JP2002212233A - ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂、そのシート及び食品包装容器 - Google Patents

ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂、そのシート及び食品包装容器

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JP2002212233A
JP2002212233A JP2001006009A JP2001006009A JP2002212233A JP 2002212233 A JP2002212233 A JP 2002212233A JP 2001006009 A JP2001006009 A JP 2001006009A JP 2001006009 A JP2001006009 A JP 2001006009A JP 2002212233 A JP2002212233 A JP 2002212233A
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meth
styrene
poly
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resin
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JP2001006009A
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Takayuki Ando
孝行 安藤
Yosuke Goto
陽介 後藤
Kazuhiro Kobayashi
和博 小林
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形加工性、生産性、成形品外観、剛性、表面
硬さ、及び耐熱性のバランスに優れ、臭気の少ない食品
包装容器等の用途に最適な新規樹脂及びそのシートを提
供する。 【解決手段】スチレン系単量体単位30質量%以上50
質量%未満、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位
30質量%以上50質量%以下、及び他の共重合性単量
体単位0質量%を越え20質量%以下からなる共重合体
であって、該共重合体中の未反応単量体の含有率の合計
が2000ppm以下で、かつ、スチレン2量体と3量
体の含有率の合計が1000ppm以下で、更に硫黄系
連鎖移動剤に基づく硫黄含有量が70ppm以下とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリ(メタ)アクリ
ルスチレン系樹脂に関する。更に詳しくは、該樹脂中の
未反応単量体、スチレン2量体とスチレン3量体の合計
量、及び硫黄系連鎖移動剤に基づく硫黄含有量がそれぞ
れ規定量以下であることを特徴とし、射出成形時、シー
ト製造やその二次加工時の生産性、及びそれらの成形品
の外観に優れ、更に、剛性、表面硬さ、及び耐熱性との
バランスに優れ、臭気の少ない食品包装容器等の用途に
好適なポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂並びにその
樹脂の製造法、さらに該ポリ(メタ)アクリルスチレン
系樹脂を用いたポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂シ
ート及び食品包装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレンに代表されるスチレン系樹
脂は透明性、剛性、成形性等に優れ、更に安価であるこ
とから家庭用品、玩具、OA機器のハウジング材、食品
包装容器等に利用されている。特に、シート加工性、発
泡特性、真空成形性等の加工特性に優れる無毒で安全な
材料であることから、食品包装容器等の用途に多用され
てきた。また、業務用及び家庭用電子レンジの普及に伴
い、これらの食品包装容器に、剛性、表面硬さ、成形品
の外観改良が要求されるようになり、また、二軸延伸シ
ートを食品包装用の軽量容器に用いるにあたり、よりシ
ートの成形性及びその真空成形性等の二次加工特性に優
れるスチレン系樹脂が強く要求されている。
【0003】スチレン系樹脂の剛性を向上させる手法と
しては、スチレン系樹脂の平均分子量を大きくし高分子
量化する方法、及びスチレン系樹脂中に存在するゴム成
分若しくは可塑剤量を減量させる方法があるが、前者は
成形性を犠牲にし、一方後者は耐衝撃性を犠牲にするこ
とになる。一方、スチレン系樹脂の表面硬度を向上させ
る手法としては、含有する可塑剤を減量させる方法がこ
れまでに用いられているが、成形性が低下する問題があ
った。また、シリコンオイル等の滑剤を含有させる方法
も用いられいるが、印刷等の二次加工性が低下する問題
があった。更に、スチレン系樹脂の剛性及び表面硬度を
向上させる手法としては、メチルメタクリレート又は、
アクリロニトリルを共重合させる方法等があるが、いず
れの共重合樹脂も、溶融粘度が上昇するために成形加工
時の生産性に劣るものとなり、生産性を改良しようとし
て共重合樹脂の分子量を下げると脆いものとなり、脆さ
を改良しようとゴム成分を配合すると耐熱性が低下する
ためさらなる改良が求められていた。
【0004】また、成形品の外観を改良するために、あ
るいは成形加工性を向上させるために滑剤、可塑剤等を
添加してシート成形又は射出成形することが行われた。
滑剤、可塑剤の添加量が多いとシートを成形する押出機
の金型、もしくはロール表面にブリードアウトし、シー
ト表面やロールに付着し、汚染し、シート外観が劣る。
またシートを二次加工する際に二次加工機例えば真空成
形機等の金型にブリードアウトした滑剤、可塑剤が付着
し成形品の品質低下、あるいは連続成形性が中断され生
産性の低下を招く欠点がある。射出成形時においても同
様で、射出成形金型を汚染し、汚染物が成形品へ付着し
たりし、金型掃除の頻度を多し、また成形品の外観も劣
る為、生産性が損なわれる。また可塑剤を添加すると、
先に述べたように剛性、表面硬度もしくは機械的強度が
低下したりして不都合が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のスチ
レン系樹脂の欠点を改良し成形加工時の生産性、成形加
