JP5281976B2 - ゴム変性メタクリル系樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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Description

本発明は耐衝撃性、熱安定性、耐候性及び透明性に優れる成形品およびそれを得るためのゴム変性メタクリル系樹脂組成物に関する。
ポリメタクリル酸メチルに代表されるメタクリル系樹脂の成形品は、透明性に優れ、美麗な外観を有する。このような点から、メタクリル系樹脂成形品は、例えば、看板部品、ディスプレイ部品、照明部品、インテリア部品、建築用部品、輸送機器関係部品、電子機器部品、医療関係部品、光学関係部品、交通関係部品などに用いられている。ところが、メタクリル系樹脂は、耐衝撃性が低いという欠点を有するために、さらに広く用途展開することが制約されていた。
そこで、メタクリル系樹脂の耐衝撃性を改良する方法として、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、乳化重合法によって製造した多層構造アクリルゴムをメタクリル系樹脂にブレンドする方法が開示されている。特許文献2には、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体からなるゴム状物質の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。特許文献3には、部分水添共役ジエン重合体の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。特許文献4には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位と芳香族ビニル単量体単位とからなる変性ブロック共重合体の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。特許文献5には、メタクリル酸エステル系重合体1質量部以上50質量部以下と、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とするエポキシ化された重合体ブロックBとからなるブロック共重合体50質量部以上99質量部以下とを含んでなる重合体組成物が開示されている。
特許文献6には、鋳型重合にて得られる、メタクリル系樹脂50〜99質量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体0〜50質量%、およびメタクリル酸メチル単位を主成分とする重合体と酢酸ビニル単位を主成分とする重合体とからなるブロック共重合体0.5〜50質量%からなるメタクリル樹脂組成物が開示されている。
特許文献7には、ビニル結合に富む共役ジエン重合体成分とアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル重合体成分とからなるブロック共重合体にメタクリル酸メチルをその重合条件下で反応させることを特徴とする耐衝撃性および加工性の良好なメタクリル樹脂成形材料の製造方法が開示されている。
これら特許文献で開示されている樹脂組成物などは、耐衝撃性の改善効果が不十分なもの、ブツ(フィッシュアイ)の発生で成形品の外観が損なわれたもの、分散ドメインの大きさ制御が困難で表面光沢が低いもの、またはヘーズが高く透明性に劣るものが得られやすく、十分に満足できるものでなかった。さらに、紫外線暴露による黄変、過熱によるフィッシュアイの発生、成形金型の汚れおよび腐食などの不具合があった。
特許文献8には、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂からなるマトリックス100質量部に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体1〜80質量部が分散してなるメタクリル系樹脂組成物が提案されている。この組成物によれば、耐衝撃性に優れ、ヘーズの低い成形品を提供できる。ところが、この組成物は、紫外線暴露による黄変、過熱によるフィッシュアイの発生、成形金型の腐食および汚れなどの不具合が十分に解決されていなかった。
特公昭59−36645号公報 特公昭45−26111号公報 国際公開WO96/032440 特開2000−313786号公報 特開平07−207110号公報 特開平06−345933号公報 特開昭49−45148号公報 国際公開WO2008/032732
本発明の目的は、耐衝撃性、熱安定性、耐候性及び透明性に優れる成形品およびそれを得るためのゴム変性メタクリル系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々の検討を行った。その結果、メタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに特定のブロック共重合体(B)からなるドメインが分散してなるゴム変性樹脂に特定構造の熱劣化防止剤と紫外線吸収剤とを配合すると、耐衝撃性、熱安定性、耐候性及び透明性に優れる成形品が容易に得られることを見出した。本発明はこの知見に基づいてさらに検討して完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、〔1〕 メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)100質量部および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)1〜80質量部からなるゴム変性樹脂(I)100質量部、 式(X)で表される熱劣化防止剤(II)0.005〜0.5質量部、および 紫外線吸収剤(III)0.005〜1質量部を含有し、 前記メタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに前記ブロック共重合体(B)からなるドメインが分散してなるゴム変性メタクリル系樹脂組成物である。
また、本発明は、〔2〕 前記〔1〕に記載のゴム変性メタクリル系樹脂組成物からなる成形品である。
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物は、成形加工性に優れ、得られる成形品の外観が良好である。本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物を成形することによって、熱安定性、耐候性及び耐衝撃性に優れた成形品が得られる。
