JP2007204513A - 共重合体ラテックスおよび塗被紙用組成物 - Google Patents

共重合体ラテックスおよび塗被紙用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】透気性、クッション性、白紙光沢、並びに印刷光沢に優れ、しかも臭気の低減された塗被紙を与えることのできる共重合体ラテックス、およびこの共重合体ラテックスを用いた塗被紙用組成物を提供すること。
【解決手段】スチレン単量体60〜98重量%、および前記スチレン単量体と共重合可能な単量体2〜40重量%を含有する単量体混合物を、共重合して得られる共重合体ラテックスであって、前記共重合体ラテックスを乾燥し、次いで、200℃にて30分間加熱した際に発生する揮発成分中に含まれるスチレン2量体、スチレン3量体の前記共重合体ラテックスの固形分に対するそれぞれの重量比率が、スチレン2量体が200ppm以下であり、スチレン3量体が200ppm以下であることを特徴とする共重合体ラテックス。
【選択図】なし

Description

本発明は、共重合体ラテックス、およびこの共重合体ラテックスを用いた塗被紙用組成物に係り、さらに詳しくは、透気性、クッション性および白紙光沢、並びに印刷光沢に優れ、しかも臭気の低減された塗被紙を与える、共重合体ラテックス、および塗被紙用組成物に関する。
近年、書籍、雑誌などの出版物や、チラシ、パンフレット、ポスターなどの商業広告物等の印刷用途が急速に拡大するに伴い、それらの印刷方法も多種多様化している。そのような多種多様化する印刷方法の中でも、電子写真方式による印刷方式が急速に拡大している。電子写真方式は、トナーを塗被紙表面に定着させて画像形成する印刷方式であり、所謂高速カラープリンタなどに好適な方式であるため、パーソナルコンピューターと高速プリンタとを用いた印刷やオンデマンド印刷の広がりにより、急速に拡大している。
このような電子写真方式に用いる塗被紙として、たとえば特許文献1には、原紙の両面に塗工層を設けて、その表面光沢度が10%以上である塗被紙が開示されている。しかしながら、これらの塗被紙はクッション性、即ちトナーが転写しやすい特性に劣り、且つ臭気が低減されない問題があった。
また、特許文献2には、基材の少なくとも片面に空隙を有する層が設けられた塗被紙が開示されている。しかしながら、これらの塗被紙は白紙光沢が発現しにくいという問題があった。
また、電子写真方式による印刷は、業務用としてだけでなく、パーソナルコンピューターなどを使用して家庭内等でも行われることから、臭気の低減も特に求められている。
特開2005−173233号公報 特開2005−338564号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、透気性、クッション性、白紙光沢、並びに印刷光沢に優れ、しかも臭気の低減された塗被紙を与えることのできる共重合体ラテックス、およびこの共重合体ラテックスを用いた塗被紙用組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、特定量のスチレン単量体と、このスチレン単量体と共重合可能な単量体と、を含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体ラテックスにおいて、この共重合体ラテックスにおけるスチレン2量体およびスチレン3量体の量を所定の範囲に制御することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る共重合体ラテックスは、
スチレン単量体60〜98重量%、および前記スチレン単量体と共重合可能な単量体2〜40重量%を含有する単量体混合物を、共重合して得られる共重合体ラテックスであって、
前記共重合体ラテックスを乾燥し、次いで、200℃にて30分間加熱した際に発生する揮発成分中に含まれる、スチレン2量体およびスチレン3量体の前記共重合体ラテックスの固形分に対するそれぞれの重量比率が、スチレン2量体が200ppm以下であり、スチレン3量体が200ppm以下であることを特徴とする。
好ましくは、内部に空隙を有する中空のラテックス粒子から構成される。
本発明の塗被紙用組成物は、上記いずれかの共重合体ラテックスと、無機顔料と、バインダーと、を含有してなる。
本発明によると、共重合体ラテックスを構成する単量体混合物全体に対して、60〜98重量%と比較的多くのスチレン単量体を使用するとともに、ラテックスを乾燥させて得られた共重合体中に存在する、スチレン2量体およびスチレン3量体の含有量をそれぞれ所定の範囲に制御している。特に、本発明では、前記共重合体から発生するスチレン2量体およびスチレン3量体の量について注目し、これら2量体および3量体について、それぞれ所定の範囲に制御している。
