JP5214494B2 - メタクリル系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、耐候性、耐衝撃性、透明性及び成形品の外観に優れたメタクリル系樹脂組成物の製造方法に関する。
ポリメタクリル酸メチルに代表されるメタクリル系樹脂の成形品は、透明性に優れ、美麗な外観を有する。このような点から、メタクリル系樹脂成形品は、例えば、看板部品、ディスプレイ部品、照明部品、インテリア部品、建築用部品、輸送機器関係部品、電子機器部品、医療関係部品、光学関係部品、交通関係部品等に用いられている。ところが、メタクリル系樹脂は、耐衝撃性が低いという欠点を有し、さらに広く用途展開することが制限されている。
メタクリル系樹脂の耐衝撃性を改良する方法として、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1に、乳化重合法によって製造した多層構造アクリルゴム粒子をメタクリル系樹脂にブレンドする方法が挙げられている。この方法は現在最も広く工業的に実施されている。この多層構造アクリルゴム粒子は、3層あるいはそれ以上の層からなり、メタクリル酸メチルを主成分とする硬質層とアクリル酸n−ブチルなどのアクリル酸エステルを主成分とする軟質層とが、実質的に交互に重なった球状構造を有している。しかしながら、この方法によるメタクリル系樹脂の耐衝撃性の改善効果は十分なものとは言えない。また、多層構造アクリルゴム粒子をメタクリル系樹脂にブレンドする際に、多層構造アクリルゴム粒子同士が凝集して、塊(ゲルコロニー)を生じることがあり、この塊に起因して成形品にブツ(フィッシュアイ)が発生し、成形品の外観が損なわれることがあった。
特許文献2には、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体からなるゴム状物質の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、該ゴム状物質の分散不良に起因して生ずる、成形品の外観不良などが依然として残されている。
特許文献3には、部分水添共役ジエン重合体の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。しかしながら、該方法で用いる部分水添共役ジエン重合体はメタクリル酸メチルに溶解しないため、他の溶剤に溶解させることが必要になり、製造プロセスが複雑になる。さらに、該方法は、相反転による粒子化、特に粒子サイズの制御が困難な場合がある。
特許文献4には、特許文献3の部分水添共役ジエン重合体の代わりに、変性ブロック共重合体を用いた方法が開示されている。該方法で用いる変性ブロック共重合体は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位と芳香族ビニル単量体に由来する繰り返し単位とからなる共重合体である。しかしながら、特許文献4に記載の方法は、相反転による分散相の径制御は容易であるが、得られる成形品の耐衝撃性が十分でないという問題を有していた。
特許文献5には、(a)成分:アクリル酸エステル系重合体又はメタクリル酸エステル系重合体1質量部以上50質量部以下と、(b)成分:同一分子内に、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体の共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したエポキシ変性ブロック重合体50質量部以上99質量部以下とを含んでなる重合体組成物が開示されている。特許文献5の重合体組成物は、メタクリル系樹脂とエポキシ変性ブロック重合体との相溶性が改善されているものの、耐衝撃性においては未だ十分でない。
特許文献6には、ポリメタクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体50〜99質量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体0〜50質量%、およびポリメタクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体とポリ酢酸ビニルおよび/またはエチレン−酢酸ビニル共重合体とからなるグラフト共重合体、および/またはポリメタクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体とポリ酢酸ビニルまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体とからなるブロック共重合体0.5〜50質量%よりなり、鋳型重合してなるメタクリル系樹脂組成物が開示されている。ところが、特許文献6のメタクリル系樹脂組成物は、透明性が低く、耐衝撃性においても未だ十分でない。
特許文献7には、ビニル結合に富む共役ジエン重合体成分とアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル重合体成分とからなるブロック共重合体にメタクリル酸メチルをその重合条件下で反応させることを特徴とする耐衝撃性および加工性の良好なメタクリル系樹脂成形材料の製造方法が開示されている。この方法で得られた成形材料は、これを成形するためにラボプラストミル等で混練すると、モルフォロジーが崩れ、耐衝撃性および表面性が低下するものであった。
特公昭59−36645号公報 特公昭45−26111号公報 国際公開WO96/032440 特開2000−313786号公報 特開平07−207110号公報 特開平06−345933号公報 特開昭49−45148号公報
本発明の目的は、メタクリル系樹脂が有する優れた耐候性、透明性、耐擦傷性および剛性を犠牲にすることなく、耐衝撃性が改良されたメタクリル系樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々の検討を行った。その結果、特定のブロック共重合体を、メタクリル酸メチル、該メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体、および必要に応じて溶剤からなる液に溶解し、100℃〜150℃の温度で単量体の重合転化率が15〜75質量%となるまで完全混合型の流通式重合反応装置で塊状重合または溶液重合を行い、次いで、100〜200℃の温度で単量体の重合転化率が70〜95質量%となるまでプラグフロー型の流通式重合反応装置で塊状重合または溶液重合を行うことにより、メタクリル系樹脂が本来持つ耐候性、透明性及び剛性を損なうことなく、耐衝撃性が大幅に改善されたメタクリル系樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、メタクリル酸メチル50〜100質量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体混合物(A)100質量部、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)1〜80質量部、および溶剤(C)0〜100質量部を含有してなる原料液の塊状重合または溶液重合を、
(1)100℃〜150℃の温度で単量体混合物(A)の重合転化率が15〜75質量%となるまで完全混合型の流通式重合反応装置で行い、
(2)次いで、100〜200℃の温度で単量体混合物(A)の重合転化率が70〜95質量%となるまでプラグフロー型の流通式重合反応装置で行うことを含む単量体混合物(A)の重合体からなる連続相中にブロック共重合体(B)が分散相として含有するメタクリル系樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明は、前記製造方法で得られたメタクリル系樹脂組成物からなる成形品である。
本発明の製造方法によれば、メタクリル系樹脂が有する優れた耐候性、透明性、耐擦傷性および剛性を犠牲にすることなく、成形加工性および耐衝撃性が改良されたメタクリル系樹脂組成物及びそれの成形品を容易に得ることができる。
本発明の製法で得られた樹脂組成物の透過型電子顕微鏡写真像を示す図である。右下のミクロンバーは2μmを示す。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の製造方法は、単量体混合物(A)の重合体からなる連続相中にブロック共重合体(B)が分散相として含有するメタクリル系樹脂組成物を製造する方法である。
該製造方法は、メタクリル酸メチル50〜100質量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体混合物(A)100質量部、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)1〜80質量部、および溶剤(C)0〜100質量部を含有してなる原料液の塊状重合または溶液重合を、
(1)100℃〜150℃の温度で単量体混合物(A)の重合転化率が15〜75質量%となるまで完全混合型の流通式重合反応装置で行い、
(2)次いで、100〜200℃の温度で単量体混合物(A)の重合転化率が70〜95質量%となるまでプラグフロー型の流通式重合反応装置で行うことを含む。
〔単量体混合物(A)〕
単量体混合物(A)は、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体からなるものである。
本発明に用いられるメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸アルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン等;の一分子中にアルケニル基を一個だけ有する非架橋性単量体が挙げられる。
メタクリル酸メチル/他のビニル系単量体の質量比は、50/50〜100/0、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは90/10〜98/2である。
以後、本明細書では、この単量体混合物(A)の重合体を「メタクリル系樹脂」と言うことがある。
〔ブロック共重合体(B)〕
ブロック共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するものである。ブロック共重合体(B)はエラストマーであることが好ましい。
重合体ブロック(a)を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの付加重合によって得られるものである。なお、「(メタ)アクリル」は、メタクリルまたはアクリルの意である。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは1種単独で重合されていてもよいし、2種以上を組合せて共重合されていてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が23℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが0℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せがさらに好ましい。このような単量体としては、アクリル酸n−ブチル及び/又はアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
重合体ブロック(b)を構成する共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位は、共役ジエン化合物の付加重合によって得られるものである。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。これらは1種単独で重合されていてもよいし、2種以上を組合せて共重合されていてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましい。また、汎用性、経済性および取り扱い性の点から1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
共役ジエン化合物は、1,4−付加重合するものと、1,2−又は3,4−付加重合するものとがある。共役ジエン化合物が1,4−付加重合すると分子主鎖中に炭素−炭素二重結合を有するようになる。共役ジエン化合物が1,2−又は3,4−付加重合すると分子主鎖に結合するビニル基(側鎖ビニル結合)を有するようになる。この分子主鎖中の炭素−炭素二重結合及び/又は分子主鎖に結合するビニル基は、グラフト反応や架橋反応の起点となる。共役ジエン化合物の1,2−又は3,4−付加重合の割合は反応系にエーテル類などの極性化合物を加えることにより増加させることができる。
重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量は、連続相となるメタクリル系樹脂とのグラフト反応性および分散相の架橋反応性や、メタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性を考慮して選択される。
重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量は、下限が、好ましくは10mol%、より好ましくは15mol%、特に好ましくは20mol%であり、上限が、好ましくは60mol%、より好ましくは50mol%、特に好ましくは35mol%である。側鎖ビニル結合量が少なすぎると連続相となるメタクリル系樹脂とのグラフト結合が不足し耐衝撃性が低下傾向になる。一方、側鎖ビニル結合量が多すぎると、重合中の凝集によって分散相の径が大きくなりすぎることでメタクリル系樹脂組成物の透明性や剛性が低下傾向になる。なお、側鎖ビニル結合量は、共役ジエン化合物1モルの内、1,2−付加重合または3,4−付加重合した共役ジエン化合物の割合[mol%]で表される。
