JP2683614B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物

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JP2683614B2 JP2017768A JP1776890A JP2683614B2 JP 2683614 B2 JP2683614 B2 JP 2683614B2 JP 2017768 A JP2017768 A JP 2017768A JP 1776890 A JP1776890 A JP 1776890A JP 2683614 B2 JP2683614 B2 JP 2683614B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規なゴム変性スチレン系樹脂組成物、さら
に詳しくは、光沢、剛性、耐衝撃性及び熱安定性のバラ
ンスに優れる上、射出成形時に金型キャビティーへの油
状物質の付着がほとんどなく、家電製品、OA機器などの
ハウジングやシートなどの材料として好適なゴム変性ス
チレン系樹脂組成物に関するものである。
[従来の技術] 従来、スチレン系樹脂の耐衝撃性を改良する目的で、
ポリスチレンにゴム状重合体をブレンドしたり、あるい
はゴム状重合体の存在下に、スチレンを重合させること
により、該ゴム状重合体にスチレンが一部グラフト重合
され、かつスチレンの残部がポリスチレンとなって、実
質上ゴム状重合体/スチレンのグラフト共重合体とポリ
スチレンとが混合された状態とし、いわゆるゴム変性ポ
リスチレン樹脂組成物とすることが工業的に行われてい
る。
このようなゴム変性ポリスチレン樹脂組成物において
は、通常ゴム状重合体はスチレン系重合体中に、粒子状
に分散しており、この粒子の大きさと、耐衝撃性及び光
沢とは密接な関係を有することは、良く知られている。
すなわち、光沢は、該ゴム状重合体の粒子が小さいほど
優れているが、その反面、耐衝撃性は該ゴム状重合体の
粒子が小さくなるのに比例して低下して、ある限度以下
になると、実質的に耐衝撃性の改良効果がなくなる。
従来のゴム変性ポリスチレン樹脂組成物においては、
所望の耐衝撃性を得るために、ゴム状重合体を、粒径が
1μm以上、通常1〜10μmの範囲の粒子として、ポリ
スチレン樹脂相中に分散させているが、光沢などに劣る
ために、用途の制限を免れないという問題があった。
このような問題を解決するため、ゴム粒子の分散形態
を、平均粒子径0.1〜0.7μm程度の単一オクルージョン
構造(シェル/コア形といわれる)とすることにより、
光沢や耐衝撃性の良好なものが得られることが知られて
いる(西ドイツ公開特許公報第3,345,377号、特開昭63
−112646号公報、特開平1−261444号公報)。しかしな
がら、この場合、光沢は改良されるものの、耐衝撃性、
特に落錘衝撃強度については十分ではないという問題が
生じる。
そこで、本発明者らは、光沢及び耐衝撃性に落錘衝撃
強度に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物を開発する
ために研究を重ね、先にゴムのミクロ構造を特定するこ
とにより、光沢及び耐衝撃性特に落錘衝撃強度に優れた
オクルージョン構造を有するゴム変性スチレン系樹脂組
成物を見い出した。しかしながら、このゴム変性スチレ
ン系樹脂組成物は光沢及び耐衝撃性に落錘衝撃強度に優
れるものの、熱安定性については必ずしも満足しうるも
のではない上、射出成形時に金型キャビティーに油状物
質が付着することがあるなどの欠点があった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、従来のゴム変性スチレン系樹脂組成物が有
する欠点を克服し、光沢、剛性、耐衝撃性及び熱安定性
に優れる上、射出成形時に金型キャビティーへの油状物
質の付着がほとんどないゴム変性スチレン系樹脂組成物
を提供することを目的としてなされたものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、前記の好ましい性質を有するゴム変性
スチレン系樹脂組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結
果、分散ゴム形態がオクルージョン構造を有するゴム変
性スチレン系樹脂単独又は特定割合の該ゴム変性スチレ
ン系樹脂と汎用ポリスチレンとの混合物に、特定の流動
パラフィンを所定の割合で配合することにより、その目
