JP6917529B1 - 二軸延伸シートおよびその成形品 - Google Patents
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Description
(1)スチレン−メタクリル酸共重合体(A)とスチレン−ブタジエン共重合体(B)とを含有するスチレン系樹脂組成物からなる二軸延伸シートであって、前記スチレン系樹脂組成物中のブタジエン単量体単位の含有量が0.2〜2.5質量%であり、縦方向と横方向の配向緩和応力がいずれも0.10MPa以上0.50MPa未満の範囲である二軸延伸シート。
(2)前記スチレンーブタジエン共重合体(B)がスチレンとブタジエンとのブロック共重合体である前記(1)に記載の二軸延伸シート。
(3)前記スチレン系樹脂組成物が、スチレン−メタクリル酸共重合体(A)91〜99質量%とスチレン−ブタジエン共重合体(B)1〜9質量%とを含有し、前記スチレン−メタクリル酸共重合体(A)がスチレン単量体単位を86〜97質量%、メタクリル酸単量体単位を3〜14質量%含有する前記(1)または前記(2)に記載の二軸延伸シート。
(4)前記スチレン−ブタジエン共重合体(B)がスチレン単量体単位を70〜85質量%、ブタジエン単量体単位を15〜30質量%含有する前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
(5)縦方向と横方向の前記配向緩和応力の差が絶対値で0.20MPa未満である前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
(6)厚みが0.1〜0.4mmであり、縦方向と横方向の延伸倍率がいずれも1.8〜3.2倍である前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の二軸延伸シートからなる成形品。
(8)電子レンジ加熱用食品包装容器である前記(7)に記載の成形品。
以下、スチレン系樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
スチレン−メタクリル酸共重合体(A)は、スチレンとメタクリル酸を主たる単量体単位とする共重合体である。スチレンとメタクリル酸の共重合比率は、所望する耐熱性と機械的強度等によって種々設定可能である。スチレン−メタクリル酸共重合体(A)は、耐熱性、機械的強度、シートにしたときの透明性のバランスに優れた樹脂が容易に得られる点から、スチレン単量体単位を86〜97質量%、メタクリル酸単量体単位を3〜14質量%含有することが好ましい。メタクリル酸単量体単位の含有量が3質量%未満であると、耐熱性が不足し、また電子レンジ加熱時に穴あき、変形が起こり易くなる。メタクリル酸単量体単位の含有量は、より好ましくは6質量%以上であり、さらに好ましくは8質量%以上である。一方、メタクリル酸単量体単位の含有量が14質量%を超えると、製膜時の流動性の低下、ゲル発生による外観低下が発生し易くなる。メタクリル酸単量体単位の含有量は、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
機種:東ソー社製HLC−8320GPC
カラム:昭和電工社製ShodexGPCKF−404を直列に4本接続
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
スチレン−ブタジエン共重合体(B)は、スチレンとブタジエンを主たる単量体単位とする共重合体である。本発明者らは、スチレン−メタクリル酸共重合体(A)にスチレン−ブタジエン共重合体(B)を所定量配合することによって、スチレン−メタクリル酸共重合体(A)の靭性を適切に改善できることを見出した。スチレンとブタジエンの共重合比率は、所望する耐熱性や靭性等によって種々設定可能である。スチレン−ブタジエン共重合体(B)は、耐熱性、靭性のバランスに優れた樹脂が得られる点から、スチレン単量体単位を70〜85質量%、ブタジエン単量体単位を15〜30質量%含有することが好ましい。スチレン単量体単位の含有量が上記範囲内にあると、スチレン−ブタジエン共重合体(B)はスチレン−メタクリル酸共重合体(A)との相溶性に優れており、スチレン系樹脂組成物の透明性を損なうことなく、靭性の改善を図ることができる。スチレン−ブタジエン共重合体(B)のブタジエン単量体単位の含有量が15質量%未満であると、靭性の改善効果が小さくなる。ブタジエン単量体単位の含有量は、より好ましくは17質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。一方、ブタジエン単量体単位の含有量が30質量%を超えると、スチレン−メタクリル酸共重合体(A)との相溶性が低くなり、シートの透明性が低下する。ブタジエン単量体単位の含有量は、より好ましくは29質量%以下である。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、ブタジエン単量体単位の含有量が0.2〜2.5質量%である。また、スチレン系樹脂組成物中のブタジエン単量体単位の含有量は、0.4〜1.5質量%であることが好ましい。ブタジエン単量体単位は、主として、スチレン−ブタジエン共重合体(B)のブタジエン単量体単位に由来する。スチレン系樹脂組成物中のブタジエン単量体単位の含有量がこの範囲にあるとき、スチレン系樹脂組成物の二軸延伸シートの透明性を保持しつつ、靭性を改善することができる。ここで、スチレン系樹脂組成物中のブタジエン単量体単位の含有量は、以下の一塩化ヨウ素法で測定することができる。
