JP5186416B2 - 表示窓保護板 - Google Patents
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Description
これらのディスプレイ正面の表示画面を保護するために、その表示窓に保護板が嵌められている。
該表示窓保護板には、表示画面の視認性が優れると同時に、耐衝撃性、剛性および表面平滑性が優れ、表面硬度が高く、且つ外観が美麗であることが要求される。このようなことから、携帯電話機等の表示窓保護板には、メタクリル系樹脂からなるものが多く用いられている。
ところが、メタクリル系樹脂そのものは脆弱で耐衝撃性が低いので薄肉化に不向きである。そこで、乳化重合法によって製造した多層構造アクリルゴム粒子をメタクリル系樹脂に配合してなるメタクリル系樹脂組成物を用いることが、特許文献1や特許文献2によって提案された。この多層構造アクリルゴム粒子は、2層あるいはそれ以上の層からなり、メタクリル酸メチルを主成分とする硬質層とアクリル酸n−ブチルなどのアクリル酸エステルを主成分とする軟質層とが、実質的に交互に重なった球状構造を有している。しかしながら、この樹脂組成物によるメタクリル系樹脂の耐衝撃性の改善効果は未だ不十分で、最近の薄肉化への要求に十分に応えることができていない。また、多層構造アクリルゴム粒子同士が凝集して、塊(ゲルコロニー)を生じることがある。薄肉化が進むと、この塊に起因するブツ(フィッシュアイ)が顕著になり、外観を損ない商品価値を下げてしまうことがある。
本発明の表示窓保護板は、メタクリル系樹脂(A)からなる連続相にブロック共重合体(B)が分散相として含有する樹脂組成物からなるものである。
連続相を構成するメタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位を50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有する樹脂である。
メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位以外のビニル系単量体に由来する繰り返し単位としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸アルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン等;の一分子中にアルケニル基を一個だけ有する非架橋性単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
メタクリル酸メチル/他のビニル系単量体の質量比は、50/50〜100/0、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは90/10〜98/2である。
さらに、メタクリル系樹脂(A)のGPCで測定された分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.3以下である。分子量分布が3.0を超えると表示窓保護板の耐衝撃性が低下傾向になる。メタクリル系樹脂(A)の分子量や分子量分布は、重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量等を調整することによって制御できる。
分散相に含有されるブロック共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなるガラス転移温度が23℃以下、好ましくは0℃以下、より好ましくは−10℃以下である重合体ブロック(a)と、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなるガラス転移温度が0℃以下、好ましくは−10℃以下である重合体ブロック(b)とを有するものである。ガラス転移温度が低いものほど寒冷地での使用に適するようになる。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは1種単独で重合されていてもよいし、2種以上を組合せて共重合されていてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が23℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが0℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せが更に好ましい。このような単量体としては、アクリル酸n−ブチル及び/又はアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。これらは1種単独で重合されていてもよいし、2種以上を組合せて共重合されていてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましい。また、汎用性、経済性および取り扱い性の点から1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
V0=〔(C0/2)/{C0/2+(D0−C0/2)/2}〕×100
なお、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出したポリスチレン換算の値である。
該ブロック共重合体の結合様式としては、a―b型ジブロック共重合体、a―b―a型トリブロック共重合体、b―a―b型トリブロック共重合体、a―b―a―b型テトラブロック共重合体やb―a―b―a型テトラブロック共重合体に代表される線状マルチブロック共重合体、(b―a―)n、(a―b―)n等で表される星型(ラジアルスター型)ブロック共重合体、a―g―bで表されるグラフト共重合体などが挙げられる。なお、nは2より大きい値である。gはグラフト結合を示す結合記号である。ブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との間に傾斜連結部を有するものであってもよい。傾斜連結部は、重合体ブロック(a)の繰り返し単位の組成から、重合体ブロック(b)の繰り返し単位の組成に、漸次変化していく繰り返し単位組成を有する部分である。これらブロック共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ブロック共重合体(B)の屈折率は、重合体を構成する繰り返し単位の種類、組成比や重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量等を選択することによって調整できる。例えば、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる未水添の重合体ブロック(b)からなるジブロック共重合体では、ジブロック共重合体全体の質量に対してアクリル酸n−ブチルの含量を30〜65質量%、1,3−ブタジエンの含量を70〜35質量%にすると、ポリメタクリル酸メチルの屈折率とほぼ一致し、透明な表示窓保護板を得ることができる。