重合体ブロック(b)は、前述の分子主鎖中の炭素−炭素二重結合及び/又は分子主鎖に結合するビニル基を部分的に水素添加したものであってもよい。本発明の効果を維持する観点から、重合体ブロック(b)の水素添加率は70mol%未満であることが好ましく、50mol%未満であることがさらに好ましい。水素添加の方法は、特に限定されず、例えば、特公平5−20442号公報に開示された方法によって達成される。
重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との質量比は、特に制限されないが、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との合計を100質量%としたときに、重合体ブロック(a)は、通常30〜65質量%、好ましくは40〜60質量%である。重合体ブロック(b)は、通常70〜35質量%、好ましくは60〜40質量%である。
本発明に用いられるブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)をそれぞれ1つずつ有するものであってもよいし、重合体ブロック(a)および/または重合体ブロック(b)を2つ以上有するものであってもよい。
該ブロック共重合体の結合様式としては、a―b型ジブロック共重合体、a―b―a型トリブロック共重合体、b―a―b型トリブロック共重合体、a―b―a―b型テトラブロック共重合体やb―a―b―a型テトラブロック共重合体に代表される線状マルチブロック共重合体、(b―a―)n、(a―b―)n等で表される星型(ラジアルスター型)ブロック共重合体、a―g―bで表されるグラフト共重合体などが挙げられる。なお、gはグラフト結合を表す結合記号であり、nは2より大きい値である。ブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との間に傾斜連結部を有するものであってもよい。傾斜連結部は、重合体ブロック(a)の繰り返し単位の組成から、重合体ブロック(b)の繰り返し単位の組成に、漸次変化していく繰り返し単位組成を有する部分である。これらブロック共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ブロック共重合体(B)としては、アクリル酸n−ブチル単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックと1,3−ブタジエン単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックよりなるジブロック共重合体やラジアルスター型共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックと1,3−ブタジエン単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックよりなるジブロック共重合体やラジアルスター型共重合体、メタクリル酸メチル単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックとアクリル酸n−ブチル単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックと1,3−ブタジエン単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックよりなるトリブロック共重合体やラジアルスター型共重合体が例示される。
本発明に用いられるブロック共重合体(B)としては、星型ブロック共重合体が、分散相の機械的強度の観点から、特に好ましい。
星型ブロック共重合体は、複数の腕重合体ブロックが多官能性単量体や多官能性カップリング剤等に由来する基(カップリング剤残基)によって連結した共重合体を含むものである。
星型ブロック共重合体を構成する腕重合体ブロックは、重合体ブロック(a)及び/又は重合体ブロック(b)を有するものであれば、その結合態様によって制限されない。腕重合体ブロックとしては、a―b型のジブロック共重合体、a―b―a型のトリブロック共重合体、b―a―b型のトリブロック共重合体、a―b―a―b型のテトラブロック共重合体、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)とが合わせて四つ以上結合したマルチブロック共重合体などが挙げられる。星型ブロック共重合体を構成する複数の腕重合体ブロックは、同じ種類のブロック共重合体であってもよいし、異なる種類のブロック共重合体であってもよい。
本発明では、化学構造式:
(重合体ブロック(b)―重合体ブロック(a)―)n
(式中、Xはカップリング剤残基、nは2を超える数を表す。)で表される星型ブロック共重合体が、特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる星型ブロック共重合体は、GPCにより算出したポリスチレン換算の数平均分子量において、
式:
〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕>2×〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕
を満たすことが好ましい。
なお、〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕/〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕の比は腕数と呼ばれることがある。
星型ブロック共重合体の数平均分子量が、腕重合体ブロックの数平均分子量の2倍を超える範囲にすることで、連続相中に分散した星型ブロック共重合体を含んでなる分散相のせん断に対する機械的強度が高くなり、所望の耐衝撃性能を得ることができるようなる。なお、星型ブロック共重合体の数平均分子量が、腕重合体ブロックの数平均分子量の100倍より大きいものは合成が難しいので、工業的に好ましい星型ブロック共重合体の数平均分子量は、腕重合体ブロックの数平均分子量の2倍より大きく且つ100倍以下であり、より好ましくは2.5〜50倍であり、さらに好ましくは3〜10倍である。
なお、本発明に用いる星型ブロック共重合体は、カップリング剤残基によって腕重合体ブロックが連結されたものを主成分とするものであるが、カップリング剤残基によって連結していない腕重合体ブロックが含まれていてもよい。
ブロック共重合体(B)は、その製造方法によって特に限定されず、公知の手法に準じた方法で得られたものから採用することができる。一般に、分子量分布の狭いブロック共重合体を得る方法としては、構成単位である単量体をリビング重合する方法が採用される。リビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として用いて重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の鉱酸塩等の存在下でアニオン重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法、原子移動ラジカル重合(ATRP)法等が挙げられる。
上記の製造方法のうち、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法は、比較的緩和な温度条件下で、分子量分布が狭く且つ残存単量体が少ないブロック共重合体を製造でき、工業的生産における環境負荷(主に重合温度を制御するために必要な冷凍機の消費電力)が少ないという点で好ましい。
上記のアニオン重合に用いられる有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好適である。、
有機リチウム化合物の具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ペンタメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム等のアルキルリチウムおよびアルキルジリチウム;フェニルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチウム、キシリルリチウム、リチウムナフタレン等のアリールリチウムおよびアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、トリチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応により生成するジリチウム等のアラルキルリチウムおよびアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド;メトキシリチウム、エトキシリチウム、n−プロポキシリチウム、イソプロポキシリチウム、n−ブトキシリチウム、sec−ブトキシリチウム、tert−ブトキシリチウム、ペンチルオキシリチウム、ヘキシルオキシリチウム、ヘプチルオキシリチウム、オクチルオキシリチウム、フェノキシリチウム、4−メチルフェノキシリチウム、ベンジルオキシリチウム、4−メチルベンジルオキシリチウム等のリチウムアルコキシドが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のアニオン重合において用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、下記の一般式:
AlR123
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表すか、またはR1が前記したいずれかの基を表し、R2およびR3は一緒になって置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基を表す。)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
上記の一般式で表される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリs−ブチルアルミニウム、トリt−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム、ジメチル(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジ−n−オクチル(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジ−n−オクチル(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム等のジアルキルフェノキシアルミニウム、メチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム等のアルキルジフェノキシアルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、tert−ブトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、tert−ブトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、tert−ブトキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム等のアルコキシジフェノキシアルミニウム、トリス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等のトリフェノキシアルミニウム等を挙げることができる。これらの有機アルミニウム化合物の中でも、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウムは、取り扱いが容易であり、また、比較的緩和な温度条件下で失活することなくアニオン重合反応を進行させることができる点で特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のアニオン重合においては、必要に応じて、反応系内に、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4−エーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2’−ジピリジル等の含窒素化合物を、重合反応の安定のためにさらに共存させることができる。
星型ブロック共重合体は、上記のアニオン重合等によって得られたブロック共重合体の反応液に多官能性単量体を添加して共重合することによって、またはブロック共重合体の反応液に多官能性カップリング剤を添加してカップリング反応させることによって得られる。
多官能性単量体は、エチレン性不飽和基を2以上有する化合物であり、具体的には、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられる。
多官能性カップリング剤は、反応性基を3以上有する化合物であり、具体的には、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)エタン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、テトラクロロゲルマニウムなどが挙げられる。
