JP2012131932A - 水酸基含有の芳香族ビニル系重合体とその製造方法及びそれからなるポリスチレン系樹脂発泡性粒子、予備発泡粒子、発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】側鎖にオキサゾリン基を有する共重合体を合成した後、有機溶媒中で水と水和反応することにより側鎖に水酸基を持ち、疎水性で有機溶媒にも可溶な、高いガラス転移温度を有する芳香族ビニル系重合体が容易に得られ、該重合体がポリスチレン系樹脂に対して優れた相溶性を有し、それを配合することにより得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、このような芳香族ビニル系重合体を配合した、ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡性粒子と予備発泡粒子、押出発泡法或いは予備発泡粒子発泡法で得られる高独立気泡率を有し、剛性と耐衝撃性に優れ、断熱性、表面外観と寸法安定性、帯電防止性の良いポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することを課題とする。
すなわち本発明は、
(1)側鎖に水酸基を有し、ガラス相転移温度(Tg)が50〜180℃であり、且つ溶解性パラメーター(SP値)が8〜11(cal/cm3)1/2の有機溶媒に可溶である芳香族ビニル系重合体、
(2)一般式(1)(式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2〜R5は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、R6、R7は同一又は異なって水素原子又はメチル基を表し、構造単位aの配合量は1〜50モル%、構造単位bの配合量は99〜50モル%である。)で示される前記(1)記載の芳香族ビニル系重合体、
(4)前記(3)記載の有機溶媒がジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系重合体、
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系重合体が、一般式(2)(式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2〜R5は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、R6、R7は同一又は異なって水素原子又はメチル基を表し、構造単位cの配合量は1〜50モル%、構造単位bの配合量は99〜50モル%である。)で示される側鎖にオキサゾリン基を有する共重合体が、有機溶媒中で水との水和反応により合成されることを特徴とする製造方法、
(7)前記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系重合体を0.01重量%以上含有することを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡性粒子、予備発泡粒子及びそれらからなるポリスチレン系樹脂発泡成形体
を提供するものである。
該芳香族ビニル系重合体が側鎖に水酸基を有し、気泡調整効果、発泡剤逸散防止効果、発泡性粒子と予備発泡粒子の帯電防止効果が提供でき、また、発泡成形体の金型からの離型性を改善する効果がある。さらに、水酸基の反応性を利用して、機能性官能基を導入することや、酸無水物やイソシアネート等との反応による部分架橋した高耐熱性、耐割れ性粒子、成形体を製造することができる。
同時に、該芳香族ビニル系重合体の側鎖に水酸基と同モルのアミド基を有するため、高いガラス相転移温度との相乗効果で耐熱性と寸法安定性に優れている特徴がある。
本発明の芳香族ビニル系重合体は側鎖に水酸基を有し、ガラス相転移温度(Tg)が50〜180℃であり、且つ溶解性パラメーター(SP値)が8〜11(cal/cm3)1/2の有機溶媒に可溶な重合体である。
ジイソノニルアジペートアセチルトリブチルシトレート、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート等が挙げられ、高沸点で汎用な可塑剤であるジブチルアジペートが特に好ましい。また、エステル系可塑剤は発泡助剤としても使用できる。
(1)ガラス相転移温度(Tg)測定:示差走査熱量計装置(エスアイアイナノテクノロジー社製のDSC6220)を用い、測定容器に試料を10mg充填して、窒素ガス流量40ml/minのもと10℃/minの昇温速度で200℃まで昇温し10分間保持後、10℃/minの降温速度で−20℃まで降温し10分間保持した。その後、再度10℃/minの昇温速度で200℃まで昇温し、熱量の変化を測定し、吸熱ピークの中間点をガラス相転移温度とした。
(2)水酸基導入量算出方法:側鎖にオキサゾリン基を有する共重合体中のオキサゾリン基含有量の定量分析は1H−NMR(CDCl3)により行った。それを水和反応させ、得られた側鎖に水酸基を有する芳香族ビニル系重合体中のオキサゾリン基は1H−NMRのスペクトルが他の官能基のスペクトルと一部重なるため、中和滴定法で定量した。
オキサゾリン基の中和滴定法の定量:水和反応後の固形物状ポリマーをピリジンに溶解し、過剰量の酢酸と100℃で1時間反応させ、その後室温まで放冷し、フェノールフタレインを指示薬として0.25mol/L の水酸化カリウムのエタノール溶液で未反応の酢酸を滴定し、オキサゾリン基の含有率を算出した。