的を達成しうることを見い出し、この知見に基づいて本
発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)分散ゴム形態がオクルー
ジョン構造を有するゴム変性スチレン系樹脂単独又はこ
のゴム変性スチレン系樹脂20重量%以上と汎用ポリスチ
レン80重量%以下との混合物100重量部に対し、(B)
多核芳香族炭化水素の含有量が0.2重量%以下である流
動パラフィン0.1〜6重量部を配合して成るゴム変性ス
チレン系樹脂組成物を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明組成物においては、(A)成分として分散ゴム
形態がオクルージョン構造を有するゴム変性スチレン系
樹脂が用いられる。ここでオクルージョン構造とは、一
つのゴム粒子中に、コアがスチレン系重合体で、シェル
がゴム状重合体から成る内包オクルージョンが5個以下
含まれており、かつそのうちの少なくとも50%が内包オ
クルージョンが1個である構造のことをいう。
該(A)成分のゴム変性スチレン系樹脂は、分散ゴム
形態が、前記のようなオクルージョン構造を70%以上有
することが必要で、サラミ構造などの粒子が30%以上混
在すると、良好な光沢が得られないおそれがある。した
がって、本発明においては、内包オクルージョンを6個
以上含有する、通常サラミ構造を有する耐衝撃性ポリス
チレン(HIPS)を、ゴム粒子数で30%未満の割合であれ
ば配合することもできる。
前記ゴム変性スチレン系樹脂の中で対称面をもつオク
ルージョン構造を有し、かつ面積平均粒子径が0.1〜0.7
μm、好ましくは0.2〜0.6μmで、数平均粒子径に対す
る面積平均粒子径の比が1.0〜2.5、好ましくは1.0〜1.8
の範囲にあるゴム重合体粒子をスチレン系樹脂中に分散
させたものが好適である。前記面積平均粒子径が0.1μ
m未満では耐衝撃性が十分でないし、0.7μmを超える
と光沢が低下する傾向が生じる。また、数平均粒子径に
対する面積平均粒子径の比が2.5を超えると光沢が低下
する傾向が生じる。また、ゴム状重合体の分散粒子が対
称面をもつオクルージョン構造を有する場合、さらに耐
衝撃性に優れたものが得られる。
さらに、ゴム変性スチレン系樹脂としては、ゴム状重
合体粒子の体積分率(φ)、ゴム状重合体粒子の面積
平均粒子系(直径)(DS)及びゴム状重合体の厚さ
(λ)を因子とする関係式 K=φ{1−[〔(DS/2)−λ〕/(DS/2)]-1 ……(I) (ただしλは0.10μm以下である) で求められるKが0.18以上、好ましくは0.20以上、より
好ましくは0.22以上であるものが好適である。このK値
が0.18未満では落錘衝撃強度が不十分であり、例えば大
型テレビのハウジングなどの素材としては必ずしも十分
とはいえない。
前記ゴム状重合体粒子の体積分率(φ)は、 式 φ={[(1/WR)−1](ρRPS)+1}-1 ……(II) によって求めることができる。
ここでρはゴム状重合体の比重であり、0.90を用い
る。またρPSはスチレン系重合体の比重であり、1.05を
用いる。さらにWRはゴム変性スチレン系樹脂に含まれる
ゴム状重合体の重量分率で、式 WR=WD(1−S)/[(1−WD)X+WD] ……(III) で求めることができる。
ゴム状重合体粒子の面積平均粒子径(直径)(DS)及
び(Dn)は、次のようにして求めることができる。すな
わち、配向の小さいゴム変性スチレン系樹脂のペレット
を3重量%の四酸化オスミウム水溶液にて処理したもの
を超ミクロトームにより薄片化したのち、このものの透
過型電子顕微鏡像を得、画像上のゴム状重合体粒子の長
径方向の直径(D)を1000個の粒子について測定し、そ
の面積平均値を次式に従って求めることにより、ゴム状
重合体粒子の面積平均粒子径(直径)(DS)及び(Dn
が得られる。
(nは直径Dのゴム状重合体粒子の個数) また、ゴム状重合体相の厚さ(λ)は、前記と同様に
して透過型電子顕微鏡像を得、ゴム状重合体粒子のう
ち、ゴム状重合体相が周辺のみに存在するもの、すなわ
ち、中心付近で切削されたゴム状重合体粒子のゴム状重
合体相の厚さλiを100個の粒子について測定し、その
数平均値を次式に従って求めることにより、得られる。
λ=(λ+λ+λ+……+λ100)/100 また、同様にして透過型電子顕微鏡像を得、無作為に
抽出した1000個の粒子に対するオクルージョン構造粒子
の数の比率を求め、オクルージョン構造粒子の比率を評
価した。
該ゴム変性スチレン系樹脂においては、ゴム重合体粒
