JP3947419B2 - 芳香族ビニル化合物系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、シートの二次成形性が良好で、耐熱性、耐衝撃性、剛性のバランスに優れた芳香族ビニル化合物系樹脂組成物に関するもので、その樹脂組成物からシート状に成形したものを真空成形等の二次成形を行うことによって、食品等の包装材、容器等に広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
ポリスチレンやゴム変性ポリスチレン等のスチレン系樹脂は剛性や成形性が良好であり、かつ安価であることから、食品容器など様々な分野で使用されている。しかし、スチレン系樹脂からなる成形品は耐熱性に劣るため、最終消費に至る過程で熱が加わった場合に変形を生じる問題がある。スチレン系樹脂の耐熱性を改善する方法としてはスチレン系樹脂にポリオレフィン系樹脂をブレンドする方法が知られている。
【0003】
例えば、特開2000−85071にスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とからなる多層シートが開示されている。しかし、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂は相溶しないため相溶化剤を添加する必要がありコストアップとなり、また、スチレン系の優れた特徴である剛性が大きく低下してしまう。さらに、ポリオレフィン系樹脂は融点を越えた後の温度による粘度低下が大きく、シートの二次成形性を損ねてしまう。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した課題を解決し、シートの二次成形性が良好で、耐熱性、耐衝撃性、剛性に優れた芳香族ビニル化合物系樹脂シート等に好適な樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ゴム変性芳香族ビニル化合物系樹脂に芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体を含有することによって、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は(1)(a)共役ジエン系ゴム状重合体に芳香族ビニル化合物系単量体をグラフト重合して得られ、ゴム状分散粒子の中位径が0.2〜20μmであり、メタノール可溶分が1.3〜2.5質量%であるゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体65〜90質量%と(b)メタクリル酸含有量が2〜20質量%である芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体10〜35質量%からなり、該樹脂成物中のゴム状分散粒子の含有量が20〜23質量%であり、測定周波数1Hzの引張貯蔵弾性率E´が100MPaの時の温度をT1(℃)、10MPaの時の温度をT2(℃)としたとき、T1が106.8〜109.4℃、T2が113.7〜117.9℃であり、1/(T2−T1)が0.18以下であることを特徴とする芳香族ビニル化合物系樹脂組成物、(2)(1)記載の芳香族ビニル化合物系樹脂組成物よりなることを特徴とするシート、(3)(2)記載のシートを成形してなる容器である。
【0007】
【発明実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体は共役ジエン系ゴム状重合体の存在下、芳香族ビニル化合物系単量体をグラフト重合して得られるものであり、重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。芳香族ビニル化合物系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の単独または混合物をいい、特に好ましくはスチレンである。また、これらの芳香族ビニル化合物系単量体に共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等の単量体も本発明の効果を損なわない程度であれば共重合することができる。
【0008】
本発明のゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体に用いる共役ジエン系ゴム状重合体としては、例えばポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等を挙げることができる。
【0009】
本発明のゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体中の共役ジエン系ゴム重合体からなる分散粒子、すなわちゴム状分散粒子は、芳香族ビニル化合物系単量体を内部に包含している構造のものであり、サラミ構造であってもコアシェルタイプ或いはオニオンタイプ等の構造であってもよい。
【0010】
ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体中の共役ジエン系ゴム重合体からなる分散粒子の粒子径は公知の方法、例えば用いる共役ジエン系重合体の組成や溶液粘度、ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体の重合反応時の攪拌速度、温度、溶媒の種類及び量、重合開始剤の種類及び量、連鎖移動剤の種類及び量等を変更することにより調整される。
重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシベンゾネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。
