JP6945993B2 - スチレン系延伸シ−ト及び包装容器、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

スチレン系延伸シ−ト及び包装容器、ならびにそれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6945993B2
JP6945993B2 JP2016228521A JP2016228521A JP6945993B2 JP 6945993 B2 JP6945993 B2 JP 6945993B2 JP 2016228521 A JP2016228521 A JP 2016228521A JP 2016228521 A JP2016228521 A JP 2016228521A JP 6945993 B2 JP6945993 B2 JP 6945993B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
styrene
stretched sheet
based stretched
mass
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016228521A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018083908A (ja
Inventor
学 横塚
学 横塚
大輔 吉村
大輔 吉村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denka Co Ltd
Denki Kagaku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denka Co Ltd, Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denka Co Ltd
Priority to JP2016228521A priority Critical patent/JP6945993B2/ja
Publication of JP2018083908A publication Critical patent/JP2018083908A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6945993B2 publication Critical patent/JP6945993B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、スチレン系延伸シ−ト及び包装容器、ならびにそれらの製造方法に関する。
従来、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、デパ−ト、弁当店等の店舗において、食料品や加工食品等を販売する際に使用される容器として、合成樹脂シ−トからなる包装容器が用いられている。
その中でも、スチレン系延伸シートは、透明性に優れ、剛性が高いため、食品包装容器分野で幅広く使用されている。
スチレン系延伸シートは一般に、ポリスチレンを主とした樹脂組成物をシート状に押し出したものを金属ロールにて繰り出し、一軸または二軸方向に延伸したものを巻物状に巻き取る製造方法が挙げられる。また、スチレン系延伸シートの包装容器への成形方法としては、主として熱板成形、真空成形などによる金型成形が用いられる。更に、得られた包装容器は複数枚積層した上で樹脂製袋に梱包され、さらに段ボール紙製箱に敷き詰められた状態でスーパーマーケット等に提供されるのが一般的である。
これらのスチレン系延伸シートは、製造の際に金属ロールと接触したり、巻物状に巻き取るため繰り出す際にシート同士の接触などにより、表面に傷がつき外観や透明性を損ねる懸念があった。また、スチレン系延伸シートを成形して得られる包装容器は、成形の際に金型などとの接触したり、包装容器を積層した状態で輸送する際に、包装容器同士の接触などにより、表面に傷がつき外観や透明性を損ねる懸念があった。さらに、スチレン系延伸シート同士や包装容器同士の間、スチレン系延伸シートと金属ロールの間、包装容器と金型の間に夾雑物が存在する場合、これらの表面に傷がつき外観や透明性を損ねる懸念があった。
これまで、スチレン系延伸シートや包装容器の傷付き対策としては製造工程内での品質検査、梱包方法や輸送方法での対策によるところが大きく、食品包装容器用のスチレン系延伸シートに関しては、シートそのものの耐傷付き性を要求されることは少なかった。しかし、近年の食品需要の多様化に伴うこれら包装容器への高い品質要求、貿易の自由化や海外需要の増加に伴うシート・容器の国外への輸出の増大や、上記品質管理ノウハウの少ない国外メーカーでのシート成形の機会が増えることから、シート・容器自身についても高い耐傷付き性を考慮する必要が生じている。
過去の報告例においては、ポリスチレン系延伸シートに滑性を付与する方法(特許文献1、2)などが知られている。しかし、これらの手法では、シートや容器同士の接触の際の摩擦力の低減による傷付きは減少できるものの、根本的な対策は図れず、また上記のような金属ロールや金型や夾雑物との接触による傷付きや、包装容器に荷重がかかった際の変形による傷付きは回避できず、耐傷付き性を付与する方法としては不十分であった。
特開昭50−74649号公報 特開昭53−115781公報
本発明は、これらの現状を鑑み、成形性、剛性、透明性に加え、耐傷付き性及び耐変形性に優れるスチレン系延伸シート、並びに製造方法を提供することを目的とする。さらに、このスチレン系延伸シートを用いた包装容器及びその製造方法を提供することを目的とする。シート製造や容器への成形時、またそれらの運搬の際に生じうる傷付きやへこみを防止するスチレン系延伸シート及びそれから得られる包装容器並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示すスチレン系延伸シート及び包装容器並びにそれらの製造方法を提供する。
(1)芳香族ビニル化合物を50〜98質量%、シアン化ビニルまたはその誘導体、(メタ)アクリル酸またはその誘導体、不飽和ジカルボン酸無水物またはその誘導体のいずれか1種以上を2〜50質量%含む芳香族ビニル系共重合体からなるJISZ 2245に基づくMスケールでのロックウェル硬さが70〜110であるスチレン系延伸シート。
(2)シアン化ビニルがアクリロニトリルである(1)のスチレン系延伸シート。
(3)(メタ)アクリル酸がメタクリル酸であり、(メタ)アクリル酸メチルの誘導体がメタクリル酸メチルである(1)または(2)に記載のスチレン系延伸シート。
(4)不飽和ジカルボン酸が無水マレイン酸である(1)〜(3)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シート。