子は特定のミクロ構造を有することが好ましい。すなわ
ち、ゲル量がゴム状重合体に対して1.1〜4.0重量比、好
ましくは1.4〜3.6重量比の範囲にあることが望ましく、
またその膨潤指数が5〜20、好ましくは7〜18の範囲に
あることが望ましい。該ゲル量が1.1重量比未満では耐
衝撃性が十分ではないし、4.0重量比を超えると光沢が
低下するおそれがある。また該膨潤指数が前記範囲を逸
脱すると衝撃強度が低下する傾向が生じる。
該ゴム変性スチレン系樹脂においては、スチレン系重
合体とゴム状重合体は、それぞれ70〜92重量%及び30〜
8重量%、好ましくは72〜90重量%及び28〜10重量%の
割合で含有することが望ましい。ゴム状重合体の含有量
が8重量%未満では耐衝撃性の改良効果が十分に発揮さ
れないし、30重量%を超えると光沢や流動性が低下する
傾向が生じる。
また、該ゴム変性スチレン系樹脂においては、ゴム状
重合体相の厚さ(λ)が0.10μm以下であることが好ま
しい。ゴム状重合体相の厚さ(λ)が0.10μm以上にす
るためには、使用されるゴム状重合体の分子量を高くす
る必要がある(例えば、スチレン−ブタジエン系ブロッ
ク共重合体ゴムを用いる場合、ブタジエン重合体ブロッ
ク部の分子量をおよそ800,000以上にする必要があ
る)。
このような高分子量のゴム状重合体を用いて、ゴム変
性スチレン系樹脂を製造すると、重合反応溶液の粘度が
著しく高くなり好ましくない。ゴム状重合体相の厚さ
(λ)は0.005〜0.07μmにすることが好ましい。
(A)成分のゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム状重合
体の存在下に、スチレン又はスチレンと共重合可能な単
量体とを重合させることによって調製することができ
る。スチレンと共重合可能な単量体としては、例えばα
−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベン
ゼン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、α−
メチル−p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの
芳香族モノビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリ
ル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリ
ル酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミドなどを挙げ
ることができる。これらの単量体は1種用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、スチレン
を含む全単量体に対して、通常50重量%以下、好ましく
は40重量%以下の割合で用いられる。
一方、ゴム状重合体の種類については特に制限はな
く、従来ゴム変性スチレン系樹脂に慣用されているも
の、例えば天然ゴムや、ポリブタジエンゴム、ポリイソ
プレンゴム、スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、ス
チレン−イソプレン系共重合体ゴム、ブチルゴム、エチ
レン−プロピレン系共重合体ゴムなどの合成ゴム、ある
いはこれらのゴムとスチレンとのグラフト共重合体ゴム
などを用いることができるが、これらの中でスチレン−
ブタジエン系ブロック共重合体ゴムが好適である。この
スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体ゴムとして
は、分子量が50,000〜500,000の範囲にあり、かつスチ
レン類で形成される重合体ブロックの含有量が10〜60重
量%の範囲にあるものが特に好ましい。該分子量が50,0
00未満のものでは耐衝撃性が十分ではないし、500,000
を超えると成形時の流動性が低下するようになり、好ま
しくない。また、このスチレン−ブタジエン系ブロック
共重合体ゴムに、分子量が50,000〜500,000程度のポリ
ブタジエンゴムを適宜配合して用いてもよい。
重合方法については特に制限はなく、従来慣用されて
いる方法、例えば乳化重合法、塊状重合法、溶液重合
法、懸濁重合法、あるいは塊状−懸濁二段重合法のよう
な多段重合法などを用いることができる。
次に、塊状−懸濁二段重合法によるゴム変性スチレン
系樹脂の好適な製造方法の1例について説明すると、ま