そのため、本発明の共重合体ラテックスおよびこれを用いて得られる塗被紙用組成物によれば、透気度が高く透気性に優れ、クッション性および白紙光沢、並びに印刷光沢に優れ、しかも臭気の発生が有効に防止された塗被紙を提供することができる。特に、本発明の共重合体ラテックスおよび塗被紙用組成物を用いて得られる塗被紙は、電子写真方式による印刷など、印刷の際に加熱が必要とされる印刷条件においても、臭気が発生することがないため、好適に用いることができる。さらにまた、該塗被紙を製造する時の臭気も有効に低減することができる。
以下、本発明の共重合体ラテックス、および本発明の共重合体ラテックスを用いて得られる塗被紙用組成物について、詳細に説明する。
共重合体ラテックス
本発明の共重合体ラテックスは、所定量のスチレン単量体と、スチレン単量体と共重合可能な単量体とを含有する単量体混合物を共重合して得られ、かつ、スチレン2量体およびスチレン3量体の含有量がそれぞれ所定の範囲に制御された共重合体ラテックスである。
本発明の共重合体ラテックスは、単量体混合物を乳化重合することにより製造され、複数のラテックス粒子から構成されるものである。本発明の共重合体ラテックスを構成するラテックス粒子は、内部に空隙を有する中空状の粒子や、中空状の粒子の一部を平面で裁断して得られるお椀形状を有するお椀型の粒子としても良いし、あるいは実質的に空隙を有しない密実の粒子としても良い。
まず、共重合体ラテックスを構成することとなる単量体混合物について、説明する。
単量体混合物
単量体混合物は、スチレン単量体と、スチレン単量体と共重合可能な単量体と、を含有するものである。
単量体混合物中に含有される、スチレン単量体の使用量は、全単量体100重量%に対して、60〜98重量%であり、好ましくは70〜95重量%である。単量体混合物中における、スチレン単量体の使用量を、全単量体に対して、60〜98重量%と比較的に多い量とすることにより、得られる塗被紙の白紙光沢、白色度を高くすることができる。
単量体混合物中に含有される、スチレン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、たとえば、スチレン以外の芳香族ビニル化合物、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体、架橋性単量体などが挙げられ、これらは混合して用いることができる。
スチレン以外の芳香族ビニル化合物としては、メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらのなかでも、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルが好適である。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物などが挙げられる。これらのなかでも、メタクリル酸が好適である。
共役ジエン系単量体としては、たとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレンなどを挙げられる。これらのなかでも、1,3−ブタジエンが好適である。
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、たとえば、(メタ)アクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリルが好適である。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体としては、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
架橋性単量体としては、たとえば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどのジビニル系単量体あるいはトリビニル系単量体などが挙げられる。これらのなかでも、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
単量体混合物中に含有される、スチレン単量体と共重合可能な単量体の使用量は、全単量体100重量%に対して、2〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。
共重合体ラテックスの製造方法
次に、本発明の共重合体ラテックスの製造方法を説明する。本発明の共重合体ラテックスにおいては、共重合体ラテックスを構成するラテックス粒子の微細構造を、内部に空隙を有する中空粒子や、中空状の粒子の一部を平面で裁断して得られるお椀形状を有するお椀型の粒子として良いし、あるいは実質的に空隙を有しない密実粒子としても良く、このような粒子の微細構造は、製造方法を適宜選択することにより、調製することができる。
まず、中空粒子とする場合の製造方法について説明する。
共重合体ラテックスを中空粒子で構成する場合の製造方法
