JP3481313B2 - 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

耐衝撃性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法

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JP3481313B2
JP3481313B2 JP17904094A JP17904094A JP3481313B2 JP 3481313 B2 JP3481313 B2 JP 3481313B2 JP 17904094 A JP17904094 A JP 17904094A JP 17904094 A JP17904094 A JP 17904094A JP 3481313 B2 JP3481313 B2 JP 3481313B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐衝撃性スチレン系
樹脂組成物および耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製造
方法に関し、さらに詳しくは、表面光沢および耐衝撃性
に優れ、しかも良好な外観を有する成形品とすることが
でき、家電製品、OA機器、シート分野をはじめとする
各種分野において好適に用いることができる耐衝撃性ス
チレン系樹脂組成物および耐衝撃性スチレン系樹脂組成
物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】一般用ポ
リスチレンの耐衝撃性を改善した耐衝撃性スチレン系樹
脂組成物は、従来より各種分野において利用されてい
る。ところが、耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の成形品
は、表面光沢が十分でないという問題がある。近年、耐
衝撃性スチレン系樹脂組成物の用途の拡大を図るため
に、良好な表面光沢を有する成形品にすることができる
耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の開発が盛んである。
【0003】たとえば、特開平4−264116号公報
には、表面光沢に優れる耐衝撃性スチレン系樹脂を得る
旨が開示されている。しかし、この方法により製造され
た耐衝撃性スチレン系樹脂は、表面光沢には優れるもの
の耐衝撃性や成形品外観が十分でない。また、特開平3
−162407号公報には、表面光沢と耐衝撃性とに優
れるスチレン系樹脂組成物を得る旨が開示されている。
しかし、この方法により得られるスチレン系樹脂組成物
の場合も、成形品外観が十分でないという問題がある。
【0004】したがって、表面光沢および耐衝撃性のみ
ならず、成形品外観にも優れる耐衝撃性スチレン系樹脂
組成物は依然提供されていないのが現状である。
【0005】そこで、この発明者らが検討したところ、
耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を成形したときに成形品
の表面に付着し、成形品外観を不良にする低分子量成分
を耐衝撃性スチレン系樹脂組成物から除去すると、前記
従来の問題を解決することができるという知見を得た。
【0006】この発明は、前記従来における問題を解決
することを目的とする。さらに、この発明は、表面光沢
および耐衝撃性に優れ、しかも良好な外観を有する成形
品とすることができ、家電製品、OA機器、シート分野
をはじめとする各種分野において好適に用いることがで
きる耐衝撃性スチレン系樹脂組成物および耐衝撃性スチ
レン系樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項1に記載の発明は、平均ゴム粒径が0.2〜
1.0μmであり、オクルージョン構造を有する分散ゴ
ム粒子群と、スチレン系重合体成分95〜85重量%
と、ゴム状重合体におけるスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体ゴムとポリブタジエンゴムとの二成分からな
ジエン系重合体成分5〜15重量%と、多くとも0.
6重量%のスチレン系2量体および/またはスチレン系
3量体と、多くとも700ppmの残留揮発成分とを有
することを特徴とする耐衝撃性スチレン系樹脂組成物で
あり、請求項2に記載の発明は、8〜25重量%のスチ
レン系重合体鎖を有するゴム状重合体とスチレン系モノ
マーとを、重合開始剤250〜600ppmの存在下に
重合し、その後、残留揮発成分の総量が多くとも700
ppmとなるように脱気処理をすることを特徴とする前
記請求項1に記載の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製
造方法である。
【0008】<耐衝撃性スチレン系樹脂組成物>この発
明に係る耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、特定の分散
ゴム粒子群と、特定量のスチレン系重合体成分と、ゴム
状重合体における特定量のジエン系モノマー成分を含有
するゴム状重合体と、特定量のスチレン系2量体および
/またはスチレン系3量体と、特定量の残留揮発成分と
を含有する。
【0009】(1)分散ゴム粒子群 この発明に係る耐衝撃性スチレン系樹脂組成物におい
て、分散ゴム粒子群すなわちマトリックス中に分散する
ゴム粒子群は、その平均ゴム粒径が0.2〜1.0μm
であり、好ましくは0.3〜0.8μmであり、更に好
ましくは0.3〜0.6μmである。また、ゴム粒子群
における平均ゴム粒径の好ましい範囲として、場合によ
っては、 0.2μmおよび0.3μmのいずれかを下限値と
し、1.0μm、0.8μmおよび0.6μmのいずれ
かを上限値とする範囲を取り得るし、 0.2μmおよび0.3μmのいずれかを下限値と
し、この明細書に記載された実施例に記載されたいずれ
か任意のゴム粒径を上限値とする範囲を取り得るし、 この明細書に記載された実施例に記載されたいずれか
任意のゴム粒径を下限値とし、1.0μm、0.8μm
および0.6μmのいずれかを上限値とする範囲を取り
得るし、 この明細書に記載された実施例に記載されたゴム粒径
の内もっとも小さなゴム粒径、その次に大きなゴム粒径
およびその次に大きなゴム粒径からなる三種のゴム粒径
のいずれかを下限値とし、この明細書に記載された実施
