JP2017214485A - スチレン系樹脂組成物、並びにそのシート及び成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
スチレン系単量体単位と、不飽和カルボン酸系単量体単位と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位とを構成単位として含むスチレン系樹脂(a)であって、上記スチレン系単量体単位、上記不飽和カルボン酸系単量体単位、及び上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、上記スチレン系単量体単位の含有量が54質量%以上74質量%未満であり、上記不飽和カルボン酸系単量体単位の含有量が10質量%以上16質量%以下であり、上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の含有量が16質量%より多く30質量%以下である、スチレン系樹脂(a)と;
ゴム状弾性体を含むハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂(b)と
を含む、スチレン系樹脂組成物であって、
上記スチレン系樹脂(a)と上記HIPS樹脂(b)の合計量を100質量部としたとき、上記スチレン系樹脂組成物中の上記HIPS樹脂(b)由来のゴム状弾性体量が0.025質量部〜0.5質量部である、スチレン系樹脂組成物。
〔2〕
上記不飽和カルボン酸系単量体がメタクリル酸である、項目1に記載のスチレン系樹脂組成物。
〔3〕
上記HIPS樹脂(b)中の上記ゴム状弾性体の含有量が5〜15質量%であり、上記ゴム状弾性体の平均粒子径が0.2〜5.0μmである、項目1または2に記載のスチレン系樹脂組成物。
〔4〕
上記HIPS樹脂(b)におけるHIPSのマトリックスが、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、屈折率が1.535〜1.575である、項目1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
〔5〕
上記スチレン系樹脂(a)と上記HIPS樹脂(b)の合計100重量部に対し、シリコーンオイルをケイ素量で0.5〜200.0質量ppm含む、項目1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
〔6〕
項目1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物から構成される、シート。
〔7〕
項目1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物から構成される、押出シート。
〔8〕
項目1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物から構成される、二軸延伸シート。
〔9〕
項目6〜8のいずれか一項に記載のシートから構成される、成形品。
〔10〕
項目6〜8のいずれか一項に記載のシートから構成される、容器。
〔11〕
項目6〜8のいずれか一項に記載のシートから構成される、食品包装用容器の蓋。
〔12〕
項目1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物から構成される、射出成形品。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系単量体単位と、不飽和カルボン酸系単量体単位と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位とを構成単位として含むスチレン系樹脂(a)であって、上記スチレン系単量体単位、上記不飽和カルボン酸系単量体単位、及び上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、上記スチレン系単量体単位の含有量が54質量%以上74質量%未満であり、上記不飽和カルボン酸系単量体単位の含有量が10質量%以上16質量%以下であり、上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の含有量が16質量%より多く30質量%以下である、スチレン系樹脂(a)と;
ゴム状弾性体を含むハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂(b)と
を含む、スチレン系樹脂組成物であって、
上記スチレン系樹脂(a)と上記HIPS樹脂(b)の合計量を100質量部としたとき、上記スチレン系樹脂組成物中の上記HIPS樹脂(b)由来のゴム状弾性体量が0.025質量部〜0.5質量部である。
(単量体単位)
本実施形態において、スチレン系樹脂(a)は、スチレン系単量体単位と、(メタ)アクリル酸系単量体単位と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位とを構成単位として含む共重合体である。
