JP4130133B2 - スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外観、特に低温成形時における色相が良好である透明性に優れたスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂は安価でポリスチレンの特性を有しながら耐熱性が高い樹脂として知られており、電子レンジ用食品容器等に用いられている。しかしながら、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂はポリスチレンに比べ色相等の外観の悪さが指摘されており、近年におけるデザイン志向から、さらなる改良が求められている。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の外観の改良については、種々の方法が知られている。従来残留単量体と鉄含有量を少なくすることで光変色を改良する技術が開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、光変色は改良されるものの、200℃以下の低温成形における色相が悪い等の課題に対しては必ずしも満足できるものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−92462号公報(第2−6頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、重合後の残存単量体量が少なく、外観、特に低温成形時における色相が良好な透明性に優れたスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の外観、特に低温成形における色相の悪化は、スチレン系単量体に含まれる4−t−ブチルカテコール等の重合禁止剤量、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸の重合転化率、脱揮槽における条件が影響していることを見出し本発明に至った。
【0006】
即ち本発明は、重合禁止剤が10ppm未満のスチレン系単量体80〜99質量部と(メタ)アクリル酸1〜20質量部(但し単量体の合計が100質量部)を転化率50〜85質量%まで重合した後、脱揮槽で単量体を除去して得られることを特徴とするスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の製造方法であり、直列に接続した2基以上の脱揮槽を用い、第1脱揮槽では温度140〜220℃、圧力4〜93kPa、第2脱揮槽以降では温度220〜260℃、圧力0.1〜3kPaで単量体を除去することを特徴とするスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の製造方法である。
また、重合禁止剤が4−t−ブチルカテコールであることを特徴とするスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の製造方法である。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するスチレン系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられるが、好ましくはスチレンである。これらのスチレン系単量体は、それぞれ単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。
【0008】
通常、市場で入手できるスチレン系単量体には10〜30ppm程度の重合禁止剤が含まれている。本発明では、重合禁止剤を蒸留や吸着等の公知の手法により除去または減少させたスチレン系単量体を用いる。スチレン系単量体中の重合禁止剤は0.05ppm以上10ppm未満、好ましくは0.05ppm以上5ppm未満、さらに好ましくは0.1ppm以上3ppm未満である。スチレン系単量体中の重合禁止剤が0.05ppm未満であると共重合体が白濁する場合があり、10ppm以上であると、色相、特に低温成形における色相が悪いものとなる。
スチレン系単量体に含まれる重合禁止剤としては、ハイドロキノンに代表されるハイドロキノン類や4−t−ブチルカテコールに代表されるカテコール類等が挙げられるが、市販のスチレン系単量体から重合禁止剤を除去する際には、スチレン系単量体に吸着剤として活性アルミナを使用したときに、効率よく重合禁止剤を除去または減少させることができる。4−t−ブチルカテコールを含むスチレン系単量体から上記の方法により本発明に用いる所望の重合禁止剤濃度を有するスチレン系単量体を得ることができる。
【0009】
本発明で使用する(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれた一種以上の単量体である。スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸の比率は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸の合計100質量部に対して、スチレン系単量体は80〜99質量部、好ましくは83〜98質量部、さらに好ましくは85〜97質量部、また(メタ)アクリル酸は1〜20質量部、好ましくは2〜17質量部、さらに好ましくは3〜15質量部である。該範囲外の場合は、スチレン系単量体が99質量部を越えると耐熱性が低いものになり、また80質量部未満では耐熱性が高すぎ樹脂の流動性が低下して成形品が得られない場合がある。
(メタ)アクリル酸に含まれる重合禁止剤の種類及び含有量については特に規定されないが、種類はフェノール系、カテコール系、ハイドロキノン系、含窒素化合物、含硫黄化合物、無機金属化合物等から選ばれる少なくとも一種の化合物を、(メタ)アクリル酸に対して150ppm以下、好ましくは20ppm以下、特に好ましくは0.1ppm以下用いることができる。150ppmを超える重合禁止剤を有する(メタ)アクリル酸から重合禁止剤を除去する方法は、前記のスチレン系単量体から重合禁止剤を除去する方法に準じる。
