JP2003231712A - 芳香族モノビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

芳香族モノビニル系樹脂の製造方法

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JP2003231712A JP2002031702A JP2002031702A JP2003231712A JP 2003231712 A JP2003231712 A JP 2003231712A JP 2002031702 A JP2002031702 A JP 2002031702A JP 2002031702 A JP2002031702 A JP 2002031702A JP 2003231712 A JP2003231712 A JP 2003231712A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性に優れ、得られる成形品の色調が良
好であり、臭気が少なく、成形性にも優れる、芳香族モ
ノビニル系樹脂の製造方法を提供すること。 【解決手段】 芳香族モノビニル系樹脂を製造するにあ
たり、ヒンダートアミンを、最終反応器出口の樹脂に対
しその量が0.02〜0.5重量%となるように、重合
工程あるいは脱揮工程において、または重合工程後、脱
揮工程前において添加することを特徴とする芳香族モノ
ビニル系樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族モノビニル
系単量体とその二量体及び三量体の残存量が少ない芳香
族モノビニル系樹脂の製造方法に関し、より詳しくは、
成形時の熱安定性に優れるとともに、直接食品等に接触
する材料に好適に用いることができる芳香族モノビニル
系樹脂の製造方法に関する。更に、本発明は、良好な色
調及び外観を有し且つ臭気の少なく、成形性に優れた、
芳香族モノビニル系樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族モノビニル系樹脂は、その優れた
成形性により、電気製品材料や各種工業材料、雑貨や食
品容器材料、包装材料等として広く用いられている。し
かしながら、芳香族モノビニル系樹脂、例えば、ポリス
チレンにおいては、樹脂中に含まれるスチレン単量体の
量が多いと、得られる成形品に臭気の問題が生じる場合
がある。また、樹脂中にスチレン単量体の二量体や三量
体が多い場合には、耐熱性を下げたり、射出成形時に金
型内で揮発して残留し、これが成形品に転写する等の不
良現象を発生させたり、また金型の清掃頻度が増加する
ことにより、生産性を低下させる等の問題がある。
【0003】成形品の臭気については、特開平7−14
9817号公報及び特開平7−149818号公報にお
いて、フェノール系熱劣化防止剤による低臭気化が提案
されているが、得られる成形品の色調が悪いという欠点
を有している。また、芳香族モノビニル系単量体の二量
体及び三量体の生成を防止する方法については、特開平
5−170825号公報において、フェノール系熱劣化
防止剤を樹脂製造時における重合工程または脱揮工程に
添加する方法が提案されているが、上記同様、得られる
成形品の色調が悪いという欠点を有している。一方、ヒ
ンダートアミンは、一般的には光安定剤として、広く用
いられており、特に、酸化防止剤または紫外線吸収剤と
の併用よる相乗効果で、優れた効果が認められている
が、高温、無酸素下での、ポリマー炭素ラジカルの安定
化による芳香族モノビニル系単量体及びその二量体や三
量体の低減効果に関しては、何ら開示されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、芳香族モノ
ビニル系単量体とその二量体及び三量体の残存量が少な
い芳香族モノビニル系樹脂の製造方法に関し、より詳し
くは、成形時の熱安定性に優れるとともに、直接食品等
に接触する材料に好適に用いることができる芳香族モノ
ビニル系樹脂の製造方法に関する。更に、本発明は、良
好な色調及び外観を有し且つ臭気の少なく、成形性に優
れた、芳香族モノビニル系樹脂の製造方法を提供するも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑み、鋭意研究を進めた結果、芳香族モノビニル系
樹脂の製造時において、特定の安定剤を特定割合で、重
合工程あるいは脱揮工程において、または重合工程後、
脱揮工程前において添加することにより、これまで予想
し得なかった芳香族モノビニル系単量体とその二量体及
び三量体の残存量が極めて少なく、良好な色調及び外観
を有し且つ臭気の少ない、成形性に優れた特性を有する
芳香族モノビニル系樹脂が得られることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、芳香族モノビニル系
樹脂を製造するにあたり、芳香族モノビニル系単量体を
重合工程にて重合し、次いで脱揮工程にて重合反応後の
反応物から未反応物及び/又は溶剤を除去するに際し、
下記一般式(I)
【化2】 〔式中、Rは水素原子又は1〜8個の炭素原子を有する
アルキル基を示す。〕で表わされるヒンダートアミン
を、最終反応器出口の樹脂に対しその量が0.02〜
0.5重量%となるように、重合工程あるいは脱揮工程
において、または重合工程後、脱揮工程前において添加
することを特徴とする芳香族モノビニル系樹脂の製造方
法、また、この芳香族モノビニル系樹脂の製造方法にお
いて、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100pp
m以下となるまで脱揮する製造方法、あるいは芳香族モ
ノビニル系単量体の二量体及び三量体の残存量の合計が
0.4重量%以下となるまで脱揮する製造方法、さらに
はヒンダートアミンを重合工程に添加することにおい
て、芳香族モノビニル系単量体の重合率が50%以上、
及び添加位置の温度が160℃以下で添加する芳香族モ
ノビニル系樹脂の製造方法である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。芳香族モ
ノビニル系樹脂、例えば、工業的規模で生産されるポリ
スチレンは、ほとんどラジカル重合で生産されている
が、未反応物及び/又は溶剤を脱揮工程で除去する際
