JP3401126B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法

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JP3401126B2 JP22979795A JP22979795A JP3401126B2 JP 3401126 B2 JP3401126 B2 JP 3401126B2 JP 22979795 A JP22979795 A JP 22979795A JP 22979795 A JP22979795 A JP 22979795A JP 3401126 B2 JP3401126 B2 JP 3401126B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性、耐衝撃性に
優れ、特に成形加工時の透明性の保持に優れたゴム変性
スチレン系樹脂組成物およびその製造方法に関する。さ
らに詳しくは、特定の構造を持つ2種類のゴム状重合体
混合物の存在下、特定の条件でスチレン系単量体と(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルを重合することによ
り、ゴム状重合体と実質的に同等の屈折率を有するスチ
レン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を
生成させながら、ゴム状重合体を該共重合体で構成され
る連続相の中に分散する粒子に転移させることを特徴と
する透明なゴム変性スチレン系樹脂組成物およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、透明性、剛性、成形
性に優れているという特徴を有するため家電製品、OA
機器、包装材料を始めとする様々な用途に用いられてい
る。ところがスチレン系樹脂単独では耐衝撃性が不足し
ているため、スチレン系樹脂をゴム状重合体で変性させ
て使用するというのが一般的である。このゴム変性スチ
レン系樹脂は、耐衝撃性については未変性の樹脂と較べ
て大きく改良されているものの、スチレン系樹脂が本来
持っていた透明性という特徴を失っている。これはスチ
レン系樹脂とゴム状重合体との屈折率が異なるためであ
る。ポリマーハンドブック(Third Edition, VI/451〜46
1)によるとポリスチレンの屈折率は1.59〜1.59
2、ポリブタジエンの屈折率は1.516〜1.520
であり、一般にスチレン系樹脂の方がゴム状重合体より
も屈折率が高い。しかし市場にはスチレン系樹脂の透明
性に対する要求が強く、透明なゴム変性スチレン系樹脂
の開発すなわちスチレン系樹脂に耐衝撃性を付与しなが
らも透明性を維持することが産業上極めて大きな課題に
なっている。特に包装材料分野への透明なゴム変性スチ
レン系樹脂の使用においては、樹脂をシート状に一次加
工した後、真空成形あるいは圧空成形により所望の形状
に二次加工するという方法が採られるが、この二次加工
の際に樹脂の透明性が低下すという問題が生じるので、
樹脂自身の透明性だけでなく成形加工時の透明性の保持
に対しても市場の要求は大きい。
【0003】従来透明なゴム変性スチレン系樹脂として
は、例えば特開昭57−195139に開示されている
ようにスチレン系樹脂であるポリスチレンとゴム状重合
体であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体とのブ
レンドによって製造されている。しかし、このブレンド
による製品は、ポリスチレンとスチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体とのブレンド方法を変更する(例えば同
一の材料を用いてもブレンドを行う押出機の型を1軸式
から2軸式に変更する、また同じ材料、同じ押出機を使
用しても押出温度、滞留時間、回転数などを変化させ
る)と2つの材料の混練状態や熱劣化、変色の度合いが
変わり透明性、耐衝撃性ともに変化し再現性に問題があ
る点、また押出条件によってはゴム状重合体がゲル化し
てフィッシュアイの発生など成形加工上大きな問題にな
る点、さらに両者の屈折率が本来異なるため、その製品
の透明性には自ずと限界がある点から見て市場の要求に
対し十分に応えられるものではない。また、透明性を向
上させるためスチレン−ブタジエンブロック共重合体中
のスチレン含量を多くしてポリスチレンとの屈折率差を
小さくする方法があるが、共重合体がポリスチレンに似
た性質を帯びるようになり、製品の物性、特に耐衝撃性
が著しく低下するので好ましくない。
【0004】上記問題点を解決するため、例えば特開平
4−351649では、1種または2種以上のアクリル
酸アルキルエステルあるいはメタクリル酸アルキルエス
テルとスチレン系単量体とを共重合して得られる、ゴム
状重合体と同等の屈折率を有するスチレン系共重合体を
ゴム状重合体とブレンドする方法が開示されている。こ
の方法によれば、スチレン系共重合体とゴム状重合体と
の屈折率が実質的に同じなので透明性についてはある程
度改善されるものの、耐衝撃性についてみるとブレンド
法であるがゆえの問題点については全く改善されていな
い。すなわち耐衝撃性が低く、さらに混練の度合いによ
って耐衝撃性が大きく変化してしまうので好ましくな
い。
【0005】そこで例えば特公昭62−434507に
示されるように、ゴム状重合体ラテックスの存在下、特
定の比率のスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アル
キルエステルを乳化重合して透明なゴム変性スチレン系
樹脂を製造する方法がある。また特開平4−22484
8に示されるように、乳化重合法によってゴム状重合体
にスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルとを重合したグラフト重合体と、塊状あるいは溶液
重合によって製造したスチレン系単量体−(メタ)アク
リル酸アルキルエステル共重合体とを押出機などにより
ブレンドして透明なゴム変性スチレン系樹脂を製造する
方法がある。しかしこれらの方法にしたがって製造され
た樹脂には乳化剤、凝固剤などの不純物が含まれてお
り、この不純物のため樹脂の透明性は低い。この樹脂を
成形加工すると金型に不純物が残留、変色し、やがて樹
脂に転写されて成形不良を引き起こす。また不純物が金
型のベント部に詰まると金型からガスが抜けず、樹脂が
金型内に均一に充填されなくなって成形不良を起こすと
いう問題があった。
【0006】特公昭55−25215では、スチレン、
メタクリル酸メチルからなる単量体にゴム状重合体を溶
解せしめた後、回分式塊状重合により透明なゴム変性ス
チレン系樹脂を製造する方法が開示されている。ゴム状
重合体としてはラジカルと反応する能力を持ち、室温に
おいてゴム状を呈している物質で、ポリブタジエン、ブ
タジエン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体などが用いられる。この方法で
は乳化重合あるいは塊状−懸濁重合による樹脂の製造に
おいて問題となる乳化剤などを含まないため、前記した
不純物による問題は起こらないが、同特許公報によれば
生成するゴム状重合体粒子径は4〜7μmと大きく、成
形品表面が粗いために光の散乱が起こり透明性が低い。
また成形加工による透明性の低下も起こってしまう。
【0007】上記問題点を改善するため、例えば特公昭
63−31488では連続流通式塊状重合による透明な
ゴム変性スチレン系樹脂を製造する方法が開示されてい
る。すなわち、メタクリル酸メチルを主成分とする単量
体にゴム状重合体を溶解した重合原料を単一の反応槽に
連続的に供給し、溶液を連続的に攪拌しながら、温度を
161℃〜195℃に、圧力を100〜175psig
に、平均滞留時間を90分未満に制御して重合を行い透