スチレン系樹脂(a)の透明性は、曇り度によって評価できる。スチレン系樹脂(a)を厚さ2mmスチレン系樹脂プレートに成型したときの曇り度は、2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下である。厚み2mmのスチレン系樹脂プレートは、鏡面加工された金属板にスチレン系樹脂(a)を挟んで200℃にて圧縮成型することにより得られる。曇り度が2.0%以下であれば、射出成形品用途、シート成形品用途等で、透明性をより高くすることができる。また、スチレン系樹脂組成物中にハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂(b)を添加したとき、強度と透明性とのバランスに優れた成形品を得ることができる。曇り度は、ISO 14728に準拠して測定することができる。また、曇り度の下限は特にない。
本実施形態において、スチレン系樹脂(a)を100質量%としたとき、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体の残存量(すなわち、スチレン系樹脂(a)中に、スチレン系樹脂の構成単位としてではなく単量体として残存する量)と、残存する溶媒と、存在する場合他の揮発成分との合計量(以下、「総揮発成分量」という)は、好ましくは1000質量ppm以下、より好ましくは600質量ppm以下、更に好ましくは500質量ppm以下である。スチレン系樹脂(a)中の総揮発成分量が1000質量ppm以下であれば、シート押出時のダイス出口周りの臭気や、スチレン系樹脂(a)の色調の面で好ましい。ここで、スチレン系樹脂(a)中の総揮発成分量は、それぞれ、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
本実施形態において、スチレン系樹脂(a)のメルトフローレート(MFR)は、成形性の観点から、好ましくは0.2(g/10min)以上2.0(g/10min)以下であり、より好ましくは0.3(g/10min)以上1.5(g/10min)以下、さらに好ましくは0.4(g/10min)以上1.0(g/10min)以下である。
本実施形態において、スチレン系樹脂(a)のビカット軟化温度は、電子レンジでの使用環境に耐える観点から、好ましくは116℃以上であり、より好ましくは119℃以上、さらに好ましくは122℃以上である。また、ビカット軟化温度の上限は特にない。ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠して測定することができる。
本実施形態において、スチレン系樹脂(a)の重量平均分子量(Mw)は8万〜30万であることが好ましく、Z平均分子量(Mz)の重量平均分子量(Mw)に対する比(Mz/Mw)は1.6〜3.5であることが好ましい。Mwは、より好ましくは10万〜25万、更により好ましくは12万〜20万である。Mwが8万〜30万であると、衝撃強度と流動性とのバランスに優れる樹脂が得られ、また、ゲル化物の混入も少ない。Mz/Mwの比は、より好ましくは1.7〜3.0、更に好ましくは1.7〜2.5である。Mz/Mwの比が1.6〜3.5であると、衝撃強度と流動性とのバランスに優れる樹脂が得られ、また、ゲル化物の混入も少ない傾向となる。Mz及びMwは、ゲルパーミエイション・クロマトグラフィーによりポリスチレン標準換算で測定することができる。
スチレン系樹脂(a)の重合方法については、特に制限はないが、ラジカル重合法として、塊状重合法又は溶液重合法を採用できる。重合方法は、一般的に、重合原料(単量体成分)を重合させる重合工程と、重合生成物から未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発分を除去する脱揮工程とからなる。
本実施形態のスチレン系樹脂(a)は、様々な食用油に対する耐熱油性があってよい。食用油としては、大豆油やキャノーラ油、コーン油、オリーブ油、ごま油、紅花油、ひまわり油、パーム油、ヤシ油等の植物油や、牛脂や豚油、バター等の動物脂があげられる。中でも、特にスチレン系樹脂を侵し易い中鎖脂肪酸油を多く含んだヤシ油に対する耐熱油性があることが好ましい。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、ゴム状弾性体を含むハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂(b)を含有する。ハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂(b)中のゴム状弾性体は、スチレン系単量体又はスチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とから構成されるマトリックス中に、これらの単量体がグラフト重合したゴム状弾性体がオクルードを含んだサラミ状又はコアシェル状に分散粒子で存在する形態をとっていることが好ましい。HIPS樹脂(b)はゴム状重合体の存在下で上記単量体を塊状重合、溶液重合、又は塊状−懸濁重合することで製造することができる。
