JP2018002995A - スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

スチレン系樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018002995A
JP2018002995A JP2016256608A JP2016256608A JP2018002995A JP 2018002995 A JP2018002995 A JP 2018002995A JP 2016256608 A JP2016256608 A JP 2016256608A JP 2016256608 A JP2016256608 A JP 2016256608A JP 2018002995 A JP2018002995 A JP 2018002995A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
styrene
resin composition
monomer
mass
conjugated diene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016256608A
Other languages
English (en)
Inventor
桂輔 井上
Keisuke Inoue
桂輔 井上
秀隆 藤松
Hidetaka Fujimatsu
秀隆 藤松
高橋 哲也
Tetsuya Takahashi
哲也 高橋
高橋 淳
Atsushi Takahashi
淳 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Styrene Co Ltd
Original Assignee
Toyo Styrene Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Styrene Co Ltd filed Critical Toyo Styrene Co Ltd
Publication of JP2018002995A publication Critical patent/JP2018002995A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】スチレン系樹脂の二次成形性向上のための新規な分岐構造を有する樹脂組成物を提供する。【解決手段】線状スチレン系樹脂(A)と分岐状スチレン系樹脂(B)を含むスチレン系樹脂組成物であって、線状スチレン系樹脂(A)はスチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の共重合体であり、分岐状スチレン系樹脂(B)は数平均分子量(Mn)が500〜50000の共役ジエン系重合体よりスチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の共重合体が結合した構造を有し、スチレン系樹脂組成物中の共役ジエン系単量体単位の成分量が0.01質量%以上3.0質量%以下である、スチレン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、二次成形性に優れたスチレン系樹脂組成物に関する。
スチレン系樹脂の発泡シートは断熱性などの特徴により食品トレー、弁当箱、納豆容器やカップ等に広く使用されている。このような食品容器は主にコスト削減の観点より、軽量化が求められている一方で、皿状、丼状、カップ状などの深絞り形状に成形して用いられており、このような多様な形状に対応出来るよう、二次成形性の向上が求められている。
しかしながら、軽量化を行うと発泡シートを構成する樹脂量が減少する為、発泡シートから成形品に二次成形する際に、成形品の肉厚均一性が損われ、亀裂が発生し易くなる問題がある。
発泡シートの二次成形性を高めるためには溶融張力が高い材料が求められる。スチレン系樹脂の溶融張力を向上させる改善策としては、スチレン系樹脂に超高分子量成分を導入する方法や分岐成分を導入する方法が提案されている。
超高分子量成分が導入されたスチレン系樹脂としては、例えば、特許文献1に記載された分子量が200万以上の成分を一定範囲内で含有するスチレン系樹脂組成物が挙げられる。特許文献1には低温下で重合を進行させる方法が提案されているが、この方法では生産性に劣る場合があった。
分岐成分が導入されたスチレン系樹脂としては、例えば、特許文献2に多官能芳香族ビニル化合物と連鎖移動剤を併用することでスチレン系樹脂の重合度を制御する方法が開示されているが、連鎖移動剤としてメルカプタン類を使用すると特有の臭気の問題より使用範囲が制限される場合がある。また、特許文献3には多分岐状マクロモノマーを使用し、多分岐状ポリスチレンと線状ポリスチレンを含むスチレン系樹脂組成物にて溶融張力が優れることが開示されており、さらに特許文献4にはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体を分岐構造導入の起点として伸長粘度に優れる組成物を得られることが開示されているが、いずれも溶融延伸性については改善が必要であり二次成形性が不十分となる場合があった。
特公昭62−61231号公報 特開2002−241413号公報 特開2003−292707号公報 WO/2015/041326
本発明は、スチレン系樹脂の二次成形性向上のための新規な分岐構造を有する樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、スチレン系樹脂の二次成形性向上のため鋭意検討を実施したところ、スチレン系単量体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の重合時に特定の共役ジエン系重合体を添加し、重合反応を進めることで二次成形性が向上したスチレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下に記載する通りである。
[1]線状スチレン系樹脂(A)と分岐状スチレン系樹脂(B)を含むスチレン系樹脂組成物であって、線状スチレン系樹脂(A)はスチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の共重合体であり、分岐状スチレン系樹脂(B)は数平均分子量(Mn)が500〜50000の共役ジエン系重合体よりスチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の共重合体が結合した構造を有し、スチレン系樹脂組成物中の共役ジエン系単量体単位の成分量が0.01質量%以上3.0質量%以下である、スチレン系樹脂組成物。
