JP3343981B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法

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JP3343981B2
JP3343981B2 JP07961793A JP7961793A JP3343981B2 JP 3343981 B2 JP3343981 B2 JP 3343981B2 JP 07961793 A JP07961793 A JP 07961793A JP 7961793 A JP7961793 A JP 7961793A JP 3343981 B2 JP3343981 B2 JP 3343981B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム変性スチレン系樹
脂(HIPS)組成物の製造方法に関するものである。
さらに詳しくは、光沢と衝撃とのバランスが優れた高光
沢耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製造方法に関するも
のであり、特に、家庭電気製品、家具、玩具などの部品
に成形されて使用された時に、光沢に優れた美しい外観
を呈し、衝撃によっても破壊されにくい性能を合わせ持
った、スチレン系樹脂組成物の製造方法を提供すること
にある。
【0002】
【従来の技術】従来、一般用ポリスチレンは成形性に優
れているので多用途に使用されているが、耐衝撃性が低
いのでこの性質を改善するしたものとして、ゴム質重合
体を分散粒子として含有させたゴム変性スチレン系樹脂
が提案され、工業的に多岐の用途に使用されている。し
かしながら、製品の使用分野が拡大されるに従い、より
高度の性能を備えることが要求されるようになった。例
えば、光沢の優れた美しい外観を呈する成形品が得られ
るばかりでなく、製造コストの観点から、成形品が従来
より肉薄であっても、衝撃によって破壊されにくい性能
を持った材料の開発が期待されている。
【0003】ゴム変性スチレン系樹脂で、従来から使用
されている製品は、連続相をなす樹脂中に分散している
ゴム質重合体の重量平均粒径が、0.5〜4.0μm程
度の範囲のものである。また、光沢に優れた美しい外観
を呈し、衝撃によって破壊されにくい性能を合わせ持っ
た製品も使用されているが、これら製品は連続相をなす
樹脂中に分散しているゴム質重合体の重量平均粒径が、
0.5〜1.5μm程度の範囲に調節されている。
【0004】高光沢耐衝撃性スチレン系樹脂を製造する
技術としては、連続相をなす樹脂中に分散しているゴム
質重合体の平均粒径を0.5〜1.5μmに保ちつつ、
粒径分布を狭くする方法(特開昭52−86444号公
報参照)、連続相をなす樹脂中に分散しているゴム質重
合体を、平均粒径の小さな分散ゴム粒子と、ある程度大
きな分散ゴム粒子とをブレンドして二山分布の形態とす
る方法(特公昭46−41467号公報参照)、等が提
案されている。
【0005】しかしながら、特公昭46−41467号
公報に記載の方法では、まず、異なった平均粒径の分散
ゴム質重合体を含有するスチレン系樹脂を別々に製造
し、次いで、両者を押出機で溶融混練する方法によって
いるが、製造工程が繁雑であるばかりでなく、大量生産
する場合はコスト高となる、という欠点がある。このよ
うな欠点を排除する技術として、米国特許第4,14
6,589号明細書、特開昭59−159号公報などに
記載の方法が提案されている。しかし、これら公知文献
に記載の方法では、連続相をなす樹脂中に分散している
二種類の分散ゴム粒子の平均粒径を、一定の決められた
範囲に厳密に調節すること、分散ゴム粒子に対して一定
の均質なグラフト重合体を付与すること、等が要求され
る為に、光沢と衝撃強度、特に落錘衝撃強度との高度の
バランスを達成することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
状況下にあって、連続重合方式により低コストで、分散
ゴム粒子の大きさに特徴があり、光沢と衝撃強度、特に
光沢と落錘衝撃強度との高度のバランスを有するゴム変
性スチレン系樹脂組成物の製造方法を提供することを目
的として鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】しかして本発明の要旨と
するところは、次の各工程を含んでなり、かつ、第一工
程に由来するゴム質重合体と第二工程に由来するゴム質
重合体との比率が90対10ないし30対70の範囲に
することを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物の
製造方法に存する。 (i) 第一工程: 芳香族ビニル化合物単量体にゴム質重
合体を溶解し、この溶液を完全混合型の第一反応器に連
続的に仕込み、ゴム質重合体が粒子化しない重合率の範
囲で重合反応を行わせ、次いでこの第一反応器から連続
