JP2637176B2 - ゴム変性スチレン系樹脂 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂

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JP2637176B2
JP2637176B2 JP63185268A JP18526888A JP2637176B2 JP 2637176 B2 JP2637176 B2 JP 2637176B2 JP 63185268 A JP63185268 A JP 63185268A JP 18526888 A JP18526888 A JP 18526888A JP 2637176 B2 JP2637176 B2 JP 2637176B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、透明性と耐衝撃性とのバランスに優れた、
高光沢、半透明性を有するゴム変性スチレン形樹脂に関
する。
[従来の技術] ゴム状重合体の存在下にスチレン系単量体を重合させ
て得られるゴム変性スチレン形樹脂は、比較的良好な物
性バランスに加え、優れた成形加工性を有しており、ま
たこれらと製造法の異なるスチレン系樹脂であるABS樹
脂に比べ安価であるため、汎用樹脂として、弱電機器分
野、事務機器分野、包装容器分野、雑貨分野等で広く使
用されているが、近年、成形品表面光沢等の外観、さら
には透明性もしくは半透明性の要求される用途への適用
が特に強く望まれている。
一般にゴム変性スチレン系樹脂は、ブタジエン系ゴム
のスチレン系単量体溶液を塊状重合または塊状−検濁重
合することにより製造されており、要求物性に応じて原
料組成、重合条件等の調整が適宜なされている。しか
し、通常のゴム変性スチレン系樹脂は、白色、不透明で
あり、透明性の要求される用途への適用は困難であっ
た。
ゴム変性スチレン系樹脂は、樹脂中の分散ゴム粒子相
により耐衝撃性を発現させているが、この分散ゴム粒子
が光を散乱し透明性を低下させるため、透明性を向上さ
せる手段として、分散ゴム粒子径を小さくし可視光線の
波長以下にコントロールする方法が従来より検討されて
いる。しかし、満足できる透明性が得られるまで分散ゴ
ム粒子径を小さくすると耐衝撃性の低下が大きく、また
ゴム使用量を増加させると透明性の低下のほか剛性等の
機械的物性の低下をきたすため、単に分散ゴム粒子径を
小さくする方法やゴム使用量を増加させる方法では満足
できる透明性と耐衝撃性とのバランスに優れたゴム変性
スチレン系樹脂を得ることは困難であった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、透明性を向上させた場合の耐衝撃性
の低下を少なくすることにより、透明性と耐衝撃性との
バランスに優れた、高光沢、半透明性を有するゴム変性
スチレン系樹脂を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、かかる問題点に鑑み鋭意検討した結
果、分散ゴム粒子径を小さくした場合の耐衝撃性の低下
を少なくするため、ゴム粒子相成分とブタジエン成分と
の比を大きくし、耐衝撃性に寄与するゴム粒子相成分を
増加させることにより、上記目的が有効に達せられ、透
明性と耐衝撃性とのバランスに優れたゴム変性スチレン
系樹脂が得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、ブタジエン系ゴムの存在下にスチレ
ン系単量体を重合して得られるゴム変性スチレン系樹脂
であって、 (a)該樹脂の連続マトリックス相中に分散しているゴ
ム相が粒子状であり、 (b)該ゴム粒子の90%以上がコア/シェル構造を有
し、 (c)ゴム粒子の長さ平均粒径が0.1〜0.35μmであ
り、 (d)ゴム粒子相成分とブタジエン成分との重量比が3.
