JP5876551B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物、並びに、その製造方法及び成形品 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物、並びに、その製造方法及び成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法及び該樹脂製の成形品に関し、具体的には、特に優れた成形加工性及び機械的特性を有するゴム変性スチレン系樹脂組成物、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法及び成形品に関する発明である。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、例えば特許文献1に記載されているように、優れた成形加工性を持ち、得られる製品は良好な硬さ、耐衝撃性及び光沢性を有しているので、幅広く電子、電気製品及び自動車部品周辺などに応用されてきた。
ゴム変性スチレン系樹脂より製造される製品は、一般的に射出成形、押出成形などの成形加工により製造される。近年は射出成形の製造工程を全自動化するために、ピンゲートを用いて射出成形を行うことが多い。しかし、ピンゲートの径は小さいため、射出する樹脂の粘度が高いとゲートを通過しにくくなり、射出成形に不向きとなってしまう。よってゴム変性スチレン樹脂の射出成形を行う場合には、当該樹脂の流動性を更に向上する必要がある。
一方、押出成形によれば、ゴム変性スチレン系樹脂を溶融混練した後、ゴム変性スチレン系樹脂をダイを経由して押出することによって、該樹脂製品が得られる。この押出成形の効率を向上させるためには、ゴム変性スチレン系樹脂の成形加工性、例えば流動性及び吐出量などを更に向上する必要がある。
しかし、ゴム変性スチレン系樹脂は、例えばゴム変性スチレン系樹脂組成物の流動性が向上すると、耐衝撃性が低下するなど、良好な物性バランスを達成しにくいという問題点を有している。
特開2005−068427号公報
上記問題点に鑑みて、本発明は、従来より優れた溶融流動性や押出吐出量などで表される成形加工性を有すると共に、成形品の機械的特性の維持がなされているゴム変性スチレン系樹脂組成物、その製造方法、及び、該成形品の提供を目的とする。
本発明者は、下記のゴム変性スチレン系樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」ともいう)を提供することによって、上記の課題を解決することが可能なことを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明の樹脂組成物は、全体に占める含有量が76〜86重量%であり、連続相となる共重合体(A)、及び、全体に占める含有量が14〜24重量%であり、分散相となるゴム粒子(B)、を含有するゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、
該共重合体(A)は、スチレン-アクリロニトリル系共重合体(A1)であり、
該ゴム粒子(B)は、オクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)と、オクルージョン構造を有する第2のゴム粒子(B2)と、を含有しており、
且つ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したZ平均分子量Mzと、220℃における10kg荷重の環境で測定した溶融流動指数MIとの値は、下記の関係式1、すなわち、
Mz×10-4/MI <18 (式1)
を満足することを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物、である。
本発明の樹脂組成物における上記関係式1は、さらに下記の関係式2を満足することが好適である。
10< Mz×10-4/MI <16 (式2)
これらの関係式1又は2が係わる本発明の樹脂組成物の要件は、他の要件、例えば、共重合体(A)やゴム粒子(B)についての量的要件などを具備する結果として得られる従属的な要件ではなく、これらの他の要件と同様の独立的な要件である。例えば、後述する比較例3では、該関係式の要件を得ているにも拘わらず、共重合体(A)の配合量の要件を満たさないために、本発明の樹脂組成物が具えるべき性能を発揮できていない。
本発明の樹脂組成物における他の好適要件を挙げれば下記のようになる。
本発明の樹脂組成物においては、前記ゴム粒子(B)の全体に占める含有量は、14〜20重量%であることが好ましい。
さらに該ゴム粒子(B)は、重量平均粒子径が0.4μm未満のゴム粒子、及び、重量平均粒子径が0.4〜2μmのゴム粒子、を含有することが好ましい。また、該重量平均粒子径が0.4μm未満のゴム粒子の総面積と、該重量平均粒子径が0.4〜2μmのゴム粒子の総面積との比の値は、3未満であることが好ましく、1より大きく、3未満であることが特に好ましい。
また、本発明は、本発明の樹脂組成物を用いて、成形加工により製造されたことを特徴とする成形品(以下、「本発明の成形品」ともいう)を提供する発明である。
また、本発明は、以下の本発明の樹脂組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)を提供する発明である。
すなわち本発明の製造方法は、全体に占める含有量が18〜25重量%であり、乳化重合反応により製造された第1のゴム状グラフト共重合体と、全体に占める含有量が5〜35重量%であり、塊状重合反応により製造された第2のゴム状グラフト共重合体と、全体に占める含有量が40〜75重量%であり、溶液重合反応により製造されたエチレン系共重合体と、を混練する混練工程を備える、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法である。
この本発明の製造方法において、溶液重合反応により製造されたエチレン系共重合体は、該エチレン系共重合体の全体に占める含有量が60〜80重量%であるスチレン系単量体と、該エチレン系共重合体の全体に占める含有量が20〜40重量%であるアクリロニトリル系単量体とを用いて、重合反応により製造されたものであることが好ましい。
さらに本発明の製造方法においては、前記混練工程の後、更に、該工程により得られた混練物を造粒する押出し造粒工程を備えることが好ましい。
本発明により、従来より優れた溶融流動性や押出吐出量などで表される成形加工性を有すると共に、成形品の機械的特性の維持がなされているゴム変性スチレン系樹脂組成物が提供され、さらに、該樹脂組成物の製造方法、及び、成形品が提供される。
以下、本発明について説明する。
1.ゴム変性スチレン系樹脂組成物(本発明の組成物)
本発明の組成物は、該組成物全体(以下は「全体」に略称する)に占める含有量が76〜86重量%であり、連続相となる共重合体(A)と、全体に占める含有量が14〜24重量%であり、且つ、分散相となるゴム粒子(B)とを含有するものである。
該ゴム粒子(B)の全体に占める含有量は14〜20重量%であることが好ましい。なお、該共重合体(A)の全体に占める含有量が76重量%未満になると、吐出量が低下し、また、該共重合体(A)全体に占める含有量が86重量%を超えると、耐衝撃性が低下する。
そして、本発明の組成物においては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(Gel Permeation Chromatography、GPC)により測定したZ平均分子量(z-average molecular weight、Mz)の値と、220℃における10kg荷重の環境で測定した溶融流動指数(Melt flow index、MI)の値は、Mz×10-4/MI <18 の関係式を満足する。この関係式、Mz×10-4/MI <18 を満足しないと、組成物の吐出量、耐衝撃性及び耐温度サイクル性が低下する。本発明の組成物において、さらに好ましくは関係式、10< Mz×10-4/MI <16 を満足すると、特に良好な吐出量、耐衝撃性及び耐温度サイクル性が得られ、極めて良好な物性バランスを達成することが可能となる。
以下は、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物における共重合体(A)とゴム粒子(B)について説明する。
1−(1):共重合体(A)
上記のように、共重合体(A)はスチレン-アクリロニトリル系共重合体(A1)である。該スチレン-アクリロニトリル系共重合体(A1)は、該スチレン-アクリロニトリル系共重合体(A1)の全体に占める含有量が50〜90重量%であるスチレン系単量体と、同含有量が10〜50重量%であるアクリロニトリル系単量体とを含有するものである。
1−(2):ゴム粒子(B)
上記のように、ゴム粒子(B)は、オクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)と、オクルージョン構造を有する第2のゴム粒子(B2)とを含んでいる。
該ゴム粒子(B)の総重量に対して、該オクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)の含有量が25〜95重量%であり、且つ、該オクルージョン構造を有する第2のゴム粒子(B2)の含有量が5〜75重量%であることが好ましい。
オクルージョン構造を有する第2のゴム粒子(B2)は、1つ以上のスチレン系共重合体と、該スチレン系共重合体を包む第1のゴム本体とが含まれているものである。オクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)は、第2のゴム本体が含まれているものである。該第1のゴム本体と該第2のゴム本体それぞれは、ゴム素材より構成され、また、同一の素材でもよく、異なる素材であっても良い。ゴム粒子におけるオクルージョン構造の有無は、電子顕微鏡により容易に確認することができる。後述する実施例においてもオクルージョン構造の確認は、必要に応じて電子顕微鏡像に基づいて行われた。
オクルージョン構造を有する第2のゴム粒子におけるスチレン系共重合体は、例えば、スチレン系単量体と、アクリロニトリル系単量体と、必要に応じて添加される他の共重合可能なエチレン系単量体とからなる混合物を用いて重合反応により得ることができる。
上記のゴム本体を構成するゴム素材、並びに、オクルージョン構造を有する第2のゴム粒子におけるスチレン系共重合体の基となり得る、スチレン系単量体及びアクリロニトリル系単量体については、後述する(「2−1(ii):第1の単量体組成物」、及び、「2−(2):第2のゴム状グラフト共重合体」など)。
上述のように、ゴム粒子(B)は、重量平均粒子径が0.4μm未満のゴム粒子、及び、重量平均粒子径が0.4〜2μmのゴム粒子、を含有することが好ましい。
また、該重量平均粒子径が0.4μm未満のゴム粒子の総面積と、該重量平均粒子径が0.4〜2μmのゴム粒子の総面積との比の値は、3未満であることが好ましく、1より大きく、3未満であることが特に好ましい。該比の値が3以上になると、耐温度サイクル性が低下する。
2.ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法(本発明の製造方法)
本発明の製造方法は、(a)全体に占める含有量が18〜25重量%であり、乳化重合反応により製造された第1のゴム状グラフト共重合体、(b)全体に占める含有量が5〜35重量%であり、塊状重合反応により製造された第2のゴム状グラフト共重合体、及び、(c)全体に占める含有量が40〜75重量%であり、溶液重合反応により製造されたエチレン系共重合体、を混練する混練工程を含んでいる。また、該混練工程の後、さらに該混練工程により得られた混練物を押出し造粒する、押出し造粒工程を含むことが好ましい。
以下に、上述の通り本発明の製造方法に使用される、第1のゴム状グラフト共重合体、第2のゴム状グラフト共重合体、及び、エチレン系共重合体について説明する。
2−(1):第1のゴム状グラフト共重合体
第1のゴム状グラフト共重合体は、ゴム乳液を用いて、グラフト重合反応により得られる。該第1のゴム状グラフト共重合体のうち、その全体に対して45〜85質量%がゴム乳液(全固形分)であり、同15〜55重量%が第1の単量体組成物である。
該グラフト重合反応において、必要に応じて添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば凝固剤、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。また、グラフト重合反応が終わった後、必要に応じて、凝固、脱水、乾燥処理などの工程を行うことができる。
上記のゴム乳液を用いたグラフト重合反応で得られた第1のゴム状グラフト共重合体には、スチレン-アクリロニトリル系共重合体(A1)と、オクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)とが含まれる。該第1のゴム状グラフト共重合体におけるスチレン-アクリロニトリル系共重合体(A1)の含有量は、該共重合体全体の15〜55重量%である。
2−(1)(i):ゴム乳液
上記の第1のゴム状グラフト共重合体に含まれるゴム乳液は、例えば乳化重合法により調製され、該ゴム乳液中のゴム粒子の60〜100重量%が、ジエン系単量体、ポリアクリレート系単量体、ポリシロキサン系単量体などであり、同0〜40重量%が、例えば、スチレン系単量体、アクリロニトリル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体などの他の共重合可能な単量体である。該乳化重合反応が終わった後、必要に応じて更にゴム粒子の肥大化処理を行うことができる。
該ゴム乳液は、例えばポリブタジエン系ゴム乳液、ブタジエン−スチレン共重合体系ゴム乳液、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体系ゴム乳液、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体系ゴム乳液、イソプレン−アクリル酸ブチル共重合体系ゴム乳液などである。
上記のジエン系単量体に由来するジエン系ゴムとしては、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(ethylene propylene diene terpolymer、「EPDM」と略称する)、スチレン−ジエン系ゴム、アクリロニトリル−ジエン系ゴムなどからなる群の一種又は二種以上が挙げられる。
該ジエン系ゴムのうちポリブタジエンゴムとしては、例えば、ハイシス(Hi-Cis)ポリブタジエンゴム 、ローシス(Low―Cis)ポリブタジエンゴムなどが挙げられる。ここでハイシスポリブタジエンゴムは、そのシス(Cis)及びビニル(Vinyl)基の代表的な重量組成がそれぞれ94〜98重量%及び1〜5重量%であり、その他の組成成分はトランス(Trans)構造であって、ムーニー粘度(mooney viscosity)は20〜120の範囲内にあり、分子量は100,000〜800,000の範囲内にあることが好ましい。また、ローシスポリブタジエンゴムは、そのシス及びビニル基の代表的な重量組成がそれぞれ20〜40重量%及び1〜20重量%であり、その他の組成成分はトランス構造であって、ムーニー粘度は20〜120の範囲内にあり、分子量の範囲は100,000〜800,000の範囲内にあることが好ましい。
該ジエン系ゴムのうちスチレン−ジエン系ゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴムなどが挙げられ、スチレンブタジエンゴムがより好ましい。該スチレン−ジエン系ゴムは、ブロック共重合体、ランダム(random)共重合体、又は、星型(star type)共重合体のいずれかの共重合体である。該スチレン−ブタジエンゴムにおいて、スチレンとブタジエンの含有量が5:95〜80:20の範囲内にあると共に、その分子量が50,000〜600,000の範囲内にあることが好ましい。
例えばジエン系ゴム乳液の製造は、例えば、ブタジエン単量体を乳化重合法で重合することにより、又は、ジエン系単量体50〜100重量%と、スチレン系単量体0〜50重量%などを乳化重合法で重合することにより、重量平均粒子径が0.05〜0.8μmの範囲内にあるジエン系ゴム粒子を含有するゴム乳液を得ることができる。さらに、重量平均粒子径が0.05〜0.18μmの範囲内にある重量平均粒子径が小さいジエン系ゴム粒子を含有するゴム乳液を得た後、更に肥大化処理で、ゴム粒子の重量平均粒子径を0.2〜0.8μmの範囲内までに肥大させ、重量平均粒子径が大きいジエン系ゴム乳液を得ることができることは、上述した通りである。
該ゴム粒子の肥大化処理は、冷凍肥大化法、機械肥大化法、添加剤肥大化法などの一般の肥大化法を採用することができる。ここで該添加剤肥大化法に使用される添加剤としては、例えば、(a)無水酢酸、塩化水素、硫酸などの酸性物質、(b)塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの塩類、(c)メタアクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体、メタアクリル酸−アクリル酸エチル共重合体などの、(メタ)アクリル酸系−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体として例示されるカルボキシル基を含有する高分子凝集剤が挙げられる。
2−(1)(ii):第1の単量体組成物
第1のゴム状グラフト共重合体に含まれる第1の単量体組成物は、(a)該組成物の全体に占める含有量が50〜90重量%であるスチレン系単量体、(b)同含有量が10〜50重量%であるアクリロニトリル系単量体、及び、(c)同含有量が0〜40重量%である他の共重合可能なエチレン系単量体、が含まれている。
該スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−第3ブチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ブロモスチレンなどからなる群の単量体化合物の一種又は二種以上から選ばれる。これらのスチレン系単量体の中でも特に、スチレン、α−メチルスチレン、又は、これらの混合物であることが好ましい。
該アクリロニトリル系単量体としては、アクリロニトリル、α−メチルアクリロニトリルなどからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれ、特にアクリロニトリルであることが好ましい。
該他の共重合可能なエチレン系単量体としては、アクリル酸系単量体、メタクリル酸系単量体、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体などからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。
該アクリル酸系単量体としては、例えばアクリル酸などが挙げられる。
該メタクリル酸系単量体としては、例えばメタクリル酸などが挙げられる。
該アクリル酸エステル系単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチルなどが挙げられ、特にアクリル酸ブチルであることが好ましい。
該メタクリル酸エステル系単量体としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2 -ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(dimethylaminoethyl methacrylate)、エチレンジメタクリレート(ethylene dimethacrylate)、ネオペンチルジメタクリレート(neopentyl dimethacrylate)などが挙げら、特にメタクリル酸メチル又はメタクリル酸ブチルであることが好ましい。
2−(1)(iii):添加剤
第1のゴム状グラフト共重合体の製造に用いるグラフト重合反応に添加できる添加剤としては、例えば凝固剤、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
前記ゴム乳液及び第1の単量体組成物の総量100重量部に対して、添加剤を使用する量は0.01〜5重量部であることが好ましく、0.1〜3重量部であることがより好ましい。
前記重合開始剤は、単官能性重合開始剤、多官能性重合開始剤、又は、これらの組合わせである。
該単官能性重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド(benzoyl peroxide)、ジクミルパーオキサイド(dicumyl peroxide)、t−ブチルパーオキサイド(t-butyl peroxide)、t−ブチルヒドロパーオキサイド(t-butyl hydroperoxide)、クミルヒドロパーオキサイド/クメンヒドロペルオキシド(cumene hydroperoxide)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(t-butyl-peroxy benzoate)、ビス−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(bis-2-ethylhexyl peroxy dicarbonate)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(tert-butyl peroxy isopropyl carbonate、「BPIC」と略称する)、シクロヘキサノンパーオキサイト゛(cyclohexanone peroxide)、2,2'−アゾ−ビスイソブチロニトリル(2,2‘-azo-bis-isobutyronitrile、「AIBN」と略称する)、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル) (1,1‘-azo-biscyclohexane-1-carbonitrile)、2,2’−アゾ−ビス-2−メチルブチロニトリル(2,2‘-azo-bis-2-methyl butyronitrile)などからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれ、特に、ベンゾイルパーオキサイド、又は、2,2‘−アゾ−ビスイソブチロニトリルであることが好ましい。
該多官能性重合開始剤としては、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(1,1-bis-t-butyl peroxy cyclohexane、「TX−22」と略称する)、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1,1-bis-t-butylperoxy-3,3,5-trimethyl cyclohexane、「TX−29A」と略称する)、2,5−ジメチル−2,5−ビス−(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン[2,5-dimethyl-2,5-bis-(2-ethylhexanoxy peroxy)hexane]、4−(t−ブチルパーオキシカルボニル)−3−ヘキシル−6−[7−(t−ブチルパーオキシカルボニル)へプチル]シクロヘキサン{4-(t-butyl peroxy carbonyl)-3-hexyl-6-[7-(t-butyl peroxy carbonyl)heptyl]cyclohexane}、ジ−t−ブチル−ジパーオキシアゼレート(di-t-butyl-diperoxyazelate)、2,5−ジメチル−2,5−ビス−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン[2,5-dimethyl-2,5-bis-(benzoyl peroxy)hexane]、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドローテレフタレート(di-t-butyl peroxy-hexahydro-terephthalate、「BPHTH」と略称する)、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシルプロパン[2,2-bis-(4,4-di-t-butyl peroxy)cyclohexyl propane、「PX−12」と略称する]などからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。
該連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン(n-dodecyl mercaptan、「PX−12」と略称する)、ステアリルメルカプタン(stearyl mercaptan)、t−ドデシルメルカプタン(t-dodecyl mercaptan、「TDM」と略称する)、n−プロピルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタン、テルピノレン(terpinolene)などからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。
該凝固剤としては、硫酸、酢酸、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、重亜硫酸アンモニウム、ピロ亜硫酸塩、ピロ硫酸塩、ハイドロサルファイト(hydrosulfite)、ホルムアルデヒドスルホキシル酸塩(formaldehydesulfoxylate)、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれ、特に、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム(hydrosulfite)、又は、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(formaldehydesulfoxylate)であることが好ましい。
該乳化剤としては、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどからなる群の化合物の一種又は二種以上の化合物が選ばれる。
2−(2):第2のゴム状グラフト共重合体
第2のゴム状グラフト共重合体は、塊状重合反応により製造される共重合体である。該第2のゴム状グラフト共重合体には、第2の単量体組成物(スチレン-アクリロニトリル系共重合体(A1))100重量部、及び、ゴム粒子(オクルージョン構造を有する第2のゴム粒子(B2))5〜30重量部が含まれている。該塊状重合反応において、さらに必要に応じて添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
2−(2)(i):ゴム粒子
第2のゴム状グラフト共重合体に含まれるゴム粒子の素材は、ジエン系単量体、ポリアクリレート系単量体、ポリシロキサン系単量体、スチレン系単量体、アクリロニトリル系単量体などを当該素材の60〜100重量%含有し、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体などの他の共重合可能な単量体を同0〜40重量%含有し得る。該ゴム粒子のオクルージョン構造は、後述する「2−(2)(iv):第2のゴム状グラフト重合体の製造方法」を行うことにより、形成させることができる。
2−(2)(ii):第2の単量体組成物
第2のゴム状グラフト共重合体に含まれる第2の単量体組成物は、(a)該組成物の全体に占める含有量が50〜90重量%、好ましくは58〜80質量%であるスチレン系単量体、(b)該組成物の全体に占める含有量が10〜50重量%、好ましくは20〜42%であるアクリロニトリル系単量体、及び、(c)該組成物の全体に占める含有量が0〜40重量%である他の共重合可能なエチレン系単量体、が含まれている。
該スチレン系単量体、該アクリロニトリル系単量体及び該他の共重合可能なエチレン系単量体の内容は、上記第1のゴム状グラフト共重合体と同様である。
2−(2)(iii):添加剤
第2のゴム状グラフト共重合体の製造におけるブロック重合反応に添加できる添加剤としては、例えば溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。これらの添加剤の内容は、上記第1のゴム状グラフト共重合体と同様である。
該重合開始剤及び該連鎖移動剤は、上記第1のゴム状グラフト共重合体における重合開始剤及び連鎖移動剤と同様である。
該溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトンなどからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。
該第2の単量体組成物の総量100重量部に対して、該重合開始剤の含有量は0.01〜10重量部、該連鎖移動剤の含有量は0.001〜1重量部、該溶媒の含有量は10〜40重量部、であることが好ましい。
2−(2)(iv):第2のゴム状グラフト重合体の製造方法
この第2のゴム状グラフト重合体は、上記のゴム粒子の素材、及び、第2の単量体組成物の含有素材、添加剤などの出発原料を連続的に反応装置に仕込んで反応を行い、転化率が所定の値に達した後、反応により生成された溶液を反応装置から連続的に取り出し、そして、脱揮装置に導入して未反応の出発原料及び反応により生成された揮発成分を除去することにより製造することができる。また、得られた第2のゴム状グラフト重合体を更に、押出し造粒することができる。
上記反応装置としては、例えば、プラグフロー反応装置(plug flow reactor、「PFR」と略称する)、完全混合式反応装置(continuous stirred-tank reactor、「CSTR」と略称する)、静止型混合式反応装置(Static reactor)などが挙げられる。該反応装置の数量は1個、2個又は3個以上を併用することができ、好ましくは3個又は3個以上を併用する。2個以上の該反応装置を併用する場合には、最初の反応装置は完全混合式反応装置(CSTR)であることが好ましい。該反応装置の各操作温度は、80〜200℃の範囲内にあることが好ましく、90〜160℃の範囲内にあることがより好ましい。該反応装置の各操作圧力は、1〜5kg/cm2の範囲内にあることが好ましい。
上記脱揮装置は、例えば減圧脱揮装置又は押出脱揮装置を使用することができる。該脱揮装置により除去された未反応の出発原料及び反応により生成された揮発成分を、必要に応じてコンデンサーにより回収し、回収液中の水分を除いてから出発原料として再び使用することができる。
2−(3):エチレン系共重合体
本発明の組成物において用いるエチレン系共重合体は、溶液重合反応により製造することができる。該エチレン系共重合体には、第3の単量体組成物とスチレン-アクリロニトリル系共重合体(A1)が含まれている。
該溶液重合反応において、必要に応じて添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば凝固剤、乳化剤、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。溶液重合反応した後、必要に応じて、凝固、脱水、乾燥処理などの工程を行うことができる。
2−(3)(i):第3の単量体組成物
エチレン系共重合体に含まれる第3の単量体組成物は、(a)該組成物の全体に占める含有量が60〜80重量%であるスチレン系単量体、(b)同含有量が20〜40重量%であるアクリロニトリル系単量体、及び、(c)同含有量が0〜40重量%である他の共重合可能なエチレン系単量体が含まれている。
該スチレン系単量体及び該アクリロニトリル系単量体は、上記第1のゴム状グラフト共重合体におけるスチレン系単量体及びアクリロニトリル系単量体と同様である。
該他の共重合可能なエチレン系単量体としては、アクリル酸系単量体、メタクリル酸系単量体、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、単官能性マレイミド系単量体などからなる群の単量体化合物の一種又は二種以上から選ばれるものである。
該アクリル酸系単量体、該メタクリル酸系単量体、該アクリル酸エステル系単量体及び該メタクリル酸エステル系単量体は、上記第1のゴム状グラフト共重合体におけるアクリル酸系単量体、メタクリル酸系単量体、アクリル酸エステル系単量体及びメタクリル酸エステル系単量体と同様である。
2−(3)(ii):添加剤
エチレン系共重合体の製造における溶液重合反応に添加できる添加剤としては、例えば凝固剤、乳化剤、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
該凝固剤、該乳化剤、該溶媒及び該重合開始剤は、上記第1のゴム状グラフト共重合体及び上記第2のゴム状グラフト共重合体における凝固剤、乳化剤、溶媒及び重合開始剤と同様である。
該連鎖移動剤は、単官能性連鎖移動剤、多官能性連鎖移動剤、又はこれらの組合わせである。
該単官能性連鎖移動剤としては、(a)メチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン(stearyl mercaptan)、t−ドデシルメルカプタン(t-dodecoyl mercaptan、「TDM」と略称する)、n−プロピルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタンなどのメルカプタン類(mercaptan);(b)モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミンなど、(3.)その他:ペンタフェニルエタン(pentaphenylethane)、α−メチルスチレンダイマー(α-methyl styrene dimer)、テルピノレン(terpinolene)などのアルキルアミン類(alkyl amines);からなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。
該多官能性連鎖移動剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3 -メルカプトプロピオネート)[pentaerythritol tetrakis(3-mercapto propionate)]、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)[pentaerythritol tetrakis(2-mercapto acetate)]、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)[trimethylolpropane tris(2-mercapto acetate)]、トリメチロールプロパントリアクリレート[trimethylolpropane tris(3-mercapto propionate)、「TMPT」と略称する)]、トリメチロールプロパントリス(6 -メルカプトヘキサネート)[trimethylol-propane tris(6-mercapto hexanate)]、などからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。
該連鎖移動剤の含有量は、該エチレン系共重合体100重量部に対して0〜2重量部の範囲内にあり、好ましくは、0.001〜1重量部の範囲内にある。
このエチレン系共重合体は、上記のスチレン系単量体、アクリロニトリル系単量体及び他の共重合可能なエチレン系単量体などの出発原料を連続的に反応装置に仕込んで反応を行い、転化率が所定の値に達した後、反応により生成された溶液を反応装置から連続的に取り出し、そして、脱揮装置に導入して未反応の出発原料及び反応により生成された揮発成分を除去することにより得られる。また、得られたエチレン系共重合体を、更に押出し造粒することができる。
最終的な単量体の転化率は50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
上記の出発原料を仕込む反応装置としては、例えばプラグフロー反応装置(plug flow reactor、「PFR」と略称する)、完全混合式反応装置(continuous stirred-tank reactor、「CSTR」と略称する)、静止型混合式反応装置(Static reactor)などが挙げられる。該反応装置の数量は1個、2個又は3個以上を併用することができ、好ましくは3個又は4個以上を併用する。2個以上の反応装置を併用する場合には、最初の反応装置は完全混合式反応装置、最後の反応装置はプラグフロー反応装置であることが好ましい。該反応装置の各操作温度は、20〜300℃の範囲内にあることが好ましく、60〜250℃の範囲内にあることがより好ましく、80〜240℃の範囲内にあることが更に好ましい。該反応装置の各操作圧力は、1〜10kg/cm2の範囲内にあることが好ましい。
該脱揮装置は、例えば減圧式脱揮装置又は押出式脱揮装置を使用することができる。該脱揮装置により除去された未反応の出発原料及び反応により生成された揮発成分を、必要に応じてコンデンサーにより回収し、回収液中の水分を除いてから出発原料として再び使用することができる。
3.本発明の製造方法
本発明の製造方法においては、前記第1のゴム状グラフト共重合体、前記第2のゴム状グラフト共重合体、及び、前記エチレン系共重合体を攪拌器で均一に混合することにより、本発明の樹脂組成物を製造することが可能である。
該製造方法において、必要に応じて添加剤、及び/又は、他の重合体を添加することができる。該添加剤としては、例えば酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、強化剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、カップリング剤などが挙げられる。
該添加剤は、前記第1のゴム状グラフト共重合体、前記第2のゴム状グラフト共重合体、及び、前記エチレン系共重合体、をそれぞれを製造する(a)重合反応中に、(b)重合反応後に、又は、(c)凝固前に添加することが可能であり、或いは、(d)押出混練処理の工程中に、添加することができる。
該酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。該酸化防止剤の含有量は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の総量100重量部に対して、2重量部以下にあることが好ましい。
該フェノール系酸化防止剤としては、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸オクタデシル[3,5-bis(1,1-dimethylethyl)-4-hydroxybenzenepropanoic acid octadecyl ester、酸化防止剤IX−1076]、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル〕、テトラ〔メチレン−3−(3,5−ビスt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル〕メタン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシル基−6−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリル酸エステル、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)[2,2’-methylenebis(4-methyl-6-tert-butylphenol)、酸化防止剤2246]、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオ−ジエチレン−ビス〔3−(3,5−ビスt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル〕、2,2’−エチレンジアミド−ビス〔エチル−3−(3,5−ビスt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル〕などからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。
これらの酸化防止剤のうち、チオエーテル系酸化防止剤としては、ジステアロイルチオジプロピオン酸エステル、ジパルミトイルチオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトール−テトラ−(β−ドデシル−チオプロピオン酸エステル)、ビスオクタデシルチオエーテルなどからなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。リン系酸化防止剤としては、亜リン酸エステル系抗酸化剤、リン酸エステル系抗酸化剤、又は、これらの混合物が挙げられる。
該亜リン酸エステル系抗酸化剤としては、例えばトリ(ノニルフェニル)亜リン酸エステル、ドデシル亜リン酸エステル、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)−ビス(亜リン酸ジトリデシル)、トリ(2,4−t−ブチルフェニル)亜リン酸エステルなどが挙げられる。リン酸エステル系抗酸化剤としては、テトラ(2,4−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンホスフィン酸エステル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなどが挙げられる。
該滑剤としては、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、リチウムステアレートなどの金属石鹸;エチレンビスステアリルアミド(ethylene bis-stearamide、「EBA」と略称する)、メチレンビスステアリルアミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸パルミテート、ペンタエリスリトールテトラ脂肪酸エステル、n−ベヘン酸、ステアリン酸などの化合物;ポリエチレンワックス、オクタコサン酸ワックス、カルナウバワックス(carnuba wax)、石油ワックスなどのワックス類;からなる群の化合物の一種又は二種以上から選ばれる。該滑剤の含有量は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の総量100重量部に対して、2重量部以下にあることが好ましい。
上記添加剤と共に又はこれらと独立して配合される、上記の他の重合体としては、例えばポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体などが挙げられる。該他の重合体の含有量は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の総量100重量部に対して、5〜200重量部の範囲内にあることが好ましい。
4.本発明の成形品
本発明の樹脂組成物を用いて製造される成形品は、該樹脂組成物を公知の加工成形処理することにより製造することができる。
以下に本発明について、各実施例と各比較例の評価結果を用いて説明する。
<合成例1:第1のゴム状グラフト共重合体(乳化重合法)>
(1)1,3−ポリブタジエン95.0重量部、アクリロニトリル5.0重量部、過硫酸カリウム溶液15.0重量部、ピロリン酸ナトリウム3.0重量部、オレイン酸カリウム1.5重量部、蒸留水140.0重量部、及び、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部を反応温度65℃で、12時間反応させた後、ゴム乳液を得た(転化率94%、固体含有割合40%、重量平均粒子径0.1μm)。
(2)アクリル酸エチル85.0重量部、アクリル酸15.0重量部、t−ドデシルメルカプタン0.3重量部、オレイン酸カリウム2.0重量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.0重量部、クメンヒドロペルオキシド0.4重量部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.3重量部、及び蒸留水200.0重量部を反応温度75℃で、5時間反応させた後、カルボキシル基を有する高分子凝固剤を得た(転化率95%、pH値6.0)。
(3)該カルボキシル基を有する高分子凝固剤3重量部(乾燥重量)を用いて、該ゴム乳液100重量部(乾燥重量)を肥大させた後、肥大化されたゴム乳液を得た(pH値8.5、重量平均粒子径0.30μm)。
(4)該肥大化されたゴム乳液100.0重量部(乾燥重量)、スチレン23.3重量部、アクリロニトリル10重量部、オレイン酸カリウム1.2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部、クメンヒドロペルオキシド0.5重量部、硫酸第一鉄溶液3.0重量部(濃度0.2重量%)、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム3.0重量部(濃度10重量%)、エチレンジアミン四酢酸20.0重量部(濃度0.25重量%)、及び、蒸留水200.0重量部を混合しながら反応させた。該反応工程において、該スチレン及び該アクリロニトリルを、5時間以内に連続的に添加して重合した。その後、塩化カルシウム(CaCl)を用いて、反応された混合物を凝固し、そして、脱水した後、水分の含有割合2%以下に乾燥することで、第1のゴム状グラフト共重合体を得た。
(5)テトラヒドロフランを用いて、該第1のゴム状グラフト共重合体を溶解し、そして、濾過した後、濾液を得た。該濾液にメタノールを添加することで、該第1のゴム状グラフト共重合体が含んでいるオクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)を析出させた。更に、析出されたオクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)を濾過することによって、スチレン-アクリロニトリル系共重合体(A)と、該オクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)それぞれの該第1のゴム状グラフト共重合体の全体に占める含有量が25重量%、75重量%であることが計算できる。また、該オクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)の重量平均粒子径は0.31μmであった。
<合成例2:第2のゴム状グラフト共重合体(塊状重合法)>
(1)スチレン103.2重量部、スチレン−ブタジエン共重合体15重量部(スチレンの含有割合25重量%、ブタジエンの含有割合75重量%、Mw=130,000)、エチルベンゼン45.4重量部、アクリロニトリル31.4重量部、アクリル酸ブチル3.9重量部、n−ドデシルメルカプタン0.08重量部、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸オクタデシル0.063重量部、及びエチレンビスステアリルアミド0.063重量部、を混合して、混合物を得た。
(2)スチレン100重量部、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン3.0重量部、及びベンゾイルパーオキサイド1.8重量部を混合して、重合開始剤溶液を得た。
(3)ポンプを用いて、61kg/時の流速で、前記混合物を連続的に最初の反応装置に仕込むと共に、1.3kg/時の流速で前記重合開始剤溶液を連続的に最初の反応装置に仕込んで、反応させた。そして、反応させた後に得た重合体を順次に二つ目の反応装置、三つ目の反応装置、四つ目の反応装置に仕込んで、反応させた。該最初の反応装置と、二つ目の反応装置と、三つ目の反応装置と、四つ目の反応装置は、順次に配置された容量100リットルのプラグフロー反応装置である。それらの反応装置について、該最初の反応装置は、反応温度を75〜90℃、反応圧力4〜4.5kg/cm2にて、攪拌回転速度を110rpmに設定し、二つ目の反応装置は、反応温度を95〜105℃、反応圧力4〜4.5kg/cm2にて、攪拌回転速度を80rpmに設定し、三つ目の反応装置は、反応温度を110〜125℃、反応圧力4〜4.5kg/cm2にて、攪拌回転速度を60rpmに設定し、四つ目の反応装置は、反応温度を135〜150℃、反応圧力4〜4.5kg/cm2に、攪拌回転速度を5rpmに設定した。最終的に生成された重合体における固形分の含有割合は62.5%であった。反応が終了した後、脱揮装置を用いて、最終的に生成された重合体に含有する未反応の単量体及び溶媒を除去し、更に回収して再び使用した。最終的に生成された重合体をダイを用いて、長尺状になるように、押出した後、冷却及びチップカッターにより切断することにより、第2のゴム状グラフト共重合体を得た。
(4)アセトンと第2のゴム状グラフト共重合体とを混合することで、第2のゴム状グラフト共重合体が含むオクルージョン構造を有するゴム粒子(B2)を析出させた。このオクルージョン構造の存在は、電子顕微鏡を用いて確認した。更に、析出されたオクルージョン構造を有するゴム粒子(B2)を濾過することによって、スチレン-アクリロニトリル系共重合体と、該オクルージョン構造を有するゴム粒子(B2)それぞれの該第2のゴム状グラフト共重合体の全体に占める含有量が88.2重量%、11.8重量%であることを算出した。
<合成例3:エチレン系共重合体(溶液重合法)>
(1)スチレン65.5重量部、アクリロニトリル34.5重量部、N,N‘−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド0.022重量部、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部(重合開始剤)、n−ドデシルメルカプタン0.4重量部(連鎖移動剤)、及び、エチルベンゼン25重量部からなる第1の混合溶液を、37kg/時の流速で、連続的に最初の反応装置に仕込んで、重合反応させた。そして、重合反応させた後に得た重合体溶液を二つ目の反応装置に仕込むと共に、スチレン100重量部、N,N‘−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド0.15重量部からなる第2の混合溶液を、3kg/時の流速で、連続的に該二つ目の反応装置に仕込んで、重合反応させた。また、該二つ目の反応装置にて重合反応させた後に得た重合体溶液を三つ目の反応装置に仕込んで、重合反応させた。該最初の反応装置と、二つ目の反応装置と、三つ目の反応装置とは、順次に配置され、該最初の反応装置と、二つ目の反応装置は、容量40リットルの完全混合式反応装置であり、該三つ目の反応装置は容量75リットルのプラグフロー反応装置である。更に、該最初の反応装置においては、反応温度を95℃、反応圧力4〜4.5kg/cm2に、攪拌回転速度を120rpmに設定し、二つ目の反応装置においては、反応温度を105℃、反応圧力4〜4.5kg/cm2に、攪拌回転速度を90rpmに設定し、三つ目の反応装置においては、反応温度を135℃、反応圧力4〜4.5kg/cm2に、攪拌回転速度を35rpmに設定した。該三つ目反応装置にて生成された重合体溶液における単量体の転化率は74重量%であった。
(2)重合反応が終了した後、前記三つ目の反応装置にて重合反応させた後に得た重合体溶液を脱揮、押出及び造粒などの工程を行うことより、エチレン系共重合体を得た。該エチレン系共重合体中のスチレン−アクリロニトリル系共重合体の分子構造は分枝状である(branch AS)。
<合成例4:エチレン系共重合体(溶液重合法)>
12kg/時の流速で、スチレン76重量%及びアクリロニトリル24重量%を、温度が108℃に維持され且つ容量が45リットルである撹拌器付きの連続式釜形反応装置に仕込んで、混合することで重合反応させた。そして、3.0kg/時の流速で、エチレンビスステアリルアミド、ベンゾイルパーオキサイド及びt−ドデシルメルカプタンを前記連続式釜形反応装置に添加することによって、反応液を構成した。該反応液におけるトルエンの含有割合を15%に、重合率を55%に維持しつつ、脱揮装置を用いて、該反応液に含まれる揮発成分を除去した後、エチレン系共重合体の顆粒を得た。該エチレン系共重合体中のスチレン−アクリロニトリル系共重合体の分子構造は一般的な線状である(liner AS)。
なお、エチレン系共重合体の顆粒を得ると共に、除去された揮発成分を、コンデンサーにより回収し、前記連続式釜形反応装置に添加して再び使用することができる。
<実施例1〜7及び比較例1〜4:ゴム変性スチレン系樹脂組成物及びそれによる成形品>
表1に記載されている合成例1、合成例2、合成例3及び合成例4それぞれの割合で混合することにより得た樹脂混合物を、該樹脂混合物の総量100重量部に対して、エチレンビスステアリルアミド0.7重量部及び3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸オクタデシル[3,5-bis(1,1-dimethylethyl)-4-hydroxybenzenepropanoic acid octadecyl ester、酸化防止剤IX−1076]0.5重量部を添加することで、共重合体混合物を形成し、そして、押出成形機(Werner&Pfleidrer ZSK 35)を用いて、235℃で前記共重合体混合物を混合しながら、押出し造粒することにより、実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれを得た。
また、得られた実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれを、射出成形機(CHEN HSONG MACHINERY TAIWAN CO.,LTD.社製SM−90)を用いて、230℃でサンプルを射出した後、それぞれのゴム変性スチレン系樹脂組成物による成形品をそれぞれ得た。下記の評価方法による評価結果のそれぞれを表2に記載した。
<評価方法>
1.溶融流動指数(Melt flow index、MI、単位:g/10分)
実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれの溶融流動指数は、これらのゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれを、JIS K−7210に記載されている方法に従って、220℃及び荷重10kgの環境で測定することにより得た。
2.Z平均分子量(z-average molecular weight、Mz)
実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれのZ平均分子量は、これらのゴム変性スチレン系樹脂組成物のそれぞれを、公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定することにより得た。
3.重量平均粒子径
実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれの平均粒子径(Davg)は、これらのゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれを、四酸化オスミウム(OsO)で染色した後、透過型電子顕微鏡を用いて、倍率10,000倍で撮影し、撮影した鏡像に写ったゴム粒子(個数が200〜1000個)それぞれの粒子径(D、単位μm)を測定して、下記の式3で計算することにより得た。
Figure 0005876551
式3において、Nは粒子径がDであるゴム粒子の個数であり、Dはi個目のゴム粒子の粒子径である。
4.ゴム粒子の総面積
実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれのゴム粒子の総面積は、これらのゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれを、透過型電子顕微鏡を用いて、倍率百万倍で観察すると共に、画像解析ソフト(Media Cybernetics社製、Image−Pro Plus)で計算することにより得た。
5.連続相Qの値
実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれの連続相Qの値は、下記の式4で計算することにより得た。
連続相Qの値=重量平均分子量÷数量平均分子量 (式4)
6.耐衝撃性(Izod、単位:kg・cm/cm)
実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれの耐衝撃性は、これらのゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれを用いてASTM D−256に記載されている方法に従って、標準サンプル(温度23℃、ノッチ付きで厚さが1/4インチであるサンプル)を作成し、そして、作成した標準サンプルそれぞれを測定することにより得た。
7.低温落錘式衝撃強度(drop−ball、単位:J)
実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれの低温落錘式衝撃強度は、これらのゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれを、寸法が10mm×10mm×1/8インチであるサンプルに作成し、それぞれ作成したサンプルを、温度が−20℃である冷凍庫で24時間冷却してから、衝撃試験機(Dynatup8250)を用いて、ASTM−3763に記載されている方法に従って、落錘の重量23.64kg、落錘の落下高さ0.56m、衝撃速度3.34m/秒の測定条件で、冷却したサンプルそれぞれを破壊する時に必要な破壊エネルギーを測定することにより得た。
8.耐温度サイクル性
実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれの耐温度サイクル性は、これらのゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれを、寸法が230mm×30mm×2mmであるサンプルに作成し、そして、作成したサンプルそれぞれを10%伸ばした後、湾曲形状の固定具に挟み、シクロペンタン(cyclopentane)ガスを含有する密閉容器に設置し、耐温度サイクル試験を行った。
耐温度サイクル試験については、サンプルを温度が−30℃の環境に12時間放置してから温度が60℃の環境に12時間を放置することを、3回繰り返した後で、サンプルの外観を観察し、亀裂の有無により次のようにランクをつけて評価した。
○:サンプルの外観には亀裂がない。
×:サンプルの外観には亀裂がある。
9.吐出量(単位:g/分)
実施例1〜7及び比較例1〜4のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれの吐出量は、これらのゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれを、単軸押出機(CONTINENT MACHINERY INDUSTRIES社製 MH540)を用いて、押出温度230℃及び回転速度40rpmで、5分間押出し、押出された樹脂組成物の重量を計測することにより得た。
Figure 0005876551
表1において、滑剤及び酸化防止剤における重量部は、樹脂混合物の総量100重量部に対して、計算された値である。「--」は未添加を意味する。
Figure 0005876551
表2において、「0.4μm未満の総面積」は、重量平均粒子径が0.4μm未満のゴム粒子の総面積という意味であり、「0.4〜2μmの総面積」は、重量平均粒子径が0.4〜2μmの範囲内にあるゴム粒子の総面積であり、「面積比」=0.4μm未満の総面積÷0.4〜2μmの総面積であり、ゴム粒子(B)は、グラフト構造を有しない。
表1及び表2に示されるように、実施例1〜7のゴム変性スチレン系樹脂組成物それぞれは、合成例1である乳化重合反応により製造された第1のゴム状グラフト共重合体と、合成例2である塊状重合反応により製造された第2のゴム状グラフト共重合体と、合成例3である溶液重合反応により製造されたエチレン系共重合体とを混練することにより得たものであり、そして、共重合体(A)とゴム粒子(B)とは、それぞれ全体に占める含有量が76〜86重量%、14〜24重量%の範囲内にあり、且つ、Z平均分子量Mzと溶融流動指数MIとの値は、Mz×10-4/MI <18の関係式を満足することによって、これらの本発明の樹脂組成物の吐出量は57〜62g/分の範囲内にあると共に、成形品の耐衝撃性は31.1〜42.8kg・cm/cmの範囲内にあり、低温落錘式衝撃強度は8.1〜10.8Jの範囲内にあり、また、良好な耐温度サイクル性が認められ、本発明の樹脂組成物は、優れた成形加工性を有する上に、その成形品が優れた機械的特性を有することを実証できた。