水酸基の定量方法:オキサゾリン基を含有しない場合、JIS K0070(1992)に準じ、水酸基の含有量(水酸基価)を定量できるが、オキサゾリン基を含有すると、JIS K0070に使用される無水酢酸と反応するため、該定量方法は適用しないことが本発明者らの検討で明らかになった。そこで、本発明では、中和滴定法で算出したオキサゾリン基の含有量は0.1mol%以上である場合、1H−NMRで得られた水和反応前のオキサゾリン基の含有量から水和反応後の中和滴定法で算出したオキサゾリン基の含有量を引き、得られる値を水和反応後の水酸基の含有量とした。一方、中和滴定法で算出したオキサゾリン基の含有量は0.1mol%未満(未検出)である場合、オキサゾリン基による影響が無視できると判断し、JIS K0070(1992)に準じ、水酸基の含有量(水酸基価)を定量した。
(3)ジイソブチルアジペート(DIBA)に対する溶解性:下記合成例で合成した水酸基含有共重合体5gをDIBA 45g中に添加し、攪拌しながら70℃で0.5時間加熱した後、室温で2時間静置し溶解性を評価した。
溶解:均一で透明、不溶解(溶解しない):不均一で白い不溶物が多い
(4)独立気泡率(%):押出発泡成形体を幅、長さ、厚さが全て25mmの立方体に切り出した後、ASTM D2856に基づいて空気比較式の乾式密度計を用いることにより測定した。
(5)発泡成形体中の残存発泡剤含有量:ガスクロマトグラフGC−14A(島津製作所製)を用いて分析することで、残存発泡剤含有量(重量%)を算出した。残存発泡剤含有量が高いほど、発泡剤の逸散防止効果が高い。
残存発泡剤含有量(重量%)=発泡体100g中の残存発泡剤量(g)/製造後の発泡体100(g)×100
(6)熱伝導率(W/m・K):製造してから30日後の発泡成形体を用いてJIS A9511に準じて測定した。熱伝導率が低いほど、発泡成形体の断熱性が高い。
(7)加熱寸法変化:得られた発泡成形体から幅、長さ、厚さが150mm、150mm、25mmの試験片を切り出し、試験片の中央部に縦及び横方向にそれぞれ互いに平行に3本の直線を50mm間隔になるよう記入し、それぞれ3本の直線の長さを測定し、その平均値を求めて加熱前の寸法とした。70℃の熱風乾燥機の中に試験片を水平に置き、22時間加熱したときの加熱前後の寸法変化率で評価した。
加熱寸法変化率(%)=(加熱後の寸法−加熱前の寸法)/加熱前の寸法×100
○:変化率3%未満、△:変化率3%以上5%未満、×:5%以上
(8)表面固有抵抗率測定:得られた発泡成形体から幅、長さ、厚さが110mm、110mm、25mmの試験片を切り出し、温度23℃、相対湿度50%に調整した恒温恒湿機に入れ、3時間静置し、表面固有抵抗率測定用試料を得た。JIS
K 6911 に基づき、デジタルエレクトロメーター(R8252型:エーディーシー社製)を用いて測定を行った。表面固有抵抗率が低いほど、発泡成形体の帯電防止性が高い。数値が高いほど圧縮強度が高いことを示す。
(9)圧縮強度(N/cm2):得られた発泡体から幅、長さ、厚みが50mm、50mm、25mmの試験片を切り出し、JIS A 9511に準じて厚み方向の圧縮強度を測定した。
(10)落球衝撃試験:発泡体の耐割れ性の強さを示す落球衝撃試験について、JISK 7211に準じて測定した。発泡体から幅、長さ、厚さが200mm、40mm、20mmの試験片を切り出し、合計20個用意する。321gの鋼球を落とし、下記の計算式により50%破壊高さを算出した。数値が高いほど耐衝撃性が高いことを示す。
H50=Hi+d[Σ(i×ni)/N±0.5]
H50:50%破壊高さ(cm)
Hi:高さ水準(i)が0のときの試験高さ(cm)で、試験片が破壊することが予測される高さを指す。
d:試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i:Hiのときを0とし、一つずつ増減する高さ水準(i=・・・−3,−2,−1,0,1,2,3,・・・)
ni:各水準において破壊した(又は破壊しなかった)試験片の数
N:破壊した(又は破壊しなかった)試験片の総数(N=Σni)
いずれか多い方のデータを使用する。なお、同数の場合はどちらを使用してもよい。
±0.5:破壊したデータを使用したときは負号を、破壊しなかったデータを使用したときは正号をとる。
2−ビニル−2−オキサゾリンとスチレンの共重合体(PolyVOZO−St−1の合成
撹拌装置、温度計、冷却器および乾燥窒素導入管を備えた容量300mLの反応容器に2−ビニル−2−オキサゾリン(VOZO)5.0g(51.5mmol)、スチレン(St)48.3g(463.9mmol)、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.85g(5.2mmol)とエタノール54.2gを仕込んだ。乾燥窒素気流下、反応液を30℃で1時間撹拌しながら窒素置換した後、60℃で10時間重合反応を行った。反応終了後、溶媒と残存モノマーを減圧下で留去し、50℃において減圧下で乾燥し、白色粉末状固形物51.0gを得た(収率=95.7%)。
本固形物は、赤外吸収スペクトル(IR)により、コポリマーPolyVOZO−Stの生成を確認した。
本コポリマーの組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、VOZO由来ユニット/St由来ユニット=1.00/8.86と確認した。