的に取り出した重合反応液の流れを完全混合型の第二反
応器に連続的に移送し、ゴム質重合体の重量平均粒径が
0.1〜0.5μmの範囲の粒子に分散した第二反応器
からの流れを得る工程、 (ii)第二工程: 芳香族ビニル化合物単量体にゴム質重
合体を溶解し、この溶液を完全混合型の第三反応器に連
続的に仕込み、芳香族ビニル重合体の濃度が1.4x+
4%(ここでxは、ゴム質重合体の濃度を意味する)を
越えない範囲で重合反応を行わせ、第三反応器からの流
れを得る工程、
【0008】(iii) 第三工程: 第一工程及び第二工程
からの二つの流れを、ラインミキサー又は小型の反応器
に導入して両者を混合し、ゴム質重合体の重量平均粒径
が0.1〜0.5μmの範囲の粒子と、0.6〜1.5
μmの範囲の粒子とが、混合・分散している重合反応液
とし、引続き重合反応液を一個以上のプラグフロー型反
応器に導入してさらに重合反応を進める工程、及び (iv)第四工程: 得られた重合反応液から揮発成分を脱
揮する工程。
【0009】[発明の具体的説明]本発明方法は、粒径
が特定範囲の小さい分散ゴム粒子を含むものと、粒径が
特定の範囲の大きい分散ゴム粒子を含むものとを含んだ
ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法を提供するも
のである。 1)一般的説明 ゴム変性スチレン系樹脂は、「幹」であるゴム質重合体
に「枝」となるべき単量体が結合してたものであるが、
「枝」となるべき単量体がすべて「枝」となっていると
は限らない。このような「枝」となってい「枝」用単量
体由来の重合体を含んでいてもよい。
【0010】(1)ゴム質重合体 ゴム変性スチレン系樹脂の「幹」となり得るゴム質重合
体は、そのガラス転移温度が常温より低いものが対象と
なる。そのようなゴム質重合体は、例えば、天然ゴム、
ポリブタジエン類、スチレン−ブタジエン共重合体類、
ブロックスチレン−ブタジエン共重合体類、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体類、エチレン−プロピレン
系共重合体類、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系
共重合体類、クロロプレン系重合体類、イソプレン系重
合体類、スチレン−イソプレン共重合体類等が挙げられ
る。これらは、1種でも2種以上の混合物であってもよ
い。なかでもポリブタジエン類が好ましく、ポリブタジ
エンの構成単位に関しては、1,4−シス構造が20〜
40%の範囲のもの、又は1,4−シス構造が95%以
上のものがより好ましく使用され、また1,2−ビニル
構造が7〜20%のもの、又は2%以下のものが、より
好ましく使用される。ゴム質重合体の分子量や分岐度は
特に限定するものではないが、5重量%濃度のスチレン
溶液としたときの粘度が、25℃で20〜300センチ
ポイズ(cps) であるものが好ましく、特に30〜150
cps の範囲が好ましい。
【0011】(2)単量体 ゴム変性スチレン系樹脂の「枝」となり得る単量体は、
芳香族ビニル化合物単量体であり、その一部を共重合可
能な他のビニル化合物単量体と置換えることもできる。
芳香族ビニル化合物単量体としては、スチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−
tert−ブチルスチレン等の核アルキル置換スチレン、ク
ロルスチレン、ブロモスチレン等の核ハロゲン置換スチ
レン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルス
チレン等のα−アルキル置換スチレン、α−、又はβ−
ビニルナフタレン、等が挙げられる。これらは、1種で
も2種以上の混合物であってもよい。これらの中で、特
に好ましいのは、スチレンである。また、上記芳香族ビ
ニル化合物単量体と置換できる他のビニル化合物単量体
としては、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メタク
リル酸と炭素数が1〜10の範囲の一価アルコールとの
エステル、酢酸ビニル、ジビニルベンゼン等が挙げられ
る。これらと共重合可能な他のビニル化合物単量体の量
は、20重量%以下の量で選ぶことができる。
【0012】(3)重合開始剤、連鎖移動剤 ゴム変性スチレン系樹脂を製造する際に、重合開始剤及
び/又は連鎖移動剤を使用することができる。使用でき
る重合開始剤としては、ターシャリーブチルパーオキシ
ベンゾエート、ターシャリーブチルパーオキシアセテー
ト、1,1−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘ
キサン、1,1−ジターシャリーブチルパーオキシ−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、過酸化ベンゾ
