JP2866788B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents
ゴム変性スチレン系樹脂組成物Info
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Description
組成物に関する。さらに詳しくは、高い剛性を維持し、
耐衝撃性に優れると共に、光沢度に優れ、大型成形品の
薄肉化による軽量化によってコスト削減ができるゴム変
性スチレン系樹脂組成物に関するものである。
チレン系(共)重合体は、汎用樹脂として、種々の成形
法によって様々な形状のものに成形されている。例え
ば、家電製品分野では、家電製品ハウジング、特に、テ
レビ,エアコン等の大型家電製品に広く用いられてい
る。ところが、近年、このようなテレビ,エアコン等の
大型家電製品分野では、軽量化,コスト削減等から、製
品の薄肉化が求められている。この製品の薄肉化対策と
して、成形材料には、剛性,耐衝撃性などの機械的強度
のバランスの改良が要望されている。従来、スチレン系
樹脂の耐衝撃性などの物性を改良する目的で、ゴム変性
スチレン系樹脂組成物が提案され、多くの技術が提案さ
れている。例えば、ゴム状重合体を配合し改質する技術
としては、特公昭61−11965号公報,特開平3−
277613号公報等には、粒径を小さくしたり、ある
いは特定の粒径分布のものを配合することによって、光
沢や耐衝撃性を向上させる技術が開示されている。ま
た、特開昭60−233118号公報には、スウェルイ
ンデックスを規制したゴム状重合体を配合することによ
って、耐衝撃性を向上させる技術が開示されている。さ
らに、特公昭61−11965号公報,特開昭60−2
33118号公報,特開平3−277613号公報等に
は、スチレン系(共)重合体とゴム状重合体からなる樹
脂組成物のゲル量とゴム量の比、オクルードPS量、オ
クルードPS量の形態等から、外観特性,耐衝撃性ある
いは剛性を向上させる技術が開示されている。しかしな
がら、これらの従来技術においては、いずれも、個々の
特性を向上させることができ、それなりの効果を発揮さ
れているものの、剛性,耐衝撃性,外観特性などが高い
レベルでバランスしたゴム変性スチレン系樹脂組成物は
得られていない。また、例えば、ABS樹脂のように、
優れた剛性−耐衝撃性−外観特性を有する重合体が開発
されているが、製造コストが高い欠点を有し、低コスト
でこれらの特性のバランスのとれた樹脂が要望されてい
る。
事情のもとで、高剛性を維持し、耐衝撃性に優れるとと
もに、光沢度に優れ、大型成形品の薄肉化による軽量化
によってコスト削減ができるゴム変性スチレン系樹脂組
成物を提供することを目的としてなされたものである。
るゴム変性スチレン系樹脂組成物を開発すべく鋭意研究
を重ねた結果、大きな分子量を有するスチレン系樹脂の
連続相に、特定の性質を有するゴム状重合体粒子を分散
させた組成物により、その目的を達成し得ることを見出
した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したもので
ある。すなわち、本発明は、(A)スチレン系樹脂の連
続相に、(B)スチレン系樹脂が取り込まれたオクルー
ド粒子を有するゴム状重合体粒子が分散してなるゴム変
性スチレン系樹脂組成物であって、(イ)スチレン系樹
脂の重量平均分子量(Mw)が160,000を超えて3
00,000以下であること、(ロ)ゴム状重合体粒子の
平均粒子径が0.5〜3.5μmで、かつオクルード粒子と
ゴム状重合体粒子の粒子径比が0.10〜0.50であるこ
と、(ハ)オクルード粒子の粒子径分散度が1.2〜2.5
であること、(ニ)NMRで評価されるゴム状重合体の
緩和時間(T2 )が800〜3,000μsecであるこ
と、及び(ホ)NMRで評価されるゲル部のスチレン系
樹脂/(スチレン系樹脂+ゴム状重合体)の信号比率が
52〜70%であることを特徴とするゴム変性スチレン
系樹脂組成物を提供するものである。
成物を構成する(A)成分のスチレン系樹脂としては、
芳香族モノビニル単量体の重合体、又は芳香族モノビニ
ル単量体と共重合可能な単量体との共重合体からなるも
のである。ここで、上記芳香族モノビニル芳香族単量体
としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン,α
−エチルスチレン,α−メチル−p−メチルスチレンな
どのα−アルキル置換スチレン、o−メチルスチレン,
m−メチルスチレン,p−メチルスチレン,2,4−ジ
メチルスチレン,エチルスチレン,o−t−ブチルスチ