3以上であることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂
に関する。
以下、本発明のゴム変性スチレン系樹脂について詳し
く説明する。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂は、該樹脂の連続マ
トリックス相中に分散したゴム相が粒子状であり、かつ
樹脂中に分散したゴム粒子の90%以上がコア/シェル構
造であることが必要である。ゴム変性スチレン系樹脂中
に粒子状以外の例えば層状、網状のゴム相を有する場合
は、透明性、外観が劣り、またコア/シェル構造のゴム
粒子が90%未満の場合は透明性が劣るため好ましくな
い。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂中に分散したゴム粒
子相の長さ平均粒径は、0.1〜0.35μ、好ましくは0.15
〜0.25μであることが必要である。ゴム粒子の長さ平均
粒径が0.35μを越える場合は、得られるゴム変性スチレ
ン系樹脂の透明性が劣り、また0.1μ未満では耐衝撃性
が劣るため、いずれの場合も透明性と耐衝撃性を共に満
足するゴム変性スチレン系樹脂を得ることはできない。
ここでいうゴム粒子の長さ平均粒径とは、ゴム変性スチ
レン系樹脂の超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真に
より、200〜1000個のゴム粒子系を測定し、次式により
算出したものである。
長さ平均粒径=ΣNiDi2/ΣNiDi (ここで、Niは粒径Diのゴム粒子の個数であり、粒径Di
はゴム粒子の長径と短径の平均値である。) 本発明のゴム変性スチレン系樹脂中におけるゴム粒子
相成分とブタジエン成分との比は、3.3以上、好ましく
は3.5以上であることが必要である。3.3未満では透明
性、耐衝撃性のいずれか、もしくは両方が劣り、透明性
と耐衝撃性とのバランスの改良されたゴム変性スチレン
系樹脂を得ることができない。こでいうゴム粒子相成分
とは、ゴム変性スチレン系樹脂中のメチルエチルケトン
/メタノール(容量比10/1)混合溶剤不溶分であり、ブ
タジエン成分とは、ゴム変性スチレン系樹脂中の重合時
に添加したブタジエン系ゴムのブタジエン部分である。
ゴム変性スチレン系樹脂中のブタジエン成分は、重合時
のブタジエン系ゴムの添加量から算出する方法、もしく
は一塩化ヨウ素法による二重結合定量から算出する方
法、例えば、高分子分析ハンドブック,日本分析化学
会,高分子分析研究懇談会編(1987),267ページに記載
の方法により求めることができる。
一般に、ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム粒子相成分
とブタジエン成分との比は、ジャーナル・オブ・アプラ
イド・ポリマー・サイエンス(Journal of Applied Pol
ymer Science)Vol.28,(1983)の3259ページに示され
ている如く、ゴム粒子径が非常に大きい場合、3.3以上
の値をとり得るが、ゴム粒子径が小さくなるに従って小
さくなり、3.3未満の値となる。また、市販のゴム変性
スチレン系樹脂のゴム粒子相成分とブタジエン成分との
比は、通常2〜3の範囲にあり、例えば、ポリマー・エ
ンジニアリング・アンド・サイエンス,ミッド−シャー
ナリー(Polymer Engneering and Science,Mid−Januar
y)1986,Vol.26,No.1の77ページの値ではゴム粒子径が
3.9μで、2.6、0.92μで2.2である。また、ゴム粒子径
が0.2〜0.4μにおける、ゴム粒子相成分とブタジエン成
分との比の公知の値は、例えばジャーナル・オブ・マテ
リアルス・サイエンス(Journal of Materials Scienc
e)22,(1987)の1342ページの値ではゴム粒子径が0.2
μで2.0、0.3μで2.7、0.4μで2.6もしくは3.2であり、
いずれの場合も3.3未満である。
また、本発明のゴム変性スチレン系樹脂における樹脂
中のゴム粒子相成分の架橋度を示す指数である樹脂中の
トルエン不溶分の膨潤度は得に限定されるものではない
が、得られるゴム変性スチレン系樹脂の耐衝撃性、光
沢、外観等の物性バランスの点で9〜22の範囲にあるこ
とが好ましい。
本発明に用いるブタジエン系ゴムは、エチルリチウ
ム、n−ブチルリチウム、ステアリルリチウム等の有機
リチウム化合物触媒、もしくはコバルトまたはニッケル
化合物と有機アルミニウム化合物を含有する触媒によ
り、1,3−ブタジエンを主成分とする単量体を重合する
ことにより得られるブタジエン系重合体であり、好まし
くはスチレン含有量が25〜50重量%のスチレン−ブタジ
エンブロック共重合体である。本発明に好ましく用いら
れるスチレン−ブタジエンブロック共重合体は、例えば
一般式(S−B)n,S(S−B)n,((S−B)mX
等(ただし、Bはブタジエンを主とするブロック、Sは
スチレンを主とするブロック、nは1以上の整数、mは
3以上の整数、Xはカップリング剤の残基である。)の
配列、好ましくは、S−BもしくはS−B−Sの配列を