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物は、ゴム変性樹脂(I)、熱劣化防止剤(II)および紫外線吸収剤(III)を含有するものである。
〔ゴム変性樹脂(I)〕
本発明に用いられるゴム変性樹脂(I)は、メタクリル系樹脂(A)とブロック共重合体(B)とからなるものである。
〈メタクリル系樹脂(A)〉
メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有する樹脂である。
メタクリル酸メチル単位以外の単量体単位としては、一分子中にアルケニル基を一個だけ有する非架橋性単量体が挙げられる。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。メタクリル酸メチル単位/他の単量体単位の質量比は、50/50〜100/0、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは90/10〜98/2である。
メタクリル系樹脂(A)は、重量平均分子量が、好ましくは7万〜20万、より好ましくは8万〜15万、特に好ましくは9万〜12万のものである。重量平均分子量が7万未満であるとゴム変性メタクリル系樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性や靭性が低下傾向になる。逆に、重量平均分子量が20万を超えるとゴム変性メタクリル系樹脂組成物の流動性が低下し成形加工性が低下傾向になる。
さらに、メタクリル系樹脂(A)は、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が、好ましくは1.9〜3.0、より好ましくは2.1〜2.8、特に好ましくは2.2〜2.7のものである。分子量分布が1.9未満ではゴム変性メタクリル系樹脂組成物の成形加工性が低下傾向になる。逆に分子量分布が3.0を超えるとゴム変性メタクリル系樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性が低下傾向になり、脆くなりやすい。
なお、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した標準ポリスチレン換算の分子量である。メタクリル系樹脂の分子量や分子量分布は、重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量などを調整することによって制御できる。
〈ブロック共重合体(B)〉
本発明に用いられるブロック共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するものである。なお、前記の「(メタ)アクリル」とは、「メタクリルまたはアクリル」の意である。
重合体ブロック(a)を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの付加重合によって得られるものである。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組み合わせが好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましい。このような単量体としては、アクリル酸n−ブチル及び/又はアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
重合体ブロック(b)を構成する共役ジエン化合物単位は、共役ジエン化合物の付加重合によって得られるものである。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組み合わせが好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましい。このような単量体として、汎用性、経済性、取扱性の観点から、1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
共役ジエン化合物は、1,4−付加重合する場合と、1,2−又は3,4−付加重合する場合とがある。共役ジエン化合物が1,4−付加重合すると分子主鎖中に炭素−炭素二重結合を有するようになる。共役ジエン化合物が1,2−又は3,4−付加重合すると分子主鎖に側鎖として結合するビニル基(側鎖ビニル結合)を有するようになる。この分子主鎖中の炭素−炭素二重結合及び/又は分子主鎖に側鎖として結合するビニル基は、グラフト反応や架橋反応の起点となる。重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量は10mol%〜60mol%であるのが好ましく、10mol%〜50mol%であるのがより好ましく、10mol%〜35mol%であるのがさらに好ましい。側鎖ビニル結合量は重合反応系にエーテル類などの極性化合物を加えることにより増加させることができる。
重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合の量は、ブロック共重合体へのメタクリル系樹脂のグラフト量、ブロック共重合体からなる分散ドメインの大きさ、ブロック共重合体の架橋率などに影響し、それらが総合してゴム変性メタクリル系樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性、耐候性、表面光沢、熱安定性などに影響を与えると考えられる。
側鎖ビニル結合量が10mol%未満では、ブロック共重合体へのメタクリル系樹脂のグラフト量が低くなり、耐衝撃性が低下傾向になる。逆に、60mol%を超えると、ブロック共重合体(B)からなる分散ドメインが凝集しやすくなり、透明性が低く且つ表面性が悪い成形品が得られやすくなる。
なお、側鎖ビニル結合の量は、共役ジエン化合物単位中の炭素−炭素二重結合の内の分子主鎖に側鎖として結合するビニル基の割合[mol%]で表される。例えば、1,3−ブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)である場合、1H−NMRを用いて分析し、化学シフト4.7〜5.2ppmの1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)シグナルの積分強度C0と、化学シフト5.2〜5.8ppmのビニルプロトン(=CH−)シグナルの積分強度D0をそれぞれ求め、次式によって計算して、側鎖ビニル結合量V0[%]を求めることができる。
0=〔(C0/2)/{(C0/2)+(D0−(C0/2))/2}〕×100
