JP2859107B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物

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JP2859107B2 JP23647393A JP23647393A JP2859107B2 JP 2859107 B2 JP2859107 B2 JP 2859107B2 JP 23647393 A JP23647393 A JP 23647393A JP 23647393 A JP23647393 A JP 23647393A JP 2859107 B2 JP2859107 B2 JP 2859107B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴム変性スチレン系樹脂
組成物に関する。さらに詳しくは、高い剛性を維持する
とともに、耐衝撃性及び光沢度に優れ、かつ流動性が良
好で、低圧成形を可能にし、小型成形機で大型成形品を
成形することができ、さらに複雑な形状に対しても容易
に成形することができるゴム変性スチレン系樹脂組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種重合法によって製造されるス
チレン系(共)重合体は、汎用樹脂として、種々の成形
法によって様々な形状のものに成形されている。例え
ば、家電製品分野では、家電製品ハウジング、特に、テ
レビ,エアコン等の大型家電製品に広く用いられてい
る。ところが、近年、このようなテレビ,エアコン等の
大型家電製品分野では、軽量化,コスト削減等から、製
品の薄肉化が求められている。この製品の薄肉化対策と
して、成形材料には、剛性,耐衝撃性などの機械的強度
のバランスの改良が要望されている。また、同時に、低
圧成形が可能で、小型成形機を用いて大型成形品を得る
ことができ、成形加工費の低減によるコスト低減のため
に、流動性の改良も強く要望されている。従来、スチレ
ン系樹脂の耐衝撃性などの物性を改良する目的で、ゴム
変性スチレン系樹脂組成物が提案され、多くの技術が開
示されている。例えば、ゴム状重合体を配合し改質する
技術としては、特公昭61−11965号公報,特開平
3−277613号公報等には、粒径を小さくしたり、
あるいは特定の粒径分布のものを配合することによっ
て、光沢や耐衝撃性を向上させる技術が開示されてい
る。また、特開昭60−233118号公報には、スウ
ェルインデックスを規制したゴム状重合体を配合するこ
とによって、耐衝撃性を向上させる技術が開示されてい
る。さらに、特公昭61−11965号公報,特開昭6
0−233118号公報,特開平3−277613号公
報等には、スチレン系(共)重合体とゴム状重合体から
なる樹脂組成物のゲル量とゴム量の比、オクルードスチ
レン系樹脂量、オクルードスチレン系樹脂の形態等か
ら、外観特性,耐衝撃性あるいは剛性を向上させる技術
が開示されている。しかしながら、これらの従来技術に
おいては、いずれも個々の特性を向上させることがで
き、それなりの効果が発揮されているものの、剛性,耐
衝撃性,流動性,外観特性などが高いレベルでバランス
したゴム変性スチレン系樹脂組成物は得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、高い剛性を維持するとともに、耐衝撃性
及び光沢に優れ、かつ流動性が良好で、低圧成形を可能
にし、小型成形機で大型成形品を成形することができ、
さらに複雑な形状に対しても容易に成形することができ
るゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供することを目的
としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の好
ましい性質を有するゴム変性スチレン系樹脂組成物を開
発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の分子量と分子量
分布を有するスチレン系樹脂の連続相に、特定の性状を
有するゴム状重合体粒子を分散させた組成物により、そ
の目的を達成し得るとを見出した。本発明は、かかる知
見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明
は、(A)スチレン系樹脂の連続相に、(B)スチレン
系樹脂が取り込まれたオクルード粒子を有するゴム状重
合体粒子が分散してなるゴム変性スチレン系樹脂組成物
であって、(イ)スチレン系樹脂の重量平均分子量(M
w)が100,000〜160,000で、かつ重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/M
n)が2.0〜2.7であること、(ロ)ゴム状重合体粒子
の平均粒子径が0.5〜3.0μmで、かつオクルード粒子
とゴム状重合体粒子の粒子径比が0.15〜0.50である
こと、(ハ)オクルード粒子の粒子径分散度が1.2〜2.