[2]分子量100万〜200万における分岐比gMが0.50〜0.90であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。
[3]線状スチレン系樹脂(A)がスチレンの単独重合体またはスチレンとメタクリル酸の共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のスチレン系樹脂組成物。
[4]共役ジエン系重合体がブタジエンの単独重合体またはスチレンとブタジエンの共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
[5]スチレン系樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)が20万〜50万で、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)が1.8以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
[6]共役ジエン系共重合体中の共役ジエン系単量体単位の成分量が40〜100質量%であり、共役ジエン系共重合体中におけるビニル結合量が10%以上90%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
[7]請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物を得ることを特徴とする製造方法であって、スチレン系単量体単独またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体に数平均分子量500〜50000の共役ジエン系重合体を0.01質量%〜3.0質量%添加し、連続的に配置された重合反応器に供給して重合反応を進行させ、共役ジエン系重合体とスチレン系単量体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体が重合して生じる分岐状スチレン系樹脂(B)と、スチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の共重合体である線状スチレン系樹脂(A)を含むスチレン系樹脂組成物を得る製造方法。
[8]請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物を含有する発泡シート。
[9]請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物を含有する食品包装用容器。
本発明により高い溶融張力、溶融延伸性を有したスチレン系樹脂組成物の提供が可能となる。該製造方法により得られたスチレン系樹脂組成物からなる発泡シートは二次成形性に優れ、深絞り成形など多様な形状に対応出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書でA〜Bと記載するときは、A以上B以下を意味するものとする。
本発明のスチレン系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等であり、好ましくはスチレンである。スチレン系単量体は単独でもよいが二種以上を併用しても良い。また、スチレン系単量体と共重合可能なビニル化合物を併用しても良い。共重合可能なビニル化合物の含有量としては10%以下が好ましい。共重合可能なビニル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニルモノマー、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル等のアクリル系モノマーや無水マレイン酸、フマル酸等のα,β−エチレン不飽和カルボン酸類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のイミド系モノマー類等が挙げられる。
共役ジエン系重合体とは、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリイソプレン、スチレン−イソプレンのランダムまたはブロック共重合体等であり、好ましくはポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体である。共役ジエン系重合体は単独でも良いが、二種以上を組み合わせて使用しても良い。
共役ジエン系単量体とは、共役ジエン系重合体を構成する単量体であり、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
スチレン系樹脂組成物中の共役ジエン系単量体単位の成分量は0.01質量%〜3.0質量%であり、0.05質量%〜2.5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.1質量%〜2.2質量%である。共役ジエン系単量体単位の成分量が0.01質量%より少ないとスチレン系樹脂組成物の溶融張力と溶融延伸性が不足し、二次成形性が不十分となる。共役ジエン系単量体単位の成分量が3質量%を超えてもそれ以上の効果は得られない。
スチレン系樹脂組成物中の共役ジエン系単量体単位の成分量は1H−NMRを測定し、スチレン系単量体由来の芳香環のピーク面積と共役ジエン系単量体由来のビニル結合部のピーク面積を用いて計算により求めることが出来る。
共役ジエン系重合体中の共役ジエン系単量体単位の成分量は40質量%〜100質量%であり、45質量%〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは50質量%〜100質量%である。共役ジエン系単量体単位の成分量が40質量%未満であると、分岐状スチレン系樹脂(B)における共役ジエン系単量体を起点とする分岐構造が不足し、溶融張力が不十分となり、スチレン系樹脂組成物からなる発泡シートにおいて十分な二次成形性が得られない。