重合体ブロック(b)は、分子主鎖中の炭素−炭素二重結合及び/又は分子主鎖に側鎖として結合するビニル基が部分的に水素添加されたものであってもよい。本発明の効果を維持する観点から、重合体ブロック(b)の水素添加率は70mol%未満であることが好ましく、50mol%未満であることがさらに好ましい。水素添加の方法は、特に限定されず、例えば、特公平5−20442号公報に開示された方法によって達成される。
ブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)をそれぞれ1つずつ有するものであってもよいし、重合体ブロック(a)および/または重合体ブロック(b)を2つ以上有するものであってもよい。該ブロック共重合体の結合様式としては、a―b型ジブロック共重合体、a―b―a型トリブロック共重合体、b―a―b型トリブロック共重合体、a―b―a―b型テトラブロック共重合体などに代表される線状ブロック共重合体;(b―a―)n、(a―b―)nなどで代表される星型(ラジアルスター型)ブロック共重合体、a―g―bで表されるグラフト型ブロック共重合体などが挙げられる。なお、nは2より大きい値である。gはグラフト結合を示す結合記号である。該ブロック共重合体は、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との間に傾斜連結部を有するものであってもよい。傾斜連結部は、重合体ブロック(a)の繰り返し単位の組成から、重合体ブロック(b)の繰り返し単位の組成に、漸次変化していく繰り返し単位組成を有する部分である。これらブロック共重合体は、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との質量比は、特に制限されないが、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との合計を100質量%としたときに、重合体ブロック(a)は、通常30〜65質量%、好ましくは40〜60質量%である。重合体ブロック(b)は、通常35〜70質量%、好ましくは40〜60質量%である。
ブロック共重合体(B)は、その屈折率によって特に制限されない。ゴム変性メタクリル系樹脂組成物を光学用途の成形品とするために、ブロック共重合体(B)の屈折率はメタクリル系樹脂の屈折率と凡そ一致することが好ましい。具体的には、ブロック共重合体(B)の屈折率は、1.48〜1.50であることが好ましく、1.485〜1.495であることがより好ましい。
本発明に用いられるブロック共重合体(B)として、星型ブロック共重合体が、樹脂組成物中の分散ドメインの機械的強度の観点から、特に好ましい。
星型ブロック共重合体は、複数の腕重合体ブロックが多官能性単量体や多官能性カップリング剤などに由来する基(カップリング残基)によって連結された共重合体を含むものである。
星型ブロック共重合体を構成する複数の腕重合体ブロックは、同じ種類のブロック共重合体であってもよいし、異なる種類のブロック共重合体であってもよい。
特に本発明では、化学構造式:
(重合体ブロック(b)―重合体ブロック(a)―)n
(式中、Xはカップリング残基、nは2を超える数を表す。)で表される星型ブロック共重合体を用いることが特に好ましい。
星型ブロック共重合体は、GPCにより算出したポリスチレン換算の数平均分子量において、式: 〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕>2×〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕を満たすものが好ましい。
なお、〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕/〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕の比は腕数と呼ばれることがある。
星型ブロック共重合体の数平均分子量が、腕重合体ブロックの数平均分子量の2倍を超える範囲にすることで、メタクリル系樹脂中に分散した星型ブロック共重合体を含有してなる分散ドメインのせん断に対する機械的強度が高くなり、所望の性能を得ることができるようになる。なお、星型ブロック共重合体の数平均分子量が、腕重合体ブロックの数平均分子量の100倍より大きいものは合成が難しいので、工業的に好ましい星型ブロック共重合体の数平均分子量は、腕重合体ブロックの数平均分子量の2倍より大きく且つ100倍以下であり、より好ましくは2.5〜50倍であり、さらに好ましくは3〜10倍である。
なお、星型ブロック共重合体には、カップリング残基によって連結していない腕重合体ブロックのみからなる直鎖状ブロック共重合体が含まれていてもよい。
ブロック共重合体(B)の数平均分子量(Mn)は、得られるメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性を向上させ、成形品の取扱性を向上させる観点から、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜800,000であることがより好ましく、50,000〜500,000であることがさらに好ましい。
ブロック共重合体(B)は、その製造方法によって特に制限されず、公知の手法に準じた方法で得られたものから採用することができる。一般に、分子量分布の狭い星型ブロック共重合体を得る方法としては、構成単位である単量体をリビング重合する方法が採用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として用いて重合する方法;有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の鉱酸塩などの存在下でアニオン重合する方法;有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法;原子移動ラジカル重合(ATRP)法などが挙げられる。
上記の製造方法のうち、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法は、比較的緩和な温度条件下で、より分子量分布が狭く且つ残存単量体が少ないブロック共重合体を製造でき、工業的生産における環境負荷、主に重合温度を制御するために必要な冷凍機の消費電力が少ないという点で好ましい。