【0010】
本発明ではスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸以外の単量体、例えば、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体等もスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸の合計100質量部に対して10質量部以下であれば使用しても差し支えない。
【0011】
重合時、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等の公知のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の有機過酸化物を用いることができる。また、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンや2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。
また、エチルベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤を用いることもできる
【0012】
スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸は転化率50〜85質量%、好ましくは55〜80質量%、さらに好ましくは62〜75質量%まで重合する。50質量%未満の場合は生産効率が悪く、また単量体を除去する脱揮中に単量体の重合が起こりやすく透明性が劣りやすい。85質量%を越える場合は重合組成が不均一になりやすく白濁し外観性が低下する場合がある。
転化率は、温度や原料溶液の供給速度等の条件により調整できる。
本発明の転化率は、重合液の樹脂率を測定し、使用する溶剤濃度から次式[数1]により算出する。
【数1】
尚、樹脂率は一般的な記載であり本願での測定法は、重合液約3gを精秤してトルエン約30gに溶解し、これをメタノール約400g中に攪拌しながら1〜2分程度で均一に滴下して固形物を析出させ、No.5Aの濾紙で濾過した後、温度70℃で4時間乾燥させた固形物の質量より次式[数2]を用いて算出する。なお、溶剤濃度は重合液の中の溶剤濃度であり、ガスクロマトグラフィー(GC)により測定を行う。
【数2】
【0013】
本発明の重合は好ましくは反応器として完全混合槽を用いる。反応器として完全混合槽を用いない場合は白濁した樹脂が得られる場合がある。さらに2基以上直列につながった完全混合槽(上流側から第1完全混合槽、第2完全混合槽、以下第3完全混合槽、第4完全混合槽等と順次呼ぶ)を用いて(メタ)アクリル酸の一部を第2完全混合槽以降に添加するとさらに好ましい場合がある。
本発明における重合は溶液重合または塊状重合が採用できる。また様式としては、連続式重合法が経済性または、着色の原因となりうる回分式の懸濁重合に用いられる懸濁安定剤を用いない等の品質面の観点から好ましい。
【0014】
スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸の重合液は、脱揮槽で単量体を除去する。脱揮槽としては公知のものが使用できるが、直列に2基以上接続した脱揮槽(上流側から第1脱揮槽、第2脱揮槽、以下第3脱気槽、第4脱気槽等と順次呼ぶ)を用い、第1脱揮槽では温度が140〜220℃、さらに好ましくは150〜210℃、圧力が4〜93kPa、さらに好ましくは10〜80kPa、第2脱揮槽以降では温度が220〜260℃、さらに好ましくは225〜260℃、圧力が0.1〜3kPa、さらに好ましくは0.15〜2kPaで単量体を除去することが好ましい。該範囲外の場合は、色相に対する改良効果が少ないばかりか、白濁し外観性が低下する場合がある。
【0015】
単量体を除去した後のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂中に残存するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸の合計は、好ましくは50ppm以上700ppm未満、さらに好ましくは50〜500ppm、特に好ましくは100〜300ppmである。700ppm以上では成形時に臭気が強くなり、着色が強くなる傾向があるので好ましくない。また50ppm未満では、脱揮槽の温度を高温にしたり、特殊なポンプを使用して真空度を上げたり、槽の温度以下の低揮発物を系内に添加し沸騰時にモノマーを同伴除去する必要があるが、変動費の上昇によるコスト高のみならず、脱気時において熱履歴による共重合樹脂の色相が悪くなる傾向があり、白濁し外観性が低下する場合がある。残存単量体量は脱揮槽における条件等で調整できる。
【0016】
本発明では色相の判断として、JIS K7105に準拠してハンターダイアグラムにおけるb値を採用する。b値の測定には、共重合樹脂を成形温度190℃または230℃で成形した2mm厚の成形品を使用する。なお、成形は射出成形を用い、成形温度とは射出成形機のシリンダー設定温度を言うものとする。
本発明における成形温度190℃における成形品の2mm厚のb値(b1)の範囲は1.0未満であることが好ましく、更に好ましくは0.8未満、特に好ましくは0.6未満である。b1値が1.0以上であると、成形品の黄色味が強く色相が劣るものとなり好ましくない。
【0017】
本発明の共重合樹脂において、成形温度230℃における成形品の2mm厚のb値(b2)とb1の差の絶対値△b(|b1−b2|)は0.5以下、好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下である。絶対値△b(|b1−b2|)が0.5を超えると見た目に色相が異なるので好ましくない。
【0018】