共重合体ラテックスを構成するラテックス粒子を、中空粒子とする場合には、たとえば、特開平10−182761号公報に記載された方法により製造することができる。
具体的には、まず、アルカリ膨潤性の物質で構成された芯重合体と、中間層重合体と、外層重合体とからなる少なくとも3層構造を有する重合体粒子を製造する。次いで、この重合体粒子にアルカリ性液体を浸透させて、この重合体粒子の粒子内部に空隙を形成する方法により製造することができる。本発明の共重合体ラテックスを、中空粒子で構成することにより、得られる塗被紙の白紙光沢、白色度、不透明度および平滑性を良好なものとすることができる。
芯重合体、中間層重合体、および外層重合体は、各単量体混合物を乳化重合することにより製造することができ、芯重合体、中間層重合体、および外層重合体を構成することとなる各単量体混合物は、その最終的な組成比が上記した単量体混合物の組成比と一致するように適宜選択すればよい。すなわち、芯重合体、中間層重合体、および外層重合体を構成する各単量体混合物が、上記した範囲内となっていなくても、これら全体において、上記した範囲となるように調製すれば良い。
また、乳化重合するに際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤、キレート剤、脱酸素剤、pH調整剤などの通常用いられる重合副資材を使用することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両性界面活性剤等が挙げられる。なかでも、アニオン性乳化剤が好適である。乳化剤の使用量は、重合に使用する単量体混合物全量100重量部に対して、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。
重合開始剤としては、特に限定されないが、たとえば、無機過酸化物、有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。なかでも、無機過酸化物が好ましく使用できる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、過酸化物開始剤は、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。重合開始剤の使用量は、重合に使用する単量体混合物全量100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部であり、好ましくは0.3〜2重量部である。
分子量調整剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素、含硫黄化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種類以上組み合わせて併用することもできる。これらの分子量調整剤の中でも、メルカプタン類およびα−メチルスチレンダイマーを併用することが好ましく、メルカプタン類としては、t−ドデシルメルカプタンが好ましく使用できる。分子量調整剤の使用量は、重合に使用する単量体混合物全量100重量部あたり、通常、0.5〜5重量部、好ましくは1〜4重量部である。
乳化重合は、上記各単量体および各重合副資材を用い、通常、水中で行われる。重合温度は、通常、0〜100℃、好ましくは50〜95℃の範囲である。重合を開始した後、所定の重合転化率で、重合系を冷却したり、重合停止剤を添加したりして、重合反応を停止する。重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。
本発明の共重合体ラテックスを、中空粒子で構成する場合には、その平均粒子径を、好ましくは0.3〜3.0μm、より好ましくは0.3〜1.5μm、さらに好ましくは0.4〜1.3μm、特に好ましくは0.5〜1.1μmとする。平均粒子径が小さすぎると、得られる塗被紙の白紙光沢、不透明度、平滑性および印刷光沢が低下する傾向にある。一方、大きすぎると塗被紙用組成物とした場合に、流動性が低下する傾向にある。平均粒子径は、たとえば、透過型電子顕微鏡を用いた観察により測定することができる。
また、粒子中の空隙率(粒子全体に対する空隙の占める割合)は、好ましくは10〜75体積%、より好ましくは20〜65体積%、特に好ましくは25〜60体積%とする。
共重合体ラテックスを密実粒子で構成する場合の製造方法
次いで、共重合体ラテックスを密実粒子で構成する場合の製造方法について、説明する。
共重合体ラテックスを密実粒子で構成する場合には、上記した単量体混合物を乳化重合することにより製造すれば良く、必要に応じて、乳化重合時にシード粒子を用いる方法を採用しても良い。ただし、共重合体ラテックスを密実粒子で構成する場合には、スチレン単量体と共重合可能な単量体として、共役ジエン系単量体を必須の成分として含有させることが好ましい。この場合における共役ジエン系単量体の使用量は、全単量体100重量%に対して、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%である。共役ジエン系単量体を上記範囲で含有させることにより、共重合体ラテックスを密実粒子で構成する場合においても、得られる塗被紙の印刷光沢、白紙光沢を良好なものとすることができる。