上記のアニオン重合に用いられる有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好適である。有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ペンタメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウムなどのアルキルリチウムおよびアルキルジリチウム;フェニルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチウム、キシリルリチウム、リチウムナフタレンなどのアリールリチウムおよびアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、トリチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応により生成するジリチウムなどのアラルキルリチウムおよびアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミドなどのリチウムアミド;メトキシリチウム、エトキシリチウム、n−プロポキシリチウム、イソプロポキシリチウム、n−ブトキシリチウム、sec−ブトキシリチウム、tert−ブトキシリチウム、ペンチルオキシリチウム、ヘキシルオキシリチウム、ヘプチルオキシリチウム、オクチルオキシリチウム、フェノキシリチウム、4−メチルフェノキシリチウム、ベンジルオキシリチウム、4−メチルベンジルオキシリチウムなどのリチウムアルコキシドが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のアニオン重合において用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、下記の一般式:
AlR678
(式中、R6、R7およびR8は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表すか、またはR6が前記のいずれかの基を表し、R7およびR8は一緒になって置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を表す。)で表されるものが挙げられる。
この有機アルミニウム化合物の中でも、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウムは、取扱いが容易であり、また、比較的緩和な温度条件下で失活することなくアニオン重合反応を進行させることができる点で好ましい。
上記アニオン重合においては、必要に応じて、反応系内に、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4−エーテルなどのエーテル類や、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2’−ジピリジルなどの含窒素化合物を反応の安定化のために共存させることができる。
星型ブロック共重合体は、上記のアニオン重合などによって得られたブロック共重合体の反応液に多官能性単量体を添加して共重合することによって、またはブロック共重合体の反応液に多官能性カップリング剤を添加してカップリング反応させることによって得られる。
多官能性単量体は、エチレン性不飽和基を2以上有する化合物であり、具体的には、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられる。
多官能性カップリング剤は、反応性基を3以上有する化合物であり、具体的には、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)エタン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、テトラクロロゲルマニウムなどが挙げられる。
該ゴム変性樹脂(I)におけるメタクリル系樹脂(A)およびブロック共重合体(B)の含有割合は、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して、ブロック共重合体(B)が1〜80質量部、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。ブロック共重合体(B)が少ないとゴム変性メタクリル系樹脂組成物から得られる成形品が脆くなり取扱性が低下傾向になる。逆にブロック共重合体(B)が多いと表面硬度、耐熱性や剛性が低下傾向になるばかりでなく、ブロック共重合体(B)がメタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに均一に分散し難くなり透明性や表面性(ブツ)が悪化する場合がある。
本発明に用いられるゴム変性樹脂(I)は、その製法によって特に限定されず、例えば、メタクリル系樹脂(A)にブロック共重合体(B)を添加し、単軸あるいは2軸の溶融押出機などにおいて溶融混練することによって得ることができる。しかしながら、本発明においては、以下に述べる製造方法(インサイチュ法)によって得られるものが好ましい。インサイチュ法とは、マトリックスまたは分散ドメインになる物質Aを分散ドメインまたはマトリックスとなる物質Bの存在下で生成させ、マトリックスと分散ドメインとからなる組成物を直接に形成する方法である。
本発明に用いられるゴム変性樹脂(I)の好適な製造方法は、ブロック共重合体(B)の存在下に、メタクリル酸メチルを含む単量体混合物を、塊状重合または溶液重合する工程を含む方法である。そこで、この製造方法について説明する。
この製造方法では、まず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)を、メタクリル酸メチル、およびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体混合物に溶解させて、原料液を調製する。
単量体混合物に用いられるメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、前記メタクリル系樹脂の単量体単位として列挙したものと同じものを列挙できる。
メタクリル酸メチル/他のビニル系単量体の質量比は、50/50〜100/0、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは90/10〜98/2である。
単量体混合物にブロック共重合体(B)を溶解する方法は、ブロック共重合体(B)を均一に溶解できる方法であれば特に限定されない。例えば、単量体混合物を30〜60℃程度に加熱し、攪拌することによってブロック共重合体(B)を溶解することができる。また、下記のような溶剤を用いることによって溶解を促進させることができる。
