JP2683613B2 - スチレン系樹脂から成る射出成形品 - Google Patents

スチレン系樹脂から成る射出成形品

Info

Publication number
JP2683613B2
JP2683613B2 JP2017767A JP1776790A JP2683613B2 JP 2683613 B2 JP2683613 B2 JP 2683613B2 JP 2017767 A JP2017767 A JP 2017767A JP 1776790 A JP1776790 A JP 1776790A JP 2683613 B2 JP2683613 B2 JP 2683613B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
polymer
styrene
particles
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2017767A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03223358A (ja
Inventor
昭男 山崎
豊 坪倉
義幸 末次
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=11952866&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2683613(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Idemitsu Petrochemical Co Ltd filed Critical Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority to JP2017767A priority Critical patent/JP2683613B2/ja
Publication of JPH03223358A publication Critical patent/JPH03223358A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2683613B2 publication Critical patent/JP2683613B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規なスチレン系樹脂から成る射出成形品、
さらに詳しくは、光沢、剛性及び耐衝撃性のバランスに
優れる上、ウエルド部外観及びウエルド部強度が良好
で、家電製品やOA機器の部品などに好適に用いられるゴ
ム変性スチレン系樹脂から成る射出成形品に関するもの
である。
[従来の技術] 近年、家電製品やOA機器などのハウジング材料には、
ASB樹脂並の物性が要求されるようになってきており、
例えば光沢度93%以上、ウエルド部のアイゾット緩衝強
度6.5kg・cm/cm以上、曲げ弾性率20,000kg/cm2以上が要
求されている。
しかしながら、従来のゴム変性スチレン系樹脂(サラ
ミ構造を有するハイインパクトポリスチレン)を用い
て、光沢やウエルド部外観が重視される家電製品、例え
ばVTRのフロントパネル、あるいは掃除機、エアコン、O
A機器、ラジカセなどのハウジングを射出成形により作
成しても、十分に満足しうる物性をもつものは得られな
いのが実状である。
ところで、スチレン系樹脂の耐衝撃性を改良する目的
で、ポリスチレンにゴム状重合体をブレンドしたり、あ
るいはゴム状重合体の存在下に、スチレンを重合させる
ことにより、該ゴム状重合体にスチレンが一部グラフト
重合され、かつスチレンの残部がポリスチレンとなっ
て、実質上ゴム状重合体/スチレンのグラフト共重合体
とポリスチレンとが混合された状態とし、いわゆるゴム
変性ポリスチレン樹脂組成物とすることが工業的に行わ
れている。
このようなゴム変性ポリスチレン樹脂組成物において
は、通常ゴム状重合体はスチレン系重合体中に粒子状に
分散しており、この粒子の大きさと、耐衝撃性及び光沢
とは密接な関係を有することは、良く知られている。す
なわち、光沢は、該ゴム状重合体の粒子が小さいほど優
れているが、その反面、耐衝撃性は該ゴム状重合体の粒
子が小さくなるのに比例して低下し、ある限度以下にな
ると、実質的に耐衝撃性の改良効果がなくなる。
従来のゴム変性ポリスチレン樹脂組成物においては、
所望の耐衝撃性を得るために、ゴム状重合体、を粒径が
1μm以上、通常1〜10μmの範囲の粒子として、ポリ
スチレン樹脂相中に分散させているが、光沢などに劣る
ために、用途の制限を免れないという問題があった。
このような問題を解決するため、ゴム粒子の分散形態
を、平均粒子径0.1〜0.7μm程度の単一オクルージョン
構造(シェル/コア形といわれる)とすることにより、
