JP3850305B2 - 芳香族モノビニル系樹脂シート及びそのシート用樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族モノビニル系単量体の残存量が少ない芳香族モノビニル系樹脂シート及びシート用樹脂組成物の製造方法に関し、より詳しくは、成形時の熱安定性に優れるとともに、直接食品等に接触する材料に好適に用いることができる、成形性に優れた芳香族モノビニル系樹脂シートに関する。更に、本発明は、臭気の少ない芳香族モノビニル系樹脂シートからなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族モノビニル系樹脂は、その優れた成形性により、電気製品材料や各種工業材料、雑貨や食品容器材料、包装材料等として広く用いられている。
しかしながら、芳香族ビニル樹脂、例えば、ポリスチレンにおいては、樹脂中に含まれるスチレン単量体の量が多いと、得られる製品に臭気の問題が生じる場合がある。また、樹脂中にスチレン単量体の二量体や三量体が多い場合には、耐熱性を下げたり、射出成形時に金型内で揮発して残留し、これが成形品に転写する等の不良現象を発生させたり、また金型の清掃頻度が増加することにより、生産性を低下させる等の問題がある。
【0003】
製品の臭気については、特開平7−149817号公報及び特開平7−149818号
公報において、フェノール系熱劣化防止剤による低臭気化が提案されている。また、二量体及び三量体の生成を防止する方法については、特開平5−170825号公報において、フェノール系熱劣化防止剤を樹脂製造時における重合工程または脱揮工程に添加する方法が提案されている。
一方、α−トコフェロールはビタミンEとして、非常に安全性が高く、食品の保存剤や酸化防止剤等の安定剤として用いられている。特開2000−248103号公報、特開2000−248104号公報、及び特開2001−161534号公報において、α−トコフェロールを樹脂に添加することにより、押出発泡シート生産時のスチレン単量体の二量体及び三量体の増加抑制方法が提案されているが、スチレン単量体に関しては、何ら開示されていない。また、樹脂製造時の脱揮工程のような、無酸素、高温下におけるスチレン単量体の二量体及び三量体の増加抑制効果に関しても、何ら開示されていない。
【0004】
樹脂中の芳香族モノビニル系単量体や、その二量体及び三量体が多い場合には、非発泡シート及び発泡シートの生産時において、次のような問題を引き起こす場合がある。
すなわち、非発泡シートの生産時(一次成形)において単量体が多いと、ダイスからのガス抜けが円滑に行われず、局部的に片寄り、シート表面にダイライン(シート表面に筋がはしる現象)が発生する場合がある。また二量体、三量体が多いと、これらがダイス部に凝縮して溜まり、シート面に付着して異物となる場合がある。これらの現象は、二次成形後の製品の外観不良、印刷不良等の重大な問題点を引き起こす場合がある。
【0005】
また、発泡シートの生産時(一次成形)において単量体が多いと、特に、量産機における押出機のマンドレル内で単量体が凝縮し、凝縮した液が発泡シート表面に付着(液だれ現象)し、二次成形後の製品の外観不良、印刷不良等の重大な問題点を引き起こす場合がある。また二量体、三量体が多いと、樹脂の伸張粘度が低下して、二次成形時にドローダウン等で成形幅が狭くなり、生産性が低下する場合がある。
これらの問題点を解消するために、樹脂製造時において、スチレン単量体や、その二量体及び三量体等の低分子成分の残存量を少なくし、更に、シート製造時及び二次成形時においても、これら低分子成分がポリスチレンの熱分解によって生成しないようにすることが望まれている。樹脂製造時には、重合工程または脱揮工程条件等を制御することで、低分子成分を低減させることはある程度まで可能ではある。しかしながら、得られる製品における熱分解の抑制には、安定剤等の添加により樹脂の安定化を図ることが必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、芳香族モノビニル系単量体の残存量が少ない芳香族モノビニル系樹脂シート及びシート用樹脂組成物の製造方法に関し、成形時の熱安定性に優れるとともに、直接食品等に接触する材料に好適に用いることができ、成形性に優れた芳香族モノビニル系樹脂シートに関する。更には、本発明は、臭気の少ない芳香族モノビニル系樹脂シート及びそのシートからなる成形品、更にはシート用樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意研究を進めた結果、特定の分子量の芳香族モノビニル系ポリマーに、特定の安定剤を特定割合で加え、芳香族モノビニル系単量体の濃度を特定濃度以下にすることにより、これまで予想し得なかった優れた特性を有する芳香族モノビニル系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
1)(a)重量平均分子量が15〜70万のスチレン単量体からなるポリマーと、(b)α−トコフェロールとからなるスチレン樹脂組成物であって、α−トコフェロールの量がポリマー重量に対して0.001〜0.3重量%であり、また、スチレン樹脂組成物におけるスチレン単量体の残存量が100ppm以下で、且つスチレン単量体からなる二量体と三量体の残存量が合計で0.4重量%以下である、前記スチレン樹脂組成物の製造方法であって、スチレン単量体を重合工程にてラジカル重合し、次いで脱揮工程にて重合反応後の反応物から未反応物及び/又は溶剤を除去して、スチレン単量体からなるポリマーを製造するにあたり、ポリマー重量に対して0.001〜0.3重量%のα−トコフェロールを、スチレン単量体を重合する重合工程においてスチレン単量体の重合率が60%以上90%以下となった時点で、重合温度が160℃以下のときに添加する、スチレン樹脂組成物の製造方法。