HIPS樹脂(b)中に含まれるスチレン系単量体としては、スチレンの他に、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t−ブチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、インデンなどのスチレン誘導体が挙げられる。工業的観点からスチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は、一種を単独で用いてもよく、又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
HIPS樹脂(b)中のゴム状弾性体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが使用できるが、工業的観点から、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。ポリブタジエンには、シス含有率の高いハイシスポリブタジエン、シス含有率の低いローシスポリブタジエン、又はこれらの両方を用いることができる。スチレン−ブタジエン共重合体の構造としては、ランダム構造であってもよく、ブロック構造であってもよく、これらの組合せであってもよい。これらのゴム状重合体は、一種を単独で用いてもよく、又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。ブタジエン系ゴムを水素添加した飽和ゴムを使用することもできる。
HIPS樹脂(b)中のゴム状弾性体の含有量は、好ましくは5〜15質量%、より好ましくは7〜14質量%、更により好ましくは10〜13質量%である。本願明細書において、HIPS樹脂(b)中のゴム状弾性体の含有量とは、HIPS樹脂(b)の合計量を100質量部としたときの、共役ジエン単量体の成分量(質量%)を指す。共役ジエン単量体とは、一対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。
HIPS樹脂(b)中のゴム状弾性体の平均粒子径は、好ましくは0.2〜5.0μm、より好ましくは0.8〜4.5μm、更に好ましくは1.0〜4.0μm、である。ゴム状弾性体の平均粒子径が0.2μm以上である場合、スチレン系樹脂組成物をシートにした際の面衝撃強度と耐折強度により優れる傾向がある。一方、平均粒子径が5.0μm以下であれば、スチレン系樹脂の外観により優れる傾向がある。HIPS樹脂(b)は、例えば、ゴム状重合体の存在下で撹拌機付きの反応器内でスチレン系単量体又はスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを重合させることにより得ることができる。HIPS樹脂(b)中のゴム状弾性体の粒子径は、撹拌機の回転数、及び用いるゴム状重合体の分子量などで調整することができる。
HIPS樹脂(b)のトルエン不溶分の膨潤指数は、好ましくは8.0〜14.0であることが好ましい。また、トルエン不溶分中のゴム量に対するトルエン不溶分の質量比(トルエン不溶分/トルエン不溶分中のゴム量)は、好ましくは1.5〜4.0である。本願明細書において、トルエン不溶分中のゴム量とは、トルエン不溶分を100質量%としたとき、トルエン不溶分中の共役ジエン単量体に由来する成分量(質量%)を意味する。膨潤指数は、より好ましくは9.0〜13.0、更に好ましくは9.5〜12.5であり、トルエン不溶分/トルエン不溶分中のゴム量の比は、より好ましくは2.0〜3.5、更に好ましくは2.5〜3.5である。HIPS樹脂(b)のトルエン不溶分の膨潤指数が8.0〜14.0であり、且つ、トルエン不溶分/トルエン不溶分中のゴム量の比が1.5〜4.0であれば、特に機械的強度に優れる樹脂が得られる。トルエン不溶分の膨潤指数、及びトルエン不溶分/トルエン不溶分中のゴム量の比は、それぞれ実施例の項で説明する手順、又はこれと等価な手順で測定される値である。
本実施形態において、HIPS樹脂(b)のメルトフローレート(MFR)は、流動性の観点から、好ましくは1.0以上20.0以下であり、より好ましくは2.0以上10.0以下、さらに好ましくは3.0以上8.0以下である。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物にシリコーンオイルを添加することで、2軸延伸シートの折り曲げ強度をさらに改善することができるため好ましい。シリコーンオイルの添加量は、スチレン系樹脂(a)とHIPS樹脂(b)の合計量に対して、好ましくはSi(ケイ素)量換算で0.5質量ppm〜200.0質量ppm、より好ましくは2.0質量ppm〜30.0質量ppm、更により好ましくは5.0質量ppm〜10.0質量ppmである。シリコーンオイルの添加量はSi量換算で0.5質量ppm以上であると、補強効果がより優れる傾向がある。一方、200.0質量ppm以下であると、透明性の観点から好ましい。
