JP4776148B2 - ゴム変性共重合樹脂およびその成形体 - Google Patents

ゴム変性共重合樹脂およびその成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形温度250℃以下の温度で成形しても透明性と実用的な耐衝撃性が良好なゴム変性共重合樹脂およびその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるゴム変性共重合樹脂については、透明性と耐衝撃性のバランスを達成するため種々な検討が成されており、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルを共重合する技術や(例えば、特許文献1参照。)、特定のゴム状重合体を使用しトルエン不溶分や膨潤指数等を特定の範囲内にする技術(例えば、特許文献2参照。)等が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭52−124095号公報(第1−7頁)
【特許文献2】
特開平6−16744号公報(第2−10頁)
【0004】
しかしこれらは、比較的高温で成形した場合の透明性や耐衝撃性が良好であるが、最近のニーズであるハイサイクル成形の様な比較的低温で成形した場合、透明性や実用的な耐衝撃性が低下する等の課題があった。また、高温成形した成形品は色相が悪いという課題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形温度250℃以下の温度で成形しても透明性と実用的な耐衝撃性が良好なゴム変性共重合樹脂およびその成形体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるゴム変性共重合樹脂であって、樹脂中に分散するゴム粒子の体積平均粒子径(dv)とマトリックスの重量平均分子量(Mw)が特定の範囲内で、かつJIS K7210に基づき測定されたメルトマスフローレイト(MFR)、JIS K7206に基づき測定されたビカット軟化温度(VST)、JIS K7111に基づき測定されたシャルピー衝撃強さが特定の範囲内であることを特徴とするゴム変性共重合樹脂が、250℃以下の温度で成形しても透明性と実用的な耐衝撃性の低下が少ないことを見出し、本発明に至った。
【0007】
さらに該ゴム変性共重合樹脂を成形温度250℃以下で射出成形してなる成形体が、透明性と実用的な耐衝撃性、さらに色相が良好であることを見出し、本発明に至った。
【0008】
即ち本発明は、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるゴム変性共重合樹脂であって、樹脂中に分散するゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が0.4〜1.6μm、ゴム粒子がサラミ構造粒子の割合50%以上、マトリックスの重量平均分子量(Mw)が9万〜18万で、かつJISK7210に基づき測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が3.5〜20g/10分、JIS K7206に基づき測定されたビカット軟化温度(VST)が80℃以上、JISK7111に基づき測定されたシャルピー衝撃強さが5kJ/m以上であり、成形温度250℃以下で成形しても透明性と実用的な耐衝撃性が良好なゴム変性共重合樹脂である。
【0009】
並びに該ゴム変性共重合樹脂を成形温度250℃以下で射出成形してなることを特徴とする成形体である。
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するスチレン系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等をあげることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0011】
本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等があげられ、2種以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を併用することが好ましい。また、ホモポリマーにしたときのガラス転移温度(Tg)が100℃以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体とホモポリマーにしたときのガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を併用することがさらに好ましい。この様なさらに好ましい例としては、メチルメタクリレート(ホモポリマーのTg=105℃)、n−ブチルアクリレート(ホモポリマーのTg=−49℃)が挙げられる。
【0012】
本発明では、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外の共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド等もスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、50質量部未満であれば含有させることができる。
【0013】
スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合は、好ましくはスチレン系単量体5〜95質量部および(メタ)アクリル酸エステル系単量体95〜5質量部、さらに好ましくは、スチレン系単量体10〜90質量部および(メタ)アクリル酸エステル系単量体90〜10質量部である。但しスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計を100質量部とする。スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体が該範囲外の場合は透明性等が劣る場合がある。
【0014】
本発明で使用するゴム状重合体は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム、部分水添ポリブタジエン、部分水添スチレン−ブタジエンゴム、部分水添スチレン−ブタジエンブロックゴム等があげられるが、好ましくはスチレン含量が20〜50質量%のスチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴムである。また、温度25℃における5質量%スチレン溶液粘度が、好ましくは15〜200mPa・s、さらに好ましくは20〜60mPa・sである。ブタジエンに基づく不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合は、好ましくは8〜25モル%、さらに好ましくは12〜16モル%である。
本発明では、スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂等のゴム状重合体以外の重合体もゴム状重合体100質量部に対し、50質量部未満であれば含有させることができる。
【0015】
ゴム状重合体の割合は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは3〜15質量部である。ゴム状重合体が該範囲外の場合は実用的な耐衝撃性が劣ったり、高温成形時色相が悪くなる等目的を達しない場合がある。
【0016】
本発明では、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合して得られる。ゴム状重合体は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に溶解した後重合に供する。
重合温度は、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは100〜160℃である。
【0017】
重合時、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の重合開始剤や、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の公知の分子量調整剤を添加することが好ましい。
重合開始剤、分子量調整剤の添加量はスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.005〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。該範囲外の場合は実用的な耐衝撃性が劣る等目的を達しない場合がある。
【0018】
また重合時オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の公知の酸化防止剤等を添加しても差し支えない。
【0019】
本発明では重合時、エチルベンゼン、トルエン等の溶剤をスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対して好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは5〜20質量部使用することが好ましい。溶剤の使用により重合時の粘度が下がり、重合制御性が向上する場合がある。また、本発明における重合の様式は経済性等の観点及び着色の原因となりうる回分式の懸濁重合に用いられる懸濁安定剤を用いない等の品質面の観点から連続重合様式が好ましい。
【0020】
本発明のゴム変性共重合樹脂中にはゴム粒子が分散してなる。ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)は0.4〜1.6μm、好ましくは0.4〜1.3μm、さらに好ましくは0.5〜1.2μmである。ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が0.4μm未満の場合は実用的な耐衝撃性が低いものとなり、1.6μmを越えた場合は低温成形時の透明性が劣るものとなる。
本発明の体積平均粒子径(dv)とは、樹脂の超薄切片法透過型電子顕微鏡写真より、写真中のゴム粒子約3000個の粒子径Di(円相当径)を測定し、次式[数1]により得られる平均粒子径とする。
【数1】
Figure 0004776148
なお、ゴム粒子はゴム変性共重合樹脂を重合する際、重合の進行に伴い形成する。体積平均粒子径(dv)の制御は重合時の撹拌数、重合開始剤や分子量調整剤の添加量、異なる粒子径を有するゴム変性共重合樹脂の混合等で実施できる。
【0021】
本発明のゴム変性共重合樹脂中に分散するゴム粒子の構造は、特開平6−16744号公報に記載されている様なサラミ構造が好ましく、サラミ構造粒子の割合は、特に規定はないが、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。サラミ構造粒子の割合は、樹脂の超薄切片法透過型電子顕微鏡写真より、写真中のゴム粒子約3000個の粒子構造を観察し、全ゴム粒子面積に対するサラミ構造粒子の面積%とする。サラミ構造の割合が50%未満の場合は、低温成形時の実用的な耐衝撃性が低下することがある。なお、サラミ構造粒子の割合はゴム状重合体の種類や量、開始剤等で調整することができる。
