JP7179503B2 - スチレン系共重合体及びその成形品、シート - Google Patents

スチレン系共重合体及びその成形品、シート Download PDF

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Description

本発明は、透明性、剛性、衝撃強度、耐折り曲げ性のバランスに優れるスチレン系共重合体、及び該スチレン系共重合体を用いて形成される成形品に関する。
ポリスチレンは透明性、成形加工性に優れることから、射出成形品、ブロー成形品、シート成型品、発泡成形品等に加工され、液晶テレビ等の拡散板、電化製品、家庭製品、弁当、総菜等の食品包装容器に幅広く使用されている。特に、包装容器蓋材等においては、外部からの衝撃に強く、且つ、内容物の視認性に優れる透明性の高い材料が望まれていおり、かかる包装容器蓋材を、シートの熱成形により得る場合、製品の打抜き時の割れや切粉の発生、シートの巻取り時の白化を抑制するために、耐折り曲げ性に優れる材料が求められている。
こうした問題を解決する方法として、特許文献1、2には、スチレン-共役ジエンブロック共重合体と耐衝撃性ポリスチレンを含むスチレン系樹脂シートが開示されており、特許文献3には、スチレン-(メタ)アクリル酸系樹脂とゴム状弾性体、シリコーンオイルを含むスチレン系樹脂組成物が開示されている。
特開2008-274215号公報 特開2009-29868号公報 特開2017-105954号公報
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、特許文献1~2の技術では、スチレン-共役ジエンブロック共重合体と耐衝撃性ポリスチレンの添加により、剛性や透明性が低下する問題があった。
第二に、特許文献3の技術では、従来の技術に比べて、透明性は改善されるものの、ゴム成分を用いているため、剛性が低下し、所定の性能を得るのに必要な樹脂量が増加する問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、上記に記載した透明性と衝撃強度、耐折り曲げ性のバランスに優れるという課題を達成することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意研究を進めたところ、モノビニル化合物と特定の構造を有するポリロタキサンとの共重合で構成されるスチレン系共重合体において、透明性、耐衝撃性、耐折り曲げ性に優れるスチレン系共重合体が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、下記(1)~(8)に示すところである。
(1)少なくともスチレン系単量体を含む1種以上のモノビニル化合物(a)と、環状分子、前記環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子、前記直鎖状分子の両末端に配置され前記環状分子の脱離を防止する封鎖基を有するポリロタキサン(b)との共重合体である、スチレン系共重合体。
(2)前記モノビニル化合物(a)1モルに対して、前記ポリロタキサン(b)を1.0×10-9~5.0×10-5モル含むことを特徴とする、前記(1)に記載のスチレン系共重合体。
(3)前記ポリロタキサン(b)を構成する環状分子中に(メタ)アクリレート基を有する、前記(1)又は(2)に記載のスチレン系共重合体。
(4)前記ポリロタキサン(b)を構成する環状分子中の末端に(メタ)アクリレート基を有する、前記(1)~(3)のいずれかに記載のスチレン系共重合体。
(5)前記スチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)が10万~80万である、前記(1)~(4)のいずれに記載のスチレン系共重合体。
(6)前記(1)~(5)のいずれかに記載のスチレン系共重合体を成形してなる、成形品。
(7)前記(1)~(5)のいずれかに記載のスチレン系共重合体を成形してなる、シート。
(8)前記(1)~(5)のいずれかに記載のスチレン系共重合体を成形してなる、二軸延伸シート。
本発明のスチレン系共重合体を用いることで、透明性、剛性、耐衝撃性に優れた成形品を得る事ができ、シートに加工した際に、耐衝撃性や耐折り曲げ性に優れるため、高強度化や薄肉化が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のスチレン系共重合体は、少なくともスチレン系単量体を含む1種以上のモノビニル化合物(a)と、環状分子、前記環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子、前記直鎖状分子の両末端に配置され前記環状分子の脱離を防止する封鎖基を有するポリロタキサン(b)との共重合体である。前記モノビニル化合物(a)1モルに対して、前記ポリロタキサン(b)を1.0×10-9~5.0×10-5モル含むことが好ましく、前記ポリロタキサン(b)は2.0~×10-9~1.0×10-5モル含むことがより好ましく、1.0×10-9~5.0×10-6モル含むことが特に好ましい。前記ポリロタキサン(b)が1.0×10-9未満では、耐衝撃性の改良効果が小さく、前記ポリロタキサン(b)が1.0×10-5を超える場合、透明性が低下する場合がある。
