JP4386772B2 - ゴム変性共重合樹脂及び製造方法 - Google Patents

ゴム変性共重合樹脂及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、色相が良好で重合後における残存単量体残量が少なく、透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、リサイクル性が良好なゴム変性共重合樹脂及び製造方法に関する。
従来より、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合して得られる透明なゴム変性共重合樹脂については、透明性と耐衝撃性のバランスを達成するため種々な検討が成されており、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルを共重合する技術や(例えば、特許文献1参照。)、特定のゴム状重合体を使用しトルエン不溶分や膨潤指数等を特定の範囲内にする技術(例えば、特許文献2参照。)等が開示されている。
特開昭52−124095号公報(第1−7頁) 特開平6−16744号公報(第2−10頁) しかし、これらは、ワンウエイの用途では透明性と耐衝撃性のバランスが良好であったが、最近の傾向であるリサイクルの用途においては、リサイクル時に臭気が強かったり、リサイクル後の物性が大幅に低下するという課題があった。この課題に対し、リサイクル時に酸化防止剤等の安定剤を多量に添加して改善する手法があるが、色相の悪化やコストアップ等につながるため、リサイクル性のよい透明なゴム変性共重合樹脂が望まれている。また、樹脂中の残存揮発分が多いと成形加工時に黄色に着色することや、やけの原因となる問題が生じることがあり、近年ではデザイン志向からの良外観性や健康志向からの低残存揮発分化が要求されている。
本発明は、色相が良好で重合後における残存単量体残量が少なく、透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、リサイクル性が良好なゴム変性共重合樹脂及び製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合して得られ、JIS K7105に基づいて測定される厚さ2mmにおける全光線透過率が85%以上である透明なゴム変性共重合樹脂であって、樹脂中に分散するゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が0.4〜1.6μm、マトリックスの重量平均分子量(Mw)が9万〜18万であり、トルエン不溶分が15質量%を越え30質量%以下、膨潤指数が10以上、樹脂中に残存するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計が700ppm以下であることを特徴とするゴム変性共重合樹脂が色相が良好で重合後における残存単量体残量が少なく、透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、リサイクル性に優れることを見出し、本発明に至った。
また、オニオン構造以外のゴム粒子の割合が50%以上であることを特徴とする請求項1の透明なゴム変性共重合樹脂が、さらに透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、リサイクル性に優れることを見出し、本発明に至った。
さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の存在下、樹脂温度が230〜260℃、圧力が6kPa以下で脱揮することを特徴とする製造方法が、効率よく色相が良好で重合後における残存単量体残量が少なく、透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、リサイクル性に優れるゴム変性共重合樹脂をうることができることを見出し、本発明に至った。
本発明のゴム変性共重合樹脂は、色相が良好で重合後における残存単量体残量が少なく、透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、かつリサイクル性が良好であり、家電製品、包装材料、シートを始め様々な用途に有用である。また、本発明の製造方法によりゴム変性共重合樹脂が効率よく生産できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するスチレン系単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等をあげることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等があげられ、2種以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を併用することが好ましい。また、ホモポリマーにしたときのガラス転移温度(Tg)が100℃以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体とホモポリマーにしたときのガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を併用することがさらに好ましい。この様なさらに好ましい例としては、メチルメタクリレート(ホモポリマーのTg=105℃)、n−ブチルアクリレート(ホモポリマーのTg=−49℃)が挙げられる。
本発明では、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外の共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド等もスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、50質量部未満であれば含有させることができる。
スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合は、好ましくはスチレン系単量体5〜95質量部および(メタ)アクリル酸エステル系単量体95〜5質量部、さらに好ましくは、スチレン系単量体10〜90質量部および(メタ)アクリル酸エステル系単量体90〜10質量部である。但しスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計を100質量部とする。スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体が該範囲外の場合は透明性が劣る場合がある。
本発明で使用するゴム状重合体は、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム、部分水添ポリブタジエン、部分水添スチレン−ブタジエンゴム、部分水添スチレン−ブタジエンブロックゴム等があげられるが、好ましくはスチレン含量が32〜45質量%のスチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴムである。また、温度25℃における5質量%スチレン溶液粘度が、好ましくは15〜60mPa・s、さらに好ましくは20〜40mPa・sである。ブタジエンに基づく不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合は、好ましくは16モル%以下、さらに好ましくは10〜14モル%である。1,2−ビニル結合の割合が16モル%を越えるゴム状重合体を用いた場合はリサイクル性に劣るものとなる場合があり好ましくない。
スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂等のゴム状重合体以外の重合体もゴム状重合体100質量部に対し、50質量部未満であれば含有させることができる。
ゴム状重合体の割合は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは3〜15質量部である。ゴム状重合体が該範囲外の場合は、透明性と耐衝撃性のバランスが劣る場合がある。
ゴム変性共重合樹脂は、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合して得られる。ゴム状重合体は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に溶解した後重合に供する。
重合の様式は、経済性等の観点及び着色の原因となりうる回分式の懸濁重合に用いられる懸濁安定剤を用いない等の品質面の観点から、連続重合様式が好ましい。反応装置としては特に制限はないが、完全混合型反応器、塔式プラグフロー型反応器、脱揮槽等を組み合わせて用いることが好ましい。
また、重合時、エチルベンゼン、トルエン等の溶剤をスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対して好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは5〜20質量部使用することができる。溶剤の使用により重合時の粘度が下がり、重合制御性が向上する場合がある。
重合温度は、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは100〜160℃である。
t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の重合開始剤を用いることができ、半減期温度の異なる2種以上を用いることが耐衝撃性の観点からさらに好ましい。
重合開始剤の添加量はスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.005〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。該範囲外の場合は透明性と耐衝撃性のバランスやリサイクル性が劣る場合がある。
重合時、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の公知の分子量調整剤を添加することが好ましい。
分子量調整剤の添加量はスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.005〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。該範囲外の場合は目的を達しない場合がある。
重合時、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸化防止剤の添加量はスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。重合時ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加しない場合や、ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤を用いた場合、さらにヒンダードフェノール系酸化防止剤を1質量部を越えて添加した場合は、リサイクル性が低くなり好ましくない場合がある。
重合後、未反応の単量体や溶剤等の除去を目的に脱揮槽や押出機等公知の設備を用い、脱揮を実施する。このとき、好ましくは、樹脂温度が230〜260℃、圧力が6kPa以下、さらに好ましくは、樹脂温度が240〜250℃、圧力が2kPa以下で脱揮する。該範囲外の場合は透明性と耐衝撃性のバランスやリサイクル性が劣る場合がある。
ゴム変性共重合樹脂中にはゴム粒子が分散してなる。ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)は、0.4〜1.6μm、好ましくは0.4〜1.3μm、さらに好ましくは0.5〜1.2μmである。該範囲外の場合は透明性と耐衝撃性のバランスやリサイクル性が劣る場合がある。
体積平均粒子径(dv)とは、樹脂の超薄切片法透過型電子顕微鏡写真より、写真中のゴム粒子約3000個の粒子径Di(円相当径)を測定し、次式数1により得られる平均粒子径とする。
Figure 0004386772
ゴム粒子はゴム変性共重合樹脂を重合する際、重合の進行に伴い形成する。体積平均粒子径(dv)の制御は重合時の撹拌数、重合開始剤や分子量調整剤の添加量、異なる粒子径を有するゴム変性共重合樹脂の混合等で実施できる。
