JP2022140406A - スチレン系樹脂組成物、押出シート及び容器 - Google Patents

スチレン系樹脂組成物、押出シート及び容器 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、透明性、剛性、耐熱油性、外観に優れたスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂を含むスチレン系樹脂組成物を提供する。【解決手段】スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と、スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)と、炭素原子数10以上の1価アルコール(C)を有するスチレン系樹脂組成物であって、前記(A)と前記(B)の合計を100質量部としたときに、前記(A)の含有量が50~98質量部、前記(B)の含有量が2~50質量部、前記(C)の含有量が0.01~1.0質量部であり、(A)全体に対して、スチレン系単量体単位の含有量が60~98質量%、不飽和カルボン酸単量体単位の含有量が2~40質量%であり、(B)全体に対して、スチレン系単量体単位の含有量が50~95質量%、不飽和ニトリル単量体単位の含有量が5~50質量%である、スチレン系樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本開示は、スチレン系樹脂組成物、並びに該スチレン系樹脂組成物を用いて成形される非発泡及び発泡の押出シート、及び該押出シートを2次成形してなる弁当容器の蓋材に関する。
スチレン-メタクリル酸共重合樹脂等に代表されるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂は、耐熱性、透明性、剛性、外観に優れ、且つ安価なことから、弁当、惣菜等の食品容器の包装材料、住宅の断熱材用の発泡ボード、拡散剤を入れた液晶テレビの拡散板等に広く用いられている。特に近年のコンビニエンスストアー等の業務用に使用する高出力電子レンジの普及により、高出力電子レンジでの調理時の温度にも耐えられる容器及びその容器を密封又は覆う蓋材に使用する材料として、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂が用いられている。
しかしながら特に食品と直接接触することを前提とする透明容器において、従来のスチレン-不飽和カルボン酸樹脂ではレンジで加熱された食品に由来する高温の油によって樹脂が侵され、透明容器の割れや白化を招くことから、食用油に対する耐性が求められている。特許文献1にはスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂のアロイにより耐薬品性を向上する手法が記載されている。
特開平3-217446号公報
上記の特許文献1の技術では、耐熱性、剛性、耐熱油性には優れるものの、透明性、外観が不十分であった。そこで、本発明が解決する課題は、耐熱性及び剛性を低下させることなく、透明性、耐熱油性に優れたスチレン系樹脂組成物を提供することである。また、本発明が解決する別の課題は、耐熱性、透明性、剛性、耐熱油性及び外観に優れた、スチレン系樹脂組成物を用いた、押出シート(二軸延伸シートを含む。)、当該押出シートを2次成形してなる容器及び蓋材を提供することである。
本発明者は、上記問題点に鑑みて鋭意研究を進めた結果、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)からなるスチレン系樹脂組成物に炭素原子数10以上の1価アルコール(C)を少量加えることにより耐熱性及び剛性を低下させることなく、透明性、耐熱油性に優れたスチレン系樹脂組成物及びそれを用いた、耐熱性、透明性、剛性、耐熱油性及び外観に優れた、押出シート、さらにその押出シートを2次成形してなる容器及び蓋材の実現に成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]スチレン系単量体単位(1)及び不飽和カルボン酸単量体単位(a1)を含む、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と、
スチレン系単量体単位(2)及び不飽和ニトリル単量体単位を含む、スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)と、
炭素原子数10以上の1価アルコール(C)と、を有するスチレン系樹脂組成物であって、
前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の合計を100質量部としたときに、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の含有量が50~98質量部、前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の含有量が2~50質量部、前記炭素原子数10以上の1価アルコール(C)の含有量が0.01~1.0質量部であり、
前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)全体に対して、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)中の前記スチレン系単量体単位(1)の含有量が60~98質量%、前記不飽和カルボン酸単量体単位(a1)の含有量が2~40質量%であり、
前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)全体に対して、前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)中の前記スチレン系単量体単位(2)の含有量が50~95質量%、前記不飽和ニトリル単量体単位の含有量が5~50質量%である、スチレン系樹脂組成物。
[2]前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)が、スチレン系単量体単位(1)と、不飽和カルボン酸単量体単位(a1)と不飽和カルボン酸エステル単量体単位とを含有し、
前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)全体に対して、前記スチレン系単量体単位(1)の含有量が60~98質量%であり、前記不飽和カルボン酸単量体単位(a1)の含有量が2~20質量%であり、前記不飽和カルボン酸エステル単量体単位の含有量が0~20質量%である、前記[1]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[3]前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、アクリル樹脂(D)をさらに0.5~30質量部さらに含む、前記[1]又は[2]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[4]前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、スチレンオリゴマー(E)を0.08~1.0質量部さらに含む前記[1]~[3]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[5]前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、ゴム変性スチレン系樹脂(F)を0.5~3質量さらに含み、前記ゴム変性スチレン系樹脂(F)に由来する共役ジエン単量体単位の含有量がスチレン系樹脂組成物全体に対し、0.03~0.50質量%である、前記[1]~[4]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[6]ビカット軟化温度が105℃以上である、前記[1]~[5]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[7]前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との質量比(A)/(B)の値が3.7~30.0である前記[1]~[6]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[8]前記[1]~[7]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を有する、1軸延伸及び2軸延伸の非発泡押出シート。
[9]前記[1]~[8]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を有する、発泡押出シート。
[10]前記[8]の非発泡押出シート又は前記[9]に記載の発泡押出しシートを用いて形成されてなる、2次成形品。
[11]前記[8]に記載の非発泡押出シートを2次成形して形成されてなる、電子レンジ調理可能な弁当容器の蓋材。
[12]前記[1]~[7]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を有する、成形品。
本開示によれば、耐熱性及び剛性を低下させることなく、透明性と、耐熱油性とに優れたスチレン系樹脂組成物を提供することができる。
本開示によれば、耐熱性、透明性、剛性、耐熱油性、外観に優れた、二軸延伸シート、発泡押出しシート、非発泡の押出しシート及び電子レンジ調理可能な弁当容器の蓋材を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[スチレン系樹脂組成物]
本実施形態の一態様は、スチレン系単量体単位(1)及び不飽和カルボン酸単量体単位(a1)を含むスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と、スチレン系単量体単位(2)及び不飽和ニトリル単量体単位を含むスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)と、炭素原子数10以上の1価アルコール(C)と、を含有するスチレン系樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ということもある)である。そして、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)及び前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の合計を100質量部としたときに、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の含有量が50~98質量部、前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の含有量が2~50質量部、前記炭素原子数10以上の1価アルコール(C)の含有量が0.01~1.0質量部である。
「スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)」
本実施形態におけるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)は、スチレン系単量体単位(1)と不飽和カルボン酸単量単位(a1)とを必須成分としてなる共重合樹脂(以下単に樹脂(A)ともいう)であり、スチレン系樹脂組成物全体の耐熱性向上に寄与する。また、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)は、必要により、スチレン系単量体単位(1)及び不飽和カルボン酸単量単位(a1)の必須成分以外の単量体単位(例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位などの不飽和カルボン酸エステル単量体単位(a2)、あるいはその他単量体単位)をさらに有してもよい。スチレン系樹脂組成物中のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の含有量は50~98質量部であり、好ましくは60~97質量部、より好ましくは70~96質量部、更に好ましくは80~95質量部である。スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の含有量が50質量部以上にすることで耐熱性の付与効果を十分に得ることができ、98質量部以下にすることでスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)による耐油性の向上効果を十分に得ることができる。
<スチレン系単量体(1)>
本実施形態のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)において、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)全体に対して、前記スチレン系単量体単位(1)の含有量は60~98質量%であり、好ましくは70~97質量%、より好ましくは80~96質量%、より更に好ましくは82~95質量%である。スチレン系単量体単位(1)の含有量が60質量%より少ないと流動性の低下を招き、98質量%よりも多いと後述の不飽和カルボン酸単量体単位(a1)を所望量含有させにくくなり、不飽和カルボン酸単量体単位(a1)による耐熱性の向上効果が十分に得られない。
