JP2000248013A - スチレン系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂及びその製造方法

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JP2000248013A
JP2000248013A JP5016299A JP5016299A JP2000248013A JP 2000248013 A JP2000248013 A JP 2000248013A JP 5016299 A JP5016299 A JP 5016299A JP 5016299 A JP5016299 A JP 5016299A JP 2000248013 A JP2000248013 A JP 2000248013A
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polymerization
liter
peroxide
mol
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Takashige Watanabe
恭成 渡辺
Hiroshi Okada
博 岡田
Tomoyuki Nakamura
知之 中村
Norihisa Ujigawa
典久 氏川
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F12/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an aromatic carbocyclic ring
    • C08F12/02Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical
    • C08F12/04Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical containing one ring

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレンダイマー及びスチレントリマーの含
有量の少ないスチレン系樹脂をラジカル重合法によって
生産性良く、かつ分子量の低下を伴うことなく製造する
ことができるスチレン系樹脂の製造方法を提供する。 【解決手段】 スチレンのラジカル重合に際し、重合開
始剤としての一分子中に3個以上のペルオキシ結合を有
する多官能ペルオキシドが単量体に対しペルオキシド結
合濃度として0.001〜0.05(モル/リットル)
使用される。重合温度は80〜140℃で、下記の数式
(1)の条件を満たすことが必要である。 kd[I]/ki≧8000〔(モル)3 /(リットル)3 〕 ・・・(1) 式中、kdは多官能ペルオキシドの熱分解速度定数
〔(秒)-1〕、[I]は初期ペルオキシ結合濃度(モル
/リットル)、kiは熱開始速度定数〔(リットル)2
×(モル)-2×(秒)-1〕を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スチレンダイマ
ー及びスチレントリマーの含有量が少ないスチレン系樹
脂を、ラジカル重合法によって生産性良く、かつ分子量
の低下を伴うことなく製造することができるスチレン系
樹脂及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は安価で、透明性、成形
性及び剛性に優れた樹脂であることから、電気製品、雑
貨、食品容器、包装材等の原材料として幅広く用いられ
ている。このようなスチレン系樹脂は、主として熱開始
によるラジカル重合(以下「熱重合」と称する)、又は
熱重合と有機過酸化物等を重合開始剤とするラジカル重
合とを併用する方法によって製造されている。
【0003】一般にラジカル重合によって得られるスチ
レン系樹脂は、主にラジカル重合の開始段階でスチレン
単量体が加熱されることにより生成するスチレンダイマ
ー及びスチレントリマーを含有していることが知られて
いる。例えば、エンサイクロピーディア オブ ケミカ
ル テクノロジー(Encyclopedia ofC
hemical Technology、Kirt−O
thmer、Third Edition、John
Wiley & Sons)21巻の817頁に記載さ
れている。すなわち、100℃以上の熱重合におけるス
チレンダイマーとトリマーの総含有量は約10000p
pmになり、その主要な成分は、1,2−ジフェニルシ
クロブタン及び1−フェニル−4−(1’−フェニルエ
チル)テトラリンの環状ダイマー及び環状トリマー、さ
らに2,4−ジフェニル−1−ブテン及び2,4,6−
トリフェニル−1−ヘキセンの直鎖状ダイマー及び直鎖
状トリマーであると記載されている。
【0004】ところが、近年では環境衛生の観点から、
スチレン系樹脂中に含まれるスチレンダイマー及びスチ
レントリマーの低減化が要求されている。低減化の一つ
の手法として、例えば特開平9−111070号公報に
は、ラジカル重合の脱揮工程を改良する方法が開示され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法は環状ダイマーである1,2−ジフェニルシクロブタ
ンなどの特定のダイマーを低減化する方法としては有効
ではあるが、脱揮工程の改良ではその他のダイマー及び
トリマーの低減化には限度があり、有効とはいえなかっ
