JP4028081B2 - ポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法 - Google Patents
ポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主に建築物の壁、床、屋根等の断熱材や畳芯材等として好適に使用されるポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリスチレン系樹脂板状発泡体は、優れた断熱性及び好適な機械的強度を有することから断熱材等の用途に幅広く用いられている。
【0003】
ポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法としては、従来より種々の方法が知られているが、一般には、押出機内でポリスチレン系樹脂に発泡剤を添加して溶融混練し、この発泡性組成物を押出機から低圧雰囲気下に押出発泡せしめて発泡体を得るという方法が採用されている。
【0004】
上記の如きポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法において、気体状態での熱伝導率が空気に比べて低く、また、ポリスチレン系樹脂に対する透過速度が空気に比べて極めて遅いために得られる発泡体の経時による断熱性の低下を防止し易いという理由から、発泡剤としてはトリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、トリクロロトリフロロエタン等の塩素化フッ素化炭化水素(以下、CFCと称する)が従来より好適に用いられてきた。
【0005】
しかしながら、これらのCFCは、大気中で分解され難くオゾン層まで到達して分子中の塩素原子によりオゾン層を破壊してしまうという問題を有しており、環境保護の観点から、近年、その使用が制限されている。このためポリスチレン系樹脂発泡体製造に用いる発泡剤は、分子中に水素原子を有し大気中で比較的分解され易いオゾン破壊係数の小さいフッ素化炭化水素(以下、HCFCと称する)又は分子中に水素原子を有し且つ塩素原子を有していないオゾン破壊係数が0のフッ素化炭化水素(以下、HFCと称する)に早急に代替移行する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したような押出発泡法によってポリスチレン系樹脂板状発泡体を製造する場合、発泡性組成物が押出機内から低圧雰囲気下に押出されてから発泡がはじまらなければならない。即ち、発泡性組成物が押出機のリップから押出される前に、発泡性組成物中から発泡剤の分離、気化が生じて押出機内のダイスのリップ付近で発泡が起こると、均一な気泡の発泡体が得られないばかりか、発泡体の外観が著しく悪化し、更には押出機の運転条件も不安定になり、良好な発泡体を得ることができなくなってしまう。このため、使用する発泡剤の種類や量によってもその値は異なるが、押出機内のリップ付近におけるダイス圧力は、発泡性組成物からの発泡剤の分離、気化が起こらないようにするために一定以上の高い圧力に維持する必要がある。
【0007】
しかしながら、前記HCFCやHFCは、発泡剤として従来より用いられてきたCFCに比べ、ポリスチレン系樹脂との相溶性や均一分散性に劣るものが多く、HCFCやHFCを発泡剤として用いると、押出機内のリップ付近で原料樹脂と発泡剤とが分離して、通常使用されるフラットダイスのリップ付近内部で発泡が起こり易くなってしまう。そして、このような傾向は発泡剤の使用量を多くしたときに顕著となり、HCFCやHFCを発泡剤として用いた場合には、発泡剤の使用量を多くすると押出機内のリップ付近におけるダイス圧力を高く維持することが困難となり、低密度のポリスチレン系樹脂発泡体を得るのに必要十分な量の発泡剤を添加することができないので、密度の低い発泡体が得られ難いという問題があった。
【0008】
一方これに対して、押出温度を低くして発泡性組成物の粘度を上げ、これによって押出機内のリップ付近のダイス圧力を高く保つことで、発泡剤の分離、気化を防ぐことは一応可能である。
【0009】
しかしながら、この場合には、発泡性組成物の温度が低くなっているので、その温度が押出発泡後短時間で原料樹脂の熱変形温度を下回ってしまい、発泡開始から終了までの時間が短く、発泡剤の膨張力が残っている間に発泡性組成物の温度が原料樹脂の熱変形温度未満になってしまう。このため、発泡剤が十分に気化する前に発泡が終了する温度へ到達してしまい、発泡剤の膨張力を十分に生かし切れずに目的とする密度になるまで十分に発泡した低密度の発泡体が得られないという問題がある。
【0010】
また、MFRの小さな原料樹脂を用いれば、押出温度を下げることなく発泡性組成物の粘度を高くして押出機内のリップ付近のダイス圧力を高く維持することができるようにも思われる。
【0011】
しかしながら、この場合には、原料樹脂のMFRを極端に小さくしなければならず、その結果、原料樹脂の流動性が損なわれてリップから押し出される樹脂の流れに乱れが生じてしまうために発泡成形性が悪くなり、特に、発泡体を平滑な板状に成形するのが困難となってしまうという問題がある。
