JP2006257266A - 高光沢耐衝撃性ゴム変性スチレン系共重合体樹脂およびその連続的製造方法 - Google Patents
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Abstract
高光沢であり、かつ耐衝撃性のある高光沢耐衝撃性ゴム変性スチレン系共重合体樹脂を提供すること。
【解決手段】
スチレンまたはスチレンとアクリロニトリルとの共重合体65〜95重量%を連続相とし、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム5〜35重量%を分散相としてなるゴム変性スチレン系共重合体樹脂であって、(a)スチレン−ブタジエン共重合体ゴムがスチレン連鎖(S)とブタジエン連鎖(B)のS−B型ブロックをなし、スチレン含有量が30〜50重量%で、25℃における5重量%スチレン溶液粘度が2〜40cpであり、ブタジエン連鎖のミクロ構造が1,2−ビニル結合を5〜35モル%含有するスチレン−ブタジエン共重合体ゴムであり、(b)上記スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの分散粒子の平均粒子径(d 50値)が0.05〜0.8μである高光沢耐衝撃性ゴム変性スチレン系共重合体樹脂。
【選択図】 なし
Description
また、ゴム状重合体の存在下にスチレン及びアクリロニトリルを重合させて得られるABS樹脂は、優れた耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性、剛性、表面光沢の良さ等の理由で多くの用途を得ている。
これらHISP樹脂およびABS樹脂において、当該樹脂中のゴム粒子の大きさは衝撃強度、光沢等の製品性能に重要な影響を及ぼす。つまり、ゴム粒子の粒径が小さい程、成形品の光沢が上昇するが、ある粒径以下になると衝撃強度が著しく低下する。このような中で、成形品の光沢を保ちながら、衝撃強度を向上させる研究が行われてきている。
例えば、HIPS樹脂においては、1.0μm以下のゴム粒子をもつHISP樹脂と1.0μm以上の粒子をもつHIPS樹脂をブレンドする方法が提案されている(特許文献1〜2)。しかし、光沢が充分ではなく、衝撃強度と光沢のバランスが不充分である等の問題があった。
一方、ゴム状重合体としてスチレン含有量の多いスチレン−ブタジエンブロック共重合体を用いて重合を行うと、単一オクルージョン構造を有する0.5μm以下のゴム粒子が形成されることはよく知られており、これらを利用して光沢に優れたHIPS樹脂を製造する方法が提案されている(特許文献3〜4)。上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを用いて得られた光沢の優れたHIPS樹脂と少量のサラミ構造のゴム粒子を有する通常のHIPS樹脂をブレンドすることで、光沢を保ちつつ耐衝撃性を改良しようという試みがなされており(特許文献5、6)、これらの方法を採用することにより、衝撃強度と光沢のバランスが改善された。しかしながら、別々に製造した樹脂を押出機でブレンドするか、小粒子ゴムと大粒子ゴムの重合液を重合反応槽にて混合しなければならず、コストアップに繋がり経済的とはいえない。また、ABS系樹脂においては樹脂中のゴム粒子の大きさが光沢及びその他の物性を決定する上での重要項目として知られており、用途毎に光沢と例えば衝撃強度、成形加工性等の特性とバランスをとりながら、ゴム粒子径等をデザインしている。しかし、これまでの方法ではABS系樹脂の諸物性を維持しながら光沢を向上するには限界があり、新たな方法が求められてきた。例えば樹脂そのものを改質するのではなく、成形段階で成形条件、例えば金型温度を高くするということが行われてきた。この場合は成形条件が限定され、成形射出サイクルが長くなり、生産性に重要な問題が残る。
また、特許文献7においては、乳化重合法によるABS系樹脂において、ゴム粒子径の異なる2種類のグラフト共重合体を使用することにより、高光沢なABS系樹脂が得られることについて記載がある。しかしながら、この方法ではゴム粒子径を複雑にコントロールする必要があること、また、このようなゴム粒子径を複雑にコントロールすることは連続式の塊状重合、または溶液重合法には適さないという欠点があった。
(1)スチレン系単量体またはスチレン系単量体とアクリロニトリル系単量体との共重合体65〜95重量%を連続相とし、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム5〜35重量%を分散相としてなるゴム変性スチレン系共重合体樹脂であって、(a)スチレン−ブタジエン共重合体ゴムがスチレン連鎖(S)とブタジエン連鎖(B)のS−B型ブロックをなし、スチレン含有量が30〜50重量%で、25℃における5重量%スチレン溶液粘度が2〜40センチポイズであり、ブタジエン連鎖のミクロ構造が1,2−ビニル結合を5〜35モル%含有するスチレン−ブタジエン共重合体ゴムであり、(b)上記スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの分散粒子の平均粒子径(d 50値)が0.05〜0.8μである高光沢耐衝撃性ゴム変性スチレン系共重合体樹脂、