4であること、(ニ)NMRで評価されるゴム状重合体
の緩和時間(T2 )が1,200〜3,000μsecであ
ること、及び(ホ)NMRで評価されるゲル部のスチレ
ン系樹脂/(スチレン系樹脂+ゴム状重合体)の信号比
率が52〜70%であることを特徴とするゴム変性スチ
レン系樹脂組成物を提供するものである。
【0005】先ず、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組
成物を構成する(A)成分のスチレン系樹脂としては、
芳香族モノビニル単量体の重合体、又は芳香族モノビニ
ル単量体と共重合可能な単量体との共重合体が挙げられ
る。ここで、上記芳香族モノビニル単量体としては、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン,α−エチルスチ
レン,α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アル
キル置換スチレン、o−メチルスチレン,m−メチルス
チレン,p−メチルスチレン,2,4−ジメチルスチレ
ン,エチルスチレン,o−tert−ブチルスチレン,p−
tert−ブチルスチレンなどのアルキル置換スチレン、o
−クロロスチレン,m−クロロスチレン,p−クロロス
チレン,ジクロロスチレン,ジブロモスチレン,トリク
ロロスチレン,トリブロモスチレン,テトラクロロスチ
レン,2−メチル−4−クロロスチレンなどのハロゲン
化スチレン、さらにはp−ヒドロキシスチレン、o−メ
トキシスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。こ
れらの中では、特に、スチレン及びα−メチルスチレン
が好ましく用いられる。これらの芳香族モノビニル単量
体は、それぞれ単独で用いてもよく、また、二種以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0006】また、前記芳香族モノビニル単量体と共重
合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル,
メタクリロニトリル,フマロニトリル,マレオニトリ
ル,α−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニルが
挙げられる。これらの中では、特に、アクリロニトリル
が好ましく用いられる。そして、これらのシアン化ビニ
ルは、それぞれ単独で用いてもよく、また、二種以上を
組み合わせて用いてもよい。さらに、前記芳香族モノビ
ニル単量体と共重合可能な単量体ととしては、例えば、
無水マレイン酸,無水コハク酸,オキシ無水マレイン
酸,無水イタコン酸,オキシ無水イタコン酸,無水シト
ラコン酸,無水フェニルマレイン酸,無水アコニット
酸,無水エチルマレイン酸,無水クロロマレイン酸など
の無水不飽和ジカルボン酸、マレイミド、N−フェニル
マレイミドなどのマレイミド、メチルメタクリレートな
どのメタクリル酸エステル、メチルアクリレートなどの
アクリル酸エステル、メタクリル酸やアクタル酸などの
不飽和モノカルボン酸などが挙げられる。これらの中で
は、特に、無水マレイン酸が好ましく用いられる。
【0007】本発明において、(A)成分のスチレン系
樹脂(PS)の重量平均分子量(Mw)は、100,00
0〜160,000、好ましくは120,000〜160,0
00である。Mwが100,000未満では、耐衝撃強度
の低下が著しい。また、160,000を超えると、高い
流動性が達成できず好ましくない。かつ、該重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/M
n)が2.0〜2.7、好ましくは2.0〜2.5である。この
比が2.0未満のPSは得ることが困難であり、また、2.
7を超えると、耐衝撃強度が低下するので好ましくな
い。
【0008】次に、本発明の樹脂組成物を構成する
(B)成分のゴム状重合体粒子に供されるゴム状重合体
としては、特に制限はなく、各種のものを用いることが
できるが、次のものが好適である。例えば、天然ゴム
(NR)あるいはポリブタジエンゴム(BR),イソプ
レンゴム(IR),クロロプレンゴム(CR),スチレ
ン−ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリル−ブ
タジエンゴム(NBR),アクリロニトリル−イソプレ
ンゴム(NIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ま
た、イソブチレン−イソプロピレンゴム(IIR),エ
チレン−プロピレンゴム(EPM),エチレン−プロピ
レン−ジエンゴム(EPDM),クロロスルフォン化ポ
リエチレンゴム(CSM),エチレン−酢酸ビニルゴム
(EVM)等のオレフィン系ゴム、さらには種々のアク
リル系ゴム、その他有機ケイ素化合物系ゴム,有機フッ
素化合物系ゴム,ウレタン系ゴム,エーテル系ゴム等を
挙げることができる。これらの中では、特に好ましいも
のは、ポリブタジエンである。ここで用いるポリブタジ
エンは、低シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニ
ル結合を1〜30モル%、1,4−シス結合を30〜4
2モル%含有するもの),高シスポリブタジエン(例え
ば、1,2−ビニル結合を20モル%以下、1,4−シ
ス結合を78モル%以上含有するもの)のいずれを用い
てもよく、また、その混合物であっても良い。
【0009】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物
は、前記の(A)成分のスチレン系樹脂の連続相に、
(B)成分として、スチレン系樹脂が取り込まれたオク
ルード粒子を有するゴム状重合体粒子が分散してなるも
のである。ここで、上記の(A)成分のスチレン系樹脂
の連続相に、(B)成分のゴム状重合体粒子が分散して
なるゴム変性スチレン系樹脂組成物を調製する方法につ
いては、特に制限はなく、種々の手法を用いることがで
きる。例えば、(B)成分のゴム状重合体の存在下、