ブロック共重合体(B)は、その屈折率によって特に制限されないが、メタクリル系樹脂組成物に透明性が要求される場合は、ブロック共重合体(B)の屈折率は単量体混合物(A)の重合体の屈折率と一致していることが好ましい。具体的には、ブロック共重合体(B)の屈折率は、好ましくは1.48〜1.50、より好ましくは1.485〜1.495である。
ブロック共重合体(B)の屈折率は、重合体を構成する繰り返し単位の種類、組成比等を選択することによって調整できる。例えば、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる未水添の重合体ブロック(b)からなるジブロック共重合体では、ジブロック共重合体全体の質量に対してアクリル酸n−ブチルの含量を30〜65質量%、1,3−ブタジエンの含量を70〜35質量%にすると、ポリメタクリル酸メチルの屈折率とほぼ一致し、透明なメタクリル系樹脂組成物を得ることができる。
本発明に用いるブロック共重合体(B)の全体の数平均分子量(Mn)は、得られるメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる観点から、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜800,000であることがより好ましく、50,000〜500,000であることがさらに好ましい。
〔溶剤(C)〕
本発明に使用する溶剤(C)は、単量体混合物(A)、単量体混合物(A)の重合体、およびブロック共重合体(B)に対して溶解能を有するものであれば特に制限されない。例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が望ましいものとして挙げられる。また、必要に応じて、2種類以上の溶剤を混合して用いて良い。混合溶剤を用いる場合には、単量体混合物(A)、単量体混合物(A)の重合体およびブロック共重合体(B)を溶解できる混合溶剤であれば、単量体混合物(A)、単量体混合物(A)の重合体およびブロック共重合体(B)を溶解できない溶剤が混合溶剤に含まれていても良い。例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ヘキサン等の炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が混合溶剤に含まれていてもよい。
本発明に用いられる原料液は、前記、単量体混合物(A)、ブロック共重合体(B)および必要に応じて溶剤(C)を含むものである。
原料液中のブロック共重合体(B)の量は、単量体混合物(A)100質量部に対して、1〜80質量部、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。ブロック共重合体(B)の量が1質量部未満になるとメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性向上の効果が小さい。ブロック共重合体(B)の量が80質量部よりも多くなると、ブロック共重合体(B)を含んでなる分散相が形成され難くなる。また、メタクリル系樹脂組成物の弾性率が低下し、メタクリル系樹脂が本来有している優れた剛性を失うことになる。
原料液中の溶剤(C)の量は、単量体混合物(A)100質量部に対して、0〜100質量部、好ましくは0〜90質量部である。溶剤の量が多いほど、原料液の粘度が下がり取り扱い性が良好となるが、連鎖移動反応などの副反応を引き起こし、グラフト反応および架橋反応を阻害することがあり、生産性が低下傾向になる。
原料液は、ブロック共重合体(B)を、単量体混合物(A)に均一に溶解することにより調製できる。溶解は攪拌によって促進され、30〜60℃程度に加熱することによりさらに促進される。また、原料液を調製する際、必要に応じて上記溶剤(C)を使用することができる。
本発明の製造方法では、次に、原料液を塊状重合または溶液重合する。原料液の重合によって、単量体混合物(A)の重合反応が進行するのと同時に、ブロック共重合体(B)と単量体混合物(A)との間でグラフト反応および/または架橋反応が進行する。
本発明の製造方法では、単量体混合物(A)の重合転化率に応じて少なくとも2種の重合方式で原料液の塊状重合または溶液重合を段階的に行う。
(1)第一重合段階
第一の重合段階では、100℃〜150℃の温度で単量体混合物(A)の重合転化率が15〜75質量%となるまで完全混合型の流通式重合反応装置で塊状重合または溶液重合を行う。
完全混合型の流通式重合反応装置は、攪拌機を備えた槽(以下、「槽型反応器」という。)に一定流量で反応物質を供給し、同じ流量で該槽型反応器から排出し、槽型反応器内の温度や濃度をほぼ一定に保って重合反応させる装置である。槽型反応器では、原料液は、理論上完全混合されている。なお、本発明においては、理論上の完全混合ではないが、ほぼ均一な混合が成される槽型反応器も完全混合型の流通式重合反応装置に含む。
槽型反応器は一つであってもよいが、二つ以上を直列に連結したものであってもよい。
第一重合段階では、温度を100℃〜150℃、好ましくは110〜140℃にする。温度が100℃未満であると、原料液の粘度が高くなり混合のために大きな動力が必要となる。温度が150℃を超えると、重合速度が速くなりすぎて反応制御が困難となる場合がある。
第一重合段階は、単量体混合物(A)の重合転化率が15〜75質量%となるまで重合を行う。重合転化率が75質量%を超えると、粘度上昇のため大きな攪拌動力が必要となる。
第一重合段階の平均滞留時間は0.5時間〜4時間が好ましく、1時間〜3時間がより好ましい。平均滞留時間が短くなるほど、重合開始剤の必要量が増える。また重合開始剤の増量により重合反応の制御が難しくなるとともに、分子量の調整が容易でなくなる。一方、平均滞留時間が長くなるほど、定常状態になるまでに時間を要し、生産性が低下するとともに、低分子量体の生成が多くなる。
本発明の製造方法では、二つの槽型反応器を直列に連結させ、1つ目の槽型反応器では好ましくは100〜140℃で重合転化率が15質量%以上となるまで重合を行い、二つ目の槽型反応器では好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜150℃の温度で75質量%以下となるまで重合を行うことが好ましい。
完全混合型の流通式重合反応装置で行う重合反応では、重合開始剤として、α−スチレンダイマートラッピング法で測定された水素引抜能が好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上で且つ1時間半減期温度が好ましくは80〜130℃、より好ましくは90〜120℃、さらに好ましくは100〜120℃の重合開始剤のみを用いることが好ましい。
重合開始剤の水素引抜能が小さくなるほど、連続相であるメタクリル系樹脂とのグラフト結合が不足しメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が低下傾向になる。
なお、水素引抜能は、重合開始剤製造業者の技術資料等[例えば日本油脂株式会社技術資料「有機過酸化物の水素引抜き能と開始剤効率」(2003年4月作成)]に開示されている公知の特性である。水素引抜能は、α−メチルスチレンダイマーを使用したラジカルトラッピング法、即ちα−メチルスチレンダイマートラッピング法によって測定することができる。当該測定方法は、一般に、ラジカルトラッピング剤としてのα−メチルスチレンダイマーの共存下で重合開始剤を開裂させて、生成したラジカル断片が水素供与物質としてのシクロヘキサンから水素原子を引抜くかまたは直接ラジカルトラッピング剤に捕捉されるかの内、前者の割合(モル分率)を、残存シクロヘキサンまたはシクロヘキサンから水素が引抜かれて生成したシクロヘキシルラジカルのα−メチルスチレンダイマーによるトラッピング生成物を定量することにより行なわれる。具体的方法は後述の実施例に記した。
水素引抜能が10%以上で且つ1時間半減期温度が80〜130℃の重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシアセテート (「パーブチルA」、38%、120.9℃)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート (「パーブチル355」、36%、119.3℃)、t−ブチルパーオキシラウレート (「パーブチルL」、31%、118.2℃)、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン (「パーヘキサ22」、35%、121.7℃)、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン (「パーヘキサ3M」、38%、109.2℃)、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン (「パーヘキサC」、35%、111.1℃)、2,2−ジ(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン (「パーテトラA」、34%、114.0℃)、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン (「パーヘキサMC」、33%、102.4℃)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート (「パーブチルE」、49%、119.3℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート (「パーブチルI」、47%、118.4℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート (「パーブチルZ」、56%、124.7℃)、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート (「パーヘキサV」、45%、126.5℃)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(「パーヘキシルI」、18%、114.6℃)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(「パーヘキシルZ」、27%、119.2℃)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」、26%、92.1℃)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーヘキシルO」、11%、90.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(「パーヘキサHC」、10%、107.3℃)、ベンゾイルパーオキシド(「ナイパーBW」、15%、92.0℃)等の有機過酸化物を挙げることができる。これらの重合開始剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、化合物名の後ろの括弧内に、該化合物の代表的市販品名、水素引抜能、および1時間半減期温度を示した。
これらの中でも、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」、26%、92.1℃)、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(「パーヘキサC」、35%、111.1℃)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(「パーヘキシルI」、18%、114.6℃)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーヘキシルO」、11%、90.1℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(「パーブチルI」、47%、118.4℃)が好ましい。
第一重合段階で添加される重合開始剤の量は、単量体混合物(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜1.0質量部、より好ましくは0.03〜0.4質量部である。0.01質量部未満であると反応速度が遅く生産性が低下する場合がある。1.0質量部を超えると、重合速度が速くなりすぎて制御が困難となる場合や分子量が低下傾向になる場合がある。
(2)第二の重合段階
第一の重合段階を経た原料液を、第二の重合段階に導入する。第二の重合段階では、100〜200℃の温度で単量体混合物(A)の重合転化率が70〜95質量%となるまでプラグフロー型の流通式重合反応装置で塊状重合または溶液重合を行う。 プラグフロー型の流通式重合反応装置は、塔型または管型反応器に一定流量で反応物質を供給し、同じ流量で該塔型または管型反応器から排出し、塔型または管型反応器内の温度の分布や濃度の分布を一定に保って重合反応させる装置である。塔型または管型反応器では、塔径または管径が塔高または管長に比して非常に小さい場合、原料液は理論上、完全プラグフローになる。なお、本発明においては、塔型または管型反応器内に邪魔板や充填物を設けたものもプラグフロー型の流通式重合反応装置に含む。
例えば、塔型反応器としては、内部に多段の攪拌翼と各段の間に除熱用の伝熱管を有した塔高/塔径(L/D)比が3以上の反応器を用いることができる。
また、例えば、管型反応器としては、内部に除熱と混合を目的とした伝熱管を内蔵したL/Dが5以上の反応器、具体的には住友重機工業社製のSMR型反応器、ノリタケカンパニー社製のスタティックミキサー内蔵型反応器、東レ社製のハイミキサー内蔵型反応器を用いることができる。中でも、スタティックミキサー内蔵型管型反応器が好ましい。塔型または管型反応器は一つであってもよいが、二つ以上を直列に連結したものであってもよい。