ゴム変性共重合樹脂中に分散するゴム粒子の構造は、特開平6−16744号公報に記載されている様なオニオン構造は好ましくなく、オニオン構造以外のゴム粒子、例えばサラミ構造やカプセル構造であることが好ましい。オニオン構造以外のゴム粒子の割合は、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは80%以上である。オニオン構造以外のゴム粒子の割合は、樹脂の超薄切片法透過型電子顕微鏡写真より、写真中のゴム粒子約3000個の粒子構造を観察し、全ゴム粒子面積に対するオニオン構造以外のゴム粒子の面積%とする。オニオン構造以外のゴム粒子の割合が50%未満の場合は、低温成形時の実用的な耐衝撃性が低下することがある。なお、オニオン構造以外のゴム粒子の割合はゴム状重合体の種類や量、開始剤等で調整することができる。
ゴム変性共重合樹脂のマトリックスの重量平均分子量(Mw)は9万〜18万、更に好ましくは10万〜17万、特に好ましくは13〜17万である。重量平均分子量(Mw)が9万未満であると、実用的な耐衝撃性が低下し、18万を越えると色相や低温成形時の透明性が低下する。重量平均分子量(Mw)は重合時に使用する開始剤や連鎖移動剤、重合温度条件等で調整することができる。
本発明の重量平均分子量(Mw)はGPCにて測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)であり、下記記載の測定条件で測定した。

装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラハイドロフラン
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作製し、重量平均分子量はPS換算値で表した。
ゴム変性共重合樹脂のトルエン不溶分は15質量%を越え30質量%以下、好ましくは15.5〜28質量%、さらに好ましくは16〜25質量%である。トルエン不溶分が15質量%以下であると耐衝撃性が劣り、トルエン不溶分が30質量%を越えると透明性、色相が劣るものとなる。トルエン不溶分の調整は、ゴム状重合体量等で調整できる。
本発明におけるトルエン不溶分は以下の様に測定する。
試料1gを精秤(a)しトルエン100mlに温度25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を事前に質量(b)を測定した容量250mlの遠心管に移し、最大遠心半径13.8cmのアングルローターを用いて、温度10℃以下、8500rpmで60分間遠心分離し、非沈殿物をデカンテーションにより取り除き、温度70℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、乾燥後の遠心管の質量(d)を測定し、下式数2によりトルエン不溶分を算出する。
Figure 0004386772
膨潤指数は以下の様に測定する。
試料1gを精秤(a)しトルエン100mlに温度25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を事前に質量(b)を測定した容量250mlの遠心管に移し、最大遠心半径13.8cmのアングルローターを用いて、温度10℃以下、8500rpmで60分間遠心分離し、非沈殿物をデカンテーションにより取り除いた後、乾燥前の遠心管の質量(c)を測定する。温度70℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、乾燥後の遠心管の質量(d)を測定し、下式数3により膨潤指数を算出する。
Figure 0004386772
本発明におけるゴム変性共重合樹脂の中に残存するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計は700ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下である。樹脂中に残存する単量体の合計が700ppmを越えると成形時の臭気や色相悪化の原因となる。樹脂中に残存する単量体は、脱揮槽内の圧力や温度条件、酸化防止剤等で調整できる。
ゴム変性共重合樹脂の中に残存するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計はGC法にて測定するものとする。本発明では下記条件にて実施した。
装置名:島津製作所社製 GC12A FID検出器
カラム:ガラスカラム φ3mm×3m
充填剤:ポリエチレングリコール
キャリヤー:窒素
温度:カラム115℃、注入口220℃
注入サンプル:試料0.5gを内部標準としてシクロペンタンを含むN,N−ジメチルホルムアミド10mlに溶解させた。
注入量:1μl
ゴム変性共重合樹脂は、JIS K7105に基づき測定された厚さ2mmの全光線透過率が85%以上、好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率が85%未満の場合は透明性が低く、使用に制限がある。
全光線透過率は、ゴム状重合体の屈折率や共重合させるスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の組成等で調整できる。
全光線透過率は以下の様にして測定した。
東芝機械社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、日本電色工業社製HAZEメーター(NDH−1001DP型)を用いて全光線透過率を測定した(単位:%)。
ゴム変性共重合樹脂において、金型温度40℃、成形温度230℃における成形品の2mm厚のb値(b*)を測定している。このb値は、成形品の色相、青色味と黄色味を表すもので、JIS K7105に準拠してハンタ−ダイアグラムによるb値を採用する。b値(b)の範囲は特に規定されないが、好ましくは1.6未満である。更に好ましくは1.5未満、特に好ましくは1.4以下である。b値(b*)が1.6以上あると成形品の黄色味が強く色相が劣る傾向にある。
各実施例及び比較例中の各物性は、下記のようにして測定した。
