JP3923359B2 - 熱可塑性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性スチレン系樹脂組成物 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の熱可塑性スチレン系共重合体を含有する熱可塑性スチレン系樹脂組成物、及び前記共重合体とゴム粒子とを含有するゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物に関する。更に詳しくは、流動性、真空成形性等の成形加工性のバランスに優れた熱可塑性スチレン系樹脂組成物及びゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性スチレン系樹脂は加工成形性、機械物性などに優れており、特に成形品の外観と光沢性が良好であることから、電子用品、電気製品及び自動車の部品等に幅広く用いられている。
【0003】
熱可塑性スチレン系樹脂は射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形法により加工されるが、特殊な成形加工として、例えば真空成形の場合には、まず、押出成形法によりシートを製造し、次いで、このシートを真空成形法によって目的の形状に成形する。その真空成形性を向上するために使用される熱可塑性樹脂としては溶融張力の高いものが要求される。即ち樹脂の分子量が大きい程、真空成形品の肉厚の均一性及び良好な寸法安定性を保つことができる。しかし、一般的に樹脂の分子量を高くすると樹脂の流動性、加工性及び生産性が低下するのを免れないという問題が生じる。
【0004】
これらの問題に対して真空成形性や流動性等の成形加工性を同時に改良する方法(特開昭59-149912号、特開平2-182711号、特開平8-269137号)として、例えば分岐剤を添加させる方法等が提案されている。しかしながら添加される分岐剤はジビニル化合物(例えばジビニルベンゼン)又は多価のアクリレート等の多官能性反応単量体であり、製造中に上記の単量体を使うと樹脂の流動性及び加工性の低下などの欠点は防げるものの、架橋を起こしやすく、且つ樹脂が配管に付着してコンタミを形成して生産性を低下するだけでなく樹脂の色相が悪くなるという問題が生じる。また、この問題は、この樹脂の生産時間が長くなると(例えば2週間以上)、一層顕著となる。
【0005】
このように、流動性、真空成形性等の成形加工性バランスに優れると共に、良好な色相を有する熱可塑性スチレン系樹脂はこれまで見出されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】。
本発明の課題は、流動性、真空成形性等の成形加工性バランスに優れると共に、良好な色相を有する熱可塑性スチレン系樹脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(i-1)スチレン系単量体から誘導される構成単位15〜100重量部、(i-2)シアン化ビニル単量体から誘導される構成単位0〜45重量部及び(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体から誘導される構成単位0〜40重量部(これらの合計は100重量部)と、前記(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して0.0005〜1.0重量部の多官能性マレイミド系単量体から誘導される構成単位とを有する熱可塑性スチレン系共重合体(A)を含有する熱可塑性スチレン系樹脂組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、(i-1)スチレン系単量体から誘導される構成単位15〜100重量部、(i-2)シアン化ビニル単量体から誘導される構成単位0〜45重量部及び(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体から誘導される構成単位0〜40重量部(これらの合計は100重量部)と、前記(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して0.0005〜1.0重量部の多官能性マレイミド系単量体から誘導される構成単位とを有する熱可塑性スチレン系共重合体(A)を連続相とし、ゴム粒子(B)を分散相とするゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物であって、ゴム分の含有量が1〜40重量%であるゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物に関する。
【0009】
本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物では、熱可塑性スチレン系共重合体(A)を連続相とし、ゴム粒子(B)を分散相とすることによって、熱安定性、耐衝撃性、流動性などに優れ、真空成形加工に於いて製品の肉厚分布が均一で、また射出成形品の塗装表面の光沢が均一なゴム変性熱可塑性スチレン樹脂組成物が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(i-1)スチレン系単量体としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-第三ブチルスチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン及びブロモスチレンなどが挙げられるが、スチレン又はα-メチルスチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は単独で或いは組み合わせて用いられる。本発明において、スチレン系単量体は、15〜100重量部、好ましくは20〜95重量部、更に好ましくは25〜90重量部使用される。
【0011】
本発明において用いられる(i-2)シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、α-メチルアクリロニトリルなどが挙げられるが、アクリロニトリルが好ましい。本発明において、シアン化ビニル系単量体は、0〜45重量部で、好ましくは2〜40重量部、更に好ましくは3〜40重量部使用される。
【0012】
本発明において用いられる(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体としては、例えば、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、単官能性マレイミド系単量体等が挙げられる。
【0013】
ここでアクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、ポリエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられるが、アクリル酸ブチルが特に好ましい。
【0014】
また、メタクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルジメタクリレートなどが挙げられるが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルが特に好ましい。
【0015】
また、単官能性マレイミド系単量体は単一のマレイミド官能基を含む単量体で具体例としては、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-ヘキシルマレイミド、N-オクチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-2-メチルマレイミド、N-2,3-ジメチルフェニルマレイミド、N-2,4-ジメチルフェニルマレイミド、N-2,3-ジエチルフェニルマレイミド、N-2,4-ジエチルフェニルマレイミド、N-2,3-ジブチルフェニルマレイミド、N-2,4-ジブチルフェニルマレイミド、N-2,6-ジメチルフェニルマレイミド、N-2,3-ジクロロフェニルマレイミド、N-2,4-ジクロロフェニルマレイミド、N-2,3-ジブロモフェニルマレイミド、N-2,4-ジブロモフェニルマレイミド等が挙げられるが、N-フェニルマレイミドが特に好ましい。
【0016】
