JP2007204513A - 共重合体ラテックスおよび塗被紙用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチレン単量体60〜98重量%、および前記スチレン単量体と共重合可能な単量体2〜40重量%を含有する単量体混合物を、共重合して得られる共重合体ラテックスであって、前記共重合体ラテックスを乾燥し、次いで、200℃にて30分間加熱した際に発生する揮発成分中に含まれるスチレン2量体、スチレン3量体の前記共重合体ラテックスの固形分に対するそれぞれの重量比率が、スチレン2量体が200ppm以下であり、スチレン3量体が200ppm以下であることを特徴とする共重合体ラテックス。
【選択図】なし
Description
このような電子写真方式に用いる塗被紙として、たとえば特許文献1には、原紙の両面に塗工層を設けて、その表面光沢度が10%以上である塗被紙が開示されている。しかしながら、これらの塗被紙はクッション性、即ちトナーが転写しやすい特性に劣り、且つ臭気が低減されない問題があった。
また、電子写真方式による印刷は、業務用としてだけでなく、パーソナルコンピューターなどを使用して家庭内等でも行われることから、臭気の低減も特に求められている。
スチレン単量体60〜98重量%、および前記スチレン単量体と共重合可能な単量体2〜40重量%を含有する単量体混合物を、共重合して得られる共重合体ラテックスであって、
前記共重合体ラテックスを乾燥し、次いで、200℃にて30分間加熱した際に発生する揮発成分中に含まれる、スチレン2量体およびスチレン3量体の前記共重合体ラテックスの固形分に対するそれぞれの重量比率が、スチレン2量体が200ppm以下であり、スチレン3量体が200ppm以下であることを特徴とする。
本発明の共重合体ラテックスは、所定量のスチレン単量体と、スチレン単量体と共重合可能な単量体とを含有する単量体混合物を共重合して得られ、かつ、スチレン2量体およびスチレン3量体の含有量がそれぞれ所定の範囲に制御された共重合体ラテックスである。
まず、共重合体ラテックスを構成することとなる単量体混合物について、説明する。
単量体混合物は、スチレン単量体と、スチレン単量体と共重合可能な単量体と、を含有するものである。
次に、本発明の共重合体ラテックスの製造方法を説明する。本発明の共重合体ラテックスにおいては、共重合体ラテックスを構成するラテックス粒子の微細構造を、内部に空隙を有する中空粒子や、中空状の粒子の一部を平面で裁断して得られるお椀形状を有するお椀型の粒子として良いし、あるいは実質的に空隙を有しない密実粒子としても良く、このような粒子の微細構造は、製造方法を適宜選択することにより、調製することができる。
まず、中空粒子とする場合の製造方法について説明する。
共重合体ラテックスを構成するラテックス粒子を、中空粒子とする場合には、たとえば、特開平10−182761号公報に記載された方法により製造することができる。
次いで、共重合体ラテックスを密実粒子で構成する場合の製造方法について、説明する。
次いで、乳化重合により得られた共重合体ラテックス中に含まれるスチレン2量体およびスチレン3量体の含有量をそれぞれ所定量とするために、共重合体ラテックスに後処理を施す。このような後処理としては、その方法は特に限定されないが、たとえば、得られた共重合体ラテックスに水蒸気を吹き込むことにより、水蒸気蒸留を行う方法、共重合体ラテックスを加熱する方法、共重合体ラテックスを一定期間減圧下に置く方法、などが挙げられ、これらの方法は単独で、または二つ以上の方法を組み合わせて行うことができる。なかでも、水蒸気蒸留を行い、次いで一定期間減圧下に置く方法をとることが好ましい。
すなわち、共重合体ラテックス固形分100重量部に対する水蒸気の総吹き込み量は、好ましくは10〜200重量部、より好ましくは20〜180重量部、さらに好ましくは30〜150重量部とする。水蒸気温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは101〜120℃とする。共重合体ラテックス固形分100重量部に対する1時間あたりの水蒸気の吹き込み速度は、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜20重量部とする。水蒸気蒸留する際の系内の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは−80KPa〜0KPa、より好ましくは−60KPa〜−10KPaとする。系内のラテックス温度は、好ましくは80〜100℃、より好ましくは85〜100℃とする。
