JP2009197105A - 芳香族モノビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

芳香族モノビニル系樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 芳香族モノビニル系単量体とその二量体及び三量体の残存量が低減された芳香族モノビニル系樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】 芳香族モノビニル系単量体を重合開始剤により重合する重合工程と、該重合工程で得られた反応物を減圧状態に保持する脱揮工程とを備える芳香族モノビニル系樹脂の製造方法であって、重合工程開始前、重合工程、脱揮工程、重合工程と脱揮工程の間、の少なくとも一つの段階で、芳香族モノビニル系単量体及び/又は該単量体の重合物を含有する反応液に対して、硫黄系連鎖移動剤を0.01〜0.2質量%添加することを特徴とする製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、芳香族モノビニル系樹脂の製造方法に関する。
芳香族モノビニル系樹脂は、その優れた成形性により、電気製品材料や各種工業材料、雑貨や食品容器材料、包装材料等として広く用いられている。
しかしながら、芳香族ビニル系樹脂、例えば、ポリスチレンにおいては、樹脂中に含まれるスチレン単量体の量が多いと、得られる成形品に臭気の問題が生じる場合がある。また、樹脂中にスチレン単量体の二量体や三量体が多い場合には、耐熱性を下げたり、射出成形時に金型内で揮発して残留し、これが成形品に転写する等の不良現象を発生させたり、金型の清掃頻度が増加することにより、生産性を低下させる等の問題がある。
成形品の臭気については、フェノール系熱劣化防止剤による低臭気化が特許文献1に開示されている。また二量体及び三量体の生成を防止する方法については、フェノール系熱劣化防止剤を樹脂製造時における重合工程または脱揮工程に添加する方法が特許文献2に、更には3−アリールベンゾフラノンを樹脂製造時における重合工程または脱揮工程に添加する方法が特許文献3に、開示されている。
特開平7−149817号公報 特開平5−170825号公報 特開2002−121215号公報
しかしながら、臭気や製造工程上の問題から、芳香族モノビニル系単量体、その二量体及び三量体の残存量が更に低減された芳香族モノビニル系樹脂が求められている。そこで、本発明は、芳香族モノビニル系単量体とその二量体及び三量体の残存量が低減された芳香族モノビニル系樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意研究を進めた結果、重合工程及び/又は重合工程後、脱揮工程前の重合液(重合開始前の重合原料液も含む)に、硫黄系連鎖移動剤を特定割合加えことにより、これまで予想し得なかった優れた特性を有する芳香族モノビニル系樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、芳香族モノビニル系単量体を重合開始剤により重合する重合工程と、該重合工程で得られた反応物を減圧状態に保持する脱揮工程とを備える芳香族モノビニル系樹脂の製造方法であって、重合工程開始前、重合工程、脱揮工程、重合工程と脱揮工程の間、の少なくとも一つの段階で、芳香族モノビニル系単量体及び/又は該単量体の重合物を含有する反応液に対して、硫黄系連鎖移動剤を0.01〜0.2質量%添加することを特徴とする製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、芳香族モノビニル系単量体とその二量体及び三量体の残存量が顕著に低減された芳香族モノビニル系樹脂を得ることが可能になる。すなわち、成形性に優れると共に、臭気の少ない、直接食品等に接触する材料に好適に用いることができる芳香族モノビニル系樹脂を得ることができる。
なお、本発明において、「芳香族モノビニル系単量体及び/又は該単量体の重合物を含有する反応液」(以下、単に「反応液」という。)とは、重合開始前の重合原料液、又は、重合工程中、脱揮工程中若しくはこれらの工程の間の反応液をいい、芳香族モノビニル系単量体及び/又は該単量体の重合物のみからなっていても、重合開始剤や反応溶媒などが含まれていてもよい。なお、反応液が固体状又は気体状であっても本発明における「反応液」に含まれる。
脱揮工程において、重合工程で得られた反応物を0.1〜50kPaの減圧状態で保持することが好ましい。このような条件で減圧にすることで、芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の残存量が合計で0.2質量%以下の芳香族モノビニル系樹脂や、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm以下の芳香族モノビニル系樹脂といった、優れた特性を有する芳香族モノビニル系樹脂をより容易かつ確実に得ることができる。