共役ジエン系重合体中のビニル結合量は10質量%〜90質量%であり、15質量%〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは20質量%〜85質量%である。ビニル結合量が10質量%未満であると、分岐状スチレン系樹脂(B)における分岐構造が不足し、二次成形性が不十分となる。ビニル結合量が90質量%を超えるとゲルが増大し、成形品の外観が悪くなる。
共役ジエン系重合体の重量平均分子量は500〜50000であり、500〜30000であることが好ましい。より好ましくは500〜20000である。共役ジエン系重合体の分子量が50000より高いと、スチレン系樹脂組成物の製造時に共役ジエン系重合体が凝集、粒子化することによりスチレン系樹脂組成物の溶融張力が不足する。
スチレン系樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)は20万〜60万であり、25万〜55万であることが好ましい。より好ましくは25万〜50万である。Mwが20万未満では発泡シート、発泡シートの二次成形品の圧縮強度等の機械的強度が不足する。Mwが60万より大きいとスチレン系樹脂組成物の粘度が上がりすぎ、発泡シートの生産性が低下する。スチレン系樹脂組成物のMwは、重合工程での反応温度や滞留時間、重合開始剤の種類及び添加量、連鎖移動剤の種類及び添加量、重合に使用する溶媒の種類及び量などによって制御することが出来る。
スチレン系樹脂組成物のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)は1.8以上であり、1.9以上であることが好ましい。より好ましくは1.95以上である。Mz/Mwが1.8未満であるとスチレン系樹脂組成物の溶融張力が不足し、スチレン系樹脂組成物からなる発泡シートの成形性が不十分となる。
スチレン系樹脂組成物の分岐比gMは0.50〜0.90であり、好ましくは0.60以上0.85未満であり、より好ましくは0.65以上0.81未満である。分岐比gMが0.90以上となると十分な伸長粘度が発現せず、スチレン系樹脂組成物からなる発泡シートの成形性が悪くなる。分岐度gMが0.50未満としても、それ以上の効果が得られない。
分岐比gMは、スチレン系樹脂組成物における分岐の程度を表しており、分岐比gMが少ない程、分岐が多いことを示している。分岐比gMは重合開始剤や共役ジエン系重合体の種類及び重合工程での添加量により調整することが出来る。重合開始剤として多官能重合開始剤を使用することが好ましく、4官能以上の重合開始剤を用いることがより好ましい。なお、分岐比gMはゲルパーミエイションクロマトグラフィー多角度レーザー光散乱光度計(GPC−MALS法)により測定することが出来る。
スチレン系樹脂組成物の製造には塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法等の公知のスチレン重合法を用いることが出来る。またラジカル重合であることが好ましい。
スチレン系樹脂組成物は、スチレン系単量体単独またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の混合物に対して共役ジエン系重合体を0.01質量%〜3.0質量%添加した原料溶液を重合することにより得られる。共役ジエン系重合体は0.05質量%〜2.5質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.1質量%〜2.2質量%である。原料溶液は必要に応じて、重合溶媒、重合触媒、連鎖移動剤等を含めることが出来る。
共役ジエン系重合体にスチレン系単量体単独またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の混合物が共重合することで、共役ジエン系重合体よりスチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の共重合体が分岐した分岐状スチレン系樹脂(B)が得られる。線状スチレン系樹脂(A)は、スチレン系樹脂組成物中の分岐状スチレン系樹脂(B)以外のスチレン系単量体単位を必須成分として含む構成成分であり、前記原料溶液を重合することにより分岐状スチレン系樹脂(B)と線状スチレン系樹脂(A)を同時に得ることが出来る。
スチレン系樹脂組成物中の分岐状スチレン系樹脂(B)の存在は、GPC−MALS法により特開2013−100427、特開2014―227459等に記載のように分岐比gMを算出することで確認することが出来る。
分岐比gMは、スチレン系樹脂組成物における分岐の程度を表しており、分岐比gMが少ない程、分岐が多く、分岐状スチレン系樹脂(B)の存在が多いことを示している。分岐比gMは重合開始剤や共役ジエン系重合体の種類及び重合工程での添加量により調整することが出来る。重合開始剤として多官能重合開始剤を使用することが好ましく、4官能以上の重合開始剤を用いることがより好ましい。
重合溶媒は原料溶液に対して2質量%〜20質量%用いることが好ましい。重合溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレン等のアルキルベンゼン類やアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が使用出来る。好ましくはベンゼン、トルエン、エチルベンゼンであり、より好ましくはエチルベンゼンである。
重合触媒はラジカル重合開始剤であることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ジ(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシイソノナノエート等のアルキルパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ポリエーテルテトラキス(t-ブチルパーオキシカーボネート)等のパーオキシカーボネート類、N,N'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N'−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
