JP3577380B2 - スチレン系樹脂の連続的製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂の連続的製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はGP,HIPS,AS,ABSを始めとするスチレン系樹脂の連続塊状および/または溶液重合における製造方法に関するものである。さらに詳しくは、特定の物性を有する連鎖移動剤を用いることによって、回収工程に連鎖移動剤が混入せず、精製工程が大幅に省略されたスチレン系樹脂の連続的製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は、懸濁重合法、乳化重合法、連続塊状あるいは溶液重合法により製造されている。懸濁重合法や乳化重合法では分散剤あるいは乳化剤などの不純物を多く含むので色が悪く、製造コストがかかる上に廃水が多量に出るという環境上の問題がある。
【0003】
一方、連続塊状あるいは溶液重合法は製造コストが低く、廃水も出ず、原料のリサイクル性も高く、非常に優れた製造方法である。連続塊状あるいは溶液重合法では、スチレン系単量体および/またはスチレン系単量体と共重合可能な単量体と有機溶剤を混合し、必要な場合にはゴムを溶解させる原料調合工程、原料を反応槽中で攪拌しながら加熱し、必要な場合には触媒や分子量調整のための連鎖移動剤を加えて重合させる重合工程、重合によって生成したスチレン系樹脂と未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを分離する分離工程、その未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを回収する回収工程、回収工程で回収した後、再び原料として使用するために精製する精製工程、生成したスチレン系樹脂を粒状の製品にする造粒工程、の各工程を経てスチレン系樹脂を製造している。
【0004】
原料のリサイクルは重合工程終了後、分離工程でスチレン系樹脂と未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤を脱揮発させることによって分離し、回収工程でその脱揮発させた未反応の単量体有機溶剤、連鎖移動剤を冷却することによって回収し、精製工程で精製されてリサイクルされる。この原料のリサイクルのための精製に大きなエネルギーを要している。
【0005】
また、リサイクル原料中には連鎖移動剤も回収され、混合しているので、その濃度によって生産できる銘柄に制限が生じる。すなわち、原料調合工程で原料を調合するとき、リサイクル原料に必要以上の連鎖移動剤が入っているためにその原料を希釈して使用するにもタンクの容量などに限度があるため、生産できない銘柄が生じる。したがって精製工程に連鎖移動剤が含まれないようにすることが課題である。
【0006】
しかし、ただ沸点の高い連鎖移動剤を用いて精製工程に含まれないようにするだけでは、連鎖移動剤が全量スチレン系樹脂中に入るので、通常よく使用されるメルカプタン類のように、硫黄臭のきついものが多量に入ることになり、食品用途などには向かなくなる。さらに、連鎖移動剤がスチレン系樹脂中に入ることによって、色や光沢の品質が落ちることは大きな問題となる。したがって精製工程に連鎖移動剤が入らないようにすることが大きな課題であるが、なおかつスチレン系樹脂中に入る連鎖移動剤をできるだけ減らすことも課題となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
連続塊状あるいは溶液重合法においては、この連鎖移動剤のリサイクルが大きな問題であった。スチレン系樹脂の連続塊状および溶液重合プロセスにおいて前記の問題点、すなわち精製工程に連鎖移動剤が含まれることによってその分離に大きなエネルギーを要することからくるコスト問題、リサイクル原料中に含まれる連鎖移動剤の濃度によって生産できる銘柄が制限されてしまうという問題が解決され、安価に提供できるスチレン系樹脂の製造方法が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、連続塊状および/または溶液重合によってスチレン系樹脂を製造する場合、分離工程において未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などと該スチレン系樹脂とを分離するために行う脱揮の条件を特定することにより、回収、精製工程に連鎖移動剤が入らず、使用する連鎖移動剤量が少ないのでスチレン系樹脂中に入る連鎖移動剤量を少なくできることによって、従来の技術上の問題点を解決し、今までと同等の物性をもつスチレン系樹脂が製造できるという驚くべき事実を見出して本発明を完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、スチレン系単量体および/またはスチレン系単量体と共重合可能な単量体と有機溶剤を混合し、必要な場合にはゴムを溶解させる原料調合工程、原料を反応槽中で攪拌しながら加熱し、必要な場合には触媒や分子量調整のための連鎖移動剤を加えて重合させる重合工程、重合によって生成したスチレン系樹脂と未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを分離する分離工程、その未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを回収する回収工程、回収工程で回収した後、再び原料として使用するために精製する精製工程、生成したスチレン系樹脂を粒状の製品にする造粒工程、の各工程からなるスチレン系樹脂の連続塊状または溶液重合において、
(1)蒸気圧と温度の関係が、温度範囲200℃以上280℃以下において、温度をt℃、蒸気圧をPtorrとすると定数A,B,Cを用いてAntoineの式logP=A−B/(C+t)の蒸気圧曲線で表されるとき、F(t)=A−B/(C+t)とすると下記の式〔I〕(数2)を満足し、
【0010】
【数2】
F(t)<1 〔I〕
且つ、
(2)ターシャリードデシルメルカプタンよりも連鎖移動効率が高く、
且つ、
(3)一般式(式1)(化I)であるチオール置換基を少なくとも1個有するチオール置換脂肪族炭化水素及び/又はチオール置換芳香族炭化水素である連鎖移動剤を用い、
分離工程において未反応の単量体や有機溶剤などと該スチレン系樹脂と分離するために行う脱揮の条件が真空度10torr以上150torr以下、温度200℃以上280℃以下であることを特徴とするスチレン系樹脂の連続的製造方法を提供することにある。
【0011】
【化2】
Figure 0003577380
但し、nは1〜3の整数である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の製造法について詳細に説明する。
【0013】
本発明における分子量調節のための連鎖移動剤としては、
(1)蒸気圧と温度の関係が、温度範囲200℃以上280℃以下において、温度をt℃、蒸気圧をPtorrとする定数A,B,Cを用いてAntoineの式logP=A−B/(C+t)の蒸気圧曲線で表されるとき、F(t)=A−B/(C+t)とするとF(t)<1を満足し、且つ
(2) ターシャリードデシルメルカプタンよりも連鎖移動定数の高いものが使用される。
【0014】
スチレン系樹脂の製造に従来から用いられている連鎖移動剤であるターシャリードデシルメルカプタンよりも連鎖移動効率の高い連鎖移動剤を使用することによって重合で使用する連鎖移動剤の使用量を減少することができるので、樹脂中に残っても量が少なく、しかも(1)で規定されているように蒸気圧が小さいので得られるスチレン系樹脂の臭気を減少することができる。
【0015】
本発明のターシャリードデシルメルカプタンよりも連鎖移動効率の高い連鎖移動剤とは、同じ重合条件で同じ分子量のスチレン系樹脂を重合する際に、ターシャリードデシルメルカプタンの使用量よりも少量で良い連鎖移動剤であり、例えば連鎖移動定数または、例えば120℃で連鎖移動剤を添加してスチレン系樹脂を重合して分子量測定することで選択できる。
【0016】
本発明で使用する連鎖移動剤は同じ分子量のスチレン系樹脂を重合する場合にターシャリードデシルメルカプタンの使用量より少なければ使用できるが、ターシャリードデシルメルカプタンの使用量の好ましくは0.8倍重量以下、よりより好ましくは0.7倍重量以下、さらにより好ましくは0.6倍重量以下である。
【0017】
このような連鎖移動剤としては上記の要件を満たしていれば特に限定する必要はないが、好ましくは一般式(式I)(化3)であるチオール置換基を少なくとも1個有するチオール置換脂肪族炭化水素及び/又はチオール置換芳香族炭化水素である連鎖移動剤が例示される。
【0018】
【化3】
Figure 0003577380
但し、nは1〜3の整数である。
【0019】
好ましくはメルカプトプロピオン酸エステル類やさらに沸点の高いものが用いられ、具体的には、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を始めとする該脱揮条件である真空度10torr以上150torr以下、温度200℃以上280℃以下において、分解しにくく、スチレン系単量体と共沸しにくく、さらに分子量調整能力を表す連鎖移動効率が従来使用のものより高いものである。
【0020】
本発明におけるスチレン系単量体としては、スチレンおよびその誘導体、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ジビニルベンゼンなどの一種以上が用いられ、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、特に好ましくはスチレン、α−メチルスチレンが用いられる。スチレン系単量体は重合原料中の各種単量体の総量100重量部に対し通常25〜100重量部の範囲で用いられる。
【0021】
本発明でスチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体を共重合することもでき、この共重合可能なビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのアクリロニトリル系単量体、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、n−フェニルマレイミド、n−メチルフェニルマレイミド、n−シクロヘキシルマレイミド、n−エチルマレイミドなどのマレイミド系単量体、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸誘導体などを挙げることができる。これらの単量体は使用しなくてもよいし、一種または二種以上を組み合わせても使用できる。
【0022】
特にアクリロニトリル、メチルメタクリレート、n−フェニルマレイミド、無水マイン酸の使用が好ましく、アクリロニトリルを使用した場合は樹脂の耐薬品性が向上し、メチルメタクリレートを使用した場合は樹脂の硬度が、n−フェニルマレイミドを使用した場合耐熱性が、また無水マレイン酸を使用した場合は耐熱性、耐候性が向上する。これらは重合原料中の各種単量体の総量100重量部に対し通常0〜75重量部の範囲で用いられる。
【0023】
本発明の方法において原料としてゴム状重合体をグラフトされる成分として用いることもできる。
【0024】
該ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、イソプレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体などが好ましい。さらに好ましくはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が用いられる。ゴム状重合体の溶液粘度は、ゴム状重合体の濃度が5重量%のスチレン溶液を25℃で測定した値が3〜400センチポイズ、特に3〜200センチポイズ、さらには5〜100センチポイズの範囲にあることが好ましい。これらは重合原料中の各種単量体の総量100重量部に対し通常4〜50重量部の範囲で用いられる。
【0025】
本発明においては重合開始剤を用いることができる。ベンゾイルパーオキシサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシオクエート、クミルパーオキシオクトエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの有機過酸化物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物を使用することができる。これらは重合原料中の各種単量体の総量100重量部に対し通常0.001〜5.0重量部の範囲で用いられる。
【0026】
本発明においては有機溶剤を用いることができる。ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトン、、イソプロピルベンゼン、メチルエチルケトンなどが挙げられ、特にエチルベンゼン、トルエンの使用が好ましい。有機溶剤を多く用いると、重合速度が抑えられて生産性が低下し、さらにゴム状重合体を分散相に転移させる場合には重合中にゴム状重合体粒子が凝集し易くなる。また有機溶剤の連鎖移動性のため、有機溶剤を多く用いた場合にはゴム状重合体への単量体の重合すなわちグラフト重合が阻害されてしまう。したがって、有機溶剤は重合原料中の各種単量体の総量100重量部に対し通常5〜50重量部、好ましくは5〜45重量部、さらに好ましくは5〜40重量部の範囲で用いられる。本発明で言う反応槽とは、特定されたタイプの反応槽に限定されるものではないが、例えば、完全混合型反応槽、管型あるいは塔型反応槽などを用いることができる。
【0027】
本発明では、重合温度は通常50〜180℃、好ましくは80〜140℃の範囲で行われる。重合温度が50℃より低いと重合速度が低いため生産性が悪くなり、また180℃以上では低分子量の共重合体が多く生成し、製品の耐熱性が悪化するので好ましくない。
【0028】
本発明における平均滞留時間としては、通常0.2〜5時間が適当である。平均滞留時間が0.2時間より短いと、重合原料が十分に重合されないまま反応槽を素通りしてしまう現象が起こり、製品の物性が低下する。平均滞留時間が5時間より長いと、生産量が減少し、樹脂の製造費用が増加し、生産性が低下する。本発明における脱揮条件としては、真空度10torr以上150torr以下、温度200℃以上280℃以下が適当である。200℃以下、150torr以上で脱揮すると、分離が悪くなって、製品中の未反応の単量体や有機溶剤などが残るので物性の低下が起こり、280℃以上、10torr以下は設備上難しい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0030】
実施例1
連続的重合装置である容積4Lの完全混合型反応槽を用いてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。反応槽にスチレン72.9重量部、ゴム状重合体7.1重量部、エチルベンゼン20.0重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(=PTMP)0.05重量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチ1シクロヘキサン0.03重量部からなる原料を2.0kg/hで連続的に供給して単量体の重合を行い、重合温度を調節して反応槽出口における固形分すなわち重合液中のゴム状重合体とスチレン重合体の量を重合液に対して45.0重量%にした。このとき重合温度120℃であった。なお、ゴム状重合体としては、25℃における5重量%濃度のスチレン溶液の粘度が55センチポイズであるブタジエン重合体を用いた。
【0031】
次いで、脱揮による分離工程、造粒工程を経てペレット化した。このように製造されたゴム変性スチレン系樹脂の重合条件、脱揮条件を表1に、回収率の分析(−SH基の検出)と物性測定結果を表2に示した。このときF(t)=−0.11であった。
【0032】
実施例2
原料をリサイクル原料としたほかは、実施例と全く同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂の分析結果を表2に示した。
【0033】
実施例3
原料の組成、重合温度を表1に示したように変化させたほかは、実施例1と全く同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂の分析結果を表2に示した。
【0034】
実施例4
原料をリサイクル原料としてほかは、実施例3と全く同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂の分析結果を表2に示した。
以上の実施例の分析結果から明らかなように、回収液中に連鎖移動剤は全く含まれない。
【0035】
比較例1
実施例1と同じ重合装置を用い、連鎖移動剤をt−ドデシルメルカプタン(TDM)0.10重量部としたほかは、実施例1と全く同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂の重合条件、脱揮条件を表1に、分析、物性結果を表2に示した。このときF(t)=3.98であった。
【0036】
なお、実施例1〜4と比較例1〜4はそれぞれが連鎖移動剤の種類以外は全て同じ条件で行っており、得られる樹脂の分子量が合うように連鎖移動剤を添加した。即ち実施例1〜2及び比較例1〜2のHIPSではGPC(試料:THF 0.2wt%溶液、サンプル量 5ml、ポリスチレン換算)で測定した分子量が17万、実施例3〜4及び比較例3〜4のABS樹脂では同様の方法で測定した分子量が15万のものを製造した。
【0037】
比較例2
連鎖移動剤をt−ドデシルメルカプタン(TDM)0.10重量部に変化させたほかは、実施例2と全く同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂の重合条件、脱揮条件を表1に、分析、物性結果を表2に示した。
【0038】
比較例3
連鎖移動剤をt−ドデシルメルカプタン(TDM)0.10重量部に変化させたほかは、実施例3と全く同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂の重合条件、脱揮条件を表1に、分析、物性結果を表2に示した。
【0039】
比較例4
連鎖移動剤をt−ドデシルメルカプタン(TDM)0.10重量部に変化させたほかは、実施例4と全く同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂の重合条件、脱揮条件を表1に、分析、物性結果を表2に示した。
【0040】
以上の比較例の分析結果から明らかなように、回収液中に連鎖移動剤が含まれていることがわかる。実施例では連鎖移動剤が全く含まれなかったが、この違いは回収、精製工程に大きく影響を及ぼす、すなわち、連鎖移動剤の分離に多大なエネルギーを必要とし、リサイクル原料中に含まれる連鎖移動剤濃度によって銘柄は制限され、廃液も多量に出る。従来の重合方法である比較例と物性が同等であり、リサイクル原料を使用しても何ら問題はなかったので、連鎖移動剤の分解物などもなかったことがわかる。また、該スチレン系樹脂中に入った連鎖移動剤は少量であり、臭気もないので、食品用途にも十分使用可能である。
【0041】
【表1】
Figure 0003577380
【0042】
【表2】
Figure 0003577380
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、スチレン系樹脂の連続的製造方法において、請求項記載の連鎖移動剤を使用することによって、従来では精製工程で多量に廃棄されていた廃液が少ないという環境上の利点があり、しかもプロセスの簡略化による大幅なコストダウン、さらには銘柄拡張できるスチレン系樹脂の製造方法に関するものであり、産業上の利用価値は極めて大きなものがある。

Claims (1)

  1. スチレン系単量体および/またはスチレン系単量体と共重合可能な単量体と有機溶剤を混合し、必要な場合にはゴムを溶解させる原料調合工程、原料を反応槽中で攪拌しながら加熱し、必要な場合には触媒や分子量調整のための連鎖移動剤を加えて重合させる重合工程、重合によって生成したスチレン系樹脂と未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを分離する分離工程、その未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを回収する回収工程、回収工程で回収した後、再び原料として使用するために精製する精製工程、生成したスチレン系樹脂を粒状の製品にする造粒工程、の各工程からなるスチレン系樹脂の連続塊状または溶液重合において、
    (1)蒸気圧と温度の関係が、温度範囲200℃以上280℃以下において、温度をt℃、蒸気圧をPtorrとすると定数A,B,Cを用いてAntoineの式logP=A−B/(C+t)の蒸気圧曲線で表されるとき、F(t)=A−B/(C+t)とすると下記の式〔I〕(数1)を満足し、
    Figure 0003577380
    且つ
    (2)ターシャリードデシルメルカプタンよりも連鎖移動効率の高く、
    且つ
    (3)一般式(式1)(化I)であるチオール置換基を少なくとも1個有するチオール置換脂肪族炭化水素及び/又はチオール置換芳香族炭化水素である連鎖移動剤を用い、
    分離工程において未反応の単量体や有機溶剤などと該スチレン系樹脂と分離するために行う脱揮の条件が真空度10torr以上150torr以下、温度200℃以上280℃以下であることを特徴とするスチレン系樹脂の連続的製造方法。
    Figure 0003577380
    但し、nは1〜3の整数である。
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