スチレン系樹脂組成物はゲル化抑制剤を含有してもよい。ゲル化抑制剤を含有することでゲル物の生成が抑制され、シートにした際の外観をより向上させることができる。ゲル化抑制剤としては、脂肪族モノアルコール、及びポリオキシエチレンモノアルキルエーテル等があげられる。ゲル化抑制剤の添加方法としては特に制限はなく、スチレン系樹脂(a)の重合前もしくは重合中に添加してもよく、製造されたスチレン系樹脂(a)のペレットに押出機で練り込む方法等があげられる。
スチレン系樹脂組成物は、C(炭素数)12〜20の脂肪族モノアルコールを含有することで、メタクリル酸の脱水縮合反応を抑え、外観により優れたスチレン系樹脂組成物を得ることができる。スチレン系樹脂組成物中の脂肪族モノアルコールの含有量としては、スチレン系樹脂(a)及びHIPS樹脂(b)の合計質量を100質量部としたとき、好ましくは0.05〜0.4質量部、より好ましくは0.1〜0.3質量部である。スチレン系樹脂組成物中の脂肪族モノアルコールの含有量が0.05質量部以上であると、外観の改善効果がより大きくなり、一方、0.3質量部以下であると、耐熱性により優れる傾向がある。また、成形時の金型汚れが低減される傾向がある。
スチレン系樹脂組成物は、下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテルを含有することによって、メタクリル酸の脱水縮合反応がより効果的に抑えられ、外観により優れるスチレン系樹脂組成物を得ることができる。ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの含有量は、スチレン系樹脂(a)及びHIPS樹脂(b)の合計質量を100質量部としたとき、好ましくは0.05〜0.3質量部、より好ましくは0.1〜0.2質量部である。
(RはC12〜20のアルキル基であり、Xはエチレンオキサイドの平均付加数であり、4〜12の整数である。)
スチレン系樹脂組成物の透明性は、曇り度によって評価できる。スチレン系樹脂組成物を厚さ2mmスチレン系樹脂プレートに成型したときの曇り度は、25%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下である。厚み2mmのスチレン系樹脂プレートは、鏡面加工された金属板にスチレン系樹脂組成物を挟んで200℃にて圧縮成型することにより得られる。曇り度が25%以下であれば、非発泡シートに成型した際にも透明性をより高く保つことができるため好ましい。曇り度は、ISO 14728に準拠して測定することができる。また、曇り度の下限は特にない。
スチレン系樹脂組成物ビカット軟化温度は、電子レンジでの使用環境に耐える観点から115℃以上であり、好ましくは118℃以上、より好ましくは120℃以上である。また、ビカット軟化温度の上限は特にない。ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠して測定することができる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、様々な食用油に対する耐熱油性があってよい。食用油としては、大豆油やキャノーラ油、コーン油、オリーブ油、ごま油、紅花油、ひまわり油、パーム油、ヤシ油等の植物油や、牛脂や豚油、バター等の動物脂があげられる。中でも、特にスチレン系樹脂を侵し易い中鎖脂肪酸油を多く含んだヤシ油に対する耐熱油性があることが好ましい。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂において一般的に使用される各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、鉱油等が挙げられる。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体やMBS樹脂等の補強材についても物性を損なわない範囲で添加してもよい。配合の方法については特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂(a)の重合時に添加して重合する方法や、スチレン系樹脂組成物を得る際、ブレンダーで予め添加剤を混合し、押出機やバンバリーミキサー等にて溶融混錬する方法等が挙げられる。
本実施形態のシートは、上記で説明したスチレン系樹脂組成物から構成されるシートである。シートの製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。例えば、本実施形態におけるシートは、一実施形態において、上記で説明したスチレン系樹脂組成物から構成される押出シートであってよく、他の実施形態において、上記で説明したスチレン系樹脂組成物から構成される二軸延伸シートであってもよい。