有するブロック共重合体である。
また、本発明のゴム変性スチレン系樹脂におけるブタ
ジエン系ゴムの含有量は特に限定されるものではない
が、得られるゴム変性スチレン系樹脂の透明性、耐衝撃
性、剛性等の物性バランスの点で5〜13重量%の範囲に
あることが好ましい。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂の重合方法として
は、従来より公知の塊状重合法、塊状−懸濁重合法等が
用いられる。例えば、塊状重合法による場合は、本発明
に用いられるブタジエン系ゴムのスチレン系単量体溶
液、もしくはこれにトルエン、エチルベンゼン等を希釈
剤として加えた溶液を撹拌下に加熱することにより所定
の重合率まで予備重合を行い、さらに所定の重合率まで
塊状重合を実施した後、加熱、減圧条件下で未反応単量
体、希釈剤を除去し、重合を完結させる。
また、塊状−懸濁重合法による場合は、本発明に用い
られるブタジエン系ゴムのスチレン系単量体溶液を予備
重合工程として撹拌下に加熱することにより所定の重合
率まで塊状重合を実施した後、この重合溶液を懸濁剤を
含む水中に懸濁させ、重合開始剤の存在下で懸濁重合を
実施し、重合を完結させる。
これらの重合に際し、連鎖移動剤、重合開始剤、可塑
剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて適宜使用する
ことができる。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂中の分散ゴム粒子相
の長さ平均粒子径は、用いるブタジエン系ゴムの組成、
ゴムの溶液粘度、ゴム溶液の濃度、予備重合時の撹拌強
度、連鎖移動剤あるいは重合開始剤の使用法等の変更に
より調整される。
また、ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム粒子相成分と
ブタジエン成分との比は、用いるブタジエン系ゴムの組
成、予備重合時における撹拌条件、転化率、連鎖移動剤
あるいは重合開始剤の使用法、塊状重合法における未反
応単量体除去工程の加熱、減圧条件、塊−懸濁重合法に
おける懸濁重合時の重合温度および時間、重合開始剤の
種類および添加量等の変更により調整される。
さらに、ゴム変性スチレン系樹脂中のトルエン不溶分
の膨潤度は、予備重合時における転化率、連鎖移動剤あ
るいは重合開始剤の使用法、もしくは塊状重合法におけ
る未反応単量体除去工程の加熱、減圧条件等の変更、塊
状−懸濁重合法における懸濁重合時の重合温度および時
間、重合開始剤の種類および添加量等の変更により調整
される。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂中の分散ゴム粒子相
の長さ平均粒径は、重合条件の変更により調整される以
外に、2種以上のゴム変性スチレン系樹脂のブレンドに
よっても調整することができる。
また、本発明のゴム変性スチレン系樹脂のブタジエン
系ゴムの含有量は、重合時のブタジエン系ゴムの使用量
の変更による以外に、ブタジエン系ゴムを含有しないス
チレン系樹脂とのブレンドによっても調整することがで
きる。
本発明におけるスチレン系単量体とは、スチレン、α
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレ
ン等であり、これらは単独または混合して使用される。
また、これらのスチレン系単量体と共重合体可能なアク
リロニトリル、メタクリル酸メチル等の単量体でスチレ
ン系単量体の一部を置換することができる。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂は、他の熱可塑性樹
脂、例えばポリフェニレンエーテル等を混合使用でき
る。
また、本発明のゴム変性スチレン系樹脂は、加工に際
して、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型
剤、滑剤、耐衝撃性改良剤、色剤等を添加混合使用でき
る。
[実 施 例] 以下実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。
なお、実施例および比較例におけるブタジエン系ゴム
の構造解析は、以下の方法で実施した。
(1) シス−1,4結合含量 赤外吸収スペクトル分光法により算出した。
(2) スチレン含有量 紫外吸収スペクトル分光法により算出した。
(3) 溶液粘度(SV) キャノンフェンスケ型粘度計を用いて、25℃にて5重
量%スチレン溶液の粘度を測定した。
また、実施例および比較例におけるゴム変性スチレン
系樹脂の物性測定は、以下の方法で実施した。
(1) ゴム粒子の長さ平均粒径 樹脂の超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真によ
り、200〜1000個のゴム粒子径を測定し、次式により算
出した。
長さ平均粒径=ΣNiDi2/ΣNiDi ここで、Niは粒径Diのゴム粒子の個数であり、粒径Di
はゴム粒子の長径と短径の平均値である。
(2) ゴム粒子相成分含量 樹脂をメチルエチルケトン/メタノール(容量比10/