【0022】
本発明におけるゴム変性共重合樹脂のマトリックスの重量平均分子量(Mw)は9万〜18万、好ましくは10万〜17万、さらに好ましくは11〜15万でである。重量平均分子量(Mw)が9万未満であると、実用的な耐衝撃性が低下し、18万を越えると色相や低温成形時の透明性が低下する。重量平均分子量(Mw)は重合時に使用する開始剤や連鎖移動剤、重合温度条件等で調整することができる。
なお、本発明の重量平均分子量(Mw)はGPCにて測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)であり、下記記載の測定条件で測定した。
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラハイドロフラン
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作製し、重量平均分子量はPS換算値で表した。
【0023】
本発明におけるゴム変性共重合樹脂のゲル分は特に制限はないが、好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは11〜25質量%である。ゲル分が5質量%未満であると耐衝撃性が劣り、ゲル分が30質量%を越えると透明性、色相が劣るものとなる場合がある。ゲル分の調整は、重合時の撹拌条件、重合開始剤や分子量調整剤の種類や添加量等で調整できる。
なお、本発明におけるゲル分は以下の様に測定する。
試料0.35gを精秤(a)しメチルエチルケトン(MEK)35mlに温度25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を事前に質量(b)を測定した容量50mlの遠心管に移し、最大遠心半径10.7cmのローターを用いて、温度10℃以下、14000rpmで40分間遠心分離し、上澄み液をデカンテーションにより取り除き、温度70℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、乾燥後の遠心管の質量(c)を測定し、下式[数2]によりゲル分を算出する。
【数2】
Figure 0004776148
【0024】
また、本発明におけるゴム変性共重合樹脂の膨潤指数は特に制限はないが、好ましくは9〜17、さらに好ましくは10〜14である。膨潤指数が9未満であると耐衝撃性が劣り、膨潤指数が17を越えると低温成形時の透明性が劣るものとなる場合がある。ゴム変性共重合樹脂の膨潤指数は、酸化防止剤の添加や、脱揮槽内の加熱条件等で調整できる。
なお、本発明における膨潤指数は以下の様に測定する。試料約0.35gをトルエン35mlに温度25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を質量(d)を測定した遠心管に移し、最大遠心半径10.7cmのローターを用いて、温度10℃以下、14000rpmで40分間遠心分離し、上澄み液をデカンテーションにより取り除いた後、乾燥前の遠心管の質量(e)を測定する。温度70℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、乾燥後の遠心管の質量(f)を測定し、下式[数3]により膨潤指数を算出する。
【数3】
Figure 0004776148
【0025】
本発明のゴム変性共重合樹脂は、JIS K7210に基づき測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が3.5〜20g/10分、好ましくは3.6〜12g/10分、さらに好ましくは3.7〜10g/10分である。メルトマスフローレイト(MFR)が3.5未満の場合は低温成形時の透明性や実用的な耐衝撃性が低下する。また、メルトマスフローレイト(MFR)が20g/10分を越える場合は耐衝撃性が低下する。メルトマスフローレイト(MFR)の調整は(メタ)アクリル酸エステルの種類や量、重合時に使用する開始剤や連鎖移動剤等で調整することができる。なお、メルトマスフローレイト(MFR)は温度200℃、荷重49Nで樹脂ペレットを用いて測定するものとする。
【0026】
本発明のゴム変性共重合樹脂は、JIS K7206に基づき測定されたビカット軟化温度(VST)が80℃以上、好ましくは81〜96℃、さらに好ましくは82〜95℃である。ビカット軟化温度(VST)が80℃未満の場合は成形サイクルが長くなり経済性が低下したり、成形時成形体が変形する等実用に制限がある。ビカット軟化温度(VST)の調整は(メタ)アクリル酸エステルの種類や量、重合時に使用する開始剤や連鎖移動剤等で調整することができる。なお、ビカット軟化温度(VST)は50法(荷重50N、昇温速度50℃/時間)で試験片は10mm×10mm、厚さ4mmのものを用いて測定するものとする。
【0027】
本発明のゴム変性共重合樹脂は、JIS K7111に基づき測定されたシャルピー衝撃強さが5kJ/m以上、好ましくは7〜19kJ/m、さらに好ましくは8〜18kJ/mである。シャルピー衝撃強さが5kJ/m未満の場合は実用的な耐衝撃性が低く使用に制限がある。シャルピー衝撃強さの調整はゴム状重合体の種類や量、ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)や構造により選択することができる。なお、シャルピー衝撃強さはノッチタイプAを有するタイプ1試験片を用い、打撃方向はエッジワイズを採用して測定するものとする。
【0028】