重合工程開始前及び/又は重合工程における、芳香族モノビニル系単量体及び/又は該単量体の重合物を含有する反応液に、重合開始剤を0.03〜0.25質量%添加することが好ましい。スチレン等の芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体は、熱開始ラジカルで生成すると考えられるため、重合開始剤を用いて重合することにより、重合時のスチレン二量体及び三量体の生成量を効果的に低減することができる。
重合工程における重合温度は、80〜140℃であることが好ましい。重合温度は低いほど熱ラジカルによる芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の生成量が少なくなるが、重合温度が低過ぎると重合速度が低下してしまう。重合温度が上記範囲であると、芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の生成量を十分に抑制しながら重合速度を高めることができる。
本発明では、硫黄系連鎖移動剤がn−ドデシルメルカプタン及び/又はt−ドデシルメルカプタンからなることが特に好適である。硫黄系連鎖移動剤を使用しないで芳香族モノビニル系単量体を重合すると末端が当該単量体で停止し、この末端が熱分解を受けて当該単量体や二量体、三量体が生じることが想定されるが、上記硫黄系連鎖移動剤を用いると非常に効率的に末端が当該連鎖移動剤で停止するため、芳香族モノビニル系単量体や、その二量体、三量体の生成が顕著に抑制される。
本発明では、脱揮工程後に得られる芳香族モノビニル系樹脂に対して、含有量が0.01〜0.5質量%となるように、重合工程、脱揮工程、重合工程と脱揮工程の間、の少なくとも一つの段階で、芳香族モノビニル系単量体及び/又は該単量体の重合物を含有する反応液に対して、フェノール系熱劣化防止剤を添加することが好ましい。このような熱劣化防止剤を添加することにより、熱分解等でラジカルが生じてもそれが安定化されるため、芳香族モノビニル系単量体や、その二量体、三量体の生成が抑制されるのみならず、芳香族モノビニル系樹脂の耐熱性が向上する。
上記効果が優れることから、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート及び/又は2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−フェニルペンチル)エチル]−4,6−ジ−t−フェニルペンチルアクリレートからなるフェノール系熱劣化防止剤を用いることが好ましい。
上記製造方法により、芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の残存量が合計で0.2質量%以下、及び/又は、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm以下の芳香族モノビニル系樹脂を得ることができる。このような芳香族モノビニル系樹脂は、典型的には、重量平均分子量が100,000以上、好ましくは200,000以上、更には250,000以上の高分子である。
本発明により、芳香族モノビニル系単量体とその二量体及び三量体の残存量が少なく、成形性に優れる共に、臭気の少ない直接食品等に接触する材料に好適に用いることができる、芳香族モノビニル系樹脂の製造方法が提供される。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
芳香族モノビニル系樹脂、例えば、工業的規模で生産されるポリスチレンは、ほとんどラジカル重合で生産されているが、未反応物及び/又は溶剤を脱揮工程で除去する際に、あるいは脱揮した直後に樹脂の熱分解が生じ、スチレン単量体及びその二量体や三量体が多く発生し、得られる製品はこれらを多く含むものとなる。また、これらの樹脂を用いて、射出成形、ブロー成形、押出成形等で成形品を得た場合、成形時の熱履歴により、スチレン単量体、二量体、三量体の量は更に増加する。
工業的に生産されているポリスチレン中の残留単量体は、200〜400ppm程度であり、例えば、100ppm以下のものを得ようとすることは、極めて困難である。これは脱揮工程を高温、高真空度下にすることにより単量体の脱揮は進むが、一方樹脂の熱分解で発生する単量体が増加するためであり、このように残留単量体低減には限界があった。
スチレン二量体及び三量体は、熱開始ラジカルで生成するため、重合開始剤を用いることにより低減させることは可能であるが、スチレン単量体と同様に、脱揮工程での樹脂の熱分解で発生するため、これらの量の低減にはスチレン単量体と同様に限界があった。
本発明の製造方法は、硫黄系連鎖移動剤を重合原料液、重合工程、脱揮工程及び重合工程と脱揮工程との間の工程の少なくともいずれか一つの工程において添加し、好適な態様においては、フェノール系熱劣化防止剤を重合工程あるいは脱揮工程において、また重合工程後、脱揮工程前において添加して、芳香族モノビニル系単量体とその二量体及び三量体の量が非常に少ない製品を得る方法であり、上記問題点が解決された製造方法である。