ゴム変性共重合樹脂は、必要に応じて耐候剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃剤等の添加剤や、MS樹脂、MBS樹脂、乳化グラフト共重合体等を添加することができ、製造時任意の段階で添加することができる。添加する方法については特に規定はないが、たとえば、重合時添加する方法や押出機にて溶融混練する方法等があげられる。
ゴム変性共重合樹脂は、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等の公知の方法により各種成形体に加工され実用に供される。
次に実施例をもって本発明をさら説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
撹拌機を付した容積約5リットルの第1完全混合型反応器、撹拌機を付した容積約15リットルの第2完全混合型反応器、容積約40リットルの塔式プラグフロー型反応器、予熱器を付した脱揮槽を直列に接続して構成した。ゴム状重合体として旭化成社製アサプレン670A(スチレン−ブタジエンゴム、スチレン含量が40質量%、温度25℃における5質量%スチレン溶液粘度33mPa・s、1,2−ビニル結合の割合13.9モル%)7質量部を、スチレン44質量部、メチルメタアクリレート(以下MMA)31質量部、n−ブチルアクリレート(以下n−BA)6質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解し、さらに1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン(日本油脂社製パーヘキサC、1時間半減期温度111.1℃)0.02質量部、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製IRGANOX1076)を0.2質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時7kgで温度110℃に制御した第1完全混合型反応器に導入した。第1完全混合型反応器より反応液を連続的に抜き出し、この反応液にn−ドデシルメルカプタン(花王社製チオカルコール20)を毎時3.0g加えた後、温度130℃に制御した第2完全混合型反応器に導入した。なお、第2完全混合型反応器の撹拌数は100rpmで実施した。次いで第2完全混合型反応器より反応液を連続的に抜き出し、この反応液にn−ドデシルメルカプタンを毎時3.0gとジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂社製パーブチルD、1時間半減期温度144.1℃)を毎時0.7g加えた後、流れの方向に向かって温度130℃から150℃の勾配がつくように調整した塔式プラグフロー型反応器に導入した。この反応液を予熱器で加温しながら、温度240℃で圧力1.0kPaに制御した脱揮槽に導入し、未反応単量体等の揮発分を除去した。この樹脂液をギアポンプで抜き出し、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の樹脂を得た。表1に物性評価結果を示した。
脱揮槽の圧力を2.0kPaに制御した以外は、実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
ゴム状重合体9質量部を、スチレン43質量部、MMA30質量部、n−BA6質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解し、第2完全混合型反応器の撹拌数を150rpmとした以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
脱揮槽内の樹脂温度を255℃に制御した以外は、実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
ゴム状重合体7質量部を、スチレン46質量部、MMA29質量部、n−BA6質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解した以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
原料溶液にオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加しなかった以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
反応液にジ−t−ブチルパーオキサイドを添加しなかった以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
ゴム状重合体としてバイエル社製Buna BL6533(スチレン−ブタジエンゴム、スチレン含量が40質量%、温度25℃における5質量%スチレン溶液粘度36mPa・s、1,2−ビニル結合の割合8.5モル%)を用いた以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
脱揮槽内の樹脂温度を228℃に制御した以外は、実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
ゴム状重合体11質量部を、スチレン42質量部、MMA29質量部、n−BA6質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解し、第2完全混合型反応器の撹拌数を200rpmとした以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
比較例1
脱揮槽の圧力を7.0kPaに制御した以外は、実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
比較例2
脱揮槽内の樹脂温度を220℃に制御した以外は、実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
比較例3