本実施形態の成形品は、上記で説明したシートから構成される成形品である。成形品としては、限定されないが、容器、例えば食品包装用容器、及び食品包装用容器の蓋等が挙げられる。このような容器は、例えば、真空成形により成形して製造することができる。
スチレン系樹脂組成物、及びシート等の各物性の測定及び評価方法は、下記のとおりである。
ISO 1133に準拠して測定した(200℃、荷重49N)。
ISO 306に準拠して測定した。荷重は49N、昇温速度は50℃/hとした。
試料調製 :スチレン系樹脂約0.05質量%をテトラヒドロフランに溶解した。
測定条件
機器 :TOSOH HLC−8220GPC
(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム :super HZM−H
温度 :40℃
キャリア :THF 0.35ml/min
検出器 :RI 、UV:254nm
検量線 :TOSOH製の標準PS使用
核磁気共鳴(13C−NMR)装置で測定したスペクトルの積分比から樹脂組成を定量した。
試料調製:樹脂75mgをd6−DMSO 0.75mlに60℃で4〜6時間加熱溶解した。
測定機器:日本電子 JNM ECA−500
測定条件:測定温度 60℃、観測核 13C、積算回数 2万回、繰返し時間 45秒
スチレン系樹脂の質量を100質量%としたとき、スチレン単量体、(メタ)アクリル酸単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、残存する溶媒、及び他の揮発成分の残存量の合計を総揮発成分量として、ガスクロマトグラフィーにて測定した。
試料調製 :スチレン系樹脂1.0gを標準物質入りジメチルホルムアミド25mlに溶解した。
測定条件
機器 :島津製製作所製ガスクロマトグラフィー GC−14Bpf
カラム :SUS 3mmφ×3m(パックドカラム)
充填剤 :液相 PEG−20M 25%
担体 Chromosorb W(AW) 60〜80メッシュ
カラム温度 :110℃
注入口温度 :220℃
検出器温度 :220℃
キャリアガス :窒素
定量は、スチレンの2量体と3量体の標準物質で行った。
試料調整 :スチレン系樹脂をメチルエチルケトンに溶解した。
測定条件
検出方法 :FID
機器 :島津製作所 GC17Apf
カラム :DB−1(100%ジメチルポリシロキサン)
30m、膜厚0.1μm、0.25mmφ
カラム温度 :100℃に2分間保持し、5℃/分で昇温させ、260℃で5分間保持した。
注入口温度 :200℃
検出器温度 :200℃
キャリアガス :窒素
スチレン系樹脂(a)とHIPS樹脂(b)の合計量を100質量部としたときのスチレン系樹脂組成物中のHIPS樹脂(b)由来のゴム状弾性体量(質量部)の測定は、熱分解GCにておこなった。
試料調整 :スチレン系樹脂組成物をクロロホルムに5質量%で溶解し、20μlをパイロホイルに塗布し、80℃で24時間真空乾燥した。
測定条件
Py−GC
機器 :日本分析工業社製 キュリーポイントインジェクター
パイロホイル温度 :590℃
高周波照射時間 :10秒
GC
機器 :アジレント・テクノロジー社製 HP−GC−6890
カラム : HP−5MS
30m、膜厚0.25mm、0.25mmφ
カラム温度 :50℃に5分間保持し、10℃/分で昇温させ、100℃からは70℃/分で昇温させ、300℃で10分間保持した。
注入口温度 :300℃
検出器温度 :300℃
スプリット比 :1/20
キャリアガス :ヘリウム
検出方法 :MSD
HIPS樹脂中のゴム状弾性体の平均粒子径(μm)は、透過型電子顕微鏡による断面観察によって観察された200個のゴム状弾性体粒子について、下記式:
平均粒子径=Σ(ni×Di4)/Σ(ni×Di3)
{式中、niは粒子径Diを有するゴム状弾性体粒子の個数であり、Diはゴム状弾性体粒子の長径と短径の平均値である。}により計算した。
沈殿管にHIPS樹脂1gを精秤し(W1)、トルエン20ミリリットルを加えて23℃で2時間振とうした後、遠心分離機((株)日立製作所製himac、CR−20(ローター:R20A2))にて10℃以下、20000rpmで60分間遠心分離した。沈殿管を約45度にゆっくり傾け、上澄み液をデカンテーションして取り除いた。トルエンを含む不溶分の質量を精秤し(W2)、160℃、3kPa以下の条件で1時間真空乾燥した。乾燥させたトルエン不溶分をデシケータ内で室温まで冷却した後、質量を精秤した(W3)。
下記式により、トルエン不溶分の膨潤指数、及びトルエン不溶分を求めた。
トルエン不溶分(質量%)=((W3)/(W1))×100
トルエン不溶分の膨潤指数=(W2/W3)