第二重合段階では、温度を100℃〜200℃、好ましくは110〜170℃、より好ましくは120〜170℃、特に好ましくは130〜160℃にする。温度が低くなると、粘度上昇のため工程通過性が低下傾向になる。一方、温度が高くなると、連続相であるメタクリル系樹脂中に分散しているブロック共重合体(B)を含んでなる分散相が凝集し径が大きくなり易く、透明性や剛性が低下傾向になるだけでなく、低分子量体の生成が多くなり耐衝撃性が低下傾向になる。
第二重合段階は、単量体混合物(A)の重合転化率が70〜95質量%となるまで行う。重合転化率がこれよりも低いと、相反転により形成したブロック共重合体(B)を含んでなる分散相内の架橋反応およびグラフト反応が十分に進行しにくい。架橋反応およびグラフト反応が十分に進行していない場合、メタクリル系樹脂組成物中の分散相は、押出機や、混練機などの機械的なせん断により容易に破壊され、衝撃強度が十分とは言えなくなると同時に、成形加工法によって機械的強度が変化する恐れがあり、工業的に有用と言えない。架橋反応及びグラフト反応をより進め、衝撃強度を高めるためには、重合開始剤により重合転化率を高めることが好ましく、好ましい重合転化率は70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。一方、重合転化率が95質量%を超えると単量体混合物(A)の重合体からなる連続相の分子量分布が広くなり、耐衝撃性が低下する場合がある。
第二重合段階の平均滞留時間は10分間〜3時間が好ましく、30分間〜1.5時間がより好ましい。平均滞留時間が短くなるほど、重合開始剤の必要量が増える。また重合開始剤の増量により重合反応の制御が難しくなるとともに、分子量の調整が容易でなくなる。一方、平均滞留時間が長くなるほど、設備費が増加して、生産性が低下するとともに、低分子量体の生成が多くなる。
本発明では、プラグフロー型の流通式重合反応装置は、その内壁温度が原料液導入口側から反応液排出口側に向かって順次高くなるように、2つ以上の領域に分かれていることが好ましい。例えば、一つの管型反応器において、上流部の内壁温度を低くし、下流部の内壁温度を高くしたもの;内壁温度の低い管型反応器と内壁温度の高い管型反応器を直列に連結したものなどが挙げられる。本発明においては、プラグフロー型の流通式重合反応装置を二つ以上の領域に分け、反応液導入側の内壁温度を通常100〜160℃、好ましくは120〜160℃に、反応液排出口側の内壁温度を通常110〜200℃、好ましくは130〜170℃にして、原料液導入口側から反応液排出口側に向かって順次高くなるようにすることがより好ましい。
第二重合段階において使用する重合開始剤は、その添加方法によって特に制限されないが、プラグフロー型の流通式重合反応装置の直ぐ上流に混合器を連結し、該混合器に重合開始剤と原料液を通して混合してからプラグフロー型の流通式重合反応装置に導入することが好ましい。混合器としては、スタティックミキサーが好ましいものとして挙げられる。重合開始剤は不活性溶媒に1〜50質量%の濃度で溶解させていることが好ましい。不活性溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。これらのうち、トルエン、エチルベンゼン、キシレンが好ましく、トルエン、エチルベンゼンがさらに好ましい。これら不活性溶媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、重合開始剤は、プラグフロー型の流通式重合反応装置の原料液導入口の直前や、プラグフロー型の流通式重合反応装置の中間部から添加することができる。重合開始剤の追加添加によって、重合反応を効果的に進めることが可能となる。
プラグフロー型の流通式重合反応装置で行う重合反応では、重合開始剤として、α−スチレンダイマートラッピング法で測定された水素引抜能が好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上で且つ1時間半減期温度が好ましくは100〜160℃、より好ましくは110〜160℃、さらに好ましくは110〜150℃、特に好ましくは120〜150℃の重合開始剤のみを用いることが好ましい。
但し、上記の半減期温度範囲内の重合開始剤のみを用いるとは、上記の半減期温度範囲内の重合開始剤のみを当該工程で添加して用いるの意である。これは、前段工程である完全混合型流通式重合反応装置内で添加され、開裂せずにそのまま、後段工程であるプラグフロー型流通式重合反応装置へ流下してきた重合開始剤が、当該後段工程において含まれていてもよいことを含意する。
重合開始剤の水素引抜能が小さくなるほど、ブロック共重合体(B)の内部架橋が不十分となりメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が低下傾向になる。
水素引抜能が30%以上で且つ1時間半減期温度が100〜160℃の重合開始剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド (「パーブチルD」、76%、144.1℃)、t−ブチルクミルパーオキサイド (「パーブチルC」、65%、137.3℃)、ジクミルパーオキサイド (「パークミルD」、60%、135.7℃)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート (「パーブチルE」、49%、119.3℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート (「パーブチルI」、47%、118.4℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート (「パーブチルZ」、56%、124.7)、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート (「パーヘキサV」、45%、126.5℃)、t−ブチルパーオキシアセテート (「パーブチルA」、38%、120.9℃)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート (「パーブチル355」、36%、119.3℃)、t−ブチルパーオキシラウレート (「パーブチルL」、31%、118.2℃)、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン (「パーヘキサ22」、35%、121.7℃)、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン (「パーヘキサ3M」、38%、109.2℃)、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン (「パーヘキサC」、35%、111.1℃)、2,2−ジ(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン (「パーテトラA」、34%、114.0℃)、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン (「パーヘキサMC」、33%、102.4℃)等の有機過酸化物を挙げることができる。これら重合開始剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、化合物名の後ろの括弧内に、該化合物の代表的市販品の名、水素引抜能、および1時間半減期温度を示した。
これらの中でも、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン (「パーヘキサC」、35%、111.1℃)、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート (「パーヘキサV」、45%、126.5℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート (「パーブチルI」、47%、118.4℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート (「パーブチルZ」、56%、124.7℃)、ジ−t−ブチルパーオキサイド (「パーブチルD」、76%、144.1℃)が好ましい。
第二重合段階で添加される重合開始剤の量は、単量体混合物(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜1.0質量部、より好ましくは0.02〜0.4質量部である。0.01質量部未満であると反応速度が遅く生産性が低下する場合がある。1.0質量部を超えると、重合速度が速くなりすぎて制御が困難となる場合や分子量が低下傾向になる場合がある。
本発明では、必要に応じて連鎖移動剤を第一重合段階および/または第二重合段階において添加することができる。
連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等のアルキルメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー;テルピノレン等を挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のように段階的に塊状重合または溶液重合を行うと、重合初期では、単量体混合物(A)の重合が主に進行してメタクリル系樹脂が生成する。重合転化率の増加とともに、単量体混合物(A)の重合で生成したメタクリル系樹脂の溶液相の割合が多くなり、メタクリル系樹脂の溶液相とブロック共重合体(B)の溶液相とが相分離してくる。
重合中期では、単量体混合物(A)の重合反応と同時に、ブロック共重合体(B)中の炭素−炭素不飽和結合などを起点にする、グラフト反応および架橋反応が進行するようになる。重合転化率の上昇に伴って、相全体を安定化させる為の作用が働き、撹拌によるせん断力によって、メタクリル系樹脂の溶液相とブロック共重合体(B)の溶液相とが相反転し、メタクリル系樹脂の溶液相が連続相になりブロック共重合体(B)の溶液相が分散相になる。このとき粘度が低下する。この相反転が起こる際の単量体混合物(A)の重合転化率は、メタクリル系樹脂の溶液相とブロック共重合体(B)の溶液相の体積比、ブロック共重合体(B)の分子量、相反転前までのブロック共重合体(B)へのグラフト率、溶剤を用いた場合には溶剤量や溶剤種によって変化する。
分散相の径は、槽型反応器における攪拌速度;塔型または管型反応器における静的攪拌の線速度、原料液の粘度、相反転前までのブロック共重合体(B)へのグラフト率など種々の因子によって制御可能である。
重合後期では架橋反応が主に進行するようになる。この架橋反応の進行によって、メタクリル系樹脂組成物によって得られる成形品の衝撃強度、外観性を向上させているものと考えられる。
連続相であるメタクリル系樹脂中に分散しているブロック共重合体(B)を含んでなる分散相の径は、0.05〜2μmの範囲であることが好ましい。更に0.1〜1μmの範囲であることがより好ましい。分散相の径が0.05μmより小さいと耐衝撃性が低下し、2μmを超えると剛性、透明性が低下しやすいので好ましくない。
尚、重合途中のブロック共重合体(B)を含んでなる分散相生成の有無及び分散相の径は、重合途中の原料液の一部を抜き出し、それを懸濁重合し、得られたメタクリル系樹脂組成物のモルフォロジーを走査型電子顕微鏡で観察する方法あるいは、重合途中の原料液の一部を抜き出し、それを乾燥、脱揮することで未反応単量体、溶剤を除去し、その組成物のモルフォロジーを走査型電子顕微鏡で観察する方法により確認できる。
本発明の製造方法では、単量体混合物(A)の重合体のGPCで測定された重量平均分子量を7万〜20万にすることが好ましく、8万〜15万にすることがより好ましく、特に9万〜12万にすることが好ましい。重量平均分子量が7万未満ではメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が低下傾向になる。重量平均分子量が20万を超えるとメタクリル系樹脂組成物の流動性が低下して成形加工性が低下傾向になる。
さらに、本発明の製造方法では、単量体混合物(A)の重合体の分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)を3.0以下にすることが好ましく、2.5以下にすることがより好ましく、2.3以下にすることが特に好ましい。単量体混合物(A)の重合体の重量平均分子量および分子量分布は、重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量等を調整することによって制御できる。分子量分布が3.0を超えるとメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が低下傾向になる。
本発明の製造方法では、上記のような段階的重合工程の後に、未反応単量体および溶剤を主成分とする揮発分を分離除去することが好ましい。除去方法は特に制限されないが、連続的に送られてくる所定の重合転化率を有する反応混合物を、減圧下に、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜270℃に加熱して、揮発分を連続的に分離除去する方法が好ましい。180℃未満では脱揮に時間を要し、脱揮不十分なときには成形品にシルバー等の外観不良を起こすことがある。逆に300℃を超えると酸化、やけなどによってメタクリル系樹脂組成物に色が着くことがある。脱揮に用いられる装置としては、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などが挙げられる。残存揮発分は0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。残存揮発分が0.5質量%を超えると熱変形温度などが低下傾向になる。