に関する。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
上述の通り、本発明は、(a)重量平均分子量が15〜70万の芳香族モノビニル系単量体からなるポリマーと、α−トコフェロールからなる芳香族モノビニル系樹脂組成物であり、ここで、α−トコフェロールの量は、ポリマー重量に対して0.001〜0.3重量%であり、また、芳香族モノビニル系樹脂組成物に残存する芳香族モノビニル単量体の残存量は、100ppm以下である。
本発明において、(a)芳香族モノビニル系単量体からなるポリマーを得るために、原料として用いる芳香族モノビニル系単重体としては、スチレン単独のみならず、スチレンと共重合可能な他のビニル系単量体とスチレンとの混合物を挙げることができる。ここでスチレンと共重合可能な他のビニル系単量体として、具体的には、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルメタクリレート、ハロゲン含有ビニルモノマー、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等があり、これらの1種以上を用いることができる。これらスチレンと共重合し得るビニル系単量体は、通常、全単量体の60重量%以下、好ましくは50重量%以下の割合で用いることができる。
【0009】
また、芳香族モノビニル系ポリマーは、ポリブタジエン、SBR、ポリイソプレン、ニトリルゴム、天然ゴム等のゴム成分を含んでいても良い。
本発明においては、α−トコフェロールの量は、ポリマー重量に対して0.001〜0.3重量%、好ましくは0.005〜0.20重量%、更に好ましくは0.008〜0.15重量%である。ここで、α−トコフェロールの添加量が0.001重量%未満であると、脱揮工程での芳香族モノビニル系単量体、及びその二量体や三量体の生成抑制効果が不十分となり、これらの少ない製品を得ることが出来ない。また、添加量が0.001重量%未満の場合には、成形時におけるポリマーの熱分解によるスチレン単量体生成を抑制する効果が不十分となり、製品の残留スチレン単量体レベルを低く抑えることが極めて難しくなり、好ましくない。一方、上記α−トコフェロールを0.3重量%より多く添加しても、添加量に見合うだけの効果が得られない。
【0010】
本発明においては、芳香族モノビニル系単量体の残存量は、100ppm以下、好ましくは95ppm以下である。ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレンで、開口部幅95mm、奥行55mm、深さ96mm、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成し、この容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間後にこの温湯の臭気を確認したところ、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm以下では、臭気の問題が大幅に改善される。
また、本発明においては、芳香族モノビニル系ポリマーの重量平均分子量は、15〜70万が好ましい。より好ましくは18〜50万である。15万未満では、製品の強度が不充分となり、70万より大きいと成形性が著しく低下する。
また、本発明においては、芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の残存量を合計で0.4重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.35重量%以下である。0.4重量%以下では、射出成形の場合、成形品へのオイル付着が大幅に改善され、成形性が非常に良好となる。この場合、前記と同様に、芳香族モノビニル系単量体を100ppm以下にすることにより、臭気の少ない、成形性に非常に優れる製品が得られる。
【0011】
なお、芳香族モノビニル系ポリマーとしてポリスチレンを用いた場合、上記射出成形で付着したオイルを調べたところ、二量体としては、1,3−ジフェニルプロパン、2,4−ジフェニル−1ブテン、1,2−ジフェニルシクロブタン、1−フェニルテトラリン、三量体としては、2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセン、1−フェニル−4−(1’−フェニルエチル)テトラリン等が含まれていた。
本発明の方法で得られた芳香族モノビニル系樹脂組成物には、所望に応じて、通常用いられている添加剤、例えば滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、可塑剤、染料、顔料、各種充填剤などを添加することができる。また、他のポリマー、例えば一般のポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合エラストマー、部分的にまたは完全に水素添加されたスチレン−ブタジエン共重合エラストマー、ポリフェニレンエーテルなどを配合することもできる。
【0012】
本発明の芳香族モノビニル系樹脂組成物からなる樹脂シートは、発泡シートとすることができ、またかかる発泡シートは成形品とすることができる。本発明の芳香族モノビニル系樹脂組成物を用いた発泡シートの製造時、押出機マンドレル内の芳香族モノビニル系単量体の凝縮による製品への影響について確認したが、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm以下の場合には、外観不良と印刷性の不良は見られず、製品の外観が大幅に改善される。一方、100ppmを超えると、外観不良や印刷性の不良が見られる。