に、あるいは脱揮した直後の樹脂が熱分解によって、ス
チレン単量体及びその二量体や三量体が多く発生し、得
られる成形品はこれらを多く含むものとなる。さらにこ
れらの樹脂を用いて、射出成形、ブロー成形、押出成形
等で成形品を得た場合、成形時の熱履歴により、スチレ
ン単量体、その二量体、三量体の量はさらに増加する。
工業的に生産されているポリスチレン中に残留するスチ
レン単量体の量は、200〜400ppm程度であり、
例えば、100ppm以下のものを得ようとすること
は、極めて困難である。従来、ポリスチレンはスチレン
単量体の反応で生成する熱開始ラジカル及び/又は重合
開始剤ラジカルで重合することが多かった。この場合、
重合開始剤ラジカルの割合を増やすことにより、スチレ
ン単量体の二量体及び三量体の量を低減させることはで
きるが、脱揮工程での樹脂の熱分解により再び発生する
ため、これらの量の低減には限界があった。
【0008】本発明の製造方法は、前記一般式(I)で
表されるヒンダートアミンを重合工程あるいは脱揮工程
において、または重合工程後、脱揮工程前において添加
して、芳香族モノビニル系単量体の量、更には、その二
量体及び三量体の量が非常に少ない成形品を得る方法で
ある。本発明において、芳香族モノビニル系単量体から
なる樹脂を得るために、原料として用いる芳香族モノビ
ニル系単重体としては、スチレン単独のみならず、スチ
レンと共重合可能な他のビニル系単量体とスチレンとの
混合物を挙げることができる。ここでスチレンと共重合
可能な他のビニル系単量体として、具体的には、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチル
メタクリレート、ハロゲン含有ビニルモノマー、α一メ
チルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン等があり、これらの1種以上を
用いることができる。これらスチレンと共重合し得るビ
ニル系単量体は、通常、全単量体の60重量%以下、好
ましくは50重量%以下の割合で用いることができる。
【0009】また、芳香族モノビニル系樹脂は、ポリブ
タジエン、SBR、ポリイソプレン、ニトリルゴム、天
然ゴム等のゴム成分を含んでいても良い。本発明の重合
工程における、芳香族モノビニル系単量体の重合方法に
ついては、特に制限はなく、従来慣用されている方法、
例えば、ラジカル重合法としては、塊状重合法、懸濁重
合法、塊状−懸濁重合法のような多段重合法、乳化重合
法が可能であり、また、アニオン重合法あるいはメタロ
セン触媒を用いたイオン重合法等も用いることができ
る。
【0010】ここで、ラジカル重合法である塊状重合法
を例に挙げて、本発明の重合方法について説明する。本
発明の方法で用いられる重合開始剤としては、有機過酸
化物、例えば2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブ
タン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタ
ン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブ
チルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4
−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレートなどのペル
オキシケタール類、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−
ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、
α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシイソブロピル)
ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3などのジアルキ
ルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリ
ルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイ
ルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5
−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペ
ルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシ
ド、m−トリオイルペルオキシドなどのジアシルペルオ
キシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、
ジー2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ
−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジミリスチ
ルペルオキシジカーボネート、ジ−n−エトキシエチル
ペルオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルペ
ルオキシジカーボネート、ジ−(3−メチル−3−メト
キシブチル)ペルオキシジカーボネートなどのペルオキ
シジカーボネート類、t−ブチルペルオキシアセテー
ト、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチル
ペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカ
ノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブ
チルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−プチ
ルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエー
ト、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペル
オキシベンゾエート、ジーt−ブチルジペルオキシイソ
フタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイ
ルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプ
ロピルカーボネートなどのペルオキシエステル類、アセ
チルアセトンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオ
キシド、シクロヘキサノンペルオキシド、3,3,5−
トリメチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルシク
ロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド
類、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペル
オキシド、ジイソプロピルペルベンゼンヒドロペルオキ
シド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメ
チルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、1,
1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシドな
どのヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。
【0011】また、アゾ系開始剤である、2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−
メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シ
クロヘキサンカルボニトリル)等を用いることもでき
る。これらの有機過酸化物あるいはアゾ系開始剤は、そ
れぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。重合条件としては、重合開始剤としての
有機過酸化物の分解温度に応じて、20〜180℃で重
合を開始し、塊状重合を行えばよい。この塊状重合系に
は、連鎖移動剤、溶剤、一般的な酸化防止剤等の熱安定
剤、ミネラルオイル、シリコンオイル等を適宜添加する
ことができる。ここで連鎖移動剤としては、例えばα−
メチルスチレンリニアダイマー、n−ドデシルメルカプ
タン、t−ドデシルメルカプタン、1−フェニルー2−
フルオレン、ジベンテン、クロロホルムなどのメルカプ
タン類、テルペン類、ハロゲン化合物、テレピノーレン
等のテレピン類等を挙げることができる。この連鎖移動
剤の使用量は、特に制限はないが、一般的には単量体に
対して、0.005〜0.1重量%程度加えれば良い。
【0012】必要に応じて用いられる溶剤としては、芳
香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、エチルベ
ンゼン、ジアルキルケトン類、例えばメチルエチルケト
ンなどが挙げられ、それぞれ単独で用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、重合生成
物の溶解性を低下させない範囲で、他の溶剤、例えば脂
肪族炭化水素類等を芳香族炭化水素類に混合することが
できる。これらの溶剤は、単量体に対して、25重量%
を超えない範囲で使用するのが好ましい。溶剤が25重
量%を超えると、重合速度が著しく低下し、かつ、得ら
れる樹脂の衝撃強度の低下が大きくなる。また、溶剤の
回収のために、多量のエネルギーを要するので経済性も
劣ってくる。溶剤は、重合が進み、比較的高粘度になっ
てから添加してもよいし、あるいは重合前から添加して
おいてもよいが、重合前に5〜20重量%の割合で添加
しておく方が、品質が均一化し易く、重合温度制御の点
でも好ましい。
【0013】また、一般的な安定剤として、例えばオク
タデシル−3−(3,5−ターシャリーブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、4,6−ビス(オ
クチルチオメチル)−o−クレゾールなどのヒンダート
フェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−ターシ
ャリーブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系加
工熱安定剤等を挙げることができる。これらの安定剤を
それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて適宜用
いてもよい。添加時期については、特に制限はなく、重
合工程又は脱揮工程のいずれでもよい。また、押出機や
バンバリミキサー等機械的装置で成形品に安定剤を混合
することもできる。なおここで、上記重合工程において
用いる装置については、特に制限はなく、芳香族モノビ
ニル系単量体の重合方法に従って適宜選択すれば良い。
例えば、塊状重合による場合には、第1反応器、第2反
応器及び第3反応器からなる重合装置を、アニオン重合
による場合にはオートクレーブ等の重合装置を用いるこ
とができる。
【0014】本発明においては、脱揮工程についても特
に制限はない。芳香族モノビニル系単量体の重合を塊状
重合で行なう場合は、最終的に未反応の芳香族モノビニ
ル系単重体が、好ましくは50重量%、より好ましくは
40重量%以下になるまで重合を進め、かかる芳香族モ
ノビニル系単量体などの揮発分を除去するために、公知
の方法にて脱揮処理する。この脱揮工程は、重合反応後
の反応物から、未反応物及び/又は溶剤を除去するため
のものであり、脱揮処理には、例えばフラッシュドラ
ム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などの通常の脱揮
装置を用いることができる。なお、脱揮処理の温度は、
通常、190〜280℃程度であり、また脱揮処理の圧
力は通常、1〜100torr(トール)程度である、
好ましくは1〜50torrであり、さらに好ましくは
1〜10torrである。脱揮方法としては、例えば加
熱下で減圧して除去する方法や、揮発分除去の目的に設
計された押出機等を通して除去することが望ましい。
【0015】本発明においては、前記一般式(I)で表