本発明においては、芳香族モノビニル系単量体からなる樹脂を得るために、芳香族モノビニル系単重体を用いる。ここで、芳香族モノビニル系単量体とは、1つのビニル基と芳香環とを備えるモノマーを意味し、芳香環としてはベンゼン環が好ましい。なお、ビニル基の水素原子はアルキル基等の置換機で置換されていてもよい。
芳香族モノビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンを用いることができ、中でも、スチレンが好ましい。芳香族モノビニル系単量体は1種のみ用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合用単量体としては、芳香族モノビニル系単量体単独のみならず、芳香族モノビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体との混合物も適用可能である。
芳香族モノビニル系単量体と共重合可能なビニル系単量体として、具体的には、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルメタクリレート等の(メタ)アクリレートモノマーや、ハロゲン含有ビニルモノマー等が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。これらのビニル系単量体は、単量体全量の60質量%以下、好ましくは50質量%以下の割合で用いることができる。
芳香族モノビニル系樹脂は、ポリブタジエン、SBR(スチレンブタジエンゴム)、ポリイソプレン、ニトリルゴム、天然ゴム等のゴム成分を含んでいても良い。
芳香族モノビニル系単量体の含有量は、反応液の全量を基準として、75〜97質量%であることが好ましく、80〜90質量%がより好ましく、83〜90質量%が更に好ましい。また、重合工程における、芳香族モノビニル系単量体の重合率は、60〜90%であることが好ましく、65〜85%がより好ましく、70〜80%が更に好ましい。芳香族モノビニル系単量体の含有量が75質量%未満であり、且つ重合率が60%未満であると、脱揮工程で除去すべき、未反応の芳香族モノビニル系単量体及び芳香族モノビニル系単量体以外の成分が多くなりすぎて、脱揮に時間がかかりすぎたり、脱揮が不十分となったりする場合がある。また芳香族モノビニル系単量体の含有量が75質量%未満であると、重合速度が遅くなりすぎる場合がある。一方、芳香族モノビニル系単量体の含有量が97質量%を超え、且つ重合率が90%を超えると、反応液の粘度が上がりすぎて、攪拌や押し出しが困難になったり、過剰な反応熱が生じたりする場合がある。
本発明の重合工程における、芳香族モノビニル系単量体の重合方法については、特に制限はないが、ラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法としては、塊状重合法、懸濁重合法、塊状−懸濁重合法のような多段重合法、乳化重合法が適用可能である。
ここで、ラジカル重合法として、塊状重合法を例に挙げて、本発明の製造方法について説明する。
スチレン等の芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体は、熱開始ラジカルで生成すると考えられるため、重合開始剤を用いて重合することにより、重合時の二量体及び三量体の生成量を効果的に低減することができる。なお、重合開始剤は、重合開始前の重合原料液にあらかじめ添加しておくことが好ましいが、重合工程中に添加してもよい。
本発明の製造方法で用いられる重合開始剤としては、有機過酸化物、例えば2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4ービス(t−ブチルペルオキシ)バレレートなどのペルオキシケタール類、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシイソブロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トリオイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジ−n−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネートなどのペルオキシジカーボネート類、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−プチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジペルオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートなどのペルオキシエステル類、アセチルアセトンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。なかでも、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンが好ましい。重合温度は低いほど熱ラジカルによる芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の生成量が少なくなるが、重合温度が低過ぎると重合速度が低下して好ましくない。重合温度は80〜140℃、好ましくは90〜140℃、より好ましくは100〜130℃である。