本発明のゴム変性共重合樹脂は、必要に応じて酸化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃剤等の添加剤や、MS樹脂、MBS樹脂、乳化グラフト共重合体等を添加することができ、製造時任意の段階で添加することができる。添加する方法については特に規定はないが、たとえば、重合時添加する方法や押出機にて溶融混練する方法等があげられる。
【0029】
本発明のゴム変性共重合樹脂は、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等の公知の方法により各種成形体に加工され実用に供されるが、成形温度250℃以下で射出成形した場合が最も高い効果が得られる。成形温度250℃を越える温度で射出成形した場合は、成形サイクルが長くなり、経済性が劣る場合がある。なお、本発明の成形温度とは、射出成形機のシリンダー加熱ゾーン前部(ノズル部付近)の設定温度をいうものとする。
【0030】
【実施例】
次に実施例をもって本発明をさら説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0031】
実施例1
撹拌機を付した容積約5Lの第1完全混合型反応器、撹拌機を付した容積約15Lの第2完全混合型反応器、容積約40Lの塔式プラグフロー型反応器、予熱器を付した脱揮槽を直列に接続して構成した。ゴム状重合体として旭化成社製アサプレン670A(スチレン−ブタジエンゴム、スチレン含量が40質量%、温度25℃における5質量%スチレン溶液粘度33mPa・s、1,2−ビニル結合の割合13.9モル%)7質量部を、スチレン44質量部、メチルメタアクリレート(以下MMA)31質量部、n−ブチルアクリレート(以下n−BA)6質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解し、さらに1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン0.02質量部、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.05質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時7kgで温度110℃に制御した第1完全混合型反応器に導入した。第1完全混合型反応器より反応液を連続的に抜き出し、この反応液にn−ドデシルメルカプタンを毎時3.0g加えた後、温度130℃に制御した第2完全混合型反応器に導入した。なお、第2完全混合型反応器の撹拌数は100rpmで実施した。次いで第2完全混合型反応器より反応液を連続的に抜き出し、この反応液にn−ドデシルメルカプタンを毎時3.0g加えた後、流れの方向に向かって温度130℃から150℃の勾配がつくように調整した塔式プラグフロー型反応器に導入した。この反応液を予熱器で加温しながら、温度230℃で圧力1.3kPaに制御した脱揮槽に導入し、未反応単量体等の揮発分を除去した。この樹脂液をギアポンプで抜き出し、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の樹脂を得た。表1に物性評価結果を示した。
【0032】
実施例2
第2完全混合型反応器より連続的に抜き出した反応液に加えたn−ドデシルメルカプタンを毎時7.0gとした以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
【0033】
実施例3
ゴム状重合体7質量部を、スチレン43質量部、MMA35質量部、n−BA3質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解した以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
【0034】
実施例4
第2完全混合型反応器の撹拌数を70rpmとした以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
【0035】
実施例5
ゴム状重合体7質量部を、スチレン42質量部、MMA39質量部、n−BA0質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解した以外は実施例2と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
【0036】
実施例6
第2完全混合型反応器より連続的に抜き出した反応液に加えたn−ドデシルメルカプタンを毎時14.0gとした以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
【0037】
比較例1
第2完全混合型反応器の撹拌数を220rpmとした以外は実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
【0038】
比較例2
第2完全混合型反応器の撹拌数を50rpmとした以外は実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
【0039】
比較例3
第2完全混合型反応器より連続的に抜き出した反応液に加えたn−ドデシルメルカプタンを毎時28.0gとした以外は実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
【0040】
比較例4
第2完全混合型反応器より連続的に抜き出した反応液に加えたn−ドデシルメルカプタンを毎時0gとした以外は実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
【0041】
比較例5
