JP5433254B2 - メタクリル系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、前記製造方法で得られたメタクリル系樹脂組成物からなる成形品である。
本発明の製造方法は、単量体混合物(A)の重合体からなる連続相中にブロック共重合体(B)が分散相として含有するメタクリル系樹脂組成物を製造する方法である。
該製造方法は、メタクリル酸メチル50〜100質量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体混合物(A)100質量部、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)1〜80質量部、および溶剤(C)0〜100質量部を含有してなる原料液を、単量体混合物(A)の重合転化率が70質量%〜95質量%となるまで重合すること、 次いで脱揮処理して未反応単量体および/または溶剤を除去することを含む。
単量体混合物(A)は、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体からなるものである。
本発明に用いられるメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸アルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン等;の一分子中にアルケニル基を一個だけ有する非架橋性単量体が挙げられる。
メタクリル酸メチル/他のビニル系単量体の質量比は、50/50〜100/0、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは90/10〜98/2である。
以後、本明細書では、この単量体混合物(A)の重合体を「メタクリル系樹脂」と言うことがある。
ブロック共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するものである。ブロック共重合体(B)はエラストマーであることが好ましい。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは1種単独で重合されていてもよいし、2種以上を組合せて共重合されていてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が23℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが0℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せが更に好ましい。このような単量体としては、アクリル酸n−ブチル及び/又はアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。これらは1種単独で重合されていてもよいし、2種以上を組合せて共重合されていてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましい。また、汎用性、経済性、取り扱い性の点から1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量は、1,3−ブタジエンの場合において、1,2−付加重合した繰り返し単位の量として、10〜60mol%が好ましい。1,3−ブタジエンの1,2−付加重合した繰り返し単位の量がこの範囲内にあると、メタクリル系樹脂とのグラフト反応性および分散相の架橋反応性が良好となり、メタクリル系樹脂組成物の柔軟性や耐衝撃性が高くなる。なお、側鎖ビニル結合量は、共役ジエン化合物1モルの内、1,2−付加重合または3,4−付加重合した共役ジエン化合物の割合[mol%]で表される。
該ブロック共重合体の結合様式としては、a―b型ジブロック共重合体、a―b―a型トリブロック共重合体、b―a―b型トリブロック共重合体、a―b―a―b型テトラブロック共重合体やb―a―b―a型テトラブロック共重合体に代表される線状マルチブロック共重合体、(b―a―)n、(a―b―)n等で表される星型(ラジアルスター型)ブロック共重合体、a―g―bで表されるグラフト共重合体などが挙げられる。なお、gはグラフト結合を表す結合記号であり、nは2より大きい値である。ブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との間に傾斜連結部を有するものであってもよい。傾斜連結部は、重合体ブロック(a)の繰り返し単位の組成から、重合体ブロック(b)の繰り返し単位の組成に、漸次変化していく繰り返し単位組成を有する部分である。これらブロック共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
星型ブロック共重合体は、複数の腕重合体ブロックが多官能性単量体や多官能性カップリング剤等に由来する基(カップリング剤残基)によって連結した共重合体を含むものである。
(重合体ブロック(b)―重合体ブロック(a)―)nX
(式中、Xはカップリング剤残基、nは2を超える数を表す。)で表される星型ブロック共重合体が特に好ましい。
〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕>2×〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕
を満たすことが好ましい。
なお、〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕/〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕の比は腕数と呼ばれることがある。
なお、本発明に用いる星型ブロック共重合体は、カップリング剤残基によって腕重合体ブロックが連結されたものを主成分とするものであるが、カップリング剤残基によって連結していない腕重合体ブロックが含まれていてもよい。