PolyVOZO−Stの水和反応によるPolyOH−St−1、PolyOH−St−2の合成
撹拌装置を備えた容量300mLの反応容器に合成例1で得られたPolyVOZO−St−1 20.0g、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)180.0gを仕込み室温で30分撹拌することで溶解させた後、水10.6g(589mmol、オキサゾリン基に対して30倍mol)を仕込み、均一に混合してかた2当分に分けた。片方は撹拌装置、温度計、冷却器を備えた200mLの容量に加え、撹拌しながら80℃で8時間反応させ、もう一方は同様に200mLの容量中で撹拌しながら80℃で15時間反応させた。反応終了後、室温に戻し、それぞれの反応液をエバポレーターに仕込み、70℃、減圧下でTHF、水を留去した。得られた固形物を70℃において減圧下で乾燥し、それぞれ白色粉末状固形物10.0g、10.1gを得た(収率=98.3%、99.2%)。
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、8時間反応させて得られたPolyOH−St−1、15時間反応させて得られたPolyOH−St−2のユニット比はそれぞれ、VOZO/OH/St=3.0/7.1/89.9、OH/St=10.1/89.9であった。なお、PolyOH−St−2は、オキサゾリン基を定量した結果、検出できなかったので全て水酸基になっていると判断した。
また、得られたPolyOH−St−1、PolyOH−St−2のTgはそれぞれ91、96℃であり、ジイソブチルアジペート(以下、DIBAと略称する。)に10%以上溶解することを確認した。
2−ビニル−2−オキサゾリンとスチレンの共重合体PolyVOZO−St−2の合成
合成例1において、VOZO
15.0g(154.6mmol)、St 37.5g(360.8mmol)、エタノール53.4gを用いた以外は合成例1と同様に重合を行い、白色粉末状固形物50.1gを得た(収率=95.4%)。
本固形物は、赤外吸収スペクトル(IR)により、コポリマーPolyVOZO−Stの生成を確認した。
本コポリマーの組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、VOZO由来ユニット/St由来ユニット=1.00/2.30と確認した。
PolyVOZO−Stの水和反応によるPolyOH−St−3とPolyOH−St−4の合成
合成例3で合成したPolyVOZO−St−2 20.0g、水を32.1g(1.784mol、オキサゾリン基に対して30倍mol)使用し、合成例2と同様に溶媒THF中で水和反応を行い、白色粉末状固形物10.4g、10.5gを得た(収率=98.7%、99.7%)。
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、8時間反応させて得られたPolyOH−St−3、15時間反応させて得られたPolyOH−St−4のユニット比はそれぞれ、VOZO/OH/St=12.4/17.9/69.7、OH/St=30.3/69.7であった。なお、PolyOH−St−4は、オキサゾリン基を定量した結果、検出できなかったので全て水酸基になっていると判断した。
また、得られたPolyOH−St−3、PolyOH−St−4のTgはそれぞれ93、98℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
2−ビニル−2−オキサゾリンとスチレンの共重合体PolyVOZO−St−3の合成
合成例1において、VOZO 25.0g(257.7mmol)、St 26.8g(257.7mmol)、エタノール52.7gを用いた以外は合成例1と同様に行い、白色粉末状固形物49.5gを得た(収率=95.6%)。
本固形物は、赤外吸収スペクトル(IR)により、コポリマーPolyVOZO−Stの生成を確認した。
本コポリマーの組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、VOZO由来ユニット/St由来ユニット=1.00/0.97と確認した。
PolyVOZO−Stの水和反応によるPolyOH−St−5の合成
合成例5で合成したPolyVOZO−St−3
20.0g、水を54.6g(3.032mol、オキサゾリン基に対して30倍mol)を用い、反応を80℃で15時間のみ行うこと以外は合成例2と同様に行い、白色粉末状固形物21.6gを得た(収率=99.0%)。
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、得られたPolyOH−St−5のユニット比は、OH/St=50.8/49.2であった。なお、PolyOH−St−5は、オキサゾリン基を定量した結果、検出できなかったので全て水酸基になっていると判断した。
また、得られたPolyOH−St−5のTgは102℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
2−イソプロペニル−2−オキサゾリンとスチレンの共重合体PolyIPOZO−Stの合成
合成例1において、VOZOにかえてイソプロペニルオキサゾリン(IPOZO)5.7g(51.5mmol)、エタノール54.9gを用いた以外は、合成例1と同様に行い、白色粉末状固形物49.8gを得た(収率=92.2%)。