レン,p−t−ブチルスチレンなどのアルキル置換スチ
レン、o−クロロスチレン,m−クロロスチレン,p−
クロロスチレン,ジクロロスチレン,ジブロモスチレ
ン,トリクロロスチレン,トリブロモスチレン,テトラ
クロロスチレン,2−メチル−4−クロロスチレンなど
のハロゲン化スチレン、さらにはp−ヒドロキシスチレ
ン、o−メトキシスチレン、ビニルナフタレン等が挙げ
られる。これらの中では、特に、スチレン及びα−メチ
ルスチレンが好ましく用いられる。これらの芳香族モノ
ビニル単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、また、
二種以上を組み合わせて用いてもよい。
合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル,
メタクリロニトリル,フマロニトリル,マレオニトリ
ル,α−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニルが
挙げられる。これらの中では、特に、アクリロニトリル
が好ましく用いられる。そして、これらのシアン化ビニ
ルは、それぞれ単独で用いてもよく、また、二種以上を
組み合わせて用いてもよい。さらに、前記芳香族モノビ
ニル単量体と共重合可能な単量体ととしては、例えば、
無水マレイン酸,無水コハク酸,オキシ無水マレイン
酸,無水イタコン酸,オキシ無水イタコン酸,無水シト
ラコン酸,無水フェニルマレイン酸,無水アコニット
酸,無水エチルマレイン酸,無水クロロマレイン酸など
の無水不飽和ジカルボン酸、マレイミド、N−フェニル
マレイミドなどのマレイミド、メチルメタクリレートな
どのメタクリル酸エステル、メチルアクリレートなどの
アクリル酸エステル、メタクリル酸やアクタル酸などの
不飽和モノカルボン酸などが挙げられる。これらの中で
は、特に、無水マレイン酸が好ましく用いられる。
樹脂(PS)の重量平均分子量(Mw)は、160,00
0を超えて300,000以下であること、好ましくは1
80,000〜250,000である。Mwが160,000
以下では、耐衝撃性、例えばアイゾット衝撃強度の低下
が著しい。また、300,000を超えると、流動性が低
下し、通常の成形法で成形するには適しない。
(B)成分のゴム状重合体粒子に供されるゴム状重合体
としては、特に制限はなく、各種のものを用いることが
でき、次のものが好適である。例えば、天然ゴム(N
R)あるいはポリブタジエンゴム(BR),イソプレン
ゴム(IR),クロロプレンゴム(CR),スチレン−
ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリル−ブタジ
エンゴム(NBR),アクリロニトリル−イソプレンゴ
ム(NIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。また、イ
ソブチレン−イソプロピレンゴム(IIR),エチレン
−プロピレンゴム(EPM),エチレン−プロピレン−
ジエンゴム(EPDM),クロロスルフォン化ポリエチ
レンゴム(CSM),エチレン−酢酸ビニルゴム(EV
M)等のオレフィン系ゴム、さらには種々のアクリル系
ゴム、その他有機ケイ素化合物系ゴム,有機フッ素化合
物系ゴム,ウレタン系ゴム,エーテル系ゴム等を挙げる
ことができる。これらの中では、特に好ましいものは、
ポリブタジエンである。ここで用いるポリブタジエン
は、低シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニル結
合を1〜30モル%、1,4−シス結合を30〜42モ
ル%含有するもの),高シスポリブタジエン(例えば、
1,2−ビニル結合を20モル%以下、1,4−シス結
合を78モル%以上含有するもの)のいずれを用いても
よく、また、その混合物であっても良い。
は、前記の(A)成分のスチレン系樹脂の連続相に、
(B)成分として、スチレン系樹脂が取り込まれたオク
ルード粒子を有するゴム状重合体粒子が分散してなるも
のである。ここで、上記の(A)成分のスチレン系樹脂
の連続相に、(B)成分のゴム状重合体粒子が分散して
なるゴム変性スチレン系樹脂組成物を調製する方法につ
いては、特に制限はなく、種々の手法を用いることがで
きる。例えば、(B)成分のゴム状重合体の存在下、
(A)成分のスチレン系樹脂に供される芳香族モノビニ
ル単量体、又は該芳香族モノビニル単量体と共重合可能
な単量体(コモノマー)とを重合させることによって調
製することができる。すなわち、(A)成分のスチレン
系樹脂を構成する芳香族モノビニル単量体、又は該芳香