1)混合溶媒に溶解した後、遠心分離、過、減圧乾燥
操作により溶媒不溶分重量を測定し、次式により算出し
た。
ゴム粒子相成分含量=(溶媒不溶分重量/樹脂重量)×
100 (3) トルエン不溶分の膨潤度 樹脂をトルエンに溶解し、常温で24時間放置した後、
遠心分離、デカンテーション操作により膨潤状態のトル
エン不溶分重量(Ws)を測定した。ついで減圧乾燥を行
い、乾燥状態のトルエン不溶分重量(Wd)を測定し、次
式により算出した。
トルエン不溶分膨潤度=Ws/Wd (4) 雲価 積分球式光線透過率測定装置により、2mm厚平板の拡
散光線透過率(Td)および全光線透過率(Tt)を測定
し、次式により雲価を算出した。
雲価=(Td/Tt)×100 (5) 光沢 射出成形により2mm厚の平板を成形し、JIS K7105によ
り、60度鏡面光沢度を測定した。
(6) アイゾット衝撃値 射出成形により試験片を成形し、JIS K6871により測
定した。
実施例 1 スチレン含有量が40重量%、ブロックスチレン含有量
が30重量%、25℃における5重量%スチレン溶液粘度が
35cpsである、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴ
ム〔S(スチレン)−B(ブタジエン)配列〕9.0重量
部をスチレン99重量部および白色鉱油1重量部に溶解し
たゴム溶液を内容積5撹拌機付オートクレーブに仕込
み、n−ドデシルメルカプタン0.1重量部を加え、115℃
で4時間、撹拌機の回転数が220rpmの撹拌下で塊状重合
した後冷却し、予備重合液を得た。次いで、内容積10
の撹拌機付オートクレーブに水100重量部、第3リン酸
カルシウム1重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソー
ダ0.001重量部を仕込み、次に、前記予備重合液100重量
部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.28重
量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.15重量部を
加え、90℃で4時間、140℃で2時間、撹拌下で懸濁重
合を行った。得られた懸濁重合液に塩酸を加え、別、
水洗、乾燥した後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール0.1重量%、ジンクステアレート0.1重量%を混合
し、押出機によりペレット化することによりコア/シェ
ル構造が100%(透過型電子顕微鏡写真)のゴム粒子を
有するゴム変性スチレン系樹脂を得た。得られた樹脂の
物性を第1表に示す。
実施例 2 実施例1において、懸濁重合時の重合開始剤の使用量
をベンゾイルパーオキサイド0.25重量部、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート0.4重量部に変更した以外は、実
施例1と同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を得た。得
られた樹脂のゴム粒子は、100%コア/シェル構造であ
った。得られた樹脂の物性を第1表に示す。
実施例 3 実施例1において、懸濁重合時の重合開始剤の使用量
をベンゾイルパーオキサイド0.3重量部、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート0.1重量部に変更した以外は、実
施例1と同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を得た。得
られた樹脂のゴム粒子は、100%コア/シェル構造であ
った。得られた樹脂の物性を第1表に示す。
実施例 4 実施例1において、スチレン−ブタジエンブロック共
重合ゴムの使用量を15.0重量部に変更した以外は、実施
例1と同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を得た。得ら
れた樹脂のゴム粒子は、100%コア/シェル構造であっ
た。得られた樹脂の物性を第1表に示す。
比較例 1 実施例1において、懸濁重合時の重合開始剤の使用量
をベンゾイルパーオキサイド0.35重量部、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート0.05重量部に変更した以外は、実
施例1と同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を得た。得
られた樹脂のゴム粒子は、100%コア/シェル構造であ
った。得られた樹脂の物性を第1表に示す。
比較例 2 実施例1において、予備重合におけるn−ドデシルカ
プタン添加時期を塊状重合開始1時間30分後に変更した
以外は、実施例1と同様にしてゴム変性スチレン系樹脂
を得た。得られた樹脂のゴム粒子は、100%コア/シェ
ル構造であった。得られた樹脂の物性を第1表に示す。
比較例 3 実施例1で用いたスチレン−ブタジエンブロック共重
合ゴムの代わりに、シス−1,4結合含量が35モル%、25
℃における5重量%スチレン溶液粘度が80cpsであるポ