本固形物は、赤外吸収スペクトル(IR)により、コポリマーPolyIPOZO−Stの生成を確認した。
本コポリマーの組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、IPOZO由来ユニット/St由来ユニット=1.00/8.73と確認した。
PolyIPOZO−Stの水和反応によるPolyOH−St−6の合成
合成例7で得られたPolyVOZO−St−3 20.0g、水10.6g(589mmol、オキサゾリン基に対して30倍mol)を用い、合成例6と同様に溶媒THF中で水和反応を行い、白色粉末状固形物19.8g(収率=97.3%)。
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、PolyOH−St−6のユニット比は、OH/St=10.3/89.7であった。なお、PolyOH−St−6は、オキサゾリン基を定量した結果、検出できなかったので全て水酸基になっていると判断した。
また、得られたPolyOH−St−6のTgは88℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
PolyVOZO−Stの水和反応によるPolyOH−St−7の合成
合成例2において、PolyVOZO−St−1を溶解させる溶媒として酢酸エチル180.0g、反応を80℃で15時間のみを行う以外は合成例2と同様に行い、白色粉末状固形物20.0gを得た(収率=98.3%)。
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、15時間反応させて得られたPolyOH−St−7のユニット比は、VOZO/OH/St=5.2/4.9/89.9であった。
また、得られたPolyOH−St−7のTgは88℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリンとスチレンの共重合体PolyMVOZO−Stの合成
合成例1において、VOZOにかえて5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン(MVOZO)5.7g(51.5mmol)、エタノール54.9gを用いた以外は、合成例1と同様に行い、白色粉末状固形物50.0gを得た(収率=92.6%)。
本固形物は、赤外吸収スペクトル(IR)により、コポリマーPolyMVOZO−Stの生成を確認した。
本コポリマーの組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、MVOZO由来ユニット/St由来ユニット=1.00/8.77と確認した。
PolyMVOZO−Stの水和反応によるPolyOH−St−8の合成
合成例6において、PolyVOZO−St−3にかえてPolyMVOZO−St20.0g、水10.6g(587mmol、オキサゾリン基に対して30倍mol)を用いた以外は、合成例6と同様に行い、白色粉末状固形物19.9g(収率=97.8%)。
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、PolyOH−St−8のユニット比は、OH/St=10.2/89.8であった。なお、PolyOH−St−8は、オキサゾリン基を定量した結果、検出できなかったので全て水酸基になっていると判断した。
また、得られたPolyOH−St−8のTgは87℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
4,4’−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリンとスチレンの共重合体PolyDMVOZO−Stの合成
合成例1において、VOZOにかえて4,4’−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン(DMVOZO)6.4g(51.5mmol)、エタノール55.6gを用いた以外は、合成例1と同様に行い、白色粉末状固形物50.1gを得た(収率=91.6%)。
本固形物は、赤外吸収スペクトル(IR)により、コポリマーPolyDMVOZO−Stの生成を確認した。
本コポリマーの組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、DMVOZO由来ユニット/St由来ユニット=1.00/8.82と確認した。
PolyDMVOZO−Stの水和反応によるPolyOH−St−9の合成
合成例6において、PolyVOZO−St−3にかえてPolyDMVOZO−St 20.0g、水10.4g(576mmol、オキサゾリン基に対して30倍mol)を用いた以外は、合成例6と同様に行い、白色粉末状固形物19.7g(収率=96.9%)。
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、PolyOH−St−9のユニット比は、OH/St=10.2/89.8であった。なお、PolyOH−St−9は、オキサゾリン基を定量した結果、検出できなかったので全て水酸基になっていると判断した。
また、得られたPolyOH−St−9のTgは88℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
