JP5468303B2 - スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
該重合工程で得た重合生成物中の未反応モノマー成分を除去するための脱揮処理を行ってスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂を回収する脱揮工程と、
を含み、
該スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂中に、炭素数が14〜20でかつ凝固点が−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールが0.02〜1.0質量%の量で残存するように、脱揮工程終了時よりも前に、炭素数が14〜20でかつ凝固点が−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールを添加する、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂の製造方法。
重合工程では、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸メチルとをモノマー成分として用い、これらを共重合させることによって、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂を含む重合生成物を得る。本発明の重合工程におけるスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂の重合方法については、特に制限はないが、ラジカル重合法として、塊状重合法及び溶液重合法が好ましい。ここで、ラジカル重合法である塊状重合法を例に挙げて、本発明の重合方法について説明する。
脱揮工程では、上述の重合工程で得た重合生成物中の未反応モノマー成分を除去するための脱揮処理を行って、本発明に係るスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂を回収する。重合工程において上述の重合溶媒を用いる場合等、未反応モノマー成分以外の揮発成分が重合生成物中に存在する場合には、脱揮工程において未反応モノマー成分とともにこのような揮発成分も除去される。なお本発明は、脱揮工程を経た後に得られるスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂中に未反応モノマー成分、重合触媒等の揮発成分が残存することを排除するものではなく、また、本発明によって得られるスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂中には、製造工程上の必要性に応じて使用される成分、例えば重合開始剤、連鎖移動剤、加工熱安定剤等が残存していてもよい。
ガスクロマトグラフィー法でイソ脂肪族第1級アルコールを定量した。
試料調製 :樹脂ペレット0.5gをメチルエチルケトン20mlに溶解
測定条件
検出方法 :FID(水素炎イオン化検出器)
測定機器 :島津製製作所製ガスクロマトグラフィー装置 GC2010
カラム :DB−WAX 30m、0.25mmφ、df=0.5μm
カラム温度 :100℃→5℃/分で昇温→130℃→10℃/分で昇温→180℃(12分維持)→20℃/分で昇温→220℃(20分維持)
プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)測定機で測定したスペクトルの積分比から、樹脂組成を定量した。
試料調製 :樹脂ペレット30mgをd6−DMSO 0.75mlに60℃、4〜6時間加熱溶解
測定機器 :日本電子 JNM ECA−500
測定条件 :測定温度 25℃、観測核 1H、積算回数 64回 繰り返し時間 11秒
50mlガラス容器に樹脂ペレット2gを入れ、メチルエチルケトン20mlに振とう器で溶解させ、2時間静置後、ゲル不溶分の発生度合いを目視で観察した。ゲル不溶分がガラス容器に見られない場合を◎、ゲル不溶分がガラス容器の底のみに見られる場合を○、ゲル不溶分がガラス容器の底を含め、ガラス容器全体に見られる場合を×とした。
樹脂ペレットを用い、射出成形機で、厚さ2.5mmのプレート状の成形品を作製し、日本電色工業社製の色差・濁度測定機 COH−300Aで、JIS K7105に準拠して測定した。
樹脂ペレットを用い射出成形機で作製した成形品を試験片として、ISO306に準拠して測定した。荷重は49Nとした。
以下の方法で測定した。
試料調製 :テトラヒドロフランに樹脂ペレットを約0.05質量%濃度となるよう溶解
測定条件
機器 :TOSOH HLC−8220GPC
(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム :super HZM−H
温度 :40℃
キャリア :THF 0.35ml/min
検出器 :RI 、UV:254nm
検量線 :TOSOH製の標準PS使用
樹脂ペレットを用い射出成形機で作製した成形品を試験片として、ISO179に準拠して、ノッチ無しで測定した。
樹脂ペレットを用い、30mmφ短軸押出機での連続3時間押出し後、ステアリルアルコール等の低分子物質によるストランド出口汚れを目視で判定した。汚れが無い場合(具体的には、ストランド出口の周りの低分子物質の付着が厚みで1mm以下である場合)を○、汚れが有る場合(具体的には、ストランド出口の周りに低分子物質が厚みで1mm超付着した場合)を×とした。
表1に示す重合原料組成液を、1.2リットル/時の速度で、容量が4リットルの完全混合型反応器、次いで2リットルの層流型反応器からなる重合装置、次いで未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置に連続的に順次供給し、7日間の連続重合を行った。なお重合原料液に添加した炭素数16のイソ脂肪族第1級アルコールとして日産化学工業社製ファインオキソコール1600(7−メチル−2−(3−メチルブチル)−1−オクタノール)を用い(凝固点−30℃以下)、また炭素数18のイソ脂肪族第1級アルコールとして日産化学工業社製ファインオキソコール180(5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−1−オクタノール)を用いた(凝固点−30℃以下)。重合工程における重合反応条件は、完全混合反応器は重合温度122〜127℃、層流型反応器は温度125〜140℃とした。脱揮された未反応ガスは−5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収した。7日間の連続重合の後、本発明に係るスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂を樹脂ペレットとして採取して評価した。表1に重合原料組成及び評価結果を示す。