重合開始剤の添加量は、反応液の全量を基準として、0.03〜0.25質量%であることが好ましく、0.04〜0.20質量%がより好ましく、0.05〜0.15質量%が更に好ましい。重合開始剤の添加量が0.03質量%未満では、芳香族モノビニル系単量体二量体及び三量体の生成抑制効果が不十分となったり、重合が不十分で芳香族モノビニル系単量体が残留したりする場合がある。重合開始剤の添加量が0.25質量%を超えると、生成する芳香族モノビニル系樹脂の製造方法の分子量が低くなる場合がある。
本発明で用いられる硫黄系連鎖移動剤は、硫黄原子を含有する連鎖移動剤(ラジカル連鎖移動剤)を意味し、硫黄原子はメルカプト基として含有されていることが好ましい。硫黄系連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン(メルカプトアルキル化合物)が挙げられ、中でもn−ドデシルメルカプタンが好ましい。
芳香族モノビニル系単量体としてスチレンを例にとると、硫黄系連鎖移動剤を使用しないスチレンの単独重合で得られた樹脂の末端はスチレン停止となり、脱揮工程の高温下で熱安定性が悪く、樹脂末端の熱分解によるスチレン単量体、二量体、三量体が増加する。一方、硫黄系連鎖移動剤を用い、樹脂末端を硫黄系連鎖移動剤で停止した樹脂は安定性に優れる。このように、本発明においては、硫黄系連鎖移動剤の添加は、芳香族モノビニル系単量体、二量体、三量体の低減のために必須である。
硫黄系連鎖移動剤の添加量は、反応液の全量を基準として、0.01〜0.2質量%であり、好ましくは0.02〜0.15質量%、より好ましくは0.03〜0.1質量%である。
硫黄系連鎖移動剤の添加量が0.01質量%未満では、末端が硫黄系連鎖移動剤で停止した芳香族モノビニル系樹脂の成分量が少なく、芳香族モノビニル系単量体、二量体及び三量体の低減効果が薄い。一方、硫黄系連鎖移動剤の添加量が0.2質量%を超える場合は、分子量が低くなり過ぎたり、また反応しきれずに、更には脱揮工程で脱揮できずに樹脂中に残存し、臭気の原因となる場合がある。硫黄系連鎖移動剤は極めて反応速度が速く、添加量と重合温度を適切に選択することで、樹脂中の未反応硫黄系連鎖移動剤の量を極めて少なくすることができる。
硫黄系連鎖移動剤以外の連鎖移動剤、例えばα−メチルスチレンリニアダイマー、1−フェニルー2−フルオレン、ジベンテン等を、硫黄系連鎖移動剤と併用して用いても良い。硫黄系連鎖移動剤は、重合原料液又は重合工程の重合液のいずれかに添加することが好ましい。
本発明において、反応液は反応溶媒(溶剤)を含有していてもよい。このような溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン等のジアルキルケトン類が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。更に、重合生成物の溶解性を低下させない範囲で、他の溶剤、例えば脂肪族炭化水素類等を芳香族炭化水素類やジアルキルケトン類に混合することができる。
上述した溶剤は、芳香族モノビニル系単量体に対して、25質量%を超えない範囲で使用するのが好ましい。溶剤が25質量%を超えると、重合速度が著しく低下し、かつ、得られる樹脂の衝撃強度の低下が大きくなる傾向にある。また、溶剤の回収のために、多量のエネルギーを要するので経済性も劣ってくる。溶剤は、重合が進み、比較的高粘度になってから添加してもよいし、あるいは重合前から添加しておいてもよいが、重合前に5〜20質量%の割合で添加しておく方が、品質が均一化し易く、重合温度制御の点でも好ましい。
本発明では、安定剤として、例えばオクタデシル−3−(3,5−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールなどのヒンダートフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−ターシャリーブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系加工熱安定剤等を添加することが好ましい。これらの安定剤はそれぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて適宜用いてもよい。添加時期については、特に制限はなく、重合工程又は脱揮工程のいずれでもよい。また、押出機やバンバリミキサー等機械的装置で製品に安定剤を混合することもできる。
重合工程で用いる装置は、特に制限はなく、芳香族モノビニル系単量体の重合方法に従って適宜選択すれば良い。例えば、塊状重合による場合には、複数の反応器からなる重合装置(例えば、第1反応器、第2反応器及び第3反応器からなる重合装置)を用いることができる。複数の反応器からなる重合装置を用いる場合は、1の反応器で所定条件(温度、圧力、時間等)で重合したものを、他の反応器に移し、その反応器で前記と同一又は異なる条件(温度、圧力、時間等)で重合を進め、重合度を向上させることができる。
