JP4216911B2 - ポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主に建築物の壁、床、屋根等の断熱材や畳芯材等として好適に使用されるポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリスチレン系樹脂板状発泡体は、優れた断熱性及び良好な機械的強度を有することから断熱材等の用途に幅広く用いられている。
【0003】
ポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法としては、従来より種々の方法が知られているが、一般には、発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂の発泡性組成物を、押出機内より低圧雰囲気下に押出発泡せしめて発泡体を得る押出発泡法が採用されている。
【0004】
従来、ポリスチレン系樹脂板状発泡体を製造するために用いる発泡剤としては、気体状態での熱伝導率が空気に比べて低く、また、ポリスチレン系樹脂に対する透過速度が空気に比べて極めて遅いため、得られる発泡体の経時による断熱性の低下を防止し易いという理由から、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、トリクロロトリフロロエタン等の塩素化フッ素化炭化水素(以下、CFCと称する。)が広く用いられていた。
【0005】
しかしながら、これらのCFCは、大気中で分解され難くオゾン層まで到達して分子中の塩素原子がオゾン層を破壊するという問題を有しているので、環境保護の観点から、近年、その使用が制限されている。このためポリスチレン系樹脂発泡体の製造に用いられているCFCを、分子中に水素原子を有し大気中で比較的分解され易いオゾン破壊係数の小さい塩素化フッ素化炭化水素(以下、HCFCと称する)や、分子中に水素原子を有し且つ塩素原子を有していないオゾン破壊係数が0のフッ素化炭化水素(以下、HFCと称する)に代替移行することが急務となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、押出発泡法によりポリスチレン系樹脂板状発泡体を製造する場合、発泡性組成物の発泡は、該組成物が押出機内よりも低圧雰囲気下に押出された後に始まらなければならない。発泡性組成物が押出機内から押し出される前に、発泡性組成物内の発泡剤の分離や気化が生じて押出機内のダイス内部で発泡が起こると、均一な気泡構造が得られないばかりか、発泡体の外観が著しく悪化し、更には押出機の運転条件も不安定になり、良好な発泡体を得ることができなくなってしまう。このため押出機内のダイス内部における圧力を、発泡剤の分離や気化が起こらないような一定以上の高い圧力に維持しておく必要がある。
【0007】
しかしながら、前記HCFCやHFCは、発泡剤として従来より用いられてきたCFCに比べ、ポリスチレン系樹脂との相溶性や均一分散性に劣るものがあり、そのようなHCFCやHFCを発泡剤として用いると、押出機内で原料樹脂と発泡剤とが分離し、通常使用されているフラットダイスの内部で発泡が起こり易くなってしまう。そして、このような傾向は発泡剤の使用量を多くしたときに顕著となるが、特に上記HCFCやHFCを発泡剤として用いた場合には、発泡剤の使用量を多少多くしただけで押出機内のリップ付近における樹脂の圧力を高く維持することが困難となる。このため、ポリスチレン系樹脂との相溶性に劣るHCFCやHFCを発泡剤として用いた場合、低密度のポリスチレン系樹脂発泡体を得るのに必要十分な量の発泡剤を添加することができず、従って高発泡倍率(低密度)の発泡体を得ることは困難であった。
【0008】
一方、押出温度を低くして発泡性組成物の粘度を上げ、これによって押出機内のリップ付近の樹脂圧力を高く保つようにすれば、押出機内のダイス内部において、発泡剤の原料樹脂からの分離や気化が生じるのを防ぐことが一応可能である。
【0009】
しかしながら、この場合には、発泡性組成物の温度が低くなっているので、押出発泡後、発泡体の温度が原料樹脂の熱変形温度を短時間で下回ってしまい、このため発泡開始から終了までの時間が短く、発泡剤の膨張力が残っている間に発泡性組成物の温度が原料樹脂の熱変形温度未満になってしまう。従って、発泡剤が十分に気化する前に発泡が終了する温度へ到達してしまい、発泡剤の膨張力を十分に生かし切れないため、目的とする低密度の発泡体が得られ難いという問題がある。