本実施形態において、スチレン系単量体(1)としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、パラメチルスチレン、オルトメチルスチレン、メタメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。特に工業的観点からスチレン及びα-メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。スチレン系単量体(1)としては、これらを単独又は2種以上混合して使用できる。
<不飽和カルボン酸単量体(a1)>
本実施形態のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)において、不飽和カルボン酸単量体単位(a1)は耐熱性を向上させる役割を果たす。前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)全体に対して、前記不飽和カルボン酸単量体単位(a1)の含有量は2~40質量%であり、好ましくは3~30質量%、より好ましくは4~20質量%、より更に好ましくは5~16質量%、より更に好ましくは6~13質量%の範囲である。不飽和カルボン酸単量体単位(a1)の含有量が2質量%未満では耐熱性向上の効果が不十分である。また、不飽和カルボン酸単量体単位(a1)の含有量が40質量%を超える場合は、樹脂中のゲル化物が増加、吸水率上昇による成形時の気泡発生、製造時に粘度が高くなりすぎるため好ましくない。
上記不飽和カルボン酸単量体(a1)としては、アクリル酸、又はメタクリル酸が挙げられる。特に工業的観点から不飽和カルボン酸単量体(a1)としては、これらを単独又は2種以上混合して使用してもよい。不飽和カルボン酸単量体(a1)は、耐熱性向上効果の大きいメタクリル酸が特に好ましい。
<不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)>
本実施形態のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)は、不飽和カルボン酸エステル単量体単位(a2)をさらに含有する多元重合体であってもよい。すなわち、本実施形態のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)は、スチレン系単量体(1)及び不飽和カルボン酸単量体(a1)のほかに不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)と共重合してもよい。これにより、表面硬度の向上、及び機械強度の向上の効果がさらに得られる。また、ポリマー連鎖中で(メタ)アクリル酸エステル単量体単位等の不飽和カルボン酸エステル単量体単位(a2)が(メタ)アクリル酸単位等の不飽和カルボン酸単量体単位(a1)と隣り合わせに配置されると不飽和カルボン酸同士の架橋反応を抑制するなどの効果が得られる。本実施形態におけるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)が、スチレン系単量体単位(1)、不飽和カルボン酸単量体単位(a1)、及び不飽和カルボン酸エステル単量体単位(a2)を有する場合、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)全体に対して、不飽和カルボン酸エステル単量体単位(a2)の含有量は0~20質量%が好ましく、より好ましくは0.1~17質量%、更に好ましくは0.5~15質量%、より更に好ましくは2~13質量%である。不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)の含有量を20%以下に抑えることで、成形加工時の流動性に優れた組成物を得ることができる。
本実施形態において、不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)は、以下の一般式(1)
Figure 2022140406000001
(上記一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、Rはエステル置換基を表わし、炭素原子数1~12のアルキル基を表す。)で表されることが好ましい。
本実施形態において、不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)のエステル置換基(上記一般式(1)中のR)の炭素原子数としては10以下が好ましく、より好ましくは8以下、より更に好ましくは4以下である。10を上回ると耐熱性低下の効果が大きく、好ましくない。
本実施形態における不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル等が挙げられる。これらは単独で又は混合して使用することができる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、工業的に入手し易い点から(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸ブチルが好ましく、耐熱性低下を抑えられる点からメタクリル酸メチルが特に好ましい。
<その他単量体(a3)>
本実施形態におけるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)は、上述した、スチレン系単量体単位(1)及び不飽和カルボン酸単量体単位(a1)、並びに任意成分である不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)以外のその他単量体単位(a3)をさらに有してもよい。すなわち、本実施形態において、当該その他単量体単位(a3)は、スチレン系単量体(1)、不飽和カルボン酸単量体(a1)、不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)と共重合可能であれば発明の効果を損なわない範囲で、特に制限されることなく、上記に示した2つの単量体以外の単量体と共重合してよい。例えば上記に示した3つの単量体以外のその他単量体(a3)としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、マレイミド、及び核置換マレイミド等が挙げられる。
本実施形態におけるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)中の、スチレン系単量体単位(1)、不飽和カルボン酸単量体単位(a1)、不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)、及びその他単量体単位(a3)の含有量は、熱分解GC/MSを用いて各単量体単位が既知の樹脂により作成した検量線により定量することができる。
本実施形態におけるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の200℃でのメルトフローレートは、好ましくは0.3~3.0、より好ましくは0.4~2.5、更に好ましくは0.4~2.0であることができる。上記メルトフローレートが0.3以上である場合、流動性の観点で好ましく、3.0以下である場合、樹脂の機械的強度の観点で好ましい。本開示で、メルトフローレートは、ISO 1133に準拠して、200℃、荷重49Nにて測定される値である。
本実施形態におけるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、10万~40万であることが好ましく、更に好ましくは12万~32万である。当該重量平均分子量が10万~35万である場合、衝撃強度と流動性とのバランスの実用性に優れる樹脂が得られる。重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィーによりポリスチレン標準換算で測定できる。スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、4万~15万であることが好ましく、更に好ましくは5万~12万である。
本実施形態におけるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)のビカット軟化温度は、好ましくは105~140℃、より好ましくは107~135℃、更に好ましくは108~130℃、より更に好ましくは115℃~125℃である。スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)のビカット軟化温度を105℃以上にすることで、組成物の耐熱性向上効果を得ることができ、140℃以下にすることでスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)と混練しやすくなる。本明細書中におけるビカット軟化温度の測定方法はISO 306に準拠して測定したものである。
<スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の製造方法>
本実施形態のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の製造法について以下説明する。
本実施形態のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の製造法は、スチレン系単量体(1)と、不飽和カルボン酸単量体(a1)と、必要に応じて不飽和カルボン酸エステル単量体(a2)と、溶媒と、を混合して混合溶液を調製する工程と、前記混合溶液を重合して反応生成物を生成する重合工程と、前記反応生成物を回収する工程とを含むことが好ましい。
スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の重合方法としては、特に制限はないが、例えばラジカル重合法、その中でも、塊状重合法又は溶液重合法を好ましく採用できる。
具体的には、重合方法は、主に、重合原料(単量体成分)を重合させる重合工程と、重合生成物から未反応の単量体、重合溶媒等の揮発分を除去する脱揮工程と、を備える。
本実施形態において、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)を得るために重合原料を重合させる際には、重合原料組成物中に、典型的には重合開始剤を含有させる。重合開始剤としては、有機過酸化物、例えば、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート等のペルオキシケタール類、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類、t-ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル類、アセチルアセトンペルオキシド等のケトンペルオキシド類、t-ブチルヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。分解速度と重合速度との観点から、なかでも、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンが好ましい。
本実施形態において、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の重合時には必要に応じて連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤の例としては、例えば、αメチルスチレンリニアダイマー、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン等を挙げることができる。
上記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の重合方法としては、重合溶媒を用いた溶液重合を採用できる。重合溶媒としては、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等の芳香族溶媒が好ましく、必要に応じてアルコール類又はケトン類などの極性溶媒を組み合わせてスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の溶解性を調整した溶媒系を用いてもよい。
本実施形態において、重合溶媒は、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)を構成する全単量体100質量部に対して、3~35質量部の範囲で使用するのが好ましく、より好ましくは5~30質量部の範囲である。前記全単量体100質量部に対して重合溶媒35質量部を超えると、重合速度が低下し、且つ得られる樹脂分子量も低下するので、樹脂の機械的強度が低下する傾向がある。また、重合溶媒が3質量部未満では重合時に除熱の制御が難しくなる恐れがある。全単量体100質量部に対して3~35質量部の割合で添加しておくことが、品質が均一化し易く、重合温度制御の点でも好ましい。