また脱揮工程の条件についても特に制限はなく、芳香族モノビニル系単量体の重合を塊状重合で行なう場合は、最終的に未反応の芳香族モノビニル系単重体が、好ましくは50質量%、より好ましくは40質量%以下になるまで重合を進める。脱揮処理により、未反応物(芳香族モノビニル系単重体)及び/又は溶剤等の揮発分を除去することができる。脱揮には、例えば、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などの通常の脱揮装置を用いることができる。なお、脱揮は、芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の残存量が合計で0.2重量%以下となるまで行うことが好ましく、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm以下となるまで行うことが好ましい。
なお、脱揮処理の温度は、通常、190〜280℃程度である。また脱揮処理の圧力は、0.1〜50kPaが好ましく、0.13〜13kPaがより好ましい。脱揮処理の圧力は、更に好ましくは0.13〜7kPaであり、特には0.13〜1.3kPaである。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して除去する方法や、揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去することが望ましい。
本発明においては、フェノール系熱劣化防止剤を、重合工程あるいは脱揮工程において、また重合工程後、脱揮工程前において添加することが好ましい。また、重合工程の終了後(好ましくは直後)であって脱揮工程の前において添加することがより好ましい。
熱劣化防止剤として、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(商品名:スミライザーGM、住友化学社製)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−フェニルペンチル)エチル]−4,6−ジ−t−フェニルペンチルアクリレート(商品名:スミライザーGS、住友化学社製)を挙げることができる。添加量は、最終反応器出口の芳香族モノビニル系樹脂に対して0.01〜0.5質量%、好ましくは0.02〜0.3質量%、より好ましくは0.03〜0.2質量%である。
フェノール系熱劣化防止剤の添加量が0.01質量%未満であると、脱揮工程での芳香族モノビニル系単量体、及びその二量体や三量体の生成抑制効果が不十分になりやすい。一方、フェノール系熱劣化防止剤の添加量を0.5質量%より多く添加しても、添加量に見合うだけの効果が得られない。なお、硫黄系連鎖移動剤は樹脂末端をより熱安定に優れた構造にするのに対して、フェノール系熱劣化防止剤は熱分解によって発生したラジカルの安定化を図るものであり、この両者の作用機構は全く異なるものである。またフェノール系熱劣化防止剤は硫黄系連鎖移動剤に比し反応速度が遅く、未反応物は樹脂中に残りやすい。
本発明においては、芳香族モノビニル系樹脂中の芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の残存量(樹脂全量基準)は合計で0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下である。0.2質量%以下では、射出成形の場合、成形品へのオイル付着が大幅に改善され、成形性が非常に良好となる。
また本発明の芳香族モノビニル系樹脂を用いて発泡体容器を作成し、溶剤による二量体及び三量体の溶出試験を行なうと、溶出量が極めて少ない。
本発明においては、芳香族モノビニル系樹脂中の芳香族モノビニル系単量体の残存量は、100ppm以下、好ましくは95ppm以下である。
本発明の方法で製造したポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレンで、開口部幅95mm、奥行55mm、深さ96mm、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成し、この容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間後にこの温湯の臭気を確認したところ、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm以下では、臭気の問題が大幅に改善される。
なお、芳香族モノビニル系樹脂としてポリスチレンを用いた場合、上記射出成形で成形機に付着したオイルを調べたところ、二量体としては、1,3−ジフェニルプロパン、2,4−ジフェニルー1ブテン、1,2−ジフェニルシクロブタン、1−フェニルテトラリン、三量体としては、2,4,6−トリフェニルー1−ヘキセン,1−フェニルー4−(1’−フェニルエチル)テトラリン等が含まれていた。