オキサゾリン基含有スチレン系共重合体(エポクロスRPS−1005)の水和反応によるPolyOH−St−10の合成
合成例6において、PolyVOZO−St−3にかえて市販品であるエポクロスRPS−1005(オキサゾリン基含有量3モル%、日本触媒株式会社製)
20.0g、水4.9g(270mmol、オキサゾリン基に対して30倍mol)を用いた以外は、合成例6と同様に行い、白色粉末状固形物19.8g(収率=98.2%)
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、PolyOH−St−10のユニット比は、OH/St=3.0/97.0であった。なお、PolyOH−St−10は、オキサゾリン基を定量した結果、検出できなかったので全て水酸基になっていると判断した。
また、得られたPolyOH−St−10のTgは82℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
2−ビニル−2−オキサゾリン、スチレンとメタクリル酸メチルの共重合体PolyVOZO−St−MMAの合成
合成例1において、VOZO 5.0g(51.5mmol)、St 42.9g(412.4mmol)、メタクリル酸メチル(MMA)5.2g(51.5mmol)、エタノール54.0gを用いた以外は合成例1と同様に行い、白色粉末状固形物51.0gを得た(収率=96.0%)。
本固形物は、赤外吸収スペクトル(IR)により、コポリマーPolyVOZO−St−MMAの生成を確認した。
本ポリマーの組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、VOZO由来ユニット/St由来ユニット/MMA由来ユニット=10.3/80.2/9.5と確認した。
PolyVOZO−St−MMAの水和反応によるPolyOH−St−11の合成
合成例6において、PolyVOZO−St−3にかえてPolyVOZO−St−MMA20.0g、水10.8g(601mmol、オキサゾリン基に対して30倍mol)を用いた以外は合成例6と同様に行い、白色粉末状固形物19.9gを得た。(収率=97.7%)
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、PolyOH−St−11のユニット比は、OH/St/MMA=10.3/80.2/9.5であった。なお、PolyOH−St−11は、オキサゾリン基を定量した結果、検出できなかったので全て水酸基になっていると判断した。
また、得られたPolyOH−St−11のTgは86℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
2−ビニル−2−オキサゾリン、スチレンとアクリル酸ブチルの共重合体PolyVOZO−St−BAの合成
合成例1において、VOZO 5.0g(51.5mmol)、St 42.9g(412.4mmol)、アクリル酸ブチル(BA)6.6g(51.5mmol)、エタノール55.4gを用いた以外は合成例1と同様に行い、白色粉末状固形物51.9gを得た(収率=95.2%)。
本固形物は、赤外吸収スペクトル(IR)により、コポリマーPolyVOZO−St−BAの生成を確認した。
本ポリマーの組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、VOZO由来ユニット/St由来ユニット/BA由来ユニット=10.1/80.0/9.9と確認した。
PolyVOZO−St−BAの水和反応によるPolyOH−St−12の合成
合成例6において、PolyVOZO−St−3にかえてPolyVOZO−St−BA 20.0g、水10.5g(581mmol、オキサゾリン基に対して30倍mol)を用いた以外は合成例6と同様に行い、白色粉末状固形物20.0gを得た。(収率=98.3%)
得られた固形物中のオキサゾリン基と水酸基を定量し、15時間反応させて得られたPolyOH−St−12のユニット比は、OH/St/BA=10.1/80.0/9.9であった。なお、PolyOH−St−11は、オキサゾリン基を定量した結果、検出できなかったので全て水酸基になっていると判断した。
また、得られたPolyOH−St−12のTgは68℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
2−ヒドロキシエチルアクリルアミドとスチレンの共重合体PolyHEAA−St−1の合成
合成例1において、VOZOにかえて2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)5.9g(51.5mmol)、溶媒としてエタノール55.0gを用いた以外は、合成例1と同様に重合を行い、さらに、生成物をメタノールで沈殿、洗浄し、残存するHEAA及び副生成するHEAAのホモポリマーを除去し、白色粉末状固形物8.02gを得た(収率=14.8%)。
本コポリマーの組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、HEAA由来ユニット/St由来ユニット=2.7/97.3と確認した。
また、得られたPolyHEAA−StのTgは87℃であり、DIBAに溶解しないことを確認した。
2−ヒドロキシエチルアクリルアミドとスチレンの共重合体PolyHEAA−St−2の合成