工性、成形品外観が良好で、剛性、表面硬さ、及び耐熱
性とのバランスに優れ、更に臭気の少ない食品包装容器
等の用途に好適な熱可塑性樹脂並びにその樹脂の製造方
法、その樹脂を用いたシート、及びその食品包装容器を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、特定範囲
の量を有するスチレン系単量体単位、(メタ)アクリル
酸エステル単量体単位、及び他の共重合性単量体単位か
らなる共重合体とし、更に該共重合体中に残存する未反
応単量体や副生して含まれるスチレン2量体及びスチレ
ン3量体、並びに硫黄系連鎖移動剤に基づく硫黄含有量
が、該共重合体の成形加工時の生産性や外観及び臭気に
大きく影響していることを見いだし、これら含有量を一
定値以下に抑制されて得たスチレン系単量体と(メタ)
アクリル酸エステル単量体の合計量を主成分とした共重
合体をもって初めて、当初の課題を解決し本発明を完成
するに至った。また、これらの未反応単量体量や、スチ
レン2量体及びスチレン3量体の副生量は特定の重合法
によって抑制され得ることも見いだしたものである。な
お、本発明のスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル
酸エステル単量体単位の合計量を主成分としてなる共重
合体を以下ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂と称す
る。
【0007】即ち本発明は、スチレン系単量体単位30
質量%以上50質量%未満、(メタ)アクリル酸エステ
ル単量体単位30質量%以上50質量%以下、及び他の
共重合性単量体単位0質量%を越え20質量%以下から
なる共重合であって、該共重合体中の(1)未反応単量
体の含有量の合計が2000ppm以下で、かつ、
(2)スチレン2量体とスチレン3量体の含有量の合計
が1000ppm以下で、更に、(3)硫黄系連鎖移動
剤に基づく硫黄含有量が70ppm以下であることを特
徴とするポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂、並びに
そのポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂を用いたポリ
(メタ)アクリルスチレン系樹脂シート及び食品包装容
器に関する。
【0008】また、単量体の合計100質量部に対し重
合開始剤として多官能有機過酸化物又は2種以上の単官
能有機過酸化物を合計0.01〜5質量部添加し、少な
くとも転化率が50質量%以上に至るまでの重合温度を
110℃未満に制御した後、温度125℃を越える重合
温度に制御してラジカル共重合することを特徴とする前
記ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂の製造法に関す
る。
【0009】更には、ポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂100質量部に対してゴム状重合体を10質量部以
下(但し、0質量部は含まず)を含有してなるポリ(メ
タ)アクリルスチレン系樹脂組成物及びそのポリ(メ
タ)アクリルスチレン系樹脂組成物を用いたポリ(メ
タ)アクリルスチレン系樹脂シート及び食品包装容器に
関する。
【0010】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂を構成するスチレン系単量体とはスチレン、α−メ
チルスチレン、またはベンゼン核の一部がアルキル基で
置換されたスチレンをいう。特に好ましくはスチレンで
ある。これらのスチレン系単量体は単独で用いてもよい
が二種以上を併用してもよい。
【0011】また、本発明で使用される(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体とは、メチルメタクリレート、エ
チルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート等の
アクリル酸エステルが挙げられるが、好ましくはメチル
メタクリレート、またはn−ブチルアクリレートであ
る。特に好ましくは、メチルメタクリレートである。こ
れらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は単独で用
いてもよいが二種以上を併用してもよい。
【0012】そして、他の共重合性単量体とはスチレン
系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重
合可能な単量体であれば特に制限はなく、マレイン酸、
イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のラジ
カル重合性多塩基酸及びその無水物、マレイミド、N−
メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロ
ヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレ
イミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、あるいは
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等
の単量体が例示できる。好ましくはメタクリル酸であ
る。
【0013】更に、これらのポリ(メタ)アクリルスチ
レン系樹脂に耐熱性を付与する場合には、共重合体中に
残存する未反応単量体の低減を考慮してマレイン酸、イ
タコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、メタクリル酸等が挙げられる。
【0014】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂は、スチレン系単量体単位30質量%以上50質量
%未満、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位30質
量%以上50質量%以下、他の共重合性単量体単位0質
量%を越え20質量%以下からなる共重合体をラジカル
共重合して得られる。本発明のポリ(メタ)アクリルス
チレン系樹脂はスチレン系単量体単位が30質量%未満
では成形加工性に劣る傾向となり、また、50質量%以
