JP2006299192A - シリコーン系粒子含有スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

シリコーン系粒子含有スチレン系樹脂組成物 Download PDF

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義之 新井
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Abstract

【課題】光透過性と光拡散性のバランスに優れ、更に低吸湿性、耐熱性及び、耐光性に優れる、樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】イソプロペニル芳香族単位とビニル芳香族単位とを含有するスチレン系共重合体と平均粒子径が0.1〜50μmであるシリコーン系粒子0.01〜30質量%を含有することを特徴とするスチレン系樹脂組成物。
【選択図】選択図なし

Description

本発明は、光透過性と光拡散性に優れ、低吸湿性、耐熱性及び耐光性の改良されたスチレン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を成形してなる光拡散板に関する。
光拡散板は、入射した光を拡散させて出射する成形体であり、全体を均一に照射したくとも光源との位置関係などによりそれが困難である場合などに用いられる。例えば、バックライト型の液晶ディスプレイでは、光源とディスプレイ裏面との間に板状の該成形体を設置して、液晶のすぐ近くのバックライト光源からの光がディスプレイ表面から均一に出射され、ディスプレイ上で明暗が生じないようにしている。
このような光拡散板は光源の光を有効に利用するため、全光線透過率が高くなくてはならない。また、光を拡散させるという目的から光拡散率が充分大きくなくては機能しない。
このような拡散板としては従来、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの基材樹脂に、この基材樹脂と屈折率の異なる充填剤を光拡散剤として配合することにより製造されてきた。(例えば特許文献1、2参照)
近年、大型化してきている液晶ディスプレイや液晶テレビでは面積の増大により直下型バックライト方式が主流になりつつあり、この用途では基材の吸湿特性によっては、使用環境条件の変化により、光拡散板のソリが大きくなり、液晶ディスプレイの輝度ムラが発生する可能性があり、より低吸湿性であることが求められている。
一方、近年輝度の向上に対する要求が高まっており、それを達成する手段の一つとして高輝度の光源を使用する方法が考えられている。しかし、その場合拡散板の温度が上昇するために拡散板の変形が大きくなり輝度ムラが増大する問題が考えられ、耐熱性の高い拡散板が必要となる。
さらに、光拡散板は色調に変化があると液晶表示における色合いに問題が発生するため、高い耐光性が求められる。
このように光拡散板には、高い光透過性と光拡散性の他、低吸湿性、耐熱性及び、耐光性が求められているが、これらの特性を同時に満足するものは無かった。
特開平2−194058号公報 特開平3−143950号公報
本発明は、このような現状に鑑み、光透過性と光拡散性のバランスに優れ、更に低吸湿性、耐熱性及び、耐光性に優れる、樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者等は上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定のスチレン系共重合体に特定の粒子を配合することによって、上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
[1] 下記式(1)で表されるイソプロペニル芳香族単位と下記式(2)で表されるビニル芳香族単位とを含有するスチレン系共重合体と平均粒子径が0.1〜50μmであるシリコーン系粒子0.01〜30質量%を含有することを特徴とするスチレン系樹脂組成物、
Figure 2006299192
[式中、Rは水素又は−C2n+1(nは1以上の整数)で表される炭化水素基を示す。]
Figure 2006299192
[式中、Rは水素又は−C2n+1(nは1以上の整数)で表される炭化水素基を示し、Rは水素又はフェニル基を示す。]
[2] スチレン系共重合体の重量平均分子量が50000〜300000であることを特徴とする[1]に記載のスチレン系樹脂組成物、
[3] スチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.6〜4.0の範囲にあることを特徴とする[1]又は[2]に記載のスチレン系樹脂組成物、
[4] スチレン系共重合体がリビング重合法によって得られる樹脂であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物、
[5] スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量が5〜95質量%であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物、