また、炭素原子数10以上の1価アルコール(C)を重合系から添加する場合は、全重合溶媒100質量%に対して、1~10質量%の割合で添加することが好ましい。
本実施形態におけるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)を得るための重合工程で用いる装置は、特に制限はなく、一般的なスチレン系樹脂の重合方法に従って適宜選択すればよい。例えば、塊状重合による場合には、完全混合型反応器を1基、又は複数基連結した重合装置を用いることができる。また脱揮工程についても特に制限はなく、塊状重合で行う場合、最終的に未反応モノマーが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下になるまで重合を進め、かかる未反応モノマー等の揮発分を除去するために、既知の方法にて脱揮処理する。例えば、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機等の通常の脱揮装置を用いることができるが、滞留部の少ない脱揮装置が好ましい。なお、脱揮処理の温度は、通常、190~280℃程度であり、分解抑制の観点から190~260℃がより好ましい。また脱揮処理の圧力は、通常0.13~4.0kPa程度であり、好ましくは0.13~3.0kPaであり、より好ましくは0.13~2.0kPaである。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して揮発分を除去する方法、及び揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去する方法が望ましい。
「スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)」
本実施形態におけるスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)は、スチレン系単量体単位(2)と不飽和ニトリル単量体単位とを必須成分としてなる共重合樹脂(以下単に樹脂(B)ともいう)であり、スチレン系樹脂組成物全体の耐油性向上に寄与する。また、スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)は、必要により、スチレン系単量体単位(2)及び不飽和ニトリル単量体単位の必須成分以外の単量体単位をさらに有してもよい。スチレン樹脂組成物中のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の含有量は2~50質量部であり、好ましくは3~40質量部、より好ましくは4~30質量部、更に好ましくは5~20質量部である。スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の含有量を2質量部より多くすることで耐油性の付与効果を十分に得ることができ、50質量部より少なくすることでスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)による耐熱性の向上効果を十分に得ることができる。
<スチレン系単量体(2)>
本実施形態のスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)において、前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)全体に対して、前記スチレン系単量体単位(2)の含有量は50~95質量%であり、好ましくは60~90質量%、より好ましくは70~85質量%、より更に好ましくは75~80質量%である。スチレン系単量体単位(2)の含有量が50質量%より少ないと流動性の低下を招き、95質量%よりも多いと後述の不飽和ニトリル単量体単位による耐油性の向上効果が十分に得られない。
本実施形態において、スチレン系単量体(2)としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、パラメチルスチレン、オルトメチルスチレン、メタメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。特に工業的観点からスチレン及びα-メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。スチレン系単量体(2)としては、これらを単独又は2種以上混合して使用できる。
本実施形態において、スチレン系樹脂組成物全体に含まれる、スチレン系単量体単位(1)及びスチレン系単量体単位(2)の合計総量は、スチレン系樹脂組成物全体を100質量%としたときに、55~85質量%であることが好ましく、60~83質量%であることがより好ましく、65~82質量%であることがさらに好ましい。
スチレン系樹脂組成物全体に占めるスチレン系モノマーの量が55質量以上であると剛性の観点で好ましく、スチレン系モノマーの量が85質量以下であると耐油性の観点で好ましい。
<不飽和ニトリル単量体>
本実施形態のスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)において、不飽和ニトリル単量体単位は耐油性を向上させる役割を果たす。前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)全体に対して、前記不飽和ニトリル単量体単位の含有量は5~50質量%であり、好ましくは10~40質量%、より好ましくは15~30質量%、より更に好ましくは20~25質量%の範囲である。この含有量が5質量%未満では耐油性向上の効果が不十分である。また、不飽和ニトリル単量体単位の含有量が50質量%を超える場合は、樹脂中のゲル化物が増加、吸水率上昇による成形時の気泡発生、透明性の低下等を引き起こす。
特に不飽和ニトリル単量体単位の含有量を20~25質量%の範囲にすることにより、より優れた耐油性と透明性の両立が可能なスチレン系樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態の不飽和ニトリル酸単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。特に工業的観点から不飽和ニトリル単量体としては、これらを単独又は2種以上混合して使用してもよい。不飽和ニトリル単量体は工業的に得やすく、安価な点からアクリロニトリルが特に好ましい。
<その他単量体(b1)>
本実施形態におけるスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)は、上述した、スチレン系単量体単位(2)及び不飽和ニトリル単量体単位以外のその他単量体単位(b1)をさらに有してもよい。すなわち、本実施形態において、当該その他単量体単位(b1)は、スチレン系単量体(2)、不飽和ニトリル単量体と共重合可能であれば発明の効果を損なわない範囲で、特に制限されることなく、上記に示した2つの単量体以外のその他単量体(b1)と共重合してよい。例えば上記に示した2つの単量体以外のその他単量体(b1)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、マレイミド、及び核置換マレイミド等が挙げられる。
本実施形態において、スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)中のスチレン系単量体単位(2)及び不飽和ニトリル単量体単位の合計含有量を100質量%としたときに、前記その他単量体単位(b1)の含有量は0~30質量%であることが好ましい。
本実施形態におけるスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)中の、スチレン系単量体単位(2)、不飽和ニトリル単量体単位、及びその他単量体単位(b1)の含有量は、熱分解GC/MSを用いて各単量体単位が既知の樹脂により作成した検量線により定量することができる。
本実施形態におけるスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の200℃でのメルトフローレートは、好ましくは0.3~4.0、より好ましくは0.4~3.0、更に好ましくは0.4~2.5であることができる。上記メルトフローレートが0.3以上である場合、流動性の観点で好ましく、4.0以下である場合、樹脂の機械的強度の観点で好ましい。本開示で、メルトフローレートは、ISO 1133に準拠して、200℃、荷重49Nにて測定される値である。
本実施形態おけるスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、5万~40万であることが好ましく、更に好ましくは7万~35万である。当該重量平均分子量が5万~35万である場合、衝撃強度と流動性とのバランスの実用性に優れる樹脂が得られる。重量平均分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィーによりポリスチレン標準換算で測定できる。
本実施形態におけるスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)のビカット軟化温度は、好ましくは99~110℃、より好ましくは100~108℃、更に好ましくは101~106℃、より更に好ましくは102℃~105℃である。スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)のビカット軟化温度を99℃以上にすることで、組成物の耐熱性低下を抑えることができ、110℃以下にすることでスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と混練しやすくなる。本明細書中におけるビカット軟化温度の測定方法はISO 306に準拠して測定したものである。
<スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の製造方法>
本実施形態のスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の製造法について以下説明する。
本実施形態のスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の製造法は、スチレン系単量体(2)と、不飽和ニトリル単量体と、必要に応じてその他単量体(b1)と、溶媒とを混合して混合溶液を調製する工程と、前記混合溶液を重合して反応生成物を生成する重合工程と、前記反応生成物を回収する工程とを含むことが好ましい。
スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の重合方法としては、特に制限はないが、例えばラジカル重合法、その中でも、塊状重合法又は溶液重合法を好ましく採用できる。
具体的には、重合方法は、主に、重合原料(単量体成分)を重合させる重合工程と、必要に応じて不飽和ニトリルを含む単量体を重合系にポスト添加する工程、重合生成物から未反応の単量体、重合溶媒等の揮発分を除去する脱揮工程とを備える。
本実施形態において、スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)を得るために重合原料を重合させる際には、重合原料組成物中に、典型的には重合開始剤を含有させる。重合開始剤としては、有機過酸化物、例えば、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート等のペルオキシケタール類、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類、t-ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル類、アセチルアセトンペルオキシド等のケトンペルオキシド類、t-ブチルヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。
本実施形態において、スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の重合時には必要に応じて連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤の例としては、例えば、αメチルスチレンリニアダイマー、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン等を挙げることができる。
上記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の重合方法としては、重合溶媒を用いた溶液重合を採用できる。重合溶媒としては、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等の芳香族溶媒が好ましく、必要に応じてその他溶媒を組み合わせてスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の溶解性を調整した溶媒系を用いてもよい。