星型ブロック共重合体は、複数の腕重合体ブロックが多官能性単量体や多官能性カップリング剤等に由来する基(カップリング剤残基)によって連結した共重合体を含むものである。
(重合体ブロック(b)―重合体ブロック(a)―)nX
(式中、Xはカップリング剤残基、nは2を超える数を表す。)で表される星型ブロック共重合体が特に好ましい。
〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕>2×〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕
を満たすことが好ましい。
なお、〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕/〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕の比は腕数と呼ばれることがある。
リビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として用いて重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の鉱酸塩等の存在下でアニオン重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法、原子移動ラジカル重合(ATRP)法等が挙げられる。
有機リチウム化合物の具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ペンタメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム等のアルキルリチウムおよびアルキルジリチウム;フェニルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチウム、キシリルリチウム、リチウムナフタレン等のアリールリチウムおよびアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、トリチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウム等のアラルキルリチウムおよびアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド;メトキシリチウム、エトキシリチウム、n−プロポキシリチウム、イソプロポキシリチウム、n−ブトキシリチウム、sec−ブトキシリチウム、tert−ブトキシリチウム、ペンチルオキシリチウム、ヘキシルオキシリチウム、ヘプチルオキシリチウム、オクチルオキシリチウム、フェノキシリチウム、4−メチルフェノキシリチウム、ベンジルオキシリチウム、4−メチルベンジルオキシリチウム等のリチウムアルコキシドが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
AlR1R2R3
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表すか、またはR1が前記したいずれかの基を表し、R2およびR3は一緒になって置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基を表す。)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
多官能性単量体は、エチレン性不飽和基を2以上有する化合物であり、具体的には、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられる。
多官能性カップリング剤は、反応性基を3以上有する化合物であり、具体的には、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)エタン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、テトラクロロゲルマニウムなどが挙げられる。
該島相の平均径は、通常、0.01〜0.2μm、好ましくは0.05〜0.1μmである。
成形品切片において観察される島相/海相の面積比は、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70〜70/30である。
また、海島構造を成した分散相の割合が、全分散相の20質量%以上であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
本発明に使用する溶剤(C)は、単量体混合物(Am)、単量体混合物(Am)の重合体(すなわち、メタクリル系樹脂(A))、およびブロック共重合体(B)に対して溶解能を有するものであれば特に制限されない。例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が望ましいものとして挙げられる。また、必要に応じて、2種類以上の溶剤を混合して用いても良い。混合溶剤を用いる場合には、単量体混合物(Am)、メタクリル系樹脂(A)およびブロック共重合体(B)を溶解できる混合溶剤であれば、単量体混合物(Am)、メタクリル系樹脂(A)およびブロック共重合体(B)を溶解できない溶剤が混合溶剤に含まれていても良い。例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ヘキサン等の炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が混合溶剤に含まれていてもよい。
原料液の重合には、ラジカル重合開始剤が通常用いられる。また必要に応じて連鎖移動剤が用いられる。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×Mw
波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社;商品名サンデユボアVSU)などが挙げられる。
ヒンダードアミン類としては、例えば、コハク酸ジメチル/1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ))、2−(2,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2−(3,5−ジ−t−ブチル―4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン/2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペジル)セバケート、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)などが挙げられる。