ラジカル重合開始剤は原料溶液に対して質量基準で100ppm〜1000ppm添加し、ポリマー濃度が35質量%〜50質量%に達するまでは1基〜2基からなる完全混合型反応器を直列に接続した工程にて100℃〜140℃の温度で、生成するポリマーの重量平均分子量(Mw)が30万〜60万となるよう重合を行うことが好ましい。次に、ポリマー濃度が70質量%〜90質量%に達するまでは120℃〜200℃の温度で重合をおこなうことが好ましい。反応器の型式について特に制限は無いがプラグフロー型反応器または完全混合型反応器とプラグフロー型反応器の組合せなどを使用することが出来る。完全混合型反応器を経たポリマー濃度が35質量%〜50質量%の重合物に対してラジカル重合開始剤を原料溶液に対して質量基準で100ppm〜1000ppm追加添加することがより好ましい。ラジカル重合開始剤を追加添加することで、共役ジエン系重合体の分岐構造の形成が促進され、線状スチレン系樹脂(A)と分岐状スチレン系樹脂(B)の相溶性が向上し、透明性が良くなる場合がある。
スチレン系樹脂組成物の製造の際、得られるスチレン系樹脂組成物中より未反応の単量体及び重合溶媒を除去する脱揮工程が必要であるが、加熱器付きの真空脱揮槽を用いることが好ましく、真空脱揮槽を直列に2段接続したものを用いることがより好ましい。
脱揮工程を経たスチレン系樹脂組成物は、ギヤーポンプ等で造粒工程へ移送される。造粒工程では多孔ダイよりストランド状に樹脂を押出し、コールドカット方式や空中ホットカット方式、水中ホットカット形式にてペレット状に加工される。
スチレン系樹脂組成物中に残存するスチレン系単量体、スチレン系単量体と共重合可能なビニル化合物及び重合溶媒の総量は250μg/g以下であることが好ましく、150μg/g以下であることがより好ましい。スチレン系樹脂組成物中のスチレン系単量体、スチレン系単量体と共重合可能なビニル化合物及び重合溶媒の総量が多いと、二次成形品に臭気等の問題が生じる場合がある。
スチレン系樹脂組成物の製造において、ラジカル重合開始剤の他に、必要に応じて連鎖移動剤を使用することが出来る。連鎖移動剤としては、例えば、脂肪族メルカプタン、芳香族メルカプタン、ペンタフェニルエタン、α−スチレンダイマー及びテルピノーレン等を使用出来る。
スチレン系樹脂組成物の200℃で測定した溶融張力値は10.0gf〜30.0gfであることが好ましく、11.0gf〜25.0gfであることがより好ましい。最大溶融延伸倍率は4以上が好ましく、10以上がより好ましい。溶融張力値が10.0gf未満では、発泡シートの軽量化が不十分となり、溶融張力値が30.0gfを超えると最大溶融延伸倍率が不足してしまう場合がある。最大溶融延伸倍率が4未満では発泡シートの深絞り成形性が悪化する場合がある。
JIS K7206に準拠し、昇温速度50℃/hr、試験荷重50Nの条件で測定したスチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度は98.0℃以上であることが好ましく、99.0℃以上であることがより好ましい。ビカット軟化温度が98.0℃未満であると発泡シートや発泡シートの二次成形品の耐熱性が不足する場合がある。
JIS K7210に準拠し、200℃、49N荷重の条件で測定したスチレン系樹脂組成物のMFRは0.5g/10min以上であることが好ましく、0.9g/10min以上であることがより好ましい。MFRが0.5g/10min未満であると、スチレン系樹脂組成物の流動性が不足し、成形性が悪化する場合がある。
JIS K7136に準拠し、厚さ2mmの試験片にて測定したスチレン系樹脂組成物のヘーズは、25%以下であることが好ましく、20%以下であることが好ましい。ヘーズはスチレン系樹脂組成物の製造の際、ラジカル重合開始剤を使用することで制御することが出来る。ラジカル重合開始剤は1種でも良いが、水素引抜能の高いラジカル重合開始剤を併用することにより、さらにヘーズが低いスチレン系樹脂組成物が得られる。
スチレン系樹脂組成物には必要に応じてステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸及びその塩やエチレンビスステアリルアミド等の滑剤、流動パラフィン等の可塑剤、酸化防止剤が含まれていても良い。
スチレン系樹脂組成物には、スチレン系樹脂発泡シートまたはスチレン系樹脂非発泡シートからなるリサイクル原料を0質量%〜50質量%含むことが出来る。スチレン系樹脂発泡シートまたはスチレン系樹脂非発泡シートとしては本発明のスチレン系樹脂組成物からなる成形品を使用しても良い。
スチレン系樹脂組成物は発泡シートの製造に好適に用いることが出来る。発泡シートの製造は、公知の押出発泡装置を使用することが出来る。具体的には、単軸押出機や二軸押出機を2基直列に配列し、1基目の押出機で発泡剤を発泡核剤とともに溶融混練し、2基目の押出機で冷却により樹脂温度を120℃〜180℃に調整した後、サーキュラーダイスにより大気に放出し減圧発泡する方法が挙げられる。
発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−クロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素等の物理発泡剤を用いることが出来る。また、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム、クエン酸等の分解型発泡剤、二酸化炭素、窒素等の無機ガスや水を使用することもできる。これら発泡剤を適宜混合して使用できるが、工業的にはブタンが使用されることが多く、発泡押出性や発泡シートの二次成形性、発泡剤の観点から、イソブタンとノルマルブタンからなる混合ブタンを使用することが好ましい。ブタンはスチレン系樹脂組成物に対する透過速度が遅いため、発泡押出直後は発泡シート中に通常1質量%〜3質量%程度残存する。この残存量は二次成形における二次発泡厚や熱成形性に影響するため、一定の熟成期間を設けることで適宜調整する。
発泡核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、クレー等の無機物粉末が挙げられ、これらを単独あるいは混合物としても用いることができる。中でも、気泡径を小さくする効果が大きく、安価という点でタルクが好ましい。発泡核剤の添加方法は特に制限が無く、直接押出機の供給孔に添加しても良いし、耐熱性樹脂と共に添加することもできる。また、スチレンの単独重合体やポリスチレン等を基材としたマスターバッチを作成し、そのマスターバッチを用いて供給することもできる。発泡核剤の添加量は通常、0.1質量%〜5質量%である。また、該マスターバッチには高級脂肪酸や高級脂肪酸の金属塩をあらかじめ配合しておいても良い。また、エチレンビスステアリルアミド等の滑材、流動パラフィンやシリコーンオイル等の展着剤、その他の界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、耐候剤、顔料等が含まれていても良い。