上ではスチレン2量体、スチレン3量体の生成割合が多
くなる傾向にある。また、(メタ)アクリル酸エステル
単量体単位が30質量%未満では剛性、表面硬さに劣る
傾向にあり、50質量%を越えると成形性、生産性に劣
る傾向にある。更に、他の共重合性単量体単位が20質
量%を越えると耐熱性は向上するもののポリ(メタ)ア
クリルスチレン系樹脂シート及び食品包装容器の生産
性、成形加工性、外観、剛性、表面硬さ、臭気のバラン
スが劣る傾向にある。従って、生産性、加工性、物性の
バランスが劣ることになる。
【0015】なお、前記した耐熱性を付与するために添
加する、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、N
−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、
N−フェニルマレイミド、メタクリル酸等の単量体を用
いる場合には1質量%以上20質量%以下が好ましく、
更に好ましくは3質量%以上20質量%以下である。
【0016】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂中のスチレン系単量体単位、(メタ)アクリル酸エ
ステル単量体単位、他の共重合性単量体単位の好ましい
範囲は、スチレン系単量体単位35質量%以上50質量
%未満、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位35質
量%以上50重量%以下、他の共重合性単量体単位1質
量%以上20重量%以下である。更に好ましくはスチレ
ン系単量体単位40重量%以上50重量%未満、(メ
タ)アクリル酸エステル単量体単位40重量%以上50
重量%以下、共重合性単量体単位3重量%以上20重量
%以下である。なお、単量体は重合初期に全量存在させ
て重合しても、重合途中で単量体に添加しながら重合さ
せても差し支えない。
【0017】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂中に含有する未反応単量体残存量の合計は2000
ppm以下である。2000ppmを越えると、該ポリ
(メタ)アクリルスチレン系樹脂を用いて成形加工する
際に、これらの未反応単量体が金型に付着したり、臭気
の原因となる。特に、シート製造時、未反応単量体がシ
ート表面へブリードアウトし、シート表面及びロールを
汚染する。また、シート成形時金型を汚染する。そのた
め好ましくは1200ppm以下、更に好ましくは80
0ppm以下である。
【0018】本発明でいうスチレン2量体とは1,2−
ジフェニルシクロブタン、2,4−ジフェニル−1−ブ
テン等であり、スチレン3量体とは2,4,6−トリフ
ェニル−1−ヘキセン、1−フェニル−4−(1’−フ
ェニルエチル)テトラリン、トリフェニルシクロヘキサ
ン等であるが、これらのオリゴマーの構造を特定するこ
とは本発明の目的あるいは本発明の効果とは直接関係は
ない。
【0019】また、本発明のポリ(メタ)アクリルスチ
レン系樹脂はスチレン2量体とスチレン3量体の含有量
が合計で1000ppm以下である。含有量が1000
ppmを越えると、シート製造時、シート表面にブリー
ドアウトし、シート表面及びロールを汚染する。また、
シート成形時金型を汚染する。更に臭気の原因になる。
そのため、好ましくは600ppm以下、更に好ましく
は400ppm以下である。
【0020】本発明の硫黄系連鎖移動剤に基づく硫黄含
有量とは、後で述べるポリ(メタアクリル)スチレン系
樹脂重合時に分子量等を調整する目的でn−ドデシルメ
ルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシル
メルカプタン等の硫黄系連鎖移動剤を添加する場合、そ
の連鎖移動剤に基づくポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂中の硫黄含有量のことである。
【0021】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂は硫黄系連鎖移動剤に基づく硫黄含有量は、70p
pm以下である。70ppmを越えると、特異的な臭気
の原因となる。そのため、好ましくは50ppm以下で
あり、更に好ましくは30ppm以下である。更にポリ
(メタ)アクリルスチレン系樹脂の分子量等を調整する
ためにα−メチルスチレンダイマー等の硫黄を含有しな
い添加剤を用いれば非常に好ましい。
【0022】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂のMw(重量平均分子量)が5万〜40万で、かつ
Mz(Z平均分子量)/Mwが1.3〜2.8であるこ
とが好ましい。Mwが5万より小さいとポリ(メタ)ア
クリルスチレン系樹脂自体が脆い傾向にあり、そのポリ
(メタ)アクリルスチレン系樹脂シートやその成形品も
脆い傾向にある。また、Mwが40万より大きい場合、
溶融粘度が大きくなり、シート成形や成形加工性が難し
く生産性に劣る傾向にある。更にMz/Mwが1.3〜
2.8の範囲外の場合、シート成形や成形加工が難し
く、生産性に劣る傾向にある。そのため、更に好ましM
wは8万〜37万であり、特に好ましくは10万〜35
万である。また、Mz/Mwの場合は更に好ましくは
1.4〜2.6であり、特に好ましくは1.6〜2.4
である。
【0023】次に、本発明の条件を満足するポリ(メ
タ)アクリルスチレン系樹脂の製造方法について述べ
る。本発明の知見によれば、スチレン2量体、スチレン
3量体の生成は、ラジカル重合時に十分量の重合開始剤
を存在させ、しかも比較的低温で重合することにより抑
制される。しかし低温で重合すると単量体が大量に残存
したり、生産性が低下したりするため、高転化率領域も
制御された温度状態等を維持して重合する必要がある。
本発明では重合開始剤に多官能有機過酸化物又は2種以
上の単官能有機過酸化物を用いることで、高転化率領域
で十分量の重合開始剤が存在し、スチレン2量体、3量
体の生成を抑え、かつ単量体が大量に残存したり生産性
が低下したりすることを抑えることができることを見い
出したものである。
【0024】即ち、使用する単量体の合計100質量部
に対し重合開始剤として多官能有機過酸化物又は2種以
上の単官能有機過酸化物を合計0.01〜5質量部、よ
り好ましくは0.03〜3質量部、更に好ましくは0.
