JP5170943B2 - 良流動性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
通常、GPPS、HIPSは、工業的にはラジカル重合法で製造されており、これらの熱分解温度は通常260℃以下である。熱分解温度以上の温度で溶融加工した場合、分子量の低下とそれに伴う構成単量体の生成が起こり、樹脂材料の機械物性の低下、成形時のシルバー発生による外観不良、金型汚染等の問題が起こりやすくなる。
(1)スチレンと極性基を有する単量体との共重合体とする方法
スチレンと極性基を有する単量体との共重合体としては、例えば、SMAA、SMA、スチレン−無水マレイミド系共重合体があり、この中で最も製造しやすいSMAAが広く利用されている。しかし、SMAAは溶融時にメタクリル酸の脱水縮合反応による高分子鎖の架橋反応が起こりやすいため、その結果、ゲル様物質の生成、高粘度化による成形加工性の低下を伴い、品質及び生産性の観点から充分ユーザーに受け入れられていなかった。また、SMAAの射出成形品は、一定時間放置しておくと成形品表面上に微小のクラックが発生し、成形品外観が低下する、成形品が破壊しやすくなる等の問題があり、この点からも利用可能な用途が限定されていた。
スチレンとα−メチルスチレンとの共重合体は、α−メチルスチレンの含有量に従ってガラス転移温度が上昇することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、α−メチルスチレンは、天井温度が約60℃と低く、工業的製法の代表例であるラジカル溶液重合法を使ってスチレンとα−メチルスチレンの共重合を試みると、1)高分子量化が困難である、2)α−メチルスチレンの共重合体中への含有量に限界があり目的の耐熱性を得ることができない、3)溶融時の熱安定性が悪く成形加工条件によっては共重合体の熱分解が起こり、単量体成分の発生、分子量の低下を引き起こしやすい、4)樹脂ペレットが黄色化しやすいため用途によっては着色剤の添加を要する、等多くの問題点があって未だに工業的に利用された例はなかった。
しかし、これまでに知られているリビングアニオン重合の製造法に基づいて得られる共重合体は、次の様な問題点があったため樹脂製品として充分な利用価値が見出せず、これまでに工業的には全く利用されていなかった。
1)製造されたポリマーが黄色化する。その黄色度は、Liの含有量と相関がある。従って、目的の分子量と黄色性のバランスをとれない領域があった。特に、黄色化を好まない用途、例えば、食品包装用途、光学製品用途等には利用することが困難であった。
2)ポリマーの溶融時の熱安定性が悪く、溶融滞留時にポリマーが分解しスチレンとα−メチルスチレンが生成する。その生成量は、一般的に広く利用されているラジカル重合法によって製造されたポリスチレンと対比して、同一条件下でより多く分解生成する。この事実は、スチレンとα−メチルスチレンの共重合体が、ポリスチレンに比べて耐熱性が高くなる分成形加工温度を上げた場合にラジカル重合法で得られたポリスチレンよりも更に多くのスチレン、α−メチルスチレンを成形時に発生することを意味する。従って、分解生成したスチレンやα−メチルスチレン等の揮発成分により、成形条件によってはシルバーが発生しやすいこと、また、共重合体の分子量低下が起こり機械物性の低下を招きやすいこと、特に、成形品を再度リサイクル材料として使用しにくいこと等の問題が起こることが容易に予想される。成形加工が極めて限られた範囲でしか利用できないということは、当然、利用される用途が制限されることを意味し、そのため広く工業的に受け入れられなかったと予想できる。
古くからPSとPPEは、完全相溶系であり、PSへのPPEの混合量に比例して樹脂組成物の耐熱性が向上する(ガラス転移温度が上昇する)ことが知られており、工業的にも多種多様な用途に利用されている。しかし、工業的にPPEと混合するPSは、ラジカル重合法によって製造されたものであり、PPEと溶融混練する際にPSのかなりの割合の高分子鎖が切断され、その結果PSの分子量低下やスチレンの発生が起こっている。
[5≦A≦20の場合]
0.12A+102≦Tg≦0.62A+102