リブタジエンゴム7重量部を用い、塊状重合時にt−ブ
チルパーオキシベンゾエート0.14重量部を用い、n−ド
デシルメルカプタンの添加を塊状重合開始2時間後に行
ない、塊状重合条件を100℃で5時間に、懸濁重合時の
重合開始剤をベンゾイルパーオキサイド0.25重量部、t
−ブチルパーオキシベンゾエート0.3重量部に変更した
以外は、実施例1と同様にしてゴム変性スチレン系樹脂
を得た。得られた樹脂のゴム粒子は、71%がコア/シェ
ル構造を有し、他はサラミ構造を有していた。得られた
樹脂の物性を第1表に示す。
比較例 4 実施例1で用いたスチレン−ブタジエンブロック共重
合ゴムの代わりに、スチレン含有量が30重量%、25℃に
おける5重量%スチレン溶液粘度が35cpsであるスチレ
ン−ブタジエンブロック共重合ゴム(S−B配列)7重
量部を用い、塊状重合時のn−ドデシメルカプタン添加
をt−ドデシルメルカプタン0.01重量部添加に変更し、
塊状重合開始2時間後にn−ドデシルメルカプタン0.1
重量部を追添し、塊状重合時間を5時間に、懸濁重合時
の重合開始剤をベンゾイルパーオキサイド0.25重量部、
t−ブチルパーオキシベンゾエート0.3重量部に変更し
た以外は、実施例1と同様にしてゴム変性スチレン系樹
脂を得た。得られた樹脂のゴム粒子は、81%がコア/シ
ェル構造を有し、他はサラミ構造を有していた。得られ
た樹脂の物性を第1表に示す。
比較例 5 比較例4で用いたスチレン−ブタジエンブロック共重
合ゴムの代わりに、シス−1,4結合含量が35モル%、25
℃における5重量%スチレン溶液粘度が80cpsであるポ
リブタジエンゴム7重量部を用い、ゴム粒子径調整のた
め塊状重合時の撹拌回転数を変更した以外は、比較例4
と同様にしてゴム変性スチレン系樹脂を得た。得られた
樹脂のゴム粒子はサラミ構造を有していた。得られた樹
脂の物性を第1表に示す。
比較例 6 比較例5における塊状重合時の撹拌回転数を変更した
以外は、比較例5と同様にしてゴム変性スチレン系樹脂
を得た。得られた樹脂のゴム粒子はサラミ構造を有して
いた。得られた樹脂の物性を第1表に示す。
第1表に見られるとおり、実施例1〜4における本発
明のゴム変性スチレン系樹脂は、透明性と耐衝撃性との
バランスに優れ、しかも成形品の光沢も良好である。こ
れに対して、比較例5,6の如く、ゴム粒子の長さ平均粒
径が0.35μを越える場合は、ゴム変性スチレン系樹脂中
のゴム粒子相成分のブタジエン成分との比の値に拘ら
ず、不透明である。また比較例1〜4の如く、ゴム変性
スチレン系樹脂中のゴム粒子相成分とブタジエン成分と
の比が3.3未満の場合は、透明性と耐衝撃性とのバラン
スが劣っており、いずれの場合も満足できるゴム変性ス
チレン系樹脂を得ることはできない。
これらの結果から、分散ゴム粒子相を特定の構造にコ
ントロールすることにより、はじめて透明性と耐衝撃性
を共に満足するゴム変性スチレン系樹脂が得られること
がわかる。
[発明の効果] 以上説明で示したように、本発明による高光沢、半透
明性ゴム変性スチレン系樹脂は、透明性と耐衝撃性との
バランスに優れ、かつ光沢も優れているため、従来のゴ
ム変性スチレン系樹脂では不満足であった透明性、光沢
の要求される用途に適用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西本 教幸 神奈川県川崎市川崎区千鳥町2番1号 日本ポリスチレン工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−500497(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブタジエン系ゴムの存在下にスチレン系単
    量体を重合して得られるゴム変性スチレン系樹脂であっ
    て、 (a)該樹脂の連続マトリックス相中に分散しているゴ
    ム相が粒子状であり、 (b)該ゴム粒子の90%以上がコア/シェル構造を有
    し、 (c)ゴム粒子の長さ平均粒径が0.1〜0.35μmであ
    り、 (d)ゴム粒子相成分とブタジエン成分との重量比が3.
    3以上であることを特徴とするゴム変性スチレン系樹
    脂。
  2. 【請求項2】ブタジエン系ゴムがスチレン含有量25〜50
    重量%のスチレン・ブタジエンブロック共重合体である
    請求項(1)記載のゴム変性スチレン系樹脂。
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NL8304029A (nl) * 1983-11-23 1985-06-17 Dow Chemical Nederland Met rubber versterkte polymeren van monovinylideen-aromatische verbindingen met een zeer goede verhouding tussen glans en sterkteeigenschappen en een werkwijze voor hun bereiding.

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