[6] スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(Z)とスチレン系共重合体のガラス転移温度(Tg)の関係が下記式(a)を満足することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物、
式(a)
5≦Z≦20の場合
0.12Z+102≦Tg≦0.62Z+102、
20<Z≦60の場合、
−5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+97≦Tg≦−5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+107
60<Z≦95の場合
1.04Z+73≦Tg≦0.79Z+98
[式中、Zはスチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(質量%)を示し、Tgは、スチレン系共重合体のガラス転移温度(℃)を示す。]
[7] スチレン系共重合体の305nm波長光における吸光度Aが下記式(b)を満足することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物、
式(b)
A≦0.0002Z−0.0017Z+0.52
[式中、Zは、スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(質量%)を示し、Aは、305nmにおけるスチレン系共重合体成形品の吸光度を示す。]
[8] スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(Z)とスチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)の関係が下記式(c)を満足することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物、
式(c)
−1.92×10−2+2.95×10−1Z+98.2≦Mw×10−3≦exp(6.37−2.77×10−2Z)
[式中、Zは、スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(質量%)を示し、Mwは、共重合体の重量平均分子量を示す。]
[9] 光拡散板に用いられることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物、
[10] [9]に記載のスチレン系樹脂組成物を成形してなる光拡散板、
である。
本発明の組成物は光透過性と光拡散性のバランスに優れ、更に低吸湿性、耐熱性及び耐光性にも優れた特性を有する。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明で用いられるスチレン系共重合体とは、下記式(1)で表されるイソプロペニル芳香族単位と下記式(2)で表されるビニル芳香族単位とを含有する共重合体である。
Figure 2006299192
[式中、Rは水素又は−C2n+1(nは1以上の整数)で表される炭化水素基を示す。]
Figure 2006299192
[式中、Rは水素又は−C2n+1(nは1以上の整数)で表される炭化水素基を示し、Rは水素又はフェニル基を示す。]
芳香環に置換基として結合している炭化水素基は、−C2n+1(nは1以上の整数)で表される飽和型炭化水素基であり、その構造はリニアー型、分岐型等でもよく特に明確な構造規定はない。nの上限は通常、n≦30である。
該スチレン系共重合体の原料である単量体の具体例を挙げると、イソプロペニル芳香族単量体としては、例えば、イソプロペニルベンゼン(α−メチルスチレン)、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等のアルキル置換イソプロペニルベンゼン類がある。好ましい単量体は、工業的に入手が容易であることからイソプロペニルベンゼンである。
ビニル芳香族単量体としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン等のアルキル置換スチレン類、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられる。好ましい単量体は、工業的に入手が容易であることからスチレンである。これらのイソプロペニル芳香族単量体とビニル芳香族単量体は、各1種類ずつ用いても良いし2種類以上を混合して用いても良い。最も好ましい組み合わせは、イソプロペニルベンゼンとスチレンの組み合わせである。
上記の単量体以外に本発明の目的を損なわない範囲において他の重合可能な単量体を一緒に用いることができる。共重合可能な単量体類としては、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水1,2−ジメチルマレイン酸、無水エチルマレイン酸、無水フェニルマレイン酸および無水イタコン酸等の無水カルボン酸基を有する単量体、その他、メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸、フマル酸、アクリル酸アミド、イタコン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、ビニルエーテル、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