た。
【0006】また、前述のようにスチレンダイマー及び
スチレントリマーは主に熱開始反応時に生成することか
ら、それらの生成自体を抑制する方法として、比較的低
い温度で重合する方法や熱重合単独ではなく、重合開始
剤を用いたラジカル重合を併用する方法が考えられる。
しかし、低温での重合は重合速度の低下、即ち生産性の
低下を招くといった問題があった。
【0007】一方、重合開始剤を併用することにより重
合速度の低下は避けられるが、スチレンダイマー及びス
チレントリマーの含有量を1500ppm以下に減少さ
せるためには重合開始剤を多量に使用しなければならな
い。例えば、従来の重合開始剤としてt−ブチルペルオ
キシイソプロピルモノカーボネートや1,1−ビス(t
−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサンを多量に用いた場合には、結果として得られる
スチレン系樹脂の分子量が低下するという新たな問題が
あった。
【0008】この発明は、上記従来技術に存在する問題
点に着目してなされたものである。その目的とするとこ
ろは、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有量
の少ないスチレン系樹脂及びそのようなスチレン系樹脂
をラジカル重合法によって生産性良く、かつ分子量の低
下を伴うことなく製造することができるスチレン系樹脂
の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、重合開始剤として
特定のペルオキシドを使用し、特定の重合条件下でスチ
レン系単量体をラジカル重合させることにより、スチレ
ンダイマー及びスチレントリマーの含有量の少ないスチ
レン系樹脂を生産性良く、かつ分子量の低下を伴うこと
なく製造できることを見出しこの発明を完成するに至っ
た。
【0010】即ち、第1の発明のスチレン系樹脂の製造
方法は、重合開始剤を用いてスチレン系単量体をラジカ
ル重合するスチレン系樹脂の製造方法において、重合開
始剤として一分子中に3個以上のペルオキシ結合を有す
る多官能ペルオキシドを使用し、その多官能ペルオキシ
ドを単量体に対しペルオキシド結合濃度として0.00
1〜0.05モル/リットル使用し、重合温度80〜1
40℃であり、かつ下記の数式(1)を満たす条件下で
重合させることを特徴とするものである。
【0011】 kd[I]/ki≧8000〔(モル)3 /(リットル)3 〕 ・・・(1) 式中、kdは多官能ペルオキシドの熱分解速度定数
〔(秒)-1〕、[I]は初期ペルオキシ結合濃度(モル
/リットル)、kiは熱開始速度定数〔(リットル)2
×(モル)-2×(秒)-1〕を表す。
【0012】第2の発明のスチレン系樹脂は、第1の発
明の製造方法により得られ、スチレンダイマー及びスチ
レントリマーの総含有量が1500ppm以下であるも
のである。
【0013】第3の発明のスチレン系樹脂は、第2の発
明のスチレン系樹脂において、食品用として用いられる
ものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施形態につ
いて詳細に説明する。スチレン系樹脂は、重合開始剤と
して一分子中に3個以上のペルオキシ結合を有する多官
能ペルオキシドを使用し、スチレン系単量体をラジカル
重合することにより製造される。ここで、スチレン系単
量体とは、スチレン単独、スチレンとスチレン誘導体の
混合物、又はスチレンを主体としこれと共重合可能な単
量体の混合物をいう。
【0015】スチレン誘導体としては、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等
が挙げられる。また、スチレンと共重合可能な単量体と
しては、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル
酸エステル例えばメチルメタクリレート、ブチルメタク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等、ア
クリル酸、アクリル酸エステル例えばメチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート等、フマル酸及びフマル酸エス
テル、イタコン酸及びイタコン酸エステル、マレイミド
類例えばマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、
N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
【0016】重合開始剤である多官能ペルオキシドとし
ては、4官能ペルオキシケタール類例えば2,2−ビス
(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)
プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペル
オキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,
4−ジ−t−ヘキシルペルオキシシクロヘキシル)プロ
パン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオ
キシシクロヘキシル)プロパン等、3官能モノペルオキ
シカーボネート類例えば1,1,1−トリス(t−ブチ