明なゴム変性スチレン系樹脂を製造する方法である。
【0008】ゴム状重合体としてはポリブタジエン、ブ
タジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合
体、イソプレン重合体および共重合体などが用いられ
る。ところがこの方法に基づいて樹脂を製造するために
は重合温度、反応圧力、平均滞留時間などの重合条件を
極めて厳密に制御する必要が生じるのに対し、重合温度
が161℃〜195℃と高いため重合反応が暴走しやす
く、重合条件を一定に長期間維持するのが困難である。
したがって実際のプラントとして稼動させるには、プラ
ントの操業安定性、ひいては高度の透明性、耐衝撃性を
有する樹脂を安定に生産する能力に大きな問題がある。
また重合条件の制御に多大な労力を要するので生産コス
トも高い。さらに重合温度が高いため低分子量の共重合
体が多く生成し、これが上記した乳化あるいは懸濁重合
で製造した樹脂に含まれる不純物と同様に、成形加工時
に樹脂の透明性の低下、成形不良を引き起こしてしま
う。
【0009】他の連続流通式塊状重合による透明なゴム
変性スチレン系樹脂製造方法としては、例えば特公平5
−54484では、ゴム状重合体、スチレン系単量体、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、溶剤とからなる
溶液を重合し、該ゴム状重合体が粒子化する重合転化率
を越えない範囲までに止めた第1の流れと、スチレン系
単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、溶剤と
ならなる溶液の重合途中の第2の流れとを混合し、その
後の重合により該ゴム状重合体を粒子化させることを特
徴とする透明なゴム変性スチレン系樹脂を製造する方法
が開示されている。この方法では複数の反応器ごとに相
当量の重合を行うが、反応器ごとに未反応のスチレン系
単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの混合
比が異なるため、生成するスチレン系単量体−(メタ)
アクリル酸アルキルエステル共重合体の組成分布が広く
なる傾向にあり、透明性の確保のために重合条件の厳密
な制御が必要となる点に問題がある。
【0010】特開平6−145443では、ゴム変性ス
チレン系重合体とスチレン−ブタジエンブロック共重合
体とテルペン系樹脂とを混合した成形加工、特に二次加
工における透明性の低下が少ないスチレン系樹脂組成物
が開示されている。この方法ではスチレン−ブタジエン
ブロック共重合体、テルペン系樹脂を添加するため樹脂
組成物の生産コストが高くなり好ましくない。
【0011】特開平4−180907では、ブタジエン
に基づく不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合
が14〜25%であるスチレン−ブタジエン共重合ゴム
の存在下に、可動部分のない複数のミキシングエレメン
トが内部に固定されている管状反応器を組み込んでなる
連続塊状重合装置で、重合液を静的に混合しながらスチ
レン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルと
を共重合させる製造方法が示されている。この方法では
複数の複雑な反応器ごとの重合転化率を反応器数に応じ
て制御する必要があり、重合の制御性およびそのときの
生産性に問題がある。
【0012】このように耐衝撃性の高い透明なゴム変性
スチレン系樹脂を得るために、従来の技術において乳化
重合、塊状−懸濁重合からか回分式塊状あるいは溶液重
合、連続流通式塊状あるいは溶液重合への製造方法の変
遷、添加剤の検討が認められるものの、樹脂の透明性、
耐衝撃性の発現と、成形加工時の透明性の低下の防止と
を同時に達成したゴム変性スチレン系樹脂組成物および
その製造方法は未だ開発されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、連続
式塊状あるいは溶液重合による透明なゴム変性スチレン
系樹脂組成物およびその製造方法、すなわち透明性、耐
衝撃性に優れ、特に成形加工時の透明性の保持を実現し
たゴム変性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法を
提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、連続流通式塊状
あるいは溶液重合法によるゴム変性スチレン系樹脂の製
造方法において、特定の構造を持つ2種類のゴム状重合
体混合物の存在下、特定の条件でスチレン系単量体と
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合することに
より、ゴム状重合体と実質的に同等の屈折率を有するス
チレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
を生成させながら、ゴム状重合体を該共重合体で構成さ
れる連続相の中に分散する粒子を転移させた後、特定の
条件で未反応単量体を除去したところ、生成したゴム変
性スチレン系樹脂組成物は高度の透明性、耐衝撃性を持
ちながら、成形加工時の透明性の低下が極めて少ないと
いう驚くべき事実を見出して本発明を完成させた。
【0015】すなわち本発明は、ゴム状重合体4〜30
重量部と、該ゴム状重合体と実質的に同等の屈折率を有
し、スチレン系単量体20〜70重量%と(メタ)アク
リル酸アルキルエステル30〜80重量%からなるスチ
レン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体7
0〜96重量部とから構成され、該ゴム状重合体が該ス
チレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
中に分散した粒子である透明なゴム変性スチレン系樹脂
組成物において、該ゴム状重合体が、25℃における5
重量%スチレン溶液の粘度が3〜40センチポイズであ
り、かつその重量平均分子量(Mw)の数平均分子量
(Mn)に対する割合(Mw/Mn)が1.0〜1.5
の範囲内にあり、さらにポリスチレン5〜50重量%と
ポリブタジエン50〜95重量%からなるブロック共重
合体であるゴム状重合体(A)70〜98重量部と、2
5℃における5重量%スチレン溶液の粘度が40〜10
0センチポイズであり、かつその重量平均分子量(M
w)の数平均分子量(Mn)に対する割合(Mw/M
n)が1.5〜3.0の範囲内にあり、さらにスチレン
5〜50重量%とブタジエン50〜95重量%からなる
ランダム共重合体であるゴム状重合体(B)2〜30重
量部の混合物であり、該ゴム状重合体粒子の平均粒子径
が0.1〜2.0μm、粒子径分布指数2.0〜5.0
あることを特徴とする透明なゴム変性スチレン系樹脂組
成物を提供することにある。
【0016】また、本発明は、ゴム状重合体をスチレン
系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに溶解
した重合原料を重合装置に連続的に供給して重合を行う
ことにより、ゴム状重合体と実質的に同等の屈折率を有
するスチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共
重合体を生成させながら、ゴム状重合体を該共重合体で
構成される連続相の中に分散する粒子に転移させた後、
重合液から未反応単量体を除去する透明なゴム変性スチ
レン系樹脂の連続的製造方法において、(1)該ゴム状
重合体が、25℃における5重量%スチレン溶液の粘度
が3〜40センチポイズであり、かつその重量平均分子
量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する割合(Mw
/Mn)が1.0〜1.5の範囲内にあり、さらにポリ