光沢や耐衝撃性の良好なものが得られることが知られて
いる(西ドイツ公開特許公報第3,345,377号、特開昭63
−112646号公報、特開平1−261444号公報)。しかしな
がら、この場合、光沢は改良されるものの、耐衝撃性、
特に落錘衝撃強度については十分ではないという問題が
生じる。
[発明が解決しようとする課題] 本発明はこのような事情のもとで、光沢、剛性及び耐
衝撃性のバランスに優れる上、ウエルド部外観及びウエ
ルド部強度が良好なスチレン系樹脂から成る射出成形品
を提供することを目的としてなされたものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、光沢及び耐衝撃性特に落錘衝撃強度に
優れたゴム変性スチレン系樹脂を開発するために研究を
重ね、先にゴムのミクロ構造を特定することにより、光
沢及び耐衝撃性特に落錘衝撃強度に優れたオクルージョ
ン構造を有するゴム変性スチレン系樹脂を見い出した。
本発明者らはさらに鋭意研究を進めた結果、特定のオ
クルージョン構造を有するゴム変性スチレン系樹脂を用
いて成形した射出成形品により、前記目的を達成しうる
ことを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成する
に至った。
すなわち、本発明は、(A)スチレン系重合体70〜92
重量%と(B)ゴム状重合体30〜8重量%とから成るも
のであって、前記スチレン系重合体中に前記ゴム状重合
体の粒子が分散しており、前記ゴム状重合体の粒子数の
70%以上が内包オクルージョンを5個以下含有するオク
ルージョン構造を有しており、かつ、内包オクルージョ
ンが1個であるゴム状重合体の粒子がオクルージョン構
造のうちの60%以上を占めると共に、内包オクルージョ
ンが1個であるゴム状重合体の粒子の外郭形状が対称面
を有していて、面積平均粒子径が0.1〜0.7μmで、数平
均粒子径に対する面積平均粒子径の比が1.0〜2.5の粒子
として前記スチレン系重合体中に分散しており、かつ、
前記ゴム状重合体の分散粒子が、関係式 K=φ{1−[〔(DS/2)−λ〕/(DS/2)]-1 (式中のφはゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状重合
体の体積分率を示し、DSはゴム状重合体の面積平均粒子
径(直径)を示し、λはゴム状重合体相の厚さで0.10μ
m以下である) で求められるKが0.18以上であること、 を特徴とするゴム変性スチレン系樹脂を成形して成る射
出成形品を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明成形品に用いられるゴム変性スチレン系樹脂に
おける(A)成分のスチレン系重合体は、スチレン単独
重合体であってもよいし、スチレンと共重合可能な単量
体との共重合体であってもよい。該共重合可能な単量体
としては、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、p−t−
ブチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ビ
ニルナフタレンなどの芳香族モノビニル化合物、アクリ
ロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、
メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、フェニル
マレイミドなどを挙げることができる。これらの単量体
は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いて
もよいが、スチレンを含む全単量体に対して、通常50重
量%以下、好ましくは40重量%以下の割合で用いられ
る。
一方、(B)成分のゴム状重合体の種類については特
に制限はなく、従来ゴム変性スチレン系樹脂に慣用され
ているもの、例えば天然ゴムや、ポリブタジエンゴム、
ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン系共重合体
ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブチルゴ
ム、エチレン−プロピレン系共重合体ゴムなどの合成ゴ
ム、あるいはこれらのゴムとスチレンとのグラフト共重
合体ゴムなどを用いることができるが、これらの中でス
チレン−ブタジエン系ブロック共重合体ゴムが好適であ
る。このスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体ゴム
としては、分子量が50,000〜500,000の範囲にあり、か
つスチレン類で形成される重合体ブロックの含有量が10
〜60重量%の範囲にあるものが特に好ましい。該分子量
が50,000未満のものでは耐衝撃性が十分ではないし、50