更に、芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の残存量の合計が、0.4重量%以下の場合には、製品の厚み斑が非常に少なく、また発泡シートと成形品の外観も改善された。成形品の表面を光学顕微鏡で拡大して見たところ、気泡破れが少なく、表面が滑らかであることが確認された。
【0013】
また、本発明の芳香族モノビニル系樹脂組成物からなる樹脂シートは、非発泡シートとすることができ、またかかる非発泡シートは成形品とすることができる。上記同様、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm以下の場合には、非発泡シート製造時においてダイラインの発生が見られず、製品の外観が大幅に改善される。
更に、芳香族モノビニル系単量体の二量体及び三量体を合計で0.4重量%以下とした場合、異物の付着を目視で確認したが、異物の付着が見られず、製品の外観が大幅に改善された。一方、0.4重量%を超えると、ダイス部に付着した異物がシートに転写、製品の外観が悪いものとなる。
【0014】
続いて、本発明の芳香族モノビニル系樹脂組成物の製造方法について述べる。
芳香族モノビニル系ポリマー、例えば、工業的規模で生産されるポリスチレンは、ほとんどラジカル重合で生産されているが、未反応物及び/又は溶剤を脱揮工程で除去する際に、あるいは脱揮した直後のポリマーが熱分解によって、スチレン単量体及びその二量体や三量体が多く発生し、得られる製品はこれらを多く含むものとなる。さらにこれらの樹脂を用いて、射出成形、ブロー成形、押出成形等で成形品を得た場合、成形時の熱履歴により、スチレン単量体、その二量体、三量体の量はさらに増加する。
【0015】
工業的に生産されているポリスチレン中に残留する単量体の量は、200〜400ppm程度であり、例えば、100ppm以下のものを得ようとすることは、極めて困難である。従来、ポリスチレンはスチレン単量体の反応で生成する熱開始ラジカル及び/又は重合開始剤ラジカルで重合することが多かった。この場合、重合開始剤ラジカルの割合を増やすことにより、スチレン単量体の二量体及び三量体の量を低減させることはできるが、脱揮工程でのポリマーの熱分解により再び発生するため、これらの量の低減には限界があった。
【0016】
本発明の芳香族モノビニル系樹脂組成物の製造方法は、α−トコフェロールを重合工程あるいは脱揮工程において、または重合工程後、脱揮工程前において添加して、芳香族モノビニル系単量体の量、更には、その二量体及び三量体の量が非常に少ない製品を得る方法である。
本発明の重合工程における、芳香族モノビニル系単量体の重合方法については、特に制限はなく、従来慣用されている方法、例えば、ラジカル重合法としては、塊状重合法、懸濁重合法、塊状−懸濁重合法のような多段重合法、乳化重合法が可能であり、また、アニオン重合法あるいはメタロセン触媒を用いたイオン重合法等も用いることができる。
ここで、ラジカル重合法である塊状重合法を例に挙げて、本発明の重合方法について説明する。
【0017】
本発明の方法で用いられる重合開始剤としては、有機過酸化物、例えば2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレートなどのペルオキシケタール類、ジーt−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシイソブロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トリオイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジ−n−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネートなどのペルオキシジカーボネート類、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−プチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジペルオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートなどのペルオキシエステル類、アセチルアセトンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。
【0018】
また、アゾ系開始剤である、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等を用いることもできる。
これらの有機過酸化物あるいはアゾ系開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合条件としては、重合開始剤としての有機過酸化物の分解温度に応じて、20〜180℃で重合を開始し、塊状重合を行えばよい。この塊状重合系には、連鎖移動剤、溶剤、一般的な酸化防止剤等の熱安定剤、ミネラルオイル、シリコンオイル等を適宜添加することができる。
ここで連鎖移動剤としては、例えばα−メチルスチレンリニアダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1−フェニル−2−フルオレン、ジベンテン、クロロホルムなどのメルカプタン類、テルペン類、ハロゲン化合物、テレピノーレン等のテレピン類等を挙げることができる。この連鎖移動剤の使用量は、特に制限はないが、一般的には単量体に対して、0.005〜0.1重量%程度加えれば良い。