(5)スチレン系延伸シートの厚さの最大値と最小値の差を厚みの平均値で割った値(R値)が20%未満である(1)〜(4)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シート。
(6)少なくとも一方の面に、シリコーンを含む層を有する(1)〜(5)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シート。
(7)シリコーンを含む層の単位面積あたりのシリコーン含有量が2〜50mg/平方メートルである(6)に記載のスチレン系延伸シート。
(8)少なくとも一方の面に、脂肪酸エステルを150mg/平方メートル以下含む層を有する(1)〜(5)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シート。
(9)スチレン系延伸シート中のゲル分率が0.05〜1.5質量%である(1)〜(8)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シート。
(10)ASTM D 1894に基づくR接触子での動摩擦係数が0.3〜1.5である(1)〜(9)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シート。
(11)引張弾性率が2700〜3700MPaである(1)〜(10)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シート。
(12)HAZEが3%未満である(1)〜(11)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シート。
(13)二軸延伸する工程を経て得られる(1)〜(12)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シートの製造方法。
(14)(1)〜(12)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シートを用いて作成される包装容器。
(15)(1)〜(12)の何れか1つに記載のスチレン系延伸シートを熱成形する工程を含む包装容器の製造方法。
本発明では、特定量の芳香族ビニル化合物を含有する芳香族ビニル系共重合体からなる、Mスケールでのロックウェル硬さが70〜110のスチレン系延伸シートが、成形性、剛性、透明性、耐傷付き性に優れることを見出した。また、剛性の改善により、本発明のスチレン系延伸シートを用いた包装容器は、耐傷付き性及び耐変形性が良好となる。
本発明のスチレン系延伸シートは特に剛性に優れ、特にフードパックなどの肉薄で高さ又は深さのある包装容器に好適に用いることが出来る。
また、本発明のスチレン系延伸シートは特に耐傷付き性に優れ、遠隔地への大型車両・航空機・船舶での長期輸送が可能となるほか、外観において特に高い品質要求が求められる分野における透明包装容器として好適に用いことができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のスチレン系延伸シートは、芳香族ビニル化合物の重合体または共重合体により構成されるスチレン系延伸シートである。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、アルキルスチレン(例えば、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン及び第三級ブチルスチレンなどのo−、m−、p−の各異性体)、アルファアルキルスチレン(例えばアルファメチルスチレン、アルファエチルスチレンなど)、モノハロゲン化スチレン(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレン及びフルオロスチレンなどのo−、m−、及びp−の各異性体)、ジハロゲン化スチレン(例えば、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ジフルオロスチレン及びクロロブロモスチレンなどの各核置換異性体)、トリハロゲン化スチレン(例えば、トリクロロスチレン、トリブロモスチレン、トリフルオロスチレン、ジクロロブロモスチレン、ジブロモクロロスチレン及びジフルオロクロロスチレンなどの各核置換異性体)、テトラハロゲン化スチレン(例えば、テトラクロロスチレン、テトラブロモスチレン、テトラフルオロスチレン及びジクロロジブロモスチレンなどの各核置換異性体)、ペンタハロゲン化スチレン(例えば、ペンタクロロスチレン、ペンタブロモスチレン、トリクロロジブロモスチレン及びトリフルオロジクロロスチレンなどの各核置換異性体)、アルファー及びベーターハロゲン置換スチレン(例えば、アルファクロロスチレン、アルファブロモスチレン、ベータークロロスチレン及びベーターブロモスチレンなど)等を挙げることができるが、好ましくはスチレン、アルファメチルスチレンであり、更に好ましくはスチレンである。これらの芳香族ビニル化合物は、単独でもよく2種以上であってもよい。
本発明のスチレン系延伸シートを構成する樹脂組成物は、芳香族ビニル化合物モノマー単位の含有量が、モノマー単位全量基準で98〜50質量%であり、好ましくは94〜60質量%であり、更に好ましくは90〜64質量%である。芳香族ビニル化合物モノマー単位を上記記載の範囲内にすることにより、成形性、剛性、透明性に優れたスチレン系延伸シートを得ることが出来る。
本発明のスチレン系延伸シートは、シアン化ビニルまたはその誘導体、(メタ)アクリル酸またはその誘導体、不飽和ジカルボン酸無水物またはその誘導体のいずれか1つ以上を共重合してなる樹脂組成物から構成される。これらのモノマー単位を含有することにより、成形性、剛性、透明性を損なわずに、後述する硬さやそれによる耐傷付き性を向上させることが出来る。
本発明のスチレン系延伸シートを構成する樹脂組成物は、シアン化ビニルまたはその誘導体、(メタ)アクリル酸またはその誘導体、不飽和ジカルボン酸無水物またはその誘導体のいずれか1つ以上のモノマー単位の含有量が、モノマー単位全量基準で2〜50質量%であり、好ましくは6〜40質量%、更に好ましくは10〜36質量%である。これらのモノマー単位を2〜50質量%の範囲内にすることにより、優れた成形性、剛性、透明性を損なわずに、後述する硬さやそれによる耐傷付き性に優れたスチレン系延伸シートを得ることが出来る。
前記記載のシアン化ビニルまたはその誘導体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、2−メチレンマロノニトリル等を挙げることができるが、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、更に好ましくはアクリロニトリルである。これらのシアン化ビニル化合物は、単独でもよく2種以上であってもよい。