族モノビニル単量体と共重合可能な単量体に、(B)成
分のゴム状重合体を溶解させ、その他必要に応じて連鎖
移動剤(分子量調節剤)や重合開始剤を加え、各種重合
法によって調製することができる。ここで、重合方法と
しては、特に制限はなく、例えば、乳化重合法,塊状重
合法,溶液重合法,懸濁重合法あるいは塊状−懸濁重合
法のような多段重合法などが挙げられる。これらの中で
は、連続式の塊状重合法もしくは溶液重合法が好ましく
用いられる。
れる連鎖移動剤としては、例えば、α−メチルスチレン
ダイマー,n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメ
ルカプタン,1−フェニルブテン−2−フルオレン,ジ
ペンテン,クロロホルム等のメルカプタン類、テルペン
類、ハロゲン化合物などが挙げられる。また、必要に応
じて用いられる重合開始剤としては、例えば、1,1−
ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;1,1
−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサンなどのペルオキシケタール類、ジク
ミルペルオキシド,ジ−t−ブチルペルオキシド,2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘ
キサンなどのジアルキルペルオキシド類、ベンゾイルペ
ルオキシド,m−トルオイルペルオキシドなどのジアリ
ールペルオキシド類、ジミリスチルペルオキシドジカー
ボネートなどのペルオキシジカーボネート類、t−ブチ
ルペルオキシイソプロピルカーボネートなどのペルオキ
シエステル類、シクロヘキサノンペルオキシドなどのケ
トンペルオキシド類、p−メンタンハイドロペルオキシ
ドなどのハイドロペルオキシド類などの有機過酸化物な
どが挙げられる。
得るには、例えば、塊状重合法による場合、先ず、
(A)成分のスチレン系樹脂の製造原料である芳香族モ
ノビニル単量体、又は該芳香族モノビニル単量体と共重
合可能な単量体に、(B)成分のゴム状重合体を溶解
し、必要に応じて連鎖移動剤や重合開始剤を添加して重
合する。そして、重合開始剤として、有機過酸化物を用
いるときには、その分解温度に応じて、例えば、20〜
200℃で重合を開始する。また、有機過酸化物を用い
ないときには、例えば、50〜250℃に加熱し、塊状
重合を行う。この塊状重合にあたっては、一般的な酸化
防止剤,溶剤,ミネラルオイル,シリコーンオイルある
いは離型剤等を適宜添加することもできる。この塊状重
合法で行う場合には、最終的には未反応の単量体が、3
0重量%以下になるまで重合を進める。その後、未反応
の単量体を公知の方法、例えば、加熱下で減圧除去した
り、あるいは揮発分の除去を目的に設計された押出機な
どによって除去される。
部分的に重合した混合物を、懸濁安定剤又は、これと界
面活性剤を併用した水性媒体中に、攪拌させながら分散
させ、懸濁重合によって反応を完結させる。得られた懸
濁ポリマー粒子を含んだスラリーを脱水、洗浄、乾燥、
造粒することによってゴム変性スチレン系樹脂組成物を
得ることができる。この場合、重合器を数段設け、連続
的に行うと効率よく製造することができる。例えば、ス
チレンにゴム状重合体(例えば、ポリブタジエン)と、
必要に応じて前記の重合開始剤や連鎖移動剤を溶解し、
第一重合器に供給し、通常80〜130℃の温度範囲で
十分に攪拌して部分重合する。次いで、この部分重合液
を第二重合器に供給し、通常90〜150℃の温度範囲
で十分に攪拌して部分重合する。さらに、この部分重合
液を第三重合器,第四重合器,第五重合器と所望段の重
合器に供給し、適宜の温度範囲で十分に攪拌し、多段で
連続的に重合することができる。この際、前記の重合開
始剤や連鎖移動剤は、必要に応じて、任意の段階で重合
器に添加することができる。そして、各重合器での重合
転化率は、重合温度,重合時間あるいは攪拌速度等によ
って変わるが、重合の初期から最終重合器へと進行する
につれて上昇し、最終重合器においては、70重量%以
上になることが望ましい。例えば、上記5段重合での一
例としては、それぞれ8%,25%,45%,65%,
85%の実績が得られている。得られた重合反応液は、
脱揮工程を経て、揮発分である未反応の単量体を除去し
てから、ペレット化され、成形に供することができる。
このようにして調製されるゴム変性スチレン系樹脂組成
物において、成分(A)及び成分(B)の組成割合は、
所望される成形品によって適宜選定すればよい。