例に記載されたゴム粒径の内もっとも大きなゴム粒径、
その次に小さなゴム粒径およびその次に小さなゴム粒径
からなる三種のゴム粒径のいずれかを上限値とする範囲
を取り得る。
【0010】ゴム粒子群における平均ゴム粒径が0.2
μm未満であると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低
下してこの発明の目的を達成することができず、また、
平均ゴム粒径が1.0μmを越えると、得られる樹脂組
成物の光沢が実用上問題を生じる程に低下する。逆に、
ゴム粒子群の平均ゴム粒径が前記範囲内にあると、この
発明で規定する他の条件と相俟って、得られる樹脂組成
物の耐衝撃性が向上し、また光沢も良い。
【0011】平均ゴム粒径は、以下のようにして算出す
ることができる。
【0012】すなわち、この発明に係る耐衝撃性スチレ
ン系樹脂組成物のペレットを3重量%の四酸化オスミウ
ム水溶液で処理し、処理後のペレットを超ミクロトーム
により薄片化し、得られた薄片の透過型電子顕微鏡写真
(拡大倍率25,000倍)を得、その写真中の約1,
000個のゴム粒子につき、ゴム粒子の長径(D)を測
定し、その面積平均値としての平均ゴム粒径(Ds )を
以下の式にて算出した。
【0013】 Ds =[Σn・D3 ]/[Σn・D2 ](単位:μm) このゴム粒子群は、オクルージョン構造を有する。
【0014】ここでオクルージョン構造を以下のように
記述することができる。すなわち、先ず、試料ペレット
を3重量%の四酸化オスミウム水溶液で処理し、処理後
のペレットを超ミクロトームにより薄片化し、染色され
ているスライス面を透過型電子顕微鏡で観察した場合
(拡大倍率25,000倍)に、観察視野中の実質的に
全てのゴム粒子が、染色された部分で非染色部分を一巡
してこれを囲繞してなる内包ワンオクルージョン粒子を
有するゴム粒子からなり、その内包ワンオクルージョン
粒子を1個有するゴム粒子の数をZ1 、その内包ワンオ
クルージョン粒子を2〜5個有するゴム粒子の数をZ
2 、その内包ワンオクルージョン粒子を6個以上有する
ゴム粒子の数をZ3 とするとき、(1) 内包ワンオクルー
ジョン粒子が5個以下の割合で有するゴム粒子の数(Z
1 +Z2 )が全ゴム粒子数(Z1 +Z2 +Z3 )の70
%以上であること、(2) 内包ワンオクルジョーンが1個
しかないゴム粒子の数(Z1 )が、内包ワンオクルージ
ョン粒子が5個以下の割合で有するゴム粒子数(Z1
2 )に対して、50%以上であること、により規定す
ることができる。
【0015】なお、前記の染色された部分は、二重結合
成分である。この二重結合成分は、ゴム状重合体中のジ
エン系モノマー成分と、ゴム状重合体にスチレン系モノ
マーがグラフトすることにより得られたグラフトポリマ
ー中のジエン系モノマー成分とに由来すると考えられ
る。具体的には、この耐衝撃性スチレン系樹脂組成物が
ゴム状重合体としてポリブタジエンとスチレン−ブタジ
エン共重合ゴムとを使用して製造されるときには、これ
らブタジエン成分が染色部分を形成する。この染色部分
は通常シェルと称される。
【0016】前記内包ワンオクルージョンは、非染色部
分を染色部分で囲繞してなる構造を有し、前述したよう
に前記染色部分をシェルと称し、非染色部分をコアと称
する。
【0017】内包オクルージョンにおけるコアの形状は
様々であるが、そのコアの輪郭を囲繞するようにしてシ
ェルが存在する。
【0018】このコアは、スチレン系モノマーの重合に
より生じたスチレン系ホモポリマー、ゴム状重合体にグ
ラフトしたスチレン系グラフトポリマーを有する。具体
的には、この耐衝撃性スチレン系樹脂組成物がゴム状重
合体としてポリブタジエンとスチレン−ブタジエン共重
合ゴムとを使用し、モノマーとしてスチレンを使用して
製造されるときには、このコアは、重合で生成したポリ
スチレンとスチレン−ブタジエン共重合ゴム中のポリス
チレン成分と、スチレン−ブタジエン共重合ゴムにグラ
フトしたグラフトポリスチレンとを含有する。
【0019】(2)スチレン系重合体成分 このスチレン系重合体成分は、この発明に係る耐衝撃性
スチレン系樹脂組成物におけるマトリックス、および前
記ゴム粒子中のゴム状重合体中にもともと存在するスチ
レン系モノマーのブロック重合体鎖部分とこの耐衝撃性
スチレン系樹脂組成物を製造する際にこのゴム状重合体
にグラフトしてなるスチレン系モノマーのグラフト重合
鎖部分とを形成する。
【0020】マトリックス、ブロック重合体鎖部分およ
びグラフト重合体鎖部分を形成するスチレン系重合体成
分はスチレン系モノマーから形成される。スチレン系モ
ノマーとしては、たとえば、スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン、ビニル
キシレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチル−p−
メチルスチレン等を挙げることができる。これらスチレ
ン系モノマーはその一種単独を使用することができる
し、またそれら二種以上を併用することができる。とは
言え、好ましいスチレン系モノマーはスチレンである。
【0021】また、このスチレン系重合体成分は、前記
スチレン系モノマーとこれに共重合可能なモノマーとの
共重合体であっても良い。
【0022】このスチレン系モノマーと共重合可能なモ
ノマーとしては、ビニルナフタレン、ブロモスチレンな
どの芳香族モノビニル化合物、アクリロニトリル、メタ
クリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸、ア
クリル酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミドなどを
挙げることができる。これらのスチレン系モノマーと共
重合可能なモノマーは一種単独で用いてもよく、あるい
は二種以上を併用してもよい。スチレン系重合体成分中
における前記スチレン系モノマーと共重合可能なモノマ
ーの含有量としては、通常50重量%以下であり、好ま
しくは40重量%以下である。
【0023】この発明に係る耐衝撃性スチレン系樹脂組
成物におけるスチレン系重合体成分の含有量は、ゴム粒
子群とマトリックスとの合計に対して、95〜85重量
%、好ましくは94〜86重量%、更に好ましくは93
〜87重量%である。スチレン系重合体成分の好ましい
範囲は、ある場合には、95重量%、94重量%、およ