前記記載の(メタ)アクリル酸またはその誘導体としてはアクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート等のアクリル酸エステル等を挙げることができるが、好ましくはメタクリル酸、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートであり、より好ましくはメタクリル酸、メチルメタクリレートであり、更に好ましくはメチルメタクリレートである。これらの(メタ)アクリル酸化合物は、単独でもよく2種以上であってもよい。
前記記載の不飽和ジカルボン酸無水物またはその誘導体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、N−アルキルマレイミド(アルキル基としては、例えばメチル、ブチル、シクロヘキシル)、及びN−アリールマレイミド(アリール基としては、例えばフェニル、クロルフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリブロモフェニル)等が挙げられるが、好ましくは無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、更に好ましくは無水マレイン酸である。これらの不飽和ジカルボン酸無水化合物は、単独でもよく2種以上であってもよい。
本発明のスチレン系延伸シートを構成する樹脂組成物には、必要に応じて他の共重合可能なビニル系単量体を共重合させることができる。他のビニル系モノマー単位の含有量は、特に限定されるものではないが、上記芳香族ビニル化合物、シアン化ビニルまたはその誘導体、(メタ)アクリル酸またはその誘導体、不飽和ジカルボン酸またはその誘導体のモノマー単位の含有量が上記範囲から外れない範囲であることが好ましい。
本発明のスチレン系延伸シートは、JIS Z 2245に基づくMスケールでのロックウェル硬さが70〜110であることが必須であり、好ましくは75〜105、より好ましくは80〜100、更に好ましくは85〜95である。ロックウェル硬さが70以上であることにより、剛性及び耐傷付き性を向上させることが出来る。また、ロックウェル硬さが110以下であることにより、成形性、透明性を損ねることなく目的のスチレン系延伸シートを得ることが出来る。
本発明のスチレン系延伸シートを構成する樹脂組成物に、必要に応じてゴム変性スチレン系樹脂を添加しても良い。ゴム変性スチレン系樹脂を添加することにより、スチレン系延伸シートの滑性を向上させることができるが、シートの透明性及び剛性を損ねる懸念から、ゴム変性スチレン系樹脂の含有量は樹脂組成物100質量部に対し3質量部以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
ゴム変性スチレン系樹脂の原料の単量体としては、例えばスチレン、アルキルスチレン(例えば、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン及び第三級ブチルスチレンなどのo−、m−、p−の各異性体)、アルファアルキルスチレン(例えばアルファメチルスチレン、アルファエチルスチレンなど)、モノハロゲン化スチレン(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレン及びフルオロスチレンなどのo−、m−、及びp−の各異性体)、ジハロゲン化スチレン(例えば、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ジフルオロスチレン及びクロロブロモスチレンなどの各核置換異性体)、トリハロゲン化スチレン(例えば、トリクロロスチレン、トリブロモスチレン、トリフルオロスチレン、ジクロロブロモスチレン、ジブロモクロロスチレン及びジフルオロクロロスチレンなどの各核置換異性体)、テトラハロゲン化スチレン(例えば、テトラクロロスチレン、テトラブロモスチレン、テトラフルオロスチレン及びジクロロジブロモスチレンなどの各核置換異性体)、ペンタハロゲン化スチレン(例えば、ペンタクロロスチレン、ペンタブロモスチレン、トリクロロジブロモスチレン及びトリフルオロジクロロスチレンなどの各核置換異性体)、アルファー及びベーターハロゲン置換スチレン(例えば、アルファクロロスチレン、アルファブロモスチレン、ベータークロロスチレン及びベーターブロモスチレンなど)などが挙げることができるが、好ましくはスチレンである。これらの単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ゴム変性スチレン系樹脂の原料となるゴム状重合体としては、例えば1種又は2種以上の共役1,3−ジエン(例えばブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3ブタジエン、1−クロロ−1,3ブタジエン、ピペリレンなど)、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエンースチレンーアクリロニトリル共重合体、イソブチレン−アクリル酸エステル共重合体、ブチルゴム及びエチレンープロピレンーターポリマー(EPDM)などが挙げられるが、好ましくはブタジエンである。これらの単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ポリブタジエンとして、ハイシスポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体のいずれを用いてもよく、また混合物であっても良い。
本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂のゴム状分散粒子の体積中位粒子径は0.5〜5μmであることが好ましく、更に好ましくは1〜3μmである。体積中位粒子径が0.5μm未満では得られるスチレン系延伸シートを成形したときの金型からの離型性が低い。また、5μmを超える場合は得られるスチレン系延伸シートの透明性が低下する。
なお、粒子径を調整する方法としては、重合工程においてゴム粒子の相転域での攪拌速度を調整する方法や、原料液中の連鎖移動開始剤の量を調整する方法などが挙げられる。ゴム状分散粒子の体積中位粒子径はゴム変性スチレン系樹脂組成物を電解液(3%テトラ−n−ブチルアンモニウム/97%ジメチルホルムアミド溶液)に溶解させ、コールターマルチサイザー法(コールター社製マルチサイザーII:アパチャーチューブのオリフィス径30μm)により測定して求めた体積基準の粒径分布曲線の50体積%粒子径をもって本発明の体積中位粒子径とする。
本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂のゴム状分散粒子のゲル分率は30〜60質量%が好ましい。ゲル分率を調整する方法としては、重合工程においてゴム含有量を調整する方法、開始剤量を調整する方法の他、重合後にスチレンのホモポリマーとのブレンドにより調整する方法などが挙げられる。ゲル分率は、質量1.00gのゴム変性スチレン系樹脂を精秤し(W)、メチルエチルケトン35ミリリットルを加え溶解し、その溶液を遠心分離機(コクサン社製H−2000B(ローター:H))にて、10000rpmで30分間遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテーションにより上澄み液を除去して不溶分を得、セーフティーオーブンにて90℃で2時間予備乾燥し、更に真空乾燥機にて120℃で1時間減圧乾燥し、20分間デシケーター中で冷却した後、乾燥した不溶分の質量(G)を測定して次のように求めることができる。