また、連鎖移動剤としてはt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体のゴム状分散粒子量(質量%)および膨潤度も、ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体の重合方法、重合時の連鎖移動剤及び或いは重合開始剤の使用法、未反応単量体除去工程の温度条件、重合開始剤の種類及び添加量等により調整される。
【0011】
本発明で用いるゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体のゴム状分散粒子の中位径は0.2〜20μmであることが好ましい。中位径が0.2μm未満であると得られる樹脂組成物の耐衝撃性が著しく低下する。また、中位径が20μmを超えると光沢が低下し、外観が著しく低下し、剛性も低下する。なお、ゴム状分散粒子の中位径(μm)は、ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体をジメチルホルムアミドに溶解させ、レーザー回折方式粒度分布測定装置(コールター製レーザー回折方式粒子アナライザーLS−230型)により測定して求めた体積基準の粒径分布曲線の50体積%粒子径をもって本発明の中位径とする。
【0012】
本発明で用いるゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体のメタノール可溶分は1.0〜4.5質量%であることが好ましい。メタノール可溶分が1.0質量%未満であると耐衝撃性や引張時の伸びが低下する。また、メタノール可溶分が4.5質量%を超えると耐熱性が低下する。なお、メタノール可溶分とは樹脂組成物中のメタノールに可溶な成分を指し、例えば、ポリスチレンの重合過程で副生成するスチレンオリゴマーの他にホワイトオイル、シリコーンオイル等の各種添加剤が含まれる。
なお、メタノール可溶分は質量Pの樹脂組成物をメチルエチルケトンに溶解し、該溶液をメチルエチルケトンに対し30倍量のメタノール中に投入してメタノール不溶分を沈殿させ、ろ過してメタノール不溶分を取り出した後、70℃で15時間乾燥し、20分間デシケータ中で冷却した後、乾燥した沈殿物の質量Nを測定し、次式によって求めることができる。
メタノール可溶分(質量%)=(P−N)/P×100
【0013】
本発明の芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体は、芳香族ビニル化合物系単量体とメタクリル酸を共重合して得られる共重合体からなる。芳香族ビニル化合物系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の単独または混合物をいい、特に好ましくはスチレンである。
【0014】
本発明の芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体は懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の公知の技術により製造することができ、重合開始剤や連鎖移動剤等を添加して重合することもできる。
【0015】
本発明の芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体中のメタクリル酸含有量は2〜20質量%である。メタクリル酸含有量が2質量%未満では耐熱性や二次成形性が劣り、20質量%を超えると成形加工性が劣る。
【0016】
本発明の芳香族ビニル化合物系樹脂組成物中の芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体含量は10〜35質量%の範囲である。芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体含量が10質量%未満であると、得られる樹脂組成物の耐熱性が低下し、35質量%を超えると耐衝撃性が低下する。
【0017】
本発明の芳香族ビニル化合物系樹脂組成物中のゴム状分散粒子量は10〜30質量%であることが必須である。ゴム状分散粒子量が10質量%未満であると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、30質量%を超えると、得られる樹脂組成物の剛性が低下する。尚、芳香族ビニル化合物系樹脂組成物中のゴム状分散粒子量(質量%)は、質量Sの芳香族ビニル化合物系樹脂組成物をメチルエチルケトンに5%の割合で溶解し、その溶液を遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテーションにより上澄み液を除去して不溶分を得、70℃で15時間真空乾燥し、20分間デシケーター中で冷却した後、乾燥した不溶分の質量Wを測定して次のように求めることができる。
ゴム状分散粒子量(質量%)=(W/S)×100
【0018】
本発明の芳香族ビニル化合物系樹脂組成物にメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系共重合体及び/またはスチレン−ブタジエン系ブロックエラストマーを添加してもよい。配合方法はとくに制限はなく、押出機で芳香族ビニル化合物系樹脂組成物と溶融混錬して樹脂組成物とする方法などが挙げられる。
【0019】
本発明における測定周波数1Hzの引張貯蔵弾性率E´が100MPaの時の温度をT1(℃)、10MPaの時の温度をT2(℃)としたとき、1/(T2−T1)が0.18以下であることが好ましい。1/(T2−T1)が0.18を超えると、得られる樹脂組成物の二次成形性が低下する。1/(T2−T1)は引張貯蔵弾性率E´の温度依存性を表しており、1/(T2−T1)が小さいほど温度による引張貯蔵弾性率E´の低下の度合いが小さく、二次成形できる温度範囲が広いと考えられる。
なお、測定周波数1Hzの引張貯蔵弾性率E´は引張型のレオメータを用いて測定することができる。本発明では次のようにして測定した。