(A)成分のスチレン系樹脂に供される芳香族モノビニ
ル単量体、又は該芳香族モノビニル単量体と共重合可能
な単量体(コモノマー)とを重合させることによって調
製することができる。すなわち、(A)成分のスチレン
系樹脂を構成する芳香族モノビニル単量体、又は該芳香
族モノビニル単量体と共重合可能な単量体に、(B)成
分のゴム状重合体を溶解させ、その他必要に応じて連鎖
移動剤(分子量調節剤)や重合開始剤を加え、各種重合
法によって調製することができる。ここで、重合方法と
しては、特に制限はなく、例えば、乳化重合法,塊状重
合法,溶液重合法,懸濁重合法あるいは塊状−懸濁重合
法のような多段重合法などが挙げられる。これらの中で
は、連続式の塊状重合法もしくは溶液重合法が好ましく
用いられる。
【0010】前記重合法において、必要に応じて用いら
れる連鎖移動剤としては、例えば、α−メチルスチレン
ダイマー,n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメ
ルカプタン,1−フェニルブテン−2−フルオレン,ジ
ペンテン,クロロホルム等のメルカプタン類、テルペン
類、ハロゲン化合物などが挙げられる。また、必要に応
じて用いられる重合開始剤としては、例えば、1,1−
ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;1,1
−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサンなどのペルオキシケタール類、ジク
ミルペルオキシド,ジ−t−ブチルペルオキシド,2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘ
キサンなどのジアルキルペルオキシド類、ベンゾイルペ
ルオキシド,m−トルオイルペルオキシドなどのジアリ
ールペルオキシド類、ジミリスチルペルオキシドジカー
ボネートなどのペルオキシジカーボネート類、t−ブチ
ルペルオキシイソプロピルカーボネートなどのペルオキ
シエステル類、シクロヘキサノンペルオキシドなどのケ
トンペルオキシド類、p−メンタンハイドロペルオキシ
ドなどのハイドロペルオキシド類などの有機過酸化物な
どが挙げられる。
【0011】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物を
得るには、例えば、塊状重合法による場合、先ず、
(A)成分のスチレン系樹脂の製造原料である芳香族モ
ノビニル単量体、又は該芳香族モノビニル単量体と共重
合可能な単量体に、(B)成分のゴム状重合体を溶解
し、必要に応じて連鎖移動剤や重合開始剤を添加して重
合する。そして、重合開始剤として、有機過酸化物を用
いるときには、その分解温度に応じて、例えば、20〜
200℃で重合を開始する。また、有機過酸化物を用い
ないときには、例えば、50〜250℃に加熱し、塊状
重合を行う。この塊状重合にあたっては、一般的な酸化
防止剤,溶剤,ミネラルオイル,シリコーンオイルある
いは離型剤等を適宜添加することもできる。この塊状重
合法で行う場合には、最終的には未反応の単量体が、3
0重量%以下になるまで重合を進める。その後、未反応
の単量体を公知の方法、例えば、加熱下で減圧除去した
り、あるいは揮発分の除去を目的に設計された押出機な
どによって除去される。
【0012】また、塊状−懸濁重合法で行う場合には、
部分的に重合した混合物を、懸濁安定剤又は、これと界
面活性剤を併用した水性媒体中に、攪拌させながら分散
させ、懸濁重合によって反応を完結させる。得られた懸
濁ポリマー粒子を含んだスラリーを脱水、洗浄、乾燥、
造粒することによってゴム変性スチレン系樹脂組成物を
得ることができる。この場合、重合器を数段設け、連続
的に行うと効率よく製造することができる。例えば、ス
チレンにゴム状重合体(例えば、ポリブタジエン)と、
必要に応じて前記の重合開始剤や連鎖移動剤を溶解し、
第一重合器に供給し、通常80〜130℃の温度範囲で
十分に攪拌して部分重合する。次いで、この部分重合液
を第二重合器に供給し、通常90〜150℃の温度範囲
で十分に攪拌して部分重合する。さらに、この部分重合
液を第三重合器,第四重合器,第五重合器と所望段の重
合器に供給し、適宜の温度範囲で十分に攪拌し、多段で
連続的に重合することができる。この際、前記の重合開
始剤や連鎖移動剤は、必要に応じて、任意の段階で重合
器に添加することができる。そして、各重合器での重合
転化率は、重合温度,重合時間あるいは攪拌速度等によ
って変わるが、重合の初期から最終重合器へと進行する
につれて上昇し、最終重合器においては、70重量%以
上になることが望ましい。例えば、上記5段重合での一
例としては、それぞれ8%,25%,45%,65%,
85%の実績が得られている。得られた重合反応液は、
脱揮工程を経て、揮発分である未反応の単量体を除去し
てから、ペレット化され、成形に供することができる。
このようにして調製されるゴム変性スチレン系樹脂組成
物において、(A)成分及び(B)成分の組成割合は、
所望される成形品によって適宜選定すればよい。
【0013】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物
は、(A)成分のスチレン系樹脂の連続相に、(B)成
分として、スチレン系樹脂が取り込まれたオクルード粒
子を有するゴム状重合体粒子が分散してなるものであ
る。図1は、該(B)成分のゴム状重合体粒子の模式図
であって、図中、1はオクルード粒子を示す。このオク
ルード粒子1は、スチレン系樹脂が、ゴム状重合体2に
よって取り込まれ、粒状に形成されたものである。この
ように粒状に形成されたオクルード粒子1は、さらに、
その2個以上が集合し、ゴム状重合体2によって囲繞さ
れて、ゴム状重合体粒子3として形成される。このゴム
状重合体粒子3は、(A)成分のスチレン系樹脂の連続
相4中に分散し、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成
物が得られる。ここで、ゴム状重合体粒子の平均粒子径
(dsRUB ) は、0.5〜3.0μm、好ましくは0.7〜1.