ゲル分率(ゴム状分散粒子量)(質量%)=(G/W)×100
本発明のスチレン系延伸シートを構成する樹脂組成物の可溶分の重量平均分子量は、SEC法で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。重量平均分子量は10万〜25万であることが好ましく、12〜20万であることがさらに好ましい。重量平均分子量が25万を超えるとシートの成形性が低下し、10万以下であるとシート製膜時に厚みむらなどの不具合が生じやすい。また、数平均分子量は5万〜10万、Z平均分子量は20万〜45万であることが好ましい。
なお、SEC測定は、以下のような条件で実施する。
装置:昭和電工社製Shodex「SYSTEM−21」
カラム:PLgel MIXED−B
温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/分
検出:RI
濃度:0.2質量%
注入量:100μl
検量線:標準ポリスチレン(Polymer Laboratories製)を用い、溶離時間と溶出量との関係を分子量と変換して各種平均分子量を求める。
本発明のスチレン系延伸シートを構成する樹脂組成物の200℃、49N荷重で測定したメルトマスフローレイト(MFR)は1〜5g/10分であることが好ましく、更に好ましくは2〜4g/10分である。MFRが1〜5g/10分の範囲内であることにより、スチレン系延伸シートの製造工程において、樹脂の溶融時の流動性及び製膜性が共に良好となる。
本発明のスチレン系延伸シートを構成する樹脂組成物のガラス転移点は、95〜135℃であることが好ましく、より好ましくは105〜125℃である。ガラス転移点が95〜135℃の範囲内であることにより、スチレン系延伸シートの成形工程において、シートの容器への加工性及び型再現性が共に良好となる。
本発明のスチレン系延伸シートを構成する樹脂組成物には、用途に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、鉱油等の添加剤、ガラス繊維、カーボン繊維およびアラミド繊維等の補強繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウムなどの充填剤を、スチレン系延伸シートの性能を損なわない範囲で更に含有していてもよい。
本発明のスチレン系延伸シートの製造方法としては、例えばアクリロニトリル−スチレン共重合体を含有する樹脂組成物を押出機により溶融混練してダイ(特にTダイ)から押し出し、次いで、一軸方向に延伸または二軸方向に逐次又は同時で延伸し、ワインダーにてロール状に巻き取る製造方法が挙げられる。
本発明のスチレン系延伸シートは、1層の樹脂で構成された単層シートであっても良く、複数の異なる樹脂層で構成された多層シートであってもよい。多層スチレン系延伸シートの製造方法としては、 少なくとも2台の押出機を準備し、これら押出機に接続された1組のフィードブロック及びフィードブロックダイ、或いはマルチマニホールドダイにて合流・積層させ共押出する方法などが挙げられる。
押出機として、一軸押出機、二軸押出機、タンデム押出機などを使用することができる。
延伸方法としては、ロールを用いたMD(Machine Direction;シート流れ方向)のみの一軸延伸、MD延伸の後にTD(Transverse Direction;シート流れ方向に垂直な方向)延伸を行う逐次ニ軸延伸、MD及びTDの延伸を同時に行う同時ニ軸延伸などが挙げられるが、スチレン系延伸シートの強度の等方性、インラインで生産における生産性の面から、ロールを用いた縦延伸後、テンターを用いた横延伸を行うことが好ましい。
スチレン系延伸シートの厚みは、特に限定されないが、通常0.01〜1mm、好ましくは0.05〜0.5mm、更に好ましくは0.1〜0.4mmである。厚みが0.01mm未満であると包装容器に成形したときの剛性が低下する。また、1mmを超えると成形性が低下する。
また、本発明のスチレン系延伸シート中の厚みの最大値と最小値の差は小さいほうが、成形性及び包装容器の剛性の面から好ましい。厚みの最大値と最小値の差を厚み平均値で割った値(R値)は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは12%以下、更に好ましくは5%以下である。R値が20%を越えるとスチレン系延伸シートを巻き取って得られたロール状の巻取り体にコブ状の不良が発生する可能性がある。なお、厚みの最大値と最小値の差はスチレン系延伸シートの幅方向、長さ方向、一定面積内いずれの場合にも使用しうるが、本発明における最大値と最小値の差及びR値は、スチレン系延伸シートの幅方向の厚みについて指すこととする。
本発明におけるスチレン系延伸シートの、MD及びTDの延伸倍率は、1.8〜3.2倍であることが好ましい。
本発明において延伸倍率とは、スチレン系延伸シートの試験片が加熱前後で変化する割合であり、具体的には、次式すなわち、延伸倍率=Y/Z、単位[倍]によって算出される値を意味する。この式において、Yは、加熱前にスチレン系延伸シート表面に、MDおよびTDに描いた直線の長さ[mm]を示し、Zは、温度150℃のオーブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さ[mm]を示す。
また、スチレン系延伸シートのMD及びTDの熱収縮応力は0.3〜1.5MPaであることが好ましい。なお、熱収縮応力は、ASTMD−1504に準じて150℃のシリコーンオイル中で測定することにより得られる応力のピーク値を採用する。
スチレン系延伸シートの引張弾性率は2700〜3700MPaが好ましく、より好ましくは3000〜3500MPa、更に好ましくは3100〜3400MPaである。引張弾性率が2700MPa未満であると、シートの剛性が低下する。また、3700MPaを超えると成形性が低下する。なお、引張弾性率はJISK−6251に準拠し、2号型テストピース形状にカットし、引張速度500mm/minにて測定した値である。
スチレン系延伸シートの動摩擦係数は0.3〜1.5であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.3、更に好ましくは0.6〜1.0である。動摩擦係数が0.3未満であると、シートの滑性が高すぎて巻き取り時に巻きズレ等の不具合の原因となりやすい。また、1.5を超えるとスチレン系延伸シートの滑性が低下し、このシートを成形して得られる成形体の耐スタック性が劣る場合がある。ブロッキング、傷付き発生の懸念が生じる。なお、動摩擦係数は、ASTM D 1894に基づくR接触子で測定した値である。