0,000を超えると成形時の流動性が低下するようにな
り、好ましくない。また、このスチレン−ブタジエン系
ブロック共重合体ゴムに、分子量が50,000〜500,000程
度のポリブタジエンゴムを適宜配合して用いてもよい。
このゴム状重合体の分子量は、GPCによるポリスチレン
換算値での重量平均分子量である。
該ゴム変性スチレン系樹脂においては、(B)成分の
ゴム状重合体は、対称面をもつオクルージョン構造を有
し、かつ面積平均粒子径(直径)が0.1〜0.7μm、好ま
しくは0.2〜0.6μmで、数平均粒子径(直径)に対する
面積平均粒子径の比が、1.0〜2.5、好ましくは1.0〜1.8
の粒子として、前記(A)成分のスチレン系重合体中に
分散していることが必要である。
前記面積平均粒子径が0.1μm未満では耐衝撃性が十
分でないし、0.7μmを超えると光沢が低下する傾向が
生じる。また、数平均粒子径に対する面積平均粒子径の
比が2.5を超えると光沢が低下する傾向がみられる。
さらに、ゴム状重合体の分散粒子は、対称面をもつオ
クルージョン構造を有することが必要である。該ゴム状
重合体の分散粒子が対称面をもたないオクルージョン構
造を有するものであると、耐衝撃性が不十分となるおそ
れがある。
ここで対称面を有するオクルージョン構造とは、一つ
のゴム粒子中に、コアがスチレン系重合体で、シェルが
ゴム状重合体から成る内包オクルージョンが5個以下含
まれており、かつそのうちの少なくとも60%以上が内包
オクルージョンが1個であり、かつそれは対称面を有す
る構造のことをいう。
該ゴム変性スチレン系樹脂は、分散ゴム形態が、前記
のようなオクルージョン構造を70%以上有することが必
要で、サラミ構造などの粒子が30%以上混在すると、良
好な光沢が得られないおそれがある。したがって、本発
明においては、内包オクルージョンを6個以上含有す
る、通常サラミ構造を有する耐衝撃性ポリスチレン(HI
PS)を、ゴム粒子数で30%未満の割合であれば配合する
こともできる。
さらに、ゴム変性スチレン系樹脂としては、ゴム状重
合体粒子の体積分率(φ)、ゴム状重合体粒子の面積
平均粒子径(直径)(DS)及びゴム状重合体相の厚さ
(λ)を因子とする関係式 K=φ{1−[〔(DS/2)−λ〕/(DS/2)]-1 ……(I) (ただしλは0.10μm以下である) で求められるKが0.18以上、好ましくは0.20以上、より
好ましくは0.22以上であるものが好適である。このK値
が0.18未満では落錘衝撃強度が不十分であり、例えば大
型テレビのハウジングなどの素材としては必ずしも十分
とはいえない。
前記ゴム状重合体粒子の体積分率(φ)は、 式 φ={[(1/WR)−1](ρRPS)+1}-1 ……(II) によって求めることができる。
ここでρはゴム状重合体の比重であり、0.90を用い
る。またρPSはスチレン系重合体の比重であり、1.05を
用いる。さらにWRはゴム変性スチレン系樹脂に含まれる
ゴム状重合体の重量分率で、式 WR=WD(1−S)/[(1−WD)X+WD] ……(III) で求めることができる。
ゴム状重合体粒子の面積平均粒子径(直径)(DS)及
び(Dn)は、次のようにして求めることができる。すな
わち、配向の小さいゴム変性スチレン系樹脂のペレット
を3重量%の四酸化オスミウム水溶液にて処理したもの
を超ミクロトームにより薄片化したのち、このものの透
過型電子顕微鏡像を得、画像上のゴム状重合体粒子の長
径方向の直径(D)を1000個の粒子について測定し、そ
の面積平均値を次式に従って求めることにより、ゴム状
重合体粒子の面積平均粒子径(直径)(DS)及び(Dn
が得られる。
(nは直径Dのゴム状重合体粒子の個数) また、ゴム状重合体相の厚さ(λ)は、前記と同様に
して透過型電子顕微鏡像を得、ゴム状重合体粒子のう
ち、ゴム状重合体相が周辺のみに存在するもの、すなわ
ち、中心付近で切削されたゴム状重合体粒子のゴム状重
合体相の厚さλiを100個の粒子について測定し、その
数平均値を次式に従って求めることにより、得られる。
λ=(λ+λ+λ+……+λ100)/100 また、同様にして透過型電子顕微鏡像を得、無作為に
抽出した1000個の粒子に対するオクルージョン構造粒子
の数の比率を求め、オクルージョン構造粒子の比率を評
価した。
該ゴム変性スチレン系樹脂においては、ゴム重合体粒
子は特定のミクロ構造を有することが好ましい。すなわ
ち、ゲル量がゴム状重合体に対して1.1〜4.0重量比、好
ましくは1.4〜3.6重量比の範囲にあることが望ましく、
またその膨潤指数が5〜20、好ましくは7〜18の範囲に
あることが望ましい。該ゲル量が1.1重量比未満では耐
衝撃性が十分でなくなるおそれがあり、4.0重量比を超
えると光沢が低下するおそれがある。また該膨潤指数が
前記範囲を逸脱すると衝撃強度が低下する傾向が生じ
る。
該ゴム変性スチレン系樹脂においては、スチレン系重