本発明の方法で得られた芳香族モノビニル系樹脂には、所望に応じて、通常用いられている添加剤、例えば滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、可塑剤、染料、顔料、各種充填剤などを添加することができる。また、他の樹脂、例えば一般のポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合エラストマー、部分的にまたは完全に水素添加されたスチレン−ブタジエン共重合エラストマー、ポリフェニレンエーテルなどを配合することもできる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における樹脂組成物及び成形品の分析、評価方法は、下記の通りである。
(1)重量平均分子量の測定
試料調製 :テトラヒドロフランに樹脂組成物約1000ppmを溶解
測定条件
機器 :昭和電工 Shodex21
(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム :サンプル:KF−806L 2本
リファレンス:KF−800RL 2本
温度 :40℃
キャリア :THF 1ml/min
検出器 :RI 、UV:254nm
検量線 :東ソー製の単分散PS(ポリスチレン)使用
データ処理 :Sic―480
(2)成形品中の残留スチレン単量体量の測定
試料調製 :樹脂組成物1gをジメチルフォルアミド25mlに溶解、
測定条件
検出方法 :FID
機器 :島津製製作所 GC14B
カラム :CHROMAPACK CP WAX 52CB
100m、膜厚2μm、0.52mmφ
カラム温度 :110℃−10分→ 15℃/分→ 130℃−2分
注入口温度 :150℃
検出器温度 :150℃
キャリアガス :ヘリウム
(3)成形中のスミライザーGSの測定
試料調製 :3−アリールベンゾフラノンをメチルエチルケトンに溶解
測定条件
検出方法 :FID
機器 :島津製製作所 GC17Apf
カラム :DB−1(100%ジメチルポリシロキサン)
30m、膜厚0.1μm、0.25mmφ
カラム温度 :100℃−2分→ 5℃/分→ 260℃−5分
注入口温度 :200℃
検出器温度 :200℃
キャリアガス :窒素
(4)スチレン単量体の二量体及び三量体の測定
ガスクロマトグラフィー法で測定したものであり、ポリオレフィン等衛生協議会発行の文献、「ポリオレフィン等合成樹脂食品包装容器等に関する自主規制基準」(第3版)、第3部衛生試験法−追補(1993年5月)に記載の測定法に準じて行なった。
(5)臭気判定方法
樹脂組成物から、開口部幅95mm、奥行55mm、深さ96mm、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成し、この容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間後にこの温湯の臭気を判定した。臭気判定に用いた滞留なし射出成形品は、通常の連続成形で得た成形品で実施した。また滞留30分の射出成形品は、連続性を一時停止し30分後に再度成形を開始し、2ショット目の成形品で実施した。
(6)金型へのオイル付着状況の確認方法
150×50×2.5mmの短冊型の金型を使用して、充填3.0秒で射出成形時にショートショットさせた。70ショット終了後、15分間射出成形を停止し、金型を冷却して、成形体先端部に相当する金型面を観察し、オイルの付着状況を確認した。以後、70ショット毎に、同様にして金型へのオイル付着状況を確認しつつ、最大840ショットまで成形を繰り返し、金型にオイルが付着し始めたショット数を求めた。
金型へのオイル付着状況及び成形品の臭気と、硫黄系連鎖移動剤の添加量、スチレン単量体、その二量体及び三量体の量との関係について、下記、実施例1〜9、比較例1〜2の結果を表1及び表2に示す。
[実施例1]
スチレン84.83質量%、エチルベンゼン15質量%、0.07質量%の重合開始剤 (1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン)、及び0.1質量%の硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)からなる重合原料液を、0.45リットル/時の速度で、それぞれの容量が1リットルの第1反応器、第2反応器、第3反応器からなる重合装置、更には揮発分を除去する単軸押出機を二基連結した脱揮装置に連続的に順次供給し、重合した樹脂をペレットとして採取した。ペレットの重量平均分子量(Mw)は27万であった。
なお、重合工程における重合反応条件は、第1反応器は重合温度105〜110℃、攪拌機回転数120rpm、第2反応器は重合温度110〜120℃、攪拌機回転数30rpm、第3反応器は重合温度120〜135℃、攪拌機回転数20rpmとした。各反応器出口の重合率は、第1反応器出口では32%、第2反応器出口では56%、第3反応器出口では73%であった。また、脱揮工程における、前段の単軸押出機は温度190〜200℃、真空度4kPa、後段の単軸押出機は温度220〜230℃、真空度0.7kPaとした。