び93重量%のいずれかを上限値とし、85重量%、8
6重量%、および87重量%のいずれかを下限値とする
範囲を取り得る。
【0024】スチレン系重合体成分が前記範囲内にある
と、耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の耐衝撃性および光
沢がより一層向上し、しかも流動性が良好であるので成
形性に優れている。スチレン系重合体成分が95重量%
を越えると耐衝撃性が低下してこの発明の目的を達成す
ることができず、85重量%未満であると光沢および流
動性が低下してこの発明の目的を達成することができな
い。
【0025】(3)ジエン系重合体成分 この発明に係る耐衝撃性スチレン系樹脂組成物における
ジエン系重合体成分は、ゴム状重合体中のジエン系重合
体鎖を形成している。このゴム状重合体としては、スチ
レン系モノマーとジエン系モノマーとのブロック共重合
体ゴム、ジエン系モノマーの単独重合体ゴムを挙げるこ
とができる。
【0026】前記スチレン系モノマーとしては、前記
「(2)スチレン系重合体成分」の欄において例示した
のと同様の化合物を挙げることができる。前記ジエン系
モノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、ネオプレ
ン等を挙げることができる。
【0027】この発明においては、このゴム状重合体の
一種を単独で使用することもできるし、またその二種以
上を併用することもできる。もっとも、この発明におい
て好ましいゴム状重合体は、スチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体ゴムとポリブタジエンゴムとの二成分系で
ある。
【0028】好ましいスチレン−ブタジエンブロック共
重合体ゴムは、スチレン含量が20〜45重量%、好ま
しくは22〜40重量%であり、分子量分布が1.5以
下(換言すると、多くとも1.5)、好ましくは1.2
以下(換言すると、多くとも1.2)であり、溶液粘度
が8〜50cps、好ましくは10〜46cpsであ
る。スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム中のス
チレン含有量が前記範囲内にあると、耐衝撃性スチレン
系樹脂組成物の光沢がより一層向上し、しかも衝撃強度
もより一層向上する。また、分子量分布が前記範囲であ
ると、一層光沢が向上する。溶液粘度が前記範囲にある
と、この発明に係る耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の衝
撃強度および光沢がより一層向上する。
【0029】このようなスチレン−ブタジエンブロック
共重合体ゴムは、種々の方法で製造することができるの
であるが、ミクロ構造については、ランダム成分を有す
るテーパー型であっても良いし、実質的にランダム成分
を有しない完全型でも良い。たとえば、特開昭50−1
57493号公報および特公昭54−19031号公報
等に記載されたように、有機リチウム系触媒の存在下
に、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等の不活性な炭化水
素系溶媒中で、スチレンと1.3−ブタジエンとを重合
する方法に準じて、スチレン−ブタジエンブロック共重
合体ゴムを製造することができる。
【0030】好ましいポリブタジエンゴムは、その溶液
粘度が30〜220cps、好ましくは35〜200c
psである。ポリブタジエンゴムの溶液粘度が前記範囲
内にあると、この発明に係る耐衝撃性スチレン系樹脂組
成物の耐衝撃強度を一層良く向上させることができ、し
かも光沢も良くなる。
【0031】耐衝撃性スチレン系樹脂組成物中のジエン
系重合体成分の含有量は、5〜15重量%、好ましくは
6〜14重量%、更に好ましくは7〜13重量%であ
る。ゴム状重合体がスチレン−ブタジエンブロック共重
合体ゴムとポリブタジエンとの二成分系であるときに
は、ジエン系重合体成分すなわちスチレン−ブタジエン
共重合体ゴム中のブタジエン重合体鎖とポリブタジエン
との含有量が、耐衝撃性スチレン系樹脂組成物中のポリ
ブタジエン成分の含有量は、5〜15重量%、好ましく
は6〜14重量%、更に好ましくは7〜13重量%であ
る。
【0032】ジエン系重合体成分が5重量%未満である
と、耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の耐衝撃性が低下し
てこの発明の目的を達成することができず、また、15
重量を越えると光沢および流動性が低下してこの発明の
目的を達成することができない。
【0033】(4)スチレン系2量体およびスチレン系
3量体 この発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、スチレン
系2量体およびスチレン系3量体のいずれか一方または
その両方を含有する。
【0034】スチレン系2量体およびスチレン系3量体
の形成に与るスチレン系モノマーとしては、前記
「(2)スチレン系重合体成分」の欄において例示した
のと同様の化合物を挙げることができる。
【0035】このスチレン系2量体もしくはスチレン系
3量体としては、スチレンの2量体もしくはスチレンの
3量体、スチレンとスチレンに対して共重合可能な他の
モノマーとの2量体もしくはスチレンとスチレンに対し
て共重合可能な他のモノマーとの3量体、または、スチ
レンに対して共重合可能な他のモノマー同士の2量体も
しくはスチレンに対して共重合可能な他のモノマー同士
の3量体等を挙げることができる。
【0036】この発明においては、スチレン系2量体
は、上記各種のスチレン系2量体のいずれか一種のみで
あっても良く、また上記各種のスチレン系2量体の複数
種であっても良い。同様に、スチレン系3量体は、上記
各種のスチレン系3量体のいずれか一種のみであっても
良く、また上記各種のスチレン系3量体の複数種であっ
ても良い。とはいえ、好ましいスチレン系2量体はスチ
レン2量体であり、好ましいスチレン系3量体はスチレ
ン3量体である。
【0037】この発明においては、スチレン系2量体お
よび/またはスチレン系3量体は、耐衝撃性スチレン系
樹脂組成物の外観に一層寄与する。この発明の目的を達
成するには、耐衝撃性スチレン系樹脂組成物中のスチレ
ン系2量体および/またはスチレン系3量体の含有量
は、多くとも0.6重量%、好ましくは、多くとも0.