イル、過酸化クロルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過
酸化ナフチル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイルアセ
チル等の過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル等の
アゾ触媒が挙げられる。これらは1種でも2種以上を混
合したものであってもよい。使用できる連鎖移動剤とし
ては、例えばn−オクチルメルカプタン、n−ドデシル
メルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、等又はテル
ピノレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられ
る。
【0013】(4)有機溶媒 ゴム変性スチレン系樹脂を製造する場合、塊状重合方式
によるのが好ましいが、ゴム質重合体の割合が高かった
り、重合率が高くなった時に、重合反応液の粘度上昇を
避ける目的で、重合系に不活性有機溶媒を存在させるこ
とができる。この際使用できる有機溶剤としては、トル
エン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素や
脂肪族炭化水素などが挙げられ、これらは1種でも2種
以上を混合したものであってもよい。この有機溶剤が2
0重量%を越えると、重合反応液の重合速度が低下する
ので好ましくない。
【0014】(5)添加物 ゴム変性スチレン系樹脂を製造する場合、重合開始前又
は重合の途中の重合反応液に対して、各種添加物、例え
ば着色防止剤・老化防止剤、光安定剤、滑剤、潤滑剤等
を添加できる。これら添加物の重合反応液への添加は、
第三工程以降で行うのが好ましい。使用できる着色防止
剤・老化防止剤としては、フェノール系誘導体、キノリ
ン系誘導体、p−フェニレンジアミン系誘導体、ハイド
ロキノン系誘導体、チオカーバメート系誘導体、フォス
ファイト系誘導体等が挙げられる。これらは1種でも2
種以上用いてもよく、使用量は樹脂100重量部に対し
て0.01〜0.5重量部の範囲で選ぶことができる。
【0015】光安定剤としては、サリチル酸エステル誘
導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導
体、ベンゾエート誘導体、シアノアクリレート誘導体、
ヒンダードアミン化合物及びニッケル錯塩等が挙げられ
る。これらは1種でも2種以上用いてもよく、使用量は
樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部の範囲で
選ぶことができる。
【0016】滑剤としては、オルガノポリシロキサン、
脂肪族炭化水素ワックス、高級脂肪酸と高級アルコール
とのエステルワックス、高級脂肪酸のビスアマイド、高
級脂肪酸の金属塩等が挙げられる。これらは1種でも2
種以上用いてもよく、使用量は樹脂100重量部に対し
て0.01〜0.5重量部の範囲で選ぶことができる。
潤滑剤としては、ジオクチルフタレート、ジベンジルフ
タレート、塩素化脂肪酸エステル、塩素化パラフィン等
の可塑剤、鉱油等が挙げられる。これらは1種でも2種
以上用いてもよく、使用量は樹脂100重量部に対して
0.01〜5重量部の範囲で選ぶことができる。
【0017】(6)製品中のゴム質重合体の重量平均粒
径 連続相をなす樹脂中に分散しているゴム質重合体の平均
粒径は、種々の測定方法、表示方法があるが、樹脂成形
品の超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真を撮影し、
写真中のゴム質重合体粒子約1000個の粒径を測定し
て、次の(1)式より算出するのが一般である。
【0018】
【数1】 (ここでniは粒径Diのゴム質重合体粒子の個数であ
る。) 2)具体的説明 (1)第一工程 本発明方法によるときは、まず、第一工程で、芳香族ビ
ニル化合物単量体にゴム質重合体を溶解し、この溶液を
完全混合型の第一反応器に連続的に仕込み、ゴム質重合
体が粒子化しない重合率の範囲で重合反応を行わせ、次
いでこの第一反応器から連続的に取り出した重合反応液
の流れを完全混合型の第二反応器に連続的に移送し、ゴ
ム質重合体の重量平均粒径が0.1〜0.5μmの範囲
の粒子に分散した第二反応器からの流れを得る。
【0019】第一反応器では、芳香族ビニル化合物単量
体にゴム質重合体を溶解し、この溶液を完全混合型の反
応器に連続的に仕込み、必要があれば重合開始剤、連鎖
移動剤を使用し、ゴム質重合体が粒子化しない重合率の
範囲で重合反応を行わせる。完全混合型の反応器とは、
重合反応液を反応器内でほぼ均一な混合状態に維持し得
るものを言い、例えば、攪拌翼付きの反応器によって、
達成することができる。好ましい攪拌翼としては、ヘリ
カルリボン、ダブルヘリカルリボン(例えば、特公昭5