されるヒンダートアミンを、重合工程あるいは脱揮工程
において添加することが好ましい。つまり、この場合に
は、本発明のヒンダートアミンは、重合反応に用いられ
る反応器又は押出機等に添加されることになる。また、
重合工程の終了後(好ましくは直後)であって脱揮工程
の前において添加することがより好ましく、この場合に
は、重合反応に用いられる反応器の出口において、ヒン
ダートアミンの添加が行われることになる。なお、成形
時の樹脂の熱分解抑制のため、得られたペレットに、押
出機やバンバリミキサー等機械的装置を用いて、さらに
ヒンダートアミンを混合してもよい。
【0016】重合工程で得られた重合溶液にヒンダート
アミンを添加した後は、両者を均一に混合することが好
ましい。これは、混合性の良くない反応器、または混合
手段のない重合ラインにヒンダートアミンを添加した場
合には、ヒンダートアミンの分散が不十分となり、脱揮
工程での芳香族モノビニル系単量体及びその二量体や三
量体の生成抑制効果はあるものの、その効果が低下して
好ましくないからである。ここで、重合工程で得られた
重合溶液とヒンダートアミンとを均一に混合させるに
は、例えば、重合装置や脱揮装置の他に、混合装置を別
途設けることが好ましい。なお、混合装置の構造につい
ては、特に制限はなく、重合工程で得られた重合溶液と
ヒンダートアミンとを均一に混合できるものであればよ
く、例えば、完全混合型ミキサー、塔型ミキサー、スタ
ティックミキサー等が挙げられる。具体的には、混合装
置を上記重合装置(例えば、第3反応器)の後に設ける
ことができる。
【0017】本発明の方法においては、重合工程におい
てヒンダートアミンを添加する場合は、芳香族モノビニ
ル系単量体の重合率が、50%以上、特に60%以上と
なった時点において、前記一般式(I)で表されるヒン
ダートアミンを添加することが望ましい。これは、重合
初期に添加すると、重合反応時のラジカルが捕捉される
ため、あまり好ましくないからである。なおここで、重
合率とは、原料単量体の重量を100としたときの重合
した樹脂の重量の比率(%)をいう。また、重合工程に
おいてヒンダートアミンを添加する場合、重合工程の重
合温度が160℃以下のときに添加することが好まし
い。重合温度が160℃を超えた後に上記熱劣化防止剤
を添加すると、重合反応時のラジカルの捕捉が速くな
り、あまり好ましくない。
【0018】なお、重合を塊状−懸濁重合で行なう場合
は、部分的に重合した反応物を、第三リン酸カルシウム
やポリビニルアルコールなどの懸濁安定剤、又はこれと
界面活性剤を併用して、水性媒体中に攪拌しながら分散
させ、懸濁重合により反応を完結させる。得られた懸濁
ポリマー粒子を含んだスラリーを脱水し、洗浄後、乾燥
する。その後、脱揮工程で、乾燥した懸濁ポリマー粒子
中の未反応物を例えば、押出機などで脱揮し、ペレット
化する。この場合、前記一般式(I)で表されるヒンダ
ートアミンは、脱揮工程前に添加することが好ましい。
また、アニオン重合を行なう場合は、不活性溶媒中に単
量体を溶解させ、重合開始剤として有機アルキル金属化
合物、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリ
チウム、t−ブチルリチウムなどを用いて重合し、重合
終了後、メタノール等の活性水素を有する化合物で重合
活性末端を失活させ、重合を完結させる。その後、脱揮
工程で、重合反応後の反応物から、未反応物及び/又は
溶剤を、例えばフラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸
発器、押出機などで脱揮し、ペレット化する。この場
合、前記一般式(I)で表されるヒンダートアミンは、
脱揮工程前に添加することが好ましい。
【0019】本発明においては、無酸素下で発生したラ
ジカルを効果的に捕捉安定化することができる、すなわ
ち、前記一般式(I)で表されるヒンダートアミンを用
いる。その量は、樹脂重量に対して0.02〜0.5重
量%、好ましくは0.03〜0.4重量%、更に好まし
くは0.04〜0.3重量%である。ここで、ヒンダー
トアミンの添加量が0.02重量%未満であると、脱揮
工程での芳香族モノビニル系単量体、及びその二量体や
三量体の生成抑制効果が不十分となり、これらの少ない
成形品を得ることが出来ない。また、添加量が0.02
重量%未満の場合には、成形時における樹脂の熱分解に
よるスチレン単量体生成を抑制する効果が不十分とな
り、成形品の残留スチレン単量体レベルを低く抑えるこ
とが極めて難しくなるため、色調が良好な成形品を得る
ことができず好ましくない。一方、上記ヒンダートアミ
ンを0.5重量%より多く添加しても、添加量に見合う
だけの効果が得られない。このようなヒンダートアミン
類としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト等を挙げることができる。これらの中でも、好ましく
はビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)セバケートである。
【0020】本発明においては、芳香族モノビニル系単
量体の残存量は、100ppm以下、好ましくは95p
pm以下である。ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレ
ンで、開口部幅95mm、奥行55mm、深さ96m
m、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成し、この
容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間後にこの
温湯の臭気を確認したところ、芳香族モノビニル系単量
体の残存量が100ppm以下では、臭気の問題が大幅
に改善され、また成形品の色調も大幅に改善される。一
方、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm
を超えると、前記ヒンダートアミンを所定量添加して
も、成形品の色調が悪いものとなり、目的を達成するこ
とができない。
【0021】また、本発明においては、芳香族モノビニ
ル系単量体の二量体及び三量体の残存量を合計で0.4
重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.