乳化重合するに際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤、キレート剤、脱酸素剤、pH調整剤などの通常用いられる重合副資材を使用することができ、これらは上記した共重合体ラテックスを中空粒子で構成する場合と同様のものを使用すれば良い。また、乳化重合する際の重合条件等も、上記した共重合体ラテックスを中空粒子で構成する場合と同様とすれば良い。
後処理工程
次いで、乳化重合により得られた共重合体ラテックス中に含まれるスチレン2量体およびスチレン3量体の含有量をそれぞれ所定量とするために、共重合体ラテックスに後処理を施す。このような後処理としては、その方法は特に限定されないが、たとえば、得られた共重合体ラテックスに水蒸気を吹き込むことにより、水蒸気蒸留を行う方法、共重合体ラテックスを加熱する方法、共重合体ラテックスを一定期間減圧下に置く方法、などが挙げられ、これらの方法は単独で、または二つ以上の方法を組み合わせて行うことができる。なかでも、水蒸気蒸留を行い、次いで一定期間減圧下に置く方法をとることが好ましい。
水蒸気蒸留を行う方法においては、得られた共重合体ラテックスに後述するような条件で水蒸気を吹き込むことにより、スチレン2量体およびスチレン3量体を除去することができる。
すなわち、共重合体ラテックス固形分100重量部に対する水蒸気の総吹き込み量は、好ましくは10〜200重量部、より好ましくは20〜180重量部、さらに好ましくは30〜150重量部とする。水蒸気温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは101〜120℃とする。共重合体ラテックス固形分100重量部に対する1時間あたりの水蒸気の吹き込み速度は、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜20重量部とする。水蒸気蒸留する際の系内の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは−80KPa〜0KPa、より好ましくは−60KPa〜−10KPaとする。系内のラテックス温度は、好ましくは80〜100℃、より好ましくは85〜100℃とする。
一定期間減圧下に置く方法においては、たとえば、共重合体ラテックスを蒸発タンク内に入れ、真空ポンプを使用して蒸発タンク内の温度を40〜60℃とし、圧力を0.05MPa以下、好ましくは0.02MPa以下に減圧することにより、スチレン2量体およびスチレン3量体を除去することができる。
このような後処理工程を経て得られる本発明の共重合体ラテックスは、スチレン2量体およびスチレン3量体の含有量についてそれぞれ以下のような範囲に低減されている。
すなわち、スチレン2量体の、共重合体ラテックスの固形分に対する重量比率が、200ppm以下、好ましくは150ppm以下、より好ましくは100ppm以下に低減されている。また、スチレン3量体の、共重合体ラテックスの固形分に対する重量比率が、200ppm以下、好ましくは180ppm以下、より好ましくは150ppm以下に低減されている。
本発明では、特に、共重合体ラテックス中におけるスチレン2量体およびスチレン3量体の量について注目し、これら2量体および3量体をそれぞれ上記所定の範囲に低減している。そのため、得られる塗被紙において、透気性、クッション性および白紙光沢、並びに印刷光沢を良好に保ちつつ、しかも印刷時に加熱されるような条件下で使用された場合においても、臭気の発生を有効に防止することができる。さらにまた、該塗被紙を製造する時の臭気も有効に低減することができる。
なお、共重合体ラテックス中におけるスチレン2量体およびスチレン3量体の量は、次の方法により測定することができる。
すなわち、まず、共重合体ラテックス中に含まれている水を除去するために、共重合体ラテックスを乾燥する。乾燥条件としては特に限定されないが、たとえば、共重合体ラテックスを、室温下に24〜72時間放置する方法などが挙げられる。次いで、乾燥後のラテックスから、所定量のサンプルを採取し、採取したサンプルを200℃、30分の条件で加熱し、発生した揮発成分を冷却トラップで捕集した後に、トラップ管を加熱して、捕集成分をガスクロマトグラフ質量分析計に導入し、GC/MS測定を行う。最後に、得られた結果から、予め測定しておいたスチレンとn−デカンの感度比を用いて、スチレン2量体、スチレン3量体の含有量を、n−デカン換算にて求める。
また、本発明の共重合体ラテックスは、スチレン2量体、およびスチレン3量体に加えて、残留スチレン単量体についても以下のような範囲に低減されていることが好ましい。すなわち、残留スチレン単量体の、共重合体ラテックスの固形分に対する重量比率が、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下である。残留スチレン単量体の量は、上記したスチレン2量体およびスチレン3量体の量と同様の方法により測定することができる。
塗被紙用組成物
本発明の塗被紙用組成物は、上記した共重合体ラテックスと、無機顔料と、バインダーと、を含有するものである。
無機顔料としては、炭酸カルシウム、クレイ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、シリカ、雲母などが挙げられる。無機顔料の含有量は、共重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、好ましくは10〜50,000重量部、より好ましくは100〜20,000重量部である。
本発明組成物で用いるバインダーとしては、一般に紙に塗被するための塗被紙用組成物に含有されるバインダーと同様のものが使用でき、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル系共重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのα−オレフィン系共重合体ラテックス;これらの共重合体を酸モノマーで変性した変性共重合体ラテックス;などの共重合体ラテックス(以下、適宜、「バインダー用ラテックス」とする。)が好ましく挙げられる。また、ポリビニルアルコールなどの合成樹脂接着剤;澱粉、カチオン化澱粉、エステル化澱粉、酸化澱粉などの澱粉類;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白類;カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体;などの水溶性接着剤も使用可能である。本発明においては、これらのバインダーを一種単独で又は二種以上併せて使用することができる。なかでもスチレン−ブタジエン−酸モノマー変性共重合体ラテックスが好ましい。
上記バインダー用ラテックスの製造方法に限定はなく、例えば、スチレン−ブタジエン−酸モノマー変性共重合体ラテックスの製造方法としては特開2004−27034号公報、特開2002−53602号公報などに記載の方法が好ましく例示される。
バインダーとして、上記バインダー用ラテックスを使用する場合は、レーザ回折散乱法粒度分布測定装置で測定したラテックス粒子の重量平均粒子径が、好ましくは30〜200nm、より好ましくは50〜150nmである。バインダー用ラテックスを構成する共重合体のガラス転移温度は、好ましくは−50℃〜30℃、より好ましくは−40〜25℃である。
バインダーの使用量は、無機顔料100重量部に対する固形分換算で、好ましくは2〜16重量部、より好ましくは4〜13重量部である。
本発明の塗被紙用組成物の固形分濃度は、好ましくは40〜75重量%、より好ましくは50〜70重量%である。塗被紙用組成物の固形分濃度が低すぎると、乾燥負荷が高くなって塗被紙の生産性を低下させる場合がある。一方、高すぎると塗被紙用組成物の流動性が低下して塗被紙の生産性を損なう場合がある。
本発明の塗被紙用組成物には、必要に応じて、pH調整剤、分散剤、耐水化剤、消泡剤、染料、滑剤、増粘剤、保水剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、導電処理剤、紫外線吸収剤、撥水剤などの任意配合剤を適宜配合することができる。
本発明の塗被紙用組成物の調製方法は限定されないが、例えば、攪拌機を備えた容器内で無機顔料を十分に水中に分散させ、次いで本発明の共重合体ラテックスと、必要に応じて添加される任意配合剤と、を添加し、混合する方法が採られる。
本発明の塗被紙用組成物を原紙に塗被して表面塗被層を形成させることにより、塗被紙を得ることができる。この表面塗被層は原紙に直に接する単層であってもよいし、他の下塗り層の上の最上層であってもよい。
原紙としては、特に限定されず、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ等のパルプからなる原紙を用いることができる。また、原紙の坪量は特に限定されず、通常、40〜220g/mである。
本発明において、塗被層の形成には、通常の塗被方式を用いればよく、たとえば、ブレードコーター、ロール転写コーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、ショートドゥエルコーター、カーテンコーター、ビルブレードコーター、ダイコーター等、従来公知の塗被手段を用いて原紙上に塗工することができる。これらのなかでも、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、ビルブレードコーター等の高速塗被に適した塗工方式を用いることが好ましい。塗被量は、塗被紙用組成物の固形分換算で片面あたり、好ましくは3〜30g/mの範囲、より好ましくは5〜25g/mの範囲とする。