9−35251号公報、特公昭63−4850号公報参
照)、アンカー等の型の翼が挙げられる。ヘリカルリボ
ン型の翼の場合には、ドラフトチューブを取付けて、反
応器内の上下循環を一層強化することもできる。
【0020】第一反応器での芳香族ビニル化合物単量体
とゴム質重合体との割合は、前者80〜97重量%、後
者3〜20重量%であり、特に好ましい範囲は前者82
〜95重量%、後者5〜18重量%である。ゴム質重合
体の割合が多い時は、溶液の粘度、重合反応液の粘度が
上昇するので、必要に応じ重合反応液の20重量%まで
有機溶剤を使用することもできる。
【0021】第一反応器では、芳香族ビニル化合物単量
体にゴム質重合体を溶解し、この溶液を完全混合型の反
応器内で、ゴム質重合体が粒子化しない重合率の範囲で
重合反応(予備反応)を行わせる。ゴム質重合体が粒子
化しない重合率の範囲とは、いわゆる「相転化」に達し
ていないばかりでなく、一部が「相転化」した遷移状態
にも達していない範囲をいう。芳香族ビニル化合物単量
体にゴム質重合体を溶解し、この溶液を完全混合型の反
応器で重合反応を進めると、反応の初期では芳香族ビニ
ル化合物単量体とその重合体を含む溶液(樹脂相)が、
ゴム質重合体と芳香族ビニル化合物単量体を含む溶液
(ゴム相)から分離し、ゴム相が連続相となり樹脂相が
分散相となった状態(この状態を「第1の状態」とい
う。)を呈する。さらに重合反応が進むと、ある時点、
すなわち芳香族ビニル化合物系重合体の量が増加して、
樹脂相が分散相としてとどまれなくなった時点で、樹脂
相が連続相となりゴム質重合体相(ゴム相)が分散相と
なった状態(この状態を「第2の状態」という。)に相
の転化(「相転化」)が起る。なお、遷移状態とはこれ
ら「第1の状態」と「第2の状態」の中間の段階で、ゴ
ム相が大きな粒子として存在する状態をいう。「第2の
状態」に相転する時点は、樹脂相とゴム相との容積比に
依存するので、原料組成にも関係する。第一反応器での
予備反応は、「第1の状態」にある重合率、具体的に
は、芳香族ビニル化合物単量体の重合率が3〜20%、
好ましくは4〜16%の範囲とするのがよい。
【0022】第一反応器で得られた重合反応液は、仕込
量に対応する量が連続的に取出され、次の完全混合型の
第二反応器に移送され、ゴム質重合体の重量平均粒径が
0.1〜0.5μmの範囲の粒子に分散した第二反応器
からの流れを得る。ここで完全混合型の反応器とは、前
記第一反応器で説明したと同様である。第二反応器は完
全混合型であればよく、第一反応器と同一形式であって
もよく、異なっていてもよい。第二反応器では「相転
化」を完全に行わせ、「第2の状態」とし樹脂相に分散
したゴム相の重量平均粒径を0.1〜0.5μmの範囲
とする。
【0023】ゴム相の重量平均粒径を0.1〜0.5μ
mの範囲とするのは、最終的に得られるゴム変性スチレ
ン系樹脂製品を原料とした成形品の光沢と耐衝撃性を顕
著に向上させるためである。第一工程ではゴム相の重量
平均粒径を比較的小さくするが、この目的を効果的に達
成するには、ゴム質重合体は前記例示したものの内、分
子量の小さいポリブタジエン類、又はブロックスチレン
−ブタジエン共重合体類から選ぶのが好ましい。 (2)第二工程 本発明方法によるときは、次に、第一工程とは別の第二
工程で、芳香族ビニル化合物単量体にゴム質重合体を溶
解し、この溶液を完全混合型の第三反応器に連続的に仕
込み、芳香族ビニル重合体の濃度が1.4x+4%(こ
こでxは、ゴム質重合体の濃度を意味する)を越えない
範囲で重合反応を行わせ、第三反応器からの流れを得
る。必要があれば重合開始剤、連鎖移動剤を使用し、重
合反応を行わせる。
【0024】第二工程で使用するゴム質重合体は、第一
工程で使用したものと同一であってもよく、異なってい
てもよい。ここで完全混合型の反応器とは、前記第一反
応器で説明したと同様である。第二反応器は完全混合型
であればよく、第一反応器と同一形式であってもよく、
異なっていてもよい。第三反応器での芳香族ビニル化合
物単量体とゴム質重合体との割合は、前者80〜97重
量%、後者3〜20重量%であり、特に好ましい範囲は
前者82〜95重量%、後者5〜18重量%である。ゴ
ム質重合体の割合が多い時は、溶液の粘度、重合反応液
の粘度が上昇するので、必要に応じ重合反応液の20重
量%まで有機溶剤を使用することもできる。
【0025】第三反応器では、芳香族ビニル化合物単量
体にゴム質重合体を溶解し、この溶液を完全混合型の反
応器内で、芳香族ビニル重合体の濃度が1.4x+4%
(ここでxは、ゴム質重合体の濃度を意味する)を越え
ない範囲で重合反応を行わせる。芳香族ビニル重合体の
濃度がこの範囲を越えると第三反応器で「第2の状態」
になってしまうので、最終的に得られるゴム変性スチレ
ン系樹脂を原料とした成形品の光沢を改良することがで
きない。
【0026】(3)第三工程 本発明方法によるときは、続いて、第一工程及び第二工
程からの二つの流れを、ラインミキサー又は小型の反応