スチレン5〜50重量%とポリブタジエン50〜95%
からなるブロック共重合体であるゴム状重合体(A)7
0〜98重量部と、25℃における5重量%スチレン溶
液の粘度が40〜100センチポイズであり、かつその
重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対す
る割合(Mw/Mn)が1.5〜3.0の範囲内にあ
り、さらにスチレン5〜50重量%とブタジエン50〜
95重量%からなるランダム共重合体であるゴム状重合
体(B)2〜30重量部の混合物であり、(2)ゴム状
重合体濃度を2〜12重量%に調整した重合原料に、ス
チレン系単量体20〜70重量%と(メタ)アクリル酸
アルキルエステル30〜80重量%からなる単量体の総
量100重量部に対して0.001〜5.0重量部の重
合開始剤を添加し、重合温度80〜160℃で重合を行
って、重合液中の固形分量が60重量%以下の状態でゴ
ム状重合体を平均粒子径0.1〜2.0μm、粒子径分
布指数2.0〜5.0の粒子に転移させ、(3)重合液
中の固形分量が75重量%以下の状態で重合液から未反
応単量体を除去することを特徴とする透明なゴム変性ス
チレン系樹脂の連続的製造方法を提供することにある。
【0017】本発明は、該スチレン系単量体がスチレン
であり、(メタ)アクリル酸アルキルエステルがメタク
リル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸ブチルから選ばれる1種あるいは2種以上の
混合物である上記の透明なゴム変性スチレン系樹脂の連
続的製造方法を提供することにある。
【0018】さらに本発明は、該スチレン系単量体がス
チレンであり、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが
メタクリル酸メチル単独あるいはメタクリル酸メチルと
アクリル酸エチルの混合物である請求項2記載の透明な
ゴム変性スチレン系樹脂の連続的製造方法ほ提供するこ
とにある。
【0019】さらに、本発明は、重合液中の固形分量が
50重量%以下の状態でゴム状重合体を分散粒子に転移
させ、重合液中の固形分量が60重量%以下の状態で重
合液から未反応単量体を除去することを特徴とする上記
の透明なゴム変性スチレン系樹脂の連続的製造方法であ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の樹脂組成物およ
びその製造方法について詳細に説明する。本発明の特徴
は特定の分子構造を持つ2種類のゴム状重合体混合物を
用いることにある。本発明で用いるゴム状重合体が、2
5℃における5重量%スチレン溶液の粘度3〜40セン
チポイズであり、かつその重量平均分子量(Mw)の数
平均分子量(Mn)に対する割合(Mw/Mn)が1.
0〜1.5の範囲内にあり、さらにポリスチレン5〜5
0重量%とポリブタジエン50〜95重量%からなるブ
ロック共重合体であるゴム状重合体(A)70〜98重
量部と、25℃における重量%スチレン溶液の粘度が4
0〜100センチポイズであり、かつその重量平均分子
量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する割合(Mw
/Mn)が1.5〜3.0の範囲内にあり、さらにスチ
レン5〜50重量%とブタジエン50〜95重量%から
なるランダム共重合体であるゴム状重合体(B)2〜3
0重量部の混合物である。
【0021】本発明で用いるゴム状重合体(A)の25
℃における5重量%スチレン溶液の粘度は3〜40セン
チポイズである。溶液粘度が3センチポイズより低い場
合には樹脂の耐衝撃性が低くなるので好ましくない。溶
液粘度が40センチポイズよりも高い場合には生成する
ゴム状重合体粒子径が著しき大きくなり樹脂の透明性が
低下するので好ましくない。特に溶液粘度が3〜30セ
ンチポイズのゴム状重合体を使用した樹脂は透明性に優
れ、溶液粘度が10〜40センチポイズのゴム状重合体
はゴム状重合体粒子の衝撃吸収能力に優れている。溶液
粘度が7〜30センチポイズ、特に好ましくは7〜20
センチポイズのゴム状重合体を使用した樹脂は透明性と
耐衝撃性のバランスに優れている。
【0022】本発明においてゴム状重合体(A)の重量
平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する割
合(Mw/Mn)は1.0〜1.5、好ましくは1.0
〜1.3の範囲内にあることが樹脂の透明性、成形加工
時の透明性の保持の点から好ましい。
【0023】一般に、スチレン−ブタジエンブロック共
重合体は通常リビング重合法で製造されているため分子
量分布は狭い。しかし25℃における5重量%スチレン
溶液の粘度を3〜40、特に3〜20センチポイズ程度
にまで低くすると、製造されたゴム状重合体の塊は常温
での保管や輸送中にコールドフローと呼ばれる大変形を
起こしてしまうため、その取り扱いが難しく工業的には
適さないと考えられている。そこで溶液粘度の低いゴム
状重合体がコールドフローを起こさないように触媒系の
改良や重合速度の調整、重合工程の分割、すず、亜鉛な
どのカップリング剤の添加などによって分子量分布を広
げてコールドフローに対応したものが多い。Mw/Mn
が1.5より大きいと、ゴム状重合体を粒子化するとき
の重合転化率が高い場合には生成する粒子径が大きく、
さらに重合転化率の僅かな揺らぎにより粒子径が大きく
変動し、同一の粒子径を安定して生成させることが難し
いので好ましくない。本発明でいう重量平均分子量(M
w)、数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションク
ロマトグラフを用いて測定されたものであり、分子量が
既に知られているポリスチレン標準試料を対比として換
算された値である。
【0024】本発明で用いるゴム状重合体(A)がポリ
スチレン5〜50重量%とポリブタジエン50〜95重
量%からなるブロック共重合体である。ポリスチレンの
割合が5〜30重量%のゴム状重合体を用いた樹脂は耐
衝撃性に優れ、ポリスチレンの割合が30〜50重量%
のゴム状重合体を用いた樹脂は透明性に優れる。ポリス
チレンの割合が15〜35重量%のゴム状重合体を用い
ると透明性、耐衝撃性が高次にバランスした樹脂が得ら
れる。ポリスチレンの割合が5重量%未満では生成スル
ゴム粒子径が著しく大きく、樹脂の透明性が低いので好
ましくない。ポリスチレンの割合が50重量%を越える
と樹脂の耐衝撃性が低くなるので好ましくない。またポ
リスチレンとポリブタジエンとの結合部位には該ゴム状
重合体分子量の1/10以下の分子量を持つスチレン−
ブタジエンランダム共重合体が存在していても構わな
い。
【0025】本発明において用いられるゴム状重合体
(B)の25℃における5重量%スチレン溶液の粘度が
40〜100センチポイズである。溶液粘度が40セン
チポイズより低い場合には樹脂の耐衝撃性が低くなるの
で好ましくない。溶液粘度が100センチポイズよりも
高い場合には生成するゴム状重合体粒子径が著しく大き
くなり樹脂の透明性が低下するので好ましくない。特に
溶液粘度が40〜60センチポイズのゴム状重合体を使
用した樹脂は透明性に優れ、溶液粘度が60〜100セ
ンチポイズのゴム状重合体はゴム状重合体粒子の衝撃吸
収能力に優れている。溶液粘度が45〜80センチポイ
ズ、好ましくは45〜65センチポイズのゴム状重合体
を使用した樹脂は透明性と耐衝撃性のバランスに優れて
いる。
【0026】本発明においてゴム状重合体(B)の重量
平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する割
合(Mw/Mn)は1.5〜3.0の範囲内である。M
w/Mnが1.5〜2.5範囲内にあるゴム状重合体
(B)を用いた樹脂は透明性に優れ、Mw/Mnが2.