本発明のスチレン系共重合体の200℃、49N荷重の条件にて測定したメルトマスフローレート(MFR)は、0.1~30g/10分であることが好ましく、0.3~20g/10分であることがより好ましく、0.7~10g/10分であることが特に好ましい。メルトマスフローレート(MFR)が0.1g/10分未満では、押出成形時の生産性が悪化し、30g/10分を超えると、機械的強度が低下する場合がある。
本発明のスチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は10万~80万であることが好ましく、12万~75万であることがより好ましく、15万~70万であることが特に好ましい。Mwが10万未満では、機械的強度が低下し、80万を超えると押出成形時の生産性が悪化する。スチレン系共重合体のMwは、重合工程の反応温度、滞留時間、重合開始剤の種類及び添加量、重合時に使用する溶媒の種類及び量によって調整することができる。
<モノビニル化合物(a)>
本発明のモノビニル化合物(a)は、少なくともスチレン系単量体を含む1種以上のモノビニル化合物が含まれており、モノビニル化合物(a)は、スチレン系単量体のみからなっていてもよいし、スチレン系単量体と共重合可能な他のモノビニル基を有する化合物からなっていてもよい。スチレン系単量体としては、スチレン、αメチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。スチレン系単量体と共重合可能なモノビニル系化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル等のアクリル系モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系モノマー、無水マレイン酸等が挙げられる。モノビニル化合物(a)に含まれるスチレン系単量体の含有量は、モノビニル化合物全体の30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。
<ポリロタキサン(b)>
本発明のポリロタキサン(b)は、環状分子、前記環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子、前記直鎖状分子の量末端に配置され前記環状分子の脱離を防止する封鎖基を有する。前記環状分子は、直鎖状分子の上を自由に動く事ができるものが好ましく、環状分子の動きやすさの観点から、環状構造の包接率が理論上の飽和値の50質量%以下であることが好ましい。
前記環状分子としては、特に限定されないが、入手のしやすさの観点から、シクロデキストリンが好ましい。シクロデキストリンとしては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンが好ましく、α-シクロデキストリンが特に好ましい。シクロデキストリンは化学修飾されていてもよく、前記モノビニル化合物(a)との相分離が生じにくい点で、シクロデキストリンの水酸基がイソプロピル基、カプロラクトン基等で修飾されていることが好ましい。また、ポリロタキサン(b)を構成する環状分子中に(メタ)アクリレート基を有することが好ましく、ポリロタキサン(b)を構成する環状分子中の末端に(メタ)アクリレート基を有することがより好ましい。環状分子が(メタ)アクリレート基を有する場合、該(メタ)アクリレート基と前記モノビニル化合物(a)中のモノビニル基が共重合することで、モノビニル化合物(a)より構成される分子鎖を複数有する環状構造体を形成し、これが動的架橋点となることで、変形時の応力を分散し、衝撃強度や耐折り曲げ性が向上すると考えられる。
本発明のポリロタキサン(b)を構成する直鎖状分子としては、特に限定されないが、耐衝撃性の発現のしやすさから、ガラス転移温度が低いものが好ましい。ガラス転移温度が低い直鎖状分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、シリコーン樹脂、ポリブタジエン等が挙げられるが、中でも、入手のしやすさの観点から、ポリエチレングリコールが好ましい。直鎖状分子の分子量は、2000~10万が好ましく、5000~5万がより好ましい。直鎖状分子の分子量が2000未満の場合、耐衝撃性の効果が小さく、10万を超える場合、モノビニル化合物(a)との相分離により、透明性、耐衝撃性が低下する場合がある。