これらの単量体は、樹脂の耐熱性、衝撃強度、伸び、耐薬品性などを改良あるいは調整する場合に有用である。
本発明で用いられるシリコーン系粒子は光拡散剤として作用するものであり、ケイ素原子に有機基が直結し、残りの結合が酸素と直結しており、ケイ素原子と酸素が繰り返すシロキサン結合をなす構造のシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂を主成分とする20℃またはそれ以上の温度で固体状のポリマーである。さらに好ましくは、該シロキサン結合が三次元の網目構造を有するシリコーンである。ケイ素原子に直結した有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基などのアラルキル基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピルなどの1価ハロゲン化炭化水素基、さらにはエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などの反応性基含有の有機基等が挙げられる。また、本発明で用いられるシリコーン系粒子は本発明の目的を損なわない範囲において、他の成分としてシリコーンオイル、オルガノシラン、無機系の粒子、シリコーン以外の樹脂成分等を含有しても良い。
本発明において、シリコーン系粒子の粒径は、光透過性の観点から平均粒径で0.1μm以上であり、光拡散性の観点から平均粒径で50μm以下である。好ましくは0.5〜30μm、更に好ましくは1〜20μmの範囲である。
本発明で用いられるシリコーン系粒子の形状は特に限定されないが、粒子の分散性及び光拡散の均一性の観点から球状であることが好ましい。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、シリコーン系粒子を光拡散性の観点から0.01質量%以上、光透過性、光拡散板の機械的強度や製造し易さの観点から30質量%以下含有することが必要である。シリコーン系粒子の含有量は好ましくは0.05〜20質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。
本発明で用いるスチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量は、耐熱性の観点から5質量%以上が好ましく、溶融成形加工時の熱分解特性の観点から95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15〜95質量%、さらに好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは30〜60質量%である。
本発明で用いるスチレン系共重合体の重量平均分子量は機械的強度の観点から50000以上であり、成形性の観点から300000以下であることが好ましい。より好ましくは60000〜290000、更に好ましくは700000〜280000である。
本発明で用いるスチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、樹脂の流動性と機械物性のバランスから1.6以上であり、流動性の観点から4.0以下であることが好ましい。より好ましくは1.7〜3.7、更に好ましくは1.8〜3.5の範囲である。
Mw/Mnの制御方法としては、例えば、連続重合法により反応器内の攪拌羽根の回転数を制御することにより1.6〜2.3の範囲の共重合体を得ることができる。また、リビング重合体の成長末端に多官能基を有する化合物を添加することによってMw/Mnを2.0〜4.0の間に制御できる。また、高分子量体成分を溶液または溶融ブレンドすることによってMw/Mnを2.0〜4.0の間に制御できる。
本発明で言う重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算によって求めた値のことである。
本発明に用いられるスチレン系共重合体の重合方法はリビング重合法が好適に用いられ、リビングアニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合があり特に限定することはなく、いずれの方法においても製造することができる。この中でも特にリビングアニオン重合法が好ましい。
リビングアニオン重合法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、開始剤として有機リチウム化合物が用いられ、具体的には、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルリチウム、ベンジルリチウム、1,6−ジリチオヘキサン、スチリルリチウム、ブタジエニリルリチウム等が用いられる。この中で好ましくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが挙げられる。
重合溶媒としては、得られる共重合体の黄色化を抑える観点から、ヘテロ原子を含有しない炭化水素系化合物が好ましい。具体的には、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の直鎖状脂肪族炭化水素化合物、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環式脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。これらの炭化水素化合物は、1種類又は2種類以上用いてもよい。これらの中でより好ましい化合物は直鎖状脂肪族炭化水素化合物及び脂環式脂肪族炭化水素化合物である。特に、好ましい化合物はシクロヘキサンである。