(2)スチレン系単量体またはスチレン系単量体とアクリロニトリル系単量体との混合物に、(a)スチレン連鎖(S)とブタジエン連鎖(B)のS−B型ブロックをなし、スチレン含有量が30〜50重量%で、25℃における5重量%スチレン溶液粘度が2〜40センチポイズであり、ブタジエン連鎖のミクロ構造が1,2−ビニル結合を5〜35モル%含有するスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを溶解した溶液を、第一反応槽に連続的に供給し、該スチレン−ブタジエン共重合体ゴムが、(b)平均粒子径(d 50値)0.05〜0.8μの分散粒子に転換するのに必要な重合体濃度になるまで該単量体の重合を行わせた後、完全混合槽型の第二反応槽に連続的に供給して重合を行い、さらに必要に応じて第三反応槽以降の反応槽で重合を行い、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とアクリロニトリル系単量体との共重合体65〜95重量%を連続相とし、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム5〜35重量%を分散相としてなる高光沢耐衝撃性ゴム変性スチレン系共重合体樹脂の連続的製造方法を提供することにある。
本発明で用いられるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンゼン環がアルキル置換されたスチレン、ベンゼン環がハロゲン化されたスチレン等の一種以上を用いることができる。アクリロニトリル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の一種以上を用いることができる。
また、これらの単量体にメチルメタクリレートのようなアルリル酸エステル、無水マイレン酸、マレイミド等の共重合可能な単量体を必要に応じて加えてもよい。
なお、本発明のゴム変性スチレン系共重合体樹脂の平均粒子径(d 50値)は、次の方法で測定する。すなわち、樹脂を可溶性溶媒に溶解しレーザー光回折粒度分布測定装置(島津製作所製 SALD−1100)により測定し、平均粒子径を求めた。
次に、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限を受けるものではない。
容積が20Lの完全混合反応槽に、n−ヘキサン14L、ブタジエン720g、ブチルリチウムを25 mmol、テトテヒドロフランを3.5g仕込み、40℃に保持した。ブタジエンを5.4g/分で、90分間連続して供給した(486g)。この時、重合熱により、内温が上昇するので、30分程度で、60℃になるように、調整を行った。その後、内温を60℃で保持し、ブタジエンを滴下開始してから、2時間攪拌した。その後、スチレンを19.8g/分で、30分間連続して供給し(594g)、1時間、60℃で、攪拌した。重合終了後には、約3gのメタノール/純水(1:2)の触媒失活剤を含んだヘキサン5Kgに重合液を添加し、攪拌し、さらに炭酸ガスをバブリング注入し、充分攪拌した。この時、ゴム重合液の1部を抜き出し、リトマス水溶液で、pH検査した結果、ゴム重合液は、中性であり、水酸化リチウムが残存していないことを確認した。次いでヘキサンを揮発除去し、約1.8kgのスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(A)を作製した。このゴムの構造分析は、赤外分光法により行い、分析結果は、表1に示した。
20L容積の完全混合反応槽に、n−ヘキサン14L、ブタジエン720g、ブチルリチウムを25 mmol、テトテヒドロフランを3.5g仕込み、ブタジエンを666g、90分連続添加し、その後スチレン414gを30分連続添加した以外は、上記スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(A)と同様に実施し、約1.8Kgのスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(B)を製造した。
塔式の第一反応槽に上記スチレン−ブタジエン共重合体ゴムAを8.7重量部、スチレン51.7重量部、アクリロニトリル17.3重量部、エチルベンゼン22.3重量部、t−ドデシルメルカプタン(TDM)0.18重量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.04重量部から成る原料を19.5kg/hで連続的に供給して単量体の共重合を行い、重合温度を調節して第1反応槽出口における固形分、すなわち重合液中のゴム状重合体とスチレン/アクリロニトリル共重合体の量を重合液に対して27.4重量%にした。このときの重合温度は95℃であった。