[20<A≦70の場合]
−5.25×10-5A3+1.09×10-2A2+1.72×10−1A +97≦Tg≦−5.25×10-5A3 +1.09×10-2A2+1.72×10−1A +107
A:スチレン系共重合体中のα−メチルスチレン単位の含有量(wt%)
Tg:スチレン系共重合体のガラス転移温度(℃)
(但し、ガラス転移温度(℃)はDSCによって測定した値である)
本発明でいうイソプロペニル芳香族単位[前記式(1)参照]とビニル芳香族単位[前記式(2)参照]とを含有する共重合体とは、イソプロペニル芳香族単量体[前記式(4)参照]とビニル芳香族単量体[前記式(5)参照]を原料として連続のリビング重合によって得られる共重合体である。芳香環に置換基として結合している炭化水素系化合物とは、CnH 2n+1−で示される飽和型炭化水素化合物のことを指す。
本発明で言う重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算によって求めた値のことである。
式(a’)
[5≦A≦20の場合]
C×A+102≦Tg≦D×A+102
[20<A≦60の場合]
−5.25×10-5A3+1.09×10-2A2+1.72×10−1A +E≦Tg≦−5.25×10-5A3 +1.09×10-2A2+1.72×10−1A +F
A:スチレン系共重合体中のα−メチルスチレン単位の含有量(wt%)
Tg:スチレン系共重合体のガラス転移温度(℃)
公知の製造方法では、例えば、スチレンとα−メチルスチレンの共重合体は、Foxの関係式を満たすことが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。本発明の製造方法によって得られるスチレン系共重合体が、Foxの関係式を満足しない理由は不明であるが、製造方法の違いによって生じる共重合体中の各単量体単位の組成分布に起因している可能性があると予想される。
本発明のスチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量は、共重合体の1H−NMRを測定し、各ピークの面積値から計算によって求めることができる。
式(b’)
F×10−2A2+G×10−1A+H≦Mw×10−3≦exp(J−2.77×10−2A)
A:スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(wt%)
Mw:スチレン系共重合体の重量平均分子量
ポリフェニレンエーテルの製造方法は、特に制限はなく公知の製法、例えば、2,6−置換のフェノールをトルエンに溶解し、ハロゲン化銅錯体の存在下、酸素を吹き込みながら重合する方法でもよい。
(A)と(B)が1wt%より少ないと耐熱向上の効果が充分でない。また、(C)が1wt%より少ないと、流動性の向上効果が十分発現されない。
スチレン系共重合体のガラス転移温度は、好ましくは106℃〜138℃、更に好ましくは、107℃〜136℃である。106℃より温度が低いとポリスチレンの耐熱性との差別化が困難となる。138℃より温度が高いと、高分子量体の分解温度と樹脂の可塑化温度の加工領域が狭くなり、加工時にスチレン系共重合体の分解による単量体の生成量が増え、モールドデポジット、シルバーの発生や成形体の耐熱性の低下を招き易くなる。
Mwが30万より大きいと樹脂の溶融粘性が上昇し成形時の樹脂の流動性が低下する。その結果、精密部品の成形が困難となるだけでなく、高分子鎖が分子配向しやすくなり、シート状押出成形品やシート状射出成形品の面衝撃強度の低下、更に大型成形品の成形が困難という様々な問題を招く。
ビニル芳香族単位は、連鎖になっていても特に熱安定性を損なう恐れがないので、長鎖の連鎖構造をとっても構わない。
前記の様な方法でブレンドされた2種以上のスチレン系共重合体は、押出機等を使ってポリフェニレンエーテル樹脂と溶融ブレンドすることが可能であり、または、2種以上のスチレン系共重合体とポリフェニレンエーテル樹脂を同時に溶融状態で混ぜて、1回のブレンド法で目的の耐熱性樹脂組成物を製造することも可能である。