重合温度は、反応速度の観点から40℃以上であり、得られた共重合体の黄色性、耐候性、溶融時の共重合体の熱安定性の観点から110℃以下が好ましい。より好ましくは50℃〜100℃の範囲、更に好ましくは55℃〜95℃の範囲である。
本発明において用いられるスチレン系共重合体としては、完全混合型の重合反応器を使って連続リビング重合法で製造されたもの、または完全混合型重合反応器と非完全混合型の重合反応器との組み合わせで製造されたものがより好ましい。特に、完全混合型の重合反応器を用いて製造されたランダム共重合体が好ましい。完全混合型の重合とは、リビング重合の反応系内に存在するイソプロペニル芳香族単量体、ビニル芳香族単量体、リビング共重合体の濃度が常に一定となる様な連続式の完全混合型反応器を使って重合する方法等をいう。
重合反応器が完全混合型か非完全混合型かを判断する客観的指標の一つとしては、例えば、スチレン系単量体を使って重合反応を行ない、得られた高分子量体の分子量分布(Mw/Mn)を測定し、Mw/Mnの値が約2を示せば完全混合型であると判断できる。
完全混合型の重合反応器を使った連続リビング重合法において、原料を重合反応器へ導入する供給口と排出口の位置は、単量体と溶媒を含有する原料液を攪拌機付きの槽型反応器の下部または上部より反応器内に連続的に導入し、原料液の導入口と反対方向の反応器の上部または下部より重合液を連続的に排出しながら製造する方法が好ましい。原料液の導入口と反対方向とは、図1の(例1)に示すように導入口と排出口が液面からほぼ同じ位置に存在する時は、中心から90°〜270°の範囲を言う。また、図1の(例2)または(例3)に示すように導入口と排出口の一方が液面付近の位置に存在する時(反応器内の溶液量が反応器容積の100体積%である時は、反応器の上部面近辺とする。)は、底部面近辺の範囲を言う。
攪拌機の構造は、上下流が起こりやすい構造であることが好ましい。また、槽型反応器の内部構造は、重合溶液が均一相になるようにバッフルを備え付けていることが好ましい。槽型反応器内に満たされる重合溶液量は、攪拌機による攪拌効果が発現する液量があればよく、反応器の容積の5〜100体積%の充填量がよい。
原料液中の単量体濃度を上げて生産性を高めたい場合は、重合反応の除熱を効率的に行うために重合反応器にコンデンサーを付けて、溶媒の蒸発潜熱で重合熱を除熱することが望ましい。特に、重合溶媒に主としてシクロヘキサン(n−ヘキサンが混入していても構わない。)を用いると、沸点が82℃なので重合温度を80℃から90℃付近で制御しやすい。
非完全混合型のチューブ型重合反応器を用いる場合は、例えば、反応器の長さ(L)と内径(D)の比L/Dが1以上の場合、又は攪拌効率が悪い場合等、重合反応器内で完全混合状態をとりにくい場合は、反応器の途中からビニル芳香族単量体の溶液を添加する、または非完全混合型重合器を2基以上を直列に連結し、1基目の重合後2基目の重合反応器にビニル芳香族単量体の溶液を添加することが好ましい。
本発明において用いられるスチレン系共重合体は、熱安定性及び耐熱性の観点から、スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(Z)とスチレン系共重合体のガラス転移温度(Tg)の関係が下記式(a)を満足することが好ましい。
式(a)
5≦Z≦20の場合
0.12Z+102≦Tg≦0.62Z+102、
20<Z≦60の場合、
−5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+97≦Tg≦−5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+107
60<Z≦95の場合
1.04Z+73≦Tg≦0.79Z+98
[式中、Zはスチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(質量%)を示し、Tgは、スチレン系共重合体のガラス転移温度(℃)を示す。]
より好ましくは、下記式(a′)を満足することである。
式(a′)
5≦Z≦20の場合
0.15Z+102≦Tg≦0.58Z+102、
20<Z≦60の場合、
−5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+98≦Tg≦−5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+106
60<Z≦95の場合
1.03Z+74≦Tg≦0.80Z+97
更に好ましくは、下記式(a″)を満足することである。
式(a″)
5≦Z≦20の場合
0.20Z+102≦Tg≦0.52Z+102、
20<Z≦60の場合、
−5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+99≦Tg≦−5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+105