本発明のポリロタキサン(b)を構成する封鎖基は、環状分子の直鎖状分子からの脱離を防止するものであり、例えば、アダマンチル基等が挙げられる。ポリロタキサン(b)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<スチレン系共重合体の製造方法>
本発明のスチレン系共重合体の重合方法としては塊状重合法、溶液重合、懸濁重合法等の公知のスチレン重合法が挙げられる。また、溶媒として例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレン等のアルキルベンゼン類やアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が使用できる。反応器の様式としては、完全混合型反応器、プラグフロー反応器、ループ型反応器等を組み合わせた連続重合方式が好適に用いられる。
本発明のスチレン系共重合体の重合方法では、前記モノビニル化合物(a)に対して、前記ポリロタキサン(b)を、質量基準で10~10000ppm添加することが好ましく、20~5000ppm添加することがより好ましく、30~2000ppm添加することが特に好ましい。ポリロタキサン(b)は重合原料中に添加することができるが、スチレンモノマーや重合溶媒と混合し重合工程の途中から供給しても良い。ポリロタキサン(b)の配合量が10ppm未満の場合は、耐衝撃性や耐折り曲げ性が不十分な場合があり、10000ppmを超える場合、透明性が低下する場合がある。
本発明のスチレン系共重合体を製造する際には、重合反応の制御の観点から、必要に応じて重合溶媒、有機過酸化物等の重合開始剤や脂肪族メルカプタン等の連鎖移動剤を使用することができる。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、公知慣用の例えば、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ジ(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシアセテート、t-アミルパーオキシイソノナノエート等のアルキルパーオキサイド類、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ポリエーテルテトラキス(t-ブチルパーオキシカーボネート)等のパーオキシカーボネート類、N,N’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、N,N’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、N,N’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、N,N’-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、脂肪族メルカプタン、芳香族メルカプタン、ペンタフェニルエタン、α-メチルスチレンダイマー及びテルピノーレン等の単官能連鎖移動剤や、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール水酸基をチオグリコール酸、またはメルカプトプロピオン酸でエステル化した多官能メルカプタン類等の多官能連鎖移動剤が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のスチレン系共重合体には、必要に応じてゴム質を含有する成分としてHI-PS樹脂、MBS樹脂等のゴム強化芳香族ビニル系樹脂やSBS等の芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン等が数質量%程度含有されていても良い。また、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸及びその塩やエチレンビスステアリルアミド等の滑剤、流動パラフィン等の可塑剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、顔料、消臭剤等が含まれていても良い。
<シートの製造方法>
本発明のスチレン系共重合体は、プレス成形、押出成形、射出成形、射出中空成形、ブロー成形、異形押出成形等の公知の成形法によって、各種成形品に加工することができる。また、各種発泡成形技術と組み合わせて、発泡成形体を成形したり、Tダイシート押出機、二軸延伸加工装置、インフレーション加工装置を用いて、シートやフィルムに加工することもできる。