スチレン系樹脂組成物より得られる発泡シートは、その片面もしくは両面に熱可塑性樹脂からなるシートまたはフィルムを積層することで、成形性、強度、剛性を改良することが出来る。シートまたはフィルムを構成する熱可塑性樹脂としてはポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられるが、接着層を用いなくても積層可能でリサイクル性も良好なポリスチレン系樹脂が好ましい。
前記で積層される熱可塑性樹脂シート又はフィルムの厚みに特に制限はないが、0.01mm〜0.3mmが好ましい。シート又はフィルムの厚みが薄いと物性の改良効果が小さく、厚すぎると軽量化の観点から望ましくない。
スチレン系樹脂組成物より製造される発泡シートは、真空成形や圧空成形などの熱成形することで、食品包装容器に二次成形することができ、特に深絞り成形用途に適している。食品包装容器とは、例えば食品用のトレー、即席麺容器、納豆容器、カップ等である。
スチレン系樹脂組成物からなる発泡シートの成形性は、例えば、発泡シートを単発成形機を使用し、口径φ100mm、深さ100mmの深絞り丼形状容器を熱成形することで評価できる。得られる丼形状容器の肉厚が均一であることが好ましい。また、得られる丼状容器によっては亀裂が確認される場合があるが、亀裂が観察される容器の数が丼形状容器100個中10個未満であることが好ましく、100個中5個未満であることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(共役ジエン系重合体A−1〜A−6)
共役ジエン系共重合体として、下記のA−1〜A−6のクレイバレー社製液状ポリブタジエン及びA−7の旭化成社製ポリブタジエンを用いた。
A−1:Ricon152(ブタジエンホモポリマー)
A−2:Ricon131(ブタジエンホモポリマー)
A−3:Ricon134(ブタジエンホモポリマー)
A−4:Ricon157(ブタジエンホモポリマー)
A−5:Ricon100(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)
A−6:Ricon181(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)
A−7:ジエン55AE(ブタジエンホモポリマー)
A−1〜A−7の組成、数平均分子量(Mn)、ビニル結合量は表1に示す通りである。
Figure 2018002995
(実施例1)
完全混合型撹拌層である第1反応器と第2反応器及び静的プラグフロー型反応器である第3反応器を直列に接続して重合工程を構成した。各反応器の容量は、第1反応器を39L、第2反応器を39L、第3反応器を16Lとした。スチレンが89.1質量%、エチルベンゼンが9.9質量%、共役ジエン系重合体A−1が1.0質量%となるように混合溶液を調整し、混合溶液に対して2,2−ジ(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(日油株式会社製パーテトラA、以下重合開始剤−1と称する場合がある)を質量基準で150ppm混合し、原料溶液とした。この原料溶液を毎時13.5kgの割合で第1反応器へ連続的に供給した。各反応器の反応温度は第1反応器で120℃、第2反応器で130℃、第3反応器では、流れの方向に沿って温度勾配をつけ、中間部分で135℃、出口部分で140℃となるよう調整した。続いて、第3反応器より連続的に取り出した重合体を含む溶液を直列に2段より構成される予熱器付き真空脱揮槽に導入した。第1脱揮槽では樹脂温度が180℃となるよう予熱器の温度を調整し、圧力は65kPaに調整した。第2脱揮槽では樹脂温度が230℃となるよう予熱器の温度を調整し、圧力は0.4kPaに調整した。2基の脱揮槽にて未反応単量体およびエチルベンゼンを分離した後、多孔ダイよりストランド状に押出を行い、コールドカット方式にてストランドを冷却及び切断しペレット化した。
(実施例2)
重合開始剤−1を質量基準で250ppm混合したこと、第1反応器の温度を105℃、第2反応器の温度を127℃、第3反応器中間部分で125℃、出口部分で125℃としたこと以外は実施例1と同様な方法にて製造した。
(実施例3)
t−ブチルクミルパーオキサイド(日油株式会社製パーブチルC、以下重合開始剤−2と称する場合がある)を第3反応器入口より、原料溶液に対する質量基準で200ppm添加したこと以外は実施例1と同様な方法にて製造した。
(実施例4)
重合開始剤−1を使用しなかったこと、第1反応器の温度を130℃、第2反応器の温度を135℃、第3反応器中間部分で140℃、出口部分で145℃としたこと以外は実施例1と同様な方法で製造した。
(実施例5)
原料溶液のスチレンを88.2質量%、共役ジエン系重合体A−1を2質量%、エチルベンゼンを9.8質量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で製造した。
(実施例6)
重合開始剤−1を質量基準で250ppm使用したこと、第1反応器の温度を105℃、第2反応器の温度を127℃、第3反応器中間部分で125℃、出口部分で125℃としたこと以外は実施例5と同様な方法で製造した。
(実施例7)
共役ジエン系重合体としてA−2を1.0質量%使用したこと以外は実施例1と同様な方法で製造した。
(実施例8)
共役ジエン系重合体としてA−3を1.0質量%使用したこと以外は実施例1と同様な方法にて製造した。
(実施例9)
共役ジエン系重合体としてA−4を1.0質量%使用したこと以外は実施例1と同様な方法にて製造した。
(実施例10)
共役ジエン系重合体としてA−5を1.0質量%使用したこと以外は実施例1と同様な方法にて製造した。
(実施例11)
共役ジエン系重合体としてA−6を1.0質量%使用したこと以外は実施例1と同様な方法にて製造した。
(実施例12)