合体とゴム状重合体は、それぞれ70〜92重量%及び30〜
8重量%、好ましくは72〜90重量%及び28〜10重量%の
割合で含有することが必要である。ゴム状重合体の含有
量が8重量%未満では耐衝撃性の改良効果が十分に発揮
されないし、30重量%を超えると光沢や流動性が低下す
る傾向が生じる。
また、該ゴム変性スチレン系樹脂においては、ゴム状
重合体相の厚さ(λ)が0.10μm以下であることが好ま
しい。ゴム状重合体相の厚さ(λ)が0.10μm以上にす
るためには、使用されるゴム状重合体の分子量を高くす
る必要がある(例えば、スチレン−ブタジエン系ブロッ
ク共重合体ゴムを用いる場合、ブタジエン重合体ブロッ
ク部の分子量をおよそ800,000以上にする必要があ
る)。
このような高分子量のゴム状重合体を用いて、ゴム変
性スチレン系樹脂を製造すると、重合反応溶液の粘度が
著しく高くなり好ましくない。ゴム状重合体相の厚さ
(λ)は0.005〜0.07μmにすることが好ましい。
該ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム状重合体の存在下
に、スチレン又はスチレンと共重合可能な単量体とを重
合させることによって調製することができる。この重合
方法については特に制限はなく、従来慣用されている方
法、例えば乳化重合法、塊状重合法、溶液重合法、懸濁
重合法、あるいは塊状−懸濁二段重合法のような多段重
合法などを用いることができる。
次に、塊状−懸濁二段重合法によるゴム変性スチレン
系樹脂の好適な製造方法の1例について説明すると、ま
ずスチレン又はスチレンと共重合可能な単量体との混合
物に、ゴム状重合体を添加し、必要に応じ加熱して溶解
させる。この溶解はできるだけ均一に行うことが好まし
い。
次に、この溶液に、アルキルメルカプタンなどの分子
量調節剤(連鎖移動剤)及び必要に応じて用いられる有
機過酸化物などの重合開始剤を加え、70〜150℃程度の
温度に加熱しながら、撹拌下に重合度が10〜60%になる
まで塊状重合法による予備重合を行う。この予備重合工
程において該ゴム状重合体は撹拌により粒子状に分散さ
れる。
次いで、前記予備重合液を第三リン酸カルシウムやポ
リビニルアルコールなどを懸濁剤として、水相に懸濁
し、通常、重合度が100%近くなるまで懸濁重合(主重
合)を行う。なお、必要に応じて、この主重合工程の
後、さらに加熱を続けてもよい。
前記分子調節剤としては、例えばα−メチルスチレン
ダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタン、1−フェニルブテン−2−フルオレン、ジ
ペンテン、クロロホルムなどのメルカプタン類、テルペ
ン類、ハロゲン化合物などを挙げることができる。
また、所望に応じて用いられる重合開始剤としては、
例えば1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキ
サン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサンなどのペルオキシケタール類、
ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキ
サンなどのジアルキルペルオキシド類、ベンゾイルペル
オキシド、m−トルオイルペルオキシドなどのジアリー
ルペルオキシド類、ジミリスチルペルオキシジカーボネ
ートなどのペルオキシジカーボネート類、t−ブチルペ
ルオキシイソプロピルカーボネートなどのペルオキシエ
ステル類、シクロヘキサノンペルオキシドなどのケトペ
ルオキシド類、p−メンタンヒドロペルオキシドなどの
ヒドロペルオキシド類などの有機過酸化物などを挙げる
ことができる。
なお、ゴム状重合体相の厚さλは、ゴム状重合体とし
て、例えばステレン−ブタジエン系ブロック共重合体ゴ
ムを用いる場合、ブタジエン重合体ブロック部の分子量
を変化させることにより制御することができる。すなわ
ち、ブタジエン重合体ブロック部の分子量を小さくすれ
ばλは減少し、大きくするとλは増大する。一方、ゴム
状重合体粒子の半径Rは重合中の撹拌速度、ゴム状重合
体としてスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体ゴム
を用いる場合はスチレン重合体ブロック部の分子量、さ
らに連鎖移動剤の使用の有無、スチレン−ブタジエン系
ブロック共重合体ゴムに配合されるポリブタジエンゴム
の有無などによって制御することができる。すなわち、
重合中の撹拌速度が速いとRは減少し、遅いと増大す
る。スチレン重合体ブロック部の分子量を大きくすると
Rは減少し、小さくするとRは増大する。また、連鎖移
動剤を使用しない場合Rは小さいが、使用すると増大す
るし、ポリブタジエンゴムを用いるとRは増大するが、
使用しない場合Rは小さい。
次に、このようにして得られたスラリーを、通常の手