【0019】
必要に応じて用いられる溶剤としては、芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジアルキルケトン類、例えばメチルエチルケトンなどが挙げられ、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、重合生成物の溶解性を低下させない範囲で、他の溶剤、例えば脂肪族炭化水素類等を芳香族炭化水素類に混合することができる。これらの溶剤は、単量体に対して、25重量%を超えない範囲で使用するのが好ましい。溶剤が25重量%を超えると、重合速度が著しく低下し、かつ、得られる樹脂の衝撃強度の低下が大きくなる。また、溶剤の回収のために、多量のエネルギーを要するので経済性も劣ってくる。溶剤は、重合が進み、比較的高粘度になってから添加してもよいし、あるいは重合前から添加しておいてもよいが、重合前に5〜20重量%の割合で添加しておく方が、品質が均一化し易く、重合温度制御の点でも好ましい。
【0020】
また、一般的な安定剤として、例えばオクタデシル−3−(3,5−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールなどのヒンダートフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−ターシャリーブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系加工熱安定剤等を挙げることができる。これらの安定剤をそれぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて適宜用いてもよい。添加時期については、特に制限はなく、重合工程又は脱揮工程のいずれでもよい。また、押出機やバンバリミキサー等機械的装置で製品に安定剤を混合することもできる。
なおここで、上記重合工程において用いる装置については、特に制限はなく、芳香族モノビニル系単量体の重合方法に従って適宜選択すれば良い。例えば、塊状重合による場合には、第1反応器、第2反応器及び第3反応器からなる重合装置を、アニオン重合による場合にはオートクレーブ等の重合装置を用いることができる。
【0021】
本発明においては、脱揮工程についても特に制限はない。芳香族モノビニル系単量体の重合を塊状重合で行なう場合は、最終的に未反応の芳香族モノビニル系単重体が、好ましくは50重量%、より好ましくは40重量%以下になるまで重合を進め、かかる芳香族モノビニル系単重体などの揮発分を除去するために、公知の方法にて脱揮処理する。
この脱揮工程は、重合反応後の反応物から、未反応物及び/又は溶剤を除去するためのものであり、脱揮処理には、例えばフラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などの通常の脱揮装置を用いることができる。なお、脱揮処理の温度は、通常、190〜280℃程度であり、また脱揮処理の圧力は通常、1〜400torr(トール)程度である。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して除去する方法や、揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去することが望ましい。
【0022】
本発明においては、α−トコフェロールを、重合工程あるいは脱揮工程において添加することが好ましい。つまり、この場合には、本発明のα−トコフェロールは、重合反応に用いられる反応器又は押出機等に添加されることになる。
また、重合工程の終了後(好ましくは直後)であって脱揮工程の前において添加することがより好ましく、この場合には、重合反応に用いられる反応器の出口において、α−トコフェロールの添加が行われることになる。
なお、成形時のポリマーの熱分解抑制のため、得られた製品に、押出機やバンバリミキサー等機械的装置を用いて、さらにα−トコフェロールを混合してもよい。
【0023】
重合工程で得られた重合溶液にα−トコフェロールを添加した後は、両者を均一に混合することが好ましい。これは、混合性の良くない反応器、または混合手段のない重合ラインにα−トコフェロールを添加した場合には、安定剤であるα−トコフェロールの分散が不十分となり、脱揮工程での芳香族モノビニル系単量体及びその二量体や三量体の生成抑制効果はあるものの、その効果が低下して好ましくないからである。
ここで、重合工程で得られた重合溶液とα−トコフェロールとを均一に混合させるには、例えば、重合装置や脱揮装置の他に、混合装置を別途設けることが好ましい。なお、混合装置の構造については、特に制限はなく、重合工程で得られた重合溶液とα−トコフェロールとを均一に混合できるものであればよく、例えば、完全混合型ミキサー、塔型ミキサー等が挙げられる。具体的には、混合装置を上記重合装置(例えば、第3反応器)の後に設けることができる。
【0024】
本発明の方法においては、重合工程においてα−トコフェロールを添加する場合は、芳香族モノビニル系単量体の重合率が、50%以上、特に60%以上(未反応単重体が50重量%以下、特に40重量%以下)となった時点において、α−トコフェロールを添加することが望ましい。これは、重合初期に添加すると、重合反応時のラジカルが捕捉されるため、あまり好ましくないからである。
