JP4386772B2 - ゴム変性共重合樹脂及び製造方法 - Google Patents
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Description
また、オニオン構造以外のゴム粒子の割合が50%以上であることを特徴とする請求項1の透明なゴム変性共重合樹脂が、さらに透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、リサイクル性に優れることを見出し、本発明に至った。
本発明で使用するスチレン系単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等をあげることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂等のゴム状重合体以外の重合体もゴム状重合体100質量部に対し、50質量部未満であれば含有させることができる。
ゴム状重合体の割合は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは3〜15質量部である。ゴム状重合体が該範囲外の場合は、透明性と耐衝撃性のバランスが劣る場合がある。
また、重合時、エチルベンゼン、トルエン等の溶剤をスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対して好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは5〜20質量部使用することができる。溶剤の使用により重合時の粘度が下がり、重合制御性が向上する場合がある。
重合温度は、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは100〜160℃である。
重合開始剤の添加量はスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.005〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。該範囲外の場合は透明性と耐衝撃性のバランスやリサイクル性が劣る場合がある。
分子量調整剤の添加量はスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.005〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。該範囲外の場合は目的を達しない場合がある。
酸化防止剤の添加量はスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。重合時ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加しない場合や、ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤を用いた場合、さらにヒンダードフェノール系酸化防止剤を1質量部を越えて添加した場合は、リサイクル性が低くなり好ましくない場合がある。
体積平均粒子径(dv)とは、樹脂の超薄切片法透過型電子顕微鏡写真より、写真中のゴム粒子約3000個の粒子径Di(円相当径)を測定し、次式数1により得られる平均粒子径とする。
本発明の重量平均分子量(Mw)はGPCにて測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)であり、下記記載の測定条件で測定した。
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラハイドロフラン
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作製し、重量平均分子量はPS換算値で表した。
試料1gを精秤(a)しトルエン100mlに温度25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を事前に質量(b)を測定した容量250mlの遠心管に移し、最大遠心半径13.8cmのアングルローターを用いて、温度10℃以下、8500rpmで60分間遠心分離し、非沈殿物をデカンテーションにより取り除き、温度70℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、乾燥後の遠心管の質量(d)を測定し、下式数2によりトルエン不溶分を算出する。
試料1gを精秤(a)しトルエン100mlに温度25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を事前に質量(b)を測定した容量250mlの遠心管に移し、最大遠心半径13.8cmのアングルローターを用いて、温度10℃以下、8500rpmで60分間遠心分離し、非沈殿物をデカンテーションにより取り除いた後、乾燥前の遠心管の質量(c)を測定する。温度70℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、乾燥後の遠心管の質量(d)を測定し、下式数3により膨潤指数を算出する。
装置名:島津製作所社製 GC12A FID検出器
カラム:ガラスカラム φ3mm×3m
充填剤:ポリエチレングリコール
キャリヤー:窒素
温度:カラム115℃、注入口220℃
注入サンプル:試料0.5gを内部標準としてシクロペンタンを含むN,N−ジメチルホルムアミド10mlに溶解させた。
注入量:1μl
全光線透過率は、ゴム状重合体の屈折率や共重合させるスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の組成等で調整できる。
東芝機械社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、日本電色工業社製HAZEメーター(NDH−1001DP型)を用いて全光線透過率を測定した(単位:%)。
各実施例及び比較例中の各物性は、下記のようにして測定した。
比較例1
比較例2
比較例3
比較例4
比較例5
比較例6
比較例7
(1)トルエン不溶分は前掲した方法で測定した。
(2)膨潤指数は前掲した方法で測定した。
(3)樹脂中に残存するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計は前掲した方法で測定した。
(4)ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)及びサラミ構造粒子の割合
オスミウム酸で染色したゴム変性共重合樹脂の超薄切片法透過型電子顕微鏡写真を撮影した。写真中の粒子約3000個の粒子径(=(長径+短径)/2)を画像処理測定装置Carl Zeiss Vision社製KS400を使用して測定し、体積平均粒子径(dv)及びサラミ構造粒子の割合を求めた。
(5)重量平均分子量(Mw)は前掲した方法で測定した。
東芝機械社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、透明性の尺度としてJIS K7105に準拠し、全光線透過率および曇価を測定した(単位:%)。なお、測定機は、日本電色工業社製HAZEメーター(NDH−1001DP型)を用いた。全光線透過率が85%以上、曇価が4%以下を合格とした。
(7)耐衝撃性
耐衝撃性の尺度として、JIS K7111に基づき、ノッチタイプAを有するタイプ1試験片を用い、打撃方向はエッジワイズを採用してシャルピー衝撃強さを測定した(単
位:kJ/m2)。なお、測定機は東洋精機製作所製デジタル衝撃試験機を使用した。シャルピー衝撃強さ8kJ/m2以上を合格とした。
(8)色相
東芝機械社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、色差の尺度としてJIS K7105に準拠して、日本電色工業社製色差計(Σ80)を用いてb*を測定した(単位:−)。
リサイクル性の判断として、繰り返し押出しにおける物性の変化を調査した。即ち、ダルメージタイプのスクリューを付したIKG社製40mm単軸押出機を用い、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数100rpmにて押出しを実施後、ペレタイザーでペレット化する操作を5回繰り返した。この繰り返し押出しを実施したサンプルにつき、上記同様耐衝撃性と色相の測定を実施した。なお、色相については、繰り返し押出し実施後のb*(b*2)と実施前のb*(b*1)の差(△b*=b*2−b*1)が0.4以下のものを合格とした。
(10)リサイクル時の臭気
繰り返し押出し中における臭気を5人の測定者に直接嗅いで1点(無臭)、2点(僅かに臭う)、3点(臭い)、4点(かなり臭い)、5点(耐えられない)の5段階で評価した。5人の合計点数が10点未満のものを◎、10点以上15点未満のものを○、15点以上のものを×として判定した。
Claims (1)
- ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の存在下、樹脂温度が230〜260℃、圧力が6kPa以下で脱揮することを特徴とする下記(I)のゴム変性共重合樹脂の製造方法。
(I)JIS K7105に基づいて測定される厚さ2mmにおける全光線透過率が88%以上であるゴム変性共重合樹脂であって、樹脂中に分散するサラミ構造やカプセル構造のゴム粒子の割合が50%以上であり、かつゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が0.4〜1.6μm、マトリックスの重量平均分子量(Mw)が9万〜18万であり、トルエン不溶分が15質量%を越え30質量%以下、膨潤指数が10以上、樹脂中に残存するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計が200ppm〜420ppmであるゴム変性共重合樹脂。
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