ルペルオキシカルボニルオキシメチル)プロパン、1,
1,1−トリス(t−アミルペルオキシカルボニルオキ
シメチル)プロパン、1,1,1−トリス(t−ヘキシ
ルペルオキシカルボニルオキシメチル)プロパン、1,
1,1−トリス(t−オクチルペルオキシカルボニルオ
キシメチル)プロパン等、4官能モノペルオキシカーボ
ネート類例えばジ(2,2−ビス(t−ブチルペルオキ
シカルボニルオキシメチル)ブチル)カーボネート、ジ
(2,2−ビス(t−アミルペルオキシカルボニルオキ
シメチル)ブチル)カーボネート、ジ(2,2−ビス
(t−ヘキシルペルオキシカルボニルオキシメチル)ブ
チル)カーボネート、ジ(2,2−ビス(t−オクチル
ペルオキシカルボニルオキシメチル)ブチル)カーボネ
ート等、トリス(t−ブチルペルオキシ)トリメリテー
ト、さらにアゼライン酸塩化物と過酸化ナトリウムの反
応により得られるジアシル型ポリメリックペルオキシ
ド、アゼライン酸塩化物と2,5−ジメチルヘキサン−
2,5−ジヒドロペルオキシドとの反応により得られる
ポリメリックペルオキシエステル等が挙げられる。
【0017】これら多官能ペルオキシドの中で、2,2
−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキ
シル)プロパン及び1,1,1−トリス(t−ブチルペ
ルオキシカルボニルオキシメチル)プロパンは、重合開
始活性が高く、スチレンダイマー及びスチレントリマー
を効果的に低減できる点で好ましい。
【0018】重合開始剤としては、上記の多官能ペルオ
キシドの他に、必要に応じて単官能や2官能のペルオキ
シドを併用することもできる。併用可能な重合開始剤と
しては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ヘキシ
ルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス
(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビ
ス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1
−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオ
キシ)ブタン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t
−ヘキシルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオ
キシラウレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−
トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2
−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソプ
ロピルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシイソ
プロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2
−エチルヘキシルモノカーボネート、ベンゾイルペルオ
キシド、ラウロイルペルオキシド等が挙げられる。
【0019】重合開始剤の使用量は重合温度その他の条
件により異なるが、単量体に対しペルオキシ結合濃度と
して0.001〜0.05(モル/リットル)である。
つまり、ペルオキシ結合濃度は、スチレン系単量体1リ
ットル中に含まれる重合開始剤中のペルオキシ結合のモ
ル数が0.001〜0.05であることを意味する。こ
の濃度が0.001(モル/リットル)未満では重合速
度が低下するとともに、熱重合の寄与が大きくなり、ス
チレンダイマー及びスチレントリマーの生成量が多くな
る。また、0.05(モル/リットル)を越えると、重
合体の分子量が低下するとともに、重合速度の調節が困
難となる。
【0020】重合温度は80〜140℃であり、90〜
130℃が好ましい。重合温度が80℃未満では重合速
度が遅く、生産性が悪くなる。一方、140℃を越える
と重合体の分子量が低下するとともに、熱重合の寄与が
大きくなってスチレンダイマー及びスチレントリマーの
生成量が増加する。
【0021】さらに、スチレン系単量体のラジカル重合
においては、下記の数式(1)を満たす条件下で重合を
行なう必要がある。 kd[I]/ki≧8000〔(モル)3 /(リットル)3 〕 ・・・(1) 式中、kdは多官能ペルオキシドの熱分解速度定数
〔(秒)-1〕、[I]は初期ペルオキシ結合濃度(モル
/リットル)、kiは熱開始速度定数〔(リットル)2
×(モル)-2×(秒)-1〕を表す。
【0022】数式(1)の条件は好ましくは、1000
00≧kd[I]/ki≧8000〔(モル)3 /(リ
ットル)3 〕、さらに好ましくは50000≧kd
[I]/ki≧10000〔(モル)3 /(リットル)
3 〕である。数式(1)の分子のkd[I]はペルオキ
シド開裂に由来する重合開始速度を代表するパラメータ
であり、分母のkiは熱開始に由来する重合開始速度を
代表するパラメータである。従って、kd[I]/ki
は熱開始重合に対するペルオキシド開始重合の割合を代
表するパラメータとなる。
【0023】数式(1)のkd[I]/kiが8000
〔(モル)3 /(リットル)3 〕未満の場合には、熱重