HIPS樹脂のマトリクスの屈折率は、以下のようにして行った。沈殿管にHIPS樹脂1gを精秤しトルエン20ミリリットルを加えて23℃で2時間振とうした後、遠心分離機((株)日立製作所製himac、CR−20(ローター:R20A2))にて10℃以下、20000rpmで60分間遠心分離した。沈殿管を約45度にゆっくり傾け、上澄み液をデカンテーションして回収し、上澄み液に300mlのメタノールを加え、ポリマー分を再沈させた。回収した再沈ポリマーを230℃、1.3Kpa下の条件下で30分加熱して溶媒を除去し、鏡面加工された金属板にスチレン系樹脂組成物を挟んで200℃にて約4mm厚みになるように圧縮成型した後に、幅8m、長さ20mmに切出し、試料とした。JIS K7142 A法に準拠し、得られた試料の屈折率を測定した。
スチレン系樹脂組成物中のケイ素量換算したシリコーンオイル量は、プラズマ発光分光法(ICP法)にて定量した。
鏡面加工された金属板にスチレン系樹脂又はスチレン系樹脂組成物を挟んで、200℃にて圧縮成型することにより厚み2mmのスチレン系樹脂プレートを作製した。ISO 14728に準拠し、該厚み2mmのスチレン系樹脂プレートの曇り度(HAZE)を測定することにより、透明性を評価した。
スチレン系樹脂組成物を30mmφ短軸押出機で5kg/hの吐出量で連続3時間押し出した後、ステアリルアルコール等の低分子量物質によるストランド出口の汚れを目視で判定した。汚れが無い場合(ストランド出口の周りに付着した低分子量物質の厚みが1mm以下である場合)を○、汚れが有る場合(ストランド出口の周りに付着した低分子物質の厚みが1mm超である場合)を×とした。
スチレン系樹脂又はスチレン系樹脂組成物を、創研社製の25mmφ単軸シート押出機で押し出して、厚さ0.3mmのシートを作製した。該シートから8cm×20cmの大きさの試料を3枚切り出し、3枚の試料の表面において、(長径+短径)/2の平均径が1mm以上の異物であるゲル物の個数を数え、以下の評価基準で外観を判定した:
◎:ゲル物の個数が2点以下
○:ゲル物の個数が5点以下
×:ゲル物の個数が6点以上
上記創研社製の25mmφ単軸シート押出機にて、スチレン系樹脂組成物から厚み1.5〜1.6mmのシートを作製した。作製したシートから10cm×10cmの大きさのシートを切出した。切出したシートを東洋精機製二軸延伸装置(EX6−S1)にて下記条件で同時二軸延伸を行い、厚み0.24mm〜0.26mmの二軸延伸シートを作製した。
延伸温度:Vicat軟化温度+20℃、
延伸速度:170%
延伸倍率:2.5倍
東洋精機社製のフィルムインパクトテスター(A121807502)を用いて、該二軸延伸シートの衝撃強度(kgf・cm)を測定した。
また、JIS P8115に準拠し、該二軸延伸シートのMIT耐折強度(回)を測定した。
鏡面加工された金属板にスチレン系樹脂又はスチレン系樹脂組成物を挟んで、200℃にて圧縮成型することにより、厚み2mmのスチレン系樹脂プレートを作製した。該スチレン系樹脂プレートを110℃のヤシ油に15分間浸漬して、浸漬前後における曇り度の変化(Δ曇り度)を、以下の式により算出した。
Δ曇り度(試験後曇り度(%)−試験前曇り度(%))
評価基準
◎・・Δ曇り度が5%以下
○・・Δ曇り度が5%より大きく10%以下
×・・Δ曇り度が10%より大きい
〈樹脂A〉
スチレン55.4質量部、メタクリル酸7.0質量部、メタクリル酸メチル12.8質量部、エチルベンゼン25.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.025質量部からなる重合原料組成液を、0.8リットル/時の速度で、容量が3.6リットルの完全混合型反応器に供給し、次に未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発成分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置へと連続的に供給した。完全混合反応器の重合温度は128℃とした。単軸押出機の温度を200〜250℃、圧力を10torrに設定して、未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発成分を脱揮した。脱揮された揮発成分を−5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収し、スチレン系樹脂は樹脂ペレットとして回収した。上述の分析法によって得られたスチレン系樹脂(樹脂A)の物性を以下の表1に示す。
重合原料組成液をスチレン50.3質量部、メタクリル酸8.2質量部、メタクリル酸メチル15.5質量%、エチルベンゼン26.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.025質量部とし、完全混合型反応器の温度を130℃とした以外は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂B)を製造した。