本発明に係るスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)を得るための重合工程で用いる装置は、特に制限はなく、一般的なスチレン系樹脂の重合方法に従って適宜選択すればよい。例えば、塊状重合による場合には、完全混合型反応器を1基、又は複数基連結した重合装置を用いることができる。また脱揮工程についても特に制限はなく、塊状重合で行う場合、最終的に未反応モノマーが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下になるまで重合を進め、かかる未反応モノマー等の揮発分を除去するために、既知の方法にて脱揮処理する。例えば、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機等の通常の脱揮装置を用いることができるが、滞留部の少ない脱揮装置が好ましい。なお、脱揮処理の温度は、通常、190~280℃程度であり、分解抑制の観点から190~260℃がより好ましい。また脱揮処理の圧力は、通常0.13~4.0kPa程度であり、好ましくは0.13~3.0kPaであり、より好ましくは0.13~2.0kPaである。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して揮発分を除去する方法、及び揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去する方法が望ましい。
本実施形態において、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の質量比(A)/(B)の値が3.7~30.0であることが好ましく、より好ましくは3.8~27.0、更に好ましくは3.9~24.0、より更に好ましくは4.1~21.0、最も好ましくは4.2~18.0の範囲である。スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との質量比を表す[(A)/(B)]の値を3.7以上にすることでスチレン系樹脂組成物及び該組成物を成形してなる非発泡シート、発泡シートとそれら2次成形品に、耐熱油性を付与することができる。一方、30.0未満とすることで耐熱性と透明性を付与することができる。
「炭素原子数10以上の1価アルコール(C)」
本実施形態における炭素原子数10以上の1価アルコール(C)(以下単にアルコール(C)ともいう。)は、成形時のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)のゲル化を抑制し、良好な外観のスチレン系樹脂組成物及びスチレン系樹脂組成物からなる成形体の外観向上に寄与する。炭素原子数10以上の1価アルコール(C)の含有量は、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の合計を100質量部としたときに、0.01~1.0質量部であり、好ましくは0.03~0.8質量部、より好ましくは0.05~0.6質量部、より更に好ましくは0.07~0.5質量部である。炭素原子数10以上の1価アルコール(C)の含有量を0.01以上にすることで、成形加工時におけるスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)のゲル化を抑制することができ、1.0質量部以下にすることで耐熱性低下と臭気の発生を抑えることができる。炭素原子数10以上の1価アルコール(C)の含有量を0.07~0.5質量部にすることで特に耐熱性を低下させることなく、十分なゲル抑制効果を得られる。
炭素原子数10以上の1価アルコール(C)としては、水酸基を1つ含む炭素原子数10以上のアルコール類であり、炭素鎖中に酸素又は窒素などのヘテロ原子を含んでもよく、炭素鎖中に2重結合、3重結合、エステル結合、アミド結合など、単結合以外の結合を含んでもよい。炭素原子数としては16以上が好ましく、より好ましくは17以上、より更に好ましくは18以上50以下である。上記炭素原子数10以上の1価アルコール(C)は、スチレン系樹脂組成物又はスチレン系樹脂組成物からなる成形体に含有されていればよい。したがって、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)又はスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)を重合する際に使用する重合溶液中に炭素原子数10以上の1価アルコール(C)を存在(又は添加)させることにより、最終生成物である樹脂組成物中に1価アルコールを残留させてもよく、あるいはスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)を混錬する際に添加し押出機中で混合させることで含有させてもよい。
本実施形態において、炭素原子数10以上の一価アルコール(C)の沸点は、260℃以上が好ましく、更に好ましくは270℃以上、よりさらに好ましくは290℃以上である。アルコール類の沸点が260℃未満であると、揮発性が高くなり、成形時等に異臭が発生する傾向がある。
上記炭素原子数10以上の1価アルコール(C)としては、特に限定されないが、例えば、1-ヘキサデカノール、イソヘキサデカノール、1-オクタデカノール、5,7,7-トリメチル-2-(1,3,3-トリメチルブチル)-1-オクタノール、イソオクタデカノール、1-イソイソエイコサノール、8-メチル-2-(4-メチルヘキシル)-1-デカノール、2-ヘプチル-1-ウンデカノール、2-ヘプチル-4-メチル-1-デカノール、2-(1,5-ジメチルヘキシル)-(5,9-ジメチル)-1-デカノール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類等が挙げられる。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル類は以下の一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2022140406000002
(上記一般式(2)中、Rは炭素原子数12~20のアルキル基であり、Xはエチレンオキサイドの平均付加数を表し、1~15の整数である。)
好ましいアルコール(C)の具体的な製品名としては日産化学社製「ファインオキソコール180」や花王社製「エマルゲン109P」等が挙げられる。
「アクリル樹脂(D)」
本実施形態の好ましい態様として、スチレン系樹脂組成物はアクリル樹脂(D)(単に樹脂(D)ともいう)を含有することが好ましい。アクリル樹脂(D)を含有することにより、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との相容化材として機能することが確認されており、スチレン系樹脂組成物の透明性と機械強度の向上に寄与する。
本明細書におけるアクリル樹脂(D)とは(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d1)の含有量が60%以上である合成樹脂の総称である。
スチレン系樹脂組成物中におけるアクリル樹脂(D)の含有量としては前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の合計量を100質量部としたときに、0.5~30質量部が好ましく、より好ましくは1~25質量部、さらに好ましくは2~20質量部である。アクリル樹脂(D)の含有量を0.5質量部以上にすることで、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の相容化材として機能することができ、20質量部以下とすることで、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)によって向上した耐熱性の低下を抑えることができる。
<(メタ)アクリル酸エステル単量体(d1)>
本実施形態のアクリル樹脂(D)を構成する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d1)は、メタクリル酸エステル単量体単位及びアクリル酸エステル単量体単位を包含する。また、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d1)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸(n-ブチル)、アクリル酸(2-エチルヘキシル)、アクリル酸(n-オクチル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2-エチルヘキシル)、メタクリル酸(n-オクチル)、メタクリル酸ベンジル等が挙げられ、工業的に入手しやすく安価な点から、アクリル酸メチル、アクリル酸(n-ブチル)、メタクリル酸メチルが好ましい。
アクリル樹脂(D)を構成する単量体単位の組み合わせとしては耐熱性と熱分解性を両立する観点から、上記に挙げられている単量体単位のうち、メタクリル酸エステル種とアクリル酸エステル種を共重合したものが好ましい。
本実施形態のアクリル樹脂(D)において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d1)の含有量が60%以上であり、かつ前記アクリル樹脂(D)中のメタクリル酸エステル単量体単位(d1)の含有量は、アクリル樹脂(D)全体に対して50.0~99.5質量%であることが好ましく、より好ましくは60.0~99.0質量%、さらに好ましくは70.0~99.5質量%、より更に好ましくは85~98.0質量%である。メタクリル酸エステル単量体の含有量を50.0%以上にすることでスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と混合した際の大幅な耐熱低下を抑えることができ、99.5質量%以上になると、後述のアクリル酸エステル単量体単位を所望量含有させるのが難しくなり、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d1)による熱分解性の抑制と流動性付与の効果を得難くなってしまう。特に85.0~98.0質量%とすることで耐熱性に優れたアクリル樹脂を得ることができる。メタクリル酸エステル単量体の種類としては耐熱性と工業的に入手し易く安価なことからメタクリル酸メチルが好ましい。
本実施形態のアクリル樹脂(D)において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d1)の含有量が60%以上であり、かつ前記アクリル樹脂(D)中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は、アクリル樹脂(D)全体に対して0.5~50.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0~40.0質量%、更に好ましくは1.5~30.0質量%、より更に好ましくは15.0~2.0質量%である。アクリル酸エステル単量体単位の含有量を0.5質量%とすることで熱分解温度を向上することができ、300℃以下での他樹脂との混練押出や成形加工に耐えられるようになる。50.0質量%以下とすることで耐熱性の大幅な低下を抑制することができる。特に15.0~2.0質量%とすることで流動性と耐熱性のバランスに優れたアクリル樹脂(D)を得ることができる。アクリル酸エステル単量体の種類としては、工業的に入手し易い点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸(n-ブチル)が好ましく、耐熱性の観点からアクリル酸メチルが特に好ましい。
<その他単量体(d2)>
本実施形態のアクリル樹脂(D)は、上述した(メタ)アクリル酸エステル単量体単位以外のその他単量体単位をさらに有してもよい。すなわち、当該その他単量体単位は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(d1)と共重合可能であれば発明の効果を損なわない範囲で、特に制限されることなく、上記に示した単量体以外の単量体と共重合してよい。例えば上記に示した単量体以外のその他単量体(d2)としては、スチレン、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、マレイミド、及び核置換マレイミド等が挙げられる。
アクリル樹脂(D)の重量平均分子量としては7~30万が好ましく、より好ましくは8~25万、さらに好ましくは8~25万、より更に好ましくは9~20万である。分子量がアクリル樹脂(D)の重量平均分子量が7万以上にすることでだとスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)とを相溶化させる効果を得ることができ、30万以下とすることでスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)及びスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との粘度差を抑えることができ、スチレン系樹脂組成物中にアクリル樹脂(D)が良好に分散することができ、かつアクリル樹脂(B)に由来する未溶融物の発生を抑制し、該組成物を用いて外観に良好な押出シートを得ることができる。
