JP7019353B2 - 延伸シ-ト及び包装容器、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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(1) 芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物をモノマー単位として含む共重合体(A)と、ゴム成分に芳香族ビニル化合物をグラフト重合させたグラフト共重合体(B)と、を含有する樹脂組成物を延伸してなる樹脂層を備える延伸シートであって、共重合体(A)のビカット軟化点をTa(℃)、グラフト共重合体(B)のビカット軟化点をTb(℃)、グラフト共重合体(B)中のゴム状分散粒子の体積中位粒子径をDb(μm)、延伸シート中のゴム状分散粒子の体積平均粒子径をDs(μm)としたとき、下記式(a)~(d)を満たす延伸シート。
102≦Ta≦112 …(a)
10≦Ta-Tb≦30 …(b)
1≦Db≦4 …(c)
1.5≦Ds/Db≦3 …(d)
(2) 延伸シートの少なくとも一方の面の算術平均粗さSaが0.005~0.25μm、二乗平均平方根粗さSqが0.01~0.5μmである、(1)に記載の延伸シート。
(3) 延伸シートの収縮開始温度がTbより10~30℃高い、(1)又は(2)に記載の延伸シート。
(4) 延伸シートの熱収縮率から求められる延伸倍率が1.8~3.2倍である、(1)~(3)の何れかに記載の延伸シート。
(5) 樹脂層の少なくとも一方の面上に、ポリジメチルシロキサンを含有する離型剤層を更に備える、(1)~(4)の何れかに記載の延伸シート。
(6) 延伸シート中の総揮発分量が3000ppm以下、オリゴマー量が3000ppm以下、シアン化ビニル化合物モノマーの含有量が50ppm以下である、(1)~(5)の何れかに記載の延伸シート。
(7) 延伸シートの全光線透過率が80~99%、HAZEが0.3~3%である、(1)~(6)の何れかに記載の延伸シート。
(8) 延伸シートの色座標b*値が0~8である、(1)~(7)の何れかに記載の延伸シート。
(9) 延伸シート中の溶剤可溶分の重量平均分子量(Mw)が10万~25万である、(1)~(8)の何れかに記載の延伸シート。
(10) 延伸シート中のゲル分が0.05~1.5質量%である、(1)~(9)の何れかに記載の延伸シート。
(11) (1)~(10)の何れかに記載の延伸シートの製造方法であって、共重合体(A)とグラフト共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を二軸延伸する工程を備える、延伸シートの製造方法。
(12) (1)~(10)の何れかに記載の延伸シートで形成された包装容器。
(13) 収縮開始温度が100~112℃である、(12)に記載の包装容器。
(14) (12)又は(13)に記載の包装容器の製造方法であって、(1)~(10)の何れかに記載の延伸シートを成形する工程を備える、包装容器の製造方法。
(15) 成形が熱板成形である、(14)に記載の包装容器の製造方法。
装置:昭和電工社製Shodex「SYSTEM-21」
カラム:PLgel MIXED-B
温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/分
検出:RI
濃度:0.2質量%
注入量:100μl
検量線:標準ポリスチレン(Polymer Laboratories製)を用い、溶離時間と溶出量との関係を分子量と変換して各種平均分子量を求める。
ゲル分(質量%)=(G/W)×100
グラフト率={(G/W)×100-R)/R
膨潤度SI=S/D
メタノール可溶分(質量%)=(P-N)/P×100
装置:昭和電工社製Shodex「SYSTEM-21」
カラム:PLgel MIXED-B
温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/分
検出:RI
注入量:100μl
装置:3D測定レーザー顕微鏡 LEXT OLS4000(オリンパス社)
対物レンズ:MPLAPONLEXT50
画像サイズ:260μm×250μm
画素数:1024×1024
カットオフ周期 λc:0.80mm λs:なし λf:なし
フィルタ:ガウシアンフィルタ