単量体と重合溶媒からなる原料溶液に含まれる単量体の濃度は、特に制限はなく、重合反応器の構造、重合速度、重合温度を考慮して決めればよい。例えば、リビングアニオン重合の場合は重合速度が極めて速いので、好ましい濃度領域は5wt%〜50wt%がよい。
また、本発明のスチレン系共重合体を得るための重合反応器の前段及び/又は後段につなげる反応器は、完全混合型の重合反応器である必要はなく、非完全混合型の重合反応器でも構わない。
更に、1基目の重合反応器でビニル芳香族単量体のみを重合し、続いて2基目の重合反応器内でイソプロペニル芳香族単量体とビニル芳香族単量体の共重合を行って、ビニル芳香族単位の単独重合体と共重合体とのブロック共重合体を得ることも可能である。
本発明者は、従来より知られている重合停止剤の中で、二酸化炭素と水を含有する酸素−水素の結合及び/又は窒素−水素の結合を有するプロトン性化合物が重合反応停止剤として優れていることを見出した。この停止剤を用いて重合を停止させると、得られる共重合体を溶融成形した際のポリマーの分解に伴う単量体の生成量が抑制され、モールドデポジットが問題となる用途、例えば、精密部品用途などに利用される機会が増える。
具体例としてはシリコンテトラクロライド、ジ(トリクロルシリル)エタン、1,3,5−トリブロモベンゼン、エポキシ化大豆油、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、シュウ酸ジメチル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、ピロメリット酸二無水物、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
その例として、一次酸化防止剤として、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスト−ルテトラキス[−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2[1−(2−ヒドロキシ3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9ビス[2−{3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキザ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,2H,3H)−トリオン、1,1,4−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等の2,4,6−3置換フェノール類が挙げられる。
これらの安定剤は、重合が完結した後のポリマー溶液の中に添加して混合するか又はポリマー回収後押出機を使って溶融混合することができる。
実施例、比較例で用いた分析、評価方法、条件は以下のとおりである。
(1)分子量(Mn、Mw、Mw/Mn)
東ソー社製のHLC−8020にカラム(TSKgel GMHXL、40℃)を2本接続し、RI検出器が取り付けてあるGPC装置で測定した。2%のエタノールを含有したクロロホルムを移動相に用いた。分子量の計算は、ポリスチレンスタンダード(東ソー社製)を使って検量線を作成し、ポリスチレン換算にて行った。
0.1gのポリマーを5gのトルエンに溶解し、その溶液を20mlのメタノール中に0.2ml/secの速度で滴下した。沈殿物をろ過して回収した。この操作を2回繰り返し、得られたポリマーを風乾後、160℃、真空下で1時間乾燥した。得られたポリマーのTgをパーキンエルマー社製のDSC−7を使って、JIS−K−7121に準拠して求めた。具体的には、窒素下、10℃/minで室温から250℃まで昇温し、その後10℃/minで室温まで戻し、再び10℃/minで250℃まで昇温した。2度目の昇温過程で測定されるガラス転移温度をTgとした。
BRUKER社製のNMR(DPX−400)を使って求めた。共重合体の1H−NMRを測定し、メチル、メチレン、メチンのピーク面積比をから計算で求めた。詳細な計算法を図1に示す。
島津製作所社製のGC−MSを使って以下の条件で測定した。
機器:GC−2010、MS−QP2010、ヘッドスペースサンプラー付き