<アクリル樹脂(D)の製造方法>
本実施形態のアクリル樹脂(D)の製造方法は特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル酸エステル単量体と必要に応じてその他単量体を重合する塊状重合、溶媒を加えた溶液重合、あるいは水中に懸濁剤により有機層を分散させた懸濁重合などのプロセスにより製造することができる。
「スチレンオリゴマー(E)」
本実施形態の好ましい態様として、スチレン系樹脂組成物は、スチレンオリゴマー(E)を含有することが好ましい。スチレンオリゴマー(E)はスチレンの2量体及びスチレンの3量体の混合物である。スチレンオリゴマー(E)を含有することにより、スチレン系樹脂組成物全体の流動性向上効果が得られる。スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の合計を100質量部としたときに、スチレンオリゴマー(E)の含有量は、0.08~1.0質量部の範囲とすることが好ましい。0.08質量部以上にすることで流動性向上効果が得られ、1.0質量部以下にすることで耐熱性の低下を防ぐことができる。
「ゴム変性スチレン系樹脂(F)」
本実施形態の好ましい態様として、スチレン系樹脂組成物はゴム変性スチレン系樹脂(F)(単に樹脂(F)とも称する。)を含有することが好ましい。スチレン系樹脂組成物はゴム変性スチレン系樹脂(F)を適量含有することで、強度に優れたスチレン系樹脂組成物及び該組成物を成形してなる成形品を得られる。
本実施形態のゴム変性スチレン系樹脂(F)は、スチレン系単量体(3)と必要に応じてその他単量体(f1)からなる樹脂のポリマーマトリックス中に、ゴム状重合体の粒子(=ゴム状重合体粒子)を分散して、当該ゴム状重合体の存在下でスチレン系単量体(3)を重合することにより得られる。
上記その他単量体(f1)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸(n-ブチル)、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸(n-ブチル)、メタクリル酸イソプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが挙げられるが、工業的に入手し易い点から、アクリル酸(n-ブチル)、メタクリル酸メチルが好ましい。
本実施形態のスチレン系組成物中におけるゴム変性スチレン系樹脂(F)の含有量は、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、0.4~8.0質量部が好ましく、より好ましくは0.6~5.0質量部、より更に好ましくは0.7~4.0質量部である。ゴム変性スチレン系樹脂(F)の含有量を0.4~8.0質量部の範囲とすることにより、透明性と強度に優れた組成物を得ることができる。
なお、本実施形態のスチレン系単量体(3)は、上述したスチレン系単量体(1)と同様であるためその記載内容を援用する。
<ゴム状重合体粒子>
本実施形態において、ゴム変性スチレン系樹脂(F)中のゴム状重合体粒子を構成するゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体などが使用できるが、工業的観点から、ポリブタジエン及びスチレン-ブタジエン共重合体が好ましい。ポリブタジエンには、シス含有率の高いハイシスポリブタジエン、シス含有率の低いローシスポリブタジエン、又はこれらの両方を用いることができるが、工業的扱いやすさの観点からローシスポリブタジエンが好ましい。スチレン-ブタジエン共重合体の構造としては、ランダム構造であってもよく、ブロック構造であってもよく、これらの組合せであってもよい。これらのゴム状重合体は、一種を単独で用いてもよく、又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。ブタジエン系ゴムを水素添加した飽和ゴムを使用することもできる。
本実施形態におけるゴム状重合体粒子は、当該ゴム状重合体の分散粒子(ゴム状重合体粒子)中に、スチレン系単量体単位(3)又は当該スチレン系単量体単位(3)を含む重合体を内包していることが好ましい。当該内包の形態としては、スチレン系単量体単位(3)を有する重合体をコアとし、ゴム状重合体をシェルとするコアシェル型の分散粒子、あるいは、スチレン系単量体単位(3)を有する重合体のドメイン相を複数ゴム状重合体が内包した、いわゆるサラミ構造型の分散粒子であってもよい。
<共役ジエン単量体単位の含有量>
本実施形態において、ゴム状重合体粒子は、共役ジエン単量体から形成されることが好ましい。本願明細書において共役ジエン単量体単位とは、上記ゴム状重合体粒子を構成する単量体単位のうち、一対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエンなどが挙げられ、ゴム変性スチレン系樹脂(E)及びスチレン系樹脂組成物中の共役ジエン単量体単位の含有量は、後述の実施例の項に記載する手順、又はこれと等価な方法で測定することができる。
本実施形態において、ゴム変性スチレン系樹脂(F)中の共役ジエン単量体単位の含有量は、ゴム変性スチレン系樹脂(F)全体に対して、好ましくは0.5~15.0質量%、より好ましくは1.0~13.0質量%である。
<ゴム状重合体粒子の平均粒子径>
本実施形態におけるゴム変性スチレン系樹脂(F)中のゴム成分であるゴム状重合体は、スチレン系樹脂組成物中にゴム状重合体の粒子として存在している。この場合のゴム状重合体粒子の平均粒子径は好ましくは0.3~5.0μm、より好ましくは0.5~4.0μm、更に好ましくは0.7~3.0μmである。ゴム変性スチレン系樹脂(F)はゴム状重合体粒子の存在下で撹拌機付きの反応器内でスチレン系単量体(3)を重合させて得られるが、ゴム状重合体粒子の平均粒子径は、撹拌機の回転数、用いるゴム状重合体の分子量などで調整することができる。本開示で、ゴム状重合体粒子の平均粒子径は透過型電子顕微鏡による断面観察画像から計測される値である。上記ゴム状重合体粒子は後述の二軸延伸シート中では延伸倍率によって引き延ばされ、粒子径は最大400%程度大きくなる。
本実施形態において、ゴム変性スチレン系樹脂(F)の200℃でのメルトフローレートは、好ましくは1.0~10.0g/10分、より好ましくは2.0~8.0g/10分、更に好ましくは2.5~7.0g/10分である。上記メルトフローレートが1.0~10.0g/10分の範囲であれば、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)及びスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との混合性が良く、また機械的強度も良好である。本開示で、メルトフローレートは、ISO 1133に準拠して、200℃、荷重49Nにて測定される値である。
<ゴム変性スチレン系樹脂(F)の製造方法>
ゴム変性スチレン系樹脂(F)の製造方法は特に制限されるものではないが、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体(3)と必要に応じてその他単量体、及び溶媒を重合する塊状重合(若しくは溶液重合)、反応途中で懸濁重合に移行する塊状-懸濁重合、あるいはゴム状重合体であるラテックス粒子の存在下、スチレン系単量体(3)を重合する乳化グラフト重合にて製造することができる。塊状重合においては、ゴム状重合体、スチレン系単量体、並びに必要に応じてその他単量体や有機溶媒、有機過酸化物、及び/又は連鎖移動剤を添加した混合溶液を、完全混合型反応器又は槽型反応器と、複数の槽型反応器とを直列に連結し構成される重合装置に連続的に供給することにより製造することができる。
「高級脂肪酸系界面活性剤」
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、任意添加成分を含んでもよい。当該任意添加成分としては、高級脂肪酸系界面活性剤及び添加剤からなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。
本実施形態の好ましい態様として、スチレン系樹脂組成物は、高級脂肪酸系界面活性剤を含有することが好ましい。高級脂肪酸系界面活性剤の添加により、シートのブロッキング防止効果が得られるほか、適度に添加することにより、樹脂組成物の混練時にペレット同士のトルク低減に寄与するスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の合計を100質量部としたときに、高級脂肪酸系界面活性剤の含有量としては0.002~0.1質量部の範囲とすることが好ましい。上記効果が得られ、0.1質量部以下にすることでスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)のゲル化剤として寄与してしまうことを防ぐことができる。
高級脂肪酸系界面活性剤の添加方法としては各樹脂の重合時に添加しても、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)とスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の混練時に追加で練り込んでも良い。
高級脂肪酸系界面活性剤としては特に限定されるものではないが、例えばステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、エチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられるが、中でもエチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
「その他の成分」
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、上記成分以外に、スチレン系樹脂において使用が一般的な各種添加剤を、公知の作用効果を達成するために添加し、スチレン系樹脂組成物とすることもできる。例えば安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、又は鉱油等があげられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン無水マレイン酸変性樹脂、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチルブロック共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸(2-エチルヘキシル)ブロック共重合体、スチレン-ブタジエンブロック共重合体などのエラストマーや、MBS樹脂等の補強材についても物性を損なわない範囲で添加してもよい。配合の方法については特に規定はないが、例えば、重合時に添加して重合する方法、又は重合後溶融混練する前に、ブレンダーであらかじめ添加剤を混合し、その後、押出機又はバンバリーミキサー等にて溶融混錬する方法等が挙げられる。
本実施形態において、上述のようスチレン系樹脂組成物には各種添加剤を添加させることができるが、スチレン樹脂組成物中のスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)及び前記ゴム変性スチレン系樹脂(F)の合計含有量は、特に限定されないが95質量%以上であることが好ましく、より好ましくは97質量%であり、さらに好ましくは99質量%以上である。
[スチレン系樹脂組成物の好ましい態様]