60<Z≦95の場合
1.02Z+75≦Tg≦0.81Z+96
本発明のガラス転移温度は、DSCによって求めることができ、JIS−K7121に示されている方法で求めた温度をガラス転移温度とする。
本発明のスチレン系樹脂組成物において、特に黄色化を抑えることが必要な場合、又は溶融成形する際に分解発生する単量体の量を極力抑えることが必要な場合などは、更にスチレン系共重合体が下記式(b)を満足することが好ましい。
式(b)
A≦0.0002Z−0.0017Z+0.52
[式中、Zは、スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(質量%)を示し、Aは、305nmにおけるスチレン系共重合体成形品の吸光度を示す。]
より好ましくは、A≦0.0002Z−0.0017Z+0.51、更に好ましくはA≦0.0002Z−0.0017Z+0.50を満足することである。
本発明のスチレン系樹脂組成物において、機械強度及び成形性の観点から、下記式(c′)を満足する重量平均分子量(Mw)を有するスチレン系共重合体であることが好ましい。ここでB、C、D、Eの値が、B=−1.92、C=2.95、D=98.2、E=6.37の場合、式(c′)は上記式(c)と一致する。
式(c′)
B×10−2+C×10−1Z+D≦Mw×10−3≦exp(E−2.77×10−2Z)
[式中、Zは、スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(質量%)を示し、Mwは、スチレン系共重合体の重量平均分子量を示す。]
上記式(c′)において、より好ましくは、B=−2.29、C=2.77、D=112及び/又はE=6.23、更に好ましくは、B=−2.75、C=2.20、D=131及び/又はE=6.13である。
本発明に用いるスチレン系共重合体のイソプロペニル芳香族単位とビニル芳香族単位の結合様式は、特に制限はされないが、最も好ましい結合様式はランダム結合からなる共重合体である。一般にイソプロペニル芳香族単位の連鎖が多く存在すると熱分解しやすくなる傾向にある。従って、イソプロペニル芳香族単位の連鎖は2〜4連鎖以下に制御することが好ましい。ビニル芳香族単位は、連鎖になっていても特に熱安定性を損なう恐れがないので、長鎖の連鎖構造をとっても構わない。
また、ビニル芳香族単位の長鎖の連鎖が共重合体の分子鎖の末端に存在するAB型、およびABA型のブロック共重合体(Aは、主としてビニル芳香族単位よりなる単独重合体成分であり、Bは、イソプロペニル芳香族単位とビニル芳香族単位を含有するランダム共重合体である。)も好ましく用いられる。該ブロック共重合体は耐熱性、熱安定性、機械物性、流動性を含むその他の性能がランダム共重合体と同等であり、そのようなブロック共重合体は、該ブロック共重合体の一成分であるビニル芳香族単位と同じ構造からなる単独重合体と相溶性が極めて良好である。
該ブロック共重合体は、1基目の重合反応器でビニル芳香族単量体のみを重合し、続いて2基目の重合反応器内でイソプロペニル芳香族単量体とビニル芳香族単量体の共重合を行って、ビニル芳香族単位の単独重合体と共重合体とのブロック共重合体、AB型のブロック共重合体を得ることができ、ABA型のブロック共重合体はAB型のリビング共重合体を製造した後に、別の反応器内でビニル芳香族単位をリビング重合することにより製造することができる。
本発明に用いるスチレン系共重合体の製造方法の代表例であるリビングアニオン重合法では、重合反応の完結はビニル芳香族単量体の反応率が99%以上に達した場合に行うことが好ましく、イソプロペニル芳香族単量体が反応系に残っていてもよい。重合反応の停止は、停止剤として水、アルコール、フェノール、カルボン酸等の酸素−水素結合を有する化合物の添加、エポキシ化合物、エステル化合物、ケトン化合物、カルボン酸無水物、炭素−ハロゲン結合を有する化合物等も同様な効果を期待できる。これらの添加物の使用量は成長種の当量から10倍当量程度が好ましい。余りに多いとコスト的に不利なだけでなく、残存する添加物の混入が障害になる場合も多い。
リビング成長種を利用して多官能化合物でカップリング反応させ、ポリマー分子量を増大、さらにはポリマー鎖を分岐構造化させることもできる。多官能化合物とはポリハロゲン化合物、ポリエポキシ化合物、モノまたはポリカルボン酸エステル、ポリケトン化合物、モノまたはポリカルボン酸無水物等を挙げることができる。具体例としてシリコンテトラクロライド、ジ(トリクロルシリル)エタン、1,3,5−トリブロモベンゼン、エポキシ化大豆油、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、シュウ酸ジメチル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、ピロメリット酸二無水物、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
重合開始剤の有機リチウム化合物由来のアルカリ成分、例えば酸化リチウムや水酸化リチウムを酸性化合物の添加によって中和安定化させることもできる。この様な酸性化合物の例として炭酸ガスと水の混合物、ホウ酸、各種カルボン酸化合物等があり、これらを重合溶媒と同じ溶剤に溶かして重合停止後のポリマー溶液に添加することができる。これらの添加により、特に耐着色性が改善できる場合がある。