段により処理して、ビーズ状反応物を取り出し、乾燥し
たのち、常法に従いペレット化することにより、所望の
ゴム変性スチレン系樹脂が得られる。このようにして得
られたゴム変性スチレン系樹脂のマトリックス部の分子
量は100,000〜300,000、好ましくは130,000〜280,000の
範囲にあるのが有利である。この分子量が100,000未満
では耐衝撃性に劣るし、300,000を超えると成形時にお
ける流動性が不十分となる。
本発明においては、前記のオクルージョン構造を有す
るゴム変性スチレン系樹脂を単独で射出成形してもよい
し、場合により得られる成形品の光沢をさらに良好なも
のとするために、該ゴム変性スチレン系樹脂20重量%以
上、好ましくは30〜85重量%と汎用ポリスチレン80重量
%以下、好ましくは70〜15重量%との混合物を射出成形
してもよい。この場合、汎用ポリスチレンの量が80重量
%を超えるとその量の割には光沢は向上しない上、耐衝
撃性が低下する。
この汎用ポリスチレンについては特に制限はなく、ス
チレンモノマーを塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合
などの重合方法によって重合させることにより得られる
一般に市販されているものを用いることができる。
さらに、本発明においては、前記ゴム変性スチレン系
樹脂に、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じ公
知の各種添加成分、例えば炭酸カルシウム、タルク、マ
イカ、シリカ、アスベストなどの無機充てん剤、ガラス
繊維、炭素繊維、金属ウイスカーなどの補強剤、さらに
は、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ス
テアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エ
チレンビスステアロアミドなどの滑剤や、有機ポリシロ
キサン、ミネラルオイル、あるいは2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピ
オネートなどのヒンダーフェノール系やトリス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4′−ブチ
リデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ
−トリデシル)ホスファイトなどのリン系の酸化防止
剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、可塑
剤、染料、顔料、他のポリマーなどを添加し、射出成形
することができる。
本発明の射出成形品は、前記ゴム変性スチレン系樹脂
及び場合により用いられる汎用ポリスチレンや各種添加
成分を混練し、通常の射出成形法によって成形すること
により作成することができる。この際、一般に、射出成
形温度は180〜280℃、射出成形圧力は50〜140kg/cm2
G、スクリュー回転数は50〜300rpmの範囲で選ばれる。
このようにして得られた本発明の射出成形品は、光
沢、剛性及び耐衝撃性のバランスに優れる上、ウエルド
部外観及びウエルド部強度が良好であって、特に光沢
や、ウエルド部外観、ウエルド部強度が要求される家電
製品、OA機器などの部品、例えばVTRフロントパネル、
あるいは掃除機、エアコン、OA機器、ラジカセなどのハ
ウジングなどに好適に用いられる。
[実施例] 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。
なお、ゴム変性ポリスチレン及び射出成形品の物性は
次のようにして求めた。
・ゴム変性ポリスチレンの物性 (1)ゲル量、膨潤指数 サンプルWc(g)をトルエンに溶解し、15000rpmで60
分間遠心分離後、上澄液をデカンテイションし、膨潤し
た不溶成分量Ws(g)を求め、次にこの膨潤した不溶成
分を60℃で24時間真空乾燥して、乾燥不溶成分量Wg
(g)を求める。
ゲル量(wt%)=(Wg/Wc)×100 膨潤指数=Ws/Wg (2)光沢度 JIS K−7105に準拠して求めた。
(3)アイゾット衝撃強度 JIS K−7110(23℃、ノッチ付)に準拠して求め
た。
(4)落錘衝撃強度 270×70×3mmの射出成形板のゲート位置(成形板の末
端)より125mm地点で板幅(70mm)の中央部にて、荷重
3.76kg、速度3.5m/秒、試料固定部の穴径2インチ、温
度23℃の条件で、レオメトリックス社製自動落錘衝撃試
験機RDT5000を用いて測定し、力と変位の曲線で最初に
力が急激な減少を示す時点までのエネルギーを求め、落
錘衝撃強度とした。
(5)曲げ弾性率 ASTM D−790に準拠して求めた。
(6)メルトインデックス[MI] ISO R−1133に準拠して求めた。