【0012】
本発明者らは上記知見に鑑み鋭意研究を重ねたところ、原料樹脂のMFRを発泡体の発泡成形性が損なわれない範囲としたまま押出機内のリップ付近でのダイス圧力を高くするために、z平均分子量(Mz)を5×105 以上にして該原料樹脂中に高分子量成分が多く含まれるようにするとともに、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を3.2以上とすることにより低分子量成分がある程度以上含まれるようにして原料樹脂の流動性を確保することで、HCFCやHFCを発泡剤として用いた場合であっても、低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を得ることができることを見出し先に出願した(特願平8−298120号)。そこで本発明者等は更なる研究を行ったところ、特にMw/Mnが3.2未満のものであっても、特定のz平均分子量を有するとともに、外部滑剤0.01〜1.0重量%、内部滑剤0〜1.0重量%含有するポリスチレン系樹脂を原料を用いることで、HCFCやHFCを発泡剤として用いた場合であっても低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を良好に製造することができることを見出した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(1) ポリスチレン系樹脂と発泡剤とを、押出機内で溶融混練してなる発泡性組成物をフラットダイスのリップから押出して発泡させ、成形具を通過させて、厚み20〜100mm、密度20〜50kg/m 3 のポリスチレン系樹脂板状発泡体を製造する方法において、該ポリスチレン系樹脂は、外部滑剤の含有量が0.01〜1.0重量%、内部滑剤の含有量が0〜1.0重量%(0重量%も含む。)であり、且つz平均分子量(Mz)が5×105 以上、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.2未満、MFRが1〜10g/10分であることを特徴とするポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法、(2)前記内部滑剤の含有量が0.05〜1.0重量%である上記(1)記載のポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法、(3)外部滑剤が脂肪酸金属塩及び/又は脂肪酸アミドであり、内部滑剤が流動パラフィンであることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法を要旨とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において原料樹脂として使用するポリスチレン系樹脂としては、例えばスチレンホモポリマーや、スチレンを主成分とするスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、耐衝撃性ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン等を挙げることができる。上記スチレン系共重合体におけるスチレン成分含有量は好ましくは70重量%以上である。
【0015】
本発明では、原料樹脂としてMFRが1〜10g/10分、好ましくは1〜3g/10分のものを用いる。但し、本発明でいうMFRとは、ASTM D−1238の条件Gにより測定されたものをいう。
【0016】
MFRが上記範囲内にある原料樹脂を用いると、成形性に優れるとともに、機械的強度にも優れた発泡体を得ることができる傾向にあるが、原料樹脂のMFRが上記範囲に満たないとその流動性が著しく低下してしまうため、押出機のリップから押し出される樹脂の流れに乱れが生じ、得られる発泡体の表面が波打つ等して成形性が損なわれる傾向があり、平滑な板状の発泡体を得ることが困難となり好ましくない。また、上記範囲を超える場合には、押出機内のリップ付近のダイス圧力が著しく低下するばかりか、得られる発泡体の機械的強度や耐熱性が低下してしまう虞れがある。
【0017】
また、本発明で用いる原料樹脂のz平均分子量は5×105 以上であり、好ましくは6×105 以上である。z平均分子量が5×105 以上のものは、原料樹脂中に高分子量の成分が多く含まれており、発泡成形の際の押出機内のリップ付近におけるダイス圧力を高く維持することができる。原料樹脂のz平均分子量が5×105 に満たない場合には、原料樹脂中に含まれる高分子量成分が少なく押出機内のリップ付近のダイス圧力が低下してしまうため、押出機内のリップ付近で内部発泡が起こってしまい良好な発泡体が得られない。
【0018】
本発明では原料樹脂のz平均分子量を5×105 以上、より好ましくは6×105 以上とするとともに、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を3.2未満とする。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.2以上の場合、高分子量成分が多く含まれるものの、一方で低分子量成分の含有量も多くなるため、重量平均分子量(Mw)が低くなり、その結果、発泡体の機械的強度が不充分となる場合がある。