また、重合工程においてα−トコフェロールを添加する場合、重合工程の重合温度が160℃以下のときに添加することが好ましい。重合温度が160℃を超えた後に上記安定剤を添加すると、重合反応時のラジカルの捕捉が速くなり、あまり好ましくない。
【0025】
なお、重合を塊状−懸濁重合で行なう場合は、部分的に重合した反応物を、第三リン酸カルシウムやポリビニルアルコールなどの懸濁安定剤、又はこれと界面活性剤を併用して、水性媒体中に攪拌しながら分散させ、懸濁重合により反応を完結させる。得られた懸濁ポリマー粒子を含んだスラリーを脱水し、洗浄した後、乾燥、造粒する。この場合、α−トコフェロールは、造粒前に添加することが好ましい。
また、アニオン重合を行なう場合は、不活性溶媒中に単量体を溶解させ、重合開始剤として有機アルキル金属化合物、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどを用いて重合し、重合終了後、メタノール等の活性水素を有する化合物で重合活性末端を失活させる。重合反応後の反応物から、未反応物及び/又は溶剤を、例えばフラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などで脱揮する。この場合、α−トコフェロールは、脱揮前に添加することが好ましい。
【0026】
【実施例】
次に本発明を実施例及び比較例により、詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定される訳ではない。
(1)重量平均分子量の測定
試料調製 :テトラヒドロフランに樹脂組成物約1000ppmを溶解
測定条件
機器 :昭和電工 Shodex21
(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム :サンプル:KF−806L2本
リファレンス:KF−800RL 2本
温度 :40℃
キャリア :THF 1ml/min
検出器 :RI 、UV:254nm
検量線 :東ソー製の単分散PS使用
データ処理 :Sic−480
【0027】
(2)メルトフローレートの測定
ISOR1133に準拠して測定(条件:200℃、荷重5kgf)
(3)成形品中の残留スチレン単量体量の測定
試料調製 :樹脂組成物1gをジメチルフォルアミド25mlに溶解、 ポリマーが
シンジオタクチックの場合のみ樹脂組成物0.1gをジクロロベンゼン
に溶解
測定条件
検出方法 :FID
機器 :島津製作所製 GC14B
カラム :CHROMAPACKCP WAX 52CB
100m、膜厚2μm、0.52mmφ
カラム温度 :110℃−10分→15℃/分→130℃−2分
注入口温度 :150℃
検出器温度 :150℃
キャリアガス :ヘリウム
【0028】
(4)成形品中のα−トコフェロール(α−トコフェロールの添加量)の測定
試料調製 :成形品1gをメチルエチルケトンに溶解
測定条件
検出方法 :GC/MS
機器 :GC/HP6890 MSD/HP5973
ヒューレットパッカード社製
カラム :HP−5(MS)0.25mmφ、30m、膜厚0.25μm
注入口温度 :1)230℃
オーブン :50℃(5分)−10℃UP/分―325℃(27.5分)
【0029】
(5)スチレン単量体の二量体及び三量体の測定
試料調製 :樹脂組成物1gをメチルエチルケトン/メタノール20ccに 溶解
測定条件
検出方法 :FID
機器 :島津製作所製 GC17Apf
カラム :DB−1(100%ジメチルポリシロキサン)
30m、膜厚0.1μm、0.25mmφ
カラム温度 :100℃−2分→5℃/分→260℃−5分
注入口温度 :200℃
検出器温度 :200℃
キャリアガス :窒素
成形品の臭気、金型へのオイル付着状況と、α−トコフェロールの添加量、スチレン単量体、その二量体及び三量体の量との関係について、下記、実施例1〜9、比較例1〜5の結果を表1に示す。
なお、実施例1〜9、比較例1〜5における樹脂組成物の評価方法は、下記の通りである。
【0030】
(1)臭気判定方法
樹脂組成物から、開口部幅95mm、奥行55mm、深さ96mm、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成し、この容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間後にこの温湯の臭気を判定した。
(2)金型へのオイル付着状況の確認方法
150×50×2.5mmの短冊型の金型を使用して、充填3.0秒で射出成形時にショートショットさせた。70ショット終了後、15分間射出成形を停止し、金型を冷却して、成形体先端部に相当する金型面を観察し、オイルの付着状況を確認した。以後、70ショット毎に、同様にして金型へのオイル付着状況を確認しつつ、980ショットまで成形を繰り返し、金型にオイルが付着し始めたショット数を求めた。
【0031】
[実施例1]
スチレン90重量部及びエチルベンゼン10重量部に、0.05重量部の重合開始剤(1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)を溶解し、0.5リットル/時の速度で、それぞれの容量が1リットルの第1反応器、第2反応器、第3反応器からなる重合装置に連続的に順次供給した。かかる重合工程が終了した直後、すなわち、第3反応器の出口において、エチルベンゼンに溶解したIrganox E-201 [ビタミンE系熱安定剤(α−トコフェロール)、化学名:3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オール、チバスペシャルティーケミカルズ社製]を、第3反応器により得られたポリマー(重量平均分子量=26万)に対して0.1重量%になるように添加した。次いで、第3反応器の後に設けられた混合装置で、ポリマーとIrganox E-201 とを均一に混ぜたあと、単軸押出機を直列に2台連結した脱揮装置に移行させ、かかる脱揮工程において揮発分を順次除去し、ペレット化した。