は、(A)成分のスチレン系樹脂の連続相に、(B)成
分として、スチレン系樹脂が取り込まれたオクルード粒
子を有するゴム状重合体粒子が分散してなるものであ
る。図1は、該(B)成分のゴム状重合体粒子の模式図
であって、図中、1はオクルード粒子を示す。このオク
ルード粒子1は、スチレン系樹脂が、ゴム状重合体2に
よって取り込まれ、粒状に形成されたものである。この
ように粒状に形成されたオクルード粒子1は、その2個
以上が集合し、ゴム状重合体2によって囲繞されて、ゴ
ム状重合体粒子3として形成される。このゴム状重合体
粒子3は、(A)成分のスチレン系樹脂の連続相4中に
分散し、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物が得ら
れる。このゴム状重合体粒子の平均粒子径(dsRUB )
は、0.5〜3.5μm、好ましくは0.7〜1.6μmであ
る。ゴム状重合体粒子の平均粒子径が0.5μm未満で
は、耐衝撃性の低下が著しい。また、3.5μmを超える
と、成形品の外観特性(光沢の低下など)が劣り好まし
くない。そして、オクルード粒子とゴム状重合体粒子の
粒子径比(dsOCC / dsRUB ) は0.10〜0.50、好まし
くは0.15〜0.35である。この粒子径比が0.10未満
では、また0.50を超えると、耐衝撃性が不十分となり
好ましくない。また、オクルード粒子の粒子径分散度
(dsOCC / dnOCC ) は1.2〜2.5、好ましくは1.2〜1.
5、特に好ましくは1.2〜1.3である。このオクルード
粒子の粒子径分散度は1.2未満にすることは困難で、ま
た、2.5を超えると、耐衝撃性が不十分となる。なお、
dsRUB ,dsOCC 及びdnOCC は、それぞれ後述の方法によ
り求められるゴム状重合体粒子の面積平均径,オクルー
ド粒子の面積平均粒径及びその数平均粒径のことであ
る。
評価されるゴム状重合体の緩和時間(T2 )(測定方法
は後述)は、800〜3,000μsec、好ましくは1,
200〜3,000μsecの範囲である。この緩和時間
(T2 )が800μsec未満では、耐衝撃性が不十分
であり、また3,000μsecを超える樹脂組成物は通
常得られにくい。さらに、NMRで評価されるゲル部の
「スチレン系樹脂/(スチレン系樹脂+ゴム状重合体」
〔以下、PS/(PS+RB)と略す。〕の信号比率
(測定方法は後述)は52〜70%、好ましくは55〜
70%である。この信号比率が52%未満では、耐衝撃
性が不十分であり、また、70%を超える樹脂組成物は
得られにくい。
ル量(測定方法は後述)が5〜50重量%、ゲル部のス
ウェルインデックス(SI)(測定方法は後述)が8〜
20であり、かつゴム状重合体粒子の粒子径分散度(ds
RUB /dnRUB )が1.1〜2.5、好ましくは1.1〜1.5、
さらに好ましくは1.1〜1.2の範囲にある。該ゲル量が
5重量%未満では、耐衝撃性が著しく低いし、50重量
%を超えると、剛性が著しく低下する。そして、ゲル部
のSIが8未満では、耐衝撃性が著しく低く、また20
を超える組成物は得られにくい。さらに、ゴム状重合体
粒子の粒子径分散度が2.5を超えると、耐衝撃性が低下
し、かつ外観不良が生じ易く、また1.1未満の組成物は
得られにくい。なお、dsRUB 及びdnRUB は、それぞれ後
述の方法により求められるゴム状重合体粒子の面積平均
径及び数平均径のことである。
は、所望に応じ、通常用いられている種々の添加剤、例
えば、ステアリン酸,ベヘニン酸,ステアリン酸亜鉛,
ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム,
エチレンビスステアロアミドなどの滑剤や、有機ポリシ
ロキサン、ミネラルオイル、あるいは2,6−ジ−t−
ブチル−4−メチルフェノール、ステアリル−β−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート,トリエチレングリコール−ビス−3−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロピオネートなどのヒンダードフェノール系やト
リ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイトあどのリン
系の酸化防止剤,その他紫外線吸収剤,難燃剤,帯電防
止剤,離型剤,可塑剤,染料,顔料,各種充填剤などの
添加剤などを添加することができる。また、他の合成樹
脂やエラストマー等を配合することができる。他の合成
樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル,ポリカーボネ