【0010】
更に、MFRの小さな原料樹脂を用いることにより、押出温度を下げることなく発泡性組成物の粘度を高くし、押出機内のリップ付近の樹脂圧力を高く維持する方法も考えられる。
【0011】
しかしながら、この場合には、原料樹脂のMFRを極端に小さくしなければならず、その結果、原料樹脂の流動性が損なわれてリップから押し出される樹脂の流れに乱れが生じてしまうため、発泡成形性が悪くなり、特に、発泡体を平滑な板状に成形するのが困難となってしまうという問題がある。
【0012】
本発明者らは上記知見に鑑み鋭意研究を重ねたところ、原料樹脂のMFRを発泡体の発泡成形性が損なわれない範囲としたまま押出機内のリップ付近での樹脂の圧力を高くするために、原料樹脂のz平均分子量:Mzを5×105 以上にして該原料樹脂中に高分子量成分が多く含まれるようにするとともに、重量平均分子量:Mwと数平均分子量:Mnとの比:Mw/Mnを3.2以上として原料樹脂の分子量分布を広くし、低分子量の成分もある程度以上含まれるようにして低分子量成分の存在により原料樹脂の流動性を確保することで、ポリスチレン系樹脂との相溶性に劣るHCFCやHFCを発泡剤として用いた場合であっても低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を良好に製造することができることを見出して先に提案した(特願平8−298120号)。しかしながら更に本発明者等は鋭意研究した結果、動的粘弾性測定によって求められる貯蔵弾性率:G´が特定の条件を満たし、Mw/Mnが3.2未満であるポリスチレン系樹脂を用いると、HCFCやHFCのポリスチレン系樹脂との相溶性によらず、低密度で優れた板状のポリスチレン系樹脂発泡体が得られるとともに、上記方法よりも更に機械的強度等に優れたポリスチレン系樹脂発泡体を得ることができることを見出し本発明を完成するに至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明のポリスチレン系樹脂発泡体の製造方法は、ポリスチレン系樹脂に発泡剤を含有させてなる発泡性組成物をフラットダイスから押出し発泡させて、該ダイスリップ先端に接続する成形具を通過させ、厚み10〜200mm、密度20〜40kg/m3のポリスチレン系樹脂板状発泡体を製造する方法において、上記ポリスチレン系樹脂が、220℃の温度条件下で振動歪みを与える動的粘弾性測定において、角周波数:ω=10-1〜101(rad/sec)の範囲において、貯蔵弾性率:G’の傾き値が0.91.1の範囲にあり、且つZ平均分子量が5×105以上で、重量平均分子量:Mwと数平均分子量:Mnとの比:Mw/Mnが3.2未満の樹脂であることを特徴とする。本発明方法において、発泡剤としては1,1,1,2−テトラフロロエタン又はそれを含む混合物が好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において原料樹脂として使用するポリスチレン系樹脂としては、例えばスチレンホモポリマーや、スチレンを主成分とするスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、耐衝撃性ポリスチレン等を挙げることができる。上記スチレン系共重合体におけるスチレン成分含有量は好ましくは70重量%以上である。
【0015】
本発明において原料として用いるポリスチレン系樹脂は、220℃の温度条件下で振動歪みを与える動的粘弾性測定において、角周波数:ω=10-1〜101(rad/sec.)の範囲において、貯蔵弾性率:G’の傾き値が0.9〜1.1の範囲にあるものである。
【0016】
上記貯蔵弾性率:G´の傾き値は、動的粘弾性測定機(例えばレオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製のダイナミックアナライザーSR200型等)により測定することができる。貯蔵弾性率:G´の傾き値とは、220℃に温度を保持した状態で、線形領域内において角周波数:ωを変化させて動的粘弾性測定を行って得た貯蔵弾性率:G´の対数値を縦軸に、G´に対応するωの対数値を横軸にプロットした結果より求めることができる。本発明方法において動的粘弾性の測定は、厚さ2mmの測定用サンプル樹脂板を調製し、このサンプルを動的粘弾性測定機の直径25mmのパラレルプレート間に挟んで220℃に昇温し、更に約10分間放置した後、線形領域内(応力1×104 dyn/cm2 )で行った。本発明における貯蔵弾性率:G´の傾き値とは、上記のようにして求めたG´の対数値を縦軸に、そのG´に対応するωの対数値を横軸にプロットし、べき乗回帰計算により、回帰式