35重量%以下である。0.4重量%以下では、射出成
形の場合、成形品へのオイル付着が大幅に改善され、成
形性が非常に良好となる。この場合、前記と同様に、芳
香族モノビニル系単量体を100ppm以下にすること
により、色調が良好で、臭気の少ない、成形性に非常に
優れる成形品が得られる。
【0022】なお、芳香族モノビニル系樹脂としてポリ
スチレンを用いた場合、上記射出成形で付着したオイル
を調べたところ、二量体としては、1,3−ジフェニル
プロパン、2,4−ジフェニル−1ブテン、1,2−ジ
フェニルシクロブタン、1−フェニルテトラリン、三量
体としては、2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセ
ン,1−フェニル−4−(1’−フェニルエチル)テト
ラリン等が含まれていた。本発明の方法で得られた芳香
族モノビニル系樹脂には、所望に応じて、通常用いられ
ている添加剤、例えば滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、離型剤、可塑剤、染料、顔料、各種充填剤などを添
加することができる。また、他の樹脂、例えば一般のポ
リスチレン、スチレン−ブタジエン共重合エラストマ
ー、部分的にまたは完全に水素添加されたスチレン−ブ
タジエン共重合エラストマー、ポリフェニレンエーテル
などを配合することもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に本発明を実施例及び比較例に
より、詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定
される訳ではない。なお、実施例及び比較例における樹
脂組成物及び成形品の分析方法は、下記の通りである。 (1)重量平均分子量の測定 試料調製 :テトラヒドロフランに樹脂組成物約1000ppmを溶解 測定条件 機器 :昭和電工 Shodex21 (ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー) カラム :サンプル:KF−806L 2本 リファレンス:KF−800RL 2本 温度 :40℃ キャリア :THF 1ml/min 検出器 :RI 、UV:254nm 検量線 :東ソー製の単分散PS使用 データ処理 :Sic−480
【0024】 (2)成形品中の残留スチレン単量体量の測定 試料調製 :樹脂組成物1gをジメチルフォルアミド25mlに溶解、 樹脂がシンジオタクチックの場合のみ樹脂組成物0.1 gをジクロロベンゼンに溶解 測定条件 検出方法 :FID 機器 :島津製製作所 GC14B カラム :CHROMAPACK CP WAX 52CB 100m、膜厚2μm、0.52mmφ カラム温度 :110℃−10分→15℃/分→130℃−2分 注入口温度 :150℃ 検出器温度 :150℃ キャリアガス :ヘリウム
【0025】 (3)成形品中のヒンダートアミン(ヒンダートアミンの添加量)の測定 試料調製 :成形品1gをメチルエチルケトンに溶解 測定条件 検出方法 :FID 機器 :島津製製作所 GC17Apf カラム :DB−1(100%ジメチルポリシロキサン) 30m、膜厚0.1μm、0.25mmφ カラム温度 :100℃−2分→5℃/分→260℃−5分 注入口温度 :200℃ 検出器温度 :200℃ キャリアガス :窒素
【0026】(4)成形品中のスチレン単量体の二量体
及び三量体の測定 (3)と同じ方法 成形品の色調、成形品の臭気、金型へのオイル付着状況
と、ヒンダートアミンの添加量、スチレン単量体、その
二量体及び三量体の量との関係について、下記、実施例
1〜10、比較例1〜4の結果を表1に示す。
【0027】なお、実施例1〜10、比較例1〜4にお
ける樹脂組成物の評価方法は、下記の通りである。 (1)臭気判定方法 樹脂組成物から、開口部幅95mm、奥行55mm、深
さ96mm、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成
し、この容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間
後にこの温湯の臭気を判定した。 (2)成形品の色調の判定方法 (1)の臭気判定に用いた成形品を目視で判定した。 (3)金型へのオイル付着状況の確認方法 150×50×2.5mmの短冊型の金型を使用して、
充填3.0秒で射出成形時にショートショットさせた。
70ショット終了後、15分間射出成形を停止し、金型
を冷却して、成形体先端部に相当する金型面を観察し、
オイルの付着状況を確認した。以後、70ショット毎
に、同様にして金型へのオイル付着状況を確認しつつ、
980ショットまで成形を繰り返し、金型にオイルが付
着し始めたショット数を求めた。
【0028】[実施例1]スチレン90重量部及びエチ
ルベンゼン10重量部に、0.05重量部の重合開始剤
(1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン)を溶解し、0.5リット
ル/時の速度で、それぞれの容量が1リットルの第1反
応器、第2反応器、第3反応器からなる重合装置に連続
的に順次供給した。かかる重合工程が終了した直後、す
なわち、第3反応器の出口において、エチルベンゼンに
溶解したサノールLS770 [ヒンダートアミン系光安定
剤、化学名:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)セバケート、三共社製]を、第3反応器
により得られた樹脂(重量平均分子量=26万)に対し
て0.2重量%になるように添加した。次いで、第3反
応器の後に設けられた完全混合型ミキサー(容量150
ミリリットル)で、樹脂とサノールLS770 とを均一に混
ぜたあと、単軸押出機を直列に2台連結した脱揮装置に
移行させ、かかる脱揮工程において揮発分を順次除去
し、ペレット化した。
【0029】なお、重合工程における重合反応条件は、
第1反応器は重合温度105〜110℃,攪拌機回転数
150rpm、第2反応器は重合温度115〜125
℃、攪拌機回転数50rpm、第3反応器は重合温度1
30〜150℃、攪拌機回転数20rpmとした。各反
応器出口の重合率は、第1反応器出口では35%、第2
反応器出口では65%、第3反応器出口では90%であ
った。また、脱揮工程における、前段の単軸押出機は温
度190〜200℃、真空度30torr、後段の単軸
押出機は温度220〜240℃、真空度5torrとし
た。
【0030】得られたペレットを用いて、臭気判定用の
射出成形品を以下の異なる2つの条件で作製した。一つ
目の条件としては、通常の連続成形で成形品を採取した
(滞留なし品)。他の条件としては、成形を一度止め、
シリンダー内に樹脂を30分間滞留させた後、成形を再
開、最初の2ショットを捨て、滞留した樹脂の3ショッ
ト目を成形品として採取した(滞留30分品)。射出成
形機の各ゾーンの成形温度はそれぞれ250℃、250
℃、230℃、210℃とした。さらには射出成形した
ときの金型へのオイル付着状況を確認した。スチレン単
量体の残存量、その二量体及び三量体の残存量の合計、
臭気判定結果、並びに目視判定による成形品の色調およ
び金型へのオイル付着状況を、表1に示す。
【0031】[実施例2]実施例1において、サノール
LS770 の添加量を0.15重量%としたこと以外は、実
施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性
等の評価を行った。結果を表1に示す。 [実施例3]実施例1において、サノールLS770 の添加
量を0.1重量%としたこと以外は、実施例1と同様に
してペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0032】[実施例4]実施例1において、サノール
LS770 を、脱揮工程における単軸押出機の前段の押出機
と後段の押出機との間の位置に添加し、添加量を0.1
5重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてペレ
ット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果
を表1に示す。 [実施例5]実施例1において、サノールLS770 の代わ
りに、サノールLS765 [ヒンダートアミン系光安定剤、
化学名:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−ピペリジル)セバケート、三共社製]を添加し、添加
量を0.15重量%としたこと以外は、実施例1と同様
にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行
った。結果を表1に示す。
【0033】[実施例6]実施例1において、スチレン
90重量部の代わりに、スチレン85重量部及びポリブ
タジエン(ジエン35:旭化成製)5重量部を用いた以
外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製
し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。 [実施例7]実施例6において、サノールLS770 の添加
量を0.1重量%としたこと以外は、実施例1と同様に
してペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行っ
た。結果を表1に示す。 [実施例8]実施例1において、サノールLS770 の添加
量を0.05重量%としたこと以外は、実施例1と同様
にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行
った。結果を表1に示す。
【0034】[実施例9]乾燥窒素で置換した攪拌機付
きオートクレーブ中に脱水したシクロヘキサン60k
g、脱水したスチレン10kgを仕込み、反応初期温度
50℃でn−ブチルリチウム6gを含有する30重量%
のシクロヘキサン溶液を添加し、激しく攪拌しながら重
合反応を実施した。5分後、反応器内温は85℃に上昇
した。20分間反応させ、ガスクロマトグラフィーによ
り重合率を測定したところ99.8%であった。次い
で、反応器中の重合溶液に、メタノールを1kg加え、
30分間攪拌後、得られた樹脂に対し、サノールLS770
を0.05重量%添加して(押出機入口)、20mm単
軸押出機で、押出機温度210〜230℃、真空度15
torrで脱揮、ペレット化した。このペレットを用い
た成形品の作製、成形品の評価は、実施例1と同様にし
て行なった。結果を表1に示す。
【0035】[実施例10]栗本鉄工所製KRC(内容
積8.6リットル、ブレード径100mm、シリンダー
有効長1000mm、パドル数44組、シリンダー内壁
とパドルとのクリアランス1mm)の反応器を使用し
て、内部温度を80℃に制御し、また回転数を200r
pmとした。この反応器にスチレンを1リットル/時の
割合で供給するとともに、触媒としてメチルアルミノキ
サンを75ミリモル/時、ペンタメチルシクロペンタジ
エニルチタニウムトリメトキシドを0.15ミリモル/
時の割合で供給しながら5時間連続重合を実施した。反
応器出口から出てくる粉体を1重量%の水酸化ナトリウ
ムを溶解したメタノールに浸漬し、洗浄した後、得られ
た樹脂に対し、サノールLS770 を0.05重量%添加し
て(押出機入口)、180℃、10torr、1時間、
乾燥機で乾燥した。添加剤混合前の樹脂は、13C−N
MRによる重合体のラセミペンタッドでのシンジオタク
シティーは97%であった。
【0036】この樹脂を20mm単軸押出機で、押出機
温度270〜290℃、真空度20torrで脱揮、ペ
レット化した。このペレットを用いて、臭気判定用の射
出成形品を2つの異なる条件で作製した。一つ目の条件
としては、通常の連続成形で成形品を採取した(滞留な
し)。他の条件としては、成形を一度止め、シリンダー
内に樹脂を30分間滞留させた後、成形を再開、最初の
2ショットを捨て、滞留した樹脂の3ショット目を成形
品として採取した(滞留30分品)。射出成形機の各ゾ
ーンの成形温度はそれぞれ290℃、290℃、280
℃、270℃とした。さらに、射出成形したときの金型
へのオイル付着状況を確認した。スチレン単量体の残存
量、臭気判定結果および目視判定による成形品の色調お
よび金型へのオイル付着状況を表1に示す。
【0037】[比較例1]実施例1において、サノール
LS770 を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして
ペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。
結果を表1に示す。 [比較例2]実施例1において、サノールLS770 の添加
量を0.01重量%とした以外は、実施例1と同様にし
てペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0038】[比較例3]実施例1において、サノール
LS770 の代わりに、スミライザーGS〔熱劣化防止剤、
化学名:2-[1-(2-Hydroxy-3,5-di-tert-pentylphenyl)e
thyl]-4,6-di-tert-pentylphenyl acrylate 、住友化学
社製〕を添加し、添加量を0.2重量%とした以外は、
実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物
性等の評価を行った。結果を表1に示す。 [比較例4]実施例1において、サノールLS770 の添加
量を0.01重量%とし、また、サノールLS770 を脱揮
工程における単軸押出機の前段の押出機と後段の押出機
との間の位置に添加し、更に、樹脂に対して水を1重量
%添加した以外は、実施例1と同様にしてペレット及び
成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に
示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1より、前記一般式(I)で表わされる
ヒンダートアミンを所定量添加して、スチレン単量体の
残存量を100ppm以下にすることにより、色調が非
常に優れた成形品が得られることが分かる。なお、前
記、ヒンダートアミンを所定量添加しても、スチレン単
量体の残存量が多いと、得られる成形品の色調は非常に
悪いものとなる。また、本発明の樹脂組成物において
は、成形機での滞留試験の結果においても、スチレン単
量体及びその二量体や三量体の増加が少なく、成形品の
色調も変わらず、非常に熱安定性に優れるものであっ
た。さらに、本発明の樹脂組成物においては、二量体と
三量体の合計量が0.4重量%以下であり、金型へのオ
イル付着も少なく、成形性も非常に良好なものであっ
た。一方、フェノール系熱劣化防止剤(スミラーザーG
S)を用いた場合は、得られる成形品の色調が非常に悪
いものであった。
【0041】また、安定剤の添加方法と残留スチレン単
量体、その二量体及び三量体の濃度の関係について、上
記実施例1〜10及び比較例1〜2、並びに以下に示す
実施例11〜13及び比較例5を比較した結果を表2に
示す。 [実施例11]実施例2において、第3反応器出口の後
に設けられた混合装置を取り除いたこと以外は、実施例
2と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の
評価を行った。結果を表2に示す。 [実施例12]実施例2において、サノールLS770 の添
加位置を、第3反応器の出口から第3反応器の上から2
/3位置に変更した。添加位置において、重合温度は1
50℃、重合率は81%であった。添加剤の注入量は実
施例2と同じになるように調整した。これ以外は実施例
2と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の
評価を行った。結果を表2に示す。