得られたペレットを用いて、臭気判定用の射出成形品を以下の異なる2つの条件で作製した。一つ目の条件としては、通常の連続成形で成形品を採取した(滞留なし品)。他の条件としては、成形を一度止め、シリンダー内に樹脂を30分間滞留させた後、成形を再開、最初の2ショットを捨て、滞留した樹脂の3ショット目を成形品として採取した(滞留30分品)。射出成形機の各ゾーンの成形温度は樹脂投入口からそれぞれ190℃、210℃、230℃、250℃とした。更には射出成形したときの金型へのオイル付着状況を確認した。
組成、スチレン単量体の残存量、その二量体及び三量体の残存量の合計、臭気判定結果、並びに金型へのオイル付着状況を、表1及び表2に示す。
[実施例2]
実施例1において、硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)を0.1質量%から0.05質量%に、スチレンを84.83質量%から84.88質量%にしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例3]
実施例1において、硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)を0.1質量%から0.05質量%に、スチレンを84.83質量%から84.88質量%にしたこと、及び第3反応器の重合温度を120〜135℃から125〜145℃にしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例4]
実施例1において、硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)を0.1質量%から0.03質量%に、スチレンを84.83質量%から84.90質量%にしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例5]
実施例1において、硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)を0.1質量%から0.02質量%に、重合開始剤(1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン)を0.07質量%から0.12質量%に、スチレンを84.83質量%から84.86質量%に、第1反応器の重合温度を105〜110℃から98〜105℃、第2反応器の重合温度を110〜120℃から105〜115℃、第3反応器の重合温度を120〜135℃から115〜130℃にしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例6]
実施例1において、硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)を0.1質量%から0.01質量%に、スチレンを84.83質量%から84.92質量%にしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例7]
実施例2において、硫黄系連鎖移動剤をn−ドデシルメルカプタンからt−ドデシルメルカプタンにしたこと以外は、実施例2と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例8]
実施例1において、硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)の添加を重合原料液から第2反応器の入口に添加したこと以外は実施例1と同様に実施した。なお硫黄系連鎖移動剤の添加後の組成は実施例1と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例9]
実施例1において、第3反応器の出口にエチルベンゼンに溶解したスミライザーGS(2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−フェニルペンチル)エチル]−4,6−ジ−t−フェニルペンチルアクリレート)を、第3反応器により得られた樹脂に対して0.10質量%になるように添加した。次いで、第3反応器の後に設けられた完全混合型ミキサー(容量150ミリリットル)で、スミライザーGSを均一に混ぜたこと以外は、実施例1と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例10]
実施例2において、硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)の添加位置を、重合原料液から第3反応器出口と脱揮工程の間(脱揮工程前)に変更した以外は、実施例2と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)を添加しなかったこと、及びスチレンを84.83質量%から84.93質量%にしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
[比較例2]