ート,ポリメチルメタクリレート,ポリエステル,ポリ
アミド,ポリオレフィン,ポリフェニレンエーテル等が
挙げられる。また、エラストマーとしては、例えば、イ
ソブチレン−イソプロピレンゴム,スチレン−ブタジエ
ンゴム,スチレン−アクリロニトリルゴム,アクリロニ
トリル−スチレン−ブタジエンゴム,エチレン−プロピ
レンゴム,アクリル系エラストマー等が挙げられる。
しく説明する。 実施例1 スチレンに10重量%のポリブタジエンゴム〔宇部興産
(株)製,BR15HB〕、0.025重量%の重合開始
剤(1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−
トリメチルシクロヘキサン)及び0.02重量%の連鎖移
動剤(n−ドデシルメルカプタン)を溶解し、34リッ
トル/時間の速度で容積19リットルの第一重合器に供
給し、115℃,120rpmで攪拌し重合した。次い
で、この部分重合液を容積23リットルの第二重合器に
供給し、125℃,200rpmで攪拌し重合した。更
に、この部分重合液を連続的に容積37リットルの第
三,第四,第五重合器に供給し、それぞれの温度133
℃,143℃,161℃で45rpm,20rpm,5
rpmで攪拌しながら重合を行った。各段における重合
転化率は、それぞれ8%,25%,45%,65%,8
5%であった。得られた重合反応液を第一フラッシュド
ラム(温度200℃,圧力0.053MPa)、第二フラ
ッシュドラム(温度240℃,圧力0.67kPa)の脱
揮工程を経て、揮発分を除去し、ペレット化した。
移動剤をそれぞれ0.02重量%添加した以外は、実施例
1と同様に実施した。
(株)製,ポリブタジエンゴム〕とNF35AS〔旭化
成工業(株)製,ポリブタジエンゴム〕を2/8の割合
でブレンドしたものを9重量%とし、供給量を24リッ
トル/時間とし、第一重合器の温度を110℃、第二重
合器を120℃,50rpm、第三重合器に重合開始剤
を0.02重量%添加して、第三重合器,第四重合器及び
第五重合器の温度をそれぞれ123℃,135℃,15
5℃とし、第二フラッシュドラムの温度を235℃とし
た以外は、実施例1と同様に実施した。 実施例4 実施例1において、ゴム量を11重量%及び第二重合器
の回転数を300rpmとした以外は、実施例1と同様
に実施した。
を0.015重量%、第一重合器の温度を120℃、第二
重合器の温度を130℃,100rpm、第三重合器の
温度を135℃及び第二フラッシュドラムの温度を23
5℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。 実施例6 実施例1において、重合開始剤量を0.03重量%、第一
重合器の温度を111℃、第二重合器の温度を122
℃,150rpm、第三重合器の温度を132℃とした
以外は、実施例1と同様に実施した。
重合器の温度を110℃、第二重合器の温度を120
℃,150rpm、第三重合器に連鎖移動剤を0.04重
量%添加し、第三重合器,第四重合器及び第五重合器の
温度をそれぞれ128℃,138℃,155℃とした以
外は、実施例1と同様に実施した。
第一重合器の温度を113℃、第二重合器の温度を12
3℃,175rpm及び第二フラッシュドラムの温度を
250℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。
度を130℃,転化率30%,175rpm、第三重合
器の温度を131℃、及び第二フラッシュドラムの温度
を230℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。
を0.01重量%,連鎖移動剤量を0.01重量%、第一重
合器の温度を125℃、第二重合器の温度を135℃,
250rpm、第三重合器の温度を137℃とした以外
は、実施例1と同様に実施した。
重合器及び第四重合器の連鎖移動剤量をそれぞれ0.04
5重量%,0.02重量%とした以外は、実施例1と同様
に実施した。 比較例2 実施例1において、ゴム量を9重量%、供給量を17リ
ットル/時間、第一重合器の温度を105℃、第二重合
器の温度を115℃,150rpm、第三重合器,第四
重合器及び第五重合器の温度をそれぞれ122℃,13
0℃,145℃とした以外は、実施例1と同様に実施し
た。 比較例3 実施例1において、重合開始剤量を0.03重量%、第一
重合器の温度を111℃、第二重合器の温度を122
℃,350rpm、第三重合器の連鎖移動剤量を0.02