5重量%、更に好ましくは、多くとも0.4重量%であ
る。スチレン系2量体および/またはスチレン系3量体
の含有量が0.6重量%を越えると、耐衝撃性スチレン
系樹脂組成物の外観が不良になってこの発明の目的を達
成することができない。
【0038】また、スチレン系2量体および/またはス
チレン系3量体の含有量についてその好ましい範囲は、
ある場合には、0.6重量%、0.5重量%および0.
4重量%のいずれかを上限値とし、この明細書に記載さ
れた実施例において示されるオリゴマー量のいずれかの
値を下限値とする範囲を採用することができ、また、こ
の明細書に記載された実施例において示されるオリゴマ
ー量のいずれかの値を上限値および下限値とする範囲を
採用することができる。
【0039】この発明に係る耐衝撃性スチレン系樹脂組
成物中のスチレン系2量体および/またはスチレン系3
量体の含有量は次のようにして定量することができる。
【0040】すなわち、試料である耐衝撃性スチレン系
樹脂組成物2gを塩化メチレン80mlに溶解する。得
られた溶液を160mlのメタノール中に再沈殿させ
る。沈殿を有する液を濾過した後に、濾液を約1mlに
濃縮し、それにクロロホルムを加えて20mlの定容に
する。定容のクロロホルム溶液をガスクロマトフラフ装
置を使用し、絶対検量線法により測定する。スチレン系
2量体についての標準物質はジベンジル、スチレン系3
量体についての標準物質は1,3,5−トリフェニルベ
ンゼンとする。
【0041】(5)残留揮発成分 この発明において耐衝撃性スチレン系樹脂組成物中に許
容され、この発明の目的を達成するための残留揮発分の
含有量は、多くとも700ppmであり、好ましくは、
多くとも600ppmであり、更に好ましくは、多くと
も500ppmである。残留揮発分の含有量が700p
pmを越えると耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の外観が
不良になり、ブリードアウトなどが発生し、その他実用
上の不都合を生じる。
【0042】この残留揮発分を形成する成分の種類とし
ては特に制限がないのであるが、通常の場合、この耐衝
撃性スチレン系樹脂組成物を製造する際に使用されたと
ころの、スチレン系モノマーもしくはスチレン系モノマ
ーと共重合可能なモノマー、溶媒などである。
【0043】スチレン系モノマーと共重合可能なモノマ
ーとしては、「(2)スチレン系重合体成分」の欄にて
例示したのと同様の化合物を挙げることができ、溶媒な
どの具体例については後の説明により明らかになる。
【0044】この発明に係る耐衝撃性スチレン系樹脂組
成物中の残留揮発分は次のようにして定量することがで
きる。すなわち、耐衝撃性スチレン系樹脂組成物である
試料1gを二硫化炭素20mlに溶解する。その溶液を
ガスクロマトグラフ装置にて、シクロペンタノールを内
部標準物質として内部標準法にて測定する。
【0045】(6)耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の用
途 この耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、各種分野におい
てその目的に応じて様々な応用が可能である。特に、テ
レビやラジオ等のキャビネットやフロントパネル、冷蔵
庫の内張や仕切板、リール洗濯機のパネルボード、照明
器具などをはじめとする家電製品の分野、電卓、タイプ
ライター、複写機などをはじめとするOA機器の分野、
シート分野、包装・容器の分野、家具や建材など、各種
の分野において好適に用いることができる。
【0046】<耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製造方
法>この発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を製造す
るには、特定量のスチレン系重合体鎖を有するゴム状重
合体とスチレン系モノマーとを、重合開始剤の存在下に
重合し、その後、残留揮発成分の総量が所定の値になる
ように脱気処理をする。
【0047】(1)使用成分 前記ゴム状重合体は、スチレン系重合体鎖を有するゴム
であり、前記「(3)ジエン系重合体成分」の欄にて説
明したゴム状重合体と同じものを使用することができ
る。好ましいゴム状重合体は、スチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体ゴムとポリブタジエンゴムとの二成分系
である。スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムお
よびポリブタジエンについては、前記「(3)ジエン系
重合体成分」の欄にて説明したのと同様である。
【0048】この発明においては、耐衝撃性スチレン系
樹脂組成物を製造するに当たり、ゴム状重合体中のスチ
レン系重合体鎖が8〜25重量%、好ましくは10〜2
2重量%、更に好ましくは12〜20重量%になるよう
にゴム状重合体の種類および使用量を選択することが必
要である。例えばスチレン系モノマーとジエン系モノマ
ーとの共重合ゴムを使用するときには、スチレン系重合
体鎖部分の割合が前記範囲内にある共重合ゴムを選択
し、スチレン系モノマーとジエン系モノマーとのブロッ
ク共重合体ゴムとジエン系モノマーの単独重合体ゴムと
の二成分を選択するときには、スチレン系重合体鎖部分
の割合が前記範囲内にあるように前記ブロック共重合体
ゴムの種類および前記ブロック共重合体ゴムと前記単独
重合体ゴムとの配合割合を決定することが望ましい。特
に、好ましいゴム状重合体として、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体ゴムとポリブタジエンゴムとの二成