【0017】
【数1】
G´=A×ωB ・・・(1)
【0018】
のBの値として求められる。尚、ω=10-1〜101 の範囲におけるωとG´との値は対数値のグラフ上においてほぼ等間隔に選択される10点以上のデータを基に算出するものとする。図1に動的粘弾性測定によって求められるω=10-1〜102 の範囲のωに対するG´を表す曲線A、ω=10-1〜101 の範囲においてべき乗回帰計算により求めたωとG´の近似的な直線関係を表す直線B、及びωに対するtanδ(損失弾性率G´´÷貯蔵弾性率G´)を表す曲線Cを示す。直線Bは、ω=10-1〜101 の範囲におけるグラフ上、等間隔の11点のデータ(下記表1中、No.6〜16のωとG´の値)を基にべき乗回帰計算により求めた直線であり、G´の傾きは1.02である。
【0019】
【表1】
Figure 0004216911
【0020】
尚、貯蔵弾性率はポリスチレン系樹脂の溶融状態において、測定温度をより低くした場合には貯蔵弾性率:G´の傾き値は小さくなり、より高くした場合には貯蔵弾性率:G´の傾き値は大きくなる傾向があるため測定温度を特定する必要がある。本発明者等が貯蔵弾性率の測定温度として220℃を選定した理由は次の通りである。即ち、ダイスリップ内での発泡剤を含む樹脂の粘性挙動を非ニュートン流体の矩形スリットと仮定し、一般的に用いられている式より、ダイスリップ内の見かけ粘度を求める。また、フローテスタの等速昇温試験(装置:島津フローテスタCFT−500、オリフィス:直径1mm、ランド長:2mm、荷重:10kg、昇温速度:5℃/分)によって樹脂の見かけ粘度を求める。ここでは、フローテスタによって求められた220℃での樹脂の見かけ粘度が、ダイスリップ内での見かけ粘度とほぼ一致するため、動的粘弾性の測定温度を220℃に選定した。
【0021】
上記G´の傾き値が0.80未満の場合には、発泡時の樹脂の弾性が高いことにより気泡の成長が妨げられ、非常に細かい気泡構造のものしか得られなくなり、発泡成形性が悪くなり、大幅な低密度化を図ることができなくなる。またG´の傾き値が1.20を超える場合には、リップ付近の樹脂圧力を保持することが困難となり、圧力を保持するためには発泡温度を下げなければならなくなり、この結果、発泡倍率の向上が望めなくなる。
【0022】
本発明で用いる原料樹脂は、また、z平均分子量が5×105 以上のものである。z平均分子量が5×105 未満の場合、原料樹脂中の高分子量成分が少ないため、機械的強度に優れた発泡体が得られ難くなる。
【0023】
本発明で用いる原料樹脂としては、更に重量平均分子量:Mwと数平均分子量:Mnとの比:Mw/Mnが3.2未満のものを用いる。Mw/Mnが3.2以上の場合には低分子量成分が多く含まれるため、機械的強度が低下し易くなるが、Mw/Mnが3.2未満のものを用いることにより、機械的強度に優れた発泡体を得ることが可能となる。
【0024】
本発明において、上記z平均分子量、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求めるものとし、原料樹脂10mgをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、これを分別カラムに通して分子量を測定する。詳しくは、上記分子量は、島津製作所社製GPC−LC3A型(HSGシリーズ充填カラムHSG−60、HSG−50、HSG−40を直列に連結したもの)と島津製作所社製示差屈折計検出機RID−4型を使用し、カラム温度:室温、流速:1.7ml/分の測定条件にて測定される値を採用した。
【0025】
貯蔵弾性率:G´の傾き値、z平均分子量及びMw/Mnの値が、上記した本発明の範囲内となるポリスチレン系樹脂は、例えば3官能以上の有機過酸化物を重合開始剤として用い、以下、従来周知の通りスチレンモノマーを重合して、本発明にて特定される範囲のものを重合条件等の調整により得ることができる。また2種以上のポリスチレン系樹脂混合物やポリスチレン系樹脂とその他の樹脂との混合物の混合比等を検討して上記本発明の範囲内のポリスチレン系樹脂を調製することもできる。