器に導入し両者を混合し、ゴム質重合体の重量平均粒径
が0.1〜0.5μmの範囲の粒子と、0.6〜1.5
μmの範囲の粒子とが、混合・分散している重合反応液
とし、引続き重合反応液を一個以上のプラグフロー型反
応器に導入してさらに重合反応を進める。
【0027】第三工程では、第一工程からの比較的小さ
い粒径の分散ゴム相を含む流れと、第二工程からの比較
的大きい粒径の分散ゴム相を含む流れとを、連続的に混
合すると共に、第二工程からの流れに由来するゴム質重
合体の重量平均粒径を0.6〜1.5μmの範囲に調節
する。粒径が0.6μm未満であると、最終的に得られ
るゴム変性スチレン系樹脂の耐衝撃性が優れず、1.5
μmを越えると最終的に得られる製品よりの成形品の光
沢が低下し、いずれも好ましくない。
【0028】第一工程(第二反応器)からの流れと第二
工程(第三反応器)からの二つの流れとの連続的な混合
は、それぞれの反応器からの流れを二つの入口から攪拌
機付のラインミキサー、又は小型の反応器に直接導いて
混合する方法、それぞれの反応器からの流れを配管中で
合せて一つの入口からラインミキサー又は小型の反応器
に導いて混合する方法、などによって達成される。ライ
ンミキサー又は小型の反応器は、二液を短時間のうちに
ほぼ均一に混合できるものであれば特に制限はなく、混
合時の攪拌剪断速度を必要に応じて容易に変化させるこ
とができるものが好ましい。ラインミキサーの形態とし
ては、単に反応器を小型にしただけのものであってもよ
いが、重合反応よりも混合攪拌の機能が優先するものが
よく、短い滞留時間で効率的な混合攪拌が達成される。
ここでの滞留時間は、通常20分以下である。
【0029】第一工程からの流れと第二工程からの二つ
の流れとの混合比率は、比較的小さい粒径の分散ゴム相
と比較的大きい粒径の分散ゴム相との比率に表れ、最終
的に得られる製品の用途に応じて、90対10ないし3
0対70の範囲で選ぶものとする。第一工程からの流れ
が90重量%を越えると、最終的に得られる製品の耐衝
撃性が低下し、好ましくない。他方、第二工程からの流
れが70重量%を越えると、最終的に得られる製品より
の成形品の光沢が低下し、好ましくない。
【0030】第二工程(第三反応器)のラインミキサー
又は小型の反応器の出口では、樹脂相が連続相となりゴ
ム質重合体相(ゴム相)が分散相となった状態(「第2
の状態」)でなければならない。ラインミキサー又は小
型の反応器(第三反応器)から連続的に取出された流れ
は、プラグフロー型反応器に移送される。プラグフロー
型反応器は、攪拌室と多管式のシェルアンドチューブ型
の熱交換器が交互に組合わされているもの(例えば、特
開昭63−295602号公報参照)、縦長の容器で冷
却パイプと攪拌機が組合わされているもの(例えば、米
国特許2,727,884号明細書参照)などが使用で
きるが、いわゆるデッドスペースがないように工夫され
ていれば攪拌機がないものも使用できる。プラグフロー
性として、完全混合槽列モデルにおける相当槽数を15
以上とすることが好ましく、このプラグフロー型反応器
は複数基を直列に接続したものとなるのが一般的である
が、反応器の接続基数をいたずらに多くすることは経済
的に好ましくなく、通常は2基とするのが好ましい。最
終のプラグフロー反応器の出口における重合率は、85
〜95%の範囲とするのが良い。
【0031】(4)第四工程 第四工程では、重合率85〜95%の範囲まで高められ
た重合反応液から、真空下で揮発成分を脱揮する工程で
ある。脱揮されるものは、未反応単量体、有機溶媒(但
し、これを使用した場合のみ)等であり、最終的には固
形状のゴム変性スチレン系樹脂が得られる。使用できる
脱揮装置は特に制限がなく、例えば、特公昭44−20
097号公報、特公昭45−31678号公報、特公昭
48−29797号公報、特公昭54−30429号公
報、特公昭54−30670号公報等に記載のものが使
用できる。
【0032】本発明方法によって得られたゴム変性スチ
レン系樹脂組成物には、前記の通り樹脂製造過程で各種
添加物を添加できるが、製造過程で添加しない場合及び
添加した場合でもさらに、染顔料、滑剤、充填剤、離型
剤、可塑剤、帯電防止剤などを、必要に応じて添加する
ことができる。
【0033】本発明方法によって得られたゴム変性スチ
レン系樹脂組成物は、弱電機器、雑貨等の分野において
成形材料として使用できる。とくに、光沢と耐衝撃性の
要求される成形品の成形材料として、好適である。
【0034】
【実施例】以下の実施例及び比較例は、本発明をさらに
具体的に説明するためのものであり、本発明はその要旨
を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。
なお、以下の例において、「部」又は「%」とあるの
は、重量部又は重量部%を意味する。
【0035】以下の実施例及び比較例において、ゴム変