・射出成形品の物性 (7)ウエルド部外観 東芝機械(株)製IS−200CNの射出成形機と第1図に
示す短冊金型(幅120×長さ420×厚み3mm)を使用して
成形を行い、流動末端部に挿入した円筒入子後方に生じ
るウエルドの長さを測定し、その長さでウエルド部外観
(目立ち)の判定を行った。
(8)ウエルド部強度 東芝機械(株)製IS−150Eの射出成形機と第2図に示
す新配向金型を使用して、ウエルド部強度測定用試験片
を作製し、JIS K−7110に準拠して、ウエルド部のア
イゾット衝撃強度を求めた。
製造例1 単一オクルージョンゴム変性ポリスチレンの
製造 内容量5のオートクレーブに重量平均分子量10万、
スチレン単位の含有量22.6重量%のSBブロック共重合体
〔日本ゼオン(株)製、商品名:ZLS−01〕1167g、スチ
レン3000g及び連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカ
プタン1gを入れ、300rpmで撹拌しながら130℃、4時間
反応を行った。
次いで10のオトークレーブに、前記反応混合物3000
g、水3000g、懸濁安定剤としてのポリビニルアルコール
10g、重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド6g及
びジクミルペルオキシド3gを入れ、300rpmで撹拌しなが
ら、80℃から30℃/hrの昇温速度で140℃まで昇温し、そ
の温度でさらに4時間反応させて、ゴム変性ポリスチレ
ンのビーズを得た。
次に、得られたビーズを220℃の単軸押出機にてペレ
ット化したのち、成形を行った。
得られた成形品の物性の測定結果及びゴム変性ポリス
チレンの特性を第1表に示す。
製造例2 単一オクルージョンゴム変性ポリスチレンの
製造 内容量5のオートクレーブにSBブロック共重合体
〔日本ゼオン(株)製、商品名:ZLS−01、スチレン単位
の含有量22.6重量%、分子量10万〕704g、スチレン3000
g及び連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカプタン1g
を入れ、300rpmで撹拌しながら130℃、4時間反応を行
い、予備重合物(I)を得た。
また、同様にポリブタジエン〔旭化成(株)製、商品
名:NF35AS〕409gとn−ドデシルメルカプタン1gを用い
て予備重合物(II)を得た(ゴム構造はそれぞれ下記の
ような懸濁重合条件でビーズを合成し電子顕微鏡にてそ
れぞれ0.4μmのオクルージョンと1.2μmのサラミ構造
を確認した)。次いで、10のオートクレーブに得られ
た予備重合物(I)2550g、予備重合物(II)450g、水3
000g、懸濁安定剤としてのポリビニルアルコール10g、
重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド6g及びジク
ミルペルオキシド3gを入れ500rpmで撹拌しつつ、80℃か
ら30℃/時間の昇温速度で140℃まで昇温し、さらに4
時間反応させてゴム変性ポリスチレンのビーズを得た
(電子顕微鏡にてオクルージョンが0.4μm、サラミが
1.2μmであることを確認した)。得られたビーズを220
℃の単軸押出機にてペレット化したのち、成形を行っ
た。
得られた成形品の物性の測定結果及びゴム変性ポリス
チレンの特性を第1表に示す。
製造例1、2共に、電子顕微鏡にてゴム状重合体は対
称面を有することを確認した。
実施例1 製造例1で得た対称面をもつオクルージョン製造を有
するゴム変性ポリスチレン(オクルージョンHIPS)を20
00トンの型締圧を有する射出成形機[東芝機械(株)
製、IS−200CN]を用いて、射出成形温度200℃、射出成
形圧力120kg/cm2・G、スクリュー回転数80rpmの条件で
第1図に示す短冊金型(幅120×長さ420×厚み3mm)に
射出成形を行い、ウエルド長さを測定してウエルド部外
観を評価した。
また、150トンの型締圧を有する射出成形機[東芝機
械(株)製、IS−150E]を用いて同様に射出成形を行
い、ウエルド部強度(アイゾット衝撃強度)を測定し
た。なお、この際、金型として第2図に示す新配向金型
(肉厚3mm)を用いた。その結果を第2表に示す。
実施例2 実施例1において、製造例1で得たオクルージョンHI
PSと汎用ポリスチレン(GPPS)[出光スチロールHH30、
出光石油化学(株)製、M14]とを、重量比50:50の割合
でブレンドして用いた以外は、実施例1と同様に実施し
た。その結果を第2表に示す。
実施例3 実施例1において、製造例1で得たオクルージョンHI
PSの代わりに、製造例2で得た対称面をもつオクルーシ
ョンHIPSを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
その結果を第2表に示す。