カラム:Rtx−1、0.25mm、1.00μm、60m(島津ジーエルシー社製)
温度条件:60℃で2分保持後10℃/分で145℃まで昇温、その後3℃/分で160℃まで昇温した。
測定サンプルの作製:ポリマー0.4gを専用バイアル瓶に入れ、DMF10mlと内部標準(n−ノナン)の入ったクロロホルムを1ml加えて密栓して試料を溶解後測定した。
検量線は、スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンを使って作成した。
FUNAC社製の射出成形機(AUTO SHOT 15A)を使って次の条件で成形した。
シリンダー温度は、250℃とした。金型温度は、60℃に設定した。溶融樹脂が金型に丁度充填する射出圧力に5MPa高い圧力を加えて充填した。この圧力を最低充填圧力(MPa:以下、SSPと記す)とした。金型は、ASTM4号の3mmtのダンベル片1本取りである。このダンベル片を使って引張試験、ビカット温度を測定した。
15mm径の2軸押出機(テクノベル社製)を使って、樹脂組成物を作製した。シリンダー温度は310℃(ホッパー下180℃)、スクリュー回転数160rpm、吐出量1.5kg/Hrで行った。
(1)溶融熱安定性の評価(表面外観の評価)
射出成形機のシリンダー内に樹脂ペレットを310℃、15分間溶融滞留させた後、ASTM4号の短冊片を射出成形した。短冊片の表面上にシルバーの発生量を目視で観察した。また、ゲル様物質の有無も同時に目視で確認した。
(2)流動性
射出成形機の金型キャビティ内に樹脂が充填する最低圧力(SSP)を求めた。圧力が高いほど流動性が低いことを示す。
(3)引張試験
島津製作所社製のAUTO GRAPH(AG−5000D)を使って、次の条件で測定した。引張試験:チャック間距離64mm、引張速度5mm/分
(4)ビカット耐熱温度(℃)
ISO−306に準拠して求めた。
下記の4種は、市販品を用いた。
GPPS:ポリスチレン、#685、PSジャパン社製
SMAA:スチレン−メタクリル酸共重合体、G9001、PSジャパン社製
AS:スチレン−アクリロニトリル共重合体、T9701、旭化成ケミカルズ社製
PPE:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、旭化成ケミカルズ社製
〈原料〉
スチレン(St:旭化成ケミカルズ社製)とα−メチルスチレン(αMeSt:三井化学社製)とシクロヘキサン(CH:出光石油化学社製)をSt/αMeSt/CH=27/18/55(wt%)の比率で混合した溶液を貯蔵タンクに溜め窒素バブリングした後に、溶液を活性アルミナ(住友化学社製KHD−24)を充填した5L容積の精製塔内を通過させて水及び重合禁止剤であるt−ブチルカテコールを除去した。
〈開始剤〉
n−ブチルリチウム(15wt%のn−ヘキサン溶液、和光純薬社製)を1/51倍にシクロヘキサンで希釈した。
〈停止剤〉
メタノール(特級、和光純薬社製)を3wt%の濃度になる様にシクロヘキサンで希釈した溶液を作製し、更に、二酸化炭素と少量の水を飽和状態になるまで溶液中に吹き込んだ。
重合反応器は、攪拌翼(住友重機製マックスブレンド翼)とコンデンサーが取り付けられ、更に原料導入ノズル、開始剤導入ノズルと重合溶液排出ノズルが付いたジャケット付3.4Lの反応器(R1)を用いた。コンデンサーの出口は、窒素ガスでシールし、外部から空気が混入しないようにした。重合反応器内の重合溶液の容量は、常に2.1Lとなる様に制御した。重合溶液からは常に溶液の一部が沸騰している状態にし、内温を82℃〜84℃の間に制御した。攪拌翼の回転数は175rpmとした。重合反応器の原料入口と出口にはそれぞれギアポンプが取り付けられており原料及び重合溶液が2.1L/Hrの一定流量の液を流せる様に制御した。また、開始剤溶液は、0.25L/Hrで重合反応器内へ導入した。重合反応器の原料導入口とポリマー溶液の排出口の位置関係は、180°反対方向にあり、下部に原料液の導入口を、液面より5cm下方に排出口を取り付けた。