本発明のシートの製造方法としては、溶融樹脂をTダイから押出して成形する方法や、カレンダー成形法、インフレーション成形法等が挙げられるが、生産性と膜厚精度の面からTダイを使用することが好ましい。また、シートは単層でも良く、多層シートの最外層、若しくは内層のみに本発明のスチレン系共重合体を用いてもよい。多層シートの製造方法としては、フィードブロックダイやマルチマニホールドダイを使用した共押出法や、予め表面層を単独で作成しておき、基材シートと熱ラミネートする方法が挙げられる。また、シートは通常の低倍率ロール延伸のみで成形してもよいが、ロールで1.3~7倍程度に延伸した後、テンターで1.3~7倍程度に延伸した二軸延伸シートが、強度面で好ましい。
本発明のシートの厚みは特に限定されるものではないが、一般的に0.05~10mmであり、好ましくは0.2~1mmであり、更に好ましくは0.3~0.8mmである。シート厚みが0.05mm未満の場合、シートの剛性と強度が不十分となる場合がある。また、10mmを超える場合、軽量性の面で好ましくない。
本発明のシートは発泡シートでもよい。発泡シートの製造方法としては、公知の押出発泡シート製造方法を用いることができる。具体的には、単軸押出機や二軸押出機を2基直列に配置し、1基目の押出機で発泡剤を発泡核剤とともに溶融混錬し、2基目の押出機で冷却により樹脂温度を120℃~180℃に調整した後、サーキュラーダイスにより大気に放出し減圧発泡する方法が挙げられる。
発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1-ジフルオロ-クロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素等の物理発泡剤を用いることができる。また、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム、クエン酸等の分解型発泡剤、二酸化炭素、窒素等の無機ガスや水を使用することもできる。これら発泡剤を適宜混合して使用できるが、工業的にはブタンが使用されることが多く、発泡押出性や発泡シートの二次成形性、発泡剤の観点から、イソブタンとノルマルブタンからなる混合ブタンを使用することが好ましい。ブタンはポリスチレン系樹脂に対する透過速度が遅いため、発泡押出直後は発泡シート中に通常1~3質量%程度残存する。この残存量は二次成形における二次発泡厚や熱成形性に影響するため、一定の熟成期間を設けることで適宜調整する。
発泡核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、クレー等の無機物粉末が挙げられ、これらを単独あるいは混合物としても用いることができる。中でも、気泡径を小さくする効果が大きく、安価という点でタルクが最も好ましい。発泡核剤の添加方法は特に制限が無く、直接押出機の供給孔に添加しても良いし、樹脂と共に添加することもできる。また、スチレンの単独重合体やスチレン-メタクリル酸メチル共重合体等を基材としたマスターバッチを作製し、そのマスターバッチを用いて供給することもできる。発泡核剤の添加量は通常、0.1~5質量%である。また、該マスターバッチには高級脂肪酸や高級脂肪酸の金属塩をあらかじめ配合しておいても良い。また、エチレンビスステアリルアミド等の滑剤、流動パラフィンやシリコーンオイル等の展着剤、その他の界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、耐候剤、顔料等が含まれていても良い。
発泡シートの厚さは、一般的に0.1~100mmであり、0.5~4mmが好ましく、1~3mmがより好ましい。発泡シートの厚さが0.1mm未満では、2次成形後の容器の強度や断熱性が低下する。発泡シートの厚さが100mmを超えると、2次成形時にシートの温度ムラが発生しやすく、成形性が悪化する場合がある。
発泡シートの密度は、一般的に5~500kg/mであり、50~150kg/mが好ましく、60~130kg/mがより好ましい。発泡シートの密度が5kg/m未満であると、2次成形後の容器の強度が低下する。発泡シートの密度が500kg/mを超える場合、軽量化、断熱性の観点から望ましくない。密度D(kg/m)は、発泡シートの坪量S(g/m)とシート厚さT(mm)より、D=S/Tで算出することができる。
発泡シートは、その片面もしくは両面に熱可塑性樹脂シート又はフィルムを積層することにより、成形性、強度、剛性、耐油性等の特性を改良することができる。上記、シートやフィルムを構成する熱可塑性樹脂としてはポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。シート又はフィルムの厚みに特に制限はないが、0.01mm~0.3mmが好ましい。