合の寄与が大きくなり、スチレンダイマー及びスチレン
トリマーの生成量が増加する。また、kd[I]/ki
が100000〔(モル)3/(リットル)3 〕を越え
ると、重合速度の調節が困難となる傾向にある。
【0024】kdは、窒素雰囲気下、ベンゼン等の有機
溶媒中、初期ペルオキシ結合濃度が約0.1モル/リッ
トルの条件下で測定された値である。通常まず、3点以
上の異なる温度でkdを測定し、熱分解活性化パラメー
ター〔頻度因子(A)及び活性化エネルギー(E)〕を
求め、それを下記の数式(2)(アレニウス式)に代入
することにより任意の温度におけるkdが計算される。
【0025】 kd=A×exp(−E/RT) ・・・(2) (式中、Rは気体定数、Tは絶対温度を示す。) kiは、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サ
イエンス(J.Appl.Polym.Sci.)、1
6巻、749頁(1972)に記載された下記の数式
(3)から求められる。
【0026】 ki=2.19×105 exp(−13810/T)〔(リットル)2 ×(モル)-2×(秒)-1〕 ・・・(3) (式中、T は絶対温度を示す。) スチレン系単量体をラジカル重合する重合方法として
は、塊状重合法、溶液重合法又は懸濁重合法が採用さ
れ、またそれらの重合方法の組み合わせも採用される。
さらに、バッチ式重合法又は連続式重合法の何れの方法
であってもよい。溶液重合法においては、エチルベンゼ
ン、キシレン、トルエン等が溶媒として好適であり、そ
の使用量はスチレン系単量体に対し25重量%以下とす
ることが好ましい。
【0027】以上のような製造方法により目的とするス
チレン系樹脂が得られる。前述の製造方法においては、
スチレン系単量体のラジカル重合条件を、重合開始剤と
して一分子中に3個以上のペルオキシ結合を有する多官
能ペルオキシドを用い、その多官能ペルオキシドを単量
体に対しペルオキシド結合濃度を0.001〜0.05
(モル/リットル)とするとともに、重合温度を80〜
140℃とし、かつ前記の数式(1)の条件を満たすよ
うに設定した。
【0028】このため、重合速度を適正に維持でき、熱
重合の寄与を抑制して熱開始重合に対するペルオキシド
開始重合の割合を増大させることができる。そして、重
合体の分子量の低下を防止しつつ、スチレンダイマー及
びスチレントリマーの生成量を低減させることができ
る。
【0029】従って、得られたスチレン系樹脂はスチレ
ンダイマー及びスチレントリマーの総含有量が好ましく
は1500ppm以下、さらに好ましくは1000pp
m以下となる。その結果、このスチレン系樹脂は食品容
器や包装材等食品用の用途に好適に用いられる。
【0030】次に、実施形態のスチレン系樹脂及びその
製造方法の効果について記載する。 ・ 実施形態のスチレン系樹脂の製造方法によれば、特
に重合開始剤として一分子中に3個以上のペルオキシ結
合を有する多官能ペルオキシドを用い、特にその多官能
ペルオキシドのペルオキシド結合濃度及び重合温度を所
定範囲に設定したことから、重合速度を維持し、生産性
良くスチレン系樹脂を製造することができる。
【0031】・ 実施形態のスチレン系樹脂の製造方法
によれば、特に重合開始剤の濃度と重合温度範囲を適正
範囲に設定したことから、分子量の低下を伴うことなく
高分子量のスチレン系樹脂を製造することができる。
【0032】・ 実施形態のスチレン系樹脂の製造方法
によれば、特に前記数式(1)に示したように熱開始重
合に対するペルオキシド開始重合の割合を増大させたこ
とから、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有
量の少ないスチレン系樹脂を製造することができる。
【0033】・ 実施形態のスチレン系樹脂は上記のよ
うな製造方法により得られるため、スチレンダイマー及
びスチレントリマーの総含有量が好ましくは1500p
pm以下、さらに好ましくは1000ppm以下とな
る。
【0034】・ 実施形態のスチレン系樹脂はスチレン
ダイマー及びスチレントリマーの総含有量が従来のスチ
レン系樹脂に比べ格段に少ないので、環境衛生の観点か
らその価値は極めて大きい。従って、このスチレン系樹
脂は例えば食品容器、発泡体として食品用トレー、ラン
チボックス、食品用カップ等の食品と接触するような用
途に好適に使用される。
【0035】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、この発明
をさらに具体的に説明する。なお、各例中の略号は以下
の化合物を示す。
【0036】PTA: 2,2−ビス(4,4−ジ−t
−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン TMP: 1,1,1−トリス(t−ブチルペルオキシ
カルボニルオキシメチル)プロパン BuI: t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカー
ボネート 3M: 1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン 各例中で使用したペルオキシドの熱分解活性化パラメー
ターは以下の通りである。
【0037】PTA: A=2.21×10
15(秒)-1、E=33.7kcal/モル TMP: A=1.88×1015(秒)-1、E=34.