重量%とした以外は、実施例1と同様に実施した。 比較例4 実施例1において、ゴム量を7.5重量%、第二重合器の
回転数を50rpmとした以外は、実施例1と同様に実
施した。
を0.01重量%、第一重合器の温度を125℃、第二重
合器の温度を135℃,350rpm及び第三重合器の
温度を137℃とした以外は、実施例1と同様に実施し
た。 比較例6 実施例1において、重合開始剤量を0.04重量%、連鎖
移動剤量を0.01重量%、第一重合器の温度を105
℃、第二重合器の温度を117℃,100rpm及び第
三重合器の温度を130℃,連鎖移動剤量を0.01重量
%とした以外は、実施例1と同様に実施した。 比較例7 実施例1において、ゴム量を11重量%、第二重合器の
温度を130℃,150rpm,転化率30%及び第三
重合器の温度を131℃とした以外は、実施例1と同様
に実施した。
ュドラムの温度を260℃とした以外は、実施例1と同
様に実施した。 比較例9 実施例1において、ゴム量を11重量%、重合開始剤量
を0重量%、連鎖移動剤量を0.03重量%、第一重合器
の温度を130℃、第二重合器の温度を140℃,25
0rpm及び第三重合器の温度を142℃とした以外
は、実施例1と同様に実施した。各実施例及び比較例で
得られたゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物の各物性を
測定した結果を第1表に示す。
スゴムを、又、Lはローシスゴムを示し、各物性及びそ
の測定は、次の通りである。 (1) ゲル部の分離法 樹脂組成物(重量=Wr)をトルエン中に1.33%(重
量/体積)の割合で加え、18時間攪拌、溶解した後、
遠心分離器にて遠心加速度30,000×gで、20℃,
20分間遠心分離し、その上澄み液をデカンテーション
する。得られた上澄み液は、PSの分子量測定に用い
る。一方、分離した膨潤ゲルにトルエンを等量加え、よ
く攪拌し、再び同様の方法で遠心分離し、その上澄み液
をデカンテーションし、膨潤ゲル(重量=Ww)を得
る。このゲル部を窒素シール下室温で、2時間乾燥後、
60℃,4時間真空乾燥し、乾燥ゲル(重量=Wd)を
得る。 (2) スチレン系樹脂成分(PS部)の重量平均分子量M
w 上記(1)のゲル部の分離法で得られた上澄み液を風乾
後、60℃で5時間真空乾燥して得られたフィルムを試
料とする。この試料をテトラヒドロフラン(THF)に
0.2%(重量/体積)で溶解し、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)にて測定する。カラム
は、TSK GEL GMH6を、検出器には、RI検
出器(ウオーターズ 410)を用い、カラム温度40
℃,注入量200μl、流量1.0ミリリットル/分の条
件で、GPC法により重量平均分子量Mwを求める。こ
のようにして求めた重量平均分子量Mwをスチレン系樹
脂成分(PS部)の重量平均分子量Mwとする。
RUB )及びゴム状重合体粒子の粒子径分散度(dsRUB /
dnRUB ) 樹脂組成物を四酸化オスミウムで染色し、超薄切片法に
基づきウルトラミクロトームにより切片の厚さ0.1μm
の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用
いて、超薄切片における粒子形態を示すTEM写真を撮
影する。得られたTEM写真に撮影されているそれぞれ
のゴム状重合体粒子において、直径0.02μm以上の大
きさの粒子について、その直径を測定し、次式によりゴ
ム状重合体粒子の面積平均径dsRUB 、ゴム状重合体粒子
の面積平均径と数平均径の比dsRUB /dnRUB を求め、そ
れぞれゴム状重合体粒子の平均粒子径、ゴム状重合体粒
子の粒子径分散度とする。
均径)は、次式
diRUBのゴム状重合体粒子の個数である。なお、ゴム状
重合体粒子の直径は、ゴム状重合体粒子の最大長(最大
長とはTEM写真上の任意のゴム状重合体粒子内におけ
る任意の2点間の距離のうちで最大の長さのことであ
る。)とし、測定するゴム状重合体粒子の個数NRUB 、
すなわちΣniRUBは3,000個以上とする。
粒子径比(dsOCC /dsRUB ) 及びオクルード粒子の粒子
径分散度(dsOCC /dnOCC ) 上記と同様の方法で超薄切片を作成し、透過型電子顕微
鏡(TEM)写真を撮影し、撮影領域が11.5μm×1
6.0μmで、倍率が25,000倍以上であるTEM写真
を20枚準備する。各TEM写真から、ゴム状重合体粒
子の直径が大きいものから順に10個のゴム状重合体粒
子を選び、20枚の写真から計200個のゴム状重合体
粒子を選択する。選択したゴム状重合体粒子内部に含ま