スチレン系樹脂組成物をクロロホルムに溶解し、一塩化ヨウ素を加えてゴム成分中の二重結合と反応させた後、ヨウ化カリウムを加え、残存する一塩化ヨウ素をヨウ素に変え、チオ硫酸ナトリウムで逆滴定する。
なお、未反応スチレンモノマーおよび未反応メタクリル酸モノマーの定量は、下記記載のガスクロマトグラフィーを用いて、内部標準法にて測定した。
装置名:GC−12A(島津製作所社製)
カラム:ガラスカラム φ3[mm]×3[m]
定量法:内部標準法(シクロペンタノール)
なお、上記六員環酸無水物の含有量は、カーボン核磁気共鳴(13C−NMR)測定装置で測定したスペクトルの積分比から求めた。
本実施形態の二軸延伸シートは、前記のスチレン系樹脂組成物を二軸延伸加工して得られるものである。二軸延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれであってもよい。
延伸倍率(倍)=100/L
装置名:GC−12A(島津製作所社製)
カラム:ガラスカラム φ3[mm]×3[m]
定量法:内部標準法(シクロペンタノール)
ガスクロマトグラフ:HP−5890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:DB−1(ht) 0.25mm×30m 膜厚0.1μm
インジェクション温度:250℃
カラム温度:100−300℃
検出器温度:300℃
スプリット比:50/1
内部標準物質:n−エイコサン
キャリアーガス:窒素
二軸延伸シートから成形品を得る方法としては、特に制限はなく、従来の延伸シートの二次成形方法において慣用されている方法を用いることができる。例えば、真空成形法や圧空成形法等の熱成形方法によって二次成形を行うことができる。これらの方法は例えば高分子学会編「プラスチック加工技術ハンドブック」日刊工業新聞社(1995)に記載されている。
二軸延伸シートのスチレン系樹脂組成物の製造に用いる原料となる樹脂は、以下に記載する方法で調製した。
以下の(1)〜(4)の操作により、スチレンとメタクリル酸との共重合体を製造した。
(1)内容積210Lのオートクレーブを用いて、純水90kgにポリビニルアルコール100gを添加し攪拌した。
(2)スチレン45.0kg、メタクリル酸5.0kg及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート55g、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート10g、α−メチルスチレンダイマー45gを仕込み、温度112℃に昇温して6時間重合を行った。なお、温度112℃で6時間重合を行った時の転化率は98%であった。
(3)温度132℃で4.5時間保持し、重合を完結させた。
(4)重合して得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出機を用いてペレット形状の共重合体を得た。
(5)得られた共重合体は、実施例1のスチレン−メタクリル酸共重合体(A)として使用した。
なお、得られたスチレン−メタクリル酸共重合体(A)のMw/Mnは2.5、Mz/Mwは1.8であった。
また、スチレンおよびメタクリル酸の仕込み量を調整することで、同様にして、後記する表1および表2に記載の各種スチレン単量体単位およびメタクリル酸単量体単位の含有量が異なる共重合体を得た。
以下の(1)〜(7)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンとのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,000mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン20.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は35℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン48.0kgとスチレン72.0kgを同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、60.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、押出機を用いてペレット形状のブロック共重合体を得た。共役ジエン含有質量比は24.0%であった。
(8)得られたブロック共重合体は、実施例1のスチレン−ブタジエン共重合体(B)として使用した。