0〜3.0の範囲内にあるゴム状重合体(B)を用いた
樹脂は耐衝撃性に優れる。Mw/Mnが2.0〜2.5
の範囲内にあるゴム状重合体(B)を用いた樹脂は透明
性と耐衝撃性のバランスに優れている。Mw/Mnが
3.0より大きいと、生成する粒子径が大きく、樹脂の
透明性が低下するので好ましくない。Mw/Mnが1.
5より小さいと、樹脂の耐衝撃性が低下するので好まし
くない。
【0027】本発明で用いるゴム状重合体(B)はスチ
レン5〜50重量%とブタジエン50〜95重量%から
なるランダム共重合体である。スチレンの割合が5〜3
0重量%のゴム状重合体を用いた樹脂は耐衝撃性に優
れ、スチレンの割合が30〜50重量%のゴム状重合体
を用いた樹脂は透明性に優れる。スチレンの割合が15
〜35重量%のゴム状重合体を用いると透明性、耐衝撃
性が高次にバランスした樹脂が得られる。スチレンの割
合が5重量%未満では生成するゴム粒子径が著しく大き
く、樹脂の透明性が低いので好ましくない。スチレンの
割合が50重量%を越えると樹脂の耐衝撃性が低くなる
ので好ましくない。ゴム状重合体(B)としてポリスチ
レン−ポリブタジエンブロック共重合体を用いても樹脂
の耐衝撃性および成形加工時の透明性の変化の改善は認
められなかった。
【0028】本発明におけるゴム状重合体(A)とゴム
重合体(B)の割合は、ゴム状重合体(A)70〜98
重量部に対しゴム状重合体(B)2〜30重量部であ
る。ゴム状重合体(B)の割合が2〜10重量部の場合
には樹脂の成形加工時の透明性の変化が少なく、ゴム状
重合体(B)の割合が10〜30重量部の場合には樹脂
の耐衝撃性が高い。ゴム状重合体(B)の割合が5〜1
5重量部の場合には樹脂の耐衝撃性ならびに成形加工時
の透明性の変化のバランスに優れる。ゴム状重合体
(B)の割合が2重量部に満たない場合には樹脂の耐衝
撃性の改善は認められず、30重量部を越える場合には
樹脂の透明性が大幅に低下するので好ましくない。
【0029】なお、本発明の方法ではスチレン系樹脂と
ゴム状重合体との屈折率が近い値にする必要があり、例
えばポリマーハンドブック(Third Edition, VI/451〜46
1)に記載されている数値等を利用して当業者であれば適
宜選択して本発明を実施することができる。
【0030】ゴム状重合体は重合原料100重量部に対
し2〜12重量部、好ましくは3〜10重量部の範囲で
用いられる。ゴム状重合体が12重量部を越えると、反
応器におけるゴム状重合体粒子の形成が困難である。ま
たゴム状重合体が2重量部未満では樹脂の耐衝撃性が低
いので好ましくない。製造された樹脂100重量部に含
まれるゴム状重合体の量は4〜30重量部が好ましい。
ゴム状重合体量が4〜15重量部の場合には樹脂の透明
性に優れ、ゴム状重合体量が10〜30重量部の場合に
は樹脂の耐衝撃性に優れる。ゴム状重合体量が6〜20
重量部の場合には樹脂の耐衝撃性、透明性のバランスが
優れる。ゴム状重合体量が30重量部を越えると樹脂の
透明性が著しく低下するため好ましくない。またゴム状
重合体が4重量部未満では樹脂の耐衝撃性が低いので好
ましくない。
【0031】本発明の透明なゴム変性スチレン系樹脂組
成物の製造方法としては個々に製造した該ゴム状重合体
とスチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重
合体とをブレンドする方法、該ゴム状重合体の存在下、
スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルとを連続的にあるいは回分的に乳化重合、塊状重合あ
るいは溶液重合する方法があるが、不純物の少なさ、透
明性の高さから連続流通式塊状あるいは溶液重合法が好
ましい。
【0032】本発明におけるスチレン系単量体として
は、一般式(I)(化1)
【0033】
【化1】 (上記式においてR1 は水素、炭素数1から5のアルキ
ル基、ハロゲンを、R2は水素、炭素数1から5のアル
キル基、ハロゲン、炭素数1から5の不飽和炭化水素を
示し、R2 は同一であっても異なってもよい)で示され
る不飽和芳香族化合物、特にスチレンおよびその誘導体
が使用され、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ハロゲン化
スチレン、エチルスチレン、p−イソプロピルスチレ
ン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレ
ン、ジビニルベンゼンなどの1種あるいは2種以上が用
いられ、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、p
−メチルスチレンが用いられる。
【0034】これらは単独でも2種以上混合して使用し
てもよい。スチレンは最も汎用性が高くかつ安価であ
り、α−メチレルスチレン、p−メチルスチレンを用い
ると樹脂の耐熱性が向上する。本発明においてスチレン
系単量体は重合原料中の各種単量体の総量100重量部
に対し20〜70重量部の範囲、好ましくは25〜55
重量部の範囲で用いられる。スチレン系単量体が20重
量部より少ないと生成するゴム状重合体粒子が巨大化し
て製品の耐衝撃性が低下するので好ましくない。スチレ
ン系単量体が70重量部より多いと製品の透明性、耐衝
撃性が低下するので好ましくない。
【0035】本発明の(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルとしては一般式(II)(化2)
【0036】
【化2】 (上記式においてR3 は水素あるいは炭素数1から5の
アルキル基を、R4 は炭素数1から5のアルキル基を示
す)で示される不飽和炭化水素化合物であり、かつ後述
するゴム状重合体よりも屈折率の低い化合物が使用さ
れ、好ましくはメチルメタクリレート、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートが用い
られ、特に好ましくはメチルメタクリレート、エチルア
クリレートが用いられる。これらは単独でも2種以上混
合して使用してもよい。メチルメタクリレートを用いた
樹脂は剛性、耐候性が向上し、ブチルアクリレートを用
いた樹脂は柔軟性が向上する。エチルアクリレートを用
いると樹脂の柔軟性が向上すると同時に、ゴム粒子径を
制御し易いため樹脂の耐衝撃性が高い。
【0037】本発明において(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルは重合原料中の各種単量体の総量100重量
部に対して30〜80重量部の範囲、好ましくは45〜
75重量部の範囲で用いられる。(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルが30重量部より少ないと製品の透明
性、耐衝撃性が低下するので好ましくない。(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルが80重量部より多いと製品
の耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0038】本発明においてスチレン−(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル共重合体の屈折率をゴム状重合体
と実質的に同等にするには、例えば特開平4−3516
49にあるように使用するゴム状重合体の化学組成に応
じて該共重合体のスチレンと(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルの割合を制御する方法が用いられる。
【0039】本発明においては、重合開始剤としてベン
ゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t
−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、
t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、
t−ブチルパーオキシオクトエート、クミルパーオキシ
オクトエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの有機化酸
化物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−
アソビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アソ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化
合物を使用する。グラフト効率が高いことから有機過酸
化物の使用が好ましい。
【0040】用いられる重合開始剤の種類は重合温度、
重合液の平均滞留時間、目標とする重合転化率、重合開
始剤の半減期に基づいて選択することができる。例えば
重合を80〜100℃で行う場合には90℃における半
減期が1分〜2時間の重合開始剤を、100〜140℃
で行う場合には90℃における半減期が10分〜20時
間の重合開始剤を、140〜160℃で行う場合には9
0℃における半減期が2時間以上の重合開始剤を使用す
るのが好ましい。特にt−ブチルパーオキシピバレー
ト、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエー
ト)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,
5−トリメチルシクロヘキサンの使用が好ましく、特に
t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサンの使用が好ましい。
【0041】重合開始剤は重合原料中の単量体の総量1
00重量部に対し通常0.001〜5.0重量部、好ま
しくは0.001〜3.5重量部、さらに好ましくは
0.001〜2.0重量部の範囲で用いられる。重合開
始剤の量が5.0重量部を越えると未反応重合開始剤の
分解物が重合系内に蓄積し重合を阻害するので好ましく
ない。重合開始剤の量が0.001重量部未満では重合
温度が高くなり、重合反応が暴走し易いので好ましくな
い。
【0042】本発明においては必要に応じて重合原料に
有機溶剤を加えることができる。有機溶剤としてはベン
ゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセト
ン、イソプロピルベンゼン、メチルエチルケトン、ジメ
チルホルムアミドなどが挙げられ、特にエチルベンゼ
ン、トルエンの使用が好ましい。有機溶剤濃度は重合液
の総量100重量部に対し通常5〜50重量部、好まし
くは5〜30重量部の範囲で用いられる。
【0043】本発明においては、スチレン−(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル共重合体の分子量を調節する
ために様々な公知の連鎖移動剤を用いることができる。
例えばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカ
プタン、n−オクチルメルカプタン、α−メチルスチレ
ンダイマーなどの公知の化学物質が用いられる。連鎖移
動剤の使用量はその連鎖移動能力、目標とする該共重合
体の分子量に依存するが、重合原料中の各種単量体の総
量100重量部に対して通常0〜10重量部の範囲で用
いられる。
【0044】本発明における重合装置は特に限定される
ものではなく、槽型反応器、管型反応器、塔型反応器な
ど任意の形式の反応器を用いることができる。重合装置
を構成する反応器の数は1基以上、特にスチレン−(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル共重合体組成の均一性
および制御性の点から1基であることが好ましい。反応
器には重合熱の除去システムとして、ジャケットあるい
はドラフトチューブに熱媒体を流して除熱するシステム
は、重合液から単量体や有機溶剤などの低沸点成分を蒸
発させ蒸発潜熱で重合液を冷却するシステムが組み込ま
れているものが好ましい。反応器にはパドル翼、タービ
ン翼、格子翼、ゲート翼、プロペラ翼、スクリュー翼、
ファウドラー翼、ヘリアルリボン翼などの公知の攪拌翼
が取り付けられ、これらの翼は1種または2種以上を組
み合わせて用いることもできる。また翼の構成は一段翼
でも多段翼でもよい。ゴム状重合体を粒子に転移させる
反応器としては、生成するゴム状重合体粒子径の制御の
し易さ、重合液を均一に混合する能力の高さから完全混
合型反応槽が特に好ましい。攪拌翼の回転数は反応器の
容積、重合液の粘度、必要とする剪断力などによって変
化するが、通常は3rpm〜600rpmである。
【0045】本発明では、重合は通常80〜160℃、
好ましくは100〜140℃の範囲で行われる。重合温
度が80℃より低いと重合速度が低いため生産性が悪
く、また後続する脱揮発分装置において未反応単量体や
有機溶剤を揮発させるのに必要な熱負荷が大きくなるの
で好ましくない。また160℃以上では重合反応が暴走
し易く、重合条件を長期間維持するのが困難であり、実
際のプラントとして稼働させるのは、プラントの操業安
定性、ひいては高度の透明性、耐衝撃性を有する樹脂を
安定に生産する能力に大きな問題がある。また重合温度
が160℃以上では低分子量の共重合体が多く生成し、
製品の成形加工性が悪化するので好ましくない。
【0046】本発明における重合液の反応槽での平均滞
留時間としては、0.2〜10.0時間、好ましくは
1.5〜5.0時間である。平均滞留時間が0.2時間
より短い場合は、重合原料が十分に重合されないまま反
応槽を素通りする現象が起こり製品の物性が低下し、平
均滞留時間が10.0時間より長い場合は生産量が減少
して樹脂の製造費用が増大し、生産性が低下するので好
ましくない。
【0047】本発明においては重合液中の固形分量が6
0重量%以下、好ましくは50重量%以下の状態で、ゴ
ム状重合体をスチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル共重合体で構成される連続相の中に分散する平均
粒子径0.1〜2.0μm、粒子径分布指数2.0〜
5.0の粒子に転移させる。
【0048】重合液中の固形分量とは重合液に含まれる
ゴム状重合体とスチレン−(メタ)アクリル酸アルキル
エステル共重合体の総和をいう。ゴム状重合体が分散相
に転移する主な要因はゴム状重合体と生成したスチレン
−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体との重
量比であり、該共重合体量が重合液中のゴム状重合体量
の約2倍を越えると相転移が起こるが、本発明では前述
した特定のゴム状重合体分子構造、ゴム状重合体濃度、
重合開始剤量、重合温度のもと重合液中の固形分量60
重量%以下の状態にすることにより、相転移後のゴム状
重合体粒子径および粒子径分布を所定の範囲に制御する
ことができることを見出した。重合液中の固形分量が6
0重量%を越えるとゴム状重合体粒子径および粒子径分
布が著しく大きくなり、樹脂の透明性、耐衝撃性が低下
するので好ましくない。重合液中の固形分量が50重量
%以下の状態で相転移させると、樹脂の透明性、特に成
形加工時の透明性の保持率が向上するので好ましい。
【0049】本発明におけるゴム変性スチレン系樹脂に
含まれるゴム状重合体の平均粒子径は0.1〜2.0μ
m、粒子径分布指数は2.0〜5.0である。ゴム状重
合体の平均粒子径および粒子径分布指数の測定方法は実
施例に記す。ゴム状重合体の平均粒子径が0.1μmよ
り小さいと樹脂の耐衝撃性が低く、2.0μmより大き
いと透明性、耐衝撃性ともに低いので好ましくない。特
にゴム状重合体の平均粒子径が0.1〜1.0μmの樹
脂は透明性に優れ、0.4〜2.0μmの樹脂は耐衝撃
性に優れ、0.2〜1.3μm、好ましくは0.3〜
0.8μmの樹脂は透明性、耐衝撃性のバランスに優れ
ている。粒子径分布指数が2.0より小さい樹脂は耐衝
撃性が低く、5.0より大きいと樹脂の透明性が低いの
で好ましくない。
【0050】特に粒子径分布指数が2.0〜4.0、好
ましくは2.0〜3.0の樹脂は透明性、成形加工時の
透明性の保持に優れ、2.5〜5.0、好ましくは2.