更に、他の共重合可能なエチレン系単量体としては、例えば、アクリル酸系単量体(例えばアクリル酸、メタクリル酸)の他、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸系化合物及びそのエステル系単量体(例えばジメチルフマレート、ジブチルイタコネート等)、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、塩化エチレン、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ブタジエン、プロペニルアミン、イソブチレニルアミン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、トリアリルイソシアヌレートなども挙げられる。
【0017】
本発明において、他の共重合可能なエチレン系単量体は、0〜40重量部、好ましくは2〜40重量部、更に好ましくは3〜38重量部使用される。また、係るエチレン系単量体は、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体及びは単官能性マレイミド系単量体から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0018】
本発明において、多官能性マレイミド系単量体とは、マレイミド官能基を2個以上持つ化合物を指し、例えば2個、3個又は4個のマレイミド官能基化合物があるが、ビスマレイミド単量体が好ましく、その構造を化学式(2)に示す。
【0019】
【化1】
Figure 0003923359
【0020】
式中、Xは炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、-SO2-、-SO-、-O-、-O-R-O-(Rは炭素数2〜10のアルキレン基又はアリーレン基である)である。
【0021】
多官能性マレイミド系単量体の具体例としては、N,N'-4,4'-(3,3'-ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N'-4,4'-(3,3'-ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'-4,4'-2,2-ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N'-4,4'-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N'-3,3'-ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N'-4,4'-ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N'-4,4'-ジフェニルスルホキシドビスマレイミド、N,N'-4,4'-ベンゾフェノンビスマレイミド、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド等が挙げられるが、N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミドが好ましい。
【0022】
本発明において、多官能性マレイミド系単量体は、0.0005〜1.0重量部、好ましくは0.001〜0.3重量部、更に好ましくは0.003〜0.1重量部使用される。
【0023】
本発明の熱可塑性スチレン系樹脂組成物は、(i-1)スチレン系単量体から誘導される構成単位15〜100重量部、(i-2)シアン化ビニル単量体から誘導される構成単位0〜45重量部及び(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体から誘導される構成単位0〜40重量部(これらの合計は100重量部)と、前記(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して0.0005〜1.0重量部の多官能性マレイミド系単量体から誘導される構成単位とを有する熱可塑性スチレン系共重合体(A)を含有する。
【0024】
本発明において、熱可塑性スチレン系共重合体(A)の多官能性マレイミド系単量体から誘導される構成単位の比率が、前記(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して、0.0005重量部以上であれば成形加工時の熱可塑性樹脂の最大伸長応力が良好となる。一方1.0重量部以下であれば熱可塑性樹脂の流動性、色相が良好となる。
【0025】
本発明において、熱可塑性スチレン系樹脂組成物中に残存する多官能性マレイミド系単量体の量は100ppm以下が好ましく、より好ましくは60ppm以下で、更に好ましくは30ppm以下であり、含有しないことが最も好ましい。かかる多官能性マレイミド系単量体の量は、原料として用いた単量体の残存量であり、熱可塑性スチレン系樹脂組成物をテトラヒドロフランに溶解した溶液を、フレーム検出器付きのガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製、シリーズナンバー6890A)で分析することで得られる。なお、当該含有量の単位は、熱可塑性スチレン系樹脂組成物の重量を基準とするppmである。
【0026】
組成物中に残存する多官能性マレイミド系単量体の量が100ppm以下であると、組成物の色相は良好となる。
【0027】
本発明において、熱可塑性スチレン系共重合体(A)のMZ(Z平均分子量)/MW(重量平均分子量)の比率は2〜8が好ましく、より好ましくは2.5〜7で、更に好ましくは3〜6である。MZ及びMWは、示差屈折率検査及び光散乱検査の二機能を同時に持つゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、Waters社製)で分析することで測定される。このMZ/MW比率が2〜8であると、熱可塑性スチレン系樹脂組成物又はゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物の流動性、色相が良好であり、最大伸長応力が好適な範囲にある。
【0028】
また、本発明の熱可塑性スチレン系樹脂組成物は、下記式(1)により算出される分岐比(gM)が0.45〜0.95であることが好ましい。
gM=(r2)b/(r2)l 式(1)
(r2)b:分岐分子の回転半径
(r2)l:直鎖分子の回転半径
この分岐比は、Waters社のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分離されたモル質量(molar mass)が1×106g/moleの本発明の熱可塑性スチレン系樹脂組成物について、Wyatt Technology社の多角レーザー光散乱(MALLS)法により、サンプルを異なる角度で光散乱量を測定して分子量を算出し、この分子量に基づいて算出されたものである。一般的には、同じ分子量の重合体であれば、その分岐比(gM)が小さくなるとその分岐構造が多くなることを意味する。この分岐比は、本発明の単量体系においては、多官能性マレイミド系単量体の比率により変動するので、本発明で規定する範囲で多官能性マレイミド系単量体の使用量を調節して、上記の分岐比を達成することが好ましい。
【0029】
本発明の熱可塑性スチレン系樹脂組成物の分岐比(gM)は0.45〜0.95が好ましく、より好ましくは0.5〜0.9で、更に好ましくは0.6〜0.8である。分岐比(gM)が0.45〜0.95の範囲にあると、組成物の流動性、色相が良好であり、最大伸長応力が好適な範囲にある。
【0030】
本発明の熱可塑性スチレン系共重合体(A)は、連続塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合に使用される反応装置により製造することができる。その中でも連続式塊状重合又は溶液重合が好ましい。前記反応装置としてはプラグフロー反応装置(PFR)、完全混合式反応装置(CSTR)、及び静止型混合式反応装置などが挙げられる、特に完全混合式反応装置が好ましい。複数の反応装置を用いる場合、最終の反応装置としてPFRを使うことも好ましい。反応装置の数量は1個、2個又は3個以上の併用ができる。本発明の熱可塑性スチレン系共重合体(A)の製造方法は原料溶液を連続的に反応装置に仕込んで反応を行う。この場合、重合開始剤を加えるのが好ましい。
【0031】