重合原料組成液をスチレン43.4質量部、メタクリル酸9.2質量部、メタクリル酸メチル20.4質量%、エチルベンゼン27.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.025質量部とし、完全混合型反応器の温度を130℃とした以外は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂C)を製造した。
重合原料組成液をスチレン65.5質量部、メタクリル酸6.5質量部、メタクリル酸メチル7.0質量%、エチルベンゼン27.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.025質量部とし、完全混合型反応器の温度を134℃とした以外は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂D)を製造した。
重合原料組成液をスチレン51.1質量部、メタクリル酸11.9質量部、メタクリル酸メチル12.0質量%、エチルベンゼン25.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.0225質量部とし、完全混合型反応器の温度を132℃とした以外は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂E)を製造した。
重合原料組成液をスチレン49.9質量部、メタクリル酸4.8質量部、メタクリル酸メチル18.3質量%、エチルベンゼン31.0質量部、及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.0225質量部とし、完全混合型反応器の温度を133℃とした以外は樹脂Aと同様の製造条件で、スチレン系樹脂(樹脂F)を製造した。
〈樹脂G〉
スチレン系単量体としてスチレン77質量部、ゴム状弾性体としてポリブタジエンゴム(宇部興産社製BR15HB)9質量部、溶剤としてエチルベンゼン14質量部、重合開始剤として1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.004質量部、及び連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマー0.2質量部を混合溶解した重合液を、攪拌機を備え、温度コントロール可能な6.2リットルの層流型反応器1に、3.2リットル/Hrで連続的に供給した。層流型反応器1の温度は110〜130℃、攪拌機の回転数は毎分40回転とした。続いて層流型反応器1と直列に接続され、攪拌機を備え、温度コントロール可能な6.2リットルの層流型反応器2へと反応液を送った。層流型反応器2の攪拌機の回転数は毎分15回転とし、温度は130〜150℃に設定した。続いて層流型反応器2と直列に接続され、攪拌機を備え、温度コントロール可能な6.2リットルの層流型反応器3へと反応液を送った。層流型反応器3の攪拌機の回転数は毎分10回転とし、温度は140〜170℃に設定した。層流型反応器3から連続的に排出される重合体溶液を、真空ベントつき押出機に送り、10torrの減圧下で脱揮後、ペレタイズして、HIPS樹脂(樹脂G)を得た。押出機の温度は200〜250℃に設定した。樹脂Gの物性を以下の表2に示す。
ゴム状弾性体としてポリブタジエンゴム(旭化成ケミカルズ製ジエン35)を使用し、混合溶解した重合液の組成を、スチレン79質量部、ゴム状重合体7質量部、エチルベンゼン15質量部、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.06質量部、及びα−メチルスチレンダイマー0.05質量部とし、さらに層流型反応器1の回転数を毎分80回転とした以外は樹脂Gと同様の条件で、樹脂Hを製造した。
ゴム状弾性体としてスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成ケミカルズ社製 アサプレン670A)を使用し、混合溶解した重合液の組成を、スチレン76質量部、ゴム状重合体9質量部、エチルベンゼン15質量部、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.04質量部、及びn−ドデシルメルカプタン0.03質量部とし、さらに層流型反応器1の回転数を毎分150回転とした以外は、樹脂Gと同様の条件で樹脂Iを製造した。
単量体としてさらにメタクリル酸メチルを加え、ゴム状弾性体としてスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成ケミカルズ社製 アサプレン625A)を使用し、混合溶解した重合液の組成を、スチレン60.5質量部、アクリル酸ブチル17.5質量部、ゴム状重合体9質量部、エチルベンゼン13質量部、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.02質量部、及びα−メチルスチレンダイマー0.1質量部とし、また層流型反応器1の回転数を毎分100回転とした以外は、樹脂Gと同様の条件で樹脂Jを製造した。
樹脂G〜Jの組成および物性を以下の表2に示す。
〈実施例1〉