分系を採用するときには、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体ゴム中のスチレンブロックの含有量およびス
チレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムとポリブタジ
エンゴムとの配合割合を、スチレン重合体鎖が前記範囲
内に有るように調整する。
【0049】前記ゴム状重合体中のスチレン系重合体鎖
が前記範囲内にあるとゴム粒子群におけるゴム粒子が肥
大化せず、また微細化もせず、この発明の目的を良く達
成することができる。これに対して、スチレン系重合体
鎖が8重量%未満であるとゴム粒子が肥大化し、25重
量%を越えるとゴム粒子が微細化しすぎてこの発明の目
的を達成することができない。
【0050】スチレン系モノマーとしては、前記
「(2)スチレン系重合体成分」の欄において例示した
のと同様の化合物を挙げることができる。この発明の方
法においては、この発明の目的を阻害しない範囲で、前
記スチレン系モノマーと共にこのスチレン系モノマーと
共重合可能なモノマーを併用することができる。スチレ
ン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、
「(2)スチレン系重合体成分」の欄にて例示したのと
同様の化合物を挙げることができる。
【0051】スチレン系モノマーの使用量としては、得
られる耐衝撃性スチレン系樹脂組成物中のスチレン系重
合体成分の含有量が、ゴム粒子群とマトリックスとの合
計に対して、95〜85重量%、好ましくは94〜86
重量%、更に好ましくは93〜87重量%、ある場合に
は、95重量%、94重量%、および93重量%のいず
れかを上限値とし、85重量%、86重量%、および8
7重量%のいずれかを下限値とする範囲になるように、
ゴム状重合体中のスチレン系重合体鎖含有量等を考慮し
て適宜に決定される。
【0052】重合開始剤としては、たとえば1,1−ビ
ス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−
ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサンなどのペルオキシケタール類、ジクミ
ルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキ
サンなどのジアルキルペルオキシド類、ベンゾイルペル
オキシド、m−トルイルペルオキシドなどのジアリール
ペルオキシド類、ジミリスチルペルオキシジカーボネー
トなどのペルオキシカーボネート類、t−ブチルペルオ
キシイソプロピルカーボネートなどのパーオキシエステ
ル類、シクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペル
オキシド類、p−メンタンハイドロペルオキシドなどの
ハイドロペルオキシド類などの有機過酸化物などを挙げ
ることができる。この発明の方法においては、前記有機
過酸化物の外にアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ
系重合開始剤を使用することもできる。
【0053】もっとも、好ましい重合開始剤としては前
記有機過酸化物を挙げることができ、中でもペルオキシ
ケタール類が好ましい。
【0054】この発明の方法においては、重合開始剤の
使用量を250〜600ppmに調整することが重要で
あり、好ましくは300〜550ppmに、更に好まし
くは350〜500ppmに調整するのが良い。重合開
始剤の使用量が250ppm未満であると、スチレン系
2量体および/またはスチレン3量体の総量が増加し、
その結果耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の外観不良とい
う不都合を生じて、この発明の目的を達成することがで
きない。また、重合開始剤に使用量が600ppmを越
えると、重合反応熱が大量に発生し、徐熱操作を初めと
する重合操作が煩雑かつ困難になり工業的でない。
【0055】この発明の方法における重合反応において
は、溶媒を使用することができる。溶媒を使用すると、
重合熱を効率良く除去し、また、ゴム粒子を効率的に重
合系内に分散させることができるので、好ましい。もっ
とも、この発明においては溶媒の使用は必須の条件では
なく、溶媒を使用しないで塊状重合を行うこともでき
る。
【0056】使用される溶剤としては、芳香族系炭化水
素類たとえばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、あ
るいはこれら二種以上の混合物を挙げることができる。
その外、溶剤として、この発明の目的を疎外しない限
り、他の溶剤を使用することができ、その具体例とし
て、たとえば脂肪族炭化水素およびジアルキルケトンな
どのケトン類を挙げることができる。これらの溶剤は前
記芳香族炭化水素と併用するのが好ましい。
【0057】溶剤の使用量は重合系全体に対して多くと
も25重量%が適当である。溶剤の使用量が25重量%
を越えると重合速度が著しく低下する傾向になり、得ら
れる耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の衝撃強度が低下す
る傾向である。また、溶剤回収操作が煩雑になり装置の
大型化および複雑化を強いられる。
【0058】溶剤は、重合開始前から重合系に添加して
おいても良く、また、重合開始後に重合転化率が高まっ
て重合系が比較的高粘度になってから添加しても良い。
品質の均一性および重合温度の制御という観点からする
と、重合開始前に重合系全体に対して5〜15重量%を