05〜1質量部添加し、転化率が50質量%以上、より
好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量
%以上に至るまでの重合温度を110℃未満、好ましく
は105℃未満、さらに好ましくは温度100℃未満に
制御した後、続いて温度125℃を越える重合温度、よ
り好ましくは温度127℃を越える重合温度、さらに好
ましくは温度129℃を越える重合温度、但し上限は温
度250℃以下に制御してラジカル共重合することによ
り、本発明の目的に叶うポリ(メタ)アクリルスチレン
系樹脂を製造することができる。
【0025】有機過酸化物の含有率が0.01質量部未
満ではスチレン2量体、3量体を含むオリゴマーの副生
を抑制する効果が不十分であり、5質量部を越えると効
果が飽和して経済的に好ましくない上、得られた樹脂の
熱安定性、耐光性等が劣る。また、転化率が50質量%
に至るまでの重合温度が110℃以上であるとオリゴマ
ーが副生し好ましくない。また転化率が50質量%に至
るまでの重合温度を110℃未満に制御した場合であっ
ても、その後の重合温度を125℃を越える温度に制御
しないと単量体が大量に残存し、シート製造時にシート
表面にブリードアウトやシート表面の汚染や臭気等の劣
る傾向がある。但し上限温度は前記のとおり250℃以
下が好ましい。温度250℃を越えると得られるポリ
(メタ)アクリルスチレン系樹脂の熱安定性の劣る傾向
が見られる。
【0026】本発明において、多官能有機過酸化物の例
として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス
(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロ
パン、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブ
チレート等が挙げられる。また、単官能有機過酸化物の
例としてt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカー
ボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメ
チルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレー
ト、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネー
ト、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチル
パーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパー
オキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられ
る。半減期温度としては、好ましくは1時間半減温度が
80〜160℃、さらに好ましくは100〜145℃で
ある。
【0027】また、本発明では多官能有機過酸化物又は
2種以上の単官能有機過酸化物を添加して重合すること
が必要であり、1種のみの単官能有機過酸化物を添加し
て重合を行うと、単量体が大量に残存する等目的のもの
が得られない。なお、多官能有機過酸化物または2種以
上の単官能有機過酸化物を用いるならば、更に追加して
他の多官能有機過酸化物や単官能有機過酸化物を添加し
て重合することもできる。
【0028】更に本発明のポリ(メタ)アクリルスチレ
ン系樹脂の分子量を調整する目的で重合中に添加される
連鎖移動剤がある。例としてn−ドデシルメルカプタ
ン、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプ
タン等の硫黄系連鎖移動剤やα−メチルスチレンダイマ
ー等が挙げられる。
【0029】また、n−ドデシルメルカプタン、n−オ
クチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等の硫
黄系連鎖移動剤を用いる場合には、ポリ(メタ)アクリ
ルスチレン系樹脂中の硫黄系連鎖移動剤に基づく硫黄含
有量が、70ppm以下でなるような量で用いることが
必要である。
【0030】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂はラジカル重合で製造したものである。具体的に
は、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等で、好ましくは懸
濁重合である。懸濁重合は重合発熱の除熱が容易で、高
転化率領域まで重合が可能な為未反応単量体やスチレン
2量体、スチレン3量体を効率的に抑制出来る。
【0031】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂は、ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂の耐衝撃
強度やシートの強靭性あるいは平滑性を改良する目的で
ゴム状重合体を混合すること、あるいはゴム状重合体の
存在下でスチレン系単量体を重合した(共)重合体、ス
チレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体及
び/又はこれらと共重合可能な単量体を重合して得た共
重合体等のこれらのゴム状重合体含有(共)重合体を混
合することが出来る。また、ゴム状重合体とゴム状重合
体含有(共)重合体を併用することもできる。以下、こ
れらの混合物をポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂組
成物という。なお、ゴム状重合体の存在下でスチレン系
単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体及びこれら
と共重合可能な単量体を重合して得たゴム状重合体含有
(共)重合体もゴム状重合体を含有しているのでポリ
(メタ)アクリルスチレン系樹脂組成物といえる。
【0032】当該ゴム状重合体あるいはゴム状重合体含
有(共)重合体に用いられるゴム状重合体は、ポリブタ
ジエン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体あるい
はスチレン−ブタジエンランダム共重合体が好ましく、
スチレンとブタジエンの組成比は連続相である樹脂成分
との屈折率の差が下記の範囲になるように設定すること
が好ましい。
【0033】また、本発明のポリ(メタ)アクリルスチ
レン系樹脂に当該ゴム状重合体及び/又はゴム状重合体
含有共重合体を混合するに際し、混合物(ポリ(メタ)
アクリルスチレン系樹脂組成物)の透明性を重要視し透
明性を確保する目的の場合は、混合物の連続相である樹
脂成分と分散相を形成するゴム粒子との屈折率の差が
0.1以下が好ましい、更に好ましくは0.01以下で
ある。
【0034】なお、ゴム状重合体含有(共)重合体に用
いられるスチレン系単量体としては、前記したスチレン
等の単量体が、また(メタ)アクリル酸エステル系単量
体としては前記したメチルメタクリレート等の単量体、
これらの単量体と共重合可能な単量体としては、前記し
たメタクリル酸、マレイン酸、アクリロニトリル等の他
の共重合性単量体として挙げた単量体が用いられる。
【0035】ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂組成
物中に混合できる量は、ポリ(メタ)アクリルスチレン
系樹脂100質量部に対してゴム状重合体の含有量とし
て10質量部以下(但し、0は含まず)が好ましい。更
に好ましくは0.01〜8質量部で、特に好ましくは
0.05〜5質量部である。ゴム状重合体が0.01質
量部未満では改良効果が充分に発揮出来ず、10質量部
より多いと効果が飽和するばかりか、透明性、剛性、耐
油性に劣る傾向を示す。
【0036】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂とゴム状重合体及び/又はゴム状重合体含有(共)
重合体との混合物において、分散相であるゴム粒子の体
積平均粒子径は0.03μm〜5μm、好ましくは0.