得られたスチレン系樹脂(樹脂A)98.5質量部と、HIPS(樹脂G)1.5質量部とを、30mmφの2軸押出機を用いて、220℃、80rpmで混練した後、ペレタイズして、スチレン系樹脂組成物を得た。スチレン系樹脂組成物について、評価結果を以下の表3に示す。
以下の表3に示す割合でスチレン系樹脂(a)、HIPS樹脂(b)、及びシリコーンオイルを、30mmφの2軸押出機を用いて、220℃、80rpmで混練した後、ペレタイズして、スチレン系樹脂組成物を得た。評価結果を表3に示す。
スチレン系樹脂(a)を樹脂Aから樹脂Dに変更した以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を製造した。評価結果を以下の表4に示す。樹脂Dでは含有するメタクリル酸メチルの量が少なく、耐熱油性が不十分であった。
スチレン系樹脂(a)を樹脂Aから樹脂Eに変更した以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を製造した。評価結果を以下の表4に示す。樹脂Eでは含有するメタクリル酸の量が多く、シートの外観が悪化した。
スチレン系樹脂(a)を樹脂Aから樹脂Fに変更した以外は、実施例1と同様に実施し、得られたスチレン系樹脂を評価した。評価結果を以下の表4に示す。樹脂Eでは含有するメタクリル酸の量が少なく、耐熱性が不十分となった。
スチレン系樹脂(a)としての樹脂BにHIPS樹脂(b)を添加せず、シリコーンオイルをSi換算で300.0質量ppm加えたこと以外は実施例1と同様の条件でスチレン系樹脂組成物を製造した。比較例4ではHIPSが添加されていないため強度が不足し、シリコーンオイルの添加量が多く透明性が悪化した。
Claims (12)
- スチレン系単量体単位と、不飽和カルボン酸系単量体単位と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位とを構成単位として含むスチレン系樹脂(a)であって、前記スチレン系単量体単位、前記不飽和カルボン酸系単量体単位、及び前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、前記スチレン系単量体単位の含有量が54質量%以上74質量%未満であり、前記不飽和カルボン酸系単量体単位の含有量が10質量%以上16質量%以下であり、前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の含有量が16質量%より多く30質量%以下である、スチレン系樹脂(a)と;
ゴム状弾性体を含むハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂(b)と
を含む、スチレン系樹脂組成物であって、
前記スチレン系樹脂(a)と前記HIPS樹脂(b)の合計量を100質量部としたとき、前記スチレン系樹脂組成物中の前記HIPS樹脂(b)由来のゴム状弾性体量が0.025質量部〜0.5質量部である、スチレン系樹脂組成物。 - 前記不飽和カルボン酸系単量体がメタクリル酸である、請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記HIPS樹脂(b)中の前記ゴム状弾性体の含有量が5〜15質量%であり、前記ゴム状弾性体の平均粒子径が0.2〜5.0μmである、請求項1または2に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記HIPS樹脂(b)におけるHIPSのマトリックスが、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、屈折率が1.535〜1.575である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記スチレン系樹脂(a)と前記HIPS樹脂(b)の合計100重量部に対し、シリコーンオイルをケイ素量で0.5〜200.0質量ppm含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物から構成される、シート。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物から構成される、押出シート。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物から構成される、二軸延伸シート。
- 請求項6〜8のいずれか一項に記載のシートから構成される、成形品。
- 請求項6〜8のいずれか一項に記載のシートから構成される、容器。
- 請求項6〜8のいずれか一項に記載のシートから構成される、食品包装用容器の蓋。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物から構成される、射出成形品。
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