すなわち、スチレン2量体の、共重合体ラテックスの固形分に対する重量比率が、200ppm以下、好ましくは150ppm以下、より好ましくは100ppm以下に低減されている。また、スチレン3量体の、共重合体ラテックスの固形分に対する重量比率が、200ppm以下、好ましくは180ppm以下、より好ましくは150ppm以下に低減されている。
すなわち、まず、共重合体ラテックス中に含まれている水を除去するために、共重合体ラテックスを乾燥する。乾燥条件としては特に限定されないが、たとえば、共重合体ラテックスを、室温下に24〜72時間放置する方法などが挙げられる。次いで、乾燥後のラテックスから、所定量のサンプルを採取し、採取したサンプルを200℃、30分の条件で加熱し、発生した揮発成分を冷却トラップで捕集した後に、トラップ管を加熱して、捕集成分をガスクロマトグラフ質量分析計に導入し、GC/MS測定を行う。最後に、得られた結果から、予め測定しておいたスチレンとn−デカンの感度比を用いて、スチレン2量体、スチレン3量体の含有量を、n−デカン換算にて求める。
本発明の塗被紙用組成物は、上記した共重合体ラテックスと、無機顔料と、バインダーと、を含有するものである。
共重合体ラテックス中における、スチレン2量体、スチレン3量体および残留スチレン単量体の各含有量は、次の方法により測定した。
すなわち、まず、アウトガス装置(TDS−2システム、Gerstel製)を用いて、共重合体ラテックス中の揮発成分を捕集した。具体的には、共重合体ラテックスを室温(23℃)に48時間放置して乾燥させ、乾燥させたラテックスから1mgのサンプルを採取し、採取したサンプルを200℃にて30分間加熱し、加熱により発生した揮発成分を−130℃に冷却したトラップ管で捕集した。
次いで、揮発成分を捕集したトラップ管を加熱することにより、捕集成分をガスクロマトグラフ質量分析計(Agilent 5973N GC/MS、Agilent製)に導入して、揮発成分中に含まれているスチレン2量体、スチレン3量体、スチレン単量体の各含有量を測定した。本実施例では、予め測定しておいたスチレンとn−デカンの感度比を用いて、スチレン2量体、スチレン3量体、スチレン単量体の含有量を、n−デカン換算にて求めた。
得られた共重合体ラテックスを固形分濃度20%に調整し、JIS K0101に従って臭気強度を測定した。臭気強度は、その数値が小さいほど、臭気成分が少ないことを示す。臭気強度が30,000〜50,000の範囲であれば、ほとんど臭気を感知しなくなる希釈倍率となるため、本実施例では、この範囲を良好とした。
原紙に、塗被紙用組成物を塗工した塗被紙サンプル(固形分換算での片面あたりの塗工量:20g/m2)を作製し、このサンプルを3cm角に切断して複数の切断片とし、得られた切断片を10g秤量して、500mlの集気瓶に入れ、23℃で24時間放置した。そして、集気瓶を80℃で30分加熱後、冷却し、サンプルの臭気を嗅ぎ、臭気の有無を判定した。
塗被紙サンプルについて、高圧型デンソメーター(熊谷理機工業製)を用いて、JIS P 8117に従って透気度を測定した。透気度は10mlの空気が645.16mm2の面積を通過する時間で現し、その数値が低いほど透気性が優れる。
塗被紙サンプルについて、パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(MESSMER BUCHEL製)を用いて、JIS P 8151に従って平滑度を測定した。測定値が小さいほどクッション性に優れる。
塗被紙について、グロスメーター(GM−26D、村上色彩社製)を用いて、入射角75度、反射角75度の条件で塗被紙表面の光の反射率(%)を測定した。反射率が大きい程白紙光沢に優れている。
藍、紅および黄の三色のプロセスインク(東洋インク社製、TKマークV)を各々異なるゴムロールに付着させたRIテスターを用いて、塗被紙にベタ刷りし、20℃、65%R.H.の恒温恒湿室に24時間放置することにより、評価用サンプルを得た。そして、得られたサンプルについて、グロスメーター(GM−26D、村上色彩技術研究所製)を用いて、入射角60度の条件で光沢度(%)を測定した。数値が高いほど印刷光沢に優れる。
攪拌装置を備えた耐圧容器に、メタクリル酸メチル:50部、アクリル酸ブチル:10部、メタクリル酸:40部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基C12H35、エチレンオキサイド付加数18):0.9部、トリポリリン酸ナトリウム:0.15部およびイオン交換水:80部を攪拌して、芯重合体形成用の単量体混合物(a)の乳化物を調製した。