重合系に添加し、重合開始後に重合系の粘度が高まって
から残量の溶剤を重合系に添加するのが好ましい。
【0059】この発明の方法においては、スチレン系モ
ノマーを重合させる際の得られる高分子の分子量を調整
するために、連鎖移動剤を重合時に共存させることも好
ましい。
【0060】この連鎖移動剤としては、たとえばα−メ
チルスチレンダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t
−ドデシルメルカプタン、1−フェニルブテン−2−フ
ルオレン、ジペンテン、クロロホルムなどのメルカプタ
ン類、テルペン類、ハロゲン化合物などを挙げることが
できる。
【0061】この発明の方法においては、上述した成分
の外にこの発明の目的を阻害しない範囲で各種の添加剤
を任意に使用することができる。
【0062】添加剤としては、たとえばステアリン酸、
ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロ
アミドなどの滑剤、有機ポリシロキサン、ミネラルオイ
ル、あるいは2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレ
ングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニール)プロピオネートなどの
ヒンダードフェノール系やトリ(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファ
イトなどのリン系の酸化防止剤、その他紫外線吸収剤、
難燃剤、帯電防止剤、離型剤、可塑剤、染料、顔料、各
種の充填剤などを挙げることができる。また、所望に応
じて他のポリマーたとえば一般用ポリスチレン、ポリフ
ェニレンエーテルなどを重合系に配合することもでき
る。
【0063】(2)重合操作 この発明に係る方法において、この発明に係る耐衝撃性
スチレン系樹脂組成物が得られる限り既知の任意の連続
塊状重合法、連続溶液重合法等を採用することができ
る。たとえば1基以上の槽型反応器で予備重合し、長さ
/径(L/D)の比が3以上である多段翼プラグフロー
型反応器で転相させ、更に重合を進行させる方法や、多
段翼プラグフロー型反応器の代わりに内部に静的混合器
を内蔵した管型反応器を使用する方法などを採用するこ
ともできる。
【0064】この発明に係る方法において、先ずゴム状
重合体とスチレン系モノマーとを混合する。この場合、
有様として、ゴム状重合体が液状のスチレン系モノマー
に溶解する。更に、重合開始剤、必要に応じた連鎖移動
剤、添加剤、溶剤を添加し、重合開始剤の分解温度に応
じて反応温度を20〜200℃に維持し、系内を撹拌し
て重合を進行させるのが良い。最終的に未反応スチレン
系モノマーが30重量%以下になるまで重合を進行さ
せ、次いでこの未反応のスチレン系モノマーを公知の方
法たとえば加熱下での減圧除去あるいは揮発分除去の目
的に設計された押出器などによって除去するのが良い。
更に、得られる組成物を脱気処理して、組成物中の残留
揮発成分の総量が多くとも700ppmとなるように調
整するのが良い。
【0065】この発明における好ましい重合操作を更に
詳述する。
【0066】この発明に係る耐衝撃性スチレン系樹脂組
成物は、第1重合帯域での重合および第2重合帯域での
重合からなる重合操作が好ましい。
【0067】第1重合帯域では、ゴム状重合体をスチレ
ン系モノマーに溶解する。このとき、ゴム状重合体中の
スチレン系重合鎖含有量が前述した所定の範囲内にある
ように、また製造しようとする耐衝撃性スチレン系樹脂
組成物中のスチレン系重合体成分およびジエン系重合体
成分が所定の範囲になるように考慮してゴム状重合体お
よびスチレン系モノマーならびに必要に応じて添加され
る他のモノマーの使用量を決定する。
【0068】ゴム状重合体成分を溶解したスチレン系モ
ノマー溶液は、第1重合帯域で初期重合され、好ましく
は相転移直前の転化率10〜30%まで初期重合され
る。この転化率が前記範囲内であると、次段の相転移を
起こす第2重合帯域での除熱負荷が大きくならず、温度
制御が容易になり、粘度上昇による撹拌不良を起こすこ
ともなく、分子量分布の制御も容易になる。
【0069】この初期重合のための第1重合帯域に使用
される反応器としては、完全混合槽型が好ましいが、リ
サイクルにより除熱効率を上げた静止型反応器を採用す
ることもできる。
【0070】第1重合帯域における重合温度は、重合に
有機過酸化物を使用する場合には、その分解温度に応じ
て20〜200℃の範囲内の温度を採用することがで
き、熱開始重合の場合には50〜200℃の範囲内の温
度を採用することができる。
【0071】この第1重合帯域においては、必要に応じ
て連鎖移動剤、溶剤および各種の添加剤を使用すること
ができる。なお、連鎖移動剤を初期重合に使用した場合
には、その添加量に応じて分子量低下とゴム粒子の粒径
の肥大化とを同時に起こすことが可能になり、また有機
過酸化物を使用した場合には、逆にゴム粒子の粒径の狭
小化を起こすことができる。したがって、この初期重合
の段階でゴム粒子の平均ゴム粒径の調節をすることがで
きる。
【0072】この第1重合帯域で使用される重合器の数
は、装置規模などの観点から2基、3段などの複数であ
っても良い。つまりこの第1重合帯域では多段重合を行
っても良い。
【0073】第1重合帯域で予備重合された重合液は第
2重合帯域に移送される。この第2重合帯域では相転移
が行われ、所定の平均ゴム粒径になるようにゴム粒子が
形成される。この第2重合帯域では転化率が30〜95
%になるまで重合を進行させてゴム粒子の安定化を図
る。転化率が前記範囲内にあると、ゴム粒子が安定に形
成され、重合系が高粘度化しないのでゴム粒径分布も拡