本発明の製造方法で得られたメタクリル系樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、高分子加工助剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などを添加することができる。また、本発明の製造方法で得られたメタクリル系樹脂組成物は、通常のメタクリル樹脂(D)で希釈して使用することもできる。また、その他AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、スチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等他の樹脂と混合して使用することもできる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤のいずれか1種またはその組み合わせが好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、紫外線による樹脂劣化、特に着色による光学特性低下を抑制する効果が高く本発明の製造方法で得られるメタクリル系樹脂組成物にこうした特性を付加する場合において好適な紫外線吸収剤であり好ましい。また、波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤は、得られる成形品の黄色味が抑えられるため、こうした特性が要求される用途においては有効な紫外線吸収剤であり好ましい。
なお、紫外線吸収剤のモル吸光係数の最大値εmaxの測定は、シクロヘキサン1Lに紫外線吸収剤(分子量(Mw))10.00mgを目視による観察で未溶解物がないように十分に溶解させ、この溶液を1cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに注入し、日立製作所社製U−3410型分光光度計を用い波長380〜450nmでの吸光度を測定し、その最大値(Amax)からモル吸光係数の最大値εmaxを次式により算出した。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×Mw
波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社;商品名サンデユボアVSU)などが挙げられる。
紫外線吸収剤の量は、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜1質量部、より好ましくは0.01〜0.5質量部、さらに好ましくは0.1〜0.3質量部である。紫外線吸収剤の量が0.001質量部未満では紫外線による樹脂劣化の抑制効果が十分に発揮されない傾向になる。1質量部を超えると成形の際に金型が汚れやすくなるので、歩留まりの低下や金型清掃などによる生産性の低下を引き起こしやすく、またシルバーの発生原因となったり、目やにが生じやすくなる。
本発明では、さらに2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物やヒンダートアミン類などの光安定化剤を含有させてもよい。
ヒンダードアミン類としては、例えば、コハク酸ジメチル/1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ))、2−(2,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン/2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペジル)セバケート、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)などが挙げられる。
光安定化剤の量は、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.5質量部である。
酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中で、着色による光学特性の劣化防止効果の点で、リン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に用いられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、2,2−メチレンビス(4,6−ジt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジt−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4'−ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜りん酸などが挙げられる。これらの中で、2,2−メチレンビス(4,6−ジt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチル)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。これらの中で、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(商品名「IRGANOX1010」、チバスペシャルケミカルズ社製)や、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、(商品名「IRGANOX1076」、チバスペシャルケミカルズ社製)が好ましい。
酸化防止剤の量は、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜1質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部、さらに好ましくは0.01〜0.3質量部である。酸化防止剤の量が0.001質量部未満では、成形物の高温での加熱着色を防止する効果が十分に発揮されない傾向になる。一方、酸化防止剤の量が1質量部を超えると、金型汚れによる歩留まりの低下や金型清掃などによる生産性の低下を引き起こすとともに、シルバー発生による成形品の欠点発生の原因となったり、成形品に焼けが発生して色相が低下したり、成形品に異物が発生したりする傾向になる。
熱劣化防止剤としては、たとえば、下記一般式で示される構造の化合物、具体的には、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学(株);商品名スミライザーGM)、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学(株);商品名スミライザーGS)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチル−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,5−ジ−t−ブチル−6−(3’−5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシメチルベンジル)−フェニルアクリレート等を挙げることができる。
これらの中でも、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレートが好ましく、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレートがより好ましい。
Figure 0005214494
(式中、R4〜R7はそれぞれ独立して1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を示し、R8は水素原子又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基。)
熱劣化防止剤の量は、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜1質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部、さらに好ましくは0.01〜0.2質量部である。熱劣化防止剤の量が少ない場合は、成形時の熱による着色や異物が生じやすい傾向になる。一方、熱劣化防止剤の多い場合は、射出成形の際に金型汚れによる歩留まりの低下や金型清掃などによる生産性の低下をもたらす傾向になるととも、シルバー発生による欠点発生の原因となったり、押出し成形時に目やにが生じやすくなったりする傾向になる。
離型剤としては、高級アルコールおよび/またはグリセリンモノエステルが挙げられる。高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどが挙げられる。本発明に用いられるグリセリンモノエステルとしては、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド等の高級脂肪酸のグリセライドなどが挙げられる。高級アルコールとグリセリンモノエステルを併用する場合、その割合は特に制限されないが、高級アルコール/グリセリンモノエステルの質量比が、好ましくは2.5/1〜3.5/1、より好ましくは2.8/1〜3.2/1である。
離型剤の量は、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対し、合計で0.5質量部以下であるのが好ましく、0.3質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることがさらに好ましい。離型剤の量が0.5質量部を超えると、金型汚れによる歩留まりの低下や金型清掃などによる生産性の低下をもたらす傾向があるとともに、シルバー発生による成形品の欠点発生の原因となったり、押出し成形時の目やにが生じやすくなる。
高分子加工助剤は、メタクリル系樹脂組成物を成形する際において、厚さ精度および薄膜性に効果を発する。高分子加工助剤は、通常、乳化重合法により0.05〜0.5μmの粒子径を有する重合体粒子として製造することができる。該重合体粒子は、単一組成および単一極限粘度のいわゆる単層粒子であっても、また、組成または極限粘度の異なる2層以上の多層粒子であってもよい。この中でも好ましいものとしては、内層に低極限粘度の層を有し、外層に極限粘度5dl/g以上の高極限粘度の層を有する2層構造の粒子が挙げられる。高分子加工助剤の極限粘度は3〜6dl/gであり、3dl/g未満では成形性に十分な改善効果が認められない。6dl/gを超えると溶融流動性の低下を招きやすい。
高分子加工助剤を用いる場合の配合量は、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対し、0.05〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。高分子加工助剤が0.05質量部未満であれば成形時の厚さ精度に十分な改善効果が認められない、一方、10質量部を超えると溶融流動性の低下を招きやすい。
有機色素としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有するターフェニルなどが挙げられる。
光拡散剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子などが挙げられる。
蛍光体としては、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
また、本発明の製造方法で得られたメタクリル系樹脂組成物には、他の耐衝撃性改質剤を用いることも有効である。他の耐衝撃性改質剤としては、アクリル系ゴムもしくはジエン系ゴムをコア層成分として含むコアシェル型改質剤、ゴム粒子を複数包含した改質剤などが挙げられる。他の耐衝撃性改質剤はいくらかの特性を改善させるために通常のレベルより少量添加することが好ましい。
本発明の製造方法で得られたメタクリル系樹脂組成物を用いれば、強靱化された成形品を得ることができる。例えば、射出成形、圧縮成形、押出成形、真空成形等、従来より知られる溶融加熱成形により成形品が得られる。その成形品において、ブロック共重合体(B)を含んでなる分散相の径の大きさや形はある程度変化するかもしれないが、外見上の変化は見られない。加熱溶融成形された成形品は、相当するメタクリル系樹脂組成物と少なくとも同等の特性を有している。