装置名:GC-12A(島津製作所社)
カラム:ガラスカラム φ3[mm]×3[m]
定量法:内部標準法(シクロペンタノール)
サンプル:延伸シート
装置:ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)
サンプル:延伸シートの積層 総厚み4.5mm
装置:分光測色計CM-2500d(コニカミノルタ)
測定方法:SCI法(正反射光込み)
ゲル分(質量%)=(G/W)×100
メタノール可溶分(質量%)=(P-N)/P×100
容積約20Lの完全混合型攪拌槽である第一反応器と容積約40Lの攪拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。表1に記載のとおり、モノマー全量基準で、アクリロニトリル12質量%、スチレン88質量%を含有する単量体溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、n-ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存単量体と溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル-スチレン共重合体(AS-1)を得た。得られたAS-1の樹脂組成とビカット軟化点、重量平均分子量(Mw)を表1に示した。
アクリロニトリル及びスチレンの仕込み量を表1のとおりに変更した以外は、実験例1と同様にしてアクリロニトリル-スチレン樹脂(AS-2~9)を得た。得られたAS-2~9の樹脂組成とビカット軟化点、重量平均分子量(Mw)を表1に示した。
ゴム状重合体として3.4質量%のローシスポリブタジエンゴム(旭化成製、商品名ジエン55AE)と、91.6質量%のスチレンとを、5.0質量%のエチルベンゼンに溶解させた。また、ゴムの酸化防止剤(チバガイギー製、商品名イルガノックス1076)0.1質量部を添加した。この重合原料を翼径d=0.285[m]の錨型撹拌翼を備えた14リットルのジャケット付き反応器(R-01)に12.5[kg/hr]で供給した。反応温度は140℃、N3d2は0.83[m2/s3]で、樹脂率は25%であった。得られた樹脂液を直列に配置した2基の内容積21リットルのジャケット付きプラグフロー型反応器に導入した。1基目のプラグフロー型反応器(R-02)では、反応温度が樹脂液の流れ方向に120℃~140℃、2基目のプラグフロー型反応器(R-03)では、反応温度が樹脂液の流れ方向に130℃~160℃の勾配を持つようにジャケット温度を調整した。R-02出口での樹脂率は50%、R-03出口での樹脂率は70%であった。得られた樹脂液は230℃に加熱後、真空度5[torr]の脱揮槽に送られ、未反応単量体、溶剤を分離・回収した後、脱揮槽からギヤポンプで抜き出し、ダイプレートを通して、これをストランド状に押出し切断することによりペレットとした。次に、重合で得られた樹脂に、ホワイトオイルを0.3質量%添加し、二軸押出機を用いて均一にブレンドし、これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のグラフト共重合体(B)(HI-1)を得た。得られたグラフト共重合体(B)(HI-1)の共重合体100質量%中のモノマー含有量はスチレン89.9質量%、ブタジエン10.1質量%、樹脂組成物100質量%中のホワイトオイル量は0.3質量%であった。また、ゲル分は30質量%、ビカット軟化点は87℃、ゴム状分散粒子の体積中位子径(Db)は2.7μmであった。これらの値を表2に示した。
実験例10の各種原料仕込み量及び攪拌条件を調整し、表2に記載のグラフト共重合体(B)HI-2~9を得た。得られたグラフト共重合体(B)HI-2~9のモノマー含有量、ホワイトオイル量、ゲル分、ビカット軟化点、体積中位粒子径(Db)を表2に示した。
共重合体(A)として実験例で得られたAS-2を99.0質量%とグラフト共重合体(B)として実験例で得られたHI-2 1.0質量%をヘンシェルミキサーで予備ブレンドし、シート押出機(Tダイ幅500mm、φ40mmのエキストルーダー(田辺プラスチック機械社製))を用い、押出温度230℃、回転数50rpmで混練押出して、厚さ1.2mmのシートを得た。このシートをバッチ式二軸延伸機(東洋精機社製)にて、延伸温度137℃、歪み速度0.1/secでMD2.5倍、TD2.5倍に延伸し、さらにバーコーターを用いてポリジメチルシロキサンエマルジョン(東レダウコーニング社製SM7025EX)を一方の面に塗布し、105℃の乾燥機にて乾燥させ、乾燥後塗布量20mg/m2の離型剤層を形成することにより、厚さ0.20mmの延伸シートを得た。