本発明の熱可塑性スチレン系共重合体(A)を製造する時に、通常、重合開始剤を添加するが、その使用量は0〜1重量部で、好ましくは0.001〜0.5重量部である。重合開始剤には単官能性開始剤又は多官能性開始剤がある。単官能性開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クミルヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(BPICと略称す)、シクロヘキサノンパーオキサイド、2,2'−アゾービスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビスー(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾービス-2-メチルブチロニトリルなどが挙げられる。これらの中でベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
【0032】
本発明に使用される多官能性開始剤としては、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(TX-22と略称す)、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)ー3,3,5ートリメチルシクロヘキサン(TX-29Aと略称す)、2,5−ジメチル−2,5−ビス−(2-エチルヘキサノキシパーオキシ)ヘキサン、4−(t−ブチルパーオキシカルボニル)−3−ヘキシル−6−[7−(t−ブチルパーオキシカルボニル)へプチル]シクロヘキサン、ジ−t−ブチルージパーオキシアゼレート、2,5−ジメチル−2,5−ビスー(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドローテレフタレート(BPHTHと略称す)、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシルプロパン、多官能モノパーオキシカーボネート(例えば米国ATOFINA社の商品名Luperox JWE)等が挙げられる。これらの中でTX-29A、BPHTHが好ましい。
【0033】
上記反応装置を用いる場合の反応温度は20〜300℃に制御するが、好ましくは60〜250℃、更に好ましくは80〜200℃である。反応装置を用いる場合の反応圧力は1〜10kg/cm2間に制御する。原料溶液の反応器内に於ける滞留時間は一般的に0.5〜15時間で、好ましくは1〜10時間である。重合体の分子量をコントロールするために連鎖移動剤を使用することができる。その使用量は0〜2重量部で、好ましくは0.001〜1重量部である。本発明に使用される連鎖移動剤としては単官能性連鎖移動剤及び多官能性連鎖移動剤があるが、単官能性連鎖移動剤としては以下のものが挙げられる。
【0034】
1)メルカプタン類:メチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン(TDMと略称す)、n−プロピルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタンなど。
【0035】
2)アルキルアミン類:モノエチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等。
【0036】
3)その他:ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマー、テルピノレン等
これらの中でn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが好ましい。
【0037】
また、多官能性連鎖移動剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピネート)(略称TMPT)、トリメチロールプロパントリス(6-メルカプトヘキサネート)等が挙げられる。これらの中でTMPTが好ましい。
【0038】
上記の熱可塑性スチレン系共重合体(A)は、原料溶液を連続的に反応装置に仕込んで反応を行い、原料溶液に含まれる全単量体の転化率が所定の値に達した後、反応装置からこの重合体溶液を連続的に取り出し、揮発装置に導入して未反応の単量体及び揮発成分を除去させ、その後、造粒して得られる。揮発装置としては減圧脱揮装置又は押出脱揮装置を使用することができ、そしてコンデンサーで未反応の単量体及び揮発成分を回収し、必要に応じて回収液中の水分を除いてから原料溶液として再び使うことができる。
【0039】
本発明の熱可塑性スチレン系共重合体(A)を製造する際に用いられる原料溶液は、(i-1)スチレン系単量体15〜100重量部、(i-2)シアン化ビニル系単量体0〜45重量部、(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体0〜40重量部(以上合計100重量部)、及びこれら(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して多官能性マレイミド系単量体0.0005〜1.0重量部、溶媒0〜60重量部を含む。ここで、上記(i-1)スチレン系単量体の量は、好ましくは20〜95重量部、更に好ましくは25〜90重量部である。シアン化ビニル系単量体の量は、好ましくは2〜40重量部、更に好ましくは3〜38重量部である。多官能性マレイミド系単量体の量は、好ましくは0.001〜0.3重量部、更に好ましくは0.003〜0.1重量部である。
【0040】
本発明に使用される原料溶液中のスチレン系単量体、シアン化ビニル系単量体、他の共重合可能なエチレン系単量体及び多官能性マレイミド系単量体は前述の通りであるが、他の共重合可能のエチレン系単量体については、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体及び単官能性マレイミド系単量体から選ばれる少なくとも1種を含有し、その使用量は0〜40重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜40重量部で、更に好ましくは3〜38重量部である。
【0041】
原料溶液に使用できる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
【0042】
本発明によれば、上記熱可塑性スチレン系共重合体(A)を連続相とし、ゴム粒子(B)を分散相とするゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物であって、ゴム分の含有量が1〜40重量%、好ましくは3〜35重量%であるゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物が提供される。
【0043】
このような本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物の製法としては、熱可塑性スチレン系共重合体(A)の製造過程でゴム成分を添加して反応させる方法が挙げられる(以下、同時グラフト法と呼ぶ)。或いは、ゴム成分(例えば一般ゴム又はゴム状グラフト共重合体、好ましくはゴム状グラフト共重合体である)を直接熱可塑性スチレン系共重合体(A)と混合する方法(以下、グラフトブレンド法と呼ぶ)が挙げられる。同時グラフト法においては、一般の塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、又は懸濁重合法などを採用することができる。前記ゴム状グラフト共重合体を製造する方法としては、乳化重合法、乳化塊状重合法などがあり、乳化重合法が特に好ましい。
【0044】
本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物において、ゴム粒子(B)の重量平均粒径は0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、更に好ましくは0.1〜1μmである。
【0045】
本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物を得るための製法として、以下に二種類の方法について説明する。
【0046】
<方法1:同時グラフト法>