6μmである。ゴム状重合体粒子の平均粒子径が0.5μ
m未満では、耐衝撃性の低下が著しい。また、3.0μm
を超えると、成形品の外観特性(光沢度の低下など)が
劣り好ましくない。そして、オクルード粒子とゴム状重
合体粒子の粒子径比(dsOCC / dsRUB ) は0.15〜0.5
0、好ましくは0.20〜0.35である。この粒子径比が
0.15未満では、また0.50を超えると、耐衝撃性が不
十分となり好ましくない。また、オクルード粒子の粒子
径分散度(dsOCC / dnOCC ) は1.2〜2.4、好ましくは
1.2〜1.5、特に好ましくは1.2〜1.3である。このオ
クルード粒子の粒子径分散度は1.2未満にすることは困
難で、また、2.4を超えると、耐衝撃性が不十分となり
好ましくない。なお、dsRUB ,dsOCC 及び/ dn
OCC は、それぞれ後述の方法により求められるゴム状重
合体粒子の面積平均径,オクルード粒子の面積平均径及
びその数平均径のことである。
【0014】本発明の樹脂組成物においては、NMRで
評価されるゴム状重合体の緩和時間(T2 )(測定方法
は後述)は、1,200〜3,000μsec、好ましくは
1,500〜3,000μsecの範囲である。この緩和時
間(T2 )が1,200μsec未満では、耐衝撃性が不
十分であり、また3,000μsecを超える組成物は通
常得られにくい。さらに、NMRで評価されるゲル部の
スチレン系樹脂/(スチレン系樹脂+ゴム状重合体)
〔以下、PS/(PS+RB)と略す。〕の信号比率
(測定方法は後述)は、52〜70%、好ましくは55
〜70%の範囲である。この信号比率が52%未満で
は、耐衝撃性が不十分であり、また70%を超える組成
物は得られにくい。
【0015】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に
おいては、通常、ゲル量(測定方法は後述)が5〜50
重量%、ゲル部のスウェルインデックス(SI)(測定
方法は後述)が8〜20であり、かつゴム状重合体粒子
の粒子径分散度dsRUB /dnRUB が、1.1〜2.5、好
ましくは1.1〜1.5の範囲にある。該ゲル量が5重量%
未満では、耐衝撃性が著しく低いし、50重量%を超え
ると、剛性が著しく低下する。 そして、このゲル部の
SIが8未満では、耐衝撃性が著しく低く、また20を
超える樹脂組成物は得られにくい。さらに、ゴム状重合
体粒子の粒子径分散度が2.5を超えると、耐衝撃性が低
下し、かつ外観不良が生じやすい。また1.1未満の組成
物は得られにくい。なお、dsRUB 及びdnRUB は、そ
れぞれ後述の方法により求められるゴム状重合体粒子の
面積平均径及びその数平均径のことである。
【0016】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に
は、所望に応じ、通常用いられている種々の添加剤、例
えば、ステアリン酸,ベヘニン酸,ステアリン酸亜鉛,
ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム,
エチレンビスステアロアミドなどの滑剤や、有機ポリシ
ロキサン、ミネラルオイル、あるいは2,6−ジ−t−
ブチル−4−メチルフェノール、ステアリル−β−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート,トリエチレングリコール−ビス−3−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロピオネートなどのヒンダードフェノール系やト
リ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイトあどのリン
系の酸化防止剤,その他紫外線吸収剤,難燃剤,帯電防
止剤,離型剤,可塑剤,染料,顔料,各種充填剤などの
添加剤などを添加することができる。また、他の合成樹
脂やエラストマー等を配合することができる。他の合成
樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル,ポリカーボネ
ート,ポリメチルメタクリレート,ポリエステル,ポリ
アミド,ポリオレフィン,ポリフェニレンエーテル等が
挙げられる。また、エラストマーとしては、例えば、イ
ソブチレン−イソプロピレンゴム,スチレン−ブタジエ
ンゴム,スチレン−アクリロニトリルゴム,アクリロニ
トリル−スチレン−ブタジエンゴム,エチレン−プロピ
レンゴム,アクリル系エラストマー等が挙げられる。
【0017】
【実施例】更に、本発明を実施例及び比較例により、詳
しく説明する。 実施例1 スチレンに8重量%のポリブタジエンゴム〔宇部興産
(株)製,BR15HB〕、0.03重量%の重合開始剤