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)とを有し、かつ樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、70~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは80~95質量%でありうる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)と任意添加成分を有し、かつ樹脂(A)、樹脂(B)及び任意添加成分の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、75~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは80~95質量%でありうる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)とアルコール(C)とを有し、かつ樹脂(A)、樹脂(B)及びアルコール(C)の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、70~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは80~95質量%でありうる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)とアルコール(C)と任意添加成分とを有し、かつ樹脂(A)、樹脂(B)、アルコール(C)及び任意添加成分の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、75~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは85~97質量%でありうる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)と樹脂(D)とを有し、かつ樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(D)の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、70~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは80~95質量%でありうる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)と樹脂(D)と任意添加成分とを有し、かつ樹脂(A)、樹脂(B)、樹脂(D)及び任意添加成分の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、75~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは85~97質量%でありうる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)とスチレンオリゴマー(E)とを有し、かつ樹脂(A)、樹脂(B)及びスチレンオリゴマー(E)の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、70~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは80~95質量%でありうる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)とスチレンオリゴマー(E)と任意添加成分とを有し、かつ樹脂(A)、樹脂(B)、スチレンオリゴマー(E)及び任意添加成分の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、75~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは85~97質量%でありうる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)と樹脂(F)とを有し、かつ樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(F)の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、70~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは80~95質量%でありうる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、樹脂(A)と樹脂(B)と樹脂(F)と任意添加成分とを有し、かつ樹脂(A)、樹脂(B)、樹脂(F)及び任意添加成分の合計含有量が、スチレン系樹脂組成物全体に対して、75~100質量%占めることが好ましく、より好ましくは85~97質量%でありうる。
[スチレン系樹脂組成物の物性]
以下に本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物の物性について述べる。
「ビカット軟化温度」
本実施形態において、スチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度は105℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上、より更に好ましくは115℃以上である。当該ビカット軟化温度を105℃以上とすることにより、一般の500W前後の電子レンジにおける加熱調理に適用可能なシート、容器が得られ、115℃以上にすることでコンビニエンスストアーなどに置かれる1000W以上の業務用高出力電子レンジでの加熱料理にも耐えることができる。当該ビカット軟化温度は、ISO306に準拠して、荷重50N、昇温速度50℃/hの条件で測定することができる。
「メルトマスフローレート」
本実施形態において、スチレン系樹脂組成物の200℃でのメルトフローレートは0.3~2.0g/10分の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.4~1.5g/10分であり、さらに好ましくは0.5~1.0g/10分である。メルトフローレートを0.3g/10分以上にすることにより、良好な成形性が得られ、2.0g/10分以下にすることにより、強度に優れた樹脂を得ることができる。
「共役ジエン単量体単位の含有量」
本実施形態において、スチレン系樹脂組成物中に含まれるゴム変性スチレン系樹脂(E)に由来する共役ジエン単量体単位の含有量は、スチレン系樹脂組成物全体に対し、0.03~0.50質量%が好ましく、より好ましくは0.06~0.40質量%、より更に好ましくは0.09~0.30質量%である。共役ジエン単量体単位の含有量を0.03~0.50質量%の範囲とすることにより、透明性と強度のバランスに優れた組成物を得ることができる。
「スチレン成分量と不飽和アクリル酸成分量」
本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物は、スチレン成分及び不飽和アクリル酸系成分を含有する。ここでいうスチレン成分とは、スチレン系単量体(単位)(1)、スチレン系単量体(単位)(2)、その他の単量体(d2)として含まれうるスチレン単量体(単位)、スチレンオリゴマー(E)中のスチレン単量体(単位)及びスチレン系単量体(単位)(3)を含む。
一方、不飽和アクリル酸系成分とは、不飽和アクリル酸単量体(単位)(a1)、不飽和アクリル酸エステル単量体(単位)(a2)、その他単量体(b1)として含まれうる(メタ)アクリル酸エステル単量体(単位)、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d1)及びその他単量体(f1)を含む。
本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂組成物全体(100質量%)に対して、スチレン成分は55~85質量%含有することが好ましく、60~83質量%含有することがより好ましく、65~80質量%であることがさらに好ましい。
55~85の範囲であると流動性、耐熱油性に優れた組成物を得ることができる。
本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂組成物全体(100質量%)に対して、不飽和アクリル酸系成分は10~45質量%含有することが好ましく、15~40質量%含有することがより好ましい。
10~45の範囲であると強度、耐熱油性、流動性に優れた組成物を得ることができる。
「(メタ)アクリル酸エステル系成分量」
本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル系成分を含有する。(メタ)アクリル酸エステル系成分とは、不飽和アクリル酸エステル単量体(単位)(a2)、その他単量体(b1)として含まれうる(メタ)アクリル酸エステル単量体(単位)、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d1)及びその他単量体(f1)を含む。本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂組成物全体(100質量%)に対して、(メタ)アクリル酸エステル系成分を9質量%超~50質量%未満含有することが好ましく、より好ましくは9.2質量%超~45質量%未満、更に好ましくは9.4質量%超~40質量%未満の範囲である。9質量%超~50質量%未満含有することで透明性に優れた組成物を得ることができる。
「不飽和ニトリル系成分量」
本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物は、不飽和ニトリル系成分を含有する。不飽和ニトリル系成分とは、前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)に含有される不飽和ニトリル単量体(単位)のほかに、その他単量体(d2)及びその他単量体(f1)として含まれる不飽和ニトリル単量体(単位)を含む。本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂組成物全体(100質量%)に対して、不飽和ニトリル系成分を0.01質量%超~5質量%未満含有することが好ましく、より好ましくは0.5質量%超~4.8質量%未満、更に好ましくは0.8質量%超~4.6質量%未満、更に好ましくは1.0質量%超~4.4質量%未満、より更に好ましくは1.2質量%超~4.2質量%未満、最も好ましくは1.4質量%超~4.0質量%未満の範囲である。0.01質量%超~5質量%未満の範囲とすることで透明性に優れた組成物を得ることができ、特に0.8質量%超~4.6質量%未満とすることで透明性と耐熱油性に優れたスチレン系樹脂組成物をえることができる。
「2mmプレートヘイズ」
本実施形態において、スチレン系樹脂組成物から形成される2mmプレートにおけるヘイズ(曇り度)は、20%以下が好ましく、より好ましくは15%、より更に好ましくは10%以下である。特に10%以下とすることで、シートや容器に成形した際に透明性に非常に優れた成形物を得ることができる。
本実施形態において、2mmプレートの作製方法は、後述の実施例でも記載の通り、以下の条件下でスチレン系樹脂組成物を射出成形にて2mmプレートに成形している。
成形機:東芝機械社製 EC60N
シリンダー温度:220-240-220-200℃
計量:45mm
保圧切換:10mm
射出時間:10秒
冷却時間:15秒
射出速度:23mm/秒
保圧速度:23mm/秒
保圧時間:10秒
金型温度:45℃
[押出シート]
本開示の別の態様は、上述した本発明のスチレン系樹脂組成物を用いて形成されてなる押出シートを提供する。押出シートは非発泡及び発泡のいずれでもよい。押出シートの製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。非発泡押出シートの製造方法としては、Tダイを取り付けた短軸又は2軸押出成形機で、1軸延伸機又は2軸延伸機でシートを引き取る装置を用いる方法等を用いることができ、発泡押出シートの製造方法としては、Tダイ又はサーキュラーダイを備え付けた押出発泡成形機を用いる方法等を用いることができる。
「発泡押出シート」
本実施形態において、発泡押出シートを形成する場合、押出発泡時の発泡剤及び発泡核剤としては通常用いられる物質を使用できる。発泡剤としてはブタン、ペンタン、フロン、二酸化炭素、水等を使用することができ、ブタンが好適である。また発泡核剤としてはタルク等を使用できる。
本実施形態において、発泡押出シートは、厚み0.5mm~5.0mmであることが好ましく、見かけ密度50g/L~300g/Lであることが好ましく、また坪量80g/m~300g/mであることが好ましい。本発明の発泡押出シートは、例えばフィルムを更にラミネートすること等によって多層化してもよい。使用するフィルムの種類は、一般のポリスチレンに使用されるもので差し支えない。
「非発泡押出シート」
本実施形態において、非発泡シートの厚みは、例えば、0.1~1.0mm程度であることが剛性及び熱成形サイクルの観点から好ましい。また、一軸シートは、通常の低倍率のロール延伸のみで形成してもよく、二軸延伸シートは、ロールで流れ方向(MD)に1.3倍から7倍程度延伸した後、テンターで垂直方向(TD)に1.3倍から7倍程度延伸することが強度の面で好ましい。また、非発泡シートは、スチレン系樹脂組成物以外のポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂と多層化して用いてもよい。更にスチレン系樹脂以外の樹脂と多層化して用いてもよい。当該スチレン系樹脂以外の樹脂としては、PET樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。
<2軸延伸シート>
本開示の別の態様は、上述した本開示のスチレン系樹脂組成物を用いて形成されてなる2軸延伸シートである。2軸延伸シートの製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。2軸延伸シートは、ロールで流れ方向(MD)に延伸した後、テンターで垂直方向(TD)に延伸することで作製されるか、あるいはプレート状に成形したスチレン系樹脂組成物を、当該組成物のビカット軟化温度+10~40℃程度に加熱した状態でテンターにて逐次あるいは同時2軸延伸し作製してもよい。
本実施形態の2軸延伸シートの延伸倍率としてはMD方向に1.3~7.0倍、TD方向に1.3~7.0倍程度延伸することが強度の点で好ましい