スチレン系延伸シート中の未反応のモノマーやダイマー、トリマーなどのオリゴマーは少ないほうが好ましい。スチレン系延伸シート中のモノマー含有量及びオリゴマーの含有量の合計値は、1.0%未満であることが必須であり、0.5%未満であることがより好ましい。
前記モノマー及びオリゴマーの含有量の合計値は、ガスクロマトグラフィーで測定することができ、以下の方法の測定することができる。
装置名:GC−12A(島津製作所社)
カラム:ガラスカラム φ3[mm]×3[m]
定量法:内部標準法(シクロペンタノール)
スチレン系延伸シートの全光線透過率は80%以上、HAZEは3%以下であることが好ましい。HAZEが3%を超えると成形品の透明性が低下する。なお、全光線透過率及びHAZEはJISK−7361−1に準じて、以下のような条件にて測定する。
サンプル:スチレン系延伸シート1枚
装置:ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)
また、スチレン系延伸シートのL*値は75以上、a*値は−4〜+4、b*値は0〜+8であることが好ましい。なお、L*値、a*値、b*値とは、CIEに規定されるL*a*b*色空間の色座標のことである。これらの値は、対象となる樹脂を射出成型機で2mmプレートに成型後、以下のような条件にて測定する。
サンプル:スチレン系延伸シートを積層し、厚み4.5mmに調整したもの
装置:分光測色計CM−2500d(コニカミノルタ)
測定方法:SCI法(正反射光込み)
本発明のスチレン系延伸シートのゲル分は0.05〜1.5質量%であることが好ましい。ゲル分が1.5質量%を超えるとシート製膜時にフィッシュアイとよばれる、樹脂中に完全に混和しないためにできる小さな球状欠陥が生じやすくなる。また、ゲル分が0.05質量%未満であると、ゴム変性ポリスチレンによる表面の凹凸が生じにくくなり、金型離型性及び耐スタッキング性が低下する。
ゲル分は、シート1.00gを精秤し(W)、メチルエチルケトン35ミリリットルを加え溶解し、その溶液を遠心分離機(コクサン社製H−2000B(ローター:H))にて、10000rpmで30分間遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテーションにより上澄み液を除去して不溶分を得、セーフティーオーブンにて90℃で2時間予備乾燥し、更に真空乾燥機にて120℃で1時間減圧乾燥し、20分間デシケーター中で冷却した後、乾燥した不溶分の質量Gを測定して次のように求めることができる。
ゲル分(質量%)=(G/W)×100
本発明のスチレン系延伸シートのゴム分(R)は、0.03〜1.2質量%であることが好ましい。ゴム分は、シートをクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に約1時間放置後、ヨウ化カリウム溶液を加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量から求めることができる。
本発明のスチレン系延伸シートのメタノール可溶分は1質量%以下であることが好ましい。ここでいうメタノール可溶分とは、スチレン系延伸シートのメタノールに可溶な成分を指し、例えばゴム変性スチレン系樹脂の重合工程や脱揮工程で副生成するスチレンオリゴマー(スチレンダイマー、スチレントリマー)の他に、流動パラフィンやシリコーンオイル等の各種添加剤や残存スチレンモノマー、及び重合溶媒等の低分子量成分が含まれる。なお、メタノール可溶分はスチレン系延伸シート1.00gを精秤し(P)、メチルエチルケトン40ミリリットルを加えて溶解し、メタノール400ミリリットルを急激に加えて、メタノール不溶分(樹脂成分)を析出、沈殿させる。約10分間静置した後、ガラスフィルターで徐々にろ過してメタノール可溶分を分離し、真空乾燥機にて120℃で2時間減圧乾燥した後、デシケーター内で25分間放冷し、乾燥したメタノール不溶分の質量(N)を測定して、次のように求めることができる。
メタノール可溶分(質量%)=(P−N)/P×100
本発明のスチレン系延伸シートの表面に、例えばグラビアコーターなどの汎用の塗布方法を用い、離型剤、界面活性剤からなる層を形成することができる。
離型剤としては、シリコーンオイル、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどをあげることができるが、特に、滑性を向上させ、かつ食品安全性の観点で優れることから、ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
離型剤として使用するシリコーンオイルは水に分散させたものであることが好ましく、シリコーンオイルと水とのエマルジョンの形態であることがより好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の有機ポリシロキサンなどが挙げられるが、特に食品安全上及び経済性によりジメチルポリシロキサンが好ましい。本発明に用いるシリコーンオイルの粘度はシートの滑り性や成形時の金型との剥離性より100〜100000cstのものが好ましく、更に5000〜30000cstのものが好ましい。
上記離型剤の単位面積当たりの重量は2〜50mg/mであることが好ましく、より好ましくは5〜20mg/mである。2mg/m未満であるとスチレン系延伸シートに十分な滑性を付与することが難しく、このシートを成形して得られる成形体の耐スタック性が劣る場合がある。また、50mg/mを超えるとシートの滑性が高すぎて巻き取り時に巻きズレ等の不具合の原因となりやすい。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられるが、特に食品安全上及び経済性、他の添加剤や塗工剤に対する安定性の観点から、ノニオン系界面活性剤が好ましく、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステルがより好ましい。
上記ノニオン系界面活性剤のHLBは特に限定されることはないが、水に分散させて使用する場合を考慮すると、塗工性及び塗工後の外観の観点からHLBは高いほうが好ましい。また、上記シリコーンオイルと併用する場合を考慮すると、エマルジョン中のシリコーンオイル濃度を踏まえたHLBとすることがより好ましい。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸基としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸などの炭素数6〜30程度の飽和脂肪酸、リンデン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、イソオレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数10〜24程度の不飽和脂肪酸が挙げられるが、経済性及び安定性の観点から炭素数8〜22の飽和脂肪酸が好ましい。