性スチレン系樹脂の物性は、次の方法により測定した。 (1)光沢(%) シリンダー温度200℃で射出成形法で試験片(74m
m×160mm×2.6mm)を成形し、この試験片の
中央部について、JIS Z8741に準拠して(入射
角60度)測定した。 (2)落錘衝撃強度(kg・cm) デユポン式落錘衝撃試験機により、光沢測定用の射出成
形法で試験片を用いて測定した。 (3)アイゾッド衝撃強度(kg・cm/cm) JIS K7110に準拠して(ノッチ付)測定した。
【0036】実施例1 (第一工程)スチレン含量40%のスチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体ゴム(旭化成社製、商品名アサプレ
ン670A)10部を、スチレン単量体86部とエチル
ベンゼン4部の混合物に溶解し、これに重合開始剤とし
てt−ブチルパーオキシベンゾエート0.02部(上記
スチレン、エチルベンゼン、ゴムの合計量100部に対
する割合)を加えて混合、ゴムを溶解した。得られた原
料溶液を、ダブルヘリカル攪拌翼を内蔵した容量15リ
ッター(l)の第一反応器に、8.4l/時の速度で連
続的に供給した。この第一反応器の内温を110℃に、
攪拌翼の回転速度を40rpmとした。この第一反応器
から出てくる生成物の重合率は約10%であり、位相差
顕微鏡により観察したところ、ゴム質重合体は粒子化し
ていなかった。
【0037】生成物は、引続きドラフトチューブ付で、
ダブルヘリカル攪拌翼を内蔵した容量25lの第二反応
器に連続的に移送した。この第二反応器の内温を115
℃に、攪拌翼の回転速度を40rpmとした。この第二
反応器から流出してくる生成物の重合率は約35%であ
り、位相差顕微鏡により観察したところ、ゴム質重合体
は非常に小さな粒子として分散していた。なお、第二反
応器から流出物の少量サンプルを、別途ガラスアンプル
中に静置して150℃の温度で重合を完結し、前記した
透過型電子顕微鏡写真によりゴム質重合体の粒径を測定
した。結果を第1表に示す。
【0038】(第二工程)ポリブタジエン(旭化成社
製、商品名アサプレン775A)10部を、スチレン単
量体86部とエチルベンゼン4部の混合物に溶解し、こ
れに重合開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエー
ト0.0615部(上記スチレン、エチルベンゼン、ゴ
ムの合計量100部に対する割合)を加えて混合、ゴム
を溶解した。得られた原料溶液を、ドラフトチューブ付
でダブルヘリカル攪拌翼を内蔵した容量15lの第三反
応器に、3.6l/時の速度で連続的に供給した。この
第三反応器の内温を96℃に、攪拌翼の回転速度を40
rpmとした。この第三反応器から流出してくる生成物
の重合率は約15%であり、位相差顕微鏡により観察し
たところ、ゴム質重合体が分散してはいるが、その粒子
が小さな粒子ではなく、粗大な粒子として分散している
遷移状態にあった。
【0039】(第三工程)上記第二反応器からの流出物
及び第三反応器からの流出物を、配管中で合流させ、直
ちにラインミキサーに移送した。使用したラインミキサ
ーは容量1lであって、円筒状の本体内部においては円
筒状のニーダーピンが内壁から多数突出しており、一方
回転するシャフトからは上記ニーダーピンが多数突出し
ている構造である。上記シャフトの回転速度を480r
pmとして、混合した。
【0040】ラインミキサーからの流出物は、直列に接
続された2基(2段)のプラグフロー型反応器に導き、
さらに重合反応を継続した。このプラグフロー型反応器
は、直径に対して高さの小さい8つの円筒型の攪拌室
(攪拌翼は器壁とのクリアランスがどの部分においても
一定で、かつ攪拌室にの大部分を掃蕩する大型平板翼
と、軸方向に3つに分割され、90度づつの角度で配置
された小型傾斜翼からなる)と、それぞれの攪拌空間を
連結する7つのシェルアンドチューブ型の熱交換器とに
よって区切られた構造である。なお、別途試験により、
この塔型反応器はトレーサーを使用し、デルタ応答法に
より完全混合槽の槽列としての理論値の、いくつかの値
に相当するかを確認した結果、流量12l/時において
は相当槽数が11槽のプラグフロー型反応器として計算
されるものと、ほぼ同一であることが実測された。この
相当槽数は、流量を変えても実質的に変化しない。本実
施例におけるプラグフロー型反応器は2基(2段)から
なるので、完全混合槽列モデルにおける相当槽数は、2
2となる。
【0041】2基プラグフロー型反応器の1基目の反応
温度は、入口で110℃、出口で127℃であり、また
攪拌翼の回転速度は10rpmとした。出口での重合率
は60%であった。2基目の反応器においては、反応温
度は入口で130℃、出口で162℃、攪拌翼の回転速
度は5rpmとした。出口での重合率は90%であっ
た。なお、2基目の反応器の入口では、導入される反応
混合物に対して、このものの100部当たり1.0部の
鉱油、0.1部のステアリン酸亜鉛、0.1部のオクタ
デシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート及び0.2部の12500
cstの粘度を有するポリジメチルシロキサンを、スチレ
ンとエチルベンゼンの65/35混合溶媒に溶解、ない
し懸濁させて添加した。
【0042】(第四工程)2基目のプラグフロー型反応
器の反応混合物排出口から取出された重合反応液は、調
圧弁を経由して、多管のチューブで加熱された後、15
mmHgに減圧されて、230℃に加熱されている脱揮
室でフラッシュされ、未反応スチレン単量体が除去され
るが、同時に溶媒のエチルベンゼン等の低沸点物も除去
した。低沸点物が除去された重合物は、脱揮室の底部か
らスクリューにより押出機に移送し、ダイからストラン
ド状にして押出し、カッターで裁断して製品ペレットと
した。この製品ペレットは、約500ppmのスチレン
とエチルベンゼンを含んでいるにすぎなかった。
【0043】得られた製品ペレットにつき、前記に記載
の方法で各種物性を評価し、結果を第1表に示す。 実施例2 (第一工程)実施例1に記載の場合に同じ。 (第二工程)実施例1に記載の場合に同じ。 (第三工程)実施例1に記載の例において、第三反応器
からの流出物をニイガタメーソンネーラン社の自動流量
測定分流装置により3.6l/時の流量のうち2.12
l/時を系外に排出し、次のラインミキサーの工程へは
1.48l/時の流量に減じた。2基のプラグフロー型
反応器では、それぞれ出口で実施例1におけるとほぼ同
じ重合率になるように、反応器の温度を調節した。 (第四工程)実施例1に記載の場合に同じ。
【0044】得られた製品ペレットにつき、前記に記載
の方法で各種物性を評価し、結果を第1表に示す。 実施例3 (第一工程)実施例1に記載の場合に同じ。 (第二工程)実施例1に記載の場合に同じ。 (第三工程)実施例1に記載の例において、第三反応器
からの流出物をニイガタメーソンネーラン社の自動流量
測定分流装置により8.4l/時の流量のうち4.8l
/時を系外に排出し、次のラインミキサーの工程へは
3.6l/時の流量に減じた。2基のプラグフロー型反
応器では、それぞれ出口で実施例1におけるとほぼ同じ
重合率になるように、反応器の温度を調節した。 (第四工程)実施例1に記載の場合に同じ。
【0045】得られた製品ペレットにつき、前記に記載
の方法で各種物性を評価し、結果を第1表に示す。 比較例1 実施例1において第一反応器と同様の攪拌翼を持った容
量9lの反応容器を第一反応器として使用し、実施例1
において第三反応器として使用した反応器を第二反応器
として使用し、実施例1において第二反応器として使用
した反応器を第三反応器として使用した。
【0046】(第一工程)実施例1におけると同様の原
料溶液を、第一反応器に5.04l/時の速度で連続的
に供給した。 (第二工程)実施例1におけると同様の原料溶液を、第
三反応器に6.0l/時の速度で連続的に供給した。 (第三工程)第二反応器からの流出物をニイガタメーソ
ンネーラン社の自動流量測定分流装置により5.04l
/時の流量のうち3.84l/時を系外に排出し、次の
ラインミキサーの工程へは1.2l/時の流量に減じ
た。2基のプラグフロー型反応器では、それぞれ出口で
実施例1におけるとほぼ同じ重合率になるように、反応
器の温度を調節した。 (第四工程)実施例1に記載の場合に同じ。
【0047】得られた製品ペレットにつき、前記に記載
の方法で各種物性を評価し、結果を第1表に示す。 比較例2 (第一工程)実施例1に記載の場合に同じ。 (第二工程)第三反応器には原料を供給せず、反応は行
わなかった。 (第三工程)第一反応器からの流出物をの全量を、ライ
ンミキサー以下の工程に送った。2基のプラグフロー型
反応器では、それぞれ出口で実施例1におけるとほぼ同
じ重合率になるように、反応器の温度を調節した。 (第四工程)実施例1に記載の場合に同じ。 得られた製品ペレットにつき、前記に記載の方法で各種
物性を評価し、結果を第1表に示す。
【0048】比較例3 (第一工程)実施例1に記載の例において、第一反応器
と第二反応器との配置を入れ替え、同例におけると同様
原料溶液を容量25lの第一反応器に供給し、内温を1
15℃に、攪拌翼の回転速度を40rpmとして反応を
行い、重合率25%の生成物を得た。位相差顕微鏡によ
り観察したところ、ゴム質重合体は非常に小さな粒子と
して分散していることが分った。
【0049】重合反応液は引続き容量15lの第二反応
器に連続的に移送し、内温110℃、攪拌翼の回転速度
を40rpmで反応させ、重合率が約35%の生成物を
得た。(第二工程)実施例1に記載の場合に同じ。 (第三工程)実施例1に記載の場合に同じ。 (第四工程)実施例1に記載の場合に同じ。 得られた製品ペレットにつき、前記に記載の方法で各種
物性を評価し、結果を第1表に示す。
【0050】比較例4 (第一工程)実施例1に記載の場合に同じ。 (第二工程)実施例1に記載の例において、第三反応器