【0032】
なお、重合工程における重合反応条件は、第1反応器は重合温度105〜110℃,攪拌機回転数150rpm、第2反応器は重合温度115〜125℃、攪拌機回転数50rpm、第3反応器は重合温度130〜150℃、攪拌機回転数20rpmとした。各反応器出口の重合転化率は、第1反応器出口では35重量%、第2反応器出口では65重量%、第3反応器出口では90重量%であった。また、脱揮工程における、前段の単軸押出機は温度190〜200℃、真空度30torr、後段の単軸押出機は温度220〜240℃、真空度5torrとした。
【0033】
得られたペレットを用いて、臭気判定用の射出成形品を以下の異なる2つの条件で作製した。一つ目の条件としては、通常の連続成形で成形品を採取した(滞留なし品)。他の条件としては、成形を一度止め、シリンダー内に樹脂を30分間滞留させた後、成形を再開、最初の2ショットを捨て、滞留した樹脂の3ショット目を成形品として採取した(滞留30分品)。射出成形機の各ゾーンの成形温度はそれぞれ250℃、250℃、230℃、210℃とした。さらには射出成形したときの金型へのオイル付着状況を確認した。
スチレン単量体の残存量、その二量体及び三量体の残存量の合計、臭気判定結果、および金型へのオイル付着状況を、表1に示す。
【0034】
[実施例2]
実施例1において、Irganox E-201 の添加量を0.03重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、Irganox E-201 の添加量を0.01重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。
【0035】
[実施例
実施例1において、スチレン90重量部の代わりに、スチレン85重量部及びポリブタジエン(ジエン35:旭化成製)5重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
[実施例
実施例において、Irganox E-201 の添加量を0.01重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例
実施例1において、Irganox E-201 の添加量を0.005重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
[比較例1]
実施例1において、Irganox E-201 を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、Irganox E-201 の代わりに、Irganox 1076〔ヒンダートフエノール系酸化防止剤、化学名:オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバスペシャルティーケミカルズ社製〕を添加し、添加量を0.03重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
[比較例3]
実施例2において、後段の単軸押出機の真空度を20torrとしたこと以外は、実施例2と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003850305
【0043】
表1より、α−トコフェロール( Irganox E-201)を所定量添加することにより、重合装置からスチレン単量体や、その二量体及び三量体の残存量が極めて少ないものが得られ、成形品中のスチレン単量体の残存量を100ppm以下にすることにより、成形品の臭気が非常に良好なものが得られることが分る。また、本発明の樹脂組成物は、成形機での滞留試験の結果においても、スチレン単量体及びその二量体や三量体の増加も少なく、非常に熱安定性に優れるものであった。さらに、本発明の樹脂組成物においては、二量体と三量体の合計量が0.4重量%以下であり、金型へのオイル付着も少なく、成形性も非常に良好なものであった。なお、比較例3のようにα−トコフェロールを所定量添加しても、脱揮時もしくはポリマー乾燥時の真空度を下げ、スチレン単量体が100ppmを越えると、成形品の臭気は悪いものとなった。
また、フエノール系酸化防止剤の代表格として、一般に多く使用されているIrganox 1076においては、スチレン単量体や、その二量体及び三量体の低減効果が殆ど認められない。
【0044】
本発明の樹脂組成物を用いた発泡シート及びその成形品についての評価(その1)を行った。
下記実施例12及び比較例における発泡シート及びその成形品についての評価方法は下記の通りである。
(1)発泡シートの二次成形性の評価方法
発泡シートの下記(2)の厚み斑に基づく二次成形性を確認するために、小型成形機で、加熱時間(15秒)一定にして、加熱温度それぞれ200℃、220℃、240℃に変えて、発泡シートから箱型成形品が得られるかどうか確認した。
【0045】
(2)箱型成形品の厚み斑の測定法
図1に示すように、上記(1)の発泡シート(加熱温度:200℃、加熱時間:15秒)から得た箱型成形品10サンプルについて、同一側面の4個所(A、B、C、D)の厚みを測定し、その標準偏差を求め、厚み斑の指標とした。
(3)上記(2)の箱型成形品の外観、印刷の転写性の判定方法
発泡箱型成形品表面の肌荒れ状態を目視で確認した。また、印刷の転写性は印刷した文字の転写性を目視で確認した。