原料溶液のスチレンを76.5質量%、共役ジエン系重合体A−1を1.0質量%、メタクリル酸を7.0質量%、エチルベンゼンを15.5質量%、(1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油株式会社製パーヘキサC、以下重合開始剤−3と称する場合がある)を質量基準で250ppm使用したこと以外は実施例1と同様な方法にて製造した。
(比較例1)
原料溶液のスチレンを90.0質量%、エチルベンゼンを10.0質量%とし、共役ジエン系重合体を使用しなかったこと以外は実施例1と同様な方法にて製造した。
(比較例2)
原料溶液の重合開始剤−1を質量基準で250ppm使用したこと、第1反応器の温度を112℃、第2反応器の温度を130℃、第3反応器中間部分の温度を125℃、出口部分の温度を125℃としたこと以外は比較例1と同様な方法にて製造した。
(比較例3)
原料溶液の重合開始剤−1を使用しなかったこと、第1反応器の温度を130℃、第2反応器の温度を135℃、第3反応器中間部分の温度を140℃、出口部分の温度を145℃としたこと以外は比較例1と同様な方法にて製造した。
(比較例4)
原料溶液のスチレンを85.5質量%、共役ジエン系重合体A−1を5.0質量%、エチルベンゼンを9.5質量%としたこと以外は比較例3と同様な方法にて製造を試みたが、樹脂粘度が高くなり過ぎた為、製造することが出来なかった。
(比較例5)
原料溶液の共役ジエン系重合体A−1を使用しなかったこと、エチルベンゼンを16.5質量%としたこと以外は実施例12と同様な方法にて製造した。
(比較例6)
共役ジエン系重合体としてA−7を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で製造した。
スチレン系樹脂組成物の物性は以下の方法により評価を行った。
(1)スチレン系樹脂組成物中の共役ジエン系単量体単位の成分量
日本電子(株)社製JNM−LA600を用い、1H−NMR分析を測定し、スチレン系単量体由来の芳香環のピーク面積と共役ジエン系重合体由来のビニル結合部のピーク面積とを用いて計算により求めた。測定には溶媒としてクロロホルム−d1を使用し、テトラメチルシランの共鳴線を内部標準として使用した。
(2)分子量
重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)、Z平均分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製 PLgel 10μm MIXED−B
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示唆屈折計
本発明の分子量は、単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
(3)MFR
JIS K7210に準拠し、200℃、49N荷重の条件で測定した。
(4)ビカット軟化温度
JIS K7206に準拠し、昇温速度50℃/hr、試験荷重50Nの条件で測定した。
(5)ヘーズ
JIS K7136に準拠し、日本電色工業(株)製NDH200濁度計にて測定した。
(6)分岐比gM
分岐比gMはゲルパーミエイションクロマトグラフィー多角度レーザー光散乱光度計(GPC−MALS法)により、分子量と回転半径の測定を行い、スチレン系樹脂組成物の回転半径<r2>brと直鎖ポリスチレンの回転半径<r2>linから分岐比gM=<r2>br/<r2>linを計算し、分子量100万〜200万の間の平均値として算出した。なお、分岐の大きいポリマーは回転半径が小さいため、分岐比gMの値は小さくなり、分岐が少ないポリマーほど1に近い数値となる。GPC−MALSの測定は次の条件にて行った。
GPC機種:Waters社製 MODEL515
検出器:示差屈折率計 Waters社製RI−2410型
MALLS機種:Wyatt Technology社製 DAWN EOS
カラム:東ソー社製 TSKgel GMHXL(2本)
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.1質量%
温度:カラム 23℃、検出器 35℃
流速:0.997mL/min
注入量:0.200mL
本発明の分岐比gMは標準ポリスチレン(SRM706a)の分岐比gMを1とした場合に対する数値を算出したものである。
(7)溶融張力値、最大溶融延伸倍率
溶融張力値は、東洋精機製「キャピログラフ1B型」を使用し、バレル温度200℃、バレル径9.55mm、キャピラリー長さ:L=10mm、キャピラリー径:D=1mm(L/D=10)、バレル内の押出し速度10mm/分にて樹脂を押出し、荷重測定部をダイから60cm下方にセットし、キャピラリーより流出してきたストランド状の樹脂を巻き取り器にセットし、巻き取り線速度を4m/分から徐々に速度を上昇していき、ストランドが破断するまでの荷重を測定する。荷重は巻き取り線速度を上げていくと、一定値に安定するので、荷重が安定した範囲を平均化して溶融張力値とした。また、ストランドが破断したときの巻き取り線速度(m/分)とキャピラリー内の流速(m/分)の比を最大溶融延伸倍率とした。
次に各例のスチレン系樹脂組成物を用いて以下の方法にて発泡シートを作成した。
(発泡シートの製造)
スクリュー径40mmφと50mmφのタンデム式押出機を用いた。各例のスチレン系樹脂組成物100質量部に対して、ポリスチレン60質量%とタルク40質量%からなるタルクマスターバッチ2.3質量部を均一に混合したものをスクリュー径40mmφ、シリンダー温度210℃の押出機に供給した。更に、発泡剤としてイソブタンとノルマルブタンからなる60/40(質量比)の混合ブタンを押出機先端より樹脂100質量部に対して、2.5質量部の割合で圧入し溶融混合した。その後、2段目のスクリュー径50mmφの押出機に移送して、押出機出口の樹脂温度を140℃まで冷却後、サーキュラー・ダイスより押出して発泡させ、厚み2.0mmの発泡シートを得た。なお、各例にて気泡セル径が0.3mmになるようタルクマスターバッチの添加量を調整した。
前記にて得られた発泡シートの特性は以下の方法により評価した。
(7)気泡径
発泡シートの気泡径は、発泡シートの断面を顕微鏡により撮影し、直径を計測して体積基準の中位径として算出した。
(8)肉厚の均一性
発泡シートを単発成形機を使用し、口径φ100mm、深さ100mmの深絞り丼形状容器を熱成形した。成形機のヒーター温度は230℃、加熱時間は一定とし、容器の肉厚均一性を評価した。肉厚が均一の場合を○、やや不均一の場合を△、不均一の場合を×として肉厚均一性を評価した。