方法1は、連続式塊状重合又は溶液重合反応を用いて本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物を製造する方法である。方法1で使用できる反応装置としてはプラグフロー反応装置(PFR)、完全混合式反応装置(CSTR)、及び静止型混合式反応装置などが挙げられる、特に完全混合式反応装置が好ましい。また、複数の反応装置を用いる場合、最終の反応装置としてPFRを使うことも好ましい。反応装置の数量は1個、2個又は3個以上の併用ができる。これら反応装置に、本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物の組成を満たす原料(ゴム成分を含む)を含有する原料溶液を、連続的に仕込んで反応を行う。反応温度は30〜300℃に制御するが、好ましくは60〜250℃で、更に好ましくは80〜200℃である。反応圧力は、通常、1〜10kg/cm2に保持される。一方原料溶液の反応装置中の滞留時間は0.5〜15時間で、好ましくは1〜10時間である。重合物の分子量をコントロールするために必要に応じて重合開始剤又は連鎖移動剤を使うことができる。
【0047】
その後、原料溶液に含まれる全単量体の転化率が所定の値に達した後、反応装置からこの重合体溶液を連続的に取り出し、揮発装置に導入して未反応の単量体及び揮発成分を除去させ、この後、造粒して本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物が得られる。揮発装置としては減圧脱揮装置又は押出脱揮装置を使用することができ、そしてコンデンサーで未反応の単量体及び揮発成分を回収し、必要に応じて回収液中の水分を除いてから原料溶液として再び使うことができる。
【0048】
本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物を製造する塊状又は溶液重合反応に使われる原料溶液は、(i-1)スチレン系単量体15〜100重量部、(i-2)シアン化ビニル系単量体0〜45重量部、(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体0〜40重量部(以上合計100重量部)、並びにこれら(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して0.0005〜1.0重量部の多官能性マレイミド系単量体、溶媒0〜60重量部及びゴム0.5〜25重量部を含む。ここで、上記スチレン系単量体、シアン化ビニル系単量体、他の共重合可能なエチレン系単量体、多官能性マレイミド系単量体、溶媒及び必要に応じて添加する重合開始剤、連鎖移動剤に関する使用量及びそれぞれの具体例は、熱可塑性スチレン系共重合体(A)の製造に用いる原料溶液で述べたものと同じものが挙げられる。
【0049】
ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物は、乳化重合法により製造することができる。乳化重合法の内容については、後記のゴム状グラフト共重合体(B')の製法と同様な方法であるが、スチレン系単量体、シアン化ビニル単量体、他の共重合可能なエチレン系単量体と共に本発明に合致する量の多官能性マレイミド系単量体を共重合させる点が異なる。
【0050】
本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物を製造するための塊状又は溶液重合反応において、ゴムとスチレン系単量体、シアン化ビニル単量体等の単量体との混合溶液が重合の初期段階においてはゴム相は連続相の状態で存在しているが、ゴムのグラフト重合反応により、スチレン系単量体、シアン化ビニル単量体等の単量体の転化率が次第に増加し、且つ、反応系も攪拌されるに伴って、遂にゴム成分が逆にスチレン系単量体、シアン化ビニル単量体等の単量体及びその重合体に囲まれて、分散粒子の状態(分散相)になり、他方、スチレン系単量体、シアン化ビニル単量体等の単量体及びその重合体が連続相になる。最後にゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物においてゴム粒子相を形成するが、そのゴム粒子の重量平均粒径は0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、更に好ましくは0.1〜1μmである。
【0051】
方法1に用いられるゴム成分の具体例としては、ジエン系ゴム、ポリオレフィンゴム(例えばエチレン−プロピレンゴム)、ポリアクリレート系ゴム、ポリシロキサン系ゴム等が挙げられる。ジエン系ゴムとは、ジエン系単量体成分が重合させてガラス転移温度は0℃以下である重合体を言う。ジエン系ゴムとしてはブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロブタジエンゴム、エチレン−プロピレンーエチリデンノルボルネンゴム、スチレン−ジエン系ゴム、アクリロニトリル−ジエン系ゴム等が挙げられる。この中で、ブタジエンゴムとしてはハイシス(Hi-Cis)とローシス(Low-Cis)の2種のポリブタジエンゴムが好ましい。ハイシスゴムは、そのシス及びビニル基の代表的な重量比がそれぞれ94〜99%及び0〜5%であり、その他の組成成分はトランスの構造であって、ムーニ粘度は20〜120の範囲にあり、重量平均分子量の範囲は100,000〜800,000が好ましい。ローシスゴムは、そのシス及びビニル基の代表的な重量比がそれぞれ20〜40%及び6〜20%であり、その他の組成成分はトランスの構造であって、ムーニ粘度は20〜120の範囲にあり、重量平均分子量の範囲は100,000〜800,000が好ましい。スチレン−ジエン系ゴムの具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンジエンゴム等が挙げられ、それはブロック共重合体、ランダム共重合体又はテーパー共重合体よりなる組成物の何れでも良い。スチレン−ブタジエンゴム中のスチレンの重量比は50重量%以下の範囲が好ましく、その重量平均分子量は50,000〜600,000が好ましい。上記のゴムに於いてブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
【0052】
<方法2:グラフトブレンド法>
方法2は、熱可塑性スチレン系共重合体(A)とゴム状グラフト共重合体(B')との混合物を混練、押出して本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物を製造する方法である。
方法2では、通常、熱可塑性スチレン系共重合体(A)とゴム状グラフト共重合体(B')との混合物を、一般に使用されているヘンシェルミキサーでドライブレンドした後に、例えば押出機、ニーダー、又はバンバリーミキサー等の混合機により溶融混練することができる。
【0053】
ゴム状グラフト共重合体(B')の製法には、一般の連続式塊状反応、溶液重合反応、乳化重合反応又は懸濁重合反応を用いることができる。これらのうち、連続式塊状反応又は溶液重合反応については、連続式塊状反応又は溶液重合反応によって原料溶液をグラフト重合反応させてゴム状グラフト共重合体(B')を得ることができる。その原料溶液は(i-1)スチレン系単量体15〜100重量部、(i-2)シアン化ビニル系単量体0〜45重量部、(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体0〜40重量部(以上合計100重量部)、並びにこれら(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して、溶媒0〜60重量部及びゴム成分0.25〜25重量部を含む。この原料溶液には多官能性マレイミド系単量体は、通常、使用せず、使用する場合には本発明の使用量の下限未満に限られる。またゴム成分の組成に関する説明は方法1で述べたのと同様である。
【0054】
本発明のゴム状グラフト共重合体(B')の連続塊状又は溶液重合反応において、ゴムとスチレン系単量体、シアン化ビニル単量体等の単量体との混合溶液が重合の初期段階においてゴム相は連続相の状態で存在しているが、ゴムのグラフト重合反応により、スチレン系単量体、シアン化ビニル単量体等の単量体の転化率が次第に増加し、且つ、反応系も攪拌されるに伴って、ゴム成分が逆にスチレン系単量体、シアン化ビニル単量体等の単量体及びその重合体に囲まれて、分散粒子の状態(分散相)になり、他方、スチレン系単量体、シアン化ビニル単量体等の単量体及びその重合体が連続相になる。最後に熱可塑性スチレン系樹脂組成物においてゴム粒子相を形成するが、そのゴム粒子の重量平均粒径は0.05〜10μmで、好ましくは0.1〜5μm、更に好ましくは0.1〜1μmである。
【0055】