(1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン)及び0.02重量%の連鎖移動
剤(n−ドデシルメルカプタン)を溶解し、34リット
ル/時間の速度で容積19リットルの第一重合器に供給
し、111℃,120rpmで攪拌し重合した。次い
で、この部分重合液を容積23リットルの第二重合器に
供給し、122℃,150rpmで攪拌し重合した。更
に、この部分重合液を連続的に容積37リットルの第
三,第四,第五重合器に供給し、それぞれの温度132
℃,143℃,161℃で45rpm,20rpm,5
rpmで攪拌しながら、且つ第三,第四重合器に連鎖移
動剤をそれぞれ0.07重量%,0.015重量%添加して
重合を行った。各段における重合転化率は、それぞれ8
%,25%,45%,65%,85%であった。得られ
た重合反応液を第一フラッシュドラム(温度200℃,
圧力0.053MPa)、第二フラッシュドラム(温度2
40℃,圧力0.67kPa)の脱揮工程を経て、揮発分
を除去し、ペレット化した。
【0018】実施例2 実施例1において、ゴム量を8.7重量%、重合開始剤量
を0.015重量%、第一重合器の温度を120℃、第二
重合器の温度を130℃,250rpm、第三重合器の
温度を135℃及び第二フラッシュドラムの温度を23
5℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0019】実施例3 実施例1において、第二重合器の回転数を100rp
m、第四重合器に添加していた連鎖移動剤量を0重量%
及び第二フラッシュドラムの温度を245℃とした以外
は、実施例1と同様に実施した。 実施例4 実施例1において、第二重合器の回転数を175rp
m、第三重合器,第四重合器の連鎖移動剤量を0.085
重量%及び0重量%とした以外は、実施例1と同様に実
施した。
【0020】実施例5 実施例1において、ゴム量を7.7重量%及び第二重合器
の回転数を250rpmとした以外は、実施例1と同様
に実施した。 実施例6 実施例1において、ゴム量を6.7重量%及び第二重合器
の回転数を50rpmとした以外は、実施例1と同様に
実施した。
【0021】実施例7 実施例1において、ゴム量を7.1重量%、連鎖移動剤量
を0.03重量%、第二重合器の温度を127℃,転化率
30%、第三重合器の温度を130℃及び第四重合器の
連鎖移動剤量を0.02重量%とした以外は、実施例1と
同様に実施した。
【0022】実施例8 実施例1において、重合開始剤量を0.04重量%、第一
重合器の温度を105℃、第二重合器の温度を112
℃、転化率20%、第三重合器の温度を135℃及び第
二フラッシュドラムの温度を235℃とした以外は、実
施例1と同様に実施した。
【0023】実施例9 実施例1において、ゴムをBR15HB〔宇部興産
(株)製,ポリブタジエンゴム〕とNF35AS〔旭化
成工業(株)製,ポリブタジエンゴム〕を2/8の割合
でブレンドしたものを6.8重量%とし、第二重合器の回
転数を125rpmとした以外は、実施例1と同様に実
施した。
【0024】実施例10 実施例1において、ゴム量を6.6重量%、重合開始剤量
を0.015重量%、第一重合器の温度を120℃、第二
重合器の温度を130℃,250rpm、第三重合器の
連鎖移動剤量を0.05重量%,重合開始剤量を0.02重
量%,温度を130℃及び第四重合器の温度を140℃
とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0025】比較例1 実施例1において、ゴム量を7重量%、連鎖移動剤量を
0.04重量%、第三重合器及び第四重合器の連鎖移動剤
量をそれぞれ0.14重量%,0.03重量%とした以外
は、実施例1と同様に実施した。 比較例2 実施例1において、ゴム量を7重量%、第三重合器の連
鎖移動剤量を0.035重量%とした以外は、実施例1と
同様に実施した。 比較例3 実施例1において、第三重合器及び第四重合器の連鎖移
動剤量をそれぞれ0.085重量%,0重量%とした以外
は、実施例1と同様に実施した。 比較例4 実施例1において、ゴム量を8.5重量%、第二重合器の
回転数を350rpmとした以外は、実施例1と同様に
実施した。
【0026】比較例5 実施例1において、ゴム量を6.5重量%、重合開始剤量
を0.02重量%、第一重合器の温度を117℃、第二重
合器の温度を127℃,50rpm、第三重合器の温度
を134℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。 比較例6 実施例1において、ゴム量を8.5重量%、重合開始剤量