本発明のシートは、真空成形や圧空成形、マッチドモールド成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、リッジ成形、プラグアンドリッジ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形等、公知の熱成形方法を用いて、トレー、弁当容器、即席麺容器、納豆容器、丼容器、カップ、蓋付箱型等の各種形状や大きさの容器に加工することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
完全混合型撹拌槽である第1反応器と第2反応器及び静的混合器付プラグフロー型反応器である第3反応器を直列に接続して重合工程を構成した。各反応器の容量は、第1反応器を39リットル、第2反応器を39リットル、第3反応器を16リットルとした。スチレン95.0質量部、エチルベンゼン5.0質量部、ポリロタキサン1(PR1)0.03質量部(スチレン1モルに対して、5.5×10-8モル)、重合開始剤として、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.02質量部を添加して原料液を調整し、15.0kg/hrの供給速度で125℃に設定した第1反応器に連続的に供給し重合した。次いで、145℃に設定した第2反応器に連続的に装入し重合した後、更に150~155℃の温度勾配がつくように調整した第3反応器にて重合を進行させた。
この重合液を直列に2段より構成される予熱器付き真空脱揮槽に導入し、未反応スチレン及びエチルベンゼンを分離した後、孔ダイよりストランド状に押し出しして、コールドカット方式にて、ストランドを冷却および切断しペレット化した。なお、1段目の予熱器の温度は180℃に設定し、真空脱揮槽の圧力は66.7kPaとし、2段目の予熱器の温度は240℃に設定し、真空脱揮槽の圧力は0.4kPaとした。また、第3反応器出口では、生成するポリマーに対して、流動パラフィン1.0質量%を添加し、均一に混合した後、脱揮工程に移送した。得られたスチレン系重合体PS-1中の、スチレン(モノビニル化合物)1モルに対するポリロタキサンの含有モル数は、1H-NMR及び13C-NMRにて、溶媒としてクロロホルム-d1、内部標準としてテトラメチルシランを用いることで、測定することができる。
実施例2~9(PS-2~PS-9)、比較例1~2(PS-10~PS-11)は、表1に示す条件に変更したこと以外は実施例1と同様に行った。得られたスチレン系共重合体(PS-1~PS-11)の特性を表2に示す。
なお、表1に示す重合開始剤、ポリロタキサンは以下のものを用いた。
重合開始剤1:1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油株式会社製パーヘキサCを使用した。)
重合開始剤2:2,2-ジ(4,4-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(日油株式会社製パーテトラAを使用した。)
ポリロタキサン1(PR1):セルムスーパーポリマーSM2403P(アドバンストソフトマテリアルズ社製)
軸分子:ポリエチレングリコール、環状分子:カプロラクトン基修飾α-シクロデキストリン、環状分子中の末端官能基:メタクリレート基、封止基:アダマンチル基、重量平均分子量(Mw):60万
ポリロタキサン2(PR2):セルムスーパーポリマーSA2403P(アドバンストソフトマテリアルズ社製)
軸分子:ポリエチレングリコール、環状分子:カプロラクトン基修飾α-シクロデキストリン、環状分子中の末端官能基:アクリレート基、封止基:アダマンチル基、重量平均分子量(Mw):60万
Figure 0007179503000001
次に、前記のPS-1~11をスクリュー径40mmのシート押出機に供給した。樹脂溶融ゾーンの温度は220~250℃に設定し、Tダイより吐出量10kg/hで溶融押出した後、連続して延伸ロールにて流れ方向に3.5倍延伸した後、テンターで垂直方向に4.0倍延伸し、厚み0.25mmの2軸延伸シートを得た。得られたシートの特性を表2に示す。
なお、各種物性、性能評価は以下の方法で行った。
樹脂特性は以下の方法により評価した。
(1)メルトマスフローレイト
射出成型機を用いて試験片を作製し、JIS K7210に基づき200℃、49N荷重の条件により求めた。
(2)ビカット軟化温度
射出成型機を用いて試験片を作製し、JIS K7206に基づき50N荷重の条件により求めた。
(3)曲げ弾性率
射出成型機を用いて試験片を作製し、JIS K7171に基づき測定した。
(4)曇り度(HAZE)
射出成型機を用いて2mm厚みのプレートを作製し、JIS K7136に基づき測定した。