【0019】
本発明において、z平均分子量、重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、原料樹脂10mgをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、これを分別カラムに通して分子量を測定する、いわゆるゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求めるものとする。詳しくは、上記分子量は、島津製作所社製GPC−LC3A型(HSGシリーズ充填カラムHSG−60、HSG−50、HSG−40を直列に連結したもの)と島津製作所社製示差屈折計検出機RID−4型を使用し、カラム温度:室温、流速:1.7ml/分の測定条件にて測定される値を採用する。
【0020】
また、MFR、z平均分子量及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、上記した本発明の範囲内となるポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系樹脂の高強度化を図るために、重合時の反応温度を低く設定する等、分子量を高める公知の方法により得ることができる。
【0021】
また、本発明では、2種以上のポリスチレン系樹脂の混合物を原料樹脂として用いても良い。本発明において、2種以上のポリスチレン系樹脂を混合することによって、MFR、z平均分子量及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、上記した本発明の範囲内となるように調製することもできる。
【0022】
2種以上のポリスチレン系樹脂を混合して原料樹脂を調製する場合、混合に用いる少なくとも1種以上のポリスチレン系樹脂のz平均分子量が6×105 以上であるのが好ましい。混合に用いる少なくとも1種以上のポリスチレン系樹脂のz平均分子量を6×105 以上とすることにより、混合に用いる他の樹脂成分のz平均分子量が多少小さくても、原料樹脂のz平均分子量を容易に本発明の範囲内とすることができるため、回収原料を混合した原料樹脂を使用する場合や、難燃剤、着色剤等の添加剤をマスターバッチ等で原料樹脂に比較的多量に混合する場合に特に好ましい。
【0023】
本発明において、上記原料ポリスチレン系樹脂中には、外部滑剤が含有されているとともに、更に必要により内部滑剤が含有される。外部滑剤の含有量は0.01〜1.0重量%、内部滑剤の含有量は0〜1.0重量%である。外部滑剤の含有量が0.01重量%未満であるとリップから押出される樹脂の流れに乱れが生じ、発泡体が波打つ等して平滑な板状発泡体が得られず、1.0重量%を超えると押出機内のダイスリップ付近の圧力を維持することが難しく、低密度の発泡体を得ることが困難となる。外部滑剤の好ましい含有量は0.03〜0.7重量%である。また外部滑剤とともに内部滑剤を含有させると、押出発泡時の樹脂の伸びが向上するため、高厚み、高倍率の発泡体が得られ易いという効果があるが、内部滑剤の含有量が1.0重量%を超えると発泡体の耐熱性が著しく低下するため、内部滑剤の含有量は1.0重量%以下とすることが必要である。内部滑剤の含有量は好ましくは0.05〜1.0重量%である。
【0024】
上記外部滑剤としては、ステアリン酸アマイド、ステアリン酸ビスアマイド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩等が用いられる。また内部滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、天然ワックス等、及びステアリン酸、ポリエチレンワックス、オリゴマー等が挙げられる。上記外部滑剤、内部滑剤は、それぞれ2種以上を混合して用いることができる。また外部滑剤と内部滑剤を併用する場合、外部滑剤として脂肪酸アミド及び/又は脂肪酸金属塩を用い、内部滑剤として流動パラフィンを用いることが好ましい。
【0025】
本発明では、必要に応じて上記原料樹脂に気泡調整剤、難燃剤、流動性向上剤、着色剤、熱安定剤、充填剤等の各種添加剤を、本発明の所期の目的を妨げない範囲で添加することもできる。
【0026】
本発明では、ポリスチレン系樹脂に対する透過速度が空気に比べて極めて遅いことから、得られる発泡体の経時による断熱性能の低下を防止し易く、しかもオゾン層を破壊する虞がないか或いは極めて少ない等の理由で、発泡剤としてはHCFC又はHFCが好適に用いられる。
【0027】