有機リチウム化合物の具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ペンタメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム等のアルキルリチウムおよびアルキルジリチウム;フェニルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチウム、キシリルリチウム、リチウムナフタレン等のアリールリチウムおよびアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、トリチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウム等のアラルキルリチウムおよびアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド;メトキシリチウム、エトキシリチウム、n−プロポキシリチウム、イソプロポキシリチウム、n−ブトキシリチウム、sec−ブトキシリチウム、tert−ブトキシリチウム、ペンチルオキシリチウム、ヘキシルオキシリチウム、ヘプチルオキシリチウム、オクチルオキシリチウム、フェノキシリチウム、4−メチルフェノキシリチウム、ベンジルオキシリチウム、4−メチルベンジルオキシリチウム等のリチウムアルコキシドが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
AlR1R2R3
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表すか、またはR1が前記したいずれかの基を表し、R2およびR3は一緒になって置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基を表す。)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
多官能性単量体は、エチレン性不飽和基を2以上有する化合物であり、具体的には、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられる。
多官能性カップリング剤は、反応性基を3以上有する化合物であり、具体的には、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)エタン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、テトラクロロゲルマニウムなどが挙げられる。
本発明に使用する溶剤(C)は、単量体混合物(A)、単量体混合物(A)の重合体、およびブロック共重合体(B)に対して溶解能を有するものであれば特に制限されない。例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が望ましいものとして挙げられる。また、必要に応じて、2種類以上の溶剤を混合して用いて良い。混合溶剤を用いる場合には、単量体混合物(A)、単量体混合物(A)の重合体およびブロック共重合体(B)を溶解できる混合溶剤であれば、単量体混合物(A)、単量体混合物(A)の重合体およびブロック共重合体(B)を溶解できない溶剤が混合溶剤に含まれていても良い。例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ヘキサン等の炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が混合溶剤に含まれていてもよい。
原料液中のブロック共重合体(B)の量は、単量体混合物(A)100質量部に対して、1〜80質量部、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。ブロック共重合体(B)の量が1質量部未満になるとメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性向上の効果が小さい。ブロック共重合体(B)の量が80質量部よりも多くなると、ブロック共重合体(B)を含んでなる分散相が形成され難くなる。また、メタクリル系樹脂組成物の弾性率が低下し、メタクリル系樹脂が本来有している優れた剛性を失うことになる。
原料液の重合には、ラジカル重合開始剤が用いられる。また必要に応じて連鎖移動剤が用いられる。
相反転が生じた後は、塊状重合法または溶液重合法が適用できるが、これら以外に懸濁重合法、注型重合法も適用できる。
装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー社製TSKgel G2000HHR(1本)およびGMHHR−M(2本)を直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)計
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
装置:島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
カラム:GL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
分析条件:injection温度180℃、detector温度180℃、60℃(5分間保持)→昇温速度10℃/分→200℃(10分間保持)
成形品をダイヤモンドナイフを用いて切り出し超薄切片を得、この切片を四酸化オスミウムで染色し、透過型電子顕微鏡を用いて観察像を写真撮影した。無作為に30個のブロック共重合体(B)を含んでなる分散相を選択し、それら分散相の径を測定し、それらの平均値で表した。
なお、上記の染色によってブロック共重合体(B)中の重合体ブロック(b)が染色され、メタクリル系樹脂組成物のモルフォロジーを観察できるようになる。本発明のメタクリル系樹脂組成物は、染色されていない単量体混合物(A)の重合体(メタクリル系樹脂)からなる連続相と染色されたブロック共重合体(B)を含んでなる分散相とを含有し、分散相には染色された部分(ブロック共重合体(B)からなる海相)と染色されていない部分(メタクリル系樹脂からなる島相)との海島構造をなしたものが含まれている。
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解し試験液を得、1H−NMR(日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)を用いて該試験液を分析し、化学シフト4.7〜5.2ppm(以後、シグナルC0という。)の1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)と、化学シフト5.2〜5.8ppm(以後、シグナルD0という。)のビニルプロトン(=CH−)の積分強度を求め、次式によって、側鎖ビニル結合量V0[mol%]を計算して求めた。
V0=〔(C0/2)/{C0/2+(D0−C0/2)/2}〕×100
機器:日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)
溶媒:重クロロホルム
重合体ブロック(a)として用いたポリアクリル酸n−ブチル(以下、「PBA」とする。)のガラス転移温度(Tg)は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition, VI/199頁, Wiley Interscience, New York, 1998」に記載の値(−49℃)を用いた。
また、重合体ブロック(b)として用いたポリ1,3−ブタジエン(以下、「PBD」とする。)のガラス転移温度(Tg)は、「ANIONIC POLYMERIZATION, 434頁, MARCEL DEKKER,Inc. 1996」に記載の1,2−ビニル結合量とTgの関係より導かれる値を用いた。
ブロック共重合体(B)が30質量%となるようトルエンに均一に溶解した。室温にて当該溶液およびトルエンの密度、屈折率を測定し、下記(式1)〜(式3)の式を用いブロック共重合体(B)の屈折率を求めた。さらに、屈折率既知のポリメタクリル酸メチル(nd=1.492)を同じ方法で測定し、この方法による屈折率測定の較正係数を求めて、ブロック共重合体(B)の屈折率を較正した。
(nd2−1)/(nd2+2)×V=r=一定・・・(式1)
r3=w1r1+w2r2・・・(式2)
V2=1/ρ1−1/w2(1/ρ1−1/ρ3)・・・(式3)
nd:屈折率、V:比容、r:分子屈折、w:質量分率 ρ:密度
下付き1:トルエン 下付き2:ブロック共重合体(B) 下付き3:溶液
実測:V3、nd3、V1、nd1
式(1)および式(2)出典:高分子実験学 第12巻 熱力学的・電気的および光学的性質 昭和59年 共立出版
式(3)出典:高分子実験学 第11巻 高分子溶液 昭和57年 共立出版
ISO179−1eAに準拠して、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。
ISO178に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
ISO14782に準拠して、厚さ1mmの成形品のヘイズを測定した。
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801mlおよび1,2−ジメトキシエタン0.006mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液0.8mlを加え、次いで1,3−ブタジエン87mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が100,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.07、側鎖ビニル結合量が49mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−60℃であった。
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801ml及び1,2−ジメトキシエタン0.007mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.9mlを加え、次いで1,3−ブタジエン97mlを加えて、30℃で3時間反応させて1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が48,700、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−77℃であった。
得られたブロック共重合体(B−2)は、星型ブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物であった。ブロック共重合体(B−2)は、GPCの面積比より算出した星型ブロック共重合体の割合が92質量%であった。
星型ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は310,000(腕数=3.88)、そのMw/Mnは1.16であった。また、ジブロック共重合体は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)49質量%と、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)51質量%とからなるもの、すなわち腕重合体ブロックであった。ブロック共重合体(B−2)の屈折率は1.492であった。表1にブロック共重合体(B−2)の特性を示す。
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、メタクリル酸メチル56.1質量部、アクリル酸メチル2.9質量部、トルエン35質量部およびブロック共重合体(B−1)6質量部を加え、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−1)を均一に溶解させた。次いで1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(「パーヘキサC」 日本油脂社製)0.027質量部およびn−ドデシルメルカプタン0.17質量部を加え、均一に溶解した。窒素により反応系内の酸素を追出し、115℃で3時間重合を行った(前段重合)。採取管より反応液(d−1)を採取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は60質量%であった。
次いで、該反応液(d−1)に1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.08質量部を加え、120℃で1.5時間重合した(後段重合)。得られた反応液(d−2)のガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は90質量%であった。
実施例1において用いたブロック共重合体(B−1)をブロック共重合体(B−2)に変更した以外は実施例1と同じ手法で前段重合を行った。採取管より反応液(d−3)を採取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は60質量%であった。
次いで実施例1と同じ手法により、反応液(d−3)に1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.08質量部を加え、120℃で1.5時間、後段重合を行った。得られた反応液(d−4)のガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は90質量%であった。