該原料液で用いることができる溶剤としては、単量体混合物、該単量体混合物の重合によって得られるメタクリル系樹脂(A)、及びブロック共重合体(B)を溶解することができる溶剤であれば特に制限されない。例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素などが望ましいものとして挙げられる。また、必要に応じて、2種類以上の溶剤を混合して使用することができる。混合溶剤を用いる場合には、単量体混合物、メタクリル系樹脂(A)及びブロック共重合体(B)を溶解できる混合溶剤であれば、単量体混合物、メタクリル系樹脂(A)又はブロック共重合体(B)を溶解できない溶剤を含んでいてもよい。例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ヘキサンなどの炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素などが含まれていてもよい。
好ましい溶剤の量は、単量体混合物100質量部に対して0〜100質量部であることが好ましい。また、メタクリル酸メチル、他のビニル単量体及び溶剤の合計を100質量%とした場合に0〜90質量%の範囲であることが好ましい。
原料液中のブロック共重合体(B)の量は、単量体混合物100質量部に対して、通常、1〜80質量部、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。該ブロック共重合体の量が1質量部未満になるとゴム変性メタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性向上の効果が小さい。ブロック共重合体の量が80質量部よりも多くなると、ブロック共重合体がメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散し難くなる。また、ゴム変性メタクリル系樹脂組成物の弾性率が低下して剛性を失い易い。
次いで単量体混合物の重合を行う。この重合反応の進行と同時に、単量体混合物がブロック共重合体にグラフト結合する反応と、ブロック共重合体同士が架橋する反応とが進行すると考えられる。
単量体混合物の重合は、原料液に重合開始剤を添加することによって開始される。また、必要に応じて連鎖移動剤を原料液に添加して、得られる重合体の分子量、グラフト量、架橋率などを調節できる。
本発明で用いられる重合開始剤は、反応ラジカルを発生するものであれば特に限定されない。例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキシルカルボニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、重合開始剤の添加量や添加方法などは、目的に応じて適宜設定すればよく特に限定されるものでない。
連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどのアルキルメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー;テルピノレンなどを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
単量体混合物の重合転化率は好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。重合転化率が高くなった頃に架橋反応が主に進行し始めるので、重合転化率を70質量%以上にすることによって、ゴム変性メタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が向上し得られる成形品の取扱性を向上させることができる。
重合は、原料液にせん断が加わるように強く攪拌しながら行うことが好ましい。重合初期では、単量体混合物の重合反応が主に進行してメタクリル系樹脂(A)が生成する。重合転化率の増加とともに、単量体混合物の重合反応で生成したメタクリル系樹脂(A)の割合が多くなる。この初期段階では、ブロック共重合体(B)溶液相がマトリックスになり、量的に少ないメタクリル系樹脂(A)溶液相が該マトリックスに分散した状態になっている。
せん断を加えながら単量体混合物の重合をそのまま続けると、メタクリル系樹脂(A)溶液相とブロック共重合体(B)溶液相との関係が反転する。すなわち、この相反転によって、メタクリル系樹脂(A)溶液相がマトリックスになり、ブロック共重合体(B)溶液相が該マトリックスに分散した状態になる。この相反転が起きる際の単量体混合物の重合転化率は、メタクリル系樹脂溶液相とブロック共重合体溶液相の体積比、ブロック共重合体の分子量、ブロック共重合体へのメタクリル系樹脂のグラフト量、溶剤を用いた場合には溶剤量や溶剤種によって変わる。
なお、相反転を経て分散ドメインとなったブロック共重合体(B)溶液相の内部に単量体混合物が取り残されることがある。この取り残された単量体混合物はブロック共重合体(B)溶液相の中で重合反応してメタクリル系樹脂(A)を生成する。その結果、メタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに分散するブロック共重合体(B)からなるドメインの中にメタクリル系樹脂(A)からなる細粒状の相(島相)が形成される。これによって分散ドメインは海島構造を成すようになる。
重合は、重合初期から相反転が生じるまでは、塊状重合法または溶液重合法が好ましい。該段階において塊状重合法または溶液重合法で重合を行うと、攪拌によるせん断力がブロック共重合体(B)溶液相側により多く加わるので、メタクリル系樹脂(A)溶液相とブロック共重合体(B)溶液相との相反転が起こり易くなる。
塊状重合法または溶液重合法を行う装置としては、攪拌機付きの槽型反応器、攪拌機付きの管型反応器、静的攪拌能力を有する管型反応器などが挙げられる。これら装置は、1基以上であってもよく、また、異なる反応器2基以上の組合せでもよい。また、重合は回分式または連続式のどちらであってもよい。
分散ドメインの大きさは、攪拌機などを備えた動的撹拌式反応器であれば攪拌機の回転数や回転動力などの因子によって;静的攪拌式反応器であれば反応液の線速度、重合反応液の粘度、相反転前までのブロック共重合体(B)へのグラフト率など種々の因子によって制御可能である。なお、相反転が生じた後は、塊状重合法または溶液重合法を適用できるが、これら以外に懸濁重合法も適用できる。
重合終了後、通常、未反応の単量体及び溶剤を除去する。除去方法は特に制限されないが、加熱脱揮が好ましい。脱揮法としては、平衡フラッシュ方式や断熱フラッシュ方式が挙げられる。特に断熱フラッシュ方式では、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220〜270℃の温度で脱揮を行う。200℃未満では脱揮に時間を要し、脱揮不十分になりやすい。脱揮が不十分なときには成形品にシルバーなどの外観不良を起こすことがある。逆に300℃を超えると酸化、焼けなどによってゴム変性樹脂(I)に色が着くことがある。
〔熱劣化防止剤(II)〕