本発明で用いるHCFCの具体例としては、1−クロロ−1,1−ジフロロエタン(HCFC−142b)、1,1−ジクロロ−1−フロロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフロロエタン(HCFC−124)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフロロエタン(HCFC−123)、クロロジフロロメタン(HCFC−22)等を挙げることができ、HFCの具体例としては、1,1,1,2−テトラフロロエタン(HFC−134a)、1,1−ジフロロエタン(HFC−152a)、1,1,1−トリフロロエタン(HFC−143)、トリフロロメタン(HFC−23)、ジフロロメタン(HFC−32)、1,1,1,2,2−ペンタフロロエタン(HFC−125)等が挙げられ、これらは混合して用いても良い。
【0028】
本発明において原料樹脂に添加する発泡剤の使用量は、得ようとする発泡体の密度に応じて適宜決定されるが、一般には、密度20〜50kg/m3 の発泡体を得るためには原料樹脂1kgあたり0.8〜2.0モルが好ましい。
【0029】
また、本発明では、発泡体の断熱性を阻害しない程度に、補助成分として上記したようなHFCやHCFCを除くその他の発泡剤を、HFC及び/又はHCFCに混合して用いることができる。このような発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、塩化エチレン等の塩素化炭化水素、各種アルコール、二酸化炭素等を単独で又は2種以上を併用したものが挙げられる。尚、HCFC及び/又はHFCを発泡剤全量に対して30〜70モル%の範囲で使用することが、発泡倍率向上効果、安全性、経済性の面で好ましい。特に、(a)HFC及び/又はHCFCを30〜70モル%、(b)塩素化炭化水素を0〜70モル%、(c)脂肪族炭化水素を0〜30モル%混合(但し、上記(a)、(b)及び(c)の合計が100モル%で、(b)と(c)の合計が30〜70モル%となるように混合する。)して使用することが好ましい。また、補助成分として例示したHFCやHCFCを除くその他の発泡剤だけを使用した場合でも、本発明における特定のポリスチレン系樹脂を使用することにより、従来のものに比べてより低密度の板状発泡体を得ることができる。
【0030】
本発明では、押出機内で原料樹脂に発泡剤を添加し、これらを溶融混練して形成した発泡性組成物を押出機内よりも低圧の雰囲気に押し出して発泡せしめるが、この発泡性組成物を押出機のリップから押出す押出温度は、発泡性組成物が発泡に適した溶融粘度を示す範囲内の温度である必要がある。発泡に適した粘度を示す押出温度は、使用されるポリスチレン系樹脂の種類、流動性向上剤の添加量、更に発泡剤の添加量や発泡剤の成分組成等によっても異なるが、一般には110〜140℃である。
【0031】
本発明において発泡剤として好適に用いられるHFCやHCFCは、従来より発泡剤として用いられてきたCFCに比較してポリスチレン系樹脂との相溶性や均一分散性に劣り、得られる発泡体の低密度化を図り難いものが多いが、本発明方法では、上記したように外部滑剤の含有量が0.01〜1.0重量%、内部滑剤の含有量が0〜1.0重量%であり、且つMFRが1〜10g/10分、z平均分子量が5×105 以上、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.2未満のポリスチレン系樹脂を原料として用いたことにより、HFCやHCFCを発泡剤として用いても、曲げ強度等の機械的強度が比較的高い、断熱性に優れた低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を良好に製造することができ、本発明は、特に厚み20〜100mm、密度20〜50kg/m3 の低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を製造するのに好適である。
【0032】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
実施例1〜2、比較例1〜4
表1に示す外部滑剤と、必要により内部滑剤を含有し、且つ表1に示すMFR値、z平均分子量、Mw/Mn値を有するポリスチレン樹脂100重量部に対し、難燃剤として安定剤を含有するヘキサブロモシクロドデカンを2重量部、気泡調整剤としてタルクを0.3重量部添加して混合し、口径65mm、90mm、150mmのシリンダーが順次連結された押出機の、口径65mmのシリンダー側から上記混合物を供給して溶融するとともに、1,1,1,2−テトラフロロエタンとメチルクロライドとイソブタンとを、50:40:10のモル比で混合した発泡剤を、樹脂1kg当り1.15モルの割合で、口径65mmのシリンダーの先端付近において樹脂中に圧入して混練した。
【0034】
樹脂は口径65mmのシリンダー内において200℃で加熱溶融されて発泡剤とともに溶融混練した後、この口径65mmのシリンダーに続く口径90mm、口径150mmのシリンダーに順次移送しながら表2に示す押出温度(樹脂温度)に調整した後、リップから押出した。押出機内のリップ付近のダイス圧力を表2にあわせて示す。また、得られた発泡体の諸物性を測定した結果を表2にあわせて示した。
【0035】