【0026】
本発明において原料樹脂として用いるポリスチレン系樹脂は、2種以上のポリスチレン系樹脂の混合物であっても良い。この場合、混合によって貯蔵弾性率:G´の傾き値、z平均分子量及びMw/Mnの値が、本発明の範囲内のものとなるように調製する。本発明において用いるポリスチレン系樹脂は、MFRが1〜10g/10分のもの、更に1〜5g/10分のものが好ましい。
【0027】
必要に応じて上記原料樹脂中には、本発明の所期の目的を妨げない範囲で、例えばタルク等の気泡調整剤、ヘキサブロモシクロドデカン等の難燃剤、流動パラフィン等の流動性向上剤等の各種添加剤や、更に着色剤、熱安定剤、充填剤等の各種添加剤を添加することもできる。
【0028】
本発明方法において用いる発泡剤としては、ポリスチレン系樹脂に対する透過速度が空気に比べて極めて遅いために、得られる発泡体の経時による断熱性能の低下を防止し易く、しかもオゾン層を破壊する虞れがないか或いは極めて少ないHCFC、HFCが好ましい。本発明方法では、貯蔵弾性率:G´の傾き値、z平均分子量及びMw/Mnの値が特定の範囲にあるポリスチレン系樹脂を原料樹脂として用いたことにより、HCFCやHFCを発泡剤として用いても、曲げ強度等の機械的強度が高く、断熱性に優れた低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を良好に製造することができる。尚、1,1,1,2−テトラフロロエタン等は、従来より発泡剤として用いられてきたCFCに比較してポリスチレン系樹脂との相溶性や均一分散性に劣るため、発泡体の低密度化を図り難い発泡剤とされていたが、このような発泡剤を用いても、上記と同様の効果が得られる。
【0029】
上記、HCFCとしては例えば、1−クロロ−1,1−ジフロロエタン(HCFC−142b)、1,1−ジクロロ−1−フロロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフロロエタン(HCFC−124)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフロロエタン(HCFC−123)、クロロジフロロメタン(HCFC−22)等が挙げられ、HFCとしては例えば、1,1,1,2−テトラフロロエタン(HFC−134a)、1,1−ジフロロエタン(HFC−152a)、1,1,1−トリフロロエタン(HFC−143)、トリフロロメタン(HFC−23)、ジフロロメタン(HFC−32)、1,1,1,2,2−ペンタフロロエタン(HFC−125)等が挙げられる。これらの発泡剤は2種以上を混合して用いても良い。また特に、HFC−134aを発泡剤全量に対して30モル%以上使用する場合、本発明における前記強度、発泡倍率向上効果はより顕著なものとなる。
【0030】
本発明において原料樹脂に対する発泡剤の使用量は、得ようとする発泡体の密度に応じて適宜選定されるが、一般には、密度20〜40kg/m3 の発泡体を得るための発泡剤の添加量は、原料樹脂1kgあたり0.8〜2.0モルが好ましい。また、本発明では、発泡体の断熱性を阻害しない程度に、補助成分として上記したHCFCやHFC以外の発泡剤を、発泡剤全量に対して20〜90モル%混合して用いることが、発泡倍率向上効果、発泡体の気泡径調整効果の面で好ましい。このような発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、塩化エチレン等の塩素化炭化水素、各種アルコール、二酸化炭素等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、補助成分として例示した上記HCFCやHFC以外の発泡剤だけを使用した場合でも、本発明方法によれば、従来法に比べてより低密度の板状発泡体を得ることができる。
【0031】
発泡体を製造するには、例えば押出機内で原料樹脂に発泡剤を添加してこれらを溶融混練し、次いでこの溶融混練物からなる発泡性組成物を押出機内よりも低圧の雰囲気に押出して発泡せしめる方法が採用されるが、発泡性組成物を押出機のリップから押出す際の押出温度は、発泡性組成物が発泡に適した溶融粘度となるような温度であることが必要がある。発泡に適した溶融粘度となるような押出温度は、使用するポリスチレン系樹脂の種類、ポリスチレン系樹脂への流動性向上剤の添加の有無、流動性向上剤を添加する場合にはその種類や添加量、更に発泡剤の添加量や発泡剤の成分組成等によっても異なるが、一般的には110〜140℃である。