1μm〜4μm、更に好ましくは0.2μm〜3μmで
ある。ゴム粒子の平均粒子径が0.03μmより小さい
と強靭性及び平滑性の改良効果が充分に発揮出来ず、5
μmより大きいと効果が飽和するばかりでなく、透明
性、剛性、耐油性が低下する傾向を示す。
【0037】当該ゴム状重合体含有(共)重合体の製法
は特に制限はないが、乳化重合で製造されたゴム状重合
体ラテックスの存在下に樹脂成分を構成する単量体に溶
解して塊状重合、溶液重合あるいは懸濁重合する方法が
好ましく、例えば、特公昭45−31677号公報、特
公昭46−32748号公報、特公昭47−8624号
公報等に開示された技術が知られている。異なる方法で
製造された、ゴム粒子の性状の異なるゴム状重合体含有
(共)重合体を併用することも可能である。
【0038】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂及びポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂組成物に
は必要に応じて酸化防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、顔
料、染料、発泡剤、発泡核剤、無機フィラー、帯電防止
剤、摺動剤等公知の添加剤を含有することもできる。更
に、本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂及び
ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂組成物はGP−P
SやHI−PS、MS樹脂、MBS樹脂、AS樹脂、A
BS樹脂、PE、PP、PPO等公知の樹脂と組み合わ
せて使用することもできる。
【0039】本発明のポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂及びポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂組成物
は、公知の手法によりポリ(メタ)アクリルスチレン系
樹脂シート及び食品包装容器とすることができる。例え
ば、ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂シートの製造
法として、1軸延伸法、2軸延伸法、多軸延伸法、発泡
成形法、共押出法、積層法等が挙げられる。その中で2
軸延伸法が好ましい。また、食品包装容器の製造法とし
ては、射出成形法、上記シートを圧空成形法、真空成形
法、真空圧空成形法等が挙げられる。その中で射出成形
法や真空圧空成形法が好ましい。
【0040】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。なお、「%」は質量基準である。最初に、本発
明における評価法を以下に説明する。
【0041】(1)単量体単位の測定:13C−NMRを
用いて、それぞれの単量体単位に起因するスペクトルピ
ークの面積比より組成比を算出した。 (2)未反応単量体の測定:下記記載のガスクロマトグ
ラフィーを用い、内部標準法で測定した。 装置名:GC−12A(島津製作所社製) カラム:ガラスカラム φ3mm×3m 定 量:内部標準法(シクロペンタノール) (3)スチレン2量体、3量体の測定:ガスクロマトグ
ラフィー法で測定したものであり、詳細はポリオレフィ
ン等衛生協議会発行の文献、「ポリオレフィン等合成樹
脂食品容器包装等に関する自主規制基準」(第3版)、
第3部衛生試験法−追補(1993年5月)に記載の測
定法に準じて行った。 (4)硫黄系連鎖移動剤に基づく硫黄含有量の測定:ポ
リ(メタ)アクリルスチレン系樹脂の平板を用い、X線
分析の蛍光法で硫黄の定量を行った。 (5)重量平均分子量(Mw)、及びZ平均分子量(M
z)の測定:下記記載のGPC測定条件で測定した。 装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工
社製) カラム:PLgel MIXED−Bを3本直列 温 度:40℃ 検 出:示差屈折率 溶 媒:テトラヒドロフラン 濃 度:2質量% 検量線:標準PS(PL社製)に準拠(分子量はPS換
算値) (6)ゴム粒子の体積平均粒子径:下記記載の方法で測
定した。 装置名:レーザー回折方式粒子アナライザーLS−23
0型(コールター社製) 溶 媒:ジメチルホルムアミド
【0042】(7)生産性の評価:下記記載の条件で
シート押出し、ロールの汚染程度で判断した。 シート押出し機:φ40mmのエキストルーダー(田辺
プラスチック機械社製) Tダイ幅:500mm 押出温度:240℃ 押出し時間:4時間 ロールの汚染程度:◎殆ど無し、○若干有り、 △ロール表面半分程度汚染有り ×ロール表面殆ど汚染有り (8)生産性の評価:生産性で得られたシートの偏
肉の程度を偏肉性として評価した。 偏肉性:◎殆ど無し、○若干有り、×偏肉有り (9)臭気:射出成形で得たカップ容器(内径80m
m、深さ80mm、厚み0.8mm)5個をガラス容器
に入れ、アルミホイルで封し、10時間放置した。その
後、アルミホイルを剥がし、臭いを嗅ぎ下記基準の官能
試験で測定した。 臭気性:◎殆ど無し、○若干有り、×異臭がする。 (10)成形品の脆さ:(7)で得たシートを縦方向に
3.0倍、横方向3.0倍で延伸した0.20mm厚み
の2軸延伸シートを得た。その2軸延伸シートを関西自
動成型機(株)製の真空圧空成型機PK400を用い、
蓋容器(170mm長さ×120mm幅×25mm高
さ)を成形した。その蓋容器を20枚重ね縁をトリミン
グ(打ち抜き)した。これを20回行った(蓋容器40
0枚分トリミングした)時の蓋容器の割れた枚数をカウ
ントした。 (11)衝撃強度:ASTM D256に基づき、試験
片にVノッチを入れ、ノッチの下部を固定したハンマー
で叩き、試験片を破壊するのに要したエネルギーより衝