尚、リップとしては、先端に幅115mm、間隙1mmの樹脂排出口を備えたものを使用し、リップの先端には入口寸法が樹脂排出口より大きく、出口寸法が厚さ50mm、幅260mmであり、入口付近から出口に向かって緩やかに拡大した後、平行な構造を有するフッ素樹脂製の成形具を接続しておいた。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
※1 発泡体の平均気泡径は、ASTM D−3576に基づいて、厚み方向、幅方向、押出方向の平均気泡径をそれぞれ測定し、それらの算術平均値を平均気泡径として表2に示した。
※2 発泡体の耐熱性は、得られた発泡体を80℃のオーブン中で24時間加熱し、
発泡体の加熱前後の寸法変化率が5%未満 ・・・・・○
発泡体の加熱前後の寸法変化率が5%以上 ・・・・・×
として評価した。
※3 押出機内のリップ付近で発泡が生じ、良好な発泡体が得られなかった。
※4 発泡成形が困難であり、平滑な板状の発泡体を得ることができなかった。
【0039】
図1は上記実施例1、2、比較例1、3、4における押出温度とリップ付近のダイス圧力との関係をグラフに示したものであり、図2はこれら実施例、比較例におけるリップ付近のダイス圧力と得られた発泡体の密度との関係をグラフに示したものである。また、上記実施例及び比較例では、リップ付近のダイス圧力が45kg/cm2 を境にこれよりも低くなると、ダイスのリップ付近内部で発泡が起こり良好な発泡体が得られなかった。
【0040】
図1からも判るように、同じ押出温度では実施例の方が比較例よりもリップ付近のダイス圧力を高く維持できる。よって、比較例の場合にはリップ付近のダイス圧力が発泡不可領域内にあるような押出温度であっても、実施例ではリップ付近のダイス圧力が発泡可能領域内にあり(図1をみてみると、例えば押出温度が125℃のとき、比較例4ではリップ付近のダイス圧力が発泡不可領域内にあるが、実施例1、2の場合には、いずれもリップ付近のダイス圧力は45kg/cm2 以上であり発泡可能領域内にある)、十分に満足できる低密度の発泡体を得ることができるので、実施例の場合には比較例の場合よりも押出温度を高くすることができる。
【0041】
また、図2からも判るように、リップ付近のダイス圧力を押出機のダイスのリップ付近内部で発泡が起こらない限界まで低く調整した場合、実施例では比較例に比べて低密度の発泡体を得ることができる。
【0042】
このように、本発明によれば低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を得るための押出温度やリップ付近のダイス圧力等の成形条件が広くなり、低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を良好に製造することがでる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、外部滑剤含有量が0.01〜1.0重量%、内部滑剤含有量が0〜1.0重量%であり、且つMFRが1〜10g/10分、z平均分子量が5×105 以上、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.2未満であるポリスチレン系樹脂を用いて押出発泡体を得る方法を採用したことにより、CFC以外の発泡剤を使用しても、曲げ強度等の機械的強度が比較的高く、断熱性等の物性に優れた低密度のポリスチレン系樹脂板状発泡体を良好に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例における発泡成形の際の押出温度(樹脂温度)と、リップ付近のダイス圧力との関係を示すグラフである。
【図2】実施例及び比較例における発泡成形の際のリップ付近の樹脂ダイス圧力と、得られた発泡体の密度との関係を示すグラフである。
Claims (3)
- ポリスチレン系樹脂と発泡剤とを、押出機内で溶融混練してなる発泡性組成物をフラットダイスのリップから押出して発泡させ、成形具を通過させて、厚み20〜100mm、密度20〜50kg/m 3 のポリスチレン系樹脂板状発泡体を製造する方法において、該ポリスチレン系樹脂は、外部滑剤の含有量が0.01〜1.0重量%、内部滑剤の含有量が0〜1.0重量%(0重量%も含む。)であり、且つz平均分子量(Mz)が5×105 以上、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.2未満、MFRが1〜10g/10分であることを特徴とするポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法。
- 前記内部滑剤の含有量が0.05〜1.0重量%である請求項1記載のポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法。
- 外部滑剤が脂肪酸金属塩及び/又は脂肪酸アミドであり、内部滑剤が流動パラフィンであることを特徴とする請求項1又は2記載のポリスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法。
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