ゴム状グラフト共重合体(B')は乳化重合法を用いても製造できる。その製法としては、ゴムラテックス40〜90重量部(固形分として)を、スチレン系単量体15〜100重量%、シアン化ビニル系単量体0〜45重量%、その他の共重合可能な単量体0〜40重量%の割合からなる単量体混合物60〜10重量部と混合し、適切な乳化剤及び開始剤と必要に応じ、連鎖移動剤を用いてグラフト重合させ、ゴム状グラフト共重合体ラテックスを生成させ、凝固、脱水、乾燥処理などを施し、目的とするゴム状グラフト共重合体(B')が得られる。
【0056】
ゴム状グラフト共重合体(B')はゴムラテックスを用いてグラフト共重合を行うことによって得られる。ゴムラテックスのゴム成分は、方法1で示したゴム成分と同様であり、特に好ましいのはジエン系ゴムである。ジエン系ゴムラテックスの好ましい製造方法は、乳化重合法によりジエン系単量体(例えばブタジエン)、又はジエン系単量体100〜50重量%をその他の共重合可能な単量体例えばスチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステルなどの単量体0〜50重量%と重合させて重量平均粒径0.05〜0.6μmのジエン系ゴムラテックスを形成させる方法、或いは、前記単量体から乳化重合法により重量平均粒径0.05〜0.20μmとなる小粒径のジエン系ゴムラテックスを得た後、次に、冷凍法、ホモジナイザー処理法及び添加剤凝集法等により、この小粒径のジエン系ゴムラテックスを凝集肥大化し、重量平均粒径0.22〜0.6μmの大粒子径のジエン系ゴムラテックスを製造する方法が挙げられる。また、上記添加剤凝集法により用いられる添加剤としては、酢酸無水物、塩化水素、硫酸などの酸性物質、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の塩類、(メタ)アクリル酸系−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(例えば、メタアクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体、メタアクリル酸−アクリル酸エチル共重合体)などのカルボキシル基含有高分子凝集剤が挙げられる。
【0057】
本発明において、ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物中のゴム分の含有量は1〜40重量%であり、好ましくは3〜35重量%で、更に好ましくは4〜35重量%で、特に好ましくは6〜30重量%である。ゴム分の含有量が1〜40重量%であると、ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物の流動性及び耐衝撃性などの機械物性が良い。
【0058】
本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物においても、残留する多官能性マレイミド系単量体の量が100ppm以下であることが好ましく、より好ましくは60ppmで、更に好ましくは30ppm以下であり、含まれていないことが最も好ましい。残留する多官能性マレイミド系単量体の量が100ppm以下であると、ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物の熱安定性が良くコンタミが少ない。
【0059】
また、本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物においても、前記した分岐比(gM)が0.45〜0.95、更に0.5〜0.9で、特に0.6〜0.8であることが、組成物の流動性、色相の点で好ましい。ただしこの場合は、分散相であるゴム粒子を組成物から除いたサンプルにより測定が行われる。例えば、同時グラフト法で得られたゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物について分岐比を測定するには、このゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物を、熱可塑性スチレン系共重合体(A)は溶解するがゴム粒子は溶解しない溶剤、例えばメチルエチルケトンに溶解した後、ろ過等によりゴム粒子を除去し、次いで溶剤を蒸発除去することにより得られたゴム分を含まない成分を用いて測定すればよい。
【0060】
なお、本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物におけるMZ及びMWの測定の場合も、上記と同様にゴム粒子を除去した熱可塑性スチレン系樹脂組成物を使用する。
【0061】
本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物において、連続相を形成する共重合体(A)中、多官能性マレイミド系単量体から誘導される構成単位は0.0005〜1.0重量部で、好ましくは0.001〜0.3重量部、更に好ましくは0.003〜0.1重量部である。多官能性マレイミド系単量体から誘導される構成単位が0.0005重量部以上であると、ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物は、特に熱可塑性材料とした場合に、真空成形において肉厚均一性が良好となり、かつ射出成形の場合の塗装の表面光沢性も良好となる。一方、多官能性マレイミド系単量体から誘導される構成単位が1.0重量部以下であると熱可塑性スチレン系樹脂組成物は、特に熱可塑性材料とした場合に、熱安定性が良好となり、コンタミも少なく且つ射出成形の場合の塗装の表面光沢性も良好となる他、重合物の流動性も適度となるため、連続的な重合反応をスムースに進行できる。
【0062】
本発明の熱可塑性スチレン系樹脂組成物又はゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物には、必要に応じて各種の添加剤例えば酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、着色剤などを添加でき、添加の時期は、熱可塑性スチレン系共重合体(A)又は各組成物の各重合段階又は混練押出段階等、適宜選択すれば良い。その使用量は100重量部の組成物を基準にすると、6重量部以下が好ましい。その他の添加剤、例えば難燃剤、衝撃改質剤なども必要に応じて添加することができ、その使用量は100重量部の組成物を基準にすると、通常、30重量部以下が好ましい。
【0063】
本発明の熱可塑性スチレン系樹脂組成物又はゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物には、必要に応じて熱可塑性スチレン系共重合体(A)以外の各種の重合体を混合して使用できる。すなわち、ゴム変性の組成物の場合、連続相が熱可塑性スチレン系共重合体(A)以外の各種の重合体を含むことができる。これらの重合体としては、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体、アクリロニトリル-スチレン系共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-アルファメチルスチレン系共重合体、アクリロニトリル-スチレン-メタアクリル酸メチル系共重合体、アクリロニトリル-スチレン-N-フェニルマレイミド系共重合体、スチレン-無水マレイン酸系共重合体、スチレン-N-フェニルマレイミド系共重合体、スチレン-アクリル酸メチル系共重合体、アクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン系共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-N-フェニルマレイミド-スチレン系共重合体、アクリロニトリル-アクリレートゴム-スチレン系共重合体、アクリロニトリル-(エチレン-プロピレン系ゴム)-スチレン系共重合体、アクリロニトリル-シリコーンゴム-スチレン系共重合体、メタクリル酸メチル系共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル及びその他の重合体が挙げられる。それらの重合体は単独で或いは組み合わせて用いられる。これらその他の重合体の使用量は、100重量部の組成物に対して80重量部以下が好ましい。
【0064】
【実施例】
【0065】
<評価方法>
以下の実施例及び比較例で行った分析方法及び評価方法を示す。
【0066】
1.熱可塑性スチレン系樹脂組成物の組成
Nicolet社製(シリーズ番号:Nexus 470)のフーリエ変換赤外分光計を用いて測定する。熱可塑性スチレン系樹脂組成物(以下、ゴム変性されたものを含む場合もある)のゴム含有量の単位は重量%である。なお、BMI単量体から誘導される構成単位については、重合反応中の原料仕込み量、各単量体転化率及び回収した揮発性成分に基づき算出する。