光安定化剤の量は、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.5質量部である。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
蛍光体としては、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
例えば、メタクリル系樹脂組成物からなる板の表面に、ゴム粒子を含有しないメタクリル系樹脂の層を形成してもよい。この場合、メタクリル系樹脂組成物からなる板の厚さは、表示窓保護板全体の厚さに対して好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上である。このような多層構造の表示窓保護板を製造するには、例えば、複数の押出機と、それらから押出される樹脂を積層するためのマルチマニホールド方式やフィードブロック方式などの機構を有する公知の多層押出機を用いることができる。
また、帯電防止処理としては、界面活性剤などを含む液を塗布し乾燥する方法、導電性物質を含む液を塗布し乾燥する方法などが挙げられる。
装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー社製TSKgel G2000HHR(1本)およびGMHHR−M(2本)を直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)計
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
装置:島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
カラム:GL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
分析条件:injection温度180℃、detector温度180℃、60℃(5分間保持)→昇温速度10℃/分→200℃(10分間保持)
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解し試験液を得、1H−NMR(日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)を用いて該試験液を分析し、化学シフト4.7〜5.2ppm(以後、シグナルC0という。)の1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)と、化学シフト5.2〜5.8ppm(以後、シグナルD0という。)のビニルプロトン(=CH−)の積分強度を求め、次式によって、側鎖ビニル結合量V0[mol%]を計算して求めた。
V0=〔(C0/2)/{C0/2+(D0−C0/2)/2}〕×100
機器:日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)
溶媒:重クロロホルム
重合体ブロック(a)として用いたポリアクリル酸n−ブチルのガラス転移温度(Tg)は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition, VI/199頁, Wiley Interscience, New York,1998」に記載の値(−49℃)を用いた。
また、重合体ブロック(b)として用いたポリ1,3−ブタジエンのガラス転移温度(Tg)は、「ANIONIC POLYMERIZATION, 434頁, MARCEL DEKKER,Inc. 1996」に記載の1,2−ビニル結合量とTgの関係より導かれる値を用いた。
ブロック共重合体(B)が30質量%となるようトルエンに均一に溶解した。室温にて当該溶液およびトルエンの密度、屈折率を測定し、下記(式1)〜(式3)の式を用いブロック共重合体(B)の屈折率を求めた。さらに、屈折率既知のポリメタクリル酸メチル(nd=1.492)を同じ方法で測定し、この方法による屈折率測定の較正係数を求めて、ブロック共重合体(B)の屈折率を較正した。
(nd2−1)/(nd2+2)×V=r=一定・・・(式1)
r3=w1r1+w2r2・・・(式2)
V2=1/ρ1−1/w2(1/ρ1−1/ρ3)・・・(式3)
nd:屈折率、V:比容、r:分子屈折、w:質量分率 ρ:密度
下付き1:トルエン 下付き2:ブロック共重合体(B) 下付き3:溶液
実測:V3、nd3、V1、nd1
式(1)および式(2)出典:高分子実験学 第12巻 熱力学的・電気的および光学的性質 昭和59年 共立出版
式(3)出典:高分子実験学 第11巻 高分子溶液 昭和57年 共立出版
成形品をダイヤモンドナイフを用いて切り出し超薄切片を得、この切片を四酸化オスミウムで染色し、透過型電子顕微鏡を用いて観察像を写真撮影した。無作為に30個のブロック共重合体(B)を含んでなる分散相を選択し、それら分散相の径を測定し、それらの平均値で表した。
なお、上記の染色によってブロック共重合体(B)中の重合体ブロック(b)が染色され、メタクリル系樹脂組成物のモルフォロジーを観察できるようになる。本発明のメタクリル系樹脂組成物は、染色されていないメタクリル系樹脂(A)からなる連続相と染色されたブロック共重合体(B)を含んでなる分散相とを含有し、分散相には染色された部分(ブロック共重合体(B)からなる海相)と染色されていない部分(メタクリル系樹脂(A)からなる島相)との海島構造をなしたものが含まれている。
ISO179−1eAに準拠して、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。
ISO178に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
ISO14782に準拠して、厚さ1mmの成形板のヘイズを測定した。
表示窓保護板の硬化膜の密着性を JIS K 5400の碁盤目テープ法によって、硬化皮膜に設けた碁盤目100個につき剥離した目の数で評価した。
表示窓保護板の400mm×550mmサイズ中の0.01mm2以上のブツの個数を目視により測定した。
[外観評価の評価基準]
○:400mm×550mmあたりの個数が5個未満
△:400mm×550mmあたりの個数が5個以上20個未満
×:400mm×550mmあたりの個数が20個以上
JIS K5600−5−4に準拠し、0.75Kg荷重で得られた成形板おとび表示窓保護板の鉛筆硬度を測定した。