を0.01重量%、第一重合器の温度を125℃、第二重
合器の温度を135℃,350rpm、第三重合器の温
度を137℃,連鎖移動剤量を0.06重量%とした以外
は、実施例1と同様に実施した。 比較例7 実施例1において、重合開始剤量を0.04重量%、連鎖
移動剤量を0.01重量%、第一重合器の温度を105
℃、第二重合器の温度を117℃,100rpm及び第
三重合器の温度を130℃とした以外は、実施例1と同
様に実施した。
【0027】比較例8 実施例1において、ゴム量を7.5重量%及び第二重合器
の温度を127℃,転化率30%とした以外は、実施例
1と同様に実施した。 比較例9 実施例1において、ゴム量を7重量%、連鎖移動剤量を
0.03重量%及び第二フラッシュドラムの温度を250
℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。 比較例10 実施例1において、ゴム量を9.5重量%、重合開始剤量
を0重量%、連鎖移動剤量を0.04重量%、第一重合器
の温度を130℃、第二重合器の温度を140℃,35
0rpm及び第三重合器の温度を142℃,連鎖移動剤
量を0.05重量%とした以外は、実施例1と同様に実施
した。各実施例及び比較例で得られたゴム変性スチレン
系樹脂組成物の各物性を測定した結果を第1表に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】なお、表中のゴムの種類で、Hiはハイシ
スゴムを、又、Lはローシスゴムを示し、各物性及びそ
の測定は、次の通りである。 (1) ゲル部の分離法 樹脂組成物(重量=Wr)をトルエン中に1.33%(重
量/体積)の割合で加え、18時間攪拌、溶解した後、
遠心分離器にて遠心加速度30,000×gで、20℃,
20分間遠心分離し、その上澄み液をデカンテーション
する。得られた上澄み液は、PSの分子量測定に用い
る。一方、分離した膨潤ゲルにトルエンを等量加え、よ
く攪拌し、再び同様の方法で遠心分離し、その上澄み液
をデカンテーションし、膨潤ゲル(重量=Ww)を得
る。このゲル部を窒素シール下室温で、2時間乾燥後、
60℃,4時間真空乾燥し、乾燥ゲル(重量=Wd)を
得る。 (2) スチレン系樹脂成分(PS部)の重量平均分子量M
w及びMw/Mn 上記(1)のゲル部の分離法で得られた上澄み液を風乾
後、60℃で5時間真空乾燥して得られたフィルムを試
料とする。この試料をテトラヒドロフラン(THF)に
0.2%(重量/体積)で溶解し、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)にて測定する。カラム
は、TSK GEL GMH6を、検出器には、RI検
出器(ウオーターズ 410)を用い、カラム温度40
℃,注入量200μl、流量1.0ミリリットル/分の条
件で、GPC法により数平均分子量Mnと重量平均分子
量Mwを求める。Mw/Mnは、MwとMnの比であ
る。このようにして求めた重量平均分子量MwとMw/
Mnをスチレン系樹脂成分(PS部)の重量平均分子量
Mw及びMw/Mnとする。
【0033】(3) ゴム状重合体粒子の平均粒子径(ds
RUB )及びゴム状重合体粒子の粒子径分散度(dsRUB
dnRUB ) 樹脂組成物を四酸化オスミウムで染色し、超薄切片法に
基づきウルトラミクロトームにより切片の厚さ0.1μm
の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用
いて、超薄切片における粒子形態を示すTEM写真を撮
影する。得られたTEM写真に撮影されているそれぞれ
のゴム状重合体粒子において、直径0.02μm以上の大
きさの粒子について、その直径を測定し、次式によりゴ
ム状重合体粒子の面積平均径(dsRUB ) 、ゴム状重合体
粒子の面積平均径と数平均径の比(dsRUB /dnRUB )を
求め、それぞれゴム状重合体粒子の平均粒子径、ゴム状
重合体粒子の粒子径分散度とする。
【0034】
【数1】
【0035】ここで、dnRUB (ゴム状重合体粒子の数平
均径)は、次式
【0036】
【数2】
【0037】により求める。ここで、niRUBは、直径が
diRUBのゴム状重合体粒子の個数である。なお、ゴム状
重合体粒子の直径は、ゴム状重合体粒子の最大長(最大
長とはTEM写真上の任意のゴム状重合体粒子内におけ
る任意の2点間の距離のうちで最大の長さのことであ
る。)とし、測定するゴム状重合体粒子の個数NRUB
すなわちΣniRUBは3,000個以上とする。
【0038】(4) オクルード粒子とゴム状重合体粒子の
粒子径比(dsOCC /dsRUB ) 及びオクルード粒子の粒子
径分散度(dsOCC /dnOCC ) 上記と同様の方法で超薄切片を作成し、透過型電子顕微