比較例1 実施例1において、製造例1で得たオクルージョンHI
PSの代わりに、サラミ構造を有するゴム変性ポリスチレ
ン(サラミHIPS)[出光スチロールHT55、出光石油化学
(株)製、MI2.0]を用いた以外は、実施例1と同様に
実施した。その結果を第2表に示す。
比較例2 実施例2において、オクルージョンHIPSの代わりにサ
ラミHIPS「出光スチロールHT55」を用いた以外は、実施
例2と同様に実施した。その結果を第2表に示す。
光沢、ウエルド部外観が重視される家電製品やOA機器
の部品用射出成形品には、通常ウエルド部アイゾット衝
撃強度6.5kg・cm/cm以上、曲げ弾性率20,000kg/cm2以上
及び光沢度93%以上の特性が要求される。
実施例1、2及び3においては、前記特性を満たすと
ともに、ウエルド部外観が良好であるが、比較例1(HT
55単独)では光沢及びウエルド部外観に劣り、比較例2
(HT55/HH30重量比50/50の混合物)ではウエルド部外観
及びウエルド部衝撃強度が劣る。
[発明の効果] 本発明のスチレン系樹脂から成る射出成形品は、オク
ルージョン製造を有するゴム変性スチレン系樹脂を射出
成形して成るものであって、光沢、剛性及び耐衝撃性の
バランスに優れる上、ウエルド部外観及びウエルド部強
度が良好であり、例えば家電製品やOA機器の部品などに
好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
第1図はウエルド部外観を評価するための射出成形品の
作成に用いられる短冊金型の説明図、第2図はウエルド
部強度を評価するための射出成形品の作成に用いられる
新配向金型の説明図である。図中符号1はウエルド、2
は入子、3はゲート、数値の単位はmmである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−261444(JP,A) 特開 昭63−112646(JP,A) 特開 平2−34610(JP,A) 特開 平2−34611(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)スチレン系重合体70〜92重量%と
    (B)ゴム状重合体30〜8重量%とから成るものであっ
    て、前記スチレン系重合体中に前記ゴム状重合体の粒子
    が分散しており、前記ゴム状重合体の粒子数の70%以上
    が内包オクルージョンを5個以下含有するオクルージョ
    ン構造を有しており、かつ、内包オクルージョンが1個
    であるゴム状重合体の粒子がオクルージョン構造のうち
    の60%以上を占めると共に、内包オクルージョンが1個
    であるゴム状重合体の粒子の外郭形状が対称面を有して
    いて、面積平均粒子径が0.1〜0.7μmで、数平均粒子径
    に対する面積平均粒子径の比が1.0〜2.5の粒子として前
    記スチレン系重合体中に分散しており、かつ、前記ゴム
    状重合体の分散粒子が、関係式 K=φ{1−[〔(DS/2)−λ〕/(DS/2)]-1 (式中のφはゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状重合
    体の体積分率を示し、DSはゴム状重合体の面積平均粒子
    径(直径)を示し、λはゴム状重合体相の厚さで0.10μ
    m以下である) で求められるKが0.18以上であること、 を特徴とするゴム変性スチレン系樹脂を成形して成る射
    出成形品。
JP2017767A 1990-01-30 1990-01-30 スチレン系樹脂から成る射出成形品 Expired - Fee Related JP2683613B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017767A JP2683613B2 (ja) 1990-01-30 1990-01-30 スチレン系樹脂から成る射出成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017767A JP2683613B2 (ja) 1990-01-30 1990-01-30 スチレン系樹脂から成る射出成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03223358A JPH03223358A (ja) 1991-10-02
JP2683613B2 true JP2683613B2 (ja) 1997-12-03

Family

ID=11952866