脂肪酸エステルを構成するアルコール基としては、エチレングリコール及びその重合体、プロピレングリコール及びその重合体、グリセリン及びその2量体、3量体以上の重合体、ショ糖、ソルビタン、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。
上記界面活性剤の塗布量は特に限定されるものではないが、ロール状に巻き取る場合を考慮すると、150mg/mを超えるともう一方の面に裏移りしやすくなり透明性の低下の原因となるためあまり好ましくない。
上記離型剤、界面活性剤を形成する方法としては、水を溶媒とし所定の固形分濃度に調整した水溶液または分散液、乳化液をスプレーコーター、エアナイフコーター、グラビアロールコーターなどの方法により塗布したのち、熱風乾燥機、赤外線乾燥機などを用いて水分を乾燥し、塗布層を形成する方法等が挙げられる。
上記に挙げた離型剤、界面活性剤は単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて他の帯電防止剤、防曇剤、粘度調節剤、消泡剤、濡れ性改良剤、親水化剤、撥水剤、着色防止剤、酸化防止剤、抗菌剤、顔料、紫外線吸収剤、染料等などを添加しても良い。
スチレン系延伸シートの帯電減衰は 1秒以下であることが好ましく、より好ましくは5以下、更に好ましくは30秒以下である。静電減衰が30秒を超えると、シート同士の摩擦により静電気が発生し、埃や塵、シートをトリミング時の切粉がシート表面に付着し、シートの外観及び品質を低下させる。
本実施形態に係るスチレン系延伸シートは、成形加工により包装容器等の成形品に利用可能である。成形品としては、食品包装容器(すなわち食品を内容物とする包装容器)や食品包装容器の蓋材が好適であり、特に当該食品が油脂を含む食品である場合に好適である。また、食品包装容器、食品包装容器の蓋材は、電子レンジ加熱用、冷蔵用とすることができる。スチレン系延伸シートは食品包装容器の蓋材に用いられる場合、スチレン系延伸シートに使用される原材料については、食品添加物公定書やポリオレフィン衛生協議会のポジティブリストに登録されているなどの公に衛生性、安定性が認められている材料を用いることが好ましい。
スチレン系延伸シートから成形品を得る方法としては、熱成形法によって容器・トレイ等の成形品に成形することができる。熱成形法には限定はなく、真空成形法、圧空成形法、真空成形法と圧空成形法とを組み合わせた差圧成形法等、従来から知られている方法が挙げられる。なかでも、例えば、金型からの圧空圧と熱板側からの真空圧とにより、シートを熱板に近接または密着させて加熱し、その直後に熱板側からの圧空圧と金型側からの真空圧により、加熱、軟化したシートを金型に押し付けて成形する熱板加熱式圧空成形法により型再現性の良好な成形品を得ることができる。使用する熱板成形機は、熱板にシートが圧接している時間や圧空による成形する時間、シート圧接から圧空成形に切り替わるタイムラグ、成形サイクル等が設定できるタイプのものが望ましい。
本発明で使用した芳香族ビニル系共重合体を表1に示す。
なお、略称は以下の通りとする。
AS:スチレン−アクリロニトリル共重合体 (実験例1)
MS:スチレン−メタクリル酸メチル共重合体 (実験例2)
SMM:スチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸メチル共重合体 (実験例3)
GPPS:汎用ポリスチレン(トーヨースチロールHRM61 東洋スチレン社製)
SBS:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(クリアレン850L デンカ社製)
HIPS:ゴム変性ポリスチレン(トーヨースチロールH850N 東洋スチレン社製)
Figure 0006945993
なお、本発明で使用した芳香族ビニル系共重合体(実験例1〜3)は以下の方法により作製した。
{実験例1:スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS)の製造}
容積約20Lの完全混合型攪拌槽である第一反応器と容積約40Lの攪拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。表1に記載のとおり、アクリロニトリル24質量%、スチレン76質量%を含有する単量体溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存単量体と溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、スチレン/アクリロニトリルの質量組成比は76/24であった。
{実験例2:スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(MS)の製造}
容積約20Lの完全混合型攪拌槽である第一反応器と容積約40Lの攪拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。表1に記載のとおり、メタクリル酸メチル48質量%、スチレン52質量%を含有する単量体溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存単量体と溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のスチレン−メタクリル酸メチル共重合体(MS)を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、スチレン/メタクリル酸メチルの質量組成比は52/48であった。
{実験例3スチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸メチル共重合体(SMM)の製造}
容積約20Lの完全混合型攪拌槽である第一反応器と容積約40Lの攪拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。表1に記載のとおり、無水マレイン酸18質量%、メタクリル酸メチル18質量%、スチレン64質量%を含有する単量体溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存単量体と溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のスチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸メチル共重合体(SMM)を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、スチレン/無水マレイン酸/メタクリル酸メチルの質量組成比は64/18/18であった。
また、本発明で使用した離型剤、界面活性剤を表2に示す。