2kcal/モル BuI: A=1.75×1015(秒)-1、E=33.
9kcal/モル 3M: A=1.43×1015(秒)-1、E=33.0
kcal/モル (実施例1)PTA〔ペルオキシ結合濃度0.004
(モル/リットル)〕を溶解したスチレンを、内径4m
m、長さ300mmのガラスアンプルに2ml入れ、窒
素置換後封管し、120℃の恒温槽に浸し、4時間塊状
重合を行なった。重合後、残存スチレン量のガスクロマ
トグラフ(GC)による定量から重合転化率を求めた。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)
により重合体の重量平均分子量(Mw)を求めた。その
結果を表1に示した。
【0038】次いで、得られた重合体0.5gに内部標
準物質としてα−メチルスチレンダイマーを含有するベ
ンゼン溶液2ml、次いでベンゼン5mlを添加して重
合体を溶解させた。この溶液にメタノール50mlを添
加し、攪拌、静置後、析出した重合体を自然ろ過した。
ろ液を20℃以下の温度でエバポレーターにより約2m
lまで濃縮した後、濃縮液をGC分析してスチレンダイ
マー及びスチレントリマーを定量した。それらの結果を
表1に示した。
【0039】なお、スチレンダイマー及びスチレントリ
マーの定性は文献(食衛誌、39巻、110頁、199
8年)に記載のスチレンダイマー及びスチレントリマー
のGC−MSトータルイオンクロマトグラム及びマスス
ペクトルを参照しながら、GC−MS(島津製作所社製
の商品名QP5000)を用いて行なった。
【0040】重合時間と重合転化率から算出される重合
速度の評価、重合体の重量平均分子量(Mw)に基づく
重合体分子量の評価並びにスチレンダイマー及びスチレ
ントリマー含有量の評価は以下の評価基準で行なった。 (重合速度) ○:重合転化率/重合時間≧10%/h、 ×:重合転
化率/重合時間<10%/h (重合体分子量) ○:Mw≧40万、 ×:Mw<40万 (スチレンダイマー及びスチレントリマー総含有量) ○:≦1500ppm、 ×:>1500ppm (実施例2〜6及び比較例1〜8)表1に示す実施例1
において、重合開始剤の種類及び添加量並びに重合条件
を表2から表4の通りに代えた他は、実施例1に準じて
実施した。その結果を表2から表4に示した。なお、重
合は重合転化率が70〜90%に達する時間まで行なっ
た。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】 表1及び表2から明らかなように、実施例1〜6の多官
能ペルオキシドを用いる方法により、スチレンダイマー
及びスチレントリマーの含有量の少ないスチレン系樹脂
を、重合速度を低下させることなく、かつ高分子量で製
造できることがわかる。
【0045】これに対し、表3及び表4に示すように、
単官能ペルオキシドを用いた場合(比較例1、2)、2
官能ペルオキシドを用いた場合(比較例3〜5)及び開
始剤を用いない熱重合の場合(比較例6、7)には、上
記の三つの効果の全てを達成することはできなかった。
また、比較例8から、多官能ペルオキシドを用いた場合
でも、kd[I]/kiが8000未満のときには、ス
チレンダイマー及びスチレントリマーの含有量が多くな
ることがわかる。
【0046】なお、前記実施形態より把握される技術的
思想について以下に記載する。 ・ 前記数式(1)は下記の条件を満たすものである請
求項1に記載のスチレン系樹脂の製造方法。
【0047】 100000≧kd[I]/ki≧8000〔(モル)3 /(リットル)3 〕 ・・・(1) 式中、kdは多官能ペルオキシドの熱分解速度定数
〔(秒)-1〕、[I]は初期ペルオキシ結合濃度(モル
/リットル)、kiは熱開始速度定数〔(リットル)2
×(モル)-2×(秒)-1〕を表す。
【0048】このように構成した場合、スチレン系単量
体の重合速度の調節が困難となるのを防止することがで
き、かつスチレンダイマー及びスチレントリマーを効果
的に低減させることができる。
【0049】・ 前記多官能ペルオキシドは、2,2−
ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシ
ル)プロパン又は1,1,1−トリス(t−ブチルペル
オキシカルボニルオキシメチル)プロパンである請求項
1に記載のスチレン系樹脂の製造方法。
【0050】このように構成した場合、スチレン系単量
体の重合開始活性が高く、スチレンダイマー及びスチレ
ントリマーを効果的に低減させることができる。さら
に、高分子量の重合体を製造することができる。
【0051】・ 重合開始剤として単官能又は2官能の
ペルオキシドを併用する請求項1に記載のスチレン系樹
脂の製造方法。 このように構成した場合、目的に応じてスチレン系単量
体の重合速度及び重合体の分子量の調節を容易に行うこ
とができる。
【0052】
【発明の効果】この発明は前記のように構成されている
ため、次のような効果を奏する。第1の発明のスチレン
系樹脂の製造方法によれば、スチレンダイマー及びスチ
レントリマーの含有量の少ないスチレン系樹脂をラジカ
ル重合法によって生産性良く、かつ分子量の低下を伴う
ことなく製造することができる。
【0053】第2の発明のスチレン系樹脂は第1の発明
の製造方法により得られ、スチレンダイマー及びスチレ
ントリマーの総含有量を1500ppm以下という低減
されたものとすることができる。
【0054】第3の発明のスチレン系樹脂は、第2の発
明のスチレン系樹脂を食品用として好適に用いることが
でき、環境衛生の観点からその価値は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 氏川 典久 愛知県知多郡武豊町字六貫山3丁目76番地 の2 Fターム(参考) 3B001 CC36 CC38 4J011 AA05 AA09 AB02 BB01 BB02 NC07 4J015 BA03 4J100 AB02P AB03Q AB04Q AJ02Q AJ09Q AL03Q AL04Q AL09Q AM02Q AM43Q AM47Q AM48Q BC04Q CA01 CA04 FA03 FA28 FA39 JA59

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合開始剤を用いてスチレン系単量体を
    ラジカル重合するスチレン系樹脂の製造方法において、 重合開始剤として一分子中に3個以上のペルオキシ結合
    を有する多官能ペルオキシドを使用し、その多官能ペル
    オキシドを単量体に対しペルオキシド結合濃度として
    0.001〜0.05(モル/リットル)使用し、重合
    温度80〜140℃であり、かつ下記の数式(1)を満
    たす条件下で重合させることを特徴とするスチレン系樹
    脂の製造方法。 kd[I]/ki≧8000〔(モル)3 /(リットル)3 〕 ・・・(1) 式中、kdは多官能ペルオキシドの熱分解速度定数
    〔(秒)-1〕、[I]は初期ペルオキシ結合濃度(モル
    /リットル)、kiは熱開始速度定数〔(リットル)2
    ×(モル)-2×(秒)-1〕を表す。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法により得ら
    れ、スチレンダイマー及びスチレントリマーの総含有量
    が1500ppm以下であるスチレン系樹脂。
  3. 【請求項3】 食品用として用いられるものである請求
    項2に記載のスチレン系樹脂。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005248003A (ja) * 2004-03-04 2005-09-15 Ps Japan Corp 耐熱性スチレン系樹脂の製造方法及びその組成物
JP2009197105A (ja) * 2008-02-20 2009-09-03 Ps Japan Corp 芳香族モノビニル系樹脂の製造方法

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