【0067】
2.残存BMI単量体
熱可塑性スチレン系樹脂組成物をテトラヒドロフラン(THF)に溶かして、その溶液をフレーム検出器付きのガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製、シリーズナンバー6890A)で分析する。なお、「N.D」は、残存BMI単量体が検出限界以下(2ppm以下)であることを示す。
【0068】
3.MZ及びMW
示差屈折率検査及び光散乱検査の二機能を同時に持つゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、Waters社製)で分析する。分析条件は以下の通りである。
カラム:KD-806M
検出器:Water RI-2410
移動相:THF(流速1.0cc/min)
【0069】
4.分岐比(gM)
Waters社のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分離されたモル質量(molar mass)が1×106g/moleの熱可塑性スチレン系樹脂組成物について、Wyatt Technology社の多角レーザー光散乱(MALLS)法により、サンプルを異なる角度で光散乱量を測定して分子量を算出し、それに基づき前記式(1)により分岐比を算出する。
【0070】
5.MI(溶融流動指数)
ASTM D-1238により測定する。測定温度220℃、荷重10kg、単位はg/10minである。
【0071】
6.最大伸長応力
最大伸長応力は、図1に示した測定装置により測定する。すなわち、図1に示した通り、加熱器10(窒素ガス加熱)を用いて加熱し、熱い窒素ガスを出口50より排出させる。毛管レオメーター20の出口の外側に第一ロール30を取りつけ溶融樹脂90を引出す。その溶融樹脂90を出口50までに導き出すために第一ロール30とその出口50との間に第二ロール40を設置しておき、第一ロール30から導き出された溶融樹脂90を他のスペーサーに流されないように引続き第二ロール40で出口50までに導き出して行く。この中で、第一ロール30の上にロードセルを設置してその引出しの力(Pa)を感応するように当たるが、その引出し力は最大伸長応力と定義する。測定条件としては、150℃の窒素ガス下において0.1〜0.5リットル/秒のせん断速度で引張り伸ばす。最大伸長応力は溶融張力変化の指標であり、その数値が大きくなると溶融張力が良いことを意味する。
【0072】
7.色相
色差計(Nippon Denshoku社製、シリーズナンバーNDJ-300A)を用いて直接樹脂の色相を測定する。使われる石英比色セルの寸法は5.5cm×4.0cm×2.4cmである。
【0073】
8.熱安定性(ΔYI)
熱可塑性スチレン系樹脂組成物を4.2オンス(117.6g)容量の射出機(震雄社製)を用いて230℃の射出温度で射出成形を行う。成形品は直径5センチ、厚さ1/8インチの円盤で、その成形品を200℃のオーブンに2時間放置する。そして色差計(Datacolor International社製、シリーズナンバーSpectraflash 500)を用いて加熱前、後の円盤の黄色指数(YI)変化を測定し、下記式により熱安定性の指標としてΔYIを算出する。
ΔYI=加熱後のYI−加熱前のYI
【0074】
9.肉厚均一性
熱可塑性スチレン系樹脂組成物を一軸押出機(日立造船社製、直径90mm)を用いて押出温度を235℃で、寸法500mm×500mm、厚み2mmのシートを製造し、次いで、真空成形機を用いて、真空成形温度を160℃で、冷蔵庫の内壁を成形した。該成形品10個所の肉厚を測定し、最大値と最小値の差を求める。
○:肉厚均一性が良い、差は0.5mm未満。
×:肉厚均一性が悪い、差は0.5mm以上。
【0075】
10.塗装表面の光沢
熱可塑性スチレン系樹脂組成物を射出機(震雄社製)を用いて射出温度を230℃で、長さ15cm×幅7cm×厚さ0.3cmのシートを製造し、次いで、アクリル系塗料を使ってシートの表面に塗装し、塗装表面の光沢を観察する。
○:塗装表面光沢の均一性が良い。
×:塗装表面光沢の均一性が悪い、「吸込み」の現象がある。
【0076】
11.コンタミの数
熱可塑性スチレン系樹脂組成物を10g取り、熱プレス機を用いて直径200mm、厚さ0.3mmの円形フイルムを製造し、フイルムのコンタミの数を観察する。
【0077】
12.重量平均粒径
熱可塑性スチレン系樹脂組成物の超薄切片を作成して、染色してから10000倍率の透過型電子顕微鏡を用いて写真を取る。写真中における粒子を約200〜1000個取り出してサイズを測定する。その重量平均粒径は下式により算出することができる。
重量平均粒径=ΣniDi4/ΣniDi3
ただし、niは粒径Diのゴム粒子の数である。
【0078】
実施例1〔熱可塑性スチレン系共重合体(A-1)の製造〕
スチレン単量体68重量部、アクリロニトリル単量体32重量部、N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド0.02重量部、エチルベンゼン20重量部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.02重量部及び連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.2重量部の原料混合液を完全に溶解させて原料溶液(I)とする。その後、原料溶液(I)を連続的に第1反応器に仕込む。なお、第1反応器は、容積が40リットル、反応入口の温度が100℃、反応圧力が4kg/cm2であった。その原料混合物の転化率が30重量%に達した時、第1反応器から混合液を連続的に取り出しながら、第2反応器に導入する。なお、第2反応器は、容積が70リットル、反応入口の温度が120℃、反応圧力が4kg/cm2であった。その原料混合物の転化率が50重量%に達した時、第2反応器から混合液を連続的に取り出して揮発装置に導入する。なお、上記の第1、2反応器は完全混合式重合槽で、原料が反応器内の滞留時間は2時間である。
【0079】
上記第2反応器から混合液を連続的に取り出して揮発装置に導入し、減圧脱揮装置又は押出脱揮装置等の揮発装置に導入して未反応の単量体及び揮発成分を除去させ、この後、造粒して本発明の熱可塑性スチレン系共重合体(A-1)が得られた。熱可塑性スチレン系共重合体(A-1)製造の際の反応条件、分析結果及び物性を表1に示す。
【0080】
実施例2〔熱可塑性スチレン系共重合体(A-2)の製造〕
N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド単量体0.01重量部に変えた以外は、実施例1と同様な操作方法にて製造した。熱可塑性スチレン系共重合体(A-2)製造の際の反応条件、分析結果及び物性を表1に示す。
【0081】
実施例3〔熱可塑性スチレン系共重合体(A-3)の製造〕
スチレン単量体58重量部、アクリロニトリル単量体22重量部、N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド単量体0.01重量部に変え、N-フェニルマレイミド(略称N-PMI)20重量部を加え、更に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドの0.015重量部とTX-29Aの0.005重量部とを加えた以外は、実施例1と同様な操作方法にて製造した。熱可塑性スチレン系共重合体(A-3)製造の際の反応条件、分析結果及び物性を表1に示す。
【0082】
実施例4〔熱可塑性スチレン系共重合体(A-4)の製造〕
スチレン単量体100重量部、N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド単量体0.02重量部、エチルベンゼン8重量部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.02重量部及び連鎖移動剤としてt-ドデシルメルカプタン0.02重量部の原料混合液を完全に溶解させて原料溶液(I)とする。上記の原料混合液を三槽直列且つ容量が100リットルであるプラグフロー反応槽ヘ連続的に仕込む。反応入口の温度をそれぞれ110℃、130℃及び160℃に保持し、反応器の圧力をすべて3kg/cm2にし、反応器内での原料滞留時間を7時間にすることにより、反応槽の転化率をそれぞれ30重量%、60重量%及び85重量%とした。
【0083】