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017767A Expired - Fee Related JP2683613B2 (ja) 1990-01-30 1990-01-30 スチレン系樹脂から成る射出成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2683613B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5532380A (en) * 1992-12-18 1996-07-02 Pola Chemical Industries, Inc. R,R,S,S-2-nitroimidazole derivatives

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01261444A (ja) * 1988-04-11 1989-10-18 Asahi Chem Ind Co Ltd 光沢と耐衝撃性に優れたポリスチレン樹脂組成物
JPS63112646A (ja) * 1986-10-29 1988-05-17 Asahi Chem Ind Co Ltd 高光沢耐衝撃性ポリスチレン樹脂組成物
JP2637176B2 (ja) * 1988-07-25 1997-08-06 日本ポリスチレン工業株式会社 ゴム変性スチレン系樹脂
JP2655689B2 (ja) * 1988-07-25 1997-09-24 日本ポリスチレン工業株式会社 ゴム変性スチレン系樹脂

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03223358A (ja) 1991-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5231142A (en) Rubber-modified styrene-based resin composition
JP7199567B2 (ja) アルキルアクリレート化合物-ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体、その製造方法及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物
JP2645749B2 (ja) スチレン系樹脂組成物
US4886857A (en) Styrene based resin composition
JP2683613B2 (ja) スチレン系樹脂から成る射出成形品
JP4556503B2 (ja) 再生スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP2651491B2 (ja) 高光沢耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
JP2657287B2 (ja) スチレン系樹脂組成物
JP2645409B2 (ja) 高光沢耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
JP2683614B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP2676261B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JPH0238435A (ja) スチレン系樹脂組成物
JPH0768319B2 (ja) スチレン系樹脂
JP4159899B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法
JPH03220255A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
US3712934A (en) Weatherable,high impact,thermoplastic resin composition
JP2001089620A (ja) ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物
JP2006526682A (ja) スチレン系熱可塑性樹脂組成物
JP2866788B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP4860161B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JPH085939B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法
JPH0621199B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2564257B2 (ja) スチレン系樹脂シート
JPH0465451A (ja) スチレン系樹脂組成物
JPS6377912A (ja) モノビニル芳香族系樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees