JP2005179644A - 透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂 - Google Patents
透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005179644A JP2005179644A JP2004319468A JP2004319468A JP2005179644A JP 2005179644 A JP2005179644 A JP 2005179644A JP 2004319468 A JP2004319468 A JP 2004319468A JP 2004319468 A JP2004319468 A JP 2004319468A JP 2005179644 A JP2005179644 A JP 2005179644A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- styrene
- rubber
- copolymer
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Graft Or Block Polymers (AREA)
Abstract
【課題】 透明性及び耐衝撃性の良好な物性バランスを有する透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を提供する。
【解決手段】ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相(A)1〜25重量%と共重合体連続相(B)75〜99重量%から構成される透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂であり、(a)該ゴム状共重合体はスチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)92〜99重量%とポリジエン系ゴム(II)1〜8重量%を含み、(b)(I)は5重量%スチレン溶液における溶液粘度が5〜20cps、重量平均分子量が10〜20万、且つ(I)における全スチレン系単量体結合量が50重量%以下、ポリスチレン系ブロック結合量が5〜35重量%であり、(c)(II)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が30〜250cps、重量平均分子量が30〜80万である、透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂。
【選択図】 なし
【解決手段】ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相(A)1〜25重量%と共重合体連続相(B)75〜99重量%から構成される透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂であり、(a)該ゴム状共重合体はスチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)92〜99重量%とポリジエン系ゴム(II)1〜8重量%を含み、(b)(I)は5重量%スチレン溶液における溶液粘度が5〜20cps、重量平均分子量が10〜20万、且つ(I)における全スチレン系単量体結合量が50重量%以下、ポリスチレン系ブロック結合量が5〜35重量%であり、(c)(II)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が30〜250cps、重量平均分子量が30〜80万である、透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂。
【選択図】 なし
Description
本発明は透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂に関するもので、特に二種類の異なるゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相と共重合体連続相から構成されており、透明性及び耐衝撃性の良好な物性バランスを有する樹脂組成物に関する。
ゴム変性ポリスチレン系樹脂は機械強度および加工成形性に優れる材料であるため、食品容器、包装材料などの家庭用品、家電製品、OA機器のフレームなど様々な用途に用いられている。しかし、一般のゴム変性ポリスチレン系樹脂は不透明なため、透明性が要求される製品分野への応用できない。樹脂の強度と透明性を満足するゴム変性ポリスチレン系樹脂を得るため、従来の技術ではポリスチレン系樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合体を混合する方法を採用しているが、この方法では樹脂の強度を十分に向上することができず、使用上理想的でない。
一方、特許文献1(特開平4-180907号公報)には、スチレン−ジエンブロック共重合体の存在下でスチレンとメタクリル酸エステルとを共重合させる方法が示されている。しかし、この方法では樹脂の透明性を改善したが樹脂の耐衝撃性を高めることができない。また特許文献2(特開平8-239532号公報)には、スチレン−ジエン系ゴムと同等の屈折率を有するスチレン−メタクリル酸メチル共重合体から構成された樹脂組成物が示されている。しかし、該組成物におけるゴム粒子の平均粒子径は0.1〜2μmであって、一方1,2-ビニル結合の割合が1〜13.8重量%、粒子径分布指数が2〜5であり、樹脂組成物の透明性は改善できたものの樹脂の耐衝撃性を大幅に改善することができなかった。
特開平4-180907号公報
特開平8-239532号公報
本発明の目的は透明性及び耐衝撃性の良好な物性バランスを持つ透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を提供することである。
本発明はゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相(A)1〜25重量%と、スチレン系単量体20〜70重量部、(メタ)アクリル酸エステル系単量体30〜80重量部及び他の共重合可能な単量体0〜40重量部を重合してなる共重合体連続相(B)75〜99重量%から構成され、下記(a)〜(c)の要件を満たした透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂に関する。
(a)ゴム粒子分散相(A)のゴム状共重合体は、スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)92〜99重量%及びポリジエン系ゴム(II)1〜8重量%を含む。
(b)スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が5〜20cpsで、重量平均分子量が10〜20万であり、且つ該スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)における全スチレン系単量体結合量が50重量%以下、ポリスチレン系ブロック結合量が5〜35重量%である。
(c)ポリジエン系ゴム(II)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が30〜250cpsで、重量平均分子量が30〜80万である。
(a)ゴム粒子分散相(A)のゴム状共重合体は、スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)92〜99重量%及びポリジエン系ゴム(II)1〜8重量%を含む。
(b)スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が5〜20cpsで、重量平均分子量が10〜20万であり、且つ該スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)における全スチレン系単量体結合量が50重量%以下、ポリスチレン系ブロック結合量が5〜35重量%である。
(c)ポリジエン系ゴム(II)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が30〜250cpsで、重量平均分子量が30〜80万である。
本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂は、ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相(A)1〜25重量%と、スチレン系単量体20〜70重量部、(メタ)アクリル酸エステル系単量体30〜80重量部及び他の共重合可能な単量体0〜40重量部を含む共重合体連続相(B)75〜99重量%から構成される。
本発明において、ゴム粒子分散相(A)のゴム状共重合体は、スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)92〜99重量%及びポリジエン系ゴム(II)1〜8重量%を含む。かかるスチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)は、有機溶媒の存在下に有機リチウム化合物を重合開始剤とし、スチレン系単量体とジエン系単量体をアニオン重合反応させてブロック共重合体を形成することができる。上記のスチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)のブロック構造としては、ホモポリマーブロック構造、部分ランダムブロック構造、テーパーブロック構造があるが、中でもテーパーブロック構造が好ましい。
上記ジエン系単量体としては、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエンなどが挙げられ、これらの化合物は単独又は二種以上を併用しても良い。中でも1,3-ブタジエン及び2-メチル-1,3-ブタジエンが好ましい。
前記スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)の製造において重合開始剤となる有機リチウム化合物は、その分子中に一個以上のリチウム原子を含む化合物であり、その具体例としてはエチルリチウム、n-ペンチルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム、ベンジルリチウム、t-ブチルリチウム、トリメチレンジリチウム、テトラメチレンジリチウム、ブタジエンジリチウム及びイソペンタジエンジリチウムなどが挙げられる。これらは一種又は二種以上を混合して使用することができる。
本発明におけるスチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が5〜20cpsで、特に好ましくは8〜16cpsである。該溶液粘度が5cps未満であると樹脂の耐衝撃性が悪くなり伸び率も低下する。一方、該溶液粘度が20cpsを超えると樹脂の透明性が悪くなる。
また、前記スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)は、その重量平均分子量が10〜20万で、特に好ましくは10〜18万である。この範囲内であれば樹脂の透明性、耐衝撃性及び伸び率などの物性バランスが良好である。
そして、前記スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)における全スチレン単量体結合量(スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)におけるスチレンの重量比率。原料基準)は50重量%以下、好ましくは40重量%以下である。全スチレン単量体結合量が50重量%を超えると、樹脂の衝撃強度及び伸び率が低下して本発明に必要な透明性及び衝撃強度の物性バランスが得られない。一方、前記スチレン−ジエン系ブロック共重合体(I)におけるポリスチレンブロック結合量は5〜35重量%、好ましくは10〜25重量%、更に好ましくは14〜22重量%である。ポリスチレンブロック結合量が5重量%未満であると樹脂の透明性が悪く、一方その結合量が35重量%を超えると樹脂の衝撃強度及び伸び率が低下して本発明に必要な透明性及び衝撃強度の物性バランスが得られない。かかるポリスチレンブロック結合量は、後述の実施例に示す方法により測定することができる。また、本発明のスチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)において、1,2-ビニル結合の含有量は好ましくは8重量%以上、特に好ましくは14重量%以上である。
本発明におけるポリジエン系ゴム(II)はジエン系単量体を重合して得られるホモポリマーである。ポリジエン系ホモポリマーは、有機溶剤の存在下に有機リチウム化合物を重合開始剤とし、ジエン系単量体と適量の溶剤を用いて重合反応させて得られたもので、その分子構造は分岐状構造及び線状構造の二種類がある。またポリジエン系ホモポリマーはハイシス、ローシスとトランス等のミクロ化学構造を有するが、この中でローシス型のポリブタジエンゴムが好ましい。ローシスゴムはそのシス及びビニル構造単位の代表的な重量比がそれぞれ30%〜40%及び5%〜40%である。このポリジエン系ゴム(II)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が30〜250cpsであるが、好ましくは60〜230cps、更に好ましくは70〜210cpsである。上記の溶液粘度が30cps未満であると樹脂の耐衝撃性が悪くなり伸び率が低下する。一方、その溶液粘度が250cpsを超えると透明性が悪くなる。また本発明におけるポリジエン系ゴム(II)の重量平均分子量は30〜80万であるが、好ましくは35〜70万である。上記の範囲内であれば樹脂の透明性、耐衝撃性及び伸び率の物性バランスが優れる。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム粒子の重量平均粒子径は、好ましくは0.2〜1.0μm、更に好ましくは0.22〜0.6μm、特に好ましくは0.25〜0.5μmである。上記のゴム粒子の重量平均粒子径は透過型電子顕微鏡(超薄切片法)の写真から求められる。即ち、この写真には300個以上の粒子を必要とし、下式によりゴム粒子の重量平均粒子径を計算する。
本発明の透明ゴム変性スチレン系樹脂において、該ゴム状共重合体の含有量は1〜25重量%である。このゴム状共重合体の含有量が1重量%未満であると樹脂の耐衝撃性が悪くなり、一方それが25重量%を超えると樹脂の透明性及び成形加工性が悪くなる。
本発明のゴム状共重合体中のスチレン系―ジエン系ブロック共重合体(I)とポリジエン系ゴム(II)の重量比率は92〜99重量%/1〜8重量%であり、好ましくは93〜99重量%/1〜7重量%、更に好ましくは94〜99重量%/1〜6重量%である。ポリジエン系ゴム(II)の比率が1重量%未満であると耐衝撃性が悪くて伸び率が低下し、一方それが8重量%を超えると樹脂の透明性が悪くなる。
本発明において、共重合体連続相(B)は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び他の共重合可能の単量体からなる共重合用単量体の合計量100重量部に対して、スチレン系単量体が20〜70重量部、好ましくは25〜60重量部、更に好ましくは27〜50重量部で、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が30〜80重量部、好ましくは35〜75重量部、更に好ましくは40〜70重量部で、他の共重合可能な単量体が0〜40重量部、好ましくは0〜30重量部、更に好ましくは0〜20重量部を重合して得られる。かかる樹脂組成において、本発明の透明性及び耐衝撃性の良好な物性バランスを持つ樹脂組成物が得られる。
上記スチレン系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられるが、スチレン又はα−メチルスチレンが好ましい。上記のスチレン系単量体は単独又は二種以上を併用しても良い。
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてはメタクリル酸エステル類およびアクリル酸エステルがあるが、メタクリル酸エステルとしてはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ジグリシジルなどが挙げられ、一方アクリル酸エステルとしてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルペンチル、アクリル酸オクチルなどが挙げられる。これらの中でメタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルが好ましい。
上記共重合体連続相(B)に使用される他の共重合可能な単量体の種類については特別な制限がなく、必要に応じて各共重合単量体の比率を調製することにより屈折率を調整することができ、最終的に樹脂組成物が透明になりさえすれば良い。上記共重合可能な単量体の具体例としてはアクリロニトリル、α−メチルアクリロニトリルなどのアクリロニトリル系単量体、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ブテン酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪酸、マレイミド類単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸の無水物、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系の化合物が挙げられる。
上記共重合可能な単量体として、特にアクリロニトリルを使用すると、耐衝撃性、耐化学薬品性及び剛性を改善することができる。アクリロニトリルをこの様な改善目的で使用する場合、その含有量は、共重合体連続相(B)100重量部中、1〜20重量部、好ましくは2〜16重量部である。
本発明における共重合体連続相(B)は、線状または分岐状構造共重合体よりなるが、分岐状構造共重合体の方が衝撃強度および加工性(流動性)のバランスにおいて優れる。上記分岐状構造共重合体は、重合する時に一種または数種の多官能性不飽和ラジカル単量体、多官能性の重合開始剤、多官能性の連鎖移動剤の1種又は2種以上を併用することにより得られる。
本発明の樹脂における不溶成分の含有量は特に限定されるものではないが、一般には2〜40重量%、好ましくは8〜35重量%、更に好ましくは12〜30重量%である。
また、本発明の透明樹脂における膨潤指数(膨脹度)は特に制限されるものではないが、一般に2〜25であり、好ましくは3〜20、更に好ましくは5〜15である。
上記の樹脂における不溶成分の含有量(重量%)及び膨潤指数の測定方法は、次のように行うことができる。即ち、樹脂1グラムをトルエン/アセトン(1:1)の混合溶剤に溶解させ、25℃にて24時間経過後に遠心分離器(15000rpm、20分間)で遠心分離させる。その下層液を取り膨潤後の不溶分の重量を測る。更にその不溶分を真空下、80℃で12時間乾燥させて不溶分の重量を測定し、下式により不溶分の含有量(重量%)を算出する。
不溶分の含有量(重量%)=(乾燥した不溶分の重量/樹脂の重量)×100%
また膨潤度は下式により算出される。
膨潤度=膨脹後の不溶分の重量/乾燥後の不溶分の重量
また膨潤度は下式により算出される。
膨潤度=膨脹後の不溶分の重量/乾燥後の不溶分の重量
上記のゴム粒子の重量平均粒子径は、ゴム種類の選択(例えば粘度、分子量の大きさ、シス/トランス/ビニルのミクロ化学構造など)、重合反応器の種類及び攪拌速度、反応温度、重合単量体の転化率、溶剤の種類及び使用量などの一種又は数種の方法を併用して調整できる。
本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂の製造方法としては、二種の異なるゴム状共重合体の存在下で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び必要に応じて他の共重合可能な単量体を添加し、バッチ式又は連続式で塊状又は溶液グラフト重合反応をさせる方法を用いることができる。連続式溶液重合の場合、先ず上記の二種の異なるゴム状共重合体を所定の比率で単量体と混ぜて(必要に応じて適当量の溶剤を添加して)原料混合溶液を形成し、その原料混合溶液を公知の高剪断力、高攪拌速度の溶解槽内で溶解させる。この溶解槽としてはテープ状螺旋攪拌ブレード、スパイラル攪拌ブレードまたはその他の高剪断力を生じる攪拌ブレードを備えたものとし、十分に時間をかけて上記のゴム状共重合体を完全にゴム溶液に溶かした後、ポンプによって反応器へ送出するものでなければならない。前記の原料溶液及び必要に応じて添加する単量体溶液を連続的に第一の反応器及び/または第二の反応器、及び/またはさらに次の反応器へフィードする。同時に必要に応じて第一及び/または第二及び/またはさらに次の反応器へ連鎖移動剤、重合開始剤を添加してグラフト重合反応を行わせる。
上記の反応器としては連続攪拌式反応器(CSTR)、またはプラグフロー式反応器、またはスタティックミキサー型の反応器のいずれか又はこれらの2種以上を組合せる。反応温度を70〜230℃に制御すると最終単量体の転化率を30〜95%にすることができるが、最終単量体の転化率は特に50〜90%が好ましい。
本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂の重合において、第1の反応器は連続攪拌式反応器(CSTR)を用いることが好ましく、そして第二及び/または更に次の反応器に引き継がせる。後続の反応器としてはCSTR、プラグフロー式反応器またはスタティックミキサー型の反応器の何れであっても良い。良好な実用透明性を得るには第1の反応器はCSTRを採用し、一方最後の反応器はプラグフロー式反応器を採用することが好ましく、最も好ましくは第1〜3基共にCSTRを採用し、第4基はプラグフロー式反応器を採用する。
一般的に第一反応器の単量体転化率は約1〜30重量%となるが、好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは3〜22重量%である。上記第一の反応器の単量体転化率は使用するゴム共重合体の含有量、種類、粘度に応じて適宜選定することができる。つまり、ゴムの相反転を第一反応器にては起こさせず、後続きの反応器(例えば第二又は第三反応器)中に相反転を起こせるようにしておけば、良好な物性を得ることができる。
本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を重合する際に用いることのできる溶剤としては、芳香族系炭化水素化合物ではトルエン、エチルベンゼン、ジメチルベンゼン、ケトン類ではブタノン、エステル類では酢酸エチルが好ましい。その他に本発明ではn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素化合物を溶剤の一部として使用することもできる。
本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を製造する時に使用することのできる重合開始剤は、単官能性重合開始剤及び多官能性重合開始剤があり、その添加量は単量体100重量部に対して、好ましくは0〜2重量部、更に好ましくは0.001〜0.7重量部である。単官能性重合開始剤の具体例としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クミルヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(以下、「BPIC」と略称する)、シクロヘキサノンパーオキサイド、2,2'−アゾービスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビスー(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾービス-2-メチルブチロニトリルなどが挙げられる。これらの中でベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
多官能性重合開始剤の具体例としては、例えば1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)ー3,3,5ートリメチルシクロヘキサン(以下、「TX-29A」と略称する)、2,5−ジメチル−2,5−ビス−(2-エチルヘキサノキシパーオキシ)ヘキサン、4−(t−ブチルパーオキシカルボニル)−3−ヘキシル−6−[7−(t−ブチルパーオキシカルボニル)へプチル]シクロヘキサン、ジ−t−ブチルージパーオキシアゼレート、2,5−ジメチル−2,5−ビスー(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドローテレフタレート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシルプロパン(以下「PX-12」と略称する)、多官能モノパーオキシカーボネート(例えば米国ATOFINA社の商品名Luperox JWE)等が挙げられる。これらの中でTX-29A、PX-12が好ましい。
本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を製造するのに使用し得る連鎖移動剤は単官能性連鎖移動剤と多官能性連鎖移動剤があり、その添加量は単量体100重量部に対して0〜2重量部、好ましくは0.01〜0.7重量部である。上記の単官能性連鎖移動剤の具体例としては、例えば、
(1)メルカプタン類:メチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン(以下「TDM」と略称する)、n−プロピルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタンなど。
(2)アルキルアミン類:モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジn−ブチルアミン、トリn−ブチルアミンなど。
(3)その他:ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレン二量体、テルピノレンなどが挙げられる。
上記の中でも、メルカプタン類のn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが好ましい。
上記の中でも、メルカプタン類のn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが好ましい。
多官能性連鎖移動剤の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(以下「TMPT」と略称する)、トリメチロールプロパントリス(6−メルカプトヘキサネート)などが挙げられる。これらの中でTMPTが好ましい。
そして上記重合反応の後、反応器から生成物溶液を取り出し、脱揮発装置により未反応の単量体、溶剤などの揮発分を除去し、ポリマーを回収することにより本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂が得られる。
上記の脱揮発装置としては、脱揮発槽および/または一軸および/または二軸の排出口付押出機がある。必要に応じて上記押出機に脱揮補助剤、例えば水、シクロヘキサン、二酸化炭素などを加えることもあり、その補助剤の使用量は一般に10重量%以下である(押出機へのフィード量100重量%に対して)。押出機は必要に応じて混練ゾーン、推進ゾーンなどを設けることができ、スクリューの回転速度は120〜350rpmであり、押出機の温度は160〜300℃に制御することが望ましいが、良好な実用透明性および色相を得るには240〜260℃に制御するのが好ましい。本発明においては排出口付二軸押出機が好ましい。また真空手段付脱揮タンクも使える。上記の脱揮タンクは一つまたは数個直列させて使うことができ、温度は180〜320℃に制御することができるが、良好な実用透明性および色相を得るには好ましくは200〜300℃、最も好ましいのは235〜260℃に制御する。タンクの真空度は300Torr以下に制御するものとし、好ましくは200Torr以下、更に好ましくは100Torr以下である。その他、脱揮発手段として例えば薄膜蒸発器(Thin film evaporator)を採用することもできる。
前記脱揮発装置での処理によって樹脂中に残留する単量体、溶剤、二量体、三量体などの揮発分を1重量%以下に抑えるのが好ましく、更に好ましくは0.8重量%以下、良好な実用透明性を得る上で特に好ましくは0.5重量%以下に抑える。
本発明樹脂の効果を著しく損なわない範囲内において、例えば着色剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤(三酸化アンチモンなど)、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤、粘度増加剤、帯電防止剤、酸化防止剤、導電剤などの添加剤を配合することができる。上記添加剤としては例えば鉱油、ステアリン酸ブチルのエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ポリジメチルシロキサン等の有機ポリシロキサン、高級脂肪酸およびその金属塩、立体障害アミン系酸化防止剤、ガラス繊維などが挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。上記成分は必要に応じて重合反応段階または反応完成後に添加混合することができる。
前記のエステル系可塑剤または鉱油の使用量は、樹脂に対し一般に0〜5重量%で、特に0.05〜2重量%が好ましく、また、有機ポリシロキサンの使用量は、一般的に0〜0.5重量%で、0.002〜0.2重量%がより好ましい。
また、本発明樹脂の透明性を著しく損なわない範囲で、更に他の樹脂を配合することができる。例えば、スチレン系−(メタ)アクリレート系−アクリロニトリル系共重合体、スチレン系−(メタ)アクリレート系共重合体、スチレン系−(メタ)アクリレート系−アクリロニトリル系−マレイミド系共重合体、スチレン系−(メタ)アクリレート系−マレイミド系共重合体、(メタ)アクリレート系−マレイミド系共重合体、またはジエン系ゴム変性した前記の共重合体、例えばスチレン系‐ジエン系‐(メタ)アクリレート系‐アクリルニトリル系共重合物、スチレン系‐ジエン系‐(メタ)アクリレート系共重合物、スチレン系‐ジエン系‐(メタ)アクリレート系‐アクリルニトリル系‐マレイミド系共重合物、スチレン系‐ジエン系‐(メタ)アクリレート系‐マレイミド系共重合物、(メタ)アクリレート系‐ジエン系‐マレイミド系共重合物などが挙げられる。
前記樹脂の使用量は透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂100重量部に対し、0〜200重量部であり、これらの樹脂を添加することによって目的樹脂(透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂)の耐熱性、剛性および流動加工性等を調整することができる。
本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂の用途は特に限定されないが、射出成形、圧縮成形の各種成形品、押出成形、ブロー成形、熱成形(真空成形など)および中空成形による成形品、例えば押出ボード、シート、フィルム成形品などが挙げられ、これらは処方により高流動性、高耐熱性の要求を満たすよう設計することができる。
前記他の成分または樹脂の添加混合は、例えばバンバリーミキサー、ロール混練機、一軸または二軸押出機などの一般の溶融混練機でを用いて、一般に160℃〜280℃、好ましくは180℃〜250℃の温度で混練することができる。各配合成分の添加順序には特に制限が無い。
[物性測定]
以下の実施例及び比較例において、各物性は次の方法で測定した。
(1)アイゾッド衝撃強度(IZOD):ASTM D−256に準拠して測定する(23℃にてノッチ付1/4インチ肉厚の試験片を使用)
以下の実施例及び比較例において、各物性は次の方法で測定した。
(1)アイゾッド衝撃強度(IZOD):ASTM D−256に準拠して測定する(23℃にてノッチ付1/4インチ肉厚の試験片を使用)
(2)透明度(Haze):成形温度220℃、金型温度50℃で射出成形した厚さ3mm、直径5.5cmの円盤状試験片を用いて、ASTM D-1003に準拠して透明性を測定する。Haze値(%)が高ければその透明性が悪いことを表す。
(3)面衝撃強度(FDI):長さ100mm、直径15.8mmの重さ2kgの落錘を用いて常温にて厚さ3mmの試験片シートへの落錘衝撃試験を実施した。50%以上の試験片が未破壊の時の落錘落下距離を記録した。
(4)伸び率(EL):ASTM D−638法に従って樹脂の伸び率を測定した。
(5)ポリスチレンブロック結合量の測定(重量%):ゴム状共重合体を1,2−ジクロロベンゼンに加温しながら溶解した後、更にt−ブチルヒドロパーオキサイド溶液と四酸化オスミウムを加えて引き続き15分間混合加熱した。冷却後にメタノール及び硫酸を加えて攪拌してから濾紙濾過、乾燥、重量測定を行った。
[実施例1]
ゴム状共重合体13.6重量部、スチレン38重量部、メタクリル酸メチル58重量部、アクリロニトリル4重量部、エチルベンゼン38重量部、n−ドデシルメルカプタン0.18重量部、及びベンゾイルパーオキサイド0.18重量部より原料溶液を形成し、35kg/hrの流量で連続的にポンプで、直列した4基の連続式完全混合型反応器(CSTR)へ送込み重合反応を行った。ここで、該ゴム状共重合体は、98重量%のスチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体と2重量%のポリブタジエン系ゴムとを混合して得られたもので、上記のスチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体はスチレンとブタジエンの重量比率が25/75で、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が10cpsであり、重量平均分子量が13万で、且つポリスチレンブロック結合量が18重量%であった。またポリジエン系ゴム(II)はローシス型であり、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が170cpsであって、重量平均分子量が63万であった。反応器の容積は何れも40リットルであり、反応器の反応温度はそれぞれ98℃、104℃、115℃、127℃、攪拌速度はそれぞれ300rpm、200rpm、150rpm、90rpmに制御された。第4基の反応器(最後の反応器)の出口における重合体溶液の転化率は65%であった。該重合体溶液を脱揮発槽にて脱気処理した後、顆粒状樹脂を得た。得られた顆粒状樹脂を更に押出機で溶融混練して本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は17.3重量%であった。
ゴム状共重合体13.6重量部、スチレン38重量部、メタクリル酸メチル58重量部、アクリロニトリル4重量部、エチルベンゼン38重量部、n−ドデシルメルカプタン0.18重量部、及びベンゾイルパーオキサイド0.18重量部より原料溶液を形成し、35kg/hrの流量で連続的にポンプで、直列した4基の連続式完全混合型反応器(CSTR)へ送込み重合反応を行った。ここで、該ゴム状共重合体は、98重量%のスチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体と2重量%のポリブタジエン系ゴムとを混合して得られたもので、上記のスチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体はスチレンとブタジエンの重量比率が25/75で、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が10cpsであり、重量平均分子量が13万で、且つポリスチレンブロック結合量が18重量%であった。またポリジエン系ゴム(II)はローシス型であり、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が170cpsであって、重量平均分子量が63万であった。反応器の容積は何れも40リットルであり、反応器の反応温度はそれぞれ98℃、104℃、115℃、127℃、攪拌速度はそれぞれ300rpm、200rpm、150rpm、90rpmに制御された。第4基の反応器(最後の反応器)の出口における重合体溶液の転化率は65%であった。該重合体溶液を脱揮発槽にて脱気処理した後、顆粒状樹脂を得た。得られた顆粒状樹脂を更に押出機で溶融混練して本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は17.3重量%であった。
得られた透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂についての物性を測定し、その結果を表1に示す。
表1に示したように、実施例1の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂は透明度(Haze)が3.6、アイゾッド衝撃強度が15.7、面衝撃強度(kg−cm/cm、FDI)が800、伸び率(EL)が47と優れた物性バランスを有している。またASTM D-638法に従って測定した引張強度は、425kg/cm2であった。
表1に示したように、実施例1の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂は透明度(Haze)が3.6、アイゾッド衝撃強度が15.7、面衝撃強度(kg−cm/cm、FDI)が800、伸び率(EL)が47と優れた物性バランスを有している。またASTM D-638法に従って測定した引張強度は、425kg/cm2であった。
[実施例2〜8]
表1に示した配合でゴム状共重合体(スチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体(I)とポリブタジエン系ゴム(II)の二種の異なったゴムを含み、合計13.6重量部)とスチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルなどの単量体を用いて重合反応を行った。操作方法及び重合方法は実施例1と同様であった。それぞれ、第一反応器は温度が90〜110℃で攪拌速度が50〜400rpm、第二反応器は温度が100〜120℃で攪拌速度が50〜400rpm、第三反応器は温度が110〜130℃で攪拌速度が50〜400rpm、第四反応器は温度が120〜140℃で攪拌速度が50〜400rpmであった。第四反応器の出口における重合体溶液の転化率は65〜67%であった。反応完了後に脱揮発、押出しを行って、それぞれの本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は16.9〜17.3重量%であった。それらの物性の測定結果を表1に示す。またASTM D-638法に従って測定した、実施例8における引張強度は、410kg/cm2であった。
[実施例9]
表1に示した配合でゴム状共重合体(スチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体(I)とポリブタジエン系ゴム(II)の二種の異なったゴムを含み、合計10.6重量部)とスチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルなどの単量体を用いて重合反応を行った。操作方法及び重合方法は実施例3と同様であった。それぞれ、第一反応器は温度が90〜110℃で攪拌速度が50〜400rpm、第二反応器は温度が100〜120℃で攪拌速度が50〜400rpm、第三反応器は温度が110〜130℃で攪拌速度が50〜400rpm、第四反応器は温度が120〜140℃で攪拌速度が50〜400rpmであった。第四反応器の出口における重合体溶液の転化率は65%であった。反応完了後に脱揮発、押出しを行って、それぞれの本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は13.5重量%であった。それらの物性の測定結果を表1に示す。またASTM D-638法に従って測定した引張強度は、465kg/cm2であった。
表1に示した配合でゴム状共重合体(スチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体(I)とポリブタジエン系ゴム(II)の二種の異なったゴムを含み、合計13.6重量部)とスチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルなどの単量体を用いて重合反応を行った。操作方法及び重合方法は実施例1と同様であった。それぞれ、第一反応器は温度が90〜110℃で攪拌速度が50〜400rpm、第二反応器は温度が100〜120℃で攪拌速度が50〜400rpm、第三反応器は温度が110〜130℃で攪拌速度が50〜400rpm、第四反応器は温度が120〜140℃で攪拌速度が50〜400rpmであった。第四反応器の出口における重合体溶液の転化率は65〜67%であった。反応完了後に脱揮発、押出しを行って、それぞれの本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は16.9〜17.3重量%であった。それらの物性の測定結果を表1に示す。またASTM D-638法に従って測定した、実施例8における引張強度は、410kg/cm2であった。
[実施例9]
表1に示した配合でゴム状共重合体(スチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体(I)とポリブタジエン系ゴム(II)の二種の異なったゴムを含み、合計10.6重量部)とスチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルなどの単量体を用いて重合反応を行った。操作方法及び重合方法は実施例3と同様であった。それぞれ、第一反応器は温度が90〜110℃で攪拌速度が50〜400rpm、第二反応器は温度が100〜120℃で攪拌速度が50〜400rpm、第三反応器は温度が110〜130℃で攪拌速度が50〜400rpm、第四反応器は温度が120〜140℃で攪拌速度が50〜400rpmであった。第四反応器の出口における重合体溶液の転化率は65%であった。反応完了後に脱揮発、押出しを行って、それぞれの本発明の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は13.5重量%であった。それらの物性の測定結果を表1に示す。またASTM D-638法に従って測定した引張強度は、465kg/cm2であった。
[比較例1]
ゴム状共重合体13.6重量部、スチレン38重量部、メタクリル酸メチル58重量部、アクリロニトリル4重量部、エチルベンゼン48.7重量部、n−ドデシルメルカプタン0.16重量部、及びベンゾイルパーオキサイド0.19重量部より原料溶液を形成し、35kg/hrの流量で連続的にポンプで、直列した4基の連続式完全混合型反応器(CSTR)へ送込み重合反応を行った。ここで、該ゴム状共重合体は100重量%のスチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体を単独で使用した。上記のスチレン−ブタジエンブロック共重合体はスチレンとブタジエンの重量比率が25/75で、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が10cpsであり、重量平均分子量が13万で、且つポリスチレンブロック結合量が18重量%であった。反応器の容積は何れも40リットルであり、反応器の反応温度はそれぞれ95℃、102℃、115℃、125℃、攪拌速度はそれぞれ300rpm、200rpm、150rpm、90rpmに制御された。第4基の反応器の出口にて、重合体溶液の転化率は65%であった。該重合体溶液を脱揮発槽にて脱気処理した後、顆粒状樹脂を得た。得られた顆粒状樹脂を更に押出機で溶融混練して透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は17.3重量%であった。
ゴム状共重合体13.6重量部、スチレン38重量部、メタクリル酸メチル58重量部、アクリロニトリル4重量部、エチルベンゼン48.7重量部、n−ドデシルメルカプタン0.16重量部、及びベンゾイルパーオキサイド0.19重量部より原料溶液を形成し、35kg/hrの流量で連続的にポンプで、直列した4基の連続式完全混合型反応器(CSTR)へ送込み重合反応を行った。ここで、該ゴム状共重合体は100重量%のスチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体を単独で使用した。上記のスチレン−ブタジエンブロック共重合体はスチレンとブタジエンの重量比率が25/75で、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が10cpsであり、重量平均分子量が13万で、且つポリスチレンブロック結合量が18重量%であった。反応器の容積は何れも40リットルであり、反応器の反応温度はそれぞれ95℃、102℃、115℃、125℃、攪拌速度はそれぞれ300rpm、200rpm、150rpm、90rpmに制御された。第4基の反応器の出口にて、重合体溶液の転化率は65%であった。該重合体溶液を脱揮発槽にて脱気処理した後、顆粒状樹脂を得た。得られた顆粒状樹脂を更に押出機で溶融混練して透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は17.3重量%であった。
得られた透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂についての物性を測定し、その結果を表2に示す。
得られた透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂は、透明度(Haze)が3.4、アイゾッド衝撃強度が13.3、面衝撃強度(kg−cm/cm、FDI)が450、伸び率(EL)が27と成った。
得られた透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂は、透明度(Haze)が3.4、アイゾッド衝撃強度が13.3、面衝撃強度(kg−cm/cm、FDI)が450、伸び率(EL)が27と成った。
[比較例2〜8]
表2に示した配合でゴム状共重合体(スチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体(I)とポリブタジエン系ゴム(II)の二種の異なったゴムを含む)とスチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルなどの単量体を用いて重合反応を行った。操作方法及び重合方法は実施例1と同様であった。それぞれ、第一反応器は温度が90〜110℃で攪拌速度が50〜400rpm、第二反応器は温度が100〜120℃で攪拌速度が50〜400rpm、第三反応器は温度が110〜130℃で攪拌速度が50〜400rpm、第四反応器は温度が120〜140℃で攪拌速度が50〜400rpmであった。第四反応器の出口における重合体溶液の転化率は65〜67%であった。反応完了後に脱揮発、押出しを行って、それぞれの透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は16.9〜17.3重量%であった。それらの物性の測定結果を表2に示す。
表2に示した配合でゴム状共重合体(スチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体(I)とポリブタジエン系ゴム(II)の二種の異なったゴムを含む)とスチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルなどの単量体を用いて重合反応を行った。操作方法及び重合方法は実施例1と同様であった。それぞれ、第一反応器は温度が90〜110℃で攪拌速度が50〜400rpm、第二反応器は温度が100〜120℃で攪拌速度が50〜400rpm、第三反応器は温度が110〜130℃で攪拌速度が50〜400rpm、第四反応器は温度が120〜140℃で攪拌速度が50〜400rpmであった。第四反応器の出口における重合体溶液の転化率は65〜67%であった。反応完了後に脱揮発、押出しを行って、それぞれの透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂を得た。ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相の含有量は16.9〜17.3重量%であった。それらの物性の測定結果を表2に示す。
以上に述べた内容は本発明の比較的良い実施例を取上げただけで、それを持って本発明の実施範囲を限定するものではない。本発明の特許請求の範囲及び明細書の内容に従って行う簡単な変更及び修飾は、何れも本発明の技術的範囲に含まれることを主張する。
Claims (3)
- ゴム状共重合体からなるゴム粒子分散相(A)1〜25重量%と、
スチレン系単量体20〜70重量部、(メタ)アクリル酸エステル系単量体30〜80重量部及び他の共重合可能な単量体0〜40重量部を重合してなる共重合体連続相(B)75〜99重量%とから構成され、下記(a)〜(c)の要件を満たすことを特徴とする透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂。
(a)ゴム粒子分散相(A)のゴム状共重合体は、スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)92〜99重量%及びポリジエン系ゴム(II)1〜8重量%を含む。
(b)スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が5〜20cpsで、重量平均分子量が10〜20万であり、且つ該スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)における全スチレン系単量体結合量が50重量%以下、ポリスチレン系ブロック結合量が5〜35重量%である。
(c)ポリジエン系ゴム(II)は、5重量%スチレン溶液における溶液粘度が30〜250cpsで、重量平均分子量が30〜80万である。 - スチレン系−ジエン系ブロック共重合体(I)はテーパーブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂。
- 前記他の共重合可能な単量体はアクリロニトリルであって、その含有量は、共重合体連続相(B)100重量部中、1〜20重量部である請求項1又は2に記載の透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
TW92136396 | 2003-12-22 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005179644A true JP2005179644A (ja) | 2005-07-07 |
Family
ID=34793541
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004319468A Pending JP2005179644A (ja) | 2003-12-22 | 2004-11-02 | 透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005179644A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010501683A (ja) * | 2006-08-26 | 2010-01-21 | バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト | ポリマーの配合方法 |
-
2004
- 2004-11-02 JP JP2004319468A patent/JP2005179644A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010501683A (ja) * | 2006-08-26 | 2010-01-21 | バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト | ポリマーの配合方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6515072B2 (en) | Transparent rubber-modified styrenic resin composition | |
JP2004189805A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP4398826B2 (ja) | 帯電防止性熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形品 | |
TWI418590B (zh) | Transparent Rubber Modified Styrene Resin | |
TWI432461B (zh) | 苯乙烯系樹脂組成物、其製法及由其製得的成型品 | |
JP2006336007A (ja) | ポリカーボネート系樹脂組成物 | |
JP4833529B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物 | |
JP2005179644A (ja) | 透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂 | |
KR101825501B1 (ko) | 열가소성 수지 조성물 및 그로부터 형성된 성형품 | |
JP3481313B2 (ja) | 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法 | |
JP4204527B2 (ja) | 押出成形用ゴム変性スチレン系樹脂組成物 | |
JPH07292205A (ja) | 耐衝撃性樹脂組成物の製造方法 | |
JPS59204650A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3338325B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製法 | |
JP2004339357A (ja) | 透明ゴム変性ポリスチレン系樹脂 | |
JP3349859B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 | |
JP4442780B2 (ja) | スチレン系樹脂組成物 | |
JP2005082717A (ja) | プラスチックカード用のポリスチレン系樹脂組成物 | |
JP4112528B2 (ja) | 透明ゴム変性スチレン系樹脂 | |
TW200825130A (en) | The rubber composition of modified polystyrene-based resin | |
WO2022161961A1 (en) | High impact monovinylidene aromatic polymers | |
JPH04255706A (ja) | 強度に優れたゴム変性スチレン系樹脂 | |
KR101825602B1 (ko) | 열가소성 수지 조성물 및 그로부터 형성된 성형품 | |
EP4284874A1 (en) | High impact strength thermoplastic compositions | |
TW201823386A (zh) | 三維列印用樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070620 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070828 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071109 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080819 |