(1)レオメータ:レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製「粘弾性アナライザーRSA−II」(商品名)
(2)手順:試験片の作成はJIS K−7151に準拠し、プレス成形機にて成形温度230℃、予熱時間5分間、成形時間2分間、成形圧力10MPaで0.4mm厚のシート状成形品を得た。測定は、JIS K−7244−4に準拠し、次のように行った。得られたシートを長さ30mm、幅3mmの短冊状に切削し、クランプにしっかりと装着した(チャック間距離は、約22.5mm)。次いで、測定周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度4℃/minで40℃〜150℃の引張貯蔵弾性率E´の温度依存性を測定した。尚、成形品の残留歪みは測定結果に影響を及ぼすので、測定前の試験片はアニーリングする必要がある。アニーリングは80℃で3時間以上は必要である。
得られた結果より、引張貯蔵弾性率E´が100MPaの時の温度T1(℃)、10MPaの時の温度T2(℃)を得ることができる。
【0020】
本発明の樹脂組成物には必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。添加剤の種類はプラスチックに一般的に用いられるものであれば特に制限はないが、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、耐光性向上剤、軟化剤、可塑剤、無機補強剤、架橋剤、顔料、染料、その他或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、公知の混合方法で製造することができる。例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー及びVブレンダー等でドライブレンドしてもよく、更に押出機で溶融してペレット化してもよい。また、重合体溶液同士を混合した後、溶剤を除去する方法も用いることができる。
【0022】
得られた樹脂組成物は、押出成形、射出成形、中空成形等によって、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、中空成形品、真空成形品等に容易に成形加工することができが、特に押出成形によるシート成形に好適であり、そのシートを真空成形等の二次成形することによって食品容器等の素材として好適に使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0024】
(a)ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体としてのゴム変性スチレン系重合体の製造
表1に実施例、比較例で用いる(a)成分のゴム変性スチレン系重合体を示す。ゴム変性スチレン系重合体はポリブタジエンゴムを溶解させたスチレンを塊状重合し、表1に示すような構造上の特徴を持つゴム変性スチレン系重合体即ちHIPSを製造した。尚、ゴム状分散粒子量や中位径は、使用するポリブタジエンの添加量や重合温度、重合時の攪拌数、重合開始剤の添加量で各々調整することができる。
なお、本発明における重量平均分子量は、東ソー(株)社製、HLC−802A型ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
(イ)カラム:東ソー(株)カラム
(ロ)移動相:テトラヒドロフラン
(ハ)試料濃度:0.3質量%
(ニ)測定温度:38℃
(ホ)検出器:示差屈折計
【0025】
【参考例1】
(1)ブタジエン系ゴム状重合体として旭化成社製ジエン55AE(商品名)7.6質量%を78.4質量%のスチレンモノマーと14質量%のエチルベンゼンとの混合溶液に溶解し、原料溶液とした。
(2)容積18Lの攪拌機付きのオートクレーブ及びオートクレーブの後段に直列に接続された容積42Lの管型反応器に原料溶液を12.0kg/hrで、重合開始剤である1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのエチルベンゼン10質量%溶液を15.6g/hrで、ホワイトオイル(エクソンモービル社製ホワイトレックス335(商品名))を24g/hrで、t−ドデシルメルカプタン20質量%溶液を15.0g/hrで連続的に供給した。
(3)オートクレーブの攪拌数は250rpm、反応温度を130℃に調節した。
(4)オートクレーブ出口の反応溶液に重合開始剤であるt−ブチルクミルパーオキサイドのエチルベンゼン10質量%溶液を36g/hrで連続的に供給し、管型反応器の反応温度は反応溶液の流れ方向に130〜160℃の温度勾配がつくように調節した。管型反応器の出口におけるモノマー転化率は85質量%であった。
(5)管型反応器を出た反応溶液は熱交換器によって230℃まで加熱されたあと、真空度2.0kPaに調節された脱溶媒槽に導かれ、未反応モノマー及び溶剤等揮発分を除去した後、ギアポンプで脱溶媒槽からポリマーを抜き出しダイプレートを通してストランドとし、水冷後ペレット化してゴム変性スチレン系重合体HIPS−1を得た。
【0026】
【参考例2】
ホワイトオイルの添加量を150g/hrに変えた以外は参考例1と同様に操作し、HIPS−2を得た。
【0027】
【参考例3】
(1)ブタジエン系ゴム状重合体として旭化成社製ジエン55AE(商品名)3.3質量%を82.7質量%のスチレンモノマーと14質量%のエチルベンゼンとの混合溶液に溶解し、原料溶液とした。
(2)容積18Lの攪拌機付きのオートクレーブ及びオートクレーブの後段に直列に接続された容積42Lの管型反応器に原料溶液を12.0kg/hrで、重合開始剤である1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのエチルベンゼン10質量%溶液を10.4g/hrで、ホワイトオイル(エクソンモービル社製ホワイトレックス335(商品名))を150g/hrで、t−ドデシルメルカプタン20質量%溶液を12.0g/hrで連続的に供給した。