合成例1において、VOZOにかえてHEAA 1.2g(10.3mmol)、St 52.5g(505.2mmol)、溶媒としてDIBA 54.6gを用いた以外は、合成例1と同様に重合を行ったが、重合中に析出物が見られたため中止し、ポリマーの分析は行わなかった。
4−ヒドロキシブチルアクリレートとスチレンの共重合体Poly4HBA−St−1の合成
合成例1において、VOZOにかえて4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)14.9g(103.0mmol)、St 42.9g(412.4mmol)、溶媒としてエタノール58.6gを用いた以外は合成例1と同様に行い、白色粉末状固形物52.8gを得た(収率=91.3%)。
Poly4HBA−St−1の組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、4HBA由来ユニット/St由来ユニット=23.6/76.4と確認した。
また、得られたPoly4HBA−St−1のTgは26℃であり、DIBAに溶解しないことを確認した。
4−ヒドロキシブチルアクリレートとスチレンの共重合体Poly4HBA−St−2の合成
合成例1において、VOZOにかえて4HBA 7.4g(51.5mmol)、エタノールにかえて溶媒としてDIBA 56.6gを用いた以外は合成例1と同様に行い、白色粉末状固形物50.6gを得た(収率=90.8%)。
Poly4HBA−St−2の組成は1H−NMR(CDCl3)分析により、4HBA由来ユニット/St由来ユニット=11.4/88.6と確認した。
また、得られたPoly4HBA−St−2のTgは30℃であり、DIBAに10%以上溶解することを確認した。
実施例A−1
スチレン系樹脂としてポリスチレン99部、合成例2で得られた水酸基含有の芳香族ビニル系重合体PolyOH−St−1 1部、造核剤としてタルク0.5部、ステアリン酸バリウム0.25部をドライブレンドし、タンデム型押出機へ供給した。第1押出機(口径65mm)のホッパーよりに供給した樹脂混合物を200℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤としてイソブタン4部を第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。続いて、第2押出機(口径90mm)で樹脂を混練しながら120℃に冷却し、第2押出機先端に設置した成形金型(幅、長さ、厚さが200mm、150mm、25mm)の口金部より大気圧下で押出し、ポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観観察と各種物性測定を行い、結果を表1に示した。
スチレン系樹脂及び水酸基含有の芳香族ビニル系重合体の品種、添加量を表1に示す値とした以外は実施例A−1と同様に実施した。
水酸基含有の芳香族ビニル系重合体を配合せず(比較例A−18)、又は水酸基含有の重合体としてPolyHEAA−St、Poly4HBA−St或いはエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールを配合し(比較例A−19〜A−25)、実施例A−1と同様に押出発泡成形により成形体を製造した。得られた発泡成形体の外観観察と各種物性測定を行い、結果を表2に示した。
実施例B−1
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニルの共重合体99部、水酸基含有の芳香族ビニル系重合体としてPolyOH−St−1 1部、造核剤としてタルク0.5部、ステアリン酸バリウム0.25部をドライブレンドし、二軸押出機のホッパーより供給し、220℃で溶融混練して押出機からストランド状に押出し、ペレタイザーにより切断してポリオレフィン系樹脂粒子を作製した。
次に、撹拌機付き耐圧重合容器に、水100部、ポリオレフィン系樹脂粒子30部、懸濁剤としてピロリン酸マグネシウム0.0175部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.0175部を入れ、撹拌しながら90℃に昇温した。さらに、ベンゾイルパーオキサイド0.1部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.05部をスチレン70部に溶解させた溶液を4時間かけて添加して重合した。さらに、130℃で3時間重合を行った後、冷却してポリスチレン系樹脂粒子を得た。続いて、耐圧重合容器内に可塑剤としてジイソブチルアジペート1部、発泡剤としてイソブタン7.5部を圧入し、90℃に昇温して3時間保持後、冷却して脱水、乾燥させてポリスチレン系樹脂発泡性粒子を得た。このポリスチレン系樹脂発泡性粒子を100℃の水蒸気で加熱して予備発泡粒子とし、得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を室温雰囲気下で24時間保持した後、このポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を密閉金型に充填して水蒸気で加熱し、予備発泡粒子を2次発泡させてポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造した。得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体の物性を評価した結果を表3に示した。