実施例2における層流型反応器(最終反応器)と単軸押出機との間に0.05リットルの攪拌機付き混合器を設置し、イソ脂肪族第1級アルコールの添加位置を、重合原料組成液への添加から攪拌機付き混合器内での添加に変更した以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
実施例2における炭素数18のイソ脂肪族第1級アルコールの添加量を0.32質量部から0.04質量部に変更した以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。樹脂ペレット中のアルコールの含有量が0.01質量%と少なく、ゲル不溶分が多数見られた。
実施例2における、エチルベンゼンを15質量部から20質量部に、炭素数18のイソ脂肪族第1級アルコールの添加量を0.32質量部から4.72質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。樹脂ペレット中のアルコールの含有量が1.5質量%と多く、ゲル不溶分は見られなかったが、ストランド出口汚れが激しかった。また樹脂ペレット中のアルコールの含有量が多いためにビカット軟化温度の低下も大きい。
実施例2における、炭素数18のイソ脂肪族第1級アルコールを2エチルヘキシルアルコールに変更し、添加量を0.32質量部から6.52質量部に変更した以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。2エチルヘキシルアルコールの添加量を大幅に増量したが、樹脂ペレット中のアルコールの含有量が0.01質量%と少なく、ゲル不溶分が多数見られた。またアルコール添加量の増量により重合速度が低下した。更には、反応器の攪拌機の電力負荷上昇が観察されたことから重合液の粘度が上昇する傾向にあり好ましくないことが分かった。
実施例2における、炭素数18のイソ脂肪族第1級アルコールをn−ステアリルアルコールに変更し、添加量を0.32質量部から0.58質量部に変更した以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。運転開始から2.5日間経過したところで、未反応モノマー及び重合溶媒を凝縮するための凝縮器内に飛散したn−ステアリルアルコールが析出し、凝縮器内管を閉塞させ、真空度低下が見られた。予備器の凝縮器に換えて、連続運転を継続した。閉塞した凝縮器についてはスチーム加熱で析出物を融解し元の詰りのない状態に戻した。この2台の凝縮器を交互に使用して、7日間の連続運転を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2における、メタクリル酸メチルをスチレンに置き換え、メタクリル酸メチルを使用せずに、炭素数18のイソ脂肪族第1級アルコールの添加量を0.32質量部から1.51質量部に変更した以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。メタクリル酸メチルを使用しない場合、シャルピー衝撃強度が劣る。
Claims (4)
- スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸メチルとをモノマー成分として用いて共重合を行う重合工程と、
該重合工程で得た重合生成物中の未反応モノマー成分を除去するための脱揮処理を行ってスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂を回収する脱揮工程と、
を含み、
該スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂中に、炭素数が14〜20でかつ凝固点が−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールが0.02〜1.0質量%の量で残存するように、脱揮工程終了時よりも前に、炭素数が14〜20でかつ凝固点が−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールを添加する、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂の製造方法。 - 炭素数が14〜20でかつ凝固点が−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールを、前記重合工程終了後かつ前記脱揮工程開始前に前記重合生成物に対して添加する、請求項1に記載のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂の製造方法。
- 前記モノマー成分において、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸メチルとの合計質量100質量%中、スチレン含有量が69〜95質量%、メタクリル酸含有量が3〜16質量%、メタクリル酸メチル含有量が2〜15質量%である、請求項1又は2に記載のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂の製造方法。
- 前記スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂の重量平均分子量が10〜35万であり、かつZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が1.6〜3.5である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル樹脂の製造方法。
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