塗被紙の製造においては、塗被層を形成した後、乾燥を行う。乾燥温度、乾燥時間は、塗工速度等によって異なるが、通常、80〜180℃、0.03〜10秒程度である。
塗被層を形成した後に、必要に応じてカレンダー処理を経て仕上げることにより、白紙光沢をより高くすることができる。カレンダー処理をする際の装置としては、特に限定されず、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー等の各種カレンダー装置を使用することができる。カレンダーの条件も、特に限定されず、通常、30〜200℃、線圧50〜200kg/cmである。
本発明の塗被紙用組成物を使用して得られる塗被紙は、白色度、不透明度、白紙光沢、平滑性、印刷光沢が良好であり、しかも臭気の発生が有効に防止されているため、書籍、雑誌などの出版物やチラシ、パンフレット、ポスターなどの商業広告物用に好適である。特に、本発明の塗被紙用組成物を使用して得られる塗被紙は、加熱条件下で使用された場合においても、臭気がほとんど発生しないため、電子写真方式による印刷など、印刷の際に加熱が必要となる印刷条件にも、好適に用いることができる。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。これらの例中の〔部〕および〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性の評価は下記の方法により行った。
スチレン2量体、スチレン3量体および残留スチレン単量体の含有量の測定
共重合体ラテックス中における、スチレン2量体、スチレン3量体および残留スチレン単量体の各含有量は、次の方法により測定した。
すなわち、まず、アウトガス装置(TDS−2システム、Gerstel製)を用いて、共重合体ラテックス中の揮発成分を捕集した。具体的には、共重合体ラテックスを室温(23℃)に48時間放置して乾燥させ、乾燥させたラテックスから1mgのサンプルを採取し、採取したサンプルを200℃にて30分間加熱し、加熱により発生した揮発成分を−130℃に冷却したトラップ管で捕集した。
次いで、揮発成分を捕集したトラップ管を加熱することにより、捕集成分をガスクロマトグラフ質量分析計(Agilent 5973N GC/MS、Agilent製)に導入して、揮発成分中に含まれているスチレン2量体、スチレン3量体、スチレン単量体の各含有量を測定した。本実施例では、予め測定しておいたスチレンとn−デカンの感度比を用いて、スチレン2量体、スチレン3量体、スチレン単量体の含有量を、n−デカン換算にて求めた。
共重合体ラテックスの臭気強度
得られた共重合体ラテックスを固形分濃度20%に調整し、JIS K0101に従って臭気強度を測定した。臭気強度は、その数値が小さいほど、臭気成分が少ないことを示す。臭気強度が30,000〜50,000の範囲であれば、ほとんど臭気を感知しなくなる希釈倍率となるため、本実施例では、この範囲を良好とした。
塗被紙の臭気測定
原紙に、塗被紙用組成物を塗工した塗被紙サンプル(固形分換算での片面あたりの塗工量:20g/m)を作製し、このサンプルを3cm角に切断して複数の切断片とし、得られた切断片を10g秤量して、500mlの集気瓶に入れ、23℃で24時間放置した。そして、集気瓶を80℃で30分加熱後、冷却し、サンプルの臭気を嗅ぎ、臭気の有無を判定した。
透気性
塗被紙サンプルについて、高圧型デンソメーター(熊谷理機工業製)を用いて、JIS P 8117に従って透気度を測定した。透気度は10mlの空気が645.16mmの面積を通過する時間で現し、その数値が低いほど透気性が優れる。
クッション性(平滑性)
塗被紙サンプルについて、パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(MESSMER BUCHEL製)を用いて、JIS P 8151に従って平滑度を測定した。測定値が小さいほどクッション性に優れる。
白紙光沢
塗被紙について、グロスメーター(GM−26D、村上色彩社製)を用いて、入射角75度、反射角75度の条件で塗被紙表面の光の反射率(%)を測定した。反射率が大きい程白紙光沢に優れている。
印刷光沢
藍、紅および黄の三色のプロセスインク(東洋インク社製、TKマークV)を各々異なるゴムロールに付着させたRIテスターを用いて、塗被紙にベタ刷りし、20℃、65%R.H.の恒温恒湿室に24時間放置することにより、評価用サンプルを得た。そして、得られたサンプルについて、グロスメーター(GM−26D、村上色彩技術研究所製)を用いて、入射角60度の条件で光沢度(%)を測定した。数値が高いほど印刷光沢に優れる。
製造例1