なお、得られたスチレン−ブタジエン共重合体(B)のMwは、15.1万であった。
また、スチレンおよびブタジエンの仕込み量を調整することで、同様にして、後記する表1および表2に記載の各種スチレン単量体単位およびブタジエン単量体単位の含有量が異なる共重合体を得た。
(実施例1)
得られたスチレン−メタクリル酸共重合体(A)を95.0質量%、スチレン−ブタジエン共重合体(B)5.0質量%を40mmの単軸押出機を用いて、230℃、70rpmで混錬後、ペレタイズした。得られたペレットを40mmの単軸押出機を用いて、230℃、70rpmで溶融し、Tダイを通して、1.5mm厚みの無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを切り出し、二軸延伸機を用いて、二軸延伸時の温度150℃、延伸速度30mm/秒、延伸倍率縦方向2.5倍、横方向2.5倍で逐次延伸することで、実施例1記載の二軸延伸シートを得た。
表1〜2に記載のように、スチレン−メタクリル酸共重合体(A)、スチレン−ブタジエン共重合体(B)の種類および配合量、無延伸シートの厚み、縦方向および横方向の延伸倍率、二軸延伸時の温度を変更した以外は、実施例1と同様の方法で二軸延伸シートを得た。得られた二軸延伸シートの配向緩和応力(縦方向、横方向)、配向緩和応力の縦方向と横方向の差、シート厚みを表1〜2に示した。
なお、実施例4のスチレン−メタクリル酸共重合体(A)のMw/Mnは2.8、Mz/Mwは1.8であった。実施例5のスチレン−メタクリル酸共重合体(A)のMw/Mnは2.5、Mz/Mwは1.7であった。実施例6のスチレン−ブタジエン共重合体(B)のMwは、16.3万であった。実施例7のスチレン−ブタジエン共重合体(B)のMwは、15.9万であった。実施例8のスチレン−ブタジエン共重合体(B)のMwは、14.8万であった。実施例9のスチレン−ブタジエン共重合体(B)のMwは、14.5万であった。
二軸延伸シートを成形した蓋材の内容物側の面に、セブンイレブン社の「花椒の香り広がる!麻婆丼」の麻婆豆腐を塗り付けた後、購入時の蓋材と入れ替えて、容器を嵌合させた。その後、推奨電子レンジ加熱条件出力1500W、加熱時間80秒に対して、推奨の出力かつ1.5倍の時間で電子レンジ加熱を実施した。加熱後の、容器を取り出し、蓋材の穴あき数および変形度合いを目視で確認し、以下のように評価した。
◎:穴あきなし、かつほとんど変形なし
○:穴あき箇所が3か所以下、かつ変形が小さい
△:穴あき箇所が5か所以下、かつ変形小さい
×:穴あき箇所が10個以上、または変形が大きい
ASTM D2176に従って、シート押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)の耐折曲げ強さを測定し、平均値を求め、以下のように評価した。
◎:7回以上
○:5回以上、7回未満
△:2回以上、5回未満
×:2回未満
JIS K−7361−1に従って、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)を用いて、二軸延伸シートのヘーズを測定した。
◎:ヘーズ5.0%未満
○:ヘーズ5.0%以上、10.0%未満
△:ヘーズ10.0%以上、15.0%未満
×:ヘーズ15.0%以上
Claims (7)
- スチレン−メタクリル酸共重合体(A)とスチレン−ブタジエン共重合体(B)とを含有するスチレン系樹脂組成物からなる二軸延伸シートであって、
前記スチレン系樹脂組成物中のブタジエン単量体単位の含有量が0.2〜2.5質量%であり、
前記スチレン−ブタジエン共重合体(B)がスチレン単量体単位を70〜85質量%、ブタジエン単量体単位を15〜30質量%含有し、
縦方向と横方向の配向緩和応力がいずれも0.10MPa以上0.50MPa以下の範囲である二軸延伸シート。 - 前記スチレンーブタジエン共重合体(B)がスチレンとブタジエンとのブロック共重合体である請求項1に記載の二軸延伸シート。
- 前記スチレン系樹脂組成物が、スチレン−メタクリル酸共重合体(A)91〜99質量%とスチレン−ブタジエン共重合体(B)1〜9質量%とを含有し、
前記スチレン−メタクリル酸共重合体(A)がスチレン単量体単位を86〜97質量%、メタクリル酸単量体単位を3〜14質量%含有する請求項1または請求項2に記載の二軸延伸シート。 - 縦方向と横方向の前記配向緩和応力の差が絶対値で0.20MPa未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
- 厚みが0.1〜0.4mmであり、縦方向と横方向の延伸倍率がいずれも1.8〜3.2倍である請求項1〜4のいずれか1項に記載の二軸延伸シート。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の二軸延伸シートからなる成形品。
- 電子レンジ加熱用食品包装容器である請求項6に記載の成形品。
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