本発明の製造方法で得られたメタクリル系樹脂組成物は、耐衝撃性のみならず、耐候性、透明性に優れているので、各種の成形用品、または成形部品に適している。その用途としては、例えば広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、屋上看板等の看板用品;ショーケース、仕切板、店舗ディスプレイ等のディスプレイ用品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、シャンデリア等の照明用品;ペンダント、ミラー等のインテリア用品;ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、レジャー用建築物の屋根等の建築用部品;航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車用サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバー等の輸送機関係部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク、自動販売機等の電子機器部品;保育器、レントゲン部品等の医療機器部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、観察窓等の機器関係部品;液晶保護板、導光板、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面板、拡散板等の光学関係部品;道路標識、案内板、カーブミラー、防音壁等の交通関係部品;自動車内装用表面材、携帯電話の表面材、マーキングフィルム等のフィルム部材;洗濯機の天蓋材やコントロールパネル、炊飯ジャーの天面パネル等の家電製品用部材;その他、温室、大型水槽、箱水槽、時計パネル、バスタブ、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、溶接時の顔面保護用マスク等の用途が挙げられる。
以下に実施例を示しながら本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらにより何ら制限されるものではない。なお、実施例及び比較例における物性値の測定または評価は以下の方法により行なった。
(1)重合開始剤の水素引抜き能測定
α−メチルスチレンダイマー(1.0mol)、シクロヘキサン(6.9mol)及び重合開始剤(0.05mol)を、上記のモル比でガラスアンプルに入れ、窒素置換を行い実質上酸素のない状態にして密封した。重合開始剤の10時間半減期温度に応じた下記温度にまで昇温し、60時間放置した。
10時間半減期温度80℃を超える重合開始剤の場合 :140℃
10時間半減期温度60℃〜80℃の重合開始剤の場合 :100℃
10時間半減期温度60℃未満の重合開始剤の場合 :80℃
放置後の反応液中のシクロヘキサンのモル比(H[mol])をガスクロマトグラフにて測定し、下式にて水素引抜き能を求めた。
水素引抜き能(%)=[(6.9−H)/(0.05×2)]×100
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)およびブロック共重合体の生成率の測定装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー社製TSKgel G2000HHR(1本)およびGMHHR−M(2本)を直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)計
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
(3)ガスクロマトグラフィー(GC)による仕込み単量体の重合転化率の測定
装置:島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
カラム:GL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
分析条件:injection温度180℃、detector温度180℃、60℃(5分間保持)→昇温速度10℃/分→200℃(10分間保持)
(4)モルフォロジー
成形品をダイヤモンドナイフを用いて切り出し超薄切片を得、この切片を四酸化オスミウムで染色し、透過型電子顕微鏡を用いて観察像を写真撮影した。無作為に30個のブロック共重合体(B)を含んでなる分散相を選択し、それら分散相の径を測定し、それらの平均値で表した。
なお、上記の染色によってブロック共重合体(B)中の重合体ブロック(b)が染色され、メタクリル系樹脂組成物のモルフォロジーを観察できるようになる。本発明のメタクリル系樹脂組成物は、染色されていない単量体混合物(A)の重合体(メタクリル系樹脂)からなる連続相と染色されたブロック共重合体(B)を含んでなる分散相とを含有し、分散相には染色された部分(ブロック共重合体(B)からなる海相)と染色されていない部分(メタクリル系樹脂からなる島相)との海島構造をなしたものが含まれている。
(5)側鎖ビニル結合量
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解し試験液を得、1H−NMR(日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)を用いて該試験液を分析し、化学シフト4.7〜5.2ppm(以後、シグナルC0という。)の1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)と、化学シフト5.2〜5.8ppm(以後、シグナルD0という。)のビニルプロトン(=CH−)の積分強度を求め、次式によって、側鎖ビニル結合量V0[mol%]を計算して求めた。
0=〔(C0/2)/{C0/2+(D0−C0/2)/2}〕×100
(6)核磁気共鳴スペクトル(1H−NMRスペクトル)によるブロック共重合体の分子構造の解析
機器:日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)
溶媒:重クロロホルム
(7)ガラス転移温度(Tg)
重合体ブロック(a)として用いたポリアクリル酸n−ブチル(以下、「PBA」とする。)のガラス転移温度(Tg)は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition, VI/199頁, Wiley Interscience, New York, 1998」に記載の値(−49℃)を用いた。
また、重合体ブロック(b)として用いたポリ1,3−ブタジエン(以下、「PBD」とする。)のガラス転移温度(Tg)は、「ANIONIC POLYMERIZATION, 434頁, MARCEL DEKKER,Inc. 1996」に記載の1,2−ビニル結合量とTgの関係より導かれる値を用いた。
(8)屈折率(nd)
ブロック共重合体(B)が30質量%となるようトルエンに均一に溶解した。室温にて当該溶液およびトルエンの密度、屈折率を測定し、下記(式1)〜(式3)の式を用いブロック共重合体(B)の屈折率を求めた。さらに、屈折率既知のポリメタクリル酸メチル(nd=1.492)を同じ方法で測定し、この方法による屈折率測定の較正係数を求めて、ブロック共重合体(B)の屈折率を較正した。
(nd2−1)/(nd2+2)×V=r=一定・・・(式1)
3=w11+w22・・・(式2)
2=1/ρ1−1/w2(1/ρ1−1/ρ3)・・・(式3)
nd:屈折率、V:比容、r:分子屈折、w:質量分率 ρ:密度
下付き1:トルエン 下付き2:ブロック共重合体(B) 下付き3:溶液
実測:V3、nd3、V1、nd1
式(1)および式(2)出典:高分子実験学 第12巻 熱力学的・電気的および光学的性質 昭和59年 共立出版
式(3)出典:高分子実験学 第11巻 高分子溶液 昭和57年 共立出版
(9)成形品の耐衝撃性の評価
ISO179−1eAに準拠して、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。
(10)成形品の曲げ弾性率の測定
ISO178に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
(11)成形品の透明性の評価
ISO14782に準拠して、厚さ1mmの成形品のヘイズを測定した。
(12)成形品の表面平滑性の評価
厚さ1mmの成形品の表面平滑性を下記の評価基準に従って成形品の表面平滑性を評価した。
[成形品の表面平滑性の評価基準]
○:表面が平滑で良好である。
×:表面に凹凸がありすりガラス状となり不良である。
(13)流動性の評価(MFR)
ISO1133に準拠して、温度230℃、荷重37.3Nで測定した。
《合成例1》 ブロック共重合体(B−1)の製造
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801ml及び1,2−ジメトキシエタン0.006mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液0.8mlを加え、次いで1,3−ブタジエン87mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が100,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.07、側鎖ビニル結合量が49mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−60℃であった。
(2)上記(1)で得られた反応混合物を−30℃に冷却し、0.45mol/lのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを含有するトルエン溶液7.9mlおよび1,2−ジメトキシエタン8.1mlを添加し、10分間撹拌して均一な溶液とした。
(3)次いで、上記(2)で得られた溶液を激しく撹拌しながら、アクリル酸n−ブチル78mlを添加し、−30℃で3時間重合させた。得られた反応混合物の一部をサンプリングし、GPC(ポリスチレン換算)により分子量を分析した結果、反応混合物中のブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体は数平均分子量が180,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.03であり、屈折率が1.492であることが判明した。また、アクリル酸n−ブチルの重合で得られた重合体ブロック(a)のガラス転移温度は−49℃であった。
(4)上記(3)で得られた反応混合物をメタノール8000mlに入れて析出させることにより、ブロック共重合体(B−1)が得られた。得られたブロック共重合体(B−1)の収率はほぼ100%であった。表1にブロック共重合体(B−1)の特性を示す。なお、表1中のBAはアクリル酸n−ブチル、Bdは1,3−ブタジエンを意味する。
《合成例2》 ブロック共重合体(B−2)の製造
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801ml及びテトラヒドロフラン0.18mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.9mlを加え、次いで1,3−ブタジエン97mlを加えて、30℃で3時間反応させて1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が48,700、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−77℃であった。
(2)上記(1)で得られた反応混合物を−30℃に冷却し、0.45mol/lのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを含有するトルエン溶液18.1mlおよび1,2−ジメトキシエタン8.1mlを添加し、10分間撹拌して均一な溶液とした。
(3)次いで、上記(2)で得られた溶液を激しく撹拌しながら、アクリル酸n−ブチル71mlを添加し、−15℃で3時間重合させた。得られた反応混合物の一部をサンプリングし、GPC(ポリスチレン換算)により分子量を分析した結果、反応混合物中のブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が80,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であることが判明した。また、アクリル酸n−ブチルの重合で得られた重合体ブロック(a)のガラス転移温度は−49℃であった。
(4)上記(3)で得られた反応混合物を−15℃で保持し、激しく攪拌したまま、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート2.1mlを加え30分間重合した。次いでメタノール約1mlを添加して重合を停止させた。
(5)上記(4)で得られた反応混合物をメタノール8000mlに入れて析出させることにより、ブロック共重合体(B−2)が得られた。得られたブロック共重合体(B−2)の収率はほぼ100%であった。
得られたブロック共重合体(B−2)は、星型ブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物であった。ブロック共重合体(B−2)は、GPCの面積比より算出した星型ブロック共重合体の割合が92質量%であった。
星型ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は310,000(腕数=3.88)、そのMw/Mnは1.16であった。
また、ジブロック共重合体は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)49質量%と、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)51質量%とからなるもの、すなわち腕重合体ブロックであった。ブロック共重合体(B−2)の屈折率は1.492であった。表1にブロック共重合体(B−2)の特性を示す。
Figure 0005214494
(製造装置)