(3)オートクレーブの攪拌数は150rpm、反応温度を130℃に調節した。
(4)オートクレーブ出口の反応溶液に重合開始剤であるt−ブチルクミルパーオキサイドのエチルベンゼン10質量%溶液を36g/hrで連続的に供給し、管型反応器の反応温度は反応溶液の流れ方向に130〜160℃の温度勾配がつくように調節した。管型反応器の出口におけるモノマー転化率は85質量%であった。
(5)管型反応器を出た反応溶液は熱交換器によって230℃まで加熱されたあと、真空度2.0kPaに調節された脱溶媒槽に導かれ、未反応モノマー及び溶剤等揮発分を除去した後、ギアポンプで脱溶媒槽からポリマーを抜き出しダイプレートを通してストランドとし、水冷後ペレット化してゴム変性スチレン系重合体HIPS−3を得た。
【0028】
【表1】
【0029】
(b)芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体としてのスチレン−メタクリル酸系共重合体の製造
スチレンとメタクリル酸を懸濁重合することでスチレン−メタクリル酸系共重合体即ちSMAAを製造した。メタクリル酸含有量はメタクリル酸の添加量で調整することができる。
【0030】
【参考例4】
内容量200Lのジャケット、攪拌機付きオートクレーブに純水100kg、ポリビニルアルコール100gを加え、130rpmで攪拌した。続いてスチレン73.6kg、メタクリル酸3.2kg及びt−ブチルパーオキサイド20gを仕込み、オートクレーブを密閉して、110℃に昇温して5時間重合を行った。また、3.2kgのメタクリル酸を、重合温度が110℃に達した時点から2時間かけて、均等に追加添加した。さらに140℃で3時間保持し、重合を完結させた。重合して得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出機を用いペレット形状のSMAA−1を得た。得られたSMAA−1のメタクリル酸含有量は8質量%で、重量平均分子量は20万であった。
【0031】
【参考例5】 内容量200Lのジャケット、攪拌機付きオートクレーブに純水100kg、ポリビニルアルコール100gを加え、130rpmで攪拌した。続いてスチレン79.2kg、メタクリル酸0.8kg及びt−ブチルパーオキサイド20gを仕込み、オートクレーブを密閉して、110℃に昇温して5時間重合を行った。さらに140℃で3時間保持し、重合を完結させた。重合して得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出機を用いペレット形状のSMAA−2を得た。得られたSMAA−2のメタクリル酸含有量は1質量%で、重量平均分子量は22万であった。
【0032】
【実施例1〜4、比較例1〜4】
表2、表3の割合でゴム変性スチレン系重合体(a)とスチレン−メタクリル酸系共重合体(b)とを単軸押出機を用いてブレンドしペレット化した。得られたペレットについて、射出成形機を用いて試験片を作成し物性測定を行った。その結果を表2に示す。流動性を表すメルトマスフローレートはJIS K−7210により、耐熱性を表すビカット軟化温度はJIS K−7206により、耐衝撃性を表すシャルピー衝撃強さはJIS K−7111により、曲げ強度および剛性を表す曲げ弾性率は、JIS K−7171により求めた。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
また、得られたペレットを40mmφの単軸シート押出機にて230℃の樹脂温度で押出成形し、2mm厚のシートを得た。得られたシートを単発真空成形機(浅野研究所社製)にて、130℃、135℃、140℃、145℃の各温度(シート表面温度)で、口径65mmφ、高さ103mmの深絞り丸カップに二次成形した(プラグアシスト有り)。得られた容器の肉厚の均一性と耐熱性を次のように評価した。
肉厚の均一性:容器底面から20mmの高さの厚みと容器底面から50mmの高さの厚みとの比率が
1.5未満の時 ○、
1.5以上2.0未満の時 △、
2.0以上のとき × とした。
耐熱性評価:容器を100℃に設定したギア・オーブンに20分間入れ、耐熱性を評価した。変形の度合いを成形品の高さ保持率(=100×耐熱性評価後の容器高さ/耐熱性評価前の容器高さ)で表し、これをもって耐熱性とした。
【0036】
本発明で規定する範囲のスチレン系樹脂組成物は、耐衝撃性や剛性などの物性バランスに優れ、二次成形の温度範囲が広く耐熱性に優れていることがわかる。
Claims (3)
- (a)共役ジエン系ゴム状重合体に芳香族ビニル化合物系単量体をグラフト重合して得られ、ゴム状分散粒子の中位径が0.2〜20μmであり、メタノール可溶分が1.3〜2.5質量%であるゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体65〜90質量%と(b)メタクリル酸含有量が2〜20質量%である芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体10〜35質量%からなり、該樹脂成物中のゴム状分散粒子の含有量が20〜23質量%であり、測定周波数1Hzの引張貯蔵弾性率E´が100MPaの時の温度をT1(℃)、10MPaの時の温度をT2(℃)としたとき、T1が106.8〜109.4℃、T2が113.7〜117.9℃であり、1/(T2−T1)が0.18以下であることを特徴とする芳香族ビニル化合物系樹脂組成物。
- 請求項1記載の芳香族ビニル化合物系樹脂組成物よりなることを特徴とするシート。
- 請求項2記載のシートを成形してなる容器。
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