攪拌装置を備えた耐圧容器に、メタクリル酸メチル:50部、アクリル酸ブチル:10部、メタクリル酸:40部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基C1235、エチレンオキサイド付加数18):0.9部、トリポリリン酸ナトリウム:0.15部およびイオン交換水:80部を攪拌して、芯重合体形成用の単量体混合物(a)の乳化物を調製した。
そして、これとは別に、攪拌装置を備えた耐圧反応器に、イオン交換水:40部およびシードラテックス(体積平均粒径82nmのメタクリル酸メチル重合体粒子):0.28部を添加し、85℃に昇温した。次いで、過硫酸カリウム3%水溶液:1.63部を添加し、上記にて調製した単量体混合物(a)の乳化物のうち7%を、3時間にわたり、反応器に連続的に添加した後、さらに1時間反応させた。その後、イオン交換水:250部および過硫酸カリウム3%水溶液:18.6部を添加し、反応温度を85℃に維持しながら、上記にて調製した単量体混合物(a)の乳化物の残部を、3時間にわたり、反応器に連続的に添加した。単量体混合物(a)の乳化物の連続添加を完了した後、さらに2時間反応を継続して、アルカリ膨潤性物質としての芯重合体を得た。重合転化率は99%であった。
攪拌装置を備えた耐圧容器に、メタクリル酸メチル:7.8部、アクリル酸ブチル:1.6部、メタクリル酸:0.6部、t-ドデシルメルカプタン(TDM):0.03部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基C1235、エチレンオキサイド付加数18):0.02部およびイオン交換水:16部を入れ、攪拌、混合して中間層重合体用の単量体混合物(b)の乳化物を調製した。
攪拌装置を備えた耐圧反応器に、スチレン:79.44部、メタクリル酸:0.56部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基C1235、エチレンオキサイド付加数18):0.4部およびイオン交換水:130部を攪拌、混合して単量体混合物(c)の乳化物を調製した。
攪拌装置を備えた耐圧反応器に、イオン交換水:130部および上記の単量体混合物(a)を乳化重合して得られた芯重合体:7部を含有する水性分散液を添加し、85℃に昇温した。次いで、4%過硫酸カリウム水溶液:10部を添加し、上記の単量体混合物(b)の乳化物を20分間にわたり、反応器に連続的に添加した。その後、上記単量体混合物(c)の乳化物を120分間に亘り反応器に連続的に添加した。
単量体混合物(c)の乳化物の連続添加を完了した直後、5%アンモニア水:25部を添加し、反応温度を90℃に上昇させ、1時間塩基処理することにより、単量体混合物(a)を乳化重合して得られた芯重合体を膨潤させた。そして、内部に水を吸収させて水含有空隙を形成させた後、4%過硫酸カリウム水溶液:10部を添加し、さらに2時間反応を継続した。重合転化率は99%であった。そして、最後に、重合系を室温まで冷却して、中空粒子から構成される、未処理のラテックス(後処理を行っていない共重合体ラテックスの意味、以下、同様)を得た。得られたラテックスにおける、中空粒子の数平均粒子径は1.0μm、空隙率は50%であり、固形分濃度は26.5%であった。
製造例2
まず、スチレン:38部、ブタジエン:57部、イタコン酸:3部、メタクリル酸:2部を混合することにより単量体混合物(d)を調製した。次いで、攪拌装置を備えた耐圧反応容器に、上記にて調製した単量体混合物(d):100部、t−ドデシルメルカプタン:0.15部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ:4部、過硫酸カリウム:0.3部、およびイオン交換水150部を仕込んだ後、攪拌しながら60℃に加熱し、60℃の条件で重合した。次に重合転化率が70%を越えた時点で70℃に加熱し、70℃の条件で重合を続けた。そして、60℃に加熱した時点から12時間経過した後に、重合系を室温に冷却して重合体を得た。得られた重合体の重合転化率は96%以上であった。
上記とは別に、スチレン:55部、1,3−ブタジエン:9部、メタクリル酸メチル:30部およびメタクリル酸:6部を混合することにより単量体混合物(e)を調製した。次いで、別の装置を備えた耐圧反応容器にイオン交換水:50部、上記にて調製した単量体混合物(d)の重合体:13部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ:0.1部、過硫酸カリウム:0.51部を仕込み、80℃に加熱した。そして、この反応容器内に、上記にて調製した単量体混合物(e):100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ:0.16部、およびイオン交換水:50部からなる乳化物を、4時間かけて連続的に反応容器に添加した。乳化物の添加終了後、さらに4時間重合させ、その後、室温に冷却することにより、密実粒子から構成される、未処理のラテックスを得た。得られたラテックスの重合添加率は、96%以上であった。また、密実粒子の数平均粒子径:0.3μmであった。