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801mlおよび1,2−ジメトキシエタン0.007mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.9mlを加え、次いで1,3−ブタジエン97mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が48,700、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−77℃であった。
星型ブロック共重合体は、その数平均分子量(Mn)が310,000(腕数=3.88)、そのMw/Mnが1.16であった。またブロック共重合体(B−1)は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)49質量%およびアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)51質量%からなるジブロック共重合体を腕重合体ブロックとして含むものであった。
ブロック共重合体(B−1)の屈折率は1.492であった。表1にブロック共重合体(B−1)の特性を示す。なお、表中のBAはアクリル酸n−ブチル、Bdは1,3−ブタジエンを意味する。
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.9mlを加え、次いで1,3−ブタジエン105mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が46,700、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が10mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−95℃であった。
星型ブロック共重合体は、その数平均分子量(Mn)が308,000(腕数=3.88)、そのMw/Mnが1.16であった。またブロック共重合体(B−2)は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)53質量%およびアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)47質量%からなるジブロック共重合体を腕重合体ブロックとして含むものであった。
ブロック共重合体(B−2)の屈折率は1.492であった。表1にブロック共重合体(B−2)の特性を示す。
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801mlおよび1,2−ジメトキシエタン0.007mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.9mlを加え、次いで1,3−ブタジエン95mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が48,700、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−77℃であった。
1,2−ジメトキシエタンの量を0.014mlに変え、1,3−ブタジエンの量を87mlに変え、アクリル酸n−ブチルの量を78mlに変え、且つ1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの量を2.6mlに変えた以外は合成例1と同じ方法によって、ブロック共重合体(B−4)を得た。ブロック共重合体(B−4)は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位44質量%とアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位56質量%とからなる星型ブロック共重合体を主成分として含むものであり、1,3−ブタジエンからなる重合体ブロック(b)は、ビニル結合量が49mol%、ガラス転移温度が−60℃であり、アクリル酸n−ブチルからなる重合体ブロック(a)は、ガラス転移温度が−49℃であった。ブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が78,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であった。また、星型ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は400,000(腕数=5.13)、そのMw/Mnは1.14であり、GPCの面積比より算出した星型ブロック共重合体の割合は90質量%であった。ブロック共重合体(B−4)の屈折率は、1.492である。表1にブロック共重合体(B−4)の特性を示す。
1,3−ブタジエンの量を158mlに変え、且つアクリル酸n−ブチルの量を28mlに変えた以外は、合成例1と同じ方法によって、ブロック共重合体(B−5)を得た。ブロック共重合体(B−5)は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位80質量%とアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位20質量%とからなる星型ブロック共重合体を主成分として含むものであり、1,3−ブタジエンからなる重合体ブロック(b)は、ビニル結合量が30mol%、ガラス転移温度が−46℃であり、アクリル酸n−ブチルからなる重合体ブロック(a)は、ガラス転移温度が−49℃であった。ブタジエン−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が69,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であった。また、星型ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は270,000(腕数=3.91)、そのMw/Mnは1.16であり、GPCの面積比より算出した星型ブロック共重合体の割合は90質量%であった。ブロック共重合体(B−5)の屈折率は1.507である。表1にブロック共重合体(B−5)の特性を示す。