ポリオレフィン系樹脂及び水酸基含有の芳香族ビニル系重合体の品種、添加量を表3に示す値とした以外は実施例B−1と同様に実施した。
水酸基含有の芳香族ビニル系重合体を配合せず(比較例B−17)、又は水酸基含有の重合体としてPolyHEAA−St、Poly4HBA−St或いはエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールを配合し(比較例B−18〜B−22)、実施例B−1と同様にポリスチレン系樹脂発泡性粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及びポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体の外観観察と各種物性測定を行い、結果を表4に示した。
実施例C−1
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニルの共重合体100部、造核剤としてタルク0.5部、ステアリン酸バリウム0.25部をドライブレンドし、二軸押出機のホッパーより供給し、220℃で溶融混練して押出機からストランド状に押出し、ペレタイザーにより切断してポリオレフィン系樹脂粒子を作製した。
次に、撹拌機付き耐圧重合容器に、水100部、ポリオレフィン系樹脂粒子30部、懸濁剤としてピロリン酸マグネシウム0.0175部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.0175部を入れ、撹拌しながら90℃に昇温した。さらに、ベンゾイルパーオキサイド0.1部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.05部をスチレン70部に溶解させた溶液を4時間かけて添加して重合した。さらに、130℃で3時間重合を行った後、冷却してポリスチレン系樹脂粒子を得た。続いて、耐圧重合容器内に水酸基含有の芳香族ビニル系重合体を溶解したジイソブチルアジペート溶液(10%)1部、発泡剤としてイソブタン7.5質量部を圧入し、90℃に昇温して3時間保持後、冷却して脱水、乾燥させてポリスチレン系樹脂発泡性粒子を得た。このポリスチレン系樹脂発泡性粒子を100℃の水蒸気で加熱して予備発泡粒子とし、得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を室温雰囲気下で24時間保持した後、このポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を密閉金型に充填して水蒸気で加熱し、予備発泡粒子を2次発泡させてポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造した。得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体の物性を評価した結果を表5に示した。
ポリオレフィン系樹脂及び水酸基含有の芳香族ビニル系重合体の品種、添加量を表5に示す値とした以外は実施例C−1と同様に実施した。
水酸基含有の芳香族ビニル系重合体を配合せず(比較例C−17)、又は水酸基含有の重合体としてPoly4HBA−St−2を配合し(比較例C−18〜B−22)、実施例C−1と同様にポリスチレン系樹脂発泡性粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及びポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体の外観観察と各種物性測定を行い、結果を表6に示した。なお、PolyHEAA−St、Poly4HBA−St−1及びエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールはDIBAに溶解しないため、DIBAの10%溶液が得られなかった。
Claims (7)
- 側鎖に水酸基を有し、ガラス相転移温度(Tg)が50〜180℃であり、且つ溶解性パラメーター(SP値)が8〜11(cal/cm3)1/2の有機溶媒に可溶である芳香族ビニル系重合体。
- SP値が8〜11(cal/cm3)1/2の有機溶媒に1重量%以上溶解することを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系重合体。
- 請求項3記載の有機溶媒がジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系重合体。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系重合体を0.01重量%以上含有することを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物及びそれからなるポリスチレン系樹脂発泡成形体。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系重合体を0.01重量%以上含有することを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡性粒子、予備発泡粒子及びそれらからなるポリスチレン系樹脂発泡成形体。
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