本実施例で使用した製造装置は、攪拌機及び採取管付オートクレーブ、3Lの槽型反応器Aと5Lの槽型反応器Bとが直列に連結された完全混合型の流通式重合反応装置、ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した管型反応器Cと、ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した管型反応器Dとが直列に連結されたプラグフロー型の流通式重合反応装置、および二軸押出機を備えている。
そして、前記オートクレーブにおいて原料液が調製され、該原料液は管経由で3Lの槽型反応器Aに供給され、3L槽型反応器Aから排出された液は管経由で5L槽型反応器Bに供給され、5L槽型反応器Bから排出された液はノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管を経て管型反応器Cに供給され、管型反応器Cから排出された液は管経由で管型反応器Dに供給され、管型反応器Dから排出された液は配管で二軸押出機に供給されるようになっている。なお、管型反応器CおよびDは滞留時間を変更するために管の長さが異なるもので置き換えることができる。
《実施例1》
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル58質量部、アクリル酸メチル3質量部およびトルエン30質量部を仕込み、そしてブロック共重合体(B−1)9質量部を添加し、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−1)を均一に溶解させた。次いで、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(「パーヘキサC」 日本油脂社製、水素引抜能:35%、1時間半減期温度:111.1℃)0.015質量部およびn−ドデシルメルカプタン0.18質量部を加え均一に溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度115℃に制御された3Lの槽型反応器Aに一定流量で供給した。槽型反応器Aでの平均滞留時間60分間で重合を実施した。反応器Aの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は26質量%であった。
槽型反応器Aから排出された液は130℃に制御された5Lの槽型反応器Bに一定流量で供給された。槽型反応器Bでの平均滞留時間70分間で重合を実施した。反応器Bの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は57質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、ジ−t−ブチルパーオキサイド(「パーブチルD」 日本油脂社製、水素引抜能:76%、1時間半減期温度:144.1℃)が原料液全体に対して0.065質量部となるように添加され、槽型反応器Bから排出された液と混合され、内壁温度135℃に制御された管型反応器Cに一定流量で供給された。管型反応器Cでの平均滞留時間45分間で重合を実施した。管型反応器Cの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Cの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は73質量%であった。
管型反応器Cから排出された液は、内壁温度140℃に制御された管型反応器Dに一定流量で供給された。管型反応器Dでの平均滞留時間30分間で重合を実施した。管型反応器Dの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Dの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は85質量%であった。
管型反応器Dから排出された液は230℃に加温され、260℃に制御された二軸押出機に一定流量で供給された。該二軸押出機において未反応単量体を主成分とする揮発分が分離除去されて、反応物がストランド状に押し出された。該ストランドをペレタイザーでカットし、ペレット状のメタクリル系樹脂組成物が得られた。残存揮発分は0.1質量%であった。
当該ペレット状メタクリル系樹脂組成物を射出成形にて厚さ3mmの成形品と厚さ1mmの成形品を作製して評価用の試験片とした。
該メタクリル系樹脂組成物は、メタアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位95質量%およびアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位5質量%からなるメタクリル系樹脂からなる連続相85質量部に、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B−1)15質量部が分散相として分散してなるものであった。
電子顕微鏡で観察された分散相には、染色された海相(ブロック共重合体(B−1))と染色されていない島相(メタクリル系樹脂)とからなる海島構造を成しているものが含まれていた。分散相の面積に対して島相の面積が20%以上占めている海島構造の分散相が全分散相の20質量%以上であった。その他の評価結果を表2に示す。
Figure 0005214494
《実施例2》
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル57質量部、アクリル酸メチル3質量部およびトルエン30.5質量部を仕込み、そしてブロック共重合体(B−2)9.5質量部を添加し、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−2)を均一に溶解させた。次いで、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」 日本油脂社製、水素引抜能:26%、1時間半減期温度:92.1℃)0.025質量部およびn−オクチルメルカプタン0.11質量部を加え均一に溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定流量で排出し、温度110℃に制御された3Lの槽型反応器Aに一定流量で供給した。槽型反応器Aでの平均滞留時間85分間で重合を実施した。反応器Aの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は35質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」 日本油脂社製、水素引抜能:26%、1時間半減期温度:92.1℃)が原料液全体に対して0.012質量部となるように添加され、槽型反応器Aから排出された液と混合され、110℃に制御された5Lの槽型反応器Bに一定流量で供給された。槽型反応器Bでの平均滞留時間120分間で重合を実施した。反応器Bの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は65質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン (「パーヘキサC」 日本油脂社製、水素引抜能:35%、1時間半減期温度:111.1℃)が原料液全体に対して0.080質量部となるように添加され、槽型反応器Bから排出された液と混合され、内壁温度110℃に制御された管型反応器Cに一定流量で供給された。管型反応器Cでの平均滞留時間10分間で重合を実施した。管型反応器Cの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Cの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は70質量%であった。
管型反応器Cから排出された液は、内壁温度120℃に制御された管型反応器Dに一定流量で供給された。管型反応器Dでの平均滞留時間50分間で重合を実施した。管型反応器Dの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Dの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は90質量%であった。
管型反応器Dから排出された液は230℃に加温され、260℃に制御された二軸押出機に一定流量で供給された。該二軸押出機において未反応単量体を主成分とする揮発分が分離除去されて、反応物がストランド状に押し出された。該ストランドをペレタイザーでカットし、ペレット状のメタクリル系樹脂組成物が得られた。残存揮発分は0.1質量%であった。
当該ペレット状メタクリル系樹脂組成物を射出成形にて厚さ3mmの成形品と厚さ1mmの成形品を作製して評価用の試験片とした。該成形品の透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。
該メタクリル系樹脂組成物は、メタアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位95質量%およびアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位5質量%からなるメタクリル系樹脂からなる連続相85質量部に、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B−2)15質量部が分散相として分散してなるものであった。
電子顕微鏡で観察された分散相には、染色された海相(ブロック共重合体(B−2))と染色されていない島相(メタクリル系樹脂)とからなる海島構造を成しているものが含まれていた。分散相の面積に対して島相の面積が20%以上占めている海島構造の分散相が全分散相の20質量%以上であった。その他の評価結果を表2に示す。
《実施例3》
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル57質量部、アクリル酸メチル3質量部およびトルエン30.5質量部を仕込み、そしてブロック共重合体(B−2)9.5質量部を添加し、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−2)を均一に溶解させた。次いで、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」 日本油脂社製、水素引抜能:26%、1時間半減期温度:92.1℃)0.025質量部およびn−オクチルメルカプタン0.11質量部を加え均一に溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度110℃に制御された3Lの槽型反応器Aに一定流量で供給した。槽型反応器Aでの平均滞留時間85分間で重合を実施した。反応器Aの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は35質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」 日本油脂社製、水素引抜能:26%、1時間半減期温度:92.1℃)が原料液全体に対して0.012質量部となるように添加され、槽型反応器Aから排出された液と混合され、110℃に制御された5Lの槽型反応器Bに一定流量で供給された。槽型反応器Bでの平均滞留時間120分間で重合を実施した。反応器Bの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は65質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(「パーブチルI」、水素引抜能:47%、1時間半減期温度:118.4℃)が原料液全体に対して0.060質量部となるように添加され、槽型反応器Bから排出された液と混合され、内壁温度115℃に制御された管型反応器Cに一定流量で供給された。管型反応器Cでの平均滞留時間10分間で重合を実施した。管型反応器Cの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Cの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は75質量%であった。
管型反応器Cから排出された液は、内壁温度125℃に制御された管型反応器Dに一定流量で供給された。管型反応器Dでの平均滞留時間50分間で重合を実施した。管型反応器Dの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Dの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は90質量%であった。
管型反応器Dから排出された液は230℃に加温され、260℃に制御された二軸押出機に一定流量で供給された。該二軸押出機において未反応単量体を主成分とする揮発分が分離除去されて、反応物がストランド状に押し出された。該ストランドをペレタイザーでカットし、ペレット状のメタクリル系樹脂組成物が得られた。残存揮発分は0.1質量%であった。
当該ペレット状メタクリル系樹脂組成物を射出成形にて厚さ3mmの成形品と厚さ1mmの成形品を作製して評価用の試験片とした。
該メタクリル系樹脂組成物は、メタアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位95質量%およびアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位5質量%からなるメタクリル系樹脂からなる連続相85質量部に、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B−2)15質量部が分散相として分散してなるものであった。