なお、略称は以下の通りとする。
シリコーン:ポリジメチルシロキサン SM7025EX (東レダウコーニング社)
DL100:ジグリセリンラウレート DL100 (理研ビタミン社)
J0021:デカグリセリンラウレート J0021 (理研ビタミン社)
C−250:ソルビタンカプリレート C−250 (理研ビタミン社)
L−250A:ソルビタンラウレート L−250A (理研ビタミン社)
B−150:ソルビタントリべへネート B−150 (理研ビタミン社)
Figure 0006945993
<実施例1>
上記芳香族ビニル系共重合体ASをテンター型二軸延伸シート押出機(Tダイ幅450mm、φ65mmエキストルーダー)を用い、押出温度230℃、回転数80rpmで厚さ1.5mmのシートを押出し、140℃に予熱し、歪み速度0.1/secでMD2.5倍、TD2.5倍に延伸し、厚さの平均値0.250mm、最大値0.260mm、最小値0.240mm、R値8.0%の二軸スチレン系延伸シートを得た。
さらに、シート両面それぞれにポリジメチルシロキサン SM7025EX (東レダウコーニング社製)をバーコーターを用いて塗布し、105℃の乾燥機にて乾燥させ、乾燥後塗布量20mg/m2の塗工層を有するスチレン系延伸シートを得た。結果を表3に示す。
<実施例2〜3、比較例1〜3>
実施例1の樹脂組成物の種類を変更したスチレン系延伸シートを得た。結果を表3に示す。
<実施例4〜7>
実施例1のポリジメチルシロキサン塗布量を変更したスチレン系延伸シートを得た。結果を表4に示す。
<実施例8〜12>
実施例1のスチレン系延伸シートの厚さ精度を変更したスチレン系延伸シートを得た。結果を表5に示す。
<実施例13〜16>
実施例1の樹脂組成物を異なる2種類の配合物としたスチレン系延伸シートを得た。結果を表6に示す。
<実施例17〜22>
実施例1のシート両面それぞれに、さらに脂肪酸エステルをバーコーターを用いて塗布、乾燥したスチレン系延伸シートを得た。結果を表7に示す。
実施例及び比較例で得られたシートを熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング製)にて、弁当蓋(寸法 縦241mm×横193mm×高さ28mm)を成形した。
上記シート及び成形した容器につき、以下の方法に評価を行った。
[ロックウェル硬さ]
スチレン系延伸シートを20枚積層し、総厚み4.5mmの積層シートとしたものをJIS Z−2245に基づくMスケールに準じてロックウェル硬さを測定した。
[鉛筆硬度]
スチレン系延伸シートをJIS K−5600−5−4に基づく鉛筆硬度試験にて、鉛筆の芯の硬さ(6B〜HB〜6H)を測定した。
[HAZE]
スチレン系延伸シートをJIS K−7361−1に準じてHAZEを測定した。
[引張弾性率]
スチレン系延伸シートをJISK−6251に準拠し、スチレン系延伸シートを2号型テストピース形状にカットし、オートグラフAGS−X(島津製作所製)の引張モードを用い、23℃、引張速度500mm/minにて測定した。
[動摩擦係数]
スチレン系延伸シートをASTM D−1894に基づくR接触子で、動摩擦係数を測定した。
[帯電減衰]
スチレン系延伸シートをJIS C−61340−28147に基づく方法にて、電圧が初期から初期の1/2まで減衰するまでの時間を測定した。
[巻き取り性]
スチレン系延伸シートを小型フィルム巻取機にて径25mmの巻芯に巻取り速度1m/分、幅50mm、巻取張力10Nにて100m巻き取った際のロール状の巻取り体について、コブ、巻ずれ、キズの有無を観察した。
[ロール保管後のHAZE]
上記スチレン系延伸シートの巻取り体をポリエチレンフィルムにて梱包し、恒温槽内に横長の状態で床置きしたのち、60℃、80%RH環境下にて24時間、23℃、30%RH環境下にて24時間静置した。巻取り体の床置き面を引き剥がし、所定の大きさにカットしたのち、JISK−7361−1に準じた方法でHAZEを測定した。
[容器特性:成形性]
得られたスチレン系延伸シートを熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング製)にて、熱板温度137℃、金型温度95℃、予熱時間2.0秒、成形時間3.0秒の条件で、フードパック(蓋寸法縦121mm×横193mm×高さ10mm/本体寸法縦121mm×横193mm×深さ28mmがヒンジ部にて連結したもの)を成形した。
得られたフードパックの外観が良好であるものを○で示した。
[容器特性:金型離型性]
包装容器の成形後、金型から剥離する際にほとんど抵抗なく、キズ、割れ、白化が生じないものを◎、剥離する際に若干の抵抗はあるが、キズ、割れ、白化が生じないものを○、キズが生じるものを△、割れまたは白化が生じるものを×とした。
[容器特性:耐スタッキング性]
包装容器を100枚成形したものを乗せ重ね、1kgfの荷重を60分間かけたのち、上から順にめくった際に剥れる枚数を計測した。100枚全てを剥がしたときに、全て1枚ずつはがれた場合は1、重複して2枚以上剥れるものがあった場合はその最大枚数を記載した。
[容器特性:圧縮強度]
包装容器の本体部分(縦121mm×横193mm×深さ28mm)の上下に縦121mm×横193mmのアルミ板を乗せ、その上からオートグラフAGS−X(島津製作所製)の圧縮モードにて、速度5mm/minにて圧縮したときの最大荷重を測定した。
[容器特性:耐傷付き性]
成形した容器を50枚積層し、ポリエチレン袋中に包装したのち、段ボール箱に梱包したものを1時間振盪したのち、容器を開け、蓋の天面を切り取ったのち、JISK−7361−1に準じた方法でHAZEを測定し、3%以下のものを合格とした。
Figure 0006945993
Figure 0006945993
Figure 0006945993
Figure 0006945993
Figure 0006945993

Claims (9)

  1. 芳香族ビニル化合物を50〜98質量%、アクリロニトリルを2〜50質量%含む芳香族ビニル系共重合体からなるスチレン系延伸シートであって、
    少なくとも一方の面に、シリコーンを含む層を有し、
    前記スチレン系延伸シート中のゲル分率が0.05〜1.5質量%であり、
    JISZ 2245に基づくMスケールでのロックウェル硬さが70〜110であるスチレン系延伸シート。
  2. スチレン系延伸シートの厚さの最大値と最小値の差を厚みの平均値で割った値(R値)が20%以下である請求項1に記載のスチレン系延伸シート。
  3. シリコーンを含む層の単位面積あたりのシリコーン含有量が2〜50mg/平方メートルである請求項1又は2に記載のスチレン系延伸シート。
  4. ASTM D 1894に基づくR接触子での動摩擦係数が0.3〜1.5である請求項1〜の何れか1項に記載のスチレン系延伸シート。
  5. 引張弾性率が2700〜3700MPaである請求項1〜の何れか1項に記載のスチレン系延伸シート。