撃強度を求めた。 測定装置:東洋精機 全自動衝撃試験機 試験片:63.5mm×12.7mm×6.4mm Vノッチ:試験片の一端より31.8mmの位置に深さ
2.54mm入れた。 (12)耐熱性:ビカット軟化点(JIS K6871
5Kg荷重) (13)剛性(曲げ強度):ASTM D790に準拠
し、127mm×12.7mm×6.4mmの試験片形
状の射出成形品を用いて曲げ強度を測定した。単位をM
Paで示した。 (14)表面硬さ(ロックウェル硬度):JIS K6
871に準拠し、127mm×12.7mm×6.4m
mの試験片形状の射出成形品を用いてロックウェル硬度
をスケールM法で測定した。
【0043】実施例1 内容積230Lのオートクレーブに純水100Kgにポ
リビニルアルコール100gを添加し攪拌した。次にス
チレン48Kg、メチルメタクリレート48Kg、メタ
クリル酸4Kg及びt−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート150g、t−ブチルパーオキシアセテ
ート50g、α−メチルスチレンダイマー120gを仕
込み、温度90℃に昇温して8時間重合を行った。な
お、温度90℃で8時間重合を行った時の転化率は98
%であった。更に温度132℃で6時間保持し、重合を
完結させた。重合して得れられたビーズを洗浄、脱水、
乾燥した後、押出し機を用いてペレット形状の樹脂を得
た。その樹脂を用い、厚さ0.20mmの2軸延伸シー
トを得た。その2軸延伸シートを用い蓋容器(170m
m長×120mm幅×25mm高さ)を真空圧空成形法
により得た。また、射出成形によりカップ容器(内径8
0mm、深さ80mm、厚み0.8mm)も得た。表1
に樹脂組成及び評価結果を示した。
【0044】実施例2 実施例1のスチレン48Kg、メチルメタクリレート4
8Kg、メタクリル酸4Kg、α−メチルスチレンダイ
マー120gをスチレン45Kg、メチルメタクリレー
ト45Kg、メタクリル酸10Kg、α−メチルスチレ
ンダイマー5000gとし、更に温度132℃で6時間
保持を温度132℃で5時間保持とした以外は実施例1
と同様に行った。なお、温度90℃で8時間重合を行っ
た時の転化率が97%であった。表1に樹脂組成及び評
価結果を示した。
【0045】実施例3 実施例1のスチレン48Kg、メチルメタクリレート4
8Kg、メタクリル酸4Kg、t−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート150g、α−メチルスチレ
ンダイマー120gをスチレン33Kg、メチルメタク
リレート48Kg、メタクリル酸19Kg、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート100g、α−
メチルスチレンダイマー1000gとした以外は実施例
1と同様に行った。なお、温度90℃で8時間重合を行
った時の転化率が96%であった。表1に樹脂組成及び
評価結果を示した。
【0046】実施例4 実施例1のスチレン48Kg、メチルメタクリレート4
8Kg、メタクリル酸4Kg、t−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート150g、α−メチルスチレ
ンダイマー120gをスチレン48Kg、メチルメタク
リレート37Kg、n−ブチルアクリレート1Kg、メ
タクリル酸14Kg、t−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサノエート130gとし、更に温度132℃で6
時間保持を温度132℃で4時間保持とした以外は実施
例1と同様に行った。なお、温度90℃で8時間重合を
行った時の転化率が98%であった。表1に樹脂組成及
び評価結果を示した。
【0047】実施例5 実施例1のスチレン48Kg、メチルメタクリレート4
8Kg、メタクリル酸4Kg、t−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート150g、α−メチルスチレ
ンダイマー120gをスチレン45Kg、メチルメタク
リレート47Kg、メタクリル酸8Kg、t−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート140g、t−ド
デシルメルカプタン40gとした以外は実施例1と同様
に行った。なお、温度90℃で8時間重合を行った時の
転化率が98%であった。表1に樹脂組成及び評価結果
を示した。
【0048】実施例6 実施例1のスチレン48Kg、メチルメタクリレート4
8Kg、メタクリル酸4Kg、t−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート150g、α−メチルスチレ
ンダイマー120gをスチレン49.6Kg、メチルメ
タクリレート49.6Kg、メタクリル酸0.8Kg、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12
0g、α−メチルスチレンダイマー60gとし、更に温
度132℃で6時間保持を温度132℃で3時間とした
以外は実施例1と同様に行った。なお、温度90℃で8
時間重合を行った時の転化率が98%であった。表1に
樹脂組成及び評価結果を示した。
【0049】実施例7 実施例1のα−メチルスチレンダイマー120gをt−
ドデシルメルカプタン22gとし、温度90℃に昇温し
て8時間重合を温度93℃に昇温して6時間とし、更に
温度132℃で6時間保持を温度132℃で4時間保持
とした以外は実施例1と同様に行った。なお、温度93
℃で6時間重合を行った時の転化率が95%であった。
表1に樹脂組成及び評価結果を示した。
【0050】実施例8 内容積230Lのオートクレーブにスチレン44Kg、
メチルメタクリレート49Kgの混合単量体にスチレン
−ブタジエン共重合体(スチレン含量40%、旭化成社