Figure 0005281976
本発明に用いられる熱劣化防止剤(II)は、一般式(X)で表される化合物である。
式(X)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を示し、R5は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基又は水素原子を示す。
該熱劣化防止剤(II)の具体例としては、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチル−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,5−ジ−t−ブチル−6−(3’−5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシメチルベンジル)−フェニルアクリレートなどを挙げることができる。これらの中でも、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、または2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレートが好ましく;2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレートがより好ましい。
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物における、熱劣化防止剤(II)の量は、ゴム変性樹脂(I)100質量部に対して、0.005〜0.5質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部、更に好ましくは0.02〜0.2質量部である。熱劣化防止剤(II)の量が0.005質量部未満であると、熱劣化防止剤の添加効果が少ない。熱劣化防止剤(II)の量が0.5質量部を超えると金型汚れによる歩留まりの低下や金型清掃などによる生産性の低下を引き起こすとともに、シルバー発生による成形品の欠点発生の原因となったり、成形品に焼けが発生して色相が低下したり、成形品に異物が発生したりする。熱劣化防止剤(II)は、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉し樹脂の熱劣化防止に効果を有するものである。
〔紫外線吸収剤(III)〕
本発明で用いられる紫外線吸収剤(III)は、紫外線を吸収する能力を有する化合物である。紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われる化合物である。
紫外線吸収剤(III)の具体例としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
ベンゾトリアゾール類は、紫外線による樹脂劣化、特に着色による光学特性低下を抑制する効果が高い。ベンゾトリアゾール類は、本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物をこのような特性が要求される用途に適用する場合に用いる紫外線吸収剤として好ましい。
ベンゾトリアゾール類としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名TINUVIN329)、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(t−ブチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名TINUVIN326)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名TINUVIN234)などが挙げられる。これらの中でも、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、若しくは2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールが好ましく、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールがより好ましい。
また、波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤は、得られる成形品の黄色味を抑制できる。該紫外線吸収剤は、本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物をこのような特性が要求される用途に適用する場合に用いる紫外線吸収剤として好ましい。
なお、紫外線吸収剤のモル吸光係数の最大値εmaxは、次のようにして測定する。シクロヘキサン1Lに紫外線吸収剤10.00mgを添加し、目視による観察で未溶解物がないように溶解させる。この溶液を1cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに注入し、日立製作所社製U−3410型分光光度計を用いて、波長380〜450nmでの吸光度を測定する。紫外線吸収剤の分子量(Mw)と、測定された吸光度の最大値(Amax)とから次式により計算し、モル吸光係数の最大値εmaxを算出する。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×Mw
波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデユボアVSU)などが挙げられる。
これら紫外線吸収剤(III)の中、紫外線による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物における、紫外線吸収剤(III)の量は、ゴム変性樹脂(I)100質量部に対して0.005〜1質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部、更に好ましくは0.02〜0.2質量部である。紫外線吸収剤(III)の量が0.005質量部未満では紫外線による樹脂劣化の抑制効果が十分に発揮されない傾向になる。紫外線吸収剤(III)の量が1質量部を超えると成形の際に金型が汚れやすくなるので、歩留まりの低下や金型清掃などによる生産性の低下を引き起こすとともに、シルバー発生による成形品の欠点発生の原因となったり、目やにが生じやすくなる。
〔その他の添加剤(IV)〕
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などが含まれていてもよい。
〈光安定剤〉