5〜4.0の樹脂は耐衝撃性に優れ、2.2〜3.5の
樹脂は透明性、耐衝撃性のバランスに優れている。
【0051】反応槽から連続的に抜き出された重合液
は、例えば特公昭48−29798、特開昭61−22
8012、特開昭62−179508、特公平3−56
242などに示されるような脱揮発分装置に連続的に供
給され、重合液から未反応単量体や有機溶剤などの揮発
性物質が除去される。このときの重合液中の固形分量は
30〜75重量%、好ましくは30〜67重量%、特に
好ましくは30〜59重量%、最も好ましくは30〜5
0重量%である。固形分量が30重量%未満では揮発性
物質を蒸発させるための熱量が大きく生産性が低いので
好ましくない。固形分量が75重量%を越えると重合液
の粘度が高く脱揮発分装置の操作が困難になるので好ま
しくない。
【0052】脱揮発分工程に続く製造工程は特に限定す
るものではないが、連続流通式塊状あるいは溶液重合法
によるスチレン系樹脂の製造方法においても通常行われ
ている押出工程や添加剤供給工程、造粒工程を経て透明
なスチレン系樹脂組成物が製造される。
【0053】本発明によって得られた透明なスチレン系
樹脂組成物は、その優れた透明性、耐衝撃性、成形加工
性からICケース、ブリスターケースなどのシート・包
装材料;洗濯機、エアコン、冷蔵庫、AV機器などの家
電製品;OA機器、電話、楽器などの一般機械;玩具、
化粧品容器などの雑貨;自動車、住宅資材などの構造材
料として使用され、産業上の利用価値は極めて大きい。
【0054】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何
ら制限されるものではない。
【0055】なお、スチレン系樹脂組成物の分析および
物性評価は以下の方法によった。 (a)ゴム状重合体の平均粒子径および粒子径分布指
数:スチレン系樹脂のペレットをオスミウム酸で染色し
た樹脂組成物超薄切片を透過型電子顕微鏡で撮影し、写
真中のゴム状重合体粒子500〜700個の粒子径を測
定して下記の式(I)(数1)により平均したものが平
均粒子径である。ただしnは粒子径Dのゴム状重合体の
個数である。
【0056】
【数1】 ゴム状重合体の平均粒子径=ΣnD4 /ΣnD3 I また粒子径分布指数は、粒子径の大きい方からの粒子径
の積算体積分率が10%になったときの粒子径をDA、
粒子径の大きい方からの粒子径の積算体積分率が90%
になったときの粒子径をDBとしたとき、下記の式II
(数2)で表される指数である。
【0057】
【数2】 ゴム状重合体の粒子径分布指数=DA/DB II (b)試験片の作成:得られた樹脂組成物を成形温度2
40℃、金型温度50℃で射出成形し、ヘイズ測定用試
験片(長さ15cm×幅10cm×厚さ2.5mm)お
よび図1で示される形状の実用衝撃強度測定用試験片を
作成した。 (c)ヘイズ:ASTM−D1003にしたがって測定
した。ヘイズ値が小さい方が透明性に優れている。 (d)アイゾット衝撃強度:ASTM D−256にし
たがって測定した。 (e)実用衝撃強度:図1で示される形状の試験片3箇
所の部位(部位S、部位T、部位U)について落錘衝撃
強度試験を行った。落錘の先端部はR=6.4mm、荷
台の内径は25mmとした。落錘衝撃強度は試験片の5
0%が破壊されるときのエネルギーであり、落錘の重さ
と落錘の落下距離をかけた値で表した。図1においてゲ
ート部、すなわち、溶融した樹脂が金型に流れ込み入口
はGで表され、ゲート部の位置の影響で、部位Sは厚み
の変化する部位であり、部位Tは角の近辺部位、部位U
は標準的な部位である。一般に、部位S、部位T、部位
Uの順に衝撃強度は強くなる傾向がある。 (f)成形加工時の透明性の変化:30nmシート押出
機を用いて、樹脂を厚さ0.3mmのシートに一次加工
した。このシートを真空成形により縦15cm×横10
cm×深さ5cmの食品パッケージに二次加工した。こ
の食品パッケージの側面を切り出してヘイズ(H)を測
定し、もとのシートのヘイズ(h)に対する割合(H/
h)を比較した。H/hの数値が1に近い樹脂が成形加
工時の透明性の保持に優れている。
【0058】実施例1 容量が20リットルの完全混合型反応槽1基からなる連
続的重合装置を用いてスチレン系樹脂を製造した。スチ
レン系単量体としてスチレンを、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルとしてメタクリル酸メチルとアクリル酸
エチルの混合物を用いた。ゴム状重合体として下記のゴ
ム状重合体(A)95重量%とゴム状重合体(B)5重
量%の混合物を用いた。ゴム状重合体(A)としては、
ポリスチレン23重量%とポリブタジエン77重量%か
ら構成され、25℃における5重量%スチレン溶液の粘
度が11センチポイズ、Mw/Mnが1.1であるスチ
レン−ブタジエンブロック共重合体(日本ゼオン(株)
製、商品名NIPOL:NS310S)を用いた。
【0059】ゴム状重合体(B)としては、スチレン2
5重量%とブタジエン75重量%とから構成され、25
℃における5重量%スチレン溶液の粘度が50センチポ
イズ、Mw/Mnが2.1であるスチレン−ブタジエン
ランダム共重合体(旭化成(株)製、商品名タフデンT
2000)を用いた。重合開始剤としてt−ブチルパー
オキシ(2−エチルヘキサノエート)を用いた。スチレ
ン30重量部、メタクリル酸メチル36重量部、アクリ
ル酸メチル9重量部、エチルベンゼン20重量部、ゴム
状重合体5重量部、t−ドデシルマルカプタン0.07
重量部、重合開始剤0.03重量部からなる重合原料を
プランジャーポンプを用いて10kg/hで連続的に該
反応槽に供給して重合を行い、重合温度を調節して反応
槽出口における固形分量を重合液に対し47.0重量
%、重合転化率を56.0重量%にした。このときの重
合温度は137℃であった。反応槽の攪拌回転数は15
0rpmであり、重合温度は反応槽の上部、中部、下部
の3箇所に熱電対を入れて測定したところ、3箇所の温
度は平均値±0.2℃の範囲に制御されており、重合液
は均一に混合されていると考えられる。重合原料中のス
チレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチルの比率
はそれぞれ40重量%、49重量%、12重量%であ
る。重合に続いて、反応槽から連続的に抜き出された重
合液を脱揮発分装置に供給して未反応単量体や有機溶剤
などの揮発性物質を分離した後、押出機を経て樹脂をペ
レット化した。
【0060】得られたスチレン系樹脂の分析および物性
評価結果を表1に示した。実施例2、比較例1、比較例
2とともにゴム状重合体(A)とゴム状重合体(B)と
の混合比による製品の物性の変化が観察される。後述の