本発明では任意の段階で必要に応じて、酸化防止剤、ゲル化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃剤等の添加剤を添加することができる。
【0019】
本発明で得られたスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂は、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等の公知の方法により各種成形体に加工され実用に供されるが、好ましくは射出成形に適し供せられる。また、必要ならば、ポリスチレン、MS樹脂(メチルメタクリレート−スチレン樹脂)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエン樹脂)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂・エラストマー)等の他の樹脂と溶融混錬したり、他の樹脂と直接一緒に成形しても差し支えない。
【0020】
本発明で得られたスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂を成形した成形体の透明性の観点から曇価が1.0%以下であることが好ましいが、透明性が要求される成形体に関しては、より好ましくは曇価が0.6%未満、特に好ましくは0.5%未満である。
【0021】
【実施例】
次に実施例をもって本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0022】
参考例
4−t−ブチルカテコールが12ppm含まれるスチレン100質量部に活性アルミナ0.2質量部を添加して混合し、4−t−ブチルカテコールを吸着させた後、ろ紙で活性アルミナを除去した。混合時間を変更することで、4−t−ブチルカテコールが6ppm、3ppm、0.1ppm含まれる3種のスチレンを得た。なお、同様な試験をハイドロキノンが100ppm含まれるメタクリル酸で実施したところ0.1ppmのハイドロキノンを含有するものが得られた。
【0023】
実施例1
容積約5Lの第1完全混合槽と約15Lの第2完全混合槽を直列に接続し、さらに予熱器を付した第1脱揮槽と第2脱揮槽を2基直列に接続して構成した。参考例で得られた4−t−ブチルカテコールが0.1ppm含まれるスチレン95質量部、参考例で得られたハイドロキノンを0.1ppm含まれるメタクリル酸(以下MAAと略する)5質量部で構成する単量体溶液100質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.2質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで温度135℃に制御した第1完全混合槽に供給した。第1完全混合槽出口での転化率は28質量%であった。次に第1完全混合槽より連続的に抜き出し、135℃に制御した第2完全混合槽に供給した。第2完全混合槽出口での転化率は63質量%であった。次に第2完全混合槽より連続的に抜き出し、予熱器で加温し、圧力67kPa、温度160℃に制御した第1脱揮槽に導入した。さらに第1脱揮槽より連続的に抜き出し、予熱器で加温し、圧力1.3kPa、温度230℃に制御した第2脱揮槽に導入し単量体を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂を得た。表1に物性評価結果を示した。
【0024】
実施例2
参考例で得られた4−t−ブチルカテコールが3ppm含まれるスチレンを用いた以外は実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0025】
実施例3
原料溶液を毎時5.0kgで供給した以外は、実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0026】
実施例4
スチレン90質量部、MAA10質量部で構成する単量体溶液を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0027】
実施例5
第1脱揮槽と第2脱揮槽を何れも圧力1.3kPa、温度230℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0028】
実施例6
第2脱揮槽を圧力3.6kPaとした以外は、実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0029】
実施例7
第1脱揮槽を温度130℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0030】
実施例8
第1脱揮槽を温度240℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0031】
実施例9
第2脱揮槽を温度270℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0032】
実施例10
第2脱揮槽を圧力0.09kPaとした以外は、実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0033】
実施例11
参考例で得られた4−t−ブチルカテコールが6ppm含まれるスチレンを用いた以外は実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0034】
実施例12
参考例で得られた4−t−ブチルカテコールが0.1ppm含まれるスチレン95質量部、参考例で得られたハイドロキノンを0.1ppm含まれるMAA4質量部で構成する単量体溶液99質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.2質量部を混合し原料溶液とし、この原料溶液を毎時5.948kgで温度135℃に制御した第1完全混合槽に供給した。さらに、第2完全混合槽にMAAを毎時52g供給した。それ以外は実施例1と同様に実施した。表1に物性評価結果を示した。