【0046】
[実施例12、比較例
発泡シートの製造に用いた樹脂組成物は、表2中の「発泡シートの評価に用いた樹脂」欄に記載された、上記実施例1〜及び比較例1でそれぞれ製造されたものである。この樹脂組成物を用いて、下記の方法で、発泡シートおよびその成形品を作製した。
[比較例
実施例1において、Irganox E-201 の添加量を0.0005重量%、としたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を用いて、下記の方法で、発泡シートおよびその成形品を作製した。
【0047】
[比較例
実施例2において、重合開始剤(1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)を添加せずに、第1反応器は重合温度125〜130℃,第2反応器は重合温度135〜145℃、第3反応器は重合温度150〜165℃(第3反応器出口の重合転化率は90重量%)にした以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を用いて、下記の方法で、発泡シートおよびその成形品を作製した。
【0048】
<実施例12及び比較例の樹脂組成物の発泡シートを用いた成形品の製造方法>
幅30mmのTダイを備えた30mm押出発泡機を用いて、各樹脂組成物100重量部に対して、発泡核剤を1重量部、発泡剤を3重量部添加して、発泡倍率約8倍の発泡シートを得た。樹脂溶融ゾーンの温度は180〜230℃、ロータリークーラー温度は150〜160℃、Tダイ温度を120〜130℃に調整した。発泡核剤には日本ミストロン製、ミストロンベーパーを用い、発泡剤にはn−ブタン65重量%とi−ブタン35重量%の混合物を用いた。
【0049】
得られた発泡シートを1週間養生させ、小型成形機を用い、加熱温度を所定の温度して、15秒加熱した後、60℃に調整した金型で100mm角、深さ50mm、厚さ約2〜3mmの箱型成形品を作成した。二次成形時の成形幅を確認するため、加熱温度200℃、220℃、240℃の3点で、成形品の作製が可能かどうか試した。さらに、加熱温度200℃で得られた成形品の厚み斑の測定及び外観の目視確認を行った。
スチレン単量体の残存量、スチレン単量体の二量体及び三量体の残存量の合計、発泡シートの二次成形性、成形品の厚み斑、外観の目視確認結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0003850305
【0051】
本発明の樹脂組成物を用いた発泡シート及びその成形品についての評価(その2)を行った。
[実施例13
実施例1において、反応装置がおよそ10倍大きい装置を用い、Irganox E-201 の添加量を0.03重量%とした以外は、ほぼ同等の製造条件で樹脂組成物を製造した。このペレットを用いて、下記の方法で、発泡シートおよびその成形品を作製した。
<実施例13の樹脂組成物の発泡シートを用いた成形品の製造方法>
実施例13の樹脂組成物100重量部に対し、発泡核剤としてタルク0.5重量部、分散助剤としてステアリン酸亜鉛0.3重量部を加えてミキサーでよく攪拌混合した後、65mm、L/Dが33の一軸押出機ホッパーに供給した。その後、押出機スクリューの前段において235℃で溶融混練し、その溶融混練物に、押出機中段に設けられた発泡剤注入孔より、全押出量の2.5重量%になるようにn−ブタン65重量%とi−ブタン35重量%の混合物を注入した。
【0052】
次いで、押出機スクリューの後段において160℃に冷却し、リングダイより管状に押出発泡させ、得られた管状発泡シートを押出機のマンドレルで冷却後、カッターにより1面を切り開いて発泡シートを得た。外観検査および成形品作製用の発泡シートは、押出機を連続1時間運転した後に採取し、1週間養生させた。この発泡シートの外観検査の後に、小型成形機を用い、200℃で10秒加熱した後、60℃に調整した金型で100mm角、深さ40mmの箱型成形品を作製した。この成形品の外観検査の後に、文字の印刷を施し、転写性を確認した。
スチレン単量体の残存量、スチレン単量体の二量体及び三量体残存量の合計、発泡シートの外観、成形品の外観、印刷性の結果を表3に示す。
【0053】
[実施例14
実施例13において、脱揮工程における後段の単軸押出機の真空度を10torrにした以外は、実施例13と同様にして樹脂組成物及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例
実施例13において、脱揮工程における後段の単軸押出機の真空度40torrとしたこと以外は、実施例18と同様にして樹脂組成物及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
Figure 0003850305
【0055】
表2及び表3より、スチレン単量体の残存量を100ppm以下とし、スチレン単量体の二量体及び三量体の合計残存量を0.4重量%以下にすることにより、二次成形性に優れた発泡シートが得られ、また、厚み斑が少なく、外観、印刷性に非常に優れた成形品が得られることが分かる。また、本発明の樹脂組成物は、発泡シートの製造においても、非常に熱安定性に優れるものである。
更に続いて、本発明の樹脂を用いた非発泡シート及びその成形品の評価を行った。
【0056】
下記実施例1520及び比較例10において用いた樹脂の評価方法は、下記の通りである。
(1)シートのダイライン、ダイス部異物の判定方法
ダイライン有無については、樹脂シートの表面を倍率5倍の拡大レンズで、目視で確認した。ダイス部の異物は、目視で確認した。