実施例1において、硫黄系連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)を0.1質量%から0.25質量%に、スチレンを84.83質量%から84.68質量%にしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。組成、評価結果等を表1及び表2に示す。
表1及び表2より、実施例1〜8は、硫黄系連鎖移動剤、重合開始剤を所定量添加することで、スチレン単量体及びその二量体や三量体の少ないものが得られ、成形時のオイルの金型付着が少なく、良品が得られるサイクルが長いものであった。更にスチレン単量体の残存量を100ppm以下にすることにより、臭気の少ない成形品が得られた。
また、実施例9は、フェノール系熱劣化防止剤(スミラーザーGS)を重合後に添加したが、スチレン単量体及びその二量体や三量体の更に少ないものが得られる。
実施例1〜9は、熱滞留時のスチレン単量体の増加が少なく、熱安定性が良いものであった。比較例1は、硫黄系連鎖移動剤を添加していないが、スチレン単量体及びその二量体や三量体が多いため、成形時のオイルの金型付着が多く、良品を得るサイクルが短かった。また成形品は臭気を発生するものであった。
比較例2は、硫黄系連鎖移動剤を0.25質量%添加したが、成形品は臭気(硫黄臭)を発生するものであった。
Figure 2009197105
Figure 2009197105
本発明の芳香族モノビニル系樹脂の製造方法によれば、成形時の熱安定性に優れ、成形性に優れ、且つ臭気が少ない成形品を得ることができる。また、本発明の製造方法で得られる芳香族モノビニル系樹脂は、押出シート、発泡押出シート、射出成形、ブロー成形等による成形品として好適に用いられ、直接食品等に接触するような包装材料、容器等において特に好適な成形品が得られる。更に、本発明の芳香族モノビニル系樹脂は、玩具、雑貨、日用品、電気製品部品や各種工業部品等の用途にも幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。

Claims (9)

  1. 芳香族モノビニル系単量体を重合開始剤により重合する重合工程と、該重合工程で得られた反応物を減圧状態に保持する脱揮工程とを備える芳香族モノビニル系樹脂の製造方法であって、
    重合工程開始前、重合工程、脱揮工程、重合工程と脱揮工程の間、の少なくとも一つの段階で、芳香族モノビニル系単量体及び/又は該単量体の重合物を含有する反応液に対して、硫黄系連鎖移動剤を0.01〜0.2質量%添加することを特徴とする製造方法。
  2. 脱揮工程において、重合工程で得られた反応物を0.1〜50kPaの減圧状態で保持することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 重合工程開始前及び/又は重合工程における、芳香族モノビニル系単量体及び/又は該単量体の重合物を含有する反応液に、重合開始剤を0.03〜0.25質量%添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 重合工程における重合温度が80〜140℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 硫黄系連鎖移動剤がn−ドデシルメルカプタン及び/又はt−ドデシルメルカプタンからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 脱揮工程後に得られる芳香族モノビニル系樹脂に対して、含有量が0.01〜0.5質量%となるように、重合工程、脱揮工程、重合工程と脱揮工程の間、の少なくとも一つの段階で、芳香族モノビニル系単量体及び/又は該単量体の重合物を含有する反応液に対して、フェノール系熱劣化防止剤を添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. フェノール系熱劣化防止剤が、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート及び/又は2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−フェニルペンチル)エチル]−4,6−ジ−t−フェニルペンチルアクリレートからなることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法で得ることができ、芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の残存量が合計で0.2質量%以下であることを特徴とする芳香族モノビニル系樹脂。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法で得ることができ、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm以下であることを特徴とする芳香族モノビニル系樹脂。

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