(5)分子量
重量平均分子量(Mw)及びZ平均分子量(Mz)、数平均分子量(Mn)、ピークトップ分子量(Mtop)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ―(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:Waters社製 アライアンスシステム2695
カラム:東ソー社製 TSKgel-GMHXL(ID)×300mm(L)
移動相:テトラヒドロフラン 0.35ml/min
試料濃度:0.2質量%
注入量:50μL
温度:40℃
検出器:示差屈折計 Waters社製 アライアンスシステム2414
単分散ポリスチレンの溶出曲線により各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出した。
(6)スチレン系共重合体中のメタクリル酸含有量
室温にて、共重合体0.5gを秤量し、トルエン/エタノール=8/2(体積比)の混合溶液に溶解後、水酸化カリウム1mol/エタノール溶液にて中和滴定を行い終点を検出し、水酸化カリウムエタノール溶液の使用量より、メタクリル酸の質量基準の含有量を算出する。なお、電位差自動検出装置(京都電子工業社製、AT-510)により測定した。
シート特性は以下の方法により評価した。
(7)シートインパクト強度
フィルムインパクトテスタ(東洋精機社製)を用いて衝撃球面10Rにて測定を行った。測定はシートの表面、裏面、各々20回ずつ行い、全ての平均値をシートインパクト強度とした。
(8)耐折り曲げ強度(MIT)
シートから押出方向(MD)を長手として幅15mm×長さ110mmの試験片を切り出し、これをMD試験片とした。また、押出方向に垂直な方向(TD)を長手とし幅15mm×長さ110mmの試験片を切り出し、これをTD試験片とした。MD試験片、TD試験片それぞれについて、東洋精機社製MIT耐折疲労試験機(MIT-DA)を使用し、試験速度175rpm、折り曲げ角度90度、荷重0.5kgf、折り曲げクランプのR0.38mm、折り曲げクランプの開き1.2mmの条件にて、破断に至るまでの折り曲げ回数を求めた。得られた値のMD、TD平均値を耐折り曲げ強度とした。
Figure 0007179503000002
実施例のスチレン系共重合体から作成したシートは、ポリロタキサンを共重合していない比較例に比べてシートインパクト強度と耐折り曲げ強度が大きく向上している。
本発明のスチレン系共重合体を用いることで、透明性、耐衝撃性のバランスに優れる成形品、非発泡シート、発泡シートを得る事ができ、該シートを熱成形した容器は、耐衝撃性、耐折り曲げ性に優れるため、食品包装容器等の高強度化や薄肉化が可能となる。

Claims (7)

  1. 少なくともスチレン系単量体及びアクリル系モノマーを含むモノビニル化合物(a)と、環状分子、前記環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子、前記直鎖状分子の両末端に配置され前記環状分子の脱離を防止する封鎖基を有するポリロタキサン(b)を含み、
    前記ポリロタキサン(b)を構成する環状分子中に(メタ)アクリレート基を有し、
    前記モノビニル化合物(a)1モルに対して、前記ポリロタキサン(b)を1.0×10-9~5.0×10 -6 モル含むことを特徴とする、スチレン系共重合体。
  2. 前記アクリル系モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ブチル、及びメタクリル酸メチルから選択される1種以上を含む、請求項1に記載のスチレン系共重合体。
  3. 前記ポリロタキサン(b)を構成する環状分子中の末端に(メタ)アクリレート基を有する、請求項1又は2に記載のスチレン系共重合体。
  4. 前記スチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)が10万~80万である、請求項1~のいずれか1項に記載のスチレン系共重合体。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載のスチレン系共重合体を成形してなる、成形品。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載のスチレン系共重合体を成形してなる、シート。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載のスチレン系共重合体を成形してなる、二軸延伸シート。
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