1,3−ブタジエンの量を40mlに変え、且つアクリル酸n−ブチルの量を111mlに変えた以外は、合成例1と同じ方法によって、ブロック共重合体(B−6)を得た。ブロック共重合体(B−6)は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位20質量%とアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位80質量%とからなる星型ブロック共重合体を主成分として含むものであり、1,3−ブタジエンからなる重合体ブロック(b)は、ビニル結合量が30mol%、ガラス転移温度が−77℃であり、アクリル酸n−ブチルからなる重合体ブロック(a)は、ガラス転移温度が−49℃であった。ブタジエン−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が69,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であった。また、星型ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は272,000(腕数=3.94)、そのMw/Mnは1.15であり、GPCの面積比より算出した星型ブロック共重合体の割合は90質量%であった。ブロック共重合体(B−6)の屈折率は、1.473である。表1にブロック共重合体(B−6)の特性を示す。
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル59.5質量部、アクリル酸メチル3.1質量部およびトルエン35質量部を仕込み、そしてブロック共重合体(B−2)2.4質量部を添加し、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(B−2)を均一に溶解させた。次いで、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(「パーヘキサC」 日本油脂社製、水素引抜能:35%、1時間半減期温度:111.1℃)0.035質量部およびn−オクチルメルカプタン0.1質量部を加え均一に溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度125℃に制御された3Lの槽型反応器Aに一定流量で供給した。槽型反応器Aでの平均滞留時間45分間で重合を実施した。反応器Aの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は42質量%であった。
該メタクリル系樹脂組成物は、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位95質量%およびアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位5質量%からなるメタクリル系樹脂からなる連続相96質量部に、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B−1)4質量部が分散相として分散してなるものであった。
電子顕微鏡で観察された分散相には、染色された海相(ブロック共重合体(B))と染色されていない島相(メタクリル系樹脂(A))とからなる海島構造を成しているものが含まれていた。分散相の面積に対して島相の面積が20%以上占めている海島構造の分散相が全分散相の20質量%以上であった。その他の評価結果を表2に示す。
ウレタンアクリレート系の硬化性化合物を主成分とするNKハード M101(新中村化学工業(株)製)50質量部と、溶媒である1−メトキシ−2−プロパノール50質量部とを混合し硬化性塗料を調製した。
前記の板の片面に該硬化性塗料をバーコーターで塗布し、乾燥した。該乾燥塗膜に紫外線を照射して硬化させ、表示窓保護板を得た。硬化膜の厚さは4μmであった。
実施例1において用いたブロック共重合体(B−1)を表2に示すブロック共重合体(B−2)〜(B−6)に変えた以外は、実施例1と同じ方法によって、ペレット状メタクリル系樹脂組成物を得、得られたペレット状のメタクリル系樹脂組成物を用いて、厚さ3mmの成形板と厚さ1mmの成形板を作製して評価用の試験片とした。また、実施例1と同じ方法で表示窓保護板を得た。いずれのメタクリル系樹脂組成物も残存揮発分が0.1質量%であり、分散相の面積に対して島相の面積が20%以上占めている海島構造の分散相が全分散相の20質量%以上であった。評価結果を表2に示す。
メタクリル系樹脂70質量部に粒径0.25μmのスチレン−アクリル酸ブチルランダム共重合体ゴム40質量%を含有するコアシェル型重合体粒子30質量部を練り込んだ重合体組成物のペレットを用い、実施例1と同じ手法によって射出成形にて厚さ3mmの成形板と厚さ1mmの成形板を作製して評価用の試験片とした。また、実施例1と同じ方法で表示窓保護板を得た。シャルピー衝撃強度は3.2KJ/m2、曲げ弾性率は2560MPa、およびヘイズは0.2%であった。分散相の径が0.2μmであった。硬化膜の剥離は無かったが、表面硬度が2Hで、外観評価が×であった。
Claims (5)
- メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)からなる連続相100質量部に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位からなるガラス転移温度が23℃以下である重合体ブロック(a)30〜65質量%と共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位からなるガラス転移温度が0℃以下である重合体ブロック(b)35〜70質量%とを有するブロック共重合体(B)1〜80質量部が分散相として含有するメタクリル系樹脂組成物からなる表示窓保護板であって、
前記ブロック共重合体(B)が星型ブロック共重合体であり、該星型ブロック共重合体が腕重合体ブロックで構成され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出したポリスチレン換算の数平均分子量が、式:
[星型ブロック共重合体の数平均分子量]>2×[腕重合体ブロックの数平均分子量]を満たす表示窓保護板。 - 星型ブロック共重合体が、化学構造式:
(重合体ブロック(b)―重合体ブロック(a)―)nX
(式中、Xはカップリング残基、nは2を超える数を表す。)で表されるものである請求項1に記載の表示窓保護板。 - ブロック共重合体(B)は屈折率が1.48〜1.50である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の表示窓保護板。
- 厚さ0.1mm〜1.5mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示窓保護板。
- 片面もしくは両面に、ハードコート処理、反射防止処理および帯電防止処理のいずれか1種以上の処理が施された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示窓保護板。
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