-11-09 | 2016-04-27 | 新日鉄住金化学株式会社 | 高分岐型発泡用スチレン系樹脂組成物 |
JP5930666B2 (ja) * | 2011-11-09 | 2016-06-08 | 新日鉄住金化学株式会社 | 高分岐型二軸延伸シート用スチレン系樹脂組成物及び二軸延伸シート |
WO2016132640A1 (ja) * | 2015-02-20 | 2016-08-25 | Dic株式会社 | 有機発光素子用インク組成物及び有機発光素子 |
-
2017
- 2017-03-16 JP JP2017051631A patent/JP6865076B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017218576A (ja) | 2017-12-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102116657B1 (ko) | 스티렌계 공중합체 및 그 제조 방법, 압출 발포 시트 및 그 성형품 | |
JP7520178B2 (ja) | 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート、成形品 | |
JP2023086827A (ja) | スチレン系樹脂組成物、発泡シートおよび食品容器 | |
JP2023086825A (ja) | スチレン系樹脂組成物、発泡シートおよび食品容器 | |
JP6955877B2 (ja) | スチレン系共重合体およびその製造方法 | |
JP6865076B2 (ja) | スチレン系共重合体およびその製造方法 | |
JP6328531B2 (ja) | 押出発泡シート及び容器 | |
JP6930866B2 (ja) | スチレン系樹脂組成物、発泡シート、成形品、製造方法 | |
JP6876518B2 (ja) | 押出発泡シートおよびその成形品 | |
JP6876517B2 (ja) | 押出発泡シートおよびその成形品 | |
JP6333140B2 (ja) | 板状押出発泡体 | |
JP6960287B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法、シート及びその成形品 | |
JP6857578B2 (ja) | スチレン系共重合体及びその製造方法、シート及びその成形品 | |
JP7232636B2 (ja) | 板状押出発泡体 | |
JP6979812B2 (ja) | スチレン系樹脂組成物、発泡シート、成形品、製造方法 | |
JP6803274B2 (ja) | 板状押出発泡体 | |
JP7232637B2 (ja) | 押出発泡シートおよび二次成形品 | |
JP6908440B2 (ja) | スチレン系樹脂組成物フィルム | |
JP6896573B2 (ja) | スチレン系共重合体及びその製造方法、成形品 | |
JP2023060158A (ja) | 耐熱スチレン系樹脂、シート及びその成形品 | |
JP2023086828A (ja) | スチレン系フィルム、成形品、スチレン系フィルムの製造方法 | |
JP6869763B2 (ja) | 二軸延伸シート及びその成形品 | |
WO2015041328A1 (ja) | 押出発泡体及び容器 | |
JP6930856B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物を含むブロー成形品 | |
JP2020132649A (ja) | スチレン系樹脂組成物、シート、及び成形品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191126 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200923 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201006 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20201202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210105 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210302 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210323 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210405 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6865076 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |