JPH09176214A - スチレン系樹脂の連続的製造方法 - Google Patents
スチレン系樹脂の連続的製造方法Info
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- JPH09176214A JPH09176214A JP33698595A JP33698595A JPH09176214A JP H09176214 A JPH09176214 A JP H09176214A JP 33698595 A JP33698595 A JP 33698595A JP 33698595 A JP33698595 A JP 33698595A JP H09176214 A JPH09176214 A JP H09176214A
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Abstract
回収工程に連鎖移動剤が混入せず、臭気に問題のない樹
脂を得る。 【解決手段】 スチレン系樹脂の連続的製造方法におい
て(1)蒸気圧と温度の関係が、温度範囲200℃以上
280℃以下において、温度をt℃、蒸気圧をPtor
rとすると定数A,B,Cを用いてAntoineの式
logP=A−B/(C+t)の蒸気圧曲線で表される
とき、F(t)=A−B/(C+t)とすると下記の式
〔I〕を満足し、且つ(2)ターシャリードデシルメル
カプタンよりも連鎖移動効率の高い連鎖移動剤を使用し
て重合する。 F(t)<1 〔I〕
Description
S,ASBを始めとするスチレン系樹脂の連続塊状およ
び/または溶液重合における製造方法に関するものであ
る。さらに詳しくは、特定の物性を有する連鎖移動剤を
用いることによって、回収工程に連鎖移動剤が混入せ
ず、精製工程が大幅に省略されたスチレン系樹脂の連続
的製造方法に関する。
合法、連続塊状あるいは溶液重合法により製造されてい
る。懸濁重合法や乳化重合法では分散剤あるいは乳化剤
などの不純物を多く含むので色が悪く、製造コストがか
かる上に廃水が多量に出るという環境上の問題がある。
造コストが低く、廃水も出ず、原料のリサイクル性も高
く、非常に優れた製造方法である。連続塊状あるいは溶
液重合法では、スチレン系単量体および/またはスチレ
ン系単量体と共重合可能な単量体と有機溶剤を混合し、
必要な場合にはゴムを溶解させる原料調合工程、原料を
反応槽中で攪拌しながら加熱し、必要な場合には触媒や
分子量調整のための連鎖移動剤を加えて重合させる重合
工程、重合によって生成したスチレン系樹脂と未反応の
単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを分離する分離工
程、その未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを
回収する回収工程、回収工程で回収した後、再び原料と
して使用するために精製する精製工程、生成したスチレ
ン系樹脂を粒状の製品にする造粒工程、の各工程を経て
スチレン系樹脂を製造している。
工程でスチレン系樹脂と未反応の単量体や有機溶剤、連
鎖移動剤を脱揮発させることによって分離し、回収工程
でその脱揮発させた未反応の単量体は有機溶剤、連鎖移
動剤を冷却することによって回収し、精製工程で精製さ
れてリサイクルされる。この原料のリサイクルのための
精製に大きなエネルギーを要している。
回収され、混合しているので、その濃度によって生産で
きる銘柄に制限が生じる。すなわち、原料調合工程で原
料を調合するとき、リサイクル原料に必要以上の連鎖移
動剤が入っているためにその原料を希釈して使用するに
もタンクの容量などに限度があるため、生産できない銘
柄が生じる。したがって精製工程に連鎖移動剤が含まれ
ないようにすることが課題である。
て精製工程に含まれないようにするだけでは、連鎖移動
剤が全量スチレン系樹脂中に入るので、通常よく使用さ
れるメルカプタン類のように、硫黄臭のきついものが多
量に入ることになり、食品用途などには向かなくなる。
さらに、連鎖移動剤がスチレン系樹脂中に入ることによ
って、色や光沢の品質が落ちることは大きな問題とな
る。したがって精製工程に連鎖移動剤が入らないように
することが大きな課題であるが、なおかつスチレン系樹
脂中に入る連鎖移動剤をできるだけ減らすことも課題と
なる。
重合法においては、この連鎖移動剤のリサイクルが大き
な問題であった。スチレン系樹脂の連続塊状および溶液
重合プロセスにおいて前記の問題点、すなわち精製工程
に連鎖移動剤が含まれることによってその分離に大きな
エネルギーを要することからくるコスト問題、リサイク
ル原料中に含まれる連鎖移動剤の濃度によって生産でき
る銘柄が制限されてしまうという問題が解決され、安価
に提供できるスチレン系樹脂の製造方法が望まれてい
る。
題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、連続塊状およ
び/または溶液重合によってスチレン系樹脂を製造する
場合、分離工程において未反応の単量体や有機溶剤、連
鎖移動剤などと該スチレン系樹脂とを分離するために行
う脱揮の条件を特定することにより、回収、精製工程に
連鎖移動剤が入らず、使用する連鎖移動剤量が少ないの
でスチレン系樹脂中に入る連鎖移動剤量を少なくできる
ことによって、従来の技術上の問題点を解決し、今まで
と同等の物性をもつスチレン系樹脂が製造できるという
驚くべき事実を見出して本発明を完成させたものであ
る。
よび/またはスチレン系単量体と共重合可能な単量体と
有機溶剤を混合し、必要な場合にはゴムを溶解させる原
料調合工程、原料を反応槽中で攪拌しながら加熱し、必
要な場合には触媒や分子量調整のための連鎖移動剤を加
えて重合させる重合工程、重合によって生成したスチレ
ン系樹脂と未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤など
を分離する分離工程、その未反応の単量体や有機溶剤、
連鎖移動剤などを回収する回収工程、回収工程で回収し
た後、再び原料として使用するために精製する精製工
程、生成したスチレン系樹脂を粒状の製品にする造粒工
程、の各工程からなるスチレン系樹脂の連続塊状および
/または溶液重合において、(1) 蒸気圧と温度の関
係が、温度範囲200℃以上280℃以下において、温
度t℃、蒸気圧をPtorrとすると定数A,B,Cを
用いてAntoineの式logP=A−B/(C+
t)の蒸気圧曲線で表されるとき、F(t)=A−B/
(C+t)とすると下記の式〔I〕(数2)を満足し、
且つ(2) ターシャリードデシルメルカプタンよりも
連鎖移動効率の高い連鎖移動剤を用いて、分離工程にお
いて未反応の単量体や有機溶剤などと該スチレン系樹脂
とを分離するために行う脱揮の条件が真空度10tor
r以下150torr以下、温度200℃以上280℃
以下であることを特徴とする、スチレン系樹脂の連続的
製造方法を提供することにある。
2)であるチオール置換基を少なくとも1個有するチオ
ール置換脂肪族炭化水素及び/又はチオール置換芳香族
炭化水素であることを特徴とする上記記載のるスチレン
系樹脂の連続的製造方法を提供することにある。
詳細に説明する。
動剤としては、(1)蒸気圧と温度の関係が、温度範囲
200℃以上280℃以下において、温度をt℃、蒸気
圧をPtorrとする定数A,B,Cを用いてAnto
ineの式logP=A−B/(C+t)の蒸気圧曲線
で表されるとき、F(t)=A−B/(C+t)とする
とF(t)<1を満足し、且つ(2) ターシャリード
デシルメルカプタンよりも連鎖移動定数の高いものが使
用される。
ている連鎖移動剤であるターシャリードデシルメルカプ
タンよりも連鎖移動効率の高い連鎖移動剤を使用するこ
とによって重合で使用する連鎖移動剤の使用量を減少す
ることができるので、樹脂中に残っても量が少なく、し
かも(1)で規定されているように蒸気圧が小さいので
得られるスチレン系樹脂の臭気を減少することができ
る。
ンよりも連鎖移動効率の高い連鎖移動剤の意味は同じ重
合条件で同じ分子量のスチレン系樹脂を重合する際に、
ターシャリードデシルメルカプタンの使用量よりも少量
で良い連鎖移動剤であり、例えば連鎖移動定数または、
例えば120℃で連鎖移動剤を添加してスチレン系樹脂
を重合して分子量測定することで選択できる。
のスチレン系樹脂を重合する場合にターシャリードデシ
ルメルカプタンの使用量より少なければ使用できるが、
ターシャリードデシルメルカプタンの使用量の好ましく
は0.8倍重量以下、よりより好ましくは0.7倍重量
以下、さらにより好ましくは0.6倍重量以下である。
を満たしていれば特に限定する必要はないが、好ましく
は一般式(式I)(化3)であるチオール置換基を少な
くとも1個有するチオール置換脂肪族炭化水素及び/又
はチオール置換芳香族炭化水素である連鎖移動剤が例示
される。
ル類やさらに沸点の高いものが用いられ、具体的には、
トリメチルロールプロパントリス(3−メルカプトプロ
ピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−
メルカプトプロピオネート)を始めとする該脱揮条件で
ある真空度10torr以上150torr以下、温度
200℃以上280℃以下において、分解しにくく、ス
チレン系単量体と共沸しにくく、さらに分子量調整能力
を表す連鎖移動効率が従来使用のものより高いものであ
る。
は、スチレンおよびその誘導体、例えばスチレン、α−
メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、t−
ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ジ
ビニルベンゼンなどの一種以上が用いられ、好ましくは
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
特に好ましくはスチレン、α−メチルスチレンが用いら
れる。スチレン系単量体は重合原料中の各種単量体の総
量100重量部に対し通常25〜100重量部の範囲で
用いられる。
ビニル系単量体を共重合することもでき、この共重合可
能なビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのア
クリロニトリル系単量体、メチルメタクリレート、エチ
ルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリ
レート、n−ブチルアクリレートなどの(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル系単量体、n−フェニルマレイミ
ド、n−メチルフェニルマレイミド、n−シクロヘキシ
ルマレイミド、n−エチルマレイミドなどのマレイミド
系単量体、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸
などの不飽和カルボン酸誘導体などを挙げることができ
る。これらの単量体は使用しなくてもよいし、一種また
は二種以上を組み合わせても使用できる。
ート、n−フェニルマレイミド、無水マイン酸の使用が
好ましく、アクリロニトリルを使用した場合は樹脂の耐
薬品性が向上し、メチルメタクリレートを使用した場合
は樹脂の硬度が、n−フェニルマレイミドを使用した場
合の耐熱性が、また無水マレイン酸を使用した場合は耐
熱性、耐候性が向上する。これらは重合原料中の各種単
量体の総量100重量部に対し通常0〜75重量部の範
囲で用いられる。
合体をグラフトされる成分として用いることもできる。
ン、イソプレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体などが好ましい。さらに好ましく
はポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が用
いられる。ゴム状重合体の溶液粘度は、ゴム状重合体の
濃度が5重量%のスチレン溶液を25℃で測定した値が
3〜400センチポイズ、特に3〜200センチポイ
ズ、さらには5〜100センチポイズの範囲にあること
が好ましい。これらは重合原料中の各種単量体の総量1
00重量部に対し通常4〜50重量部の範囲で用いられ
る。
ができる。ベンゾイルパーオキシサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−
ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ
イソブチレート、t−ブチルパーオキシオクエート、ク
ミルパーオキシオクトエート、1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
などの有機過酸化物、2,2−アゾビスイソブチロニト
リル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)などのアゾ化合物を使用することができる。これ
らは重合原料中の各種単量体の総量100重量部に対し
通常0.001〜5.0重量部の範囲で用いられる。
できる。ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、アセトン、、イソプロピルベンゼン、メチルエチル
ケトンなどが挙げられ、特にエチルベンゼン、トルエン
の使用が好ましい。有機溶剤を多く用いると、重合速度
が抑えられて生産性が低下し、さらにゴム状重合体を分
散相に転移させる場合には重合中にゴム状重合体粒子が
凝集し易くなる。また有機溶剤の連鎖移動性のため、有
機溶剤を多く用いた場合にはゴム状重合体への単量体の
重合すなわちグラフト重合が阻害されてしまう。したが
って、有機溶剤は重合原料中の各種単量体の総量100
重量部に対し通常5〜50重量部、好ましくは5〜45
重量部、さらに好ましくは5〜40重量部の範囲で用い
られる。本発明で言う反応槽とは、特定されたタイプの
反応槽に限定されるものではないが、例えば、完全混合
型反応槽、管型あるいは塔型反応槽などを用いることが
できる。
℃、好ましくは80〜140℃の範囲で行われる。重合
温度が50℃より低いと重合速度が低いため生産性が悪
くなり、また180℃以上では低分子量の共重合体が多
く生成し、製品の耐熱性が悪化するので好ましくない。
常0.2〜5時間が適当である。平均滞留時間が0.2
時間より短いと、重合原料が十分に重合されないまま反
応槽を素通りしてしまう現象が起こり、製品の物性が低
下する。平均滞留時間が5時間より長いと、生産量が減
少し、樹脂の製造費用が増加し、生産性が低下する。本
発明における脱揮条件としては、真空度10torr以
上150torr以上、温度200℃以上280℃以下
が適当である。200℃以下、150torr以上で脱
揮すると、分離が悪くなって、製品中の未反応の単量体
や有機溶剤などが残るので物性の低下が起こり、280
℃以上、10torr以下は設備上難しい。
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何
ら制限されるものではない。
いてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。反応槽にスチ
レン72.9重量部、ゴム状重合体7.1重量部、エチ
ルベンゼン20.0重量部、ペンタエリスリトールテト
ラキス(3−メルカプトプロピオネート)(=PTM
P)0.05重量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)3,3,5−トリメチ1シクロヘキサン0.03
重量部からなる原料を2.0kg/hで連続的に供給し
て単量体の重合を行い、重合温度を調節して反応槽出口
における固形分すなわち重合液中のゴム状重合体とスチ
レン重合体の量を重合液に対して45.0重量%にし
た。このとき重合温度120℃であった。なお、ゴム状
重合体としては、25℃における5重量%濃度のスチレ
ン溶液の粘度が55センチポイズであるブタジエン重合
体を用いた。
経てペレット化した。このように製造されたゴム変性ス
チレン系樹脂の重合条件、脱揮条件を表1に、回収率の
分析(−SH基の検出)と物性測定結果を表2に示し
た。このときF(t)=−0.11であった。
にしてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹
脂の分析結果を表2に示した。
ほかは、実施例1と全く同様にしてゴム変性スチレン系
樹脂を製造した。得られた樹脂の分析結果を表2に示し
た。
様にしてゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた
樹脂の分析結果を表2に示した。以上の実施例の分析結
果から明らかなように、回収液中に連鎖移動剤は全く含
まれない。
シルメルカプタン(TDM)0.10重量部としたほか
は、実施例1と全く同様にしてゴム変性スチレン系樹脂
を製造した。得られた樹脂の重合条件、脱揮条件を表1
に、分析、物性結果を表2に示した。このときF(t)
=3.98であった。
ぞれが連鎖移動剤の種類以外は全て同じ条件で行ってお
り、得られる樹脂の分子量が合うように連鎖移動剤を添
加した。即ち実施例1〜2及び比較例1〜2のHIPS
ではGPC(試料:THF0.2wt%溶液、サンプル
量 5ml、ポリスチレン換算)で測定した分子量が1
7万、実施例3〜4及び比較例3〜4のABS樹脂では
同様の方法で測定した分子量が15万のものを製造し
た。
10重量部に変化させたほかは、実施例2と全く同様に
してゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂
の重合条件、脱揮条件を表1に、分析、物性結果を表2
に示した。
10重量部に変化させたほかは、実施例3と全く同様に
してゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂
の重合条件、脱揮条件を表1に、分析、物性結果を表2
に示した。
10重量部に変化させたほかは、実施例4と全く同様に
してゴム変性スチレン系樹脂を製造した。得られた樹脂
の重合条件、脱揮条件を表1に、分析、物性結果を表2
に示した。
に、回収液中に連鎖移動剤が含まれていることがわか
る。実施例では連鎖移動剤が全く含まれなかったが、こ
の違いは回収、精製工程に大きく影響を及ぼす、すなわ
ち、連鎖移動剤の分離に多大なエネルギーを必要とし、
リサイクル原料中に含まれる連鎖移動剤濃度によって銘
柄は制限され、廃液も多量に出る。従来の重合方法であ
る比較例と物性が同等であり、リサイクル原料を使用し
ても何ら問題はなかったので、連鎖移動剤の分解物など
もなかったことがわかる。また、該スチレン系樹脂中に
入った連鎖移動剤は少量であり、臭気もないので、食品
用途にも十分使用可能である。
系樹脂の連続的製造方法において、請求項記載の連鎖移
動剤を使用することによって、従来では精製工程で多量
に廃棄されていた廃液が少ないという環境上の利点があ
り、しかもプロセスの簡略化による大幅なコストダウ
ン、さらには銘柄拡張できるスチレン系樹脂の製造方法
に関するものであり、産業上の利用価値は極めて大きな
ものがある。
S,ABSを始めとするスチレン系樹脂の連続塊状およ
び/または溶液重合における製造方法に関するものであ
る。さらに詳しくは、特定の物性を有する連鎖移動剤を
用いることによって、回収工程に連鎖移動剤が混入せ
ず、精製工程が大幅に省略されたスチレン系樹脂の連続
的製造方法に関する。
コストが低く、廃水も出ず、原料のリサイクル性も高
く、非常に優れた製造方法である。連続塊状あるいは溶
液重合法では、スチレン系単量体および/またはスチレ
ン系単量体と共重合可能な単量体と有機溶剤を混合し、
必要な場合にはゴムを溶解させる原料調合工程、原料を
反応槽中で攪拌しながら加熱し、必要な場合には触媒や
分子量調整のための連鎖移動剤を加えて重合させる重合
工程、重合によって生成したスチレン系樹脂と未反応の
単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを分離する分離工
程、その未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを
回収する回収工程、回収工程で回収した後、再び原料と
して使用するために精製する精製工程、生成したスチレ
ン系樹脂を粒状の製品にする造粒工程、の各工程を経て
スチレン系樹脂を製造している。
工程でスチレン系樹脂と未反応の単量体や有機溶剤、連
鎖移動剤を脱揮発させることによって分離し、回収工程
でその脱揮発させた未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移
動剤を冷却することによって回収し、精製工程で精製さ
れてリサイクルされる。この原料のリサイクルのための
精製に大きなエネルギーを要している。
よび/またはスチレン系単量体と共重合可能な単量体と
有機溶剤を混合し、必要な場合にはゴムを溶解させる原
料調合工程、原料を反応槽中で攪拌しながら加熱し、必
要な場合には触媒や分子量調整のための連鎖移動剤を加
えて重合させる重合工程、重合によって生成したスチレ
ン系樹脂と未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤など
を分離する分離工程、その未反応の単量体や有機溶剤、
連鎖移動剤などを回収する回収工程、回収工程で回収し
た後、再び原料として使用するために精製する精製工
程、生成したスチレン系樹脂を粒状の製品にする造粒工
程、の各工程からなるスチレン系樹脂の連続塊状および
/または溶液重合において、(1) 蒸気圧と温度の関
係が、温度範囲200℃以上280℃以下において、温
度t℃、蒸気圧をPtorrとすると定数A,B,Cを
用いてAntoineの式logP=A−B/(C+
t)の蒸気圧曲線で表されるとき、F(t)=A−B/
(C+t)とすると下記の式〔I〕(数2)を満足し、
且つ(2) ターシャリードデシルメルカプタンよりも
連鎖移動効率の高い連鎖移動剤を用いて、分離工程にお
いて未反応の単量体や有機溶剤などと該スチレン系樹脂
とを分離するために行う脱揮の条件が真空度10tor
r以上150torr以下、温度200℃以上280℃
以下であることを特徴とする、スチレン系樹脂の連続的
製造方法を提供することにある。
2)であるチオール置換基を少なくとも1個有するチオ
ール置換脂肪族炭化水素及び/又はチオール置換芳香族
炭化水素であることを特徴とする上記記載のスチレン系
樹脂の連続的製造方法を提供することにある。
ル類やさらに沸点の高いものが用いられ、具体的には、
トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピ
オネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メ
ルカプトプロピオネート)を始めとする該脱揮条件であ
る真空度10torr以上150torr以下、温度2
00℃以上280℃以下において、分解しにくく、スチ
レン系単量体と共沸しにくく、さらに分子量調整能力を
表す連鎖移動効率が従来使用のものより高いものであ
る。
ート、n−フェニルマレイミド、無水マイン酸の使用が
好ましく、アクリロニトリルを使用した場合は樹脂の耐
薬品性が向上し、メチルメタクリレートを使用した場合
は樹脂の硬度が、n−フェニルマレイミドを使用した場
合は耐熱性が、また無水マレイン酸を使用した場合は耐
熱性、耐候性が向上する。これらは重合原料中の各種単
量体の総量100重量部に対し通常0〜75重量部の範
囲で用いられる。
ができる。ベンゾイルパーオキシサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−
ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ
イソブチレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、
クミルパーオキシオクトエート、1,1−ビス(t−ブ
チルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ンなどの有機過酸化物、2,2−アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)などのアゾ化合物を使用することができる。これ
らは重合原料中の各種単量体の総量100重量部に対し
通常0.001〜5.0重量部の範囲で用いられる。
常0.2〜5時間が適当である。平均滞留時間が0.2
時間より短いと、重合原料が十分に重合されないまま反
応槽を素通りしてしまう現象が起こり、製品の物性が低
下する。平均滞留時間が5時間より長いと、生産量が減
少し、樹脂の製造費用が増加し、生産性が低下する。本
発明における脱揮条件としては、真空度10torr以
上150torr以下、温度200℃以上280℃以下
が適当である。200℃以下、150torr以上で脱
揮すると、分離が悪くなって、製品中の未反応の単量体
や有機溶剤などが残るので物性の低下が起こり、280
℃以上、10torr以下は設備上難しい。
Claims (2)
- 【請求項1】 スチレン系単量体および/またはスチレ
ン系単量体と共重合可能な単量体と有機溶剤を混合し、
必要な場合にはゴムを溶解させる原料調合工程、原料を
反応槽中で攪拌しながら加熱し、必要な場合には触媒や
分子量調整のための連鎖移動剤を加えて重合させる重合
工程、重合によって生成したスチレン系樹脂と未反応の
単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを分離する分離工
程、その未反応の単量体や有機溶剤、連鎖移動剤などを
回収する回収工程、回収工程で回収した後、再び原料と
して使用するために精製する精製工程、生成したスチレ
ン系樹脂を粒状の製品にする造粒工程、の各工程からな
るスチレン系樹脂の連続塊状および/または溶液重合に
おいて、(1)蒸気圧と温度の関係が、温度範囲200
℃以上280℃以下において、温度をt℃、蒸気圧をP
torrとすると定数A,B,Cを用いてAntoin
eの式logP=A−B/(C+t)の蒸気圧曲線で表
されるとき、F(t)=A−B/(C+t)とすると下
記の式〔I〕(数1)を満足し、且つ(2)ターシャリ
ードデシルメルカプタンよりも連鎖移動効率の高い連鎖
移動剤を用い、分離工程において未反応の単量体や有機
溶剤などと該スチレン系樹脂と分離するために行う脱揮
の条件が真空度10torr以下150torr以下、
温度200℃以上280℃以下であることを特徴とす
る、スチレン系樹脂の連続的製造方法。 【数1】 F(t)<1 〔I〕 - 【請求項2】 連鎖移動剤が一般式(式1)(化I)で
あるチオール置換基を少なくとも1個有するチオール置
換脂肪族炭化水素及び/又はチオール置換芳香族炭化水
素であることを特徴とする請求項1記載のるスチレン系
樹脂の連続的製造方法。 【化1】 但し、nは1〜3の整数である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33698595A JP3577380B2 (ja) | 1995-12-25 | 1995-12-25 | スチレン系樹脂の連続的製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33698595A JP3577380B2 (ja) | 1995-12-25 | 1995-12-25 | スチレン系樹脂の連続的製造方法 |
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