(9)深絞り成形性
発泡シートを単発成形機を使用し、口径φ100mm、深さ100mmの深絞り丼形状容器を熱成形した。成形機のヒーター温度は230℃、加熱時間は一定とし、容器の亀裂発生状態を観察した。成形容器100個のうち、亀裂が観察される容器の数が5個未満の場合を○、5個以上10個未満の場合を△、10個以上の場合を×として深絞り性を評価した。
Figure 2018002995
Figure 2018002995
実施例のスチレン系樹脂組成物を用いることで、肉厚均一性、深絞り成形性に優れた発泡シートを得ることが出来る。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明により深絞り成形など多様な形状に対応出来るスチレン系樹脂組成物が提供される。

Claims (9)

  1. 線状スチレン系樹脂(A)と分岐状スチレン系樹脂(B)を含むスチレン系樹脂組成物であって、線状スチレン系樹脂(A)はスチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の共重合体であり、分岐状スチレン系樹脂(B)は数平均分子量(Mn)が500〜50000の共役ジエン系重合体よりスチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体の共重合体が結合した構造を有し、スチレン系樹脂組成物中の共役ジエン系単量体単位の成分量が0.01質量%以上3.0質量%以下である、スチレン系樹脂組成物。
  2. 分子量100万〜200万における分岐比gMが0.50〜0.90であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。
  3. 線状スチレン系樹脂(A)がスチレンの単独重合体またはスチレンとメタクリル酸の共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のスチレン系樹脂組成物。
  4. 共役ジエン系重合体がブタジエンの単独重合体またはスチレンとブタジエンの共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  5. スチレン系樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)が20万〜50万で、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)が1.8以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  6. 共役ジエン系共重合体中の共役ジエン系単量体単位の成分量が40〜100質量%であり、共役ジエン系共重合体中におけるビニル結合量が10%以上90%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物を得ることを特徴とする製造方法であって、スチレン系単量体単独またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体に数平均分子量500〜50000の共役ジエン系重合体を0.01質量%〜3.0質量%添加し、連続的に配置された重合反応器に供給して重合反応を進行させ、共役ジエン系重合体とスチレン系単量体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の単量体が重合して生じる分岐状スチレン系樹脂(B)と、スチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体を必須成分とする2種以上の共重合体である線状スチレン系樹脂(A)を含むスチレン系樹脂組成物を得る製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物を含有する発泡シート。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物を含有する食品包装用容器。
JP2016256608A 2016-06-28 2016-12-28 スチレン系樹脂組成物 Pending JP2018002995A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016127141 2016-06-28
JP2016127141 2016-06-28

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018002995A true JP2018002995A (ja) 2018-01-11

Family

ID=60948526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016256608A Pending JP2018002995A (ja) 2016-06-28 2016-12-28 スチレン系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018002995A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020105402A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 Psジャパン株式会社 耐熱スチレン系樹脂、シート及びその成形品

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005281405A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Dainippon Ink & Chem Inc スチレン系樹脂組成物、その発泡シート及び発泡容器
JP2013100435A (ja) * 2011-11-09 2013-05-23 Nippon Steel & Sumikin Chemical Co Ltd 高分岐型インジェクションブロー用ゴム変性スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP2013100427A (ja) * 2011-11-09 2013-05-23 Nippon Steel & Sumikin Chemical Co Ltd 高分岐型発泡用スチレン系樹脂組成物