ずスチレン又はスチレンと共重合可能な単量体との混合
物に、ゴム状重合体を添加し、必要に応じ加熱して溶解
させる。この溶解はできるだけ均一に行うことが好まし
い。
次に、この溶液に、アルキルメルカプタンなどの分子
量調節剤(連鎖移動剤)及び必要に応じて用いられる有
機過酸化物などの重合開始剤を加え、70〜150℃程度の
温度に加熱しながら、撹拌下に重合度が10〜60%になる
まで塊状重合法による予備重合を行う。この予備重合工
程において該ゴム状重合体は撹拌により粒子状に分散さ
れる。
次いで、前記予備重合液を第三リン酸カルシウムやポ
リビニルアルコールなどを懸濁剤として、水相に懸濁
し、通常、重合度が100%近くなるまで懸濁重合(主重
合)を行う。なお、必要に応じ、この主重合工程の後、
さらに加熱を続けてもよい。
前記分子量調節剤としては、例えばα−メチルスチレ
ンダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシル
メルカプタン、1−フェニルブテン−2−フルオレン、
ジペンテン、クロロホルムなどのメルカプタン類、テル
ペン類、ハロゲン化合物などを挙げることができる。
また、所望に応じて用いられる重合開始剤としては、
例えば1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキ
サン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサンなどのペルオキシケタール類、
ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキ
サンなどのジアルキルペルオキシド類、ベンゾイルペル
オキシド、m−トルオイルペルオキシドなどのジアリー
ルペルオキシド類、ジミリスチルペルオキシジカーボネ
ートなどのペルオキシジカーボネート類、t−ブチルペ
ルオキシイソプロピルカルボネートなどのペルオキシエ
ステル類、シクロヘキサノンペルオキシドなどのケトン
ペルオキシド類、p−メンタンヒドロペルオキシドなど
のヒドロペルオキシド類などの有機過酸化物などを挙げ
ることができる。
なお、ゴム状重合体相の厚さλは、ゴム状重合体とし
て、例えばスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体ゴ
ムを用いる場合、ブタジエン重合体ブロック部の分子量
を変化させることにより制御することができる。すなわ
ち、ブタジエン重合体ブロック部の分子量を小さくすれ
ばλは減少し、大きくするとλは増大する。一方、ゴム
状重合体粒子の半径Rは重合中の撹拌速度、ゴム状重合
体としてスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体ゴム
を用いる場合はスチレン重合体ブロック部の分子量、さ
らに連鎖移動剤の使用の有無、スチレン−ブタジエン系
ブロック共重合体ゴムに配合されるポリブタジエンゴム
の有無などによって制御することができる。すなわち、
重合中の撹拌速度が速いとRは減少し、遅いと増大す
る。スチレン重合体ブロック部の分子量を大きくすると
Rは減少し、小さくするとRは増大する。また、連鎖移
動剤を使用しない場合Rは小さいが、使用すると増大す
るし、ポリブタジエンゴムを用いるとRは増大するが、
使用しない場合Rは小さい。
次に、このようにして得られたスラリーを、通常の手
段により処理して、ビーズ状反応物を取り出し、乾燥し
たのち、常法に従いペレット化することにより、所望の
ゴム変性スチレン系樹脂が得られる。このようにして得
られたゴム変性スチレン系樹脂のマトリックス部の分子
量は100,000〜300,000、好ましくは130,000〜280,000の
範囲にあるのが有利である。この分子量が100,000未満
では耐衝撃性に劣るし、300,000を超えると成形時にお
ける流動性が不十分となる。
本発明組成物においては、(A)成分として前記のオ
クルージョン構造を有するゴム変性スチレン系樹脂を単
独で用いてもよいし、場合により得られる組成物の光沢
をさらに良好なものとするために、該ゴム変性スチレン
系樹脂20重量%以上、好ましくは30〜85重量%と汎用ポ
リスチレン80重量%以下、好ましくは70〜15重量%との
混合物を用いてもよい。この場合、汎用ポリスチレンの
量が80重量%を超えるとその量の割には光沢は向上しな
い上、耐衝撃性が低下する。
この汎用ポリスチレンについては特に制限はなく、ス
チレンモノマーを塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合