そして、これとは別に、攪拌装置を備えた耐圧反応器に、イオン交換水:40部およびシードラテックス(体積平均粒径82nmのメタクリル酸メチル重合体粒子):0.28部を添加し、85℃に昇温した。次いで、過硫酸カリウム3%水溶液:1.63部を添加し、上記にて調製した単量体混合物(a)の乳化物のうち7%を、3時間にわたり、反応器に連続的に添加した後、さらに1時間反応させた。その後、イオン交換水:250部および過硫酸カリウム3%水溶液:18.6部を添加し、反応温度を85℃に維持しながら、上記にて調製した単量体混合物(a)の乳化物の残部を、3時間にわたり、反応器に連続的に添加した。単量体混合物(a)の乳化物の連続添加を完了した後、さらに2時間反応を継続して、アルカリ膨潤性物質としての芯重合体を得た。重合転化率は99%であった。
単量体混合物(c)の乳化物の連続添加を完了した直後、5%アンモニア水:25部を添加し、反応温度を90℃に上昇させ、1時間塩基処理することにより、単量体混合物(a)を乳化重合して得られた芯重合体を膨潤させた。そして、内部に水を吸収させて水含有空隙を形成させた後、4%過硫酸カリウム水溶液:10部を添加し、さらに2時間反応を継続した。重合転化率は99%であった。そして、最後に、重合系を室温まで冷却して、中空粒子から構成される、未処理のラテックス(後処理を行っていない共重合体ラテックスの意味、以下、同様)を得た。得られたラテックスにおける、中空粒子の数平均粒子径は1.0μm、空隙率は50%であり、固形分濃度は26.5%であった。
まず、スチレン:38部、ブタジエン:57部、イタコン酸:3部、メタクリル酸:2部を混合することにより単量体混合物(d)を調製した。次いで、攪拌装置を備えた耐圧反応容器に、上記にて調製した単量体混合物(d):100部、t−ドデシルメルカプタン:0.15部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ:4部、過硫酸カリウム:0.3部、およびイオン交換水150部を仕込んだ後、攪拌しながら60℃に加熱し、60℃の条件で重合した。次に重合転化率が70%を越えた時点で70℃に加熱し、70℃の条件で重合を続けた。そして、60℃に加熱した時点から12時間経過した後に、重合系を室温に冷却して重合体を得た。得られた重合体の重合転化率は96%以上であった。
製造例1で得られた未処理のラテックスに対し、次のようにして後処理を行った。
すなわち、まず、未処理のラテックス(固形分100部)に、1時間あたり10部の速度で水蒸気を吹き込み、90℃に加熱処理した。水蒸気吹き込み量は、50部であった。次いで、重合体ラテックスのpHを8.5〜9.8に調整し、濃縮タンク温度75℃、タンク内圧力−0.01MPaで濃縮して、固形分濃度を26.5%とした。得られた共重合体ラテックスについて、上記方法に従い、スチレン2量体、スチレン3量体の測定および臭気強度の測定を行った。結果を表1に示す。揮発成分中に含まれるスチレン単量体の量は250ppmであった。
製造例1で得られた未処理のラテックスに対し、吹き込む加熱水蒸気の量を2倍とした以外は、実施例1と同様に処理して、共重合体ラテックスを得るとともに、得られた共重合体ラテックスを用いて、塗被紙用組成物および塗被紙を製造した。揮発成分中に含まれるスチレン単量体の量は50ppmであった。
製造例1で得られた未処理のラテックスについて、減圧下での加熱処理および水蒸気蒸留のいずれも行わなかった以外は、実施例1と同様にして、共重合体ラテックスを得るとともに、得られた共重合体ラテックスを用いて、塗被紙用組成物および塗被紙を製造した。揮発成分中に含まれるスチレン単量体の量は2580ppmであった。
製造例2で得られた未処理のラテックスに対し、実施例1と同様に後処理して、共重合体ラテックスを得るとともに、得られた共重合体ラテックスを用いて、塗被紙用組成物および塗被紙を製造した。揮発成分中に含まれるスチレン単量体の量は110ppmであった。
共重合体ラテックスの組成が、本発明の範囲を外れるラテックス(スチレン単量体量:53重量%)は、ラテックスの臭気強度および塗被紙の臭気には優れるものの、クッション性、白紙光沢および印刷光沢に劣ることが分かる(比較例2)。
Claims (3)
- スチレン単量体60〜98重量%、および前記スチレン単量体と共重合可能な単量体2〜40重量%を含有する単量体混合物を、共重合して得られる共重合体ラテックスであって、
前記共重合体ラテックスを乾燥し、次いで、200℃にて30分間加熱した際に発生する揮発成分中に含まれる、スチレン2量体およびスチレン3量体の前記共重合体ラテックスの固形分に対するそれぞれの重量比率が、スチレン2量体が200ppm以下であり、スチレン3量体が200ppm以下であることを特徴とする共重合体ラテックス。 - 前記共重合体ラテックスが、内部に空隙を有する中空のラテックス粒子から構成される請求項1に記載の共重合体ラテックス。
- 請求項1または2に記載の共重合体ラテックスと、無機顔料と、バインダーと、を含有する塗被紙用組成物。
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