WO2015041328A1 (ja) * 2013-09-20 2015-03-26 Psジャパン株式会社 押出発泡体及び容器
JP2015059214A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 日本エラストマー株式会社 分岐材、重合体組成物の製造方法及び重合体組成物
JP2015083673A (ja) * 2013-09-20 2015-04-30 Psジャパン株式会社 板状押出発泡体
JP2015083674A (ja) * 2013-09-20 2015-04-30 Psジャパン株式会社 押出発泡シート及び容器

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005281405A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Dainippon Ink & Chem Inc スチレン系樹脂組成物、その発泡シート及び発泡容器
JP2013100435A (ja) * 2011-11-09 2013-05-23 Nippon Steel & Sumikin Chemical Co Ltd 高分岐型インジェクションブロー用ゴム変性スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP2013100427A (ja) * 2011-11-09 2013-05-23 Nippon Steel & Sumikin Chemical Co Ltd 高分岐型発泡用スチレン系樹脂組成物
WO2015041328A1 (ja) * 2013-09-20 2015-03-26 Psジャパン株式会社 押出発泡体及び容器
JP2015059214A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 日本エラストマー株式会社 分岐材、重合体組成物の製造方法及び重合体組成物
JP2015083673A (ja) * 2013-09-20 2015-04-30 Psジャパン株式会社 板状押出発泡体
JP2015083674A (ja) * 2013-09-20 2015-04-30 Psジャパン株式会社 押出発泡シート及び容器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020105402A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 Psジャパン株式会社 耐熱スチレン系樹脂、シート及びその成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6478614B2 (ja) 発泡用スチレン系樹脂組成物、スチレン系樹脂発泡シート、その製造方法及び食品包装容器
JP2014169391A (ja) 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品
JP5913917B2 (ja) 高分岐型発泡用スチレン系樹脂組成物
JP5951230B2 (ja) 高分岐型スチレン系樹脂組成物及び発泡シート
JP2005281475A (ja) スチレン系重合体及びその製造方法
JP2006282962A (ja) 芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体及びその製造方法
JP2019108506A (ja) 耐熱性スチレン系樹脂組成物、成形品、押出シート、及び食品包装用容器
JP6302629B2 (ja) スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体組成物
JP2018002995A (ja) スチレン系樹脂組成物
JP2009029871A (ja) スチレン系樹脂組成物及び発泡シートの製造方法
JP6717599B2 (ja) スチレン系樹脂、スチレン系樹脂発泡シート、及び食品容器
JP6580409B2 (ja) スチレン系樹脂組成物、および発泡成形体
JP2005239951A (ja) 芳香族ビニル化合物系重合体の製造方法
JP6203973B1 (ja) 耐熱スチレン系樹脂組成物、発泡シート、及び食品容器
JP7100996B2 (ja) 耐熱性スチレン系樹脂組成物、成形品、発泡シート、及び食品包装用容器
JP2011032362A (ja) スチレン系樹脂、押出発泡シート及び容器
JP2009029873A (ja) スチレン系樹脂組成物及び発泡シートの製造方法
JP2014074080A (ja) スチレン系樹脂、押出発泡シート及びその成形品
JP5234723B2 (ja) スチレン系樹脂発泡シートの製造方法
JP6457898B2 (ja) 成形用スチレン系樹脂、成形品、成形品の製造方法
JP2015071678A (ja) 耐熱性樹脂組成物およびその発泡成形体
JP7179503B2 (ja) スチレン系共重合体及びその成形品、シート
JP6170730B2 (ja) 発泡用スチレン系樹脂組成物、スチレン系樹脂発泡シート、その製造方法及び食品包装容器
JP5930667B2 (ja) 高分岐型フィルム用スチレン系樹脂組成物及びスチレン系樹脂フィルム
JP6861014B2 (ja) 耐熱性スチレン系樹脂組成物、成形品、押出シート、及び食品包装用容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190527

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200602

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20200702

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200715

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201222

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210629