【0032】
本発明方法は、特に厚みが10〜200mm、密度が20〜40kg/m3のポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法である。また幅が厚みの5倍以上の発泡体を製造する場合に好適な方法である。
【0033】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0034】
実施例1
図1の直線Bに示した、貯蔵弾性率:G´の傾き値が1.02であるポリスチレン系樹脂(Z平均分子量=5.44×105 、Mw/Mn=2.65、MFR=1.6g/10分)を原料樹脂として用い、この樹脂100重量部当たりに対し、気泡調整剤としてタルクを0.3重量部、難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを2重量部添加し、更に熱安定剤を添加混合して樹脂組成物を調製した。尚、難燃剤と熱安定剤の添加には、両者を含むマスターバッチを用いた。
【0035】
口径65mm、90mm、150mmのシリンダーが順次連結された押出機の、口径65mmのシリンダー側に上記樹脂組成物を供給して溶融するとともに、発泡剤として1,1,1,2−テトラフロロエタン、塩化メチル、イソブタンの混合物(モル比で5:4:1の混合物)を、原料樹脂1kg当たり1.15モルの割合で圧入して樹脂組成物と溶融混練した。この発泡性組成物を、口径65mmのシリンダー側から、口径90mmのシリンダー、口径150mmのシリンダーへと順次移送し、口径150mmのシリンダーの押出機内において、表2に示す押出温度に調整した後、押出機先端のリップから押出発泡させて発泡体を得た。押出温度とその時のリップ付近の圧力を表2にあわせて示す。
【0036】
尚、リップとしては先端に幅115mm、間隙1mmの樹脂排出口を備えたフラットダイスを使用した。またリップの先端には、樹脂排出口より若干大きい入口と、厚さ26mm、幅280mmの出口とを有する通路を形成してなり、通路内容積が入口付近から出口に向かって緩やかに拡大した後、平行となる構造のフッ素樹脂製の成形具を接続しておいた。
【0037】
得られた発泡体の密度、曲げ強度、及び発泡成形性の評価を表2にあわせて示す。尚、曲げ強度は以下の方法で測定した。また押出温度とリップ付近の樹脂圧力との関係を図2に、リップ付近の樹脂圧力と得られた発泡体の密度との関係を図3に、また得られた発泡体の曲げ強度と密度との関係を図4に示す。
【0038】
〔曲げ強度の測定〕
試料幅を50mm、支点間距離を150mmとし、JIS−A9511に準拠して求めた。
【0039】
実施例2
貯蔵弾性率:G´の傾き値、Z平均分子量、Mw/Mnの値、MFRが表2に示す値のポリスチレン系樹脂(2種類のポリスチレン系樹脂を混合することにより調製)を用いた他は、実施例1と同様にして押出発泡を行い発泡体を得た。押出温度とその時のリップ付近の圧力及び、得られた発泡体の性状を表2にあわせて示す。また押出温度とリップ付近の樹脂圧力との関係を図2に、リップ付近の樹脂圧力と得られた発泡体の密度との関係を図3に、また得られた発泡体の曲げ強度と密度との関係を図4に示す。
【0040】
比較例1〜5
貯蔵弾性率:G´の傾き値、Z平均分子量、Mw/Mnの値、MFRが表2に示す値のポリスチレン系樹脂を用いた他は、実施例1と同様にして押出発泡を行い発泡体を得た。押出温度とその時のリップ付近の圧力及び、得られた発泡体の性状を表2にあわせて示す。また押出温度とリップ付近の樹脂圧力との関係を図2に、リップ付近の樹脂圧力と得られた発泡体の密度との関係を図3に、また得られた発泡体の曲げ強度と密度との関係を図4示す。尚、比較例4では発泡体が得られなかったため、図2〜図4には比較例4の結果を示していない。
【0041】
【表2】
Figure 0004216911
【0042】
※1:ダイスのリップ付近内部で発泡が起こり、良好な発泡体が得られなかった。
※2:発泡成形が困難であり、板状の発泡体を得ることができなかった。
【0043】
上記実施例及び比較例に示す場合には、リップ付近の樹脂圧力(発泡性組成物の圧力)が45kg/cm2 程度を境にして、これよりも樹脂圧力が低くなるとダイスのリップ付近内部で発泡が起こり良好な発泡体が得られなくなった。
【0044】