(2)外観の判定方法
倍率5倍の拡大レンズで、異物、表面の異型について目視で確認した。
[実施例1520、比較例10
樹脂シートの製造に用いた樹脂組成物は、表4中の「樹脂シートの評価に用いた樹脂」欄に記載された上記実施例1〜、比較例1、でそれぞれ製造されたものである。樹脂シート、成形品の製造方法を下記に示す。
【0057】
<実施例1520、比較例10の樹脂組成物のシートを用いた成形品の製造方法>
幅40mmのTダイを備えた30mm押出機を用いて、幅300mm、厚さ1mmのシートをロールで引き取り、3時間連続運転した。その後、長さ300mmのシートを10枚採集すると共に、Tダイ樹脂出口部の異物付着の有無を確認した。樹脂溶融ゾーンの温度は200〜250℃に、Tダイ温度は220〜240℃に調整した。小型圧空成形機を用い、採取したシートを130〜140℃になるまで加熱した後、真空、圧空で、100mm角、深さ50mmの箱型成形品を作成した。
スチレン単量体の残存量、スチレン単量体の二量体及び三量体の残存量の合計、樹脂シートのダイライン、ダイス部の異物有無、成形品の外観検査結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
Figure 0003850305
【0059】
表4より、スチレン単量体の残存量を100ppm以下とし、かつスチレン単量体の二量体及び三量体の合計残存量を0.4重量%以下とすることにより、樹脂シートのダイラインが少なく、異物の少ない、外観に非常に優れる製品が得られることが分かる。また、本発明の樹脂組成物は、樹脂シート製造時においても非常に熱安定性に優れるものである。
最後に、本発明の樹脂組成物の製造方法について、上記実施例1〜及び比較例1、並びに以下に示す実施例2123及び比較例11を比較した結果を表5に示す。
【0060】
[実施例21
実施例2において、第3反応器出口の後に設けられた混合装置を取り除いたこと以外は、実施例2と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表5に示す。
[実施例22
実施例2において、Irganox E-201 の添加位置を、第3反応器の出口から第3反応器の上から2/3位置に変更した。添加位置において、重合温度は150℃、重合転化率は81重量%であった。添加剤の注入量は実施例2と同じになるように調整した。これ以外は実施例2と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表5に示す。
【0061】
[実施例23
実施例22において、Irganox E-201 の添加位置の重合温度を160℃に変更した。添加位置の重合転化率は86重量%であった。添加剤の注入量は、実施例22と同じになるように調整した。これ以外は実施例と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例11
実施例2において、Irganox E-201 を重合原料(第1反応器入口)に添加した以外は、実施例2と同様にして行なった。結果を表5に示す。
【0062】
【表5】
Figure 0003850305
【0063】
表5より、重合工程における第3反応器、重合工程直後(脱揮工程前)であるいは第3反応器出口、さらには脱揮工程における前段の単軸押出機と後段の単軸押出機との間の位置において、本発明のα−トコフェロールを所定量添加することにより、スチレン単量体の残存量、及びスチレン単量体の二量体及び三量体の合計残存量を著しく低減させることができることがわかる。また、上記安定剤を添加した後、重合工程で得られた重合溶液と安定剤とを混合装置を用いて均一に混合することで、上記低分子量成分をより低減させることができる。さらに、重合工程において安定剤を添加する場合、より重合率の高いところで、かつ重合温度の低いところで安定剤を添加することにより、上記低分子量成分をより低減させることができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の芳香族モノビニル系樹脂シート及びその成形品は、成形性及び成形時の熱安定性に優れ、臭気の少ないものである。また、本発明のシートから二次性成形で得られる成形品は、発泡シートからでは厚み斑が少なく、また非発泡シートでは外観に優れ、直接食品等に接触するような包装材料、容器等に特に好適に使用できるので産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発泡シートから得た成形品を示す図である。

Claims (1)

  1. (a)重量平均分子量が15〜70万のスチレン単量体からなるポリマーと、(b)α−トコフェロールとからなるスチレン樹脂組成物であって、α−トコフェロールの量がポリマー重量に対して0.001〜0.3重量%であり、また、スチレン樹脂組成物におけるスチレン単量体の残存量が100ppm以下で、且つスチレン単量体からなる二量体と三量体の残存量が合計で0.4重量%以下である、前記スチレン樹脂組成物の製造方法であって、スチレン単量体を重合工程にてラジカル重合し、次いで脱揮工程にて重合反応後の反応物から未反応物及び/又は溶剤を除去して、スチレン単量体からなるポリマーを製造するにあたり、ポリマー重量に対して0.001〜0.3重量%のα−トコフェロールを、スチレン単量体を重合する重合工程においてスチレ単量体の重合率が60%以上90%以下となった時点で、重合温度が160℃以下のときに添加する、スチレン樹脂組成物の製造方法。
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