本実施形態の2軸延伸シートの平均厚みは、シート及び容器の強度、特に剛性を確保するために、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上である。一方、経済性の観点から、0.7mm以下が好ましく、より好ましくは0.6mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
本実施形態の2軸延伸シートの縦方向及び横方向の配向緩和応力が0.4~1.3MPaの範囲であることが好ましい。配向緩和応力をこの範囲に調整することにより2軸延伸シートの成形品の強度を保つことができる。
本実施形態の2軸延伸シートを食品包装容器として用いた時、食品から揮発する水分による曇りを防止するため、公知の防曇剤を前記二軸延伸シートの少なくとも片面に塗布してもよい。当該防曇剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
上記防曇剤を本実施形態の2軸延伸シートに塗工する方法は特に限定されることはなく、簡便にはロールコーター、ナイフコーター、グラビアロールコーター等を用い塗工する方法が挙げられる。また、噴霧、浸漬等を採用することもできる。また塗布前にコロナ処理、オゾン処理、プライマー処理等によって表面処理をすることにより2軸延伸シート表面の濡れ性を向上した上で塗布しても良い。
[2次成形品]
本発明の別の態様は、上述した押出シートを用いて形成されてなる成形品を提供する。2軸延伸シート又はこれを含む多層体は、例えば真空成形により成形して弁当の蓋材又は惣菜等を入れる容器などを作製できる。特に電子レンジ加熱調理に対応した食品包装容器の透明蓋が本発明の特徴が十分に発揮されるため好ましい。
次に本発明を実施例及び比較例により詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における樹脂及び押出シート等の分析、評価方法は、下記の通りである。
[各樹脂及び樹脂組成物の特性評価]
(1)重量平均分子量の測定
実施例及び比較例で製造した各樹脂及び樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定した。
測定機器:東ソー製HLC―8220
分別カラム:東ソー製TSK gel Super HZM-H(内径4.6mm)を直列に2本接続
ガードカラム:東ソー製TSK guard column Super HZ-H
測定溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
試料濃度:測定試料5mgを10mLの溶媒に溶解し、0.45μmのフィルターでろ過を行った。
注入量:10μL
測定温度:40℃
流速:0.35mL/分
検出器:示差屈折率計
検量線の作成には東ソー製のTSK標準ポリスチレン11種類(F-850、F-450、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000)を用いた。1次直線の近似式を用いて検量線を作成した。
(2)メルトマスフローレート(MFR)の測定
実施例及び比較例で製造した各樹脂及び樹脂組成物のメルトマスフローレート(g/10分)を、ISO1133に準拠して、200℃、49Nの荷重条件にて測定した。
(3)ビカット軟化温度の測定
実施例及び比較例で製造した各樹脂及び樹脂組成物のビカット軟化温度をISO306に準拠して測定した。荷重は50N、昇温速度は50℃/hとした。ビカット軟化温度が105℃を超えるものがシート成形物、容器成形物をレンジ加熱する際に想定する温度下での寸法安定性に優れ、特に115℃を超えるものについては実用温度にてほとんど寸法変化しない傾向であった。
(4)スチレン系樹脂組成物中における炭素原子数10以上の1価アルコール(C)の含有量の測定
スチレン系樹脂組成物全体に対する炭素原子数10以上の1価アルコール(C)の含有量を、ガスクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定した。
試料調製:樹脂1.0gをメチルエチルケトン5mLに溶解後、更に標準物質としてp-ジエチルベンゼンを200μg/gになるように調整したヘキサン5mLを加えポリマー成分を再沈させ、上澄み液を採取し、測定液とした。
測定機器:Agilent社製 6850 シリーズ GCシステム
検出器:FID
カラム:DB-WAX
長さ:60m
膜厚:0.50μm
径:0.320mmφ
注入量:1μL
スプリット比:50:1
カラム温度:100℃で5分保持→10℃/分で130℃まで昇温→10℃/分で180℃まで昇温→180℃で10分保持→20℃/分で220℃まで昇温→220℃で10分保持
注入口温度:230℃
検出器温度:300℃
キャリアガス:ヘリウム
(5)スチレンオリゴマー(E)の含有量の測定
スチレンオリゴマー(E)の含有量を、ガスクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定した。
試料調製:測定対象となる樹脂又は樹脂組成物1.0gをメチルエチルケトン5mLに溶解後、更に標準物質としてp-ジエチルベンゼンを200μg/gになるように調整したヘキサン5mLを加えポリマー成分を再沈させ、上澄み液を採取し、測定液とした。
測定機器:Agilent社製 6850 シリーズ GCシステム
検出器:FID
カラム:HP-10(長さ30m、膜厚0.25μm、径0.320mmφ)
注入量:1μL(スプリットレス)
カラム温度:40℃で2分保持→20℃/分で320℃まで昇温→320℃で15分保持
注入口温度:250℃
検出器温度:280℃
キャリアガス:ヘリウム
(6)各単量体単位の含有量の測定
以下の条件にて熱分解GC/MSにて実施例及び比較例で調製した樹脂組成物中に含まれる共役ジエン単量体単位の含有量の測定を行なった。
試料調製:実施例及び比較例で調製した樹脂組成物をクロロホルムに5質量%で溶解し、20μLをサンプルカップに滴下し、80℃で24時間真空乾燥した。
測定条件
熱分解ユニット
機器 :フロンティアラボ製 PY-3030D
加熱炉温度 :600℃
GC
機器 :島津製作所製 GCMS-GP2020NX
カラム :Ultra Alloy-5
(長さ30m、膜厚0.25μm、径0.250mmφ)
カラム温度 :50℃に5分間保持し、10℃/分で昇温させ、100℃からは7℃/分で昇温させ、300℃で10分間保持した。
注入口温度 :300℃
検出器温度 :300℃
スプリット比 :1/30
キャリアガス :ヘリウム
検出方法 :質量分析計(MSD)
なお、各添加剤の検出に際し、ピークの重なりや、ピーク強度の飽和を避けるため、適宜サンプルの希釈率等の前処理や、使用するカラムや、検出条件を適宜調整してもよい。
(7)ゴム変性スチレン系樹脂(E)中のゴム粒子の平均粒子径
ゴム変性スチレン系樹脂(E)(いわゆるHIPS樹脂)中のゴム状重合体粒子の平均粒子径(μm)は、透過型電子顕微鏡による断面観察によって観察された1000個のゴム状重合体粒子について、下記式(2):
平均粒子径=Σ(ni×Di)/Σ(ni×Di
{上記式(2)中、niは粒子径Diを有するゴム状重合体粒子の個数であり、Diはゴム状重合体粒子の長径と短径の平均値である。}
により計算した。
(8)2mmプレートのヘイズ(曇り度)測定
実施例及び比較例で製造した各樹脂組成物を射出成形にて2mmプレートに成形し、日本電色工業社製曇り度計(NDH-2000)を用いてヘイズを測定、n3平均を値とした。
(9)耐熱油性の評価
実施例及び比較例で製造した各樹脂組成物を射出成形にて2.5mmプレートに成型し、該スチレン系樹脂組成物プレートを110℃のヤシ油(和光純薬製)に15分間浸漬後、日本電色工業社製曇り度計(NDH-2000)を用いてヘイズを測定し、浸漬前後におけるヘイズの変化(Δヘイズ)を、以下の式により算出し、以下の評価基準で耐熱油性を評価した。
Δヘイズ=試験後ヘイズ(%)-試験前ヘイズ(%)
評価基準
◎・・Δヘイズが3%以下
〇・・Δヘイズが3%より大きく10%以下
×・・Δヘイズが10%より大きい
[非発泡押出シートの特性]
(10)2軸延伸シートの耐熱油温度
実施例及び比較例で調製した各樹脂組成物を用いてシート成形した2軸延伸シートを10cm×1.5cmの短冊に切り出し、直径7.5cmの円筒の周方向に巻き付け、短冊の中央にMCTオイルを1cm径になるように塗布した後、所定の温度に昇温した恒温槽にて15分加熱した際に「割れ、白化」がみられない最大の温度を耐熱油温度とした。
(11)2軸延伸シートの強度測定
前項(10)にて作成した2軸延伸シートを8cm×8cmに切り出し、東洋精機製フィルムインパクトテスター(No.195)を用いてによりフィルムインパクトを測定、n8平均を値とした。
(12)2軸延伸シートの耐熱性
前項(10)にて作製した2軸延伸シートを10cm×1.5cmの短冊に切り出して、110℃に設定したオーブンに60分間入れた後、2軸延伸シートの変形を目視で観察し、熱変形から耐熱性について以下の評価をした。
具体的には、上記寸法変化は、以下の式(1)により、熱変形前後の10cmの長さの変化量を測定した。
式(1):寸法変化(%)=(オーブンに60分間入れた後の2軸延伸シートのMD方向の長さ-オーブンに入れる前の2軸延伸シートのMD方向の長さ)/オーブンに入れる前の2軸延伸シートのMD方向の長さ
〇:寸法変化1%以下
△:寸法変化1%以上3%以下
×:寸法変形3%以上
(13)2軸延伸シートの内部ヘイズ(曇り度)測定
前項(10)にて作成した2軸延伸シートを3cm×5cmに切り出し、表面粗度の影響を軽減する目的で、前記2軸延伸シートを流動パラフィンに浸漬し、日本電色工業社製曇り度計(NDH-2000)を用いてヘイズを測定、n3平均を値とした。
(14)非発泡押出シートの外観判定
実施例及び比較例で調製した各樹脂組成物を用いて、30mmφ短軸シート押出機で連続30分間、同樹脂組成物のシートを押出した後、厚さ0.3mmのシートから10cm×20cmの大きさのシートを5枚切り出し、シート5枚の表面の(長径+短径)/2の平均径が0.5mm以上の異物であるゲル物、気泡の個数を数え、以下の方法で外観判定とした。
○:ゲル物、気泡の個数が2点以下
△:ゲル物、気泡の個数が3~9点
×:ゲル物、気泡の個数が10点以上
[2軸延伸シートを2次成形してなる成形品の特性評価]
熱板成形機にて、熱板温度を145℃、加熱時間2.0秒の条件で、縦160×横140×高さ40mmの蓋を作製し、以下の評価に供した。
(15)電子レンジ加熱時の耐油性
上記蓋の中央部にMCTオイルを直径5mm程度の円形に塗布し、霧吹きで湿らせ、ポリ塩化ビニリデンフィルムで水分が蒸発しないように覆ったのち、1500Wの電子レンジで90秒間加熱下後、MCTオイル付着部分の様子を目視で評価した。
〇:変化無し
△:白化あり、破れなし
×:白化し、塗布部分が破れた
(16)透明性(成形後)
日本電色工業社製曇り度計(NDH-2000)を用いて成形品のヘイズを測定、n3平均を値で測定し、以下の基準にて評価した。
〇:ヘイズ2.0%以下
△:ヘイズ2.0%を超え~5.0%以下
×:ヘイズ5.0%を超える
(17)成形品強度
上記蓋中央部から縦80×横80mmの試験片を切り出し、東洋精機製フィルムインパクトテスター(No.195)を用いてによりフィルムインパクトを測定、n8平均を値とし、以下の観点で評価した。
〇:5.0kgf以上
×:5.0kgf未満
5.0kgf未満の容器では、運搬時の割れが発生する結果となった。
[各樹脂の調製及びスチレン系樹脂組成物の製造例]
以下各樹脂の調整とスチレン系樹脂組成物の具体的な製造方法について述べる。
「スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の製造例」
<樹脂a-1の調製>
スチレン65.5質量部、メタクリル酸メチル3.3質量部、メタクリル酸5.8質量部、エチルベンゼン14.9質量部、2-エチル-1-ヘキサノール2.5質量部及び1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.027質量部からなる重合原料組成液を、0.8リットル/時の速度で、容量が3.6リットルの完全混合型反応器に供給し、次に未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発成分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置へと連続的に供給した。完全混合反応器の重合温度は130℃とした。単軸押出機の温度を210~230℃、圧力を10torrに設定して、未反応モノマー及び重合溶媒等の揮発成分を脱揮した。脱揮された揮発成分を-5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収し、スチレン系樹脂は樹脂ペレットとして回収した。上述の分析法によって得られた樹脂a-1の物性を以下の表1に示す。
<樹脂a-2、a-3,a-4の調製>
各単量体のフィード量、重合条件を調整し、上記樹脂a-1同様の手順で樹脂a-2,a-3,a-4を表1に示す組成、物性にて得た。
<樹脂a-5の調製>