比較例1のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、合成例1である第1のゴム状グラフト共重合体と、合成例2である第2のゴム状グラフト共重合体と、合成例4であるエチレン系共重合体より構成されたものであり、Mz×10-4/MIの値が20.29である。該ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、Mz×10-4/MIの値が18以上であるので、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物の吐出量は50g/分と低く、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物による成形品の機械的特性、例えば低温落錘式衝撃強度、耐衝撃性及び耐温度サイクル性は、実施例1〜7の本発明の樹脂組成物による成形品より劣っていた。
比較例2のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、合成例1である第1のゴム状グラフト共重合体と、合成例4であるエチレン系共重合体より構成されものであり、また、Mz×10-4/MIの値が19.68である。該ゴム変性スチレン系樹脂組成物には、合成例2における第2のゴム状グラフト共重合体を採用せず、オクルージョン構造を有する第2のゴム粒子(B2)が含まれず、且つ、Mz×10-4/MIの値が18以上であるので、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物の吐出量は更に48g/分と低く、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物による成形品の機械的特性、例えば低温落錘式衝撃強度、耐衝撃性及び耐温度サイクル性は、実施例1〜7の本発明の樹脂組成物による成形品、及び、比較例1のゴム変性スチレン系樹脂組成物による成形品より劣っていた。
比較例3のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、共重合体(A)とゴム粒子(B)との、それぞれ全体に占める含有量が86.85重量%、13.15重量%であった。該共重合体(A)の全体に占める含有量が86重量%を超えるので、比較例3のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、優れた吐出量を有するが、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物による成形品の耐衝撃性が20kg・cm/cm、低温落錘式衝撃強度が5.5Jと低下し、耐温度サイクル性も不合格であった。
比較例4のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、共重合体(A)と、ゴム粒子(B)との、それぞれ全体に占める含有量が75.14重量%、24.86重量%であり、Z平均分子量Mzの値と溶融流動指数MIとの比の値MR(Mz×10-4/MI)が25.40であった。該共重合体(A)の全体に占める含有量が76重量%未満であり、更に、Mz×10-4/MIの値が18以上であるので、比較例4のゴム変性スチレン系樹脂組成物の吐出量は40g/分と比較的低く、また、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物による成形品の耐温度サイクル性も不合格であった。
上記の評価結果によれば、ここに実施例として開示された本発明の樹脂組成物は、本発明の製造方法に則って、第1のゴム状グラフト共重合体、第2のゴム状グラフト共重合体及びエチレン系共重合体とを混練することにより製造され、そして、連続相となる共重合体(A)の含有量を76〜86重量%の範囲内に、分散相となるゴム粒子(B)の含有量を14〜24重量%の範囲内に制御し、且つ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したZ平均分子量Mzの値と、220℃における10kg荷重の環境で測定した溶融流動指数MIとの値は、Mz×10-4/MI <18の関係式を、確かに満足するものであった。そして、これらの本発明の樹脂組成物は、比較例として示された従来のゴム変性スチレン系樹脂組成物より、優れた成形加工性、例えば溶融流動指数及び吐出量を有する上に、これらの本発明の樹脂組成物による成形品は優れた機械的特性、例えば耐衝撃性及び耐温度サイクルなどを有することが明らかになった。
本発明は、一般のゴム変性スチレン系樹脂組成物の応用及び製造に関わる領域、例えば電子、電気製品及び自動車部品周辺などの部品の生産又は応用、及びゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造に好適である。

Claims (10)

  1. 全体に占める含有量が76〜86重量%であり、連続相となる共重合体(A)、及び、全体に占める含有量が14〜24重量%であり、分散相となるゴム粒子(B)、を含有するゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、
    該共重合体(A)は、スチレン-アクリロニトリル系共重合体(A1)であり、
    該ゴム粒子(B)は、オクルージョン構造を有しない第1のゴム粒子(B1)と、オクルージョン構造を有する第2のゴム粒子(B2)と、を含有しており、
    且つ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したZ平均分子量Mzと、220℃における10kg荷重の環境で測定した溶融流動指数MIとの値は、下記の関係式1を満足することを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物。
    関係式1
    Mz×10-4/MI <18
  2. 前記Z平均分子量Mzと前記溶融流動指数MIとの値は、下記の関係式2を更に満足することを特徴とする請求項1に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
    関係式2
    10< Mz×10-4/MI <16
  3. 前記ゴム粒子(B)の全体に占める含有量は、14〜20重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  4. 前記ゴム粒子(B)は、重量平均粒子径が0.4μm未満のゴム粒子と、重量平均粒子径が0.4〜2μmのゴム粒子と、を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  5. 前記重量平均粒子径が0.4μm未満のゴム粒子の総面積と、前記重量平均粒子径が0.4〜2μmのゴム粒子の総面積との比の値は、3未満であることを特徴とする請求項4に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  6. 前記重量平均粒子径が0.4μm未満のゴム粒子の総面積と、前記重量平均粒子径が0.4〜2μmのゴム粒子の総面積との比の値は、1より大きく、3未満であることを特徴とする請求項5に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物を用いて、成形加工により製造されたことを特徴とする成形品。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物を製造する方法であって、
    全体に占める含有量が18〜25重量%であり、乳化重合反応により製造された第1のゴム状グラフト共重合体と、
    全体に占める含有量が5〜35重量%であり、塊状重合反応により製造された第2のゴム状グラフト共重合体と、
    全体に占める含有量が40〜75重量%であり、溶液重合反応により製造されたエチレン系共重合体と、を混練する混練工程を備えることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記エチレン系共重合体は、前記エチレン系共重合体の全体に占める含有量が60〜80重量%であるスチレン系単量体と、前記エチレン系共重合体の全体に占める含有量が20〜40重量%であるアクリロニトリル系単量体とを用いて、重合反応により製造されたものであることを特徴とする請求項8に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記混練工程の後、更に、前記混練工程により得られた混練物を造粒する押出し造粒工程を備えることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
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