【0042】[実施例13]実施例12において、サノ
ールLS770 の添加位置の重合温度を160℃に変更し
た。添加位置の重合率は86%であった。添加剤の注入
量は、実施例11と同じになるように調整した。これ以
外は実施例12と同様にしてペレット及び成形品を作製
し、物性等の評価を行った。結果を表2に示す。 [比較例5]実施例2において、サノールLS770 を重合
原料(第1反応器入口)に添加した以外は、実施例2と
同様にして行なった。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】表2より、重合工程における第3反応器、
重合工程直後(脱揮工程前)である第3反応器出口、あ
るいは脱揮工程における前段の単軸押出機と後段の単軸
押出機との間の位置において、本発明のヒンダートアミ
ンを所定量添加することにより、スチレン単量体の残存
量、及びスチレン単量体の二量体及び三量体の合計残存
量を著しく低減させることができることがわかる。ま
た、上記熱劣化防止剤を添加した後、重合工程で得られ
た重合溶液と熱劣化防止剤とを混合装置を用いて均一に
混合することで、上記低分子量成分をより低減させるこ
とができる。さらに、重合工程において熱劣化防止剤を
添加する場合、より重合率の高いところで、かつ重合温
度の低いところで熱劣化防止剤を添加することにより、
上記低分子量成分をより低減させることができる。
【0045】
【発明の効果】本発明の芳香族モノビニル系樹脂の製造
方法によれば、成形性及び成形時の熱安定性に優れ、臭
気の少なく、成形性に優れた、成形品とすることができ
る。また、本発明の製造方法で得られる樹脂は、押出シ
ート(発泡、非発泡)、射出成形、ブロー成形等による
成形品として好適に用いられ、直接食品等に接触するよ
うな包装材料、容器等に特に好適な製品が得られる。更
に、本発明の芳香族モノビニル系樹脂は、玩具、雑貨、
日用品、電気製品部品や各種工業部品等の用途にも幅広
く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AB02P AB03Q AB04Q AL03Q AM02Q CA01 CA04 GB05 GD02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族モノビニル系単量体を重合工程に
    て重合し、次いで脱揮工程にて重合反応後の反応物から
    未反応物及び/又は溶剤を除去して、芳香族モノビニル
    系樹脂を製造するにあたり、下記一般式(I) 【化1】 〔式中、Rは水素原子又は1〜8個の炭素原子を有する
    アルキル基を示す。〕で表わされるヒンダートアミン
    を、最終反応器出口の樹脂に対しその量が0.02〜
    0.5重量%となるように、重合工程あるいは脱揮工程
    において、または重合工程後、脱揮工程前において添加
    することを特徴とする芳香族モノビニル系樹脂の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 脱揮工程において、芳香族モノビニル系
    単量体の残存量が100ppm以下となるまで脱揮する
    ことを特徴とする請求項1に記載の芳香族モノビニル系
    樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 重合工程で重合開始剤を用いて重合する
    とともに、脱揮工程において、芳香族モノビニル系単量
    体の二量体及び三量体の残存量が合計で0.4重量%以
    下となるまで脱揮することを特徴とする請求項1又は2
    に記載の芳香族モノビニル系樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 ヒンダートアミンを重合溶液に添加した
    後、両者を均一に混合することを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の芳香族モノビニル系樹脂の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ヒンダートアミンを重合工程に添加する
    ことにおいて、芳香族モノビニル系単量体の重合率が5
    0%以上、及び添加位置の温度が160℃以下で添加す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の芳
    香族モノビニル系樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 重合工程において、重合開始剤を用いた
    ラジカル重合法、アニオン重合法、あるいはイオン重合
    法により芳香族モノビニル系単量体を重合することを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族モノビ
    ニル系樹脂の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115087702A (zh) * 2020-02-21 2022-09-20 Ps日本株式会社 苯乙烯类树脂组合物、阻燃性苯乙烯类树脂组合物和成型体以及贴片天线

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