重合終了後、未反応モノマーや溶媒は回収し再生使用するためにポリマーから揮発除去される。揮発除去には公知の方法が利用できる。揮発除去装置としては、例えば真空タンクにフラッシュさせる方法及び/又は押出機やニーダーを用いて真空下加熱蒸発させる方法等が好ましく利用できる。溶媒の揮発性にもよるが、一般には温度を180〜300℃、真空度100Pa〜50KPaにて溶媒や残存モノマー等の揮発性成分を揮発除去させる。
揮発除去装置を直列に接続し、2段以上に並べる方法も効果的である。また、1段目と2段目の間に水を添加して2段目のモノマーの揮発能力を高める方法も利用できる。フラッシングタンクで揮発成分の除去後、残余の揮発成分を除去するため、さらにベント付き押出機を用いることもできる。溶媒を除去されたスチレン系共重合体は公知の方法でペレット状に仕上げることができる。揮発除去工程を経たスチレン系共重合体中に残存するイソプロペニル芳香族単量体とビニル芳香族単量体及び重合溶媒の総量は、耐熱性及び成形性の観点から、2500質量ppm以下に制御されることが好ましい。より好ましくは2400質量ppm以下、更に好ましくは2300質量ppm以下である。
本発明のスチレン系樹脂組成物には、必要により熱的、機械的安定性、流動性、着色性を改良する目的で、通常、スチレン系樹脂組成物で用いられている添加剤を添加することができる。その例として、一次酸化防止剤として、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス−[3−(−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2[1−(2−ヒドロキシ3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキザ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,2H,3H)−トリオン、1,1,4−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等の2,4,6−3置換フェノール類が挙げられる。また、2次酸化防止剤としてリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐候剤としてヒンダードアミンの安定剤、UV吸収剤を添加することも可能である。その他、導電性付与剤、蛍光増白剤、難燃剤、難燃助剤、抗菌剤、発泡剤、ミネラルオイル等の可塑剤、長鎖脂肪族カルボン酸及び/又はその金属塩等の滑剤、着色性改良剤として有機染料、有機顔料等の各種添加剤を適宜添加して用いることができる。
着色性改良用のアンスラキノン系の有機染料は、共重合体の熱安定性を損なうことが少ないため特に好ましい。
シリコーン系、フッ素系の離型剤、帯電防止剤などもスチレン系樹脂で利用されている公知の技術をそのまま応用することができる。
これらの添加剤は、スチレン系共重合体の重合が完結した後のポリマー溶液の中に添加して混合するか又はポリマー回収後押出機を使って溶融混合することができる。更にスチレン系共重合体とシリコーン系粒子とを混合する際にこれらの添加剤を添加することもできる。
また、本発明のスチレン系共重合体樹脂組成物は必要によりその特長を損なわない範囲で、他の公知のポリマーを混合して含むことができる。その例としてポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アルキルアクリレート共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリフェニレンエーテル、スチレン−共役ジエン共重合体およびその水素添加物等が挙げられる。
本発明におけるスチレン系樹脂組成物を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、本発明のスチレン系共重合体とシリコーン系粒子をヘンシェルミキサーやブレンダーで混合した後、通常の樹脂等の製造に用いられる溶融混練機を用いて製造することができる。具体的には、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機、単軸押出機、2軸押出機、等の連続式混練機がある。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、一般に熱可塑性樹脂の成形に用いられている公知の方法、例えば射出成形、押出成形、プレス成形などの方法によって各種成形体に成形される。また、シート状に成形された後、さらに所望の成形体に成形することもできる。
さらに本発明のスチレン系樹脂組成物は、本発明のスチレン系共重合体とシリコーン系粒子とを溶融混練してマスターバッチとした後、成形の際にスチレン系共重合体と混合して所望のシリコーン系粒子濃度の成形品を得ることもできる。
本発明のスチレン系樹脂組成物はバックライト型液晶ディスプレイ等の光拡散板として使用することができる。
本発明を実施例に基づいて説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例、比較例で用いた分析、評価方法は以下の通りである。
[分析方法]
(1)重量平均分子量および数平均分子量