第2完全混合型反応器より連続的に抜き出した反応液に加えたn−ドデシルメルカプタンを毎時1.5gとした以外は実施例3と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
【0042】
比較例6
ゴム状重合体7質量部を、スチレン47質量部、MMA24質量部、n−BA10質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解した以外は実施例2と同様に行った。温度250℃での成形体は成形機からの取り出し時に変形してしまい実用に供するものではなかった。
表2に物性評価結果を示した。
【0043】
比較例7
ゴム状重合体5質量部を、スチレン45質量部、MMA32質量部、n−BA6質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解した以外は実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
【0044】
【表1】
Figure 0004776148
【0045】
【表2】
Figure 0004776148
【0046】
本発明のゴム変性共重合樹脂に係わる実施例は、何れも、温度250℃以下の低温成形時の透明性、実用的な耐衝撃性に優れ、かつ色相良好で、本発明の条件に合わない比較例では、低温成形時の透明性、実用的な耐衝撃性、あるいは色相のうちいずれかの物性において劣るものであった。
【0047】
なお、評価は下記の方法によった。
(1) ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)及びサラミ構造粒子の割合
オスミウム酸で染色したゴム変性共重合樹脂の超薄切片法透過型電子顕微鏡写真を撮影した。写真中の粒子約3000個の粒子径(=(長径+短径)/2)を画像処理測定装置Carl Zeiss Vision社製KS400を使用して測定し、体積平均粒子径(dv)及びサラミ構造粒子の割合を求めた。
【0048】
(2)重量平均分子量(Mw)は前掲した方法で測定した。
(3)メルトマスフローレイト(MFR)は、JIS K7210に基づき、温度200℃、荷重49Nで樹脂ペレットを用いて測定した。なお、測定機は東洋精機製作所社製メルトインデックサ(F−F01)を使用した。
(4)ビカット軟化温度(VST)はJIS K7206に基づき、50法(荷重50N、昇温速度50℃/時間)で試験片は10mm×10mm、厚さ4mmのものを用いて測定する。なお、測定機は東洋精機製作所社製HDT&VSPT試験装置を使用した。
(5)シャルピー衝撃強さは、JIS K7111に基づき、ノッチタイプAを有するタイプ1試験片を用い、打撃方向はエッジワイズを採用して測定するものとする。なお、測定機は東洋精機製作所社製デジタル衝撃試験機を使用した。
【0049】
(6)透明性
東芝機械(株)社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度250℃と230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、透明性の尺度としてJIS K7105に準拠し、日本電色工業社製HAZEメーター(NDH−1001DP型)を用いて全光線透過率および曇価を測定した(単位:%)。なお、全光線透過率が90%以上、曇価が3.5%以下を合格とした。
(7)実用的な耐衝撃性
東芝機械(株)社製射出成形機(IS−80CVN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度250℃と230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、実用的な耐衝撃性としてJIS K7211に準拠して、質量1kgのなす形重錘を用い、50%破壊高さ(H50)を測定した(単位:cm)。なお、H50が50cm以上を合格とした。
(8)色相
東芝機械(株)社製射出成形機(IS−80CVN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度250℃と230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、色相の尺度としてJIS K7105に準拠して、日本電色工業社製色差計(Σ80)を用いて黄色度(YI)を測定した。なお、YIが2.5以下を合格とした。
【0050】
【発明の効果】
本発明のゴム変性共重合樹脂は、250℃以下の温度で成形した場合の透明性、実用的な耐衝撃性に優れ、かつ色相が良好であり、家電製品、包装材料を始め様々な用途に有用である。

Claims (2)

  1. ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるゴム変性共重合樹脂であって、樹脂中に分散するゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が0.4〜1.6μm、マトリックスの重量平均分子量(Mw)が10.9万〜14.1万で、かつJIS K7210に基づき測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が3.5〜20g/10分、JIS K7206に基づき測定されたビカット軟化温度(VST)が80℃以上、JIS K7111に基づき測定されたシャルピー衝撃強さが5kJ/m以上であることを特徴とするゴム変性共重合樹脂。
  2. 請求項1記載のゴム変性共重合樹脂を成形温度250℃以下で射出成形してなることを特徴とする成形体。
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