れるオクルード粒子のうち、直径が0.04μm以上のも
のは、マトリックス部(ゴム状重合体粒子の外側のスチ
レン系樹脂部分)と色調が同等であるものを計測の対象
とし、直径が0.04μm以下のものは、マトリックス部
と色調が異なるものも全て計測の対象とする。次式によ
り、オクルード粒子の面積平均粒径及び数平均粒径を求
める。
ード粒子の個数である。なお、オクルード粒子の直径
は、オクルード粒子の最大長(最大長とはTEM写真上
の任意のオクルード粒子内における任意の2点間の距離
のうちで最大の長さのことである。)とする。但し、最
大長が0.04μm以下のオクルード粒子の直径は、一律
0.03μmとして計算する。上式によるオクルード粒子
の面積平均径(dsOCC )とオクルード粒子の数平均径
(dnOCC )、及び前述の方法で求めたゴム状重合体粒子
の面積平均径(dsRUB)を用いて次式によりオクルード
粒子とゴム状重合体粒子の粒子径比(dsOCC /dsRUB )
とする。
OCC )と数平均粒径(dnOCC ) を用いて、次式によりオ
クルード粒子の粒子径分散度(dsOCC /dnOCC )とす
る。
I) 前記のゲル部の分離法で秤量した、該樹脂組成物の重量
Wr、膨潤ゲルの重量Ww、乾燥ゲルの重量Wdを用い
て、次式より求めた。 ゲル量(%)=(Wd/Wr)×100 SI(−)=Ww/Wd (6) ゴム状重合体の緩和時間(T2) パルスNMR装置を用い、水素核を測定核とし、測定周
波数90MHz,90°パルス幅1.5〜2.0μsec の条
件で、温度30℃におけるハーンエコー法(Hahn Echo
Method, 90°−τ−180°パルス法)により、該樹
脂組成物における緩和時間T2 を求め、これをゴム状重
合体又はゴム部の緩和時間T2 とする。このとき該樹脂
組成物に配向がある場合は、150℃で10〜15分間
熱処理したものを評価試料として用いる。 (7) ゲル部のスチレン系樹脂/(スチレン系樹脂+ゴム
状重合体)信号比率〔PS/(PS+RB)信号比率〕 前記のゲル部の分離法で分離した膨潤ゲルを窒素シール
下で乾燥後、真空乾燥したものを、分離後20時間以内
に試料として用いる。前記のパルスNMR装置を用いて
30℃におけるソリッドエコーパルス(90°x −τ−
90°y パルス)後のゲル試料の信号(Free Induction
Decay, FID)を測定し、その解析から信号比を求めた。
30℃におけるPSのT2 は、約10〜15μsec 、ゴ
ム状重合体のT2 は、数100μsec 以上と大きな差が
あるため、両者のFIDは容易に分離でき、信号比率は
精度よく決定することができる。 (8) メルトインデックス(MI) ISO R−1133に準拠して測定した。
変性スチレン系樹脂組成物については、品質評価とし
て、曲げ弾性率,アイゾット衝撃強度及び光沢度を測定
した。その結果を第2表に示す。
び光沢度の測定は、次に従った。但し、測定は、温度2
3℃,相対湿度50%の雰囲気下で実施した。 (1) :曲げ弾性率 JIS−K−7203に準拠して測定した。 (2) :アイゾット衝撃強度(ノッチ付き) JIS−K−7110に準拠して測定した。 2号試験片にA切欠き(先端半径=0.25±0.025mm)を有する ものを用いた。 (3) :光沢度 JIS−K−7105に準拠して測定した。
わち、実施例1は、PS部の重量平均分子量Mw、ゴム
状重合体粒子の平均粒子径dsRUB などのすべての構造
因子が請求範囲内に入っており、高い曲げ弾性率とアイ
ゾット衝撃強度のバランスと優れた光沢度を有してい
る。実施例2では、PS部の重量平均分子量Mwが請求
範囲の下限(16万)付近であるが、高い物性バランス
を示す。実施例3では、PS部の重量平均分子量Mw、
ゴム状重合体粒子の平均粒子径dsRUB 、PS/(PS
+RB)信号比率が請求範囲の上限付近であるが、同様
に優れた物性を有する。実施例4では、ゴム状重合体粒
子の平均粒子径dsRUB が請求範囲の下限付近、実施例
5及び6では、それぞれオクルード粒子とゴム状重合体
粒子の粒子径比dsOCC /dsRUB が請求範囲の下限と
上限付近、実施例7では、オクルード粒子の粒子径分散
度ds OCC /dnOCC が請求範囲の上限付近であり、実
施例8及び9では、ゴム状重合体の緩和時間T2 を変化
させたものであり、また実施例10では、PS/(PS
+RB)信号比率が請求範囲の下限付近であるが、いず
れの場合にも優れた曲げ弾性率とアイゾット衝撃強度の
バランスと光沢度を有している。一方、比較例1では、
PS部の重量平均分子量Mwが小さいため、流動性(M