次に、完全混合型の第二反応槽では、重合温度を115℃とし、反応槽出口における固形分は、38.2重量%とした。この時、第二反応槽でゴム状重合体は分散相に転移し、ゴム状重合体粒子が形成された。その後、第二反応槽から重合液を連続的に取り出し、これを第三反応槽に連続的に供給し、さらにt−ドデシルメルカプタン(TDM)を100g/hで第三反応槽に連続的に供給し、分子量の調整を行った。なお、第三反応槽で単量体の重合を継続し、重合温度を調節して第三反応槽出口での固形分を重合液に対して41.8重量%にした。このときの重合温度は120℃であった。第三反応槽から連続的に抜き出された重合液はさらに第四反応槽に供給され、第四反応槽での重合により第四反応槽出口における固形分を46.5重量%にした。このときの重合温度は125℃であった。次いで、脱揮発分工程、押出工程を経てペレット化した。押出し工程では、滑剤として、エチレンビスステアロアミドを、100g/hrで連続的に添加した。
このように製造されたゴム変性スチレン系共重合体樹脂の重合条件を表2に、分析および性能評価の結果を表3に示した。
なお、樹脂の分析及び性能評価は次の方法による。
(2)平均ゴム粒子径(d 50値):ペレットをメチルエチルケトンに溶解(0.01g/ml)し、レーザー光回折粒度分布測定装置(島津製作所製 SALD−1100)により測定し、平均ゴム粒子径を求めた。
(3)アイゾット衝撃強度:得られた樹脂を90℃で3時間乾燥した後、成形温度240℃、金型温度40℃で射出成形し、アイゾット衝撃強度測定用試験片を作成し、JIS K−6871に準じて測定した。
(4)表面光沢:JIS Z−8741に準じて、上記試験品に入射角60°で光を照射し、測定した。
(5)流動性:ASTM D−1238に準じて、200℃×5kg荷重で測定した。単位:g/10分。
スチレン−ブタジエン共重合体ゴムAに変えて、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムBを使用した以外は、実施例1と同様に実施した。
第一反応槽にt−ドデシルメルカプタン(TDM)を0.24重量部添加し、第三反応槽に、t−ドデシルメルカプタン(TDM)を20g/h添加した以外は、比較例1と同様に実施した。
Claims (2)
- スチレン系単量体またはスチレン系単量体とアクリロニトリル系単量体との共重合体65〜95重量%を連続相とし、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム5〜35重量%を分散相としてなるゴム変性スチレン系共重合体樹脂であって、(a)スチレン−ブタジエン共重合体ゴムがスチレン連鎖(S)とブタジエン連鎖(B)のS−B型ブロックをなし、スチレン含有量が30〜50重量%で、25℃における5重量%スチレン溶液粘度が2〜40センチポイズであり、ブタジエン連鎖のミクロ構造が1,2−ビニル結合を5〜35モル%含有するスチレン−ブタジエン共重合体ゴムであり、(b)上記スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの分散粒子の平均粒子径(d 50値)が0.05〜0.8μmである高光沢耐衝撃性ゴム変性スチレン系共重合体樹脂。
- スチレン系単量体またはスチレン系単量体とアクリロニトリル系単量体との混合物に、(a)スチレン連鎖(S)とブタジエン連鎖(B)のS−B型ブロックをなし、スチレン含有量が30〜50重量%で、25℃における5重量%スチレン溶液粘度が2〜40センチポイズであり、ブタジエン連鎖のミクロ構造が1,2−ビニル結合を5〜35モル%含有するスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを溶解した溶液を、第一反応槽に連続的に供給し、該スチレン−ブタジエン共重合体ゴムが、(b)平均粒子径(d 50値)0.05〜0.8μmの分散粒子に転換するのに必要な重合体濃度になるまで該単量体の重合を行わせた後、完全混合槽型の第二反応槽に連続的に供給して重合を行い、さらに必要に応じて第三反応槽以降の反応槽で重合を行い、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とアクリロニトリル系単量体との共重合体65〜95重量%を連続相とし、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム5〜35重量%を分散相としてなる高光沢耐衝撃性ゴム変性スチレン系共重合体樹脂の連続的製造方法。
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JPS63241015A (ja) * | 1987-03-28 | 1988-10-06 | Mitsui Toatsu Chem Inc | グラフトゴム粒子分散体 |
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