比較例1と較べると耐衝撃性が高く成形加工時の透明性
の変化が小さいことが認められ、実施例2と較べると樹
脂の透明性に優れている。
【0061】実施例2 ゴム状重合体として、ゴム状重合体(A)90重量%と
ゴム状重合体(B)10重量%の混合物を用いるほかは
実施例1と全く同様にスチレン系樹脂を製造した。得ら
れたスチレン系樹脂の分析および物性評価を表1に示し
た。比較例3、比較例4とともにゴム状重合体(B)の
種類による製品の物性の変化が観察される。
【0062】比較例1 ゴム状重合体として、ゴム状重合体(A)100重量%
を用いるほかは実施例1と全く同様のスチレン系樹脂を
製造した。得られたスチレン系樹脂の分析および物性評
価を表2に示した。
【0063】比較例2 ゴム状重合体として、ゴム状重合体(A)50重量%と
ゴム状重合体(B)50重量%の混合物を用いるほかは
実施例1と全く同様にスチレン系樹脂を製造した。得ら
れたスチレン系樹脂の分析および物性評価を表2に示し
た。
【0064】比較例3 ゴム状重合体(B)として、25℃における5重量%ス
チレン溶液の粘度が85センチポイズ、Mw/Mnが
2.1であるポリブタジエン(旭化成(株)製、商品名
ジエン35AS)を用いるほかは実施例2と全く同様に
スチレン系樹脂を製造した。得られたスチレン系樹脂の
分析および物性評価を表2に示した。
【0065】比較例4 ゴム状重合体(B)として、スチレン20重量%とブタ
ジエン80重量%から構成され、25℃における5重量
%スチレン溶液の粘度が50センチポイズ、Mw/Mn
が1.6であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体
を用いるほかは実施例2と全く同様にスチレン系樹脂を
製造した。該共重合体はリチウム系触媒を用い溶液重合
法で製造したものを用いた。得られたスチレン系樹脂の
分析および物性評価を表2に示した。
【0066】実施例3 ゴム状重合体(A)として、スチレン20重量%とブタ
ジエン80重量%から構成され、25℃における5重量
%スチレン溶液の粘度が30センチポイズ、Mw/Mn
が1.1であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体
を用いるほかは実施例2と全く同様にスチレン系樹脂を
製造した。該共重合体はリチウム系触媒を用い溶液重合
法で製造したものを用いた。得られたスチレン系樹脂の
分析および物性評価を表1に示した。実施例2、比較例
5、比較例6ともにゴム状重合体(A)の種類による製
品の物性の変化が観察される。
【0067】比較例5 ゴム状重合体(A)として、スチレン20重量%とブタ
ジエン80重量%から構成され、25℃における5重量
%スチレン溶液の粘度が35センチポイズ、Mw/Mn
が2.0であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体
を用いるほかは実施例2と全く同様にスチレン系樹脂を
製造した。該共重合体はリチウム系触媒を用い溶液重合
法で製造したものを用いた。得られたスチレン系樹脂の
分析および物性評価を表2に示した。
【0068】比較例6 ゴム状重合体(A)として、スチレン20重量%とブタ
ジエン80重量%から構成され、25℃における5重量
%スチレン溶液の粘度が50センチポイズ、Mw/Mn
が1.3であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体
を用いるほかは実施例2と全く同様にスチレン系樹脂を
製造した。該共重合体はリチウム系触媒を用い溶液重合
法で製造したものを用いた。得られたスチレン系樹脂の
分析および物性評価を表2に示した。
【0069】実施例4 実施例1で用いた完全混合型反応槽を2基連結した連続
的重合装置を用いてスチレン系樹脂を製造した。スチレ
ン系単量体としてスチレンを、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルとしてメタクリル酸メチルとアクリル酸エ
チルの混合物を用いた。ゴム状重合体として実施例1と
同一の2種のゴム状重合体混合物を用いた。重合開始時
として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,
5−トリメチルシクロヘキサンを用いた。スチレン30
重量部、メタクリル酸メチル36重量部、アクリル酸エ
チル9重量部、エチルベンゼン20重量部、ゴム状重合
体5重量部、t−ドデシルメルカプタン0.07重量
部、重合開始剤0.03重量部からなる重合原料をプラ
ンジャーポンプを用いて10kg/hで連続的に第1の
反応槽に供給して重合を行い、重合温度を調節して第1
反応槽出口における固形分量を重合液に対して29.0
重量%、重合転化率を32.0重量%にした。このとき
の重合温度は115℃であった。
【0070】なお反応槽の攪拌回転数は150rpmで
ある。第1反応槽から連続的に抜き出した重合液を後続
の第2反応槽に供給してさらに150rpmで攪拌しな
がら重合を行い、重合温度を調節して第1反応槽出口に
おける固形分量を重合液に対して47.0重量%、重合
転化率を56.0重量%にした。このときの重合温度は
130℃であった。次いで第2反応槽から連続的に抜き
出された重合液を脱揮発分装置に供給して未反応単量体
や有機溶剤などの揮発性物質を分離した後、押出機を経
て樹脂をペレット化した。得られたスチレン樹脂の分析
および物性評価結果を表1に示した。実施例1と較べる
と樹脂の耐衝撃性に優れていることが認められる。
【0071】実施例5、比較例7 重合原料中のスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル
酸エチルを実施例5ではスチレン35重量部、メタクリ
ル酸メチル31重量部およびメタクリル酸エチル9重量
部、比較例7ではスチレン45重量部、メタクリル酸メ
チル21重量部およびメタクリル酸エチル9重量部に
し、重合温度を実施例5では139℃、比較例7では1
42℃にしたほかは、実施例1と全く同様にしてスチレ
ン系樹脂を製造した。この時、反応槽出口における固形
分量は重合液に対して47.0重量%、重合転化率は5
6.0重量%であった。得られたスチレン系樹脂の評価
結果を表1及び表2に示した。実施例1、実施例5、比
較例7の順に透明性が低下しているのが分かる。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、特定の分
子構造を持ったゴム状重合体とスチレン−(メタ)アク
リル酸アルキルエステル共重合体から構成される透明な
耐衝撃性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法を提