I)は高いものの、曲げ弾性率とアイゾット衝撃強度の
バランスが低く、実用に適さない。比較例2では、PS
部の重量平均分子量Mwが大きいため、曲げ弾性率とア
イゾット衝撃強度のバランスは高いが、流動性(MI)
が極端に低く、通常の成形が困難である。比較例3で
は、ゴム状重合体粒子の平均粒子径dsRUBが小さく、
光沢度は高いが、アイゾット衝撃強度は低く実用的でな
い。比較例4は、ゴム状重合体粒子の平均粒子径ds
RUB が大きいため、光沢度,外観が劣り、曲げ弾性率も
低い。比較例5及び6では、オクルード粒子とゴム状重
合体粒子の平均粒子径dsOCC /dsRUB が、比較例7
では、オクルード粒子の粒子径分散度dsOCC /dn
OCC が、比較例8と9では、それぞれゴム状重合体の緩
和時間T2 とPS/(PS+RB)信号比率が請求範囲
外で、これらは特に優れたバランスを示さない。
系樹脂組成物は、高い剛性を維持し、耐衝撃強度が優れ
るとともに、光沢度に優れたものである。したがって、
該ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、各種の成形品、特
に、テレビ,エアコン等の大型家電製品のハウジングな
どに好適に用いられる。
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 (A)スチレン系樹脂の連続相に、
(B)スチレン系樹脂が取り込まれたオクルード粒子を
有するゴム状重合体粒子が分散してなるゴム変性スチレ
ン系樹脂組成物であって、(イ)スチレン系樹脂の重量
平均分子量(Mw)が160,000を超えて300,00
0以下であること、(ロ)ゴム状重合体粒子の平均粒子
径が0.5〜3.5μmで、かつオクルード粒子とゴム状重
合体粒子の粒子径比が0.10〜0.50であること、
(ハ)オクルード粒子の粒子径分散度が1.2〜2.5であ
ること、(ニ)NMRで評価されるゴム状重合体の緩和
時間(T2 )が800〜3,000μsecであること、
及び(ホ)NMRで評価されるゲル部のスチレン系樹脂
/(スチレン系樹脂+ゴム状重合体)の信号比率が52
〜70%であることを特徴とするゴム変性スチレン系樹
脂組成物。 - 【請求項2】 ゲル量が5〜50%、ゲル部のスウェル
インデックス(SI)が8〜20及びゴム状重合体粒子
の粒子径分散度が1.1〜2.5である請求項1記載のゴム
変性スチレン系樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23647293A JP2866788B2 (ja) | 1993-09-22 | 1993-09-22 | ゴム変性スチレン系樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23647293A JP2866788B2 (ja) | 1993-09-22 | 1993-09-22 | ゴム変性スチレン系樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0790158A JPH0790158A (ja) | 1995-04-04 |
JP2866788B2 true JP2866788B2 (ja) | 1999-03-08 |
Family
ID=17001251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP23647293A Expired - Lifetime JP2866788B2 (ja) | 1993-09-22 | 1993-09-22 | ゴム変性スチレン系樹脂組成物 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
JP4493506B2 (ja) * | 2005-01-06 | 2010-06-30 | 日信工業株式会社 | リップ状シール部材及び該リップ状シール部材を用いた車両用液圧マスタシリンダ |
JP7001424B2 (ja) * | 2017-10-23 | 2022-01-19 | Psジャパン株式会社 | ゴム変性スチレン系樹脂組成物及びその成形品 |
-
1993
- 1993-09-22 JP JP23647293A patent/JP2866788B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH0790158A (ja) | 1995-04-04 |
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