大しない。
【0074】ゴム粒子の平均ゴム粒径を所定の値に制御
するには、第2重合帯域における平均剪断速度を調整す
るのが良い。この平均剪断速度は、反応器内の相転移す
る場での剪断力の強さを示す指標であり、この強さによ
りゴム粒子の平均ゴム粒径を調整することができる。も
っとも、相転移現象は、反応器の種類により相違するの
で、前記平均剪断速度の適正範囲は、反応器毎に適宜に
決定される。
【0075】第1重合帯域で使用される重合器として、
塔型、あるいは管型などのプラグフロー型を採用する
と、マトリックス中に分散するゴム粒子の粒径分布を狭
小化することができる。たとえば塔型反応器としては、
内部に多段の撹拌翼と各段の間に除熱用の伝熱管を有す
る塔高/塔径(L/D)比が3以上の反応器、たとえば
特開昭32−1544号公報に記載の公知の反応器など
を使用することができる。
【0076】また、管型反応器としては、内部に除熱と
混合とを目的とした伝熱管を内蔵したL/Dが5以上の
反応器を使用することができる。
【0077】上記のプラグフロー型反応器を使用する場
合には、入り口に連鎖移動剤を所定量たとえば50〜
1,500ppmを添加することによりゴム粒子の粒径
を変化させずに、マトリックス分子の分子量を制御する
ことができる。
【0078】第2重合帯域で所定の添加率が達成される
と、第2重合帯域で得られた重合反応生成物を脱気操作
に供する。
【0079】脱気操作は、一般に公知のフラッシュドラ
ム、二軸脱気器、薄膜蒸発器、押出器などで行うことが
できる。この脱気操作は、残留揮発成分が多くとも70
0ppmになるように、適宜に温度、真空度(減圧度と
も称する。)等を最適条件となるように決定して行う。
【0080】以上によりこの発明に係る耐衝撃性スチレ
ン系樹脂組成物を得ることができる。
【0081】
【実施例】以下に、この発明の耐衝撃性スチレン系樹脂
組成物および耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製造方法
の実施例および比較例につき説明するが、この発明はこ
れらの実施例および比較例に何ら限定されるものではな
い。
【0082】(実施例1〜12、比較例1〜9)スチレ
ンに、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(以
下においてSBと略称する。)(Bayer製、商品
名;BL6533[登録商標])とポリブタジエン(以
下においてPBと略称する。)(旭化成工業(株)製、
商品名;NF35AS[登録商標])と、重合開始剤と
して1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサンと、連鎖移動剤としてn−ド
デシルメルカプタンとを溶解し、32リットル/時間の
流速で19リットルの槽型の第1重合器に供給した。
【0083】ただし、SBとPBとの比率(SB/PB
重量比)は4/6であり、第1重合器に供給する原料の
全量に対してSBおよびPBの合計が12.5重量%に
なるようにSBおよびPBが供給され、重合開始剤の配
合量は原料の全量に対して0.04重量%(400pp
m)になるように、連鎖移動剤の配合量は原料の全量に
対して0.02重量%になるように、調整された。
【0084】第1重合器内では、重合温度111℃、撹
拌速度120rpmの条件でスチレンの転化率が10%
になるまで重合を行った。次いでこの部分重合液を23
リットルの第2重合器に移送し、重合温度116℃、撹
拌速度200rpmでスチレンの転化率が20%になる
まで重合を行った。さらにこの部分重合液を連続的に第
3重合器、第4重合器および第5重合器に移送し、第3
重合器では反応温度を140℃、撹拌速度を90rpm
にし、スチレンの転化率が50%になるまで重合を行
い、第4重合器では反応温度を145℃、撹拌速度を2
0rpmにし、スチレンの転化率が65%になるまで重
合を行い、第5重合器では反応温度を162℃にし、撹
拌速度を5rpmにし、スチレンの転化率が85%にな
るまで重合を行った。
【0085】第5重合反応器で得られた重合反応液を第
1フラッシュドラム(温度200℃、圧力0.053M
Pa)および第2フラッシュドラム(温度240℃、圧
力0.67KPa)にて脱気操作を行って揮発分を除去
した。第2フラッシュドラムから取り出された固形分を
押出装置でペレットにした。
【0086】実施例1〜12および比較例1〜9におけ
る、上記重合条件、操作条件等を表1および表2に示し
た。
【0087】なお、実施例9においては、第3重合器に
重合開始剤(ジ−t−ブチルペルオキシド)をさらに添
加した。
【0088】実施例11においては、ポリブタジエンゴ
ムとして、旭化成工業(株)製のNF35AS[登録商
標]の代わりに、宇部興産(株)製のBR15HB[登
録商標]が使用された。
【0089】実施例12においては、スチレン−ブタジ
エンブロック共重合体ゴムとポリブタジエンゴムとを溶
解したスチレン溶液にエチルベンゼン10重量%添加し
たものが使用された。
【0090】得られたペレットにつき以下のような分析
および評価を行った。
【0091】−分析− <オクルージョン構造>前述した方法により分析した。
【0092】<平均ゴム粒径>前記した方法により測定
した。
【0093】<スチレン2量体および3量体の総量>試
料2mgを塩化メチレン80mlに溶解する。その溶液
を160mlのメタノール中に再沈させる。これを濾過
した後、濾液を約1mlに濃縮し、それにクロロホルム
を加えて20mlに定容する。
【0094】この溶液をガスクロマトグラフィー(島津
製作所(株)製、GC−14A;カラム=PEG20
M、25%、3mm径×3m)にて、シクロペンタノー
ルを内部標準物質として内部標準法により測定した。