などの重合方法によって重合させることにより得られる
一般に市販されているものを用いることができる。
本発明組成物においては、(B)成分として、多核芳
香族炭化水素の含有量が0.2重量%以下、好ましくは0.1
重量%以下の流動パラフィンを用いる。さらに、ASTM
D1160準拠の2%蒸留点が240℃以上で95%蒸留点が350
℃以下のものが特に好ましい。
このような流動パラフィンを適量配合することによ
り、得られる組成物は熱安定性が良好になるとともに、
射出成形時に金型キャビティーへの油状物質付着が抑制
される。本発明組成物においては、この流動パラフィン
の配合量は前記(A)成分100重量部に対して、0.1〜6
重量部、好ましくは0.5〜4重量部の範囲で選ぶことが
必要である。この量が0.1重量部未満ではその配合効果
が十分に発揮されないし、6重量部を超えると耐熱性が
低下する傾向がみられる。
本発明組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で
必要に応じ公知の各種添加成分、例えば炭酸カルシウ
ム、タルク、マイカ、シリカ、アスベストなどの無機充
てん剤、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウイスカーなどの
補強剤、さらには、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステア
リン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウム、エチレンビスステアロアミドなどの滑剤
や、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル、あるいは2,
6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ステアリ
ル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス
−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオネートなどのヒンダードフェノール
系やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファ
イト、4,4′−ブチルデンビス(3−メチル−6−t−
ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイトなどの
リン系の酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止
剤、離型剤、可塑剤、染料、顔料、各種充填材などを添
加することができる。また、他のポリマー、例えばポリ
フェニレンエーテルなどを配合することもできる。
本発明組成物は、例えば前記(A)成分、(B)成
分、及び必要に応じて用いられる各種添加成分を、それ
ぞれ所定の割合で配合し、バンバリーミキサー、単軸ス
クリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多
軸スクリュー押出機などにより、180〜240℃の範囲の温
度で十分に混練することにより調製することができる。
このようにして得られた本発明のゴム変性スチレン系
樹脂組成物は光沢、剛性、耐衝撃性、熱安定性のバラン
スに優れており、例えば家電製品、OA機器などのハウジ
ングやシートなどの材料として好適に用いられる。
[実施例] 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。
なお、ゴム変性ポリスチレン及び樹脂組成物の物性は
次のようにして求めた。
(1)ゲル量、膨潤指数 サンプルWc(g)をトルエンに溶解し、15000rpmで60
分間遠心分離後、上澄液をデカンテイションし、膨潤し
た不溶成分量Ws(g)を求め、次にこの膨潤した不溶成
分を60℃で24時間真空乾燥して、乾燥不溶成分量Wg
(g)を求める。
ゲル量(wt%)=(Wg/Wc)×100 膨潤指数=Ws/Wg (2)光沢度 JIS K−7105に準拠して求めた。
(3)アイゾット衝撃強度 JIS K−7110(23℃、ノッチ付)に準拠して求め
た。
(4)落錘衝撃強度 270×70×3mmの射出成形板のゲート位置(成形板の末
端)より125mm地点で板幅(70mm)の中央部にて、荷重
3.76kg、速度3.5m/秒、試料固定部の穴径2インチ、温