スチレンとα−メチルスチレンとシクロヘキサン(CH)の原料の組成、原料溶液の重合反応器内への流量、開始剤溶液の重合反応器内への流量を制御して、製造例1に示した方法で、表1に示した共重合組成、分子量のスチレン系共重合体を製造した。
表1に製造例1から製造例4までの製造条件で得られたスチレン系共重合体の組成、分子量、Tgの結果を示す。
PPE/GPPS=33/67(wt%)の比率で溶融混合したペレットを準備した(m−PPEと略す)。m−PPEが100重量に対して、St/αMeSt共重合体を表2に示した重量部のペレットを2軸押出機で溶融混合して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を射出成形し、成形品表面外観性、流動性、ビカット耐熱性、引張物性を評価した。評価結果を表2に示す。
m−PPEが100重量部に対して、表2に示したAS、GPPS、SMAAの重量部のペレットを同様に2軸押出機で溶融混合して、樹脂組成物を得た。
[比較例8]
m−PPE単独で同様に評価した。
比較例1〜8で得られた得られた樹脂組成物を射出成形し、成形品表面外観性、流動性性、ビカット耐熱性、引張物性を評価した。評価結果を表2に示す。
本発明で示された前記実施例と比較例の実験結果から、本発明の特定のスチレン系共重合体を用いることによって、これらの問題点をすべて解決できていることを示した。
製造例1の製造方法で、フラッシング容器内の減圧度と滞留時間を制御してペレット中に残存するスチレン(St)、α−メチルスチレン(αMeSt)、シクロヘキサン(CH)の総和量の異なるペレットを得た。
m−PPEをトルエンに溶解し、大過剰のメタノール中にゆっくりと投入し沈殿精製を行った。これを少なくとも2回以上繰り返した。その後、80℃で4時間、真空乾燥した。この方法でm−PPE中の残留揮発分は、GCで検出限界以下であることを確認した。
残留揮発成分の異なるスチレン系共重合体とm−PPEを70/30(wt%)の割合で2軸押出機を使って溶融ブレンドし、得られたペレット中の残留揮発分の総和量は、GC−MSを使って求めた。
ペレットのTgをDSCを使って求めた。残留揮発成分の総和量とTgとの関係図を、図2に示す。
沸点の低い単量体や溶媒は、成形加工時に部分的に揮発するので2500ppmより多くペレット中に残存すると耐熱性の変動や成形加工時の溶融樹脂の流動性の変動が顕著となり、ユーザーに品質の安定した樹脂を提供することが困難となる。特に、成形加工機の装置サイズ、構造、温度条件等によって樹脂中に残存する単量体や溶媒の揮発量は変わるため、耐熱温度をユーザーが要求する性能値の限界付近に設定する場合や極めて精密な部品を成形する場合などは、特に1500ppm以下に制御することによって品質の安定性が更に向上する。
また、2500ppmより多い場合は、シルバー発生や金型汚染の問題を更に加速する恐れもあり、可能な限り2500ppm以下にすることが重要である。
Claims (3)
- リビング重合法によって得られる、下記式(1)で表されるα−メチルスチレン単位と下記式(2)で表されるスチレン単位とを含有する共重合体であって、α−メチルスチレン単位の含有量が5〜70(wt%)であり、且つ共重合体中のα−メチルスチレン単位の含有量(A)と共重合体のガラス転移温度(Tg)との関係が下記式(a)を満足するスチレン系共重合体、下記式(3)で表されるポリフェニレンエーテル及び下記式(2)で表されるスチレン単位からなる重合体を含有することを特徴とする良流動性樹脂組成物。
式(a)
[5≦A≦20の場合]
0.12A+102≦Tg≦0.62A+102
[20<A≦70の場合]
−5.25×10-5A3+1.09×10-2A2+1.72×10−1A +97≦Tg≦−5.25×10-5A3 +1.09×10-2A2+1.72×10−1A +107
A:スチレン系共重合体中のα−メチルスチレン単位の含有量(wt%)
Tg:スチレン系共重合体のガラス転移温度(℃)
(但し、ガラス転移温度(℃)はDSCによって測定した値である)
- 請求項1又は2に記載の良流動性樹脂組成物を含有する溶融加工成形品。
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