上記第3反応槽から混合液を連続的に取り出して揮発装置に導入し、減圧脱揮装置又は押出脱揮装置等の揮発装置に導入して未反応の単量体及び揮発成分を除去させ、この後、造粒して本発明の熱可塑性スチレン系共重合体(A-4)が得られた。この熱可塑性スチレン系共重合体(A-4)は、熱可塑性スチレン系樹脂組成物となる。熱可塑性スチレン系共重合体(A-4)製造の際の反応条件、分析結果及び物性を表1に示す。なお、この実施例4は、本発明の範囲外であるが、便宜的に実施例として示した。
【0084】
比較例1〔熱可塑性スチレン系共重合体(A-5)の製造〕
N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド単量体を使わない以外は、実施例1と同様な操作方法にて製造した。熱可塑性スチレン系共重合体(A-5)製造の際の反応条件、分析結果及び物性を表1に示す。
【0085】
比較例2
N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド単量体1.5重量部に変えた以外は、実施例1と同様な操作を行ったが、反応系の粘度が過度に上昇し、反応生成物の色相が悪くなると共にコンタミが増大し、結局、重合継続が不能となった。
【0086】
【表1】
Figure 0003923359
【0087】
表1中の記号と反応条件は以下の意味である。
・ST:スチレン
・AN:アクリロニトリル
・N-PMI:N-フェニルマレイミド
・BMI:N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド
・PGDA:ネオペンチルグリコールジアクリレート
・BPO:ベンゾイルパーオキサイド
・TDM:t-ドデシルメルカプタン
・TX-29A:1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
・反応温度:順に、第1完全混合式反応装置/第2完全混合式反応装置の温度、又は第1完全混合式反応装置/第2完全混合式反応装置/第3完全混合式反応装置の温度
・反応圧力:順に、第1完全混合式反応装置/第2完全混合式反応装置の圧力、又は第1完全混合式反応装置/第2完全混合式反応装置/第3完全混合式反応装置の圧力
【0088】
実施例5〔ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-1)の製造〕
スチレン単量体74重量部、アクリロニトリル単量体26重量部、ブタジエンゴム12重量部、N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド単量体0.02重量部、エチルベンゼン20重量部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.05重量部及び連鎖移動剤としてt-ドデシルメルカプタン0.3重量部の原料混合液を完全に溶解させて原料溶液(II)とする。上記の原料混合液を四槽直列且つ容量が45リットルである完全混合連続式反応槽ヘ連続的に仕込む。反応入口の温度をそれぞれ95℃、100℃、110℃及び120℃に保持し、反応器の圧力をそれぞれ4.5kg/cm2、4.0kg/cm2、4.0kg/cm2及び4.0kg/cm2に保持し、反応器内での原料滞留時間を4時間にすることにより、反応槽の転化率をそれぞれ22重量%、31重量%、45重量%及び52重量%とした。
【0089】
上記第4反応器から混合液を連続的に取り出して揮発装置に導入し、減圧脱揮装置又は押出脱揮装置等の揮発装置に導入して未反応の単量体及び揮発成分を除去させ、この後、造粒してスチレン系単量体から誘導される構成単位、シアン化ビニル系単量体から誘導される構成単位からなる熱可塑性スチレン系共重合体を連続相とし、ゴム粒子が分散相とする熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-1)が得られた。その組成物中のゴム粒子(B)の重量平均粒径は0.81μmであった。ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-1)製造の際の反応条件、分析結果及び物性を表2に示す。
【0090】
比較例3〔ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-2)の製造〕
N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド単量体を使わない以外は、実施例5と同様な操作方法にて製造した。そのゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-2)のゴム粒子(B)の重量平均粒径は0.8μmであった。ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-2)製造の際の反応条件、分析結果及び物性を表2に示す。
【0091】
比較例4〔ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-3)の製造〕
N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド単量体に代えてPGDAを0.02重量部とした以外は、実施例5と同様な操作方法にて製造した。ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-3)製造の際の反応条件、分析結果及び物性を表2に示す。
【0092】
【表2】
Figure 0003923359
【0093】
表2中の記号は表1と同じであり、反応条件は以下の通りである。
・反応温度:順に、第1完全混合式反応装置/第2完全混合式反応装置/第3完全混合式反応装置/第4完全混合式反応装置の温度
・反応圧力:順に、第1完全混合式反応装置/第2完全混合式反応装置/第3完全混合式反応装置/第4完全混合式反応装置の圧力
なお、表2では、仕込み量の比率が組成物中の熱可塑性スチレン系共重合体(A)の構成単量体の比率となる。
【0094】
参考例1〔ゴム状グラフト共重合体(D-1)の製造〕
スチレン単量体72重量部、アクリロニトリル単量体28重量部、エチルベンゼン20重量部、ブタジエンゴム6.5重量部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.05重量部及び連鎖移動剤としてt-ドデシルメルカプタン0.3重量部の原料混合液を完全に溶解させて原料溶液(III)とする。上記の原料混合液を四槽直列且つ容量が45リットルである完全混合連続式反応槽ヘ連続的に仕込む、反応入口の温度をそれぞれ90℃、100℃、110℃及び120℃に保持し、反応器の圧力をすべて4.0kg/cm2に保持し、反応器内の原料滞留時間を5時間にすることにより、反応槽の転化率はそれぞれ23重量%、35重量%、42重量%及び51重量%となる。
【0095】
上記第4反応器から混合液を連続的に取り出して揮発装置に導入し、減圧脱揮装置又は押出脱揮装置等の揮発装置に導入して未反応の単量体及び揮発成分を除去させ、この後、造粒してゴム状グラフト共重合体(D-1)(ゴム含量は10重量%、ゴム粒子(B)の重量平均粒径は0.79μm)が得られた。
【0096】
参考例2〔ゴム状グラフト共重合体(D-2)の製造〕
【0097】
【表3】
Figure 0003923359
【0098】
上記表3の配合を65℃の温度で14時間反応させ、転化率が94%、固形分の含有量が約36%、並びに重量平均粒径が約0.1μmの合成ゴムラテックスを得る。
【0099】
一方、下記表4に示す成分によりカルボキシル基含有高分子凝集剤を製造する。すなわち、下記方2の配合を75℃の温度で5時間反応させ、転化率が約95%、pHが6.0のカルボキシル基を含有する高分子凝集剤のラテックスを得る。
【0100】
【表4】
Figure 0003923359
【0101】
次いで、上記カルボキシル基を含有する高分子凝集剤3重量部(固形分として)を上記合成ゴムラテックス100重量部(固形分として)に添加し、pHが8.5、ゴム粒径が0.31μmの肥大化ゴムラテックスを得た。次いで、下記表5に示す配合により、前記肥大化ゴムラテックスにスチレン−アクリロニトリル共重合体をグラフト重合させ、ゴム状グラフト共重合体(D-2)を製造した。
【0102】
【表5】
Figure 0003923359
【0103】
上記の配合により得られたゴム状グラフト共重合体ラテックスを、塩化カルシウムを用いて凝固し、脱水後、更に、水分含有量が2重量%以下まで乾燥させ、ゴム含有量が50重量%、ゴム重量平均粒径が0.31μmのゴム状グラフト共重合体(D-2)を得る。