電子顕微鏡で観察された分散相には、染色された海相(ブロック共重合体(B−2))と染色されていない島相(メタクリル系樹脂)とからなる海島構造を成しているものが含まれていた。分散相の面積に対して島相の面積が20%以上占めている海島構造の分散相が全分散相の20質量%以上であった。その他の評価結果を表2に示す。
《実施例4》
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル57.8質量部、アクリル酸メチル3質量部およびトルエン35質量部を仕込み、そしてブロック共重合体(B−2)4.2質量部を添加し、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−2)を均一に溶解させた。次いで、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(「パーヘキサC」 日本油脂社製、水素引抜能:35%、1時間半減期温度:111.1℃)0.0375質量部およびn−オクチルメルカプタン0.1質量部を加え均一に溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度125℃に制御された3Lの槽型反応器Aに一定流量で供給した。槽型反応器Aでの平均滞留時間45分間で重合を実施した。反応器Aの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は44質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(「パーヘキサC」 日本油脂社製、水素引抜能:35%、1時間半減期温度:111.1℃)が原料液全体に対して0.003質量部となるように添加し、槽型反応器Aから排出された液と混合され、135℃に制御された5Lの槽型反応器Bに一定流量で供給された。槽型反応器Bでの平均滞留時間90分間で重合を実施した。反応器Bの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は70質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、t−ブチルパーオキシベンゾエート(「パーブチルZ」、水素引抜能:56%、1時間半減期温度:124.7℃)が原料液全体に対して0.02質量部となるように添加し、槽型反応器Bから排出された液と混合され、内壁温度135℃に制御された管型反応器Cに一定流量で供給された。管型反応器Cでの平均滞留時間10分間で重合を実施した。管型反応器Cの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Cの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は80質量%であった。
管型反応器Cから排出された液は、内壁温度140℃に制御された管型反応器Dに一定流量で供給された。管型反応器Dでの平均滞留時間50分間で重合を実施した。管型反応器Dの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Dの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は90質量%であった。
管型反応器Dから排出された液は230℃に加温され、260℃に制御された二軸押出機に一定流量で供給された。該二軸押出機において未反応単量体を主成分とする揮発分が分離除去されて、反応物がストランド状に押し出された。該ストランドをペレタイザーでカットし、ペレット状のメタクリル系樹脂組成物が得られた。残存揮発分は0.1質量%であった。
当該ペレット状メタクリル系樹脂組成物を射出成形にて厚さ3mmの成形品と厚さ1mmの成形品を作製して評価用の試験片とした。
該メタクリル系樹脂組成物は、メタアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位95質量%およびアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位5質量%からなるメタクリル系樹脂からなる連続相93質量部に、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B−2)7質量部が分散相として分散してなるものであった。
電子顕微鏡で観察された分散相には、染色された海相(ブロック共重合体(B−2))と染色されていない島相(メタクリル系樹脂)とからなる海島構造を成しているものが含まれていた。分散相の面積に対して島相の面積が20%以上占めている海島構造の分散相が全分散相の20質量%以上であった。その他の評価結果を表2に示す。
《実施例5》
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル59.5質量部、アクリル酸メチル3.1質量部およびトルエン35質量部を仕込み、そしてブロック共重合体(B−2)2.4質量部を添加し、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−2)を均一に溶解させた。次いで、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(「パーヘキサC」 日本油脂社製、水素引抜能:35%、1時間半減期温度:111.1℃)0.035質量部およびn−オクチルメルカプタン0.1質量部を加え均一に溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度125℃に制御された3Lの槽型反応器Aに一定流量で供給した。槽型反応器Aでの平均滞留時間45分間で重合を実施した。反応器Aの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は42質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(「パーヘキサC」 日本油脂社製、水素引抜能:35%、1時間半減期温度:111.1℃)が原料液全体に対して0.003質量部となるように添加し、槽型反応器Aから排出された液と混合され、135℃に制御された5Lの槽型反応器Bに一定流量で供給された。槽型反応器Bでの平均滞留時間90分間で重合を実施した。反応器Bの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は72質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、t−ブチルパーオキシベンゾエート(「パーブチルZ」、水素引抜能:56%、1時間半減期温度:124.7℃)が原料液全体に対して0.02質量部となるように添加し、槽型反応器Bから排出された液と混合され、内壁温度135℃に制御された管型反応器Cに一定流量で供給された。管型反応器Cでの平均滞留時間10分間で重合を実施した。管型反応器Cの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Cの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は81質量%であった。
管型反応器Cから排出された液は、内壁温度140℃に制御された管型反応器Dに一定流量で供給された。管型反応器Dでの平均滞留時間50分間で重合を実施した。管型反応器Dの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Dの排出口から反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は92質量%であった。
管型反応器Dから排出された液は230℃に加温され、260℃に制御された二軸押出機に一定流量で供給された。該二軸押出機において未反応単量体を主成分とする揮発分が分離除去されて、反応物がストランド状に押し出された。該ストランドをペレタイザーでカットし、ペレット状のメタクリル系樹脂組成物が得られた。残存揮発分は0.1質量%であった。
当該ペレット状メタクリル系樹脂組成物を射出成形にて厚さ3mmの成形品と厚さ1mmの成形品を作製して評価用の試験片とした。
該メタクリル系樹脂組成物は、メタアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位95質量%およびアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位5質量%からなるメタクリル系樹脂からなる連続相96質量部に、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B−2)4質量部が分散相として分散してなるものであった。
電子顕微鏡で観察された分散相には、染色された海相(ブロック共重合体(B−2))と染色されていない島相(メタクリル系樹脂)とからなる海島構造を成しているものが含まれていた。分散相の面積に対して島相の面積が20%以上占めている海島構造の分散相が全分散相の20質量%以上であった。その他の評価結果を表2に示す。
《比較例1〜4》
表3に示した開始剤種、開始剤量、重合温度および滞留時間に変更した以外は実施例3と同じ方法によってペレット状メタクリル系樹脂組成物を得た。得られたペレット状メタクリル系樹脂組成物を射出成形にて厚さ3mmの成形品と厚さ1mmの成形品を作製した。評価結果を表3に示す。
ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン(「パーヘキサMC」、水素引抜能33%、1時間半減期温度102.4℃)
Figure 0005214494
表2および表3に示すように、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂からなる連続相に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)が分散相として分散してなる樹脂組成物(実施例1〜5)を用いた成形品は、比較例1〜3に比べ、耐衝撃性、剛性、透明性および表面平滑性に優れることがわかる。比較例4では分散相が形成されなかった。
本発明により、メタクリル系樹脂が有する優れた耐候性、透明性、耐擦傷性、剛性を犠牲にすることなく、耐衝撃性を改良したメタクリル系樹脂組成物およびその成形品が提供される。該成形品は、看板部品、ディスプレイ部品、照明部品、インテリア部品、建築部品、輸送機器部品、電子機器部品、医療機器部品、機器関係部品、光学関係部品、交通関係部品、フィルム部材、家電製品用部材等に適用することができる。

Claims (7)

  1. メタクリル酸メチル50〜100質量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体混合物(A)100質量部、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)1〜80質量部、および溶剤(C)0〜100質量部を含有してなる原料液の塊状重合または溶液重合を、
    (1)100℃〜150℃の温度で単量体混合物(A)の重合転化率が15〜75質量%となるまで完全混合型の流通式重合反応装置で行い、
    (2)次いで、100〜200℃の温度で単量体混合物(A)の重合転化率が70〜95質量%となるまでプラグフロー型の流通式重合反応装置で行うことを含む
    単量体混合物(A)の重合体からなる連続相中にブロック共重合体(B)が分散相として含有するメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
  2. 完全混合型の流通式重合反応装置は、二つの槽型反応器を直列に連結させたものであり、1つ目の槽型反応器では100〜140℃で重合転化率が15質量%以上となるまで重合を行い、二つ目の槽型反応器では100〜150℃の温度で75質量%以下となるまで重合を行うことを含む、請求項1に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
  3. プラグフロー型の流通式重合反応装置は、その内壁温度が原料液導入口側から反応液排出口側に向かって順次高くなるように、2つ以上の領域に分かれている、請求項1または2に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
  4. 完全混合型の流通式重合反応装置で行う重合反応では、重合開始剤として、α−スチレンダイマートラッピング法で測定された水素引抜能が10%以上で且つ1時間半減期温度が80〜130℃の重合開始剤のみを用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
  5. プラグフロー型の流通式重合反応装置で行う重合反応では、重合開始剤として、α−スチレンダイマートラッピング法で測定された水素引抜能が30%以上で且つ1時間半減期温度が100〜160℃の重合開始剤のみを用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
  6. 単量体混合物(A)の重合体のGPCで測定された重量平均分子量が7万〜20万になり、且つ分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)が2.7以下になるようにする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法で得られたメタクリル系樹脂組成物からなる成形品。
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