供するものであり、本発明による樹脂組成物は、その優
れた透明性、耐衝撃性、特に熱履歴後の耐衝撃性からI
Cケース、ブリスターケースなどのシート・包装材料;
洗濯機、エアコン、冷蔵庫、AV機器などの家電製品;
OA機器、電話、楽器などの一般機械;玩具、化粧品容
器などの雑貨;自動車、住宅資材などの構造材料など、
様々な用途を有し、産業上の利用価値は極めて大きなも
のがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実用衝撃強度の評価に用いた試験片であり、
(a)平面図、(b)は断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 尚夫 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (72)発明者 川野 浩司 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−107744(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 279/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム状重合体4〜30重量部と、該ゴム
    状重合体と実質的に同等の屈折率を有し、スチレン系単
    量体20〜70重量%と(メタ)アクリル酸アルキルエ
    ステル30〜80重量%からなるスチレン−(メタ)ア
    クリル酸アルキルエステル共重合体70〜96重量部と
    から構成され、該ゴム状重合体が該スチレン−(メタ)
    アクリル酸アルキルエステル共重合体中に分散した粒子
    である透明なゴム変性スチレン系樹脂組成物において、
    該ゴム状重合体が、25℃における5重量%スチレン溶
    液の粘度が3〜40センチポイズであり、かつその重量
    平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する割
    合(Mw/Mn)が1.0〜1.5の範囲内にあり、さ
    らにポリスチレン5〜50重量%とポリブタジエン50
    〜95重量%からなるブロック共重合体であるゴム状重
    合体(A)70〜98重量部と、25℃における5重量
    %スチレン溶液の粘度が40〜100センチポイズであ
    り、かつその重量平均分子量(Mw)の数平均分子量
    (Mn)に対する割合(Mw/Mn)が2.0〜3.0
    の範囲内にあり、さらにスチレン5〜50重量%とブタ
    ジエン50〜95重量%からなるランダム共重合体であ
    るゴム状重合体(B)2〜30重量部の混合物であり、
    該ゴム状重合体粒子の平均粒子径が0.1〜2.0μ
    m、粒子径分布指数2.0〜5.0あることを特徴とす
    る透明なゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ゴム状重合体をスチレン系単量体、(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステルに溶解した重合原料を
    重合装置に連続的に供給して重合を行うことにより、ゴ
    ム状重合体と実質的に同等の屈折率を有するスチレン−
    (メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を生成さ
    せながら、ゴム状重合体を該共重合体で構成される連続
    相の中に分散する粒子に転移させた後、重合液から未反
    応単量体を除去する透明なゴム変性スチレン系樹脂組成
    の連続的製造方法において、 (1)該ゴム状重合体が、25℃における5重量%スチ
    レン溶液の粘度が3〜40センチポイズであり、かつそ
    の重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対
    する割合(Mw/Mn)が1.0〜1.5の範囲内にあ
    り、さらにポリスチレン5〜50重量%とポリブタジエ
    ン50〜95%からなるブロック共重合体であるゴム状
    重合体(A)70〜98重量部と、25℃における5重
    量%スチレン溶液の粘度が40〜100センチポイズで
    あり、かつその重量平均分子量(Mw)の数平均分子量
    (Mn)に対する割合(Mw/Mn)が2.0〜3.0
    の範囲内にあり、さらにスチレン5〜50重量%とブタ
    ジエン50〜95重量%からなるランダム共重合体であ
    るゴム状重合体(B)2〜30重量部の混合物であり、 (2)ゴム状重合体濃度を2〜12重量%に調整した重
    合原料に、スチレン系単量体20〜70重量%と(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステル30〜80重量%から
    なる単量体の総量100重量部に対して0.001〜
    5.0重量部の重合開始剤を添加し、重合温度80〜1
    60℃で重合を行って、重合液中の固形分量が60重量
    %以下の状態でゴム状重合体を平均粒子径0.1〜2.
    0μm、粒子径分布指数2.0〜5.0の粒子に転移さ
    せ、 (3)重合液中の固形分量が75重量%以下の状態で重
    合液から未反応単量体を除去することを特徴とする透明
    なゴム変性スチレン系樹脂組成物の連続的製造方法。
  3. 【請求項3】 スチレン系単量体がスチレンであり、
    (メタ)アクリル酸アルキルエステルがメタクリル酸メ
    チル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
    酸ブチルから選ばれた1種あるいは2種以上の混合物で
    ある請求項2記載の透明なゴム変性スチレン系樹脂組成
    の連続的製造方法。
  4. 【請求項4】 スチレン系単量体がスチレンであり、
    (メタ)アクリル酸アルキルエステルがメタクリル酸メ
    チル単独あるいはメタクリル酸メチルとアクリル酸メチ
    ルの混合物である請求項2記載の透明なゴム変性スチレ
    ン系樹脂組成物の連続的製造方法。
  5. 【請求項5】 重合液中の固形分量が50重量%以下の
    状態でゴム状重合体を分散粒子に転移させ、重合液中の
    固形分量が60重量%以下の状態で重合液から未反応単
    量体を除去することを特徴とする請求項4記載の透明な
    ゴム変性スチレン系樹脂組成物の連続的製造方法。
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