共重合体(A)として実験例で得られたAS-1,2,3,6,7,8,9とグラフト共重合体(B)として実験例で得られたHI-1,2,3,4,5,8,9を用いて、表3,4に示す配合量とした以外は実施例1と同様な方法で延伸シートを得た。得られた延伸シートの厚み、ゴム状分散粒子の体積平均粒子径(Ds)、シート表面の算出平均粗さ(Sa)、二乗平均平方根高さ(Sq)、全光線透過率、HAZE、b*値、シートの収縮開始温度、熱収縮率及び延伸倍率、ガスクロマトグラフィから求めたオリゴマー量、総揮発分量及びアクリロニトリル量、延伸樹脂組成物の溶剤可溶分の重量平均分子量(Mw)、ゲル分の各測定値を表3,4に示した。
共重合体(A)として実験例で得られたAS-1,2,3,4,5とグラフト共重合体(B)として実験例で得られたHI-1,2,3,4,6,7を用いて、表5に示す配合量とした以外は実施例1と同様な方法で延伸シートを得た。得られた延伸シートの厚み、ゴム状分散粒子の体積平均粒子径(Ds)、シート表面の算出平均粗さ(Sa)、二乗平均平方根高さ(Sq)、全光線透過率、HAZE、b*値、シートの収縮開始温度、熱収縮率及び延伸倍率、ガスクロマトグラフィから求めたオリゴマー量、総揮発分量及びアクリロニトリル量、延伸樹脂組成物の溶剤可溶分の重量平均分子量(Mw)、ゲル分の各測定値を表5に示した。
共重合体(A)として実験例で得られたAS-2とグラフト共重合体(B)として実験例で得られたHI-2を用いて、表6に示す配合量、押出温度、回転数にした以外は実施例1と同様な方法で延伸シートを得た。得られた延伸シートの厚み、ゴム状分散粒子の体積平均粒子径(Ds)、シート表面の算出平均粗さ(Sa)、二乗平均平方根高さ(Sq)、全光線透過率、HAZE、b*値、シートの収縮開始温度、熱収縮率及び延伸倍率、ガスクロマトグラフィから求めたオリゴマー量、総揮発分量及びアクリロニトリル量、延伸樹脂組成物の溶剤可溶分の重量平均分子量(Mw)、ゲル分の各測定値を表6に示した。
共重合体(A)として実験例で得られたAS-2とグラフト共重合体(B)として実験例で得られたHI-2を用いて、表6に示す配合量、押出温度、回転数にした以外は実施例1と同様な方法で延伸シートを得た。得られた延伸シートの厚み、ゴム状分散粒子の体積平均粒子径(Ds)、シート表面の算出平均粗さ(Sa)、二乗平均平方根高さ(Sq)、全光線透過率、HAZE、b*値、シートの収縮開始温度、熱収縮率及び延伸倍率、ガスクロマトグラフィから求めたオリゴマー量、総揮発分量及びアクリロニトリル量、延伸樹脂組成物の溶剤可溶分の重量平均分子量(Mw)、ゲル分の各測定値を表6に示した。
共重合体(A)として実験例で得られたAS-2とグラフト共重合体(B)として実験例で得られたHI-2を用いて、表7に示す配合量とし、離型剤層としてポリジメチルシロキサンA(粘度10000mm2/s SM7025EX 東レダウコーニング社製)、ポリジメチルシロキサンB(粘度1000mm2/s KM-9737A 信越シリコーン社製)、モノグリセリン脂肪酸(DM-100 理研ビタミン社製)を表7記載の塗布量にて塗布し、105℃の乾燥機にて乾燥させ、延伸シートを得た。
包装容器の成形時、型が出ており外観不良がみられないものをAとし、ドロップ(液滴状の外観不良)、ブリッジ(スジ状の外観不良)、フィッシュアイ(魚の目状)などが一部見られたが問題はないものをBと、型不良や割れにより成形困難であるものをCとした。A又はBであれば、成形性に優れているといえる。
包装容器の成形後、金型から剥離する際にキズ、割れ、白化が生じないものをA、キズが生じるものをB、割れ又は白化が生じるものをCとした。A又はBであれば、金型離型性に優れているといえる。
成形した包装容器を100枚重ね、5mm×5mm四方のマス目が書かれた紙の上に乗せ、容器の上からマス目を見たときにマス目の視認性を以下の通りに評価した。A、B又はCであれば、透明性に優れているといえる。
A:全体が容易に視認できる