図2に示す結果より、同じ押出温度では実施例の方が比較例よりもリップ付近の樹脂圧力を高く維持できる。従って、比較例1〜3及び比較例5の場合にはリップ付近の樹脂圧力が発泡不可領域内にあるような押出温度であっても、実施例1、2ではリップ付近の樹脂圧力が発泡可能領域内にあり、十分に満足できる低密度の発泡体を得ることができるので、実施例1、2では比較例1〜3及び比較例5の場合よりも押出温度を高くすることができることが判る。
【0045】
また、図3に示す結果より、リップ付近の樹脂圧力を押出機のダイスのリップ付近内部で発泡が起こらない限界まで低くした場合も、比較例1〜3及び比較例5の場合よりも、実施例1、2の場合の方が低密度の発泡体を得ることができることが判る。
【0046】
更に、図4に示すように実施例1、2で得られたポリスチレン系樹脂板状発泡体の曲げ強度を、比較例1〜3及び比較例5で得られた発泡体の曲げ強度と比較すると、同じ発泡体密度において実施例1、2で得られたものの方が優れることが判る。
【0047】
このように、本発明によれば低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を得るための押出温度やリップ付近の樹脂圧力等の成形条件が広くなり、低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を良好に製造することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明方法は、貯蔵弾性率:G´の傾き値、z平均分子量、Mw/Mnの値が特定の範囲にあるポリスチレン系樹脂を原料樹脂として用いたことにより、HCFCやHFC等の発泡剤を用いて低密度のポリスチレン系樹脂発泡体を容易に得ることができるとともに、HCFCやHFCは、CFCに比べて大気中で比較的容易に分解され易いため、環境保護の上でも利点も有する(尚、従来、低密度(高発泡倍率)のポリスチレン系樹脂発泡体を得ることが困難とされていた、HFC−134a等のポリスチレン系樹脂に対して相溶性の悪い発泡剤を使用した場合であっても上記効果が得られる。)。また本発明方法によれば、低密度であるとともに、曲げ強度等の機械的強度が高く、断熱性に優れたポリスチレン系樹脂板状発泡体を良好に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】220℃における動的粘弾性測定によって得られる、ωの値に対応するG´とtanδの値をプロットしたグラフである。
【図2】実施例及び比較例における発泡成形の際の押出温度と、リップ付近の樹脂圧力との関係を示すグラフである。
【図3】実施例及び比較例における発泡成形の際のリップ付近の樹脂圧力と、得られた発泡体の密度との関係を示すグラフである。
【図4】実施例及び比較例にて得られた発泡体の曲げ強度と、発泡体の密度との関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. ポリスチレン系樹脂に発泡剤を含有させてなる発泡性組成物をフラットダイスから押出し発泡させて、該ダイスリップ先端に接続する成形具を通過させ、厚み10〜200mm、密度20〜40kg/m3のポリスチレン系樹脂板状発泡体を製造する方法において、上記ポリスチレン系樹脂が、220℃の温度条件下で振動歪みを与える動的粘弾性測定において、角周波数:ω=10-1〜101(rad/sec)の範囲において、貯蔵弾性率:G’の傾き値が0.91.1の範囲にあり、且つZ平均分子量が5×105以上で、重量平均分子量:Mwと数平均分子量:Mnとの比:Mw/Mnが3.2未満の樹脂であることを特徴とするポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法。
  2. 発泡剤が1,1,1,2−テトラフロロエタン又はそれを含む混合物である請求項1記載のポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法。
JP07263197A 1996-10-22 1997-03-10 ポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法 Expired - Fee Related JP4216911B2 (ja)

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