度23℃の条件で、レオメトリックス社製自動落錘衝撃試
験機RDT5000を用いて測定し、力と変位の曲線で最初に
力が急激な減少を示す時点までのエネルギーを求め、落
錘衝撃強度とした。
(5)曲げ弾性率 ASTM D−790に準拠して求めた。
(6)メルトインデックス[MI] ISO R−1133に準拠して求めた。
(7)熱安定性 20mmシート押出機を使用し、評価用試料をシリンダー
温度280℃でパージ後、一昼夜放置する。
翌朝、280℃でシート成形を行い、幅10cm×長さ1.6m
×厚み50μmのシートをサンプリング後、黒点発生数を
測定し、その発生黒点の総数で、熱安定性を測定する。
(8)油状物質付着度 第1図に示す金型及び射出成形機[東芝機械(株)、
IS−150E]を使用し、成形温度240℃、金型温度20℃、
成形サイクル17秒の条件で連続500ショット成形後、金
型キャビティー内(第1図において1で示される部分)
に付着した油状物質をメチレンクロリドに溶解したの
ち、これをフラスコに採取し、油状物質量をガスクロマ
トグラフィーにより定量して、その絶対量で油状物質付
着度を評価した。
また、流動パラフィンとして、次のものを使用した。
・流動パラフィンA 高純度流動パラフィン、多核芳香族炭化水素含量0.1
重量%以下、アリニン点113.0℃、2%蒸留点が250℃で
95%蒸留点が330℃(ASTM D1160準拠)。
・KP−32 工業用流動パラフィン、出光興産(株)製、「ダフニ
ーオイル」 製造例1 単一オクルージョンゴム変性ポリスチレンの
製造 内容量5のオートクレーブに重量平均分子量10万、
スチレン単位の含有量22.6重量%のSBブロック共重合体
〔日本ゼオン(株)製、商品名:ZLS−01〕1167g、スチ
レン3000g及び連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカ
プタン1gを入れ、300rpmで撹拌しながら130℃、4時間
反応を行った。
次いで10のオートクレーブに、前記反応混合物3000
g、水3000g、懸濁安定剤としてのポリビニルアルコール
10g、重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド6g及
びジクミルペルオキシド3gを入れ、300rpmで撹拌しなが
ら、80℃から30℃/hrの昇温速度で140℃まで昇温し、そ
の温度でさらに4時間反応させて、ゴム変性ポリスチレ
ンのビーズを得た。
次に、得られたビーズを220℃の単軸押出機にてペレ
ット化したのち、成形を行った。
得られた成形品の物性の測定結果及びゴム変性ポリス
チレンの特性を第1表に示す。
製造例2 単一オクルージョンゴム変性ポリスチレンの
製造 内容量5のオートクレーブにSBブロック共重合体
〔日本ゼオン(株)製、商品名:ZLS−01、スチレン単位
の含有量22.6重量%、分子量10万〕704g、スチレン3000
g及び連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカプタン1g
を入れ、300rpmで撹拌しながら130℃、4時間反応を行
い、予備重合物(I)を得た。
また、同様にポリブタジエン〔旭化成(株)製、商品
名:NF35AS〕409gとn−ドデシルメルカプタン1gを用い
て予備重合物(II)を得た(ゴム構造はそれぞれ下記の
ような懸濁重合条件でビーズを合成し電子顕微鏡にてそ
れぞれ0.4μmのオクルージョンと1.2μmのサラミ構造
を確認した)。次いで、10のオートクレーブに得られ
た予備重合物(I)2550g、予備重合物(II)450g、水3
000g、懸濁安定剤としてのポリビニルアルコール10g、
重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド6g及びジク
ミルペルオキシド3gを入れ500rpmで撹拌しつつ、80℃か
ら30℃/時間の昇温速度で140℃まで昇温し、さらに4
時間反応させてゴム変性ポリスチレンのビーズを得た
(電子顕微鏡にてオクルージョンが0.4μm、サラミが
1.2μmであることを確認した)。得られたビーズを200
℃の単軸押出機にてペレット化したのち、成形を行っ
た。
得られた成形品の物性の測定結果及びゴム変性ポリス
チレンの特性を第1表に示す。
製造例1、及び製造例2のゴム変性ポリスチレンは共
に電子顕微鏡によると分散ゴム重合体が、対称面を有し
ていた。
実施例1 製造例1で得たオクルージョン構造を有するゴム変性
スチレン系樹脂(オクルージョンHIPS)100重量部に、
流動パラフィンA1重量部を配合し、ドライブレンド後、
単軸混練機を用いて温度200℃、回転数80rpmの条件で混
練してペレットを得た。
次に、このペレットを用いて押出成形によりシートを
作成し、熱安定性を評価するとともに、油状物質付着テ
ストにより、金型キャビティー内の油状物質付着量を求
めた。その結果を第2表に示す。
実施例2 実施例1において、流動パラフィンAの配合量を3重
量部に変えた以外は、実施例1と同様に実施した。その
結果を第2表に示す。
実施例3 実施例1において、製造例1で得たオクルージョン構
造を有するゴム変性スチレン系樹脂の代わりに製造例2
で得たオクルージョン構造を有するゴム変性スチレン系
樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。そ
の結果を第2表に示す。
比較例1 実施例1において、スチレン系樹脂としてサラミ構造
HIPS「出光スチロールHT53」[出光石油化学(株)製、
MI4]100重量部を用い、かつ流動パラフィンとしてKP−
321重量部を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
その結果を第2表に示す。
[発明の効果] 本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、オクルー
ジョン構造を有するゴム変性スチレン系樹脂単独又はこ
のゴム変性スチレン系樹脂と汎用ポリスチレンとの混合
物に特定の流動パラフィンを配合したものであって、光
沢、剛性、耐衝撃性、熱安定性のバランスに優れる上、
射出成形時において金型キャビティーに油状物質がほと
んど付着することがないなど、優れた特徴を有し、家電
製品、OA機器などのハウジングやシートなどの材料とし
て好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は金型キャビティーへの油状物質付着度を評価す
るために用いた金型の概略図であり、図中の符号1は油
状物質付着部分、2はゲート、3はショートショット部
分である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 91:00) (56)参考文献 特開 平1−261444(JP,A) 阿部嘉長著「新版・プラスチックス配 合剤−基礎と応用」(初版)(昭59−1 −30)大成社 P283−289

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)分散ゴム形態がオクルージョン構造
    を有するゴム変性スチレン系樹脂単独又はこのゴム変性
    スチレン系樹脂20重量%以上と汎用ポリスチレン80重量
    %以下との混合物100重量部に対し、(B)多核芳香族
    炭化水素の含有量が0.2重量%以下である流動パラフィ
    ン0.1〜6重量部を配合して成るゴム変性スチレン系樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】ゴム変性スチレン系樹脂が、ゴム状重合体
    を、対称面をもつオクルージョン構造を有し、かつ面積
    平均粒子径が0.1〜0.7μmで、数平均粒子径に対する面
    積平均粒子径の比が1.0〜2.5の粒子としてスチレン系重
    合体中に分散させたものである請求項1記載のゴム変性
    スチレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ゴム状重合体の分散粒子が、 関係式 K=φ{1−[〔(DS/2)−λ〕/(DS/2)]-1 (式中のφはゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状重合
    体の体積分率を示し、DSはゴム状重合体の面積平均粒子
    径(直径)を示し、λはゴム状重合体相の厚さで0.10μ
    m以下である) で求められるKが0.18以上のものである請求項1記載の
    ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
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阿部嘉長著「新版・プラスチックス配合剤−基礎と応用」(初版)(昭59−1−30)大成社 P283−289

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