製、商品名 アサプレン670A)7Kgを溶解し、ベ
ンゾイルパーオキサイド40g、α−メチルスチレンダ
イマー700gを添加し攪拌下で温度90℃で重合し、
スチレンとメチルメタクリレートの転化率分とスチレン
−ブタジエン共重合体分の合計が45重量%に達した時
塊状重合を停止し重合液を得た。更に、内容積230L
のオートクレーブに純水100Kgにポリビニルアルコ
ール100gを添加し、攪拌し、該重合液、ジクミルパ
ーオキサイト200g添加し、温度100℃で2時間、
温度115℃で3.5時間、温度130℃で2.5時間
保持し、懸濁重合を完結させた。重合して得れられたビ
ーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出し機を用いてペレ
ット形状のゴム状重合体含有共重合体を得た。次に実施
例2で得たポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂100
質量部に対し、上記ゴム状重合体含有共重合体7質量部
をヘンシェルミキサーで混合し、φ40mm単軸押出し
機で溶融混練しながら押出し、ポリ(メタ)アクリルス
チレン系樹脂組成物を得た。表2に樹脂組成物の評価結
果を示した。
【0051】実施例9 実施例8のゴム状重合体含有共重合体製造時のスチレン
44Kg、メチルメタクリレート49Kg、スチレン−
ブタジエン共重合体(スチレン含量40%、旭化成社
製、商品名 アサプレン670A)7Kgをスチレン3
5Kg、メチルメタクリレート60Kg、スチレン−ブ
タジエン共重合体(スチレン含量25%、旭化成社製、
商品名 タフデン2000)5Kgに変更した以外は実
施例8と同様に行い、ゴム状重合体含有共重合体を得
た。次に実施例2で得たポリ(メタ)アクリルスチレン
系樹脂100質量部に対し、上記ゴム状重合体含有共重
合体30質量部をヘンシェルミキサーで混合し、φ40
mm単軸押出し機で溶融混練しながら押出し、ポリ(メ
タ)アクリルスチレン系樹脂組成物を得た。表2に樹脂
組成物の評価結果を示した。
【0052】比較例1 内容積230Lのオートクレーブに純水100Kgにポ
リビニルアルコール100gを添加し攪拌した。次にス
チレン98Kg、メチルメタクリレート2Kg、t−ブ
チルパーオキシアセテート75g、ジ−t−ブチルパー
オキサイト30gを仕込み、温度100℃に昇温して9
時間重合を行った。なお、温度100℃で9時間重合を
行った時の転化率は97%であった。更に温度140℃
で3時間保持し、重合を完結させた。以外は実施例1と
同様に行った。表3に樹脂組成及び評価結果を示した。
表3より生産性と臭気と剛性と表面硬さに劣ることが分
かる。
【0053】比較例2 内容積230Lのオートクレーブに純水100Kgにポ
リビニルアルコール100gを添加し攪拌した。次にス
チレン15Kg、メチルメタクリレート60Kg、メタ
クリル酸10Kg及びt−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサノエート180g、t−ブチルパーオキシアセ
テート40g、t−ドデシルメルカプタン150gを仕
込み、温度95℃に昇温して6時間重合を行った。この
ときメタクリル酸15Kgを温度95℃に達したときか
ら6時間かけて更に添加を行った。なお、温度95℃で
6時間重合を行った時の転化率は98%であった。更に
温度130℃で3時間保持し、重合を完結させた。それ
以外は実施例1と同様に行った。表3に樹脂組成及び評
価結果を示した。表3より生産性と臭気に劣ることが分
かる。
【0054】比較例3 実施例1のスチレン48Kg、メチルメタクリレート4
8Kg、メタクリル酸4Kg、α−メチルスチレンダイ
マー120gをスチレン25Kg、メチルメタクリレー
ト75Kg、α−メチルスチレンダイマー1200g、
t−ドデシルメルカプタン70gとし、更に温度130
℃で6時間保持を温度125℃で5時間保持とした以外
は実施例1と同様に行った。なお、温度90℃で8時間
重合を行った時の転化率が95%であった。表3に樹脂
組成物及び評価結果を示した。表3より生産性と臭気と
剛性に劣り、成形品が脆いことが分かる。
【0055】比較例4 内容積230Lのオートクレーブに純水100Kgにポ
リビニルアルコール100gを添加し攪拌した。次にス
チレン60Kg、メチルメタクリレート38Kg、メタ
クリル酸2Kg、t−ブチルパーオキシイソブチレート
120g、n−ドデシルメルカプタン50gを仕込み、
温度80℃に昇温して8時間重合を行った。なお、温度
80℃で8時間重合を行った時の転化率は97%であっ
た。更に温度98℃で2時間保持し、重合を完結させ
た。それ以外は実施例1と同様に行った。表3に樹脂組
成及び評価結果を示した。表3より生産性と臭気に劣る
ことが分かる。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【発明の効果】本発明のポリ(メタ)アクルリルスチレ
ン系樹脂並びに該樹脂を用いた成形体、シート及び二軸
延伸シートは、実施例と比較例で明らかなとおり成形加
工時の生産性、成形品の外観、剛性、表面硬さのバラン
スが良好で臭気の少ない優れた特性を有している。従っ
て、該樹脂を用いた成形体、シート及び二軸延伸シート
は電子レンジ等の食品包装容器に最適である。また、ポ
リ(メタ)アクルリルスチレン系樹脂にゴム状重合体を
含有したポリ(メタ)アクルリルスチレン系樹脂組成物
も同様な効果を呈し、更に衝撃強度にも優れた特性を有
するものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 220/14 C08F 220/18 4J015 220/18 C08J 5/18 CET 4J100 C08J 5/18 CET C08L 25/02 C08L 25/02 33/06 33/06 (C08L 25/02 //(C08L 25/02 21:00) 21:00) (C08L 33/06 (C08L 33/06 21:00) 21:00) B29K 25:00 B29K 25:00 33:04 33:04 B29L 7:00 B29L 7:00 B65D 1/00 A Fターム(参考) 3E033 BA22 BA25 BA30 BB01 CA03 CA07 FA02 FA04 GA03 4F071 AA10 AA22X AA33X AA81 AD02 AD06 AF14 AF25 AF45 AF53 AH05 BB05 BB08 BC01 4F210 AA13E AA21E AG01 AG07 QC05 QG01 QG18 4J002 AC032 AC082 BC071 BC081 BC091 BG041 BG051 BG061 BP012 GG01 4J011 AA05 AB02 4J015 BA03 BA05 BA07 BA10 BA11 4J100 AB02P AB03P AB04P AJ02R AJ08R AJ09R AK31R AK32R AL03Q AL04Q AM02R AM15R AM43R AM45R AM47R AM48R BC04R CA04 CA05 DA01 DA04 FA03 FA04 FA28 FA41 JA59

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体単位30質量%以上5
    0質量%未満、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位
    30質量%以上50質量%以下、及び他の共重合性単量
    体単位0質量%を越え20質量%以下からなる共重合体
    であって、該共重合体中の(1)未反応単量体の含有量
    の合計が2000ppm以下で、かつ、(2)スチレン
    2量体とスチレン3量体の含有量の合計が1000pp
    m以下で、更に、(3)硫黄系連鎖移動剤に基づく硫黄
    含有量が70ppm以下であることを特徴とするポリ
    (メタ)アクリルスチレン系樹脂。
  2. 【請求項2】 ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂の
    Mw(重量平均分子量)が5万〜40万で、かつMz
    (Z平均分子量)とMwの比が1.3〜2.8であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリ(メタ)アクリルス
    チレン系樹脂。
  3. 【請求項3】 ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂の
    スチレン系単量体単位がスチレンであり、(メタ)アク
    リル酸エステル単量体単位がメチルメタクリレートであ
    り、他の共重合性単量体単位がメタクリル酸であること
    を特徴とする請求項1又は2記載のポリ(メタ)アクリ
    ルスチレン系樹脂。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載のいずれか1項記載
    のポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂100質量部に
    対してゴム状重合体を10質量部以下(但し、0は含ま
    ず)を含有してなることを特徴とするポリ(メタ)アク
    リルスチレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ゴム状重合体からなるゴム粒子の体積平
    均粒子径が0.03μm〜5.0μm以下であることを
    特徴とする請求項4記載のポリ(メタ)アクリルスチレ
    ン系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5記載のいずれか1項記載
    のポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂又はポリ(メ
    タ)アクリルスチレン系樹脂組成物からなることを特徴
    とするポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂シート。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のポリ(メタ)アクリルス
    チレン系樹脂シートが2軸延伸してなることを特徴とす
    る2軸延伸ポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂シー
    ト。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7記載のポリ(メタ)アク
    リルスチレン系樹脂シートを二次加工成形してなること
    を特徴とする食品包装容器。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項5記載のいずれか1
    項記載のポリ(メタ)アクリルスチレン系樹脂又はポリ
    (メタ)アクリルスチレン系樹脂組成物を射出成形して
    なることを特徴とする食品包装容器。
  10. 【請求項10】 単量体の合計100質量部に対し、重
    合開始剤として多官能有機過酸化物又は2種以上の単官
    能有機過酸化物を合計0.01〜5質量部添加し、少な
    くとも転化率が50質量%以上に至るまでの重合温度を
    110℃未満に制御した後、温度125℃を越える重合
    温度に制御してラジカル共重合させることを特徴とする
    請求項1乃至3記載のいずれか1項記載のポリ(メタ)
    アクリルスチレン系樹脂の製造法。
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