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、メタクリル酸メチル60.8質量部、アクリル酸メチル3.2質量部、トルエン30質量部およびブロック共重合体(B−2)6質量部を加え、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−2)を均一に溶解させた。次いで1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.022質量部およびn−ドデシルメルカプタン0.17質量部を加え、均一に溶解した。窒素により反応系内の酸素を追出し、115℃で3時間重合を行った。採取管より反応液(d−5)を採取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は60質量%であった。
次いで、該反応液(d−5)に1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.04質量部を加え、120℃で1.5時間重合した。得られた反応液(d−6)のガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は82質量%であった。
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、メタクリル酸メチル71.3質量部、アクリル酸メチル3.7質量部、トルエン20質量部およびブロック共重合体(B−1)5質量部を加え、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−1)を均一に溶解させた。次いで1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.020質量部およびn−ドデシルメルカプタン0.17質量部を加え、均一に溶解した。窒素により反応系内の酸素を追出し、115℃で3時間重合を行った。採取管より反応液(d−7)を採取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は60質量%であった。
比較例1において用いたブロック共重合体(B−1)をブロック共重合体(B−2)に変更した以外は比較例1と同じ手法で115℃で3時間重合を行った。採取管より反応液(d−8)を採取した。ガスクロマトグラフィーによる重合転化率は60質量%であった。
次に該反応液(d−8)を200℃に加温し、2軸押出機へ連続的に供給して230℃で未反応モノマーを主成分とする揮発分を分離除去し、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位95質量%およびアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位5質量%からなるメタクリル系樹脂からなる連続相90質量部に、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B−2)10質量部が分散してなるペレット状メタクリル系樹脂組成物を得た。該メタクリル系樹脂組成物の残存揮発分は0.2質量%であった。当該ペレット状メタクリル系樹脂組成物を射出成形にて厚さ3mmの成形品と厚さ1mmの成形品を作製して評価用の試験片とした。評価結果を表2に示す。
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、メタクリル酸メチル55.6質量部、アクリル酸メチル2.9質量部、トルエン35質量部およびブロック共重合体(B−2)6.5質量部を加え、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−2)を均一に溶解させた。次いで1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.025質量部およびn−ドデシルメルカプタン0.17質量部を加え、均一に溶解した。窒素により反応系内の酸素を追出し、115℃で3時間重合を行った。採取管より反応液(d−9)を採取した。ガスクロマトグラフィーよって測定された重合転化率は60質量%であった。
次いで、該反応液(d−9)に1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.12質量部を加え、120℃で2時間重合した。得られた反応液(d−10)のガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は97質量%であった。
メタクリル系樹脂(Mw/Mn=2.2)75質量部に粒径0.25μmのスチレン―アクリル酸n−ブチルランダム共重合体ゴム40質量%を含有するコアシェル型重合体粒子25質量部を練り込んだ重合体組成物のペレットを用い、実施例1と同じ手法によって射出成形にて厚さ3mmの成形品と厚さ1mmの成形品を作製して評価用の試験片とした。シャルピー衝撃強度は3.8KJ/m2、曲げ弾性率は2400MPa、およびヘイズは0.9%であった。
Claims (4)
- メタクリル酸メチル50〜100質量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体混合物(A)100質量部、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)1〜80質量部、および溶剤(C)0〜100質量部を含有してなる原料液を、単量体混合物(A)の重合転化率が70質量%〜95質量%となるまで重合し、
次いで脱揮処理して未反応単量体および/または溶剤を除去すること含む、単量体混合物(A)の重合体からなる連続相中にブロック共重合体(B)が分散相として含有するメタクリル系樹脂組成物の製造方法。 - ブロック共重合体(B)が星型ブロック共重合体であって、星型ブロック共重合体が腕重合体ブロックで構成され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出したポリスチレン換算の数平均分子量が、式:
[星型ブロック共重合体の数平均分子量]>2×[腕重合体ブロックの数平均分子量]
を満たす請求項1に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。 - 星型ブロック共重合体が、化学構造式:
(重合体ブロック(b)―重合体ブロック(a)―)nX
(式中、Xはカップリング残基、nは2を超える数を表す。)で表されるものである請求項2に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。 - 単量体混合物(A)の重合体のGPCで測定された分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)が3.0以下になるようにする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
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