鏡(TEM)写真を撮影し、撮影領域が11.5μm×1
6.0μmで、倍率が25,000倍以上であるTEM写真
を20枚準備する。各TEM写真から、ゴム状重合体粒
子の直径が大きいものから順に10個のゴム状重合体粒
子を選び、20枚の写真から計200個のゴム状重合体
粒子を選択する。選択したゴム状重合体粒子内部に含ま
れるオクルード粒子のうち、直径が0.04μm以上のも
のは、マトリックス部(ゴム状重合体粒子の外側のスチ
レン系樹脂部分)と色調が同等であるものを計測の対象
とし、直径が0.04μm以下のものは、マトリックス部
と色調が異なるものも全て計測の対象とする。次式によ
り、オクルード粒子の面積平均粒径及び数平均粒径を求
める。
【0039】
【数3】
【0040】ここで、niOCCは、直径が diOCCのオクル
ード粒子の個数である。なお、オクルード粒子の直径
は、オクルード粒子の最大長(最大長とはTEM写真上
の任意のオクルード粒子内における任意の2点間の距離
のうちで最大の長さのことである。)とする。但し、最
大長が0.04μm以下のオクルード粒子の直径は、一律
0.03μmとして計算する。上式によるオクルード粒子
の面積平均径(dsOCC )とオクルード粒子の数平均径
(dnOCC )、及び前述の方法で求めたゴム状重合体粒子
の面積平均径(dsRUB)を用いて次式によりオクルード
粒子とゴム状重合体粒子の粒子径比(dsOCC /dsRUB
とする。
【0041】
【数4】
【0042】また、オクルード粒子の面積平均径(ds
OCC )と数平均径(dnOCC ) を用いて、次式によりオク
ルード粒子の粒子径分散度(dsOCC /dnOCC )とする。
【0043】
【数5】
【0044】(5) ゲル量とスウェルインデックス(S
I) 前記のゲル部の分離法で秤量した、該樹脂組成物の重量
Wr、膨潤ゲルの重量Ww、乾燥ゲルの重量Wdを用い
て、次式より求めた。 ゲル量(%)=(Wd/Wr)×100 SI(−)=Ww/Wd (6) ゴム状重合体の緩和時間(T2) パルスNMR装置を用い、水素核を測定核とし、測定周
波数90MHz,90°パルス幅1.5〜2.0μsec の条
件で、温度30℃におけるハーンエコー法(Hahn Echo
Method, 90°−τ−180°パルス法)により、該樹
脂組成物における緩和時間T2 を求め、これをゴム状重
合体又はゴム部の緩和時間T2 とする。このとき該樹脂
組成物に配向がある場合は、150℃で10〜15分間
熱処理したものを評価試料として用いる。 (7) ゲル部のスチレン系樹脂/(スチレン系樹脂+ゴム
状重合体)信号比率〔PS/(PS+RB)信号比率〕 前記のゲル部の分離法で分離した膨潤ゲルを窒素シール
下で乾燥後、真空乾燥したものを、分離後20時間以内
に試料として用いる。前記のパルスNMR装置を用いて
30℃におけるソリッドエコーパルス(90°x −τ−
90°y パルス)後のゲル試料の信号(Free Induction
Decay, FID)を測定し、その解析から信号比を求めた。
30℃におけるPSのT2 は、約10〜15μsec 、ゴ
ム状重合体のT2 は、数100μsec 以上と大きな差が
あるため、両者のFIDは容易に分離でき、信号比率は
精度よく決定することができる。 (8) メルトインデックス(MI) ISO R−1133に準拠して測定した。
【0045】そして、実施例及び比較例で得られたゴム
変性スチレン系樹脂組成物については、品質評価とし
て、曲げ弾性率,アイゾット衝撃強度及び光沢度を測定
した。その結果を第2表に示す。
【0046】
【表5】
【0047】なお、曲げ弾性率,アイゾット衝撃強度及
び光沢度の測定は、次に従った。但し、測定には射出成
形品を用い、温度23℃,相対湿度50%で88時間以
上調整を行った後、測定を実施した。 (1) :曲げ弾性率 JIS−K−7203に準拠して測定した。 (2) :アイゾット衝撃強度(ノッチ付き) JIS−K−7110に準拠して測定した。2号試験片
にA切欠き(先端半径=0.25±0.025mm)を有す
るものを用いた。 (3) :光沢度 JIS−K−7105に準拠して測定した。
【0048】以上の結果から、次のことが分かる。すな
わち、実施例1は、ゴム状重合体粒子の平均粒子径ds
RUB 、ゴム状重合体の緩和時間T2 などのすべての構造
因子が請求範囲内であり、流動性(MI)が高く、同時
に優れた曲げ弾性率とアイゾット衝撃強度のバランスと
光沢度を有している。実施例2及び3では、PS部の重
量平均分子量が請求範囲の下限と上限付近、実施例4で
は、PS部のMw/Mnが請求範囲の上限付近である
が、いずれも優れた流動性と曲げ弾性率,アイゾット衝
撃強度と光沢度を有する。実施例5及び6では、ゴム状