東ソー(株)製のHLC−8020にカラム(TSKgel、GMHXL、40℃)を2本接続し、RI検出器が取り付けてあるGPC装置で測定した。2%のエタノールを含有したクロロホルムを移動相に用いた。分子量の計算は、ポリスチレンスタンダード(東ソー(株)製)を使って検量線を作成し、ポリスチレン換算にて行った。
(2)共重合体中のα−メチルスチレンの含有量
BRUKER社製のNMR(DPX−400)を使って求めた。共重合体のH−NMRを測定し、メチル、メチレン、メチンのピーク面積比から計算で求めた。
(3)ガラス転移温度(Tg)
パーキンエルマー(株)製のDSC−7を使って、JIS−K7121に準拠して求めた。具体的には、窒素下、10℃/minで250℃まで昇温した。2度目の昇温過程で測定されるガラス転移温度をTgとした。
(4)吸光度
分光光度計(U−3210、(株)日立製作所製)を使って、厚さ3mmの成形品の305nmにおける吸光度(空気に対する吸光度の差)を求めた。
[評価方法]
(1)全光線透過率
JIS−K7361−1に準じて測定した。測定には厚さ2mmの平板を使用した。
(2)光拡散率
オプテック(株)製ゴニオフォトメーターを用いて、白色光の光源から試験片に直角方向に入光させ厚さ2mmの試験片の反対側に透過した光を試験片の直角方向を0度として5度、20度、70度の角度における輝度を測定し、下式により光拡散率を算出した。
光拡散率(%)=(20度の輝度+70度の輝度)×100/(5度の輝度×2)
(3)飽和吸水率
JIS−K7209に準じて測定した。
(4)荷重たわみ温度
JIS−K7191に準じて測定した。
(5)耐光性評価
63℃下300時間のカーボンアークの紫外線照射を行い、照射前後の黄色度の差ΔYIを求めた。黄色度YIはカラーテスター(スガ試験機(株)製)を用いてASTMD1925に準じて測定した。
[スチレン系共重合体の製造]
〈原料〉
スチレン(St:住友化学(株)製)とα−メチルスチレン(αMeSt:三井化学(株)製)とシクロヘキサン(CH:出光石油化学(株)製)をSt/αMeSt/CH=18/27/55(質量%)の比率で混合した溶液を貯蔵タンクに溜め窒素バブリングした後に、溶液を活性アルミナ(住友化学(株)製KHD−24)を充填した5L容積の精製塔内を通過させて重合禁止剤であるt−ブチルカテコールを除去した。
〈開始剤〉
n−ブチルリチウム(15質量%のn−ヘキサン溶液、和光純薬(株)製)を1/51倍にシクロヘキサンで希釈した。
〈停止剤〉
メタノール(特級、和光純薬(株)製)を3質量%の濃度になる様にシクロヘキサンで希釈した。
〈製造方法〉
重合反応器は攪拌翼(住友重機(株)製マックスブレンド翼)とコンデンサーが取り付けられ、更に原料導入ノズル、開始剤導入ノズルと重合溶液排出ノズルが付いたジャケット付き3.4Lの反応器(R1)を用いた。コンデンサーの出口は、窒素ガスでシールし、外部から空気が混入しないようにした。重合反応器内の重合溶液の容量は、常に2.1Lとなる様に制御した。重合溶液からは常に溶液の一部が沸騰している状態にし、内温を82℃〜84℃の間に制御した。攪拌翼の回転数は175rpmとした。重合反応器の原料入口と出口にはそれぞれギアポンプが取り付けられており原料及び重合溶液が2.1L/Hrの一定流量の液を流せる様に制御した。また、開始剤溶液は、0.45L/Hrで重合反応器内へ導入した。重合反応器の原料導入口とポリマー溶液の排出口の位置関係は反対方向にあり、下部に原料の導入口を、液面より5cm下方に排出口を取り付けた。
重合反応器から排出されたリビングポリマーの溶液は、更にギアポンプで10mm径の配管を通じて重合停止剤溶液の導入口まで導いた。反応器から停止剤混合点までの配管の長さは約2m、配管は65〜70℃で保温した。停止剤溶液は、0.1kg/Hrでの流速で重合反応液内に導入し、その後は、1.2L容量の静的ミキサー(Sulzer社製、SMX型)を経て完全に重合反応を停止させた。更に、ポリマー溶液は予熱器で260℃まで加熱し、その後2MPaの減圧下、設定260℃に加温された約50Lの容器内へフラッシングし、溶媒と未反応のモノマーをポリマーから分離、回収した。フラッシング容器内のポリマー温度は、約240〜250℃、ポリマーのタンク内の滞留時間は、約20〜30分であった。充分に揮発成分が除去されたポリマーは、その後、ロープ状に排出され水中下で冷却後カッターでペレタイズ化しポリマーを回収した。
得られたポリマーの分子量はMn=66000、Mw=131000、共重合体中のαMeStの含有量は48質量%、ガラス転移温度は129℃、305nmにおける吸光度は0.739であった。
[実施例1]
上記製造例で得られたスチレン系共重合体99.5質量%とシリコーン系粒子(信越化学工業(株)製シリコーンレジンパウダーKMP590平均粒径2μm)0.5質量%をブレンダーで混合し、30mm二軸押出機(ナカタニ機械(株)製)を用いて230℃の設定温度で溶融混練し樹脂組成物を得た。得られた組成物を射出成形機(ソディックプラステック(株)製TR50S2A)を用いて230℃の設定温度で試験片を作製した。
[比較例1]
実施例1のスチレン系共重合体の替わりにメタクリル樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製デルペットLP−1)を用い、混練温度及び成形温度を260℃とした以外は同様の操作を行った。
[比較例2]