モノマーとしてスチレンのみを用いて、上記と同様の手順にてスチレン単独重合体としてa-5を表1に示す組成、物性にて得た。
「その他の成分(ST-MAH共重合体)」
スチレン無水マレイン酸変性樹脂として以下の性状のものを用いた。
組成(質量比):スチレン/無水マレイン酸=82/18
重量平均分子量Mz(GPC法):16.5万
ビカット軟化温度(ISO306準拠):128℃
Figure 2022140406000003
「実施例で使用した炭素原子数10以上の1価アルコール(C)」
本明細書の実施例において炭素原子数10以上の1価アルコール(C)として以下アルコール種を使用した。
1価アルコール(C-1)として、日産化学社製のファインオキソコール180(5,7,7-トリメチル-2-(1,3,3-トリメチルブチル)-1-オクタノールを使用した。
1価アルコール(C-2)として、花王社製のエマルゲン109P(ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテルモノアルコール)を使用した。
「スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の製造例」
<樹脂b-1の調整>
二段傾斜パドル型(傾斜角度45度)攪拌翼を備えた150Lの反応槽を用いてスチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)を製造した。アクリロニトリル13質量部、スチレン52質量部、溶媒としてトルエン35質量部、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.05質量部からなる混合物を、窒素ガスを用いてバブリングさせた後、上記反応槽にスプレーノズルを用いて連続的に37.5kg/hの速度で供給した。
反応槽内の重合温度は131℃とし、反応槽内での反応液の充満率が70容量%を維持できるように、供給液量と同量の反応液を連続的に抜き出した。反応槽の液相部相当部分には温調のためのジャケットが設けられ、ジャケット温度は128℃であった。
抜き出した反応液は、250℃、10mmHgの高真空に保たれた揮発分除去装置へ導入し、未反応単量体、有機溶剤を脱揮、生成した重合物をペレットとして回収し、樹脂b-1を表2に示す組成、物性にて得た。
<樹脂b-2,b-3の調製>
各単量体のフィード量、重合条件を調整し、上記樹脂b-1と同様の手順で樹脂b-2、b-3を表2に示す組成、物性にて得た。
Figure 2022140406000004
「ゴム変性スチレン系樹脂(F)の製造例」
<樹脂f-1の調製>
攪拌機を備えた層流型反応器3基(1.5リットル)を直列に連結し、その後に二段ベント付き押出機を配置した重合装置を用いて、ゴム変性スチレン系樹脂f-1(以下、樹脂f-1)を製造した。撹拌機付き原料タンクにスチレン83.5質量部、メタクリル酸メチル7.9質量部、エチルベンゼン10.0質量部、ゴム成分としてスチレン-ブタジエン共重合体の旭化成社製ローシスブタジエンゴムジエン35AEを6.5質量部、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.02質量部を投入、撹拌機でゴム成分を溶解後、この原料溶液を反応器に0.75リットル/hrの容量で供給し、第1段の反応機の温度を110~120℃、第2段の反応機の温度を120~130℃、第3段の反応機の温度140~150℃で重合を行った。また押出機温度は210~240℃、真空度は3kPa、最終反応器から出た重合液中の全固形分は70.5質量%であった。ゴム粒子径は第1段層流型反応機の撹拌機の回転数を150rpmに調整することで制御した。得られた樹脂f-1の組成、特性を表3に示す。
<樹脂f-2の調製>
モノマーとしてスチレン、アクリル酸(n-ブチル)を、ゴム成分としてスチレン-ブタジエン共重合体の旭化成社製アサプレン625Aを用いて、上記と同様の手順にてスチレン-(n-ブチル)アクリレート共重合体をマトリックス成分とする樹脂f-2を表2に示す組成、物性にて得た。
Figure 2022140406000005
「アクリル樹脂(D)の製造例」
<樹脂d-1の調製>
攪拌機を有する5L容器に水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、それらを混合・撹拌することで懸濁剤を調製した。次に60Lの反応器に水26kgを投入して80℃に昇温し、懸濁重合の準備を行った。80℃に達して恒温状態になったことを確認した後、重合原料としてメタクリル酸メチル1.52kg、スチレン0.28kg、無水マレイン酸0.16kg、ラウロイロパーオキサイド0.99g、n-オクチルメルカプタン4.93g、及び上記懸濁剤を投入した。その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、92℃で60分間温度を保持した。続いて50℃まで冷却した後、20質量%硫酸を投入して懸濁剤を溶解させた。次いでその重合反応溶液を60L反応器から取り出し、篩目開き1.7mmの篩にかけて巨大凝集物を除去した後、ブフナー漏斗にて水層と固形物とを分離し、ビーズ状ポリマーを得た。そのビーズ状ポリマーをブフナー漏斗上で、5回、約20Lの蒸留水で洗浄、脱水を繰り返した後、乾燥させ、単軸押出機を用いてペレタイズし、ペレット状樹脂として樹脂d-1を得た。
<樹脂d-2、d-3、d-4の調製>
各単量体のフィード量、重合条件を調整し、上記樹脂d-1と同様の手順で樹脂d-2、d-3、d-4を表4に示す組成、物性にて得た。
Figure 2022140406000006
「スチレン系樹脂組成物の製造例」
以下にスチレン系樹脂組成物の詳細な製造方法について示す。
<実施例1>
スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)として表1記載のa-1を95質量部、スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)として表2記載のb-1を5質量部、炭素原子数10以上の1価アルコール(C)としてファインオキソコール180を0.13質量部、及び表3記載のゴム変性スチレン系樹脂e-1を1.5質量部ドライブレンドし、芝浦機械社製二軸押出機TEM26SSを用いて混練押出、ペレタイズを経て、ペレット状樹脂としてスチレン系樹脂組成物を得た。スクリュー回転数150rpm、シリンダー温度は180~230℃、フィード量10kg/hとした。樹脂温度は250~260℃であった。
次に得られたペレットをプレス成形にて10cm×10cm×1.2mmのプレートに加工した。前記プレートを東洋精機製のバッチ2軸延伸機EX6-S1にてチャック間距離85mmに設定し、スチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度+20℃にて10分余熱後、250mm/minにてX軸倍率2.4、Y軸倍率2.4に延伸し、厚さ約0.2mmの2軸延伸シートを得た。得られた組成物及び2軸延伸シートの評価結果、及び成形品の評価結果を表5に示す。
<実施例2~20>
配合を表5のように変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び2軸延伸シートを得た。組成物及び2軸延伸シートの評価結果、及び成形品の評価結果を表5に示す。
Figure 2022140406000007
<比較例1~4>
配合を表6のように変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び2軸延伸シートを得た。組成物及び2軸延伸シートの評価結果、及び成形品の評価結果を表6に示す。
Figure 2022140406000008
本発明にて得られるスチレン系樹脂組成物は耐熱性、透明性、剛性、耐熱油性、外観に優れる。そのため本発明のスチレン系樹脂組成物は、押出成形でも非発泡シート又は発泡シート、それらを用いた食品包装容器、又は射出成形による成形品(電気製品部品、玩具、日用品、各種工業部品)などに幅広く使用可能で、特に冷凍輸送用の包装材において有用であり、産業界に果たす役割は大きい。

Claims (12)

  1. スチレン系単量体単位(1)及び不飽和カルボン酸単量体単位(a1)を含む、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と、
    スチレン系単量体単位(2)及び不飽和ニトリル単量体単位を含む、スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)と、
    炭素原子数10以上の1価アルコール(C)と、を有するスチレン系樹脂組成物であって、
    前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)の含有量が50~98質量部、前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)の含有量が2~50質量部、前記1価アルコール(C)の含有量が0.01~1.0質量部であり、
    前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)全体に対して、前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)中の前記スチレン系単量体単位(1)の含有量が60~98質量%、前記不飽和カルボン酸単量体単位(a1)の含有量が2~40質量%であり、
    前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)全体に対して、前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)中の前記スチレン系単量体単位(2)の含有量が50~95質量%、前記不飽和ニトリル単量体単位の含有量が5~50質量%である、スチレン系樹脂組成物。
  2. 前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)は、前記スチレン系単量体単位(1)と不飽和カルボン酸単量体単位(a1)と不飽和カルボン酸エステル単量体単位(a2)とを含有し、
    前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)全体に対して、前記スチレン系単量体単位(1)の含有量が60~98質量%であり、前記不飽和カルボン酸単量体単位(a1)の含有量が2~20質量%であり、前記不飽和カルボン酸エステル単量体単位(a2)の含有量が0~20質量%である、請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
  3. 前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、アクリル樹脂(D)を0.5~30質量部さらに含む、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂組成物。
  4. 前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、スチレンオリゴマー(E)を0.08~1.0質量部さらに含む、請求項1~3のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
  5. 前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、ゴム変性スチレン系樹脂(F)を0.5~3.0質量部さらに含み、前記ゴム変性スチレン系樹脂(F)に由来する共役ジエン単量体単位の含有量がスチレン系樹脂組成物全体に対し、0.03~0.50質量%である、請求項1~4のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
  6. ビカット軟化温度が105℃以上である、請求項1~5のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
  7. 前記スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂(A)と前記スチレン-不飽和ニトリル系樹脂(B)との質量比(A)/(B)の値が3.7~30.0である、請求項1~6のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を有する、1軸延伸及び2軸延伸の非発泡押出シート。
  9. 前記請求項1~8のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を有する、発泡押出シート。
  10. 請求項8の非発泡押出シート又は請求項9に記載の発泡押出しシートを用いて形成されてなる、2次成形品。
  11. 請求項8に記載の非発泡押出シートを2次成形して形成されてなる、電子レンジ調理可能な弁当容器の蓋材。
  12. 請求項1~7のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を有する、成形品。
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