重合体粒子の平均粒子径dsRUB が請求範囲の下限と上
限付近、実施例7及び8では、オクルード粒子とゴム状
重合体粒子の粒子径比dsOCC /dsRUB が請求範囲の
下限と上限付近、実施例9では、ゴム状重合体の緩和時
間T2 が請求範囲の下限付近、実施例10では、PS/
(PS+RB)信号比率が請求範囲の上限付近である
が、いずれも優れた流動性と曲げ弾性率,アイゾット衝
撃強度,光沢度を有している。一方、比較例1は、PS
部の重量平均分子量Mwが低く、流動性は極めて高い
が、アイゾット衝撃強度が劣り実用的でない。比較例2
では、PS部の重量平均分子量Mwが175,000で通
常のものに比べ、特に高い流動性と曲げ弾性率,アイゾ
ット衝撃強度のバランスを有しているとはいえない。比
較例3では、PS部のMw/Mnが大きく、アイゾット
衝撃強度がやや低い。比較例4及び5では、ゴム状重合
体粒子の平均粒子径dsRUB が請求範囲外で、それぞれ
アイゾット衝撃強度と光沢度が特に低い。比較例6及び
7では、オクルード粒子とゴム状重合体粒子の粒子径比
dsOCC /dsRUB が、比較例8では、オクルード粒子
の粒子径分散度dsOCC /dnOCC が、比較例9では、
ゴム状重合体の緩和時間T2が、比較例10では、PS
/(PS+RB)信号比率が請求範囲外で、それぞれア
イゾット衝撃強度が低い。
【0049】
【発明の効果】以上の如く、本発明のゴム変性スチレン
系樹脂組成物は、高い剛性を維持するとともに、耐衝撃
性及び光沢度に優れ、かつ流動性が良好で、低圧成形を
可能にし、小型成形機で大型成形品を成形することがで
き、さらに複雑な形状に対しても容易に成形することが
できる。したがって、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物
は、各種の成形品、特に、テレビ,エアコン等の大型家
電製品のハウジングなどに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明におけるゴム状重合体粒子の模式図で
ある。
【符号の説明】
1:オクルード粒子 2:ゴム状重合体 3:ゴム状重合体粒子 4:スチレン系樹脂の連続相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 義則 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 出光石 油化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−220256(JP,A) 特開 平3−277613(JP,A) 特開 平3−7710(JP,A) 特開 平3−7708(JP,A) 特開 昭63−122720(JP,A) 特開 昭60−233118(JP,A) 特開 昭60−130613(JP,A) 特開 昭59−221318(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 51/04 C08L 25/02 - 25/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)スチレン系樹脂の連続相に、
    (B)スチレン系樹脂が取り込まれたオクルード粒子を
    有するゴム状重合体粒子が分散してなるゴム変性スチレ
    ン系樹脂組成物であって、(イ)スチレン系樹脂の重量
    平均分子量(Mw)が100,000〜160,000で、
    かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と
    の比(Mw/Mn)が2.0〜2.7であること、(ロ)ゴ
    ム状重合体粒子の平均粒子径が0.5〜3.0μmで、かつ
    オクルード粒子とゴム状重合体粒子の粒子径比が0.15
    〜0.50であること、(ハ)オクルード粒子の粒子径分
    散度が1.2〜2.4であること、(ニ)NMRで評価され
    るゴム状重合体の緩和時間(T2 )が1,200〜3,00
    0μsecであること、及び(ホ)NMRで評価される
    ゲル部のスチレン系樹脂/(スチレン系樹脂+ゴム状重
    合体)の信号比率が52〜70%であることを特徴とす
    るゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ゲル量が5〜50%、ゲル部のスウェル
    インデックス(SI)が8〜20及びゴム状重合体粒子
    の粒子径分散度が1.1〜2.5である請求項1記載のゴム
    変性スチレン系樹脂組成物。
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