実施例1のスチレン系共重合体の替わりにポリカーボネート樹脂(旭美化成(株)製ワンダーライトPC110)を用い、混練温度及び成形温度を280℃とした以外は同様の操作を行った。
[比較例3]
実施例1のスチレン系共重合体の替わりにポリスチレン樹脂(PSジャパン(株)製PSJポリスチレンG9504)を用い、混練温度及び成形温度を240℃とした以外は同様の操作を行った。
実施例、及び比較例で得られた試験片について全光線透過率、光拡散率、飽和吸水率、耐熱性、耐光性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2006299192
本発明の樹脂組成物は、光透過性と光拡散性のバランスに優れ、その上吸湿性が低く耐熱性、耐光性に優れるため、液晶ディスプレイまたは液晶テレビのバックライト方式の光拡散板に好適に用いられる。
スチレン系共重合体を重合する反応器の例を示す模式図である。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表されるイソプロペニル芳香族単位と下記式(2)で表されるビニル芳香族単位とを含有するスチレン系共重合体と平均粒子径が0.1〜50μmであるシリコーン系粒子0.01〜30質量%を含有することを特徴とするスチレン系樹脂組成物。
    Figure 2006299192
    [式中、Rは水素又は−C2n+1(nは1以上の整数)で表される炭化水素基を示す。]
    Figure 2006299192
    [式中、Rは水素又は−C2n+1(nは1以上の整数)で表される炭化水素基を示し、Rは水素又はフェニル基を示す。]
  2. スチレン系共重合体の重量平均分子量が50000〜300000であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
  3. スチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.6〜4.0の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂組成物。
  4. スチレン系共重合体がリビング重合法によって得られる樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  5. スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量が5〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  6. スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(Z)とスチレン系共重合体のガラス転移温度(Tg)の関係が下記式(a)を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
    式(a)
    5≦Z≦20の場合
    0.12Z+102≦Tg≦0.62Z+102、
    20<Z≦60の場合、
    −5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+97≦Tg≦−5.25×10−5+1.09×10−2+1.72×10−1Z+107
    60<Z≦95の場合
    1.04Z+73≦Tg≦0.79Z+98
    [式中、Zはスチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(質量%)を示し、Tgは、スチレン系共重合体のガラス転移温度(℃)を示す。]
  7. スチレン系共重合体の305nm波長光における吸光度Aが下記式(b)を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
    式(b)
    A≦0.0002Z−0.0017Z+0.52
    [式中、Zは、スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(質量%)を示し、Aは、305nmにおけるスチレン系共重合体成形品の吸光度を示す。]
  8. スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(Z)とスチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)の関係が下記式(c)を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
    式(c)
    −1.92×10−2+2.95×10−1Z+98.2≦Mw×10−3≦exp(6.37−2.77×10−2Z)
    [式中、Zは、スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(質量%)を示し、Mwは、共重合体の重量平均分子量を示す。]
  9. 光拡散板に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  10. 請求項9に記載のスチレン系樹脂組成物を成形してなる光拡散板。
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