の内温を102℃に、攪拌翼の回転速度を40rpmと
した他は、同例におけると同様に操作した。この第三反
応器から流出してくる生成物の重合率は約24%であ
り、位相差顕微鏡により観察したところ、ゴム質重合体
は約1μmの微細な粒子として分散していることが分っ
た。 (第三工程)実施例1に記載の場合に同じ。 (第四工程)実施例1に記載の場合に同じ。 得られた製品ペレットにつき、前記に記載の方法で各種
物性を評価し、結果を第1表に示す。
【0051】
【表1】 [註] *1 第二反応器からの流れの一部を別途静置
(攪拌せずに)重合し、得られた重合体につき測定した
粒径を意味する。
【0052】第1表より、次のことが明らかである。 (1)本発明方法によって得られた製品は、特殊なミク
ロ構造のものを特定の割合で含有しているので、耐衝撃
強度に優れ、衝撃によっても破壊され難い性能を合わせ
持ち、かつ成形品外観、特に射出成形された成形品にお
いてゲート部から遠く離れた部分まで班がなく、光沢に
優れた外観の美しい成形品である(実施例1〜3参
照)。 (2)これに対して、特殊なミクロ構造のものを含有し
ていてもその割合が本発明の必須範囲外となると、光沢
と耐衝撃性とを兼ね備えたものとならない(比較例1参
照)。
【0053】(3)第二工程を省略した方法で製造した
製品は、特殊なミクロ構造を有していないので、耐衝撃
強度に優れず、衝撃によって破壊され易い(比較例2参
照)。 (4)第一工程の第一反応器で、ゴム質重合体が微細な
粒子に分散するまで重合率を高めた場合には、光沢の優
れた成形品が得られるが、落錘衝撃強度が優れない(比
較例3参照)。 (5)また、第二工程の第三反応器で、ゴム質重合体を
微細な粒子に分散させた場合にも同様に、光沢の優れた
成形品が得られるが、落錘衝撃強度が優れない(比較例
4参照)。
【0054】
【発明の効果】本発明は、次のような特別に顕著な効果
を奏し、その工業的な利用価値は極めて大である。 (1)本発明方法によるときは、攪拌混合槽3つの組合
わせで、反応混合物の滞留時間分布の影響を最小とし、
樹脂中に分散しているゴム質重合体を、小さい分散ゴム
粒子と、大きな分散ゴム粒子との二山分布に調節された
平均粒径のを持つゴム変性スチレン系樹脂組成物を、能
率的に製造することができる。 (2)本発明方法によって得られた製品は、特殊なミク
ロ構造を有しているので、耐衝撃強度に優れ、衝撃によ
っても破壊され難い性能を合わせ持ち、かつ成形品外
観、特に射出成形された成形品においてゲート部から遠
く離れた部分まで班がなく、光沢に優れた外観の美しい
成形品が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−266914(JP,A) 特開 平4−366116(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 279/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の各工程を含んでなり、かつ、第一工
    程に由来するゴム質重合体と第二工程に由来するゴム質
    重合体との比率が90対10ないし30対70の範囲に
    することを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物の
    製造方法。 (i) 第一工程: 芳香族ビニル化合物単量体にゴム質重
    合体を溶解し、この溶液を完全混合型の第一反応器に連
    続的に仕込み、ゴム質重合体が粒子化しない重合率の範
    囲で重合反応を行わせ、次いでこの第一反応器から連続
    的に取り出した重合反応液の流れを完全混合型の第二反
    応器に連続的に移送し、ゴム質重合体の重量平均粒径が
    0.1〜0.5μmの範囲の粒子に分散した第二反応器
    からの流れを得る工程、 (ii)第二工程: 芳香族ビニル化合物単量体にゴム質重
    合体を溶解し、この溶液を完全混合型の第三反応器に連
    続的に仕込み、芳香族ビニル重合体の濃度が1.4x+
    4%(ここでxは、ゴム質重合体の濃度を意味する)を
    越えない範囲で重合反応を行わせ、第三反応器からの流
    れを得る工程、 (iii) 第三工程: 第一工程及び第二工程からの二つの
    流れを、ラインミキサー又は小型の反応器に導入して両
    者を混合し、ゴム質重合体の重量平均粒径が0.1〜
    0.5μmの範囲の粒子と、0.6〜1.5μmの範囲
    の粒子とが、混合・分散している重合反応液とし、引続
    き重合反応液を一個以上のプラグフロー型反応器に導入
    してさらに重合反応を進める工程、及び (iv)第四工程: 得られた重合反応液から揮発成分を脱
    揮する工程。
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