実施例1
製造例1で得られた未処理のラテックスに対し、次のようにして後処理を行った。
すなわち、まず、未処理のラテックス(固形分100部)に、1時間あたり10部の速度で水蒸気を吹き込み、90℃に加熱処理した。水蒸気吹き込み量は、50部であった。次いで、重合体ラテックスのpHを8.5〜9.8に調整し、濃縮タンク温度75℃、タンク内圧力−0.01MPaで濃縮して、固形分濃度を26.5%とした。得られた共重合体ラテックスについて、上記方法に従い、スチレン2量体、スチレン3量体の測定および臭気強度の測定を行った。結果を表1に示す。揮発成分中に含まれるスチレン単量体の量は250ppmであった。
さらに、得られた共重合体ラテックスを用いて、次の方法により、塗被紙用組成物を調製し、次いで、塗被紙用組成物を原紙に塗工することにより、塗被紙を製造した。すなわち、まず、上記にて得られた共重合体ラテックス:10部、無機顔料としてのカオリンクレイ(アストラコート:イメリスミネラルズ・ジャパン社製):60部、無機顔料としての炭酸カルシウム(FMT90:ファイマテック社製):40部、滑剤としてステアリン酸カルシウム(ノプコートC−104HS:サンノプコ社製):0.5部、燐酸エステル化澱粉(MS−4600:日本食品化工社製):2部、バインダーとしてスチレン−ブタジエン−酸モノマー変性共重合体ラテックス(Nipol LX407F:日本ゼオン社製):9部、イオン交換水:25部を混合・攪拌して固形分濃度65%の塗被紙用組成物を得た。そして、得られた塗被紙用組成物を、坪量65g/mの原紙上に、片面10g/mにて両面塗布し、120℃で乾燥して塗被紙を得た。得られた塗被紙について、臭気の有無、透気性、クッション性、白紙光沢および印刷光沢を評価した。なお、臭気の有無の測定には、片面20g/mにて塗工したサンプルを使用した。結果を表1に示す。
実施例2
製造例1で得られた未処理のラテックスに対し、吹き込む加熱水蒸気の量を2倍とした以外は、実施例1と同様に処理して、共重合体ラテックスを得るとともに、得られた共重合体ラテックスを用いて、塗被紙用組成物および塗被紙を製造した。揮発成分中に含まれるスチレン単量体の量は50ppmであった。
比較例1
製造例1で得られた未処理のラテックスについて、減圧下での加熱処理および水蒸気蒸留のいずれも行わなかった以外は、実施例1と同様にして、共重合体ラテックスを得るとともに、得られた共重合体ラテックスを用いて、塗被紙用組成物および塗被紙を製造した。揮発成分中に含まれるスチレン単量体の量は2580ppmであった。
比較例2
製造例2で得られた未処理のラテックスに対し、実施例1と同様に後処理して、共重合体ラテックスを得るとともに、得られた共重合体ラテックスを用いて、塗被紙用組成物および塗被紙を製造した。揮発成分中に含まれるスチレン単量体の量は110ppmであった。
Figure 2007204513
表1より、共重合体ラテックスを乾燥し、次いで、加熱した際に発生する揮発成分中に含まれるスチレン2量体およびスチレン3量体の量が、本発明規定の範囲にある実施例1および2においては、いずれも共重合体ラテックスの臭気強度が30,000〜50,000の範囲となり、白紙光沢および印刷光沢を良好に保ちつつ、得られる塗被紙の臭気の発生を抑制できることが確認できた。
これに対して、共重合体ラテックス中のスチレン3量体の発生量が本願の範囲を外れると、ラテックスの臭気強度および塗被紙の臭気に劣ることが分かる(比較例1)。
共重合体ラテックスの組成が、本発明の範囲を外れるラテックス(スチレン単量体量:53重量%)は、ラテックスの臭気強度および塗被紙の臭気には優れるものの、クッション性、白紙光沢および印刷光沢に劣ることが分かる(比較例2)。

Claims (3)

  1. スチレン単量体60〜98重量%、および前記スチレン単量体と共重合可能な単量体2〜40重量%を含有する単量体混合物を、共重合して得られる共重合体ラテックスであって、
    前記共重合体ラテックスを乾燥し、次いで、200℃にて30分間加熱した際に発生する揮発成分中に含まれる、スチレン2量体およびスチレン3量体の前記共重合体ラテックスの固形分に対するそれぞれの重量比率が、スチレン2量体が200ppm以下であり、スチレン3量体が200ppm以下であることを特徴とする共重合体ラテックス。
  2. 前記共重合体ラテックスが、内部に空隙を有する中空のラテックス粒子から構成される請求項1に記載の共重合体ラテックス。
  3. 請求項1または2に記載の共重合体ラテックスと、無機顔料と、バインダーと、を含有する塗被紙用組成物。
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