B:一部が欠陥や曇りで覆われるが、ほぼ容易に視認できる
C:欠陥や曇りで全体が覆われるが、視認はできる
D:視認できない
成形した包装容器を100枚重ね、1kgfの荷重を60分間かけたのち、上から順にめくった際にはがれる枚数を計測した。100枚全てをはがしたときに、全て1枚ずつはがれた場合は1、2枚以上が重なって剥れるものがあった場合はその最大枚数を記載した。最大枚数が5枚以下であれば、スタッキング防止性に優れているといえる。
包装容器を所定温度のオーブン内に15分静置した後、容器高さの変化を測定した。この測定を、所定温度を2℃刻みで上昇させていきながら各温度で行った。容器高さが加熱前の容器高さから5%以上減少する最低温度により耐熱性を評価した。最低温度が102℃以上であれば、耐熱性に優れているといえる。
包装容器のヒンジ部分を曲率半径R=1.0にて折り曲げた状態で、脂肪酸トリグリセライド(ココナードML 花王社製)とハッカ油(大洋製薬社製)の体積比3:1の混合液2mlをしみ込ませたガーゼ10×10mmを貼り付け、室温で静置し、容器を観察した。ガーゼを貼り付けてから白化又は割れがみられるまでの時間を計測した。計測は、ガーゼを貼り付けてから1、3、6、12、24、48、72時間が経過した後にそれぞれ行った。当該時間が12時間以上であれば、耐油性に優れているといえる。
Claims (14)
- 芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物をモノマー単位として含む共重合体(A)と、ゴム成分に芳香族ビニル化合物をグラフト重合させたグラフト共重合体(B)と、を含有する樹脂組成物を延伸してなる樹脂層を備える延伸シートであって、
前記共重合体(A)のビカット軟化点をTa(℃)、前記グラフト共重合体(B)のビカット軟化点をTb(℃)、前記グラフト共重合体(B)中のゴム状分散粒子の体積中位粒子径をDb(μm)、前記延伸シート中のゴム状分散粒子の体積平均粒子径をDs(μm)としたとき、下記式(a)~(d)を満たし、
前記延伸シートの少なくとも一方の面の算術平均粗さSaが0.05~0.25μm、二乗平均平方根粗さSqが0.1~0.5μmである、延伸シート。
102≦Ta≦110 …(a)
16≦Ta-Tb≦25 …(b)
2≦Db≦4 …(c)
1.5≦Ds/Db≦3 …(d) - 前記延伸シートの収縮開始温度が前記Tbより10~30℃高い、請求項1に記載の延伸シート。
- 前記延伸シートの熱収縮率から求められる延伸倍率が1.8~3.2倍である、請求項1又は2に記載の延伸シート。
- 前記樹脂層の少なくとも一方の面上に、ポリジメチルシロキサンを含有する離型剤層を更に備える、請求項1~3の何れか1項に記載の延伸シート。
- 前記延伸シート中の総揮発分量が3000ppm以下、オリゴマー量が3000ppm以下、シアン化ビニル化合物モノマーの含有量が50ppm以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の延伸シート。
- 前記延伸シートの全光線透過率が80~99%、HAZEが0.3~3%である、請求項1~5の何れか1項に記載の延伸シート。
- 前記延伸シートの色座標b*値が0~8である、請求項1~6の何れか1項に記載の延伸シート。
- 前記延伸シート中の溶剤可溶分の重量平均分子量(Mw)が10万~25万である、請求項1~7の何れか1項に記載の延伸シート。
- 前記延伸シート中のゲル分が0.05~1.5質量%である、請求項1~8の何れか1項に記載の延伸シート。
- 請求項1~9の何れか1項に記載の延伸シートの製造方法であって、
前記共重合体(A)と前記グラフト共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を二軸延伸する工程を備える、延伸シートの製造方法。 - 請求項1~9の何れか1項に記載の延伸シートで形成された包装容器。
- 収縮開始温度が100~112℃である、請求項11に記載の包装容器。
- 請求項11又は12に記載の包装容器の製造方法であって、
請求項1~9の何れか1項に記載の延伸シートを成形する工程を備える、包装容器の製造方法。 - 前記成形が熱板成形である、請求項13に記載の包装容器の製造方法。
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