ゴム状重合体5質量部を、スチレン45質量部、MMA32質量部、n−BA6質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解し、第2完全混合型反応器の撹拌数を70rpmとした以外は実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
比較例4
ゴム状重合体7質量部を、スチレン50質量部、MMA25質量部、n−BA6質量部、エチルベンゼン12質量部で構成される混合溶液に溶解した以外は実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
比較例5
原料溶液にオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加しなかった以外は実施例4と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
比較例6
脱揮槽内の樹脂温度を265℃に制御した以外は、実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
比較例7
原料溶液に1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサンを添加せず、反応液にジ−t−ブチルパーオキサイドを添加しなかった以外は実施例1と同様に行った。表2に物性評価結果を示した。
Figure 0004386772
Figure 0004386772
ゴム変性共重合樹脂に係わる実施例は、何れも、透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、リサイクル性が良好で、本発明の条件に合わない比較例では透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、リサイクル性のうちいずれかの物性において劣るものであった。
評価は下記の方法によった。
(1)トルエン不溶分は前掲した方法で測定した。
(2)膨潤指数は前掲した方法で測定した。
(3)樹脂中に残存するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計は前掲した方法で測定した。
(4)ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)及びサラミ構造粒子の割合
オスミウム酸で染色したゴム変性共重合樹脂の超薄切片法透過型電子顕微鏡写真を撮影した。写真中の粒子約3000個の粒子径(=(長径+短径)/2)を画像処理測定装置Carl Zeiss Vision社製KS400を使用して測定し、体積平均粒子径(dv)及びサラミ構造粒子の割合を求めた。
(5)重量平均分子量(Mw)は前掲した方法で測定した。
(6)透明性
東芝機械社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、透明性の尺度としてJIS K7105に準拠し、全光線透過率および曇価を測定した(単位:%)。なお、測定機は、日本電色工業社製HAZEメーター(NDH−1001DP型)を用いた。全光線透過率が85%以上、曇価が4%以下を合格とした。
(7)耐衝撃性
耐衝撃性の尺度として、JIS K7111に基づき、ノッチタイプAを有するタイプ1試験片を用い、打撃方向はエッジワイズを採用してシャルピー衝撃強さを測定した(単
位:kJ/m)。なお、測定機は東洋精機製作所製デジタル衝撃試験機を使用した。シャルピー衝撃強さ8kJ/m以上を合格とした。
(8)色相
東芝機械社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、色差の尺度としてJIS K7105に準拠して、日本電色工業社製色差計(Σ80)を用いてb*を測定した(単位:−)。
(9)リサイクル性
リサイクル性の判断として、繰り返し押出しにおける物性の変化を調査した。即ち、ダルメージタイプのスクリューを付したIKG社製40mm単軸押出機を用い、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数100rpmにて押出しを実施後、ペレタイザーでペレット化する操作を5回繰り返した。この繰り返し押出しを実施したサンプルにつき、上記同様耐衝撃性と色相の測定を実施した。なお、色相については、繰り返し押出し実施後のb*(b*2)と実施前のb*(b*1)の差(△b*=b*2−b*1)が0.4以下のものを合格とした。
(10)リサイクル時の臭気
繰り返し押出し中における臭気を5人の測定者に直接嗅いで1点(無臭)、2点(僅かに臭う)、3点(臭い)、4点(かなり臭い)、5点(耐えられない)の5段階で評価した。5人の合計点数が10点未満のものを◎、10点以上15点未満のものを○、15点以上のものを×として判定した。
本発明のゴム変性共重合樹脂は、色相が良好で重合後における残存単量体残量が少なく、透明性と耐衝撃性のバランスが良好で、かつリサイクル性が良好であり、家電製品、包装材料、シートを始め様々な用途に適用できる。




Claims (1)

  1. ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の存在下、樹脂温度が230〜260℃、圧力が6kPa以下で脱揮することを特徴とする下記(I)のゴム変性共重合樹脂の製造方法。
    (I)JIS K7105に基づいて測定される厚さ2mmにおける全光線透過率が8%以上であるゴム変性共重合樹脂であって、樹脂中に分散するサラミ構造やカプセル構造のゴム粒子の割合が50%以上であり、かつゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が0.4〜1.6μm、マトリックスの重量平均分子量(Mw)が9万〜18万であり、トルエン不溶分が15質量%を越え30質量%以下、膨潤指数が10以上、樹脂中に残存するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計が200ppm〜420ppmであるゴム変性共重合樹脂。
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