【0095】<残留揮発成分の総量>試料1gを二硫化
炭素20mlに溶解する。その溶液をガスクロマトグラ
フ装置(島津製作所製、ガスクロマトグラフィーGC−
14A、カラム:PEG20M 25%,3mmΦ×1
m)にて、シクロペンタノールを内部標準物質として内
部標準法にて測定する。
【0096】<ポリブタジエン成分含有量>SBおよび
PBの仕込み量、使用比率、SB中のブタジエン含有
量、およびスチレンの最終転化率から計算した。
【0097】<ポリスチレン成分含有量>得られた組成
物(100%)からポリブタジエン成分含有量を差し引
いて計算した。
【0098】−評価− <メルト・インデックス(M.I.)>JIS−K−7
210に準拠して測定した。
【0099】<表面光沢>長さ270mm、幅70m
m、厚み3mmの射出成形板につき、その末端のゲート
位置から85mmの部分における表面光沢をJIS−K
−7105に準拠して測定した。
【0100】<アイゾット衝撃強度>JIS−K−71
10(ノッチ付き、23℃)に準拠して測定した。
【0101】<落錘衝撃強度>長さ270mm、幅70
mm、高さ3mmの射出成形板につき、その末端のゲー
ト位置から125mmの位置における中心部において、
荷重3.76kg、速度3.5m/秒、試料固定部の穴
径2インチ、温度23℃の条件にて、レオメトリックス
自動落錘衝撃試験機(レオメリックス社製、RDT50
00)を用いて測定し、力と変位との曲線において最初
に力が急激な減少を示す時点までのエネルギーを求め、
これを落錘衝撃強度とした。
【0102】<外観評価>幅100mm、長さ420m
m、厚み3mmの内部空間形状を有する金型を使用し、
カーボンブラックで着色した試料を2点サイドゲート
(ゲート径は3mm)により、前記金型の長手方向の両
端からショートショットで射出し、中央部にウェルドが
発生するように成形した。この射出成形物におけるウェ
ルド周辺に現れるツヤのない曇り部分の長手方向長さを
測定して評価した。表に示される数値は前記曇り部分の
長手方向長さである。
【0103】
【表1】
【0104】注;「矢印」は左欄の値に同じであること
を示す。アンダラインの数値は実施例1の数値と異なる
ことを示す。
【0105】
【表2】
【0106】注;「矢印」は左欄の値に同じであること
を示す。アンダラインの数値は実施例1の数値と異なる
ことを示す。
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】アンダラインを付した数字は、本発明で規
定する範囲外の値であること、または実施例よりも劣る
数値であることを示す。
【0110】
【発明の効果】この発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成
物によると、表面光沢および耐衝撃性に優れ、しかも良
好な外観を有する成形品とすることができ、各物性がバ
ランスよく向上した耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を提
供することができる。
【0111】この耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、テ
レビやラジオ等のキャビネットやフロントパネル、冷蔵
庫の内張や仕切板、リール洗濯機のパネルボード、照明
器具などをはじめとする家電製品の分野、電卓、タイプ
ライター、複写機などをはじめとするOA機器の分野、
シート分野、包装・容器の分野、家具や建材など、各種
の分野において好適に用いることができる。
【0112】また、この発明の耐衝撃性スチレン系樹脂
組成物の製造方法によると、優れた各物性をバランスよ
く有する前記耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を効率よ
く、しかも簡便な操作で製造することができる耐衝撃性
スチレン系樹脂組成物の製造方法を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−88006(JP,A) 特開 昭59−126411(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 6/00 - 6/28 C08F 279/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均ゴム粒径が0.2〜1.0μmであ
    り、オクルージョン構造を有する分散ゴム粒子群と、ス
    チレン系重合体成分95〜85重量%と、ゴム状重合体
    におけるスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムと
    ポリブタジエンゴムとの二成分からなるジエン系重合体
    成分5〜15重量%と、多くとも0.6重量%のスチレ
    ン系2量体および/またはスチレン系3量体と、多くと
    も700ppmの残留揮発成分とを有することを特徴と
    する耐衝撃性スチレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】8〜25重量%のスチレン系重合体鎖を有
    するゴム状重合体とスチレン系モノマーとを、重合開始
    剤250〜600ppmの存在下に重合し、その後、残
    留揮発成分の総量が多くとも700ppmとなるように
    脱気処理をすることを特徴とする前記請求項1に記載の
    耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
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