  6. HAZEが3%以下である請求項1〜の何れか1項に記載のスチレン系延伸シート。
  7. 二軸延伸する工程を経て得られる請求項1〜の何れか1項に記載のスチレン系延伸シートの製造方法。
  8. 請求項1〜の何れか1項に記載のスチレン系延伸シートを用いて作製される包装容器。
  9. 請求項1〜の何れか1項に記載のスチレン系延伸シートを熱成形する包装容器の製造方法。
JP2016228521A 2016-11-25 2016-11-25 スチレン系延伸シ−ト及び包装容器、ならびにそれらの製造方法 Active JP6945993B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016228521A JP6945993B2 (ja) 2016-11-25 2016-11-25 スチレン系延伸シ−ト及び包装容器、ならびにそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016228521A JP6945993B2 (ja) 2016-11-25 2016-11-25 スチレン系延伸シ−ト及び包装容器、ならびにそれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018083908A JP2018083908A (ja) 2018-05-31
JP6945993B2 true JP6945993B2 (ja) 2021-10-06

Family

ID=62238163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016228521A Active JP6945993B2 (ja) 2016-11-25 2016-11-25 スチレン系延伸シ−ト及び包装容器、ならびにそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6945993B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002036353A (ja) * 2000-07-27 2002-02-05 Dainippon Ink & Chem Inc 二軸延伸芳香族ビニル系樹脂シートの製造方法
JP2002212233A (ja) * 2001-01-15 2002-07-31 Denki Kagaku Kogyo Kk ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂、そのシート及び食品包装容器
JP6085533B2 (ja) * 2013-07-19 2017-02-22 サンディック株式会社 二軸延伸スチレン系樹脂シート及びその成形品
JP6190542B2 (ja) * 2014-09-08 2017-08-30 デンカ株式会社 二軸延伸シート及び包装用容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018083908A (ja) 2018-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7019353B2 (ja) 延伸シ-ト及び包装容器、並びにそれらの製造方法
TWI697508B (zh) 雙軸延伸薄片及其成形品
JP6085533B2 (ja) 二軸延伸スチレン系樹脂シート及びその成形品
JP6190542B2 (ja) 二軸延伸シート及び包装用容器
WO2016143915A1 (ja) スチレン系二軸延伸シ-ト、防曇剤層付き二軸延伸シート、包装容器、及び加熱調理方法
TWI697507B (zh) 雙軸延伸薄片及其成形品
JP2018203837A (ja) スチレン系樹脂組成物、延伸シートおよび成形品
JP6854819B2 (ja) 二軸延伸シートおよびその成形品
JP6945993B2 (ja) スチレン系延伸シ−ト及び包装容器、ならびにそれらの製造方法
JP5124192B2 (ja) 二軸延伸ポリスチレン系樹脂シート
JP5027987B2 (ja) 真空成形性に優れた透明シート及びその成形品
JP6941487B2 (ja) 延伸シート及びその成形品
JP2018012530A (ja) 二軸延伸シートおよび包装用容器
JP4582765B2 (ja) ポリスチレン系2軸延伸シート及びその製造方法
JP2006273914A (ja) ニ軸延伸スチレン系樹脂シート及び成形品
JP2017031324A (ja) 芳香族ビニル系樹脂二軸延伸シート、成形品の製造方法、及び食品包装材
JP4053022B2 (ja) ポリスチレン系二軸延伸積層シート、成形体および容器
JP7200613B2 (ja) 耐衝撃性ポリスチレン系樹脂シート、及びその成形品
JP2010031142A (ja) スチレン系樹脂フィルム、該フィルムを用いた積層シートおよび成形品
JP2018203838A (ja) スチレン系樹脂組成物、延伸シートおよび成形品
JP7008436B2 (ja) 延伸シート及びその成形品
JP7002264B2 (ja) 二軸延伸シートおよびその成形品
JP2018048319A (ja) 延伸シ−ト及び包装容器、並びにそれらの製造方法
JP3929229B2 (ja) 耐熱性ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂組成物、そのシート及び包装容器
JP6423665B2 (ja) 二軸延伸スチレン系樹脂積層シート、成形品および食品包装容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190829

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200904

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201127

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20201127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210511

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210702

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210907

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210915

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6945993

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150