【0104】
実施例6〔ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-4)の製造〕
ゴム状グラフト共重合体(D-1)20重量部、ゴム状グラフト共重合体(D-2)30重量部、熱可塑性スチレン系共重合体(A-1)50重量部及びN,N'−エチレンビス(ステアリルアミド)0.3重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドし、更に、シリンダー温度(押出し機の原料槽温度)を200〜220℃、ダイアダプタ温度を220℃に設定した。排気口付きの二軸押出機を用いて溶融混練してペレット状熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-4)を得た。そのゴム粒子(B)の重量平均粒径は0.36μmであった。ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-4)の組成、分析結果、押出し条件及び物性を表6に示す。
【0105】
実施例7〔ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-5)の製造〕
熱可塑性スチレン系共重合体(A-1)の変わりに、熱可塑性スチレン系共重合体(A-3)を使用し、且つ二軸押出機のシリンダー温度を220〜240℃、ダイアダプタ温度を240℃に変えた以外は、実施例6と同様な操作方法にて製造した。ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-5)の組成、分析結果、押出し条件及び物性を表6に示す。
【0106】
実施例8〔ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-6)の製造〕
ゴム状グラフト共重合体(D-2)36重量部、熱可塑性スチレン系共重合体(A-1)64重量部及びN,N'−エチレンビス(ステアリルアミド)0.3重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドし、更に、シリンダー温度を200〜220℃、ダイアダプタ温度を220℃に設定した。排気口付きの二軸押出機を用いて溶融混練してペレット状のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-6)を得た。そのゴム粒子(B)の重量平均粒径は0.31μmであった。ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-6)の組成、分析結果、押出し条件及び物性を表6に示す。
【0107】
実施例9〔ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-7)の製造〕
熱可塑性スチレン系共重合体(A-1)の代わりに熱可塑性スチレン系共重合体(A-3)を使用し、且つシリンダー温度を220〜240℃、ダイアダプタ温度を240℃に変えた以外は、実施例8と同様な操作方法にて製造した。ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-7)の組成、分析結果、押出し条件及び物性を表6に示す。
【0108】
比較例5〔ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-8)の製造〕
熱可塑性スチレン系共重合体(A-1)の代わりに熱可塑性スチレン系共重合体 A-5 を使用した以外は、実施例6と同様な操作方法にて製造した。ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-8)の組成、分析結果、押出し条件及び物性を表6に示す。
【0109】
比較例6〔ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-9)の製造〕
熱可塑性スチレン系共重合体(A-1)の代わりに熱可塑性スチレン系共重合体 A-5 を使用した以外は、実施例8と同様な操作方法にて製造した。ゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物(C-9)の組成、分析結果、押出し条件及び物性を表6に示す。
【0110】
【表6】
Figure 0003923359
【0111】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性スチレン系樹脂組成物は、表1に見られる様に、成形加工特性が優れており、また、本発明のゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物は、表2、表6に見られる様に、熱安定性、耐衝撃強度、流動性などの特性が良く、また肉厚均一性及び塗装表面の光沢均一性等の物性にも優れている。本発明の熱可塑性スチレン系樹脂組成物及びゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物は、一般の電子用品、電気製品に適用する以外、特に冷蔵庫板材としての成形加工に適合する。すなわち、本発明は、産業上の利用価値が大きい熱可塑性スチレン系樹脂組成物及びゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で最大伸長応力の測定に用いた装置の断面図。
【符号の説明】
10:加熱器
20:毛管レオメーター
30:第一ロール
40:第二ロール
50:出口
90:溶融樹脂

Claims (6)

  1. (i-1)スチレン系単量体から誘導される構成単位20〜95重量部、(i-2)シアン化ビニル単量体から誘導される構成単位20〜40重量部及び(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体から誘導される構成単位0〜40重量部(これらの合計は100重量部)と、前記(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して0.0005〜0.3重量部の多官能性マレイミド系単量体から誘導される構成単位とを有する熱可塑性スチレン系共重合体(A)を含有する熱可塑性スチレン系樹脂組成物。
  2. (i-1)スチレン系単量体から誘導される構成単位20〜95重量部、(i-2)シアン化ビニル単量体から誘導される構成単位20〜40重量部及び(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体から誘導される構成単位0〜40重量部(これらの合計は100重量部)と、前記(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して0.0005〜0.3重量部の多官能性マレイミド系単量体から誘導される構成単位とを有する熱可塑性スチレン系共重合体(A)を連続相とし、ゴム粒子(B)を分散相とするゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物であって、ゴム分の含有量が1〜40重量%であるゴム変性熱可塑性スチレン系樹脂組成物。
  3. 下記式(1)により算出される分岐比(gM)が0.45〜0.95である請求項1又は2記載の組成物。
    gM=(r2)b/(r2)l 式(1)
    (r2)b:分岐分子の回転半径
    (r2)l:直鎖分子の回転半径
  4. 残存する多官能性マレイミド系単量体の含有量が100ppm(重量比)以下である請求項1〜3の何れか1項記載の組成物。
  5. 前記熱可塑性スチレン系共重合体(A)のMZ(Z平均分子量)/MW(重量平均分子量)の比率が2〜8である請求項1〜の何れか1項記載の組成物。
  6. (i-1)スチレン系単量体20〜95重量部、(i-2)シアン化ビニル単量体20〜40重量部及び(i-3)他の共重合可能なエチレン系単量体0〜40重量部(これらの合計は100重量部)と、前記(i-1)〜(i-3)の合計100重量部に対して0.0005〜0.3重量部の多官能性マレイミド系単量体とを含有する原料溶液を、連続的に反応装置に仕込んで反応を行うことで熱可塑性スチレン系共重合体(A)を製造する工程を有する、請求項1〜5の何れか1項記載の熱可塑性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
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