【0035】
比較例1
4−t−ブチルカテコールが12ppm含まれるスチレンを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。表2に物性評価結果を示した。
【0036】
比較例2
原料溶液を毎時4.0kgで供給した以外は、実施例1と同様に実施した。表2に物性評価結果を示した。
【0037】
比較例3
原料溶液を毎時7.5kgで供給した以外は、実施例1と同様に実施した。表2に物性評価結果を示した。
【0038】
比較例4
参考例で得られた4−t−ブチルカテコールが0.1ppm含まれるスチレン78質量部、MAA22質量部で構成する単量体溶液を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。表2に物性評価結果を示したが成形時樹脂の流動性が悪く成形品が得られなかった。
【0039】
比較例5
参考例で得られた4−t−ブチルカテコールが0.1ppm含まれるスチレン100質量部で構成する単量体溶液を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。表2に物性評価結果を示した。
【0040】
比較例6
4−t−ブチルカテコールが18ppm含まれるスチレンを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。表2に物性評価結果を示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
なお、評価は下記の方法によった。
(1)4−t−ブチルカテコール及び残存スチレン、残存MAA量の測定(イ)4−t−ブチルカテコール量の測定
試料に水酸化ナトリウムを加え撹拌し、着色した液を分光光度計で吸光度を測定(波長486nm)し、あらかじめ作成しておいた検量線より濃度を算出した。
(ロ) 残存スチレンは下記記載のGC測定条件で測定した。
装置名:島津製作所社製 GC12A FID検出器
カラム:ガラスカラム φ3mm×3m
充填剤:ポリエチレングリコール
キャリヤー:窒素
温度:カラム温度115℃、注入口温度220℃
試料ペレット0.5g、シクロペンタン0.001gをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、シクロペンタンを内部標準として測定した。
(ハ) 残存MAAは下記記載のGC測定条件で測定した。
装置名:島津製作所社製 GC14B FID検出器
カラム:ガラスカラム φ3mm×3m
充填剤:ジエチレングリコールサクシネート
キャリヤー:窒素
温度:カラム温度110℃、注入口温度180℃
試料ペレット0.5gをクロロホルム10mlに溶解し、N,N−ジメチルホルムアミドを内部標準として測定した。
【0044】
(2)低温成形色相(b1)、高温成形色相(b2)、Δb(|b1−b2|)
東芝機械(株)社製射出成形機(IS−50EP)を用いて、シリンダー温度190℃および230℃、金型温度40℃の条件で厚さ1mm、2mm、3mmの3段プレートを成形した。この3段プレートの2mm部を用い、日本電色工業(株)社製色差計Σ80を用いて、JISK7105に準拠してb値を測定した(単位:−)。成形温度190℃における成形品のb値(b1)と成形温度230℃における成形品b値(b2)の差の絶対値Δb(|b1−b2|)は、0.5以下のものを合格として判定した。
【0045】
(3)成形時の臭気
(2)△b(b1)の評価において、3段プレート成形中に官能試験を実施した。3段プレート成形中に5人の測定者に臭気を直接嗅いで1点(無臭)、2点(僅かに臭う)、3点(臭い)、4点(かなり臭い)、5点(耐えられない)の5段階で評価した。5人の合計点数が10点未満のものを○、10点以上15点未満のものを△、15点以上のものを×として判定した。
【0046】
(4)透明性
東芝機械(株)社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度190℃、金型温度40℃の条件で厚さ1mm、2mm、3mmの3段プレートを成形した。この3段プレートの2mm部を用い、ASTM D1003に準拠し、日本電色工業社製HAZEメーター(NDH−1001DP型)を用いて曇価を測定した(単位:%)。曇価が1%以下を合格として判定した。
【0047】
本発明の製造方法で得られた共重合樹脂に関わる実施例は、比較例と比較すると、色相及び透明性に優れかつ、成形時の臭気が少なく良好であった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られたスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂は、重合後の残存単量体量が少なく、外観、特に成形品にしたときの低温成形時における色相が良好で透明性に優れており、弱電部品や雑貨等多方面に利用でき有用である。
Claims (3)
- 重合禁止剤が10ppm未満のスチレン系単量体80〜99質量部と(メタ)アクリル酸1〜20質量部(但し単量体の合計が100質量部)を転化率50〜85質量%まで重合した後、脱揮槽で単量体を除去して得られることを特徴とするスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の製造方法。
- 直列に接続した2基以上の脱揮槽を用い、第1脱揮槽では温度140〜220℃、圧力4〜93kPa、第2脱揮槽以降では温度220〜260℃、圧力0.1〜3kPaで単量体を除去することを特徴とする請求項1記載の共重合樹脂の製造方法。
- 重合禁止剤が4−t−ブチルカテコールであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の共重合樹脂の製造方法。
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