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。光安定剤としては、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物などのヒンダードアミン類などが挙げられる。
ヒンダードアミン類としては、コハク酸ジメチル/1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ))、2−(2,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2−(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン/2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペジル)セバケート、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)などが挙げられる。
光安定剤の量は、ゴム変性メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.5質量部である。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単体で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系、ヒンダードフェノール系、チオエーテル系などの酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中、着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、その割合は特に制限されないが、リン系酸化防止剤/ヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量比で、好ましくは1/5〜2/1、より好ましくは1/2〜1/1である。
リン系酸化防止剤としては、例えば、2,2−メチレンビス(4,6−ジt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジt−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜りん酸などが挙げられる。これらの中でも2,2−メチレンビス(4,6−ジt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(旭電化 商品名:アデカスタブHP−10)、若しくはトリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名:IRUGAFOS168)が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス〔3―(3―t―ブチル−5−メチル−4―ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6―ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5―ジ−t―ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n―オクチル)―6−(4―ヒドロキシ−3,5―ジ−t―ブチルアニリノ)―1,3,5―トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。これらの中でもペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名IRGANOX1010)、若しくはオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名IRGANOX1076)が好ましい。
本発明において酸化防止剤を用いる場合、その含有量はゴム変性メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜1質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部、さらに好ましくは0.01〜0.3質量部である。酸化防止剤の含有量が0.001質量部未満では、成形品を高温下にさらしたとき着色を防止する効果が十分に発揮されない傾向がある。一方、酸化防止剤の含有量が1質量部を超えると、射出成形の際に金型汚れが生じやすくなり、歩留まりの低下や金型清掃などによる生産性の低下をもたらすとともに、シルバー発生による成形品の欠点発生の原因となったり、成形品に焼けが発生して色相が低下したり、成形品に異物が発生したりする傾向がある。
〈離型剤〉
離型剤は、成形品の金型からの離型を容易にする機能を有する化合物である。離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明においては、離型剤として、高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、その割合は特に制限されないが、高級アルコール類/グリセリン脂肪酸モノエステルの質量比が、好ましくは2.5/1〜3.5/1、より好ましくは2.8/1〜3.2/1である。
離型剤の総量は、ゴム変性メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以下である。離型剤の総量が0.5質量部を超えると、金型汚れによる歩留まりの低下や金型清掃などによる生産性の低下をもたらすとともに、シルバー発生による成形品の欠点発生の原因となったり、押出し成形時の目やにが生じやすくなる。
〈高分子加工助剤〉
高分子加工助剤は、ゴム変性メタクリル系樹脂組成物を成形する際において、厚さ精度および薄膜化に効果を発する化合物である。高分子加工助剤は、通常、乳化重合法によって製造することができる、0.05〜0.5μmの粒子径を有する重合体粒子である。
該重合体粒子は、単一組成比および単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比または極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましいものとして挙げられる。
高分子加工助剤は、剤全体としての極限粘度が3〜6dl/gであることが好ましい。極限粘度が3dl/g未満では成形性に十分な改善効果が認められない。極限粘度が6dl/gを超えると溶融流動性の低下を招きやすい。
高分子加工助剤を用いる場合、その量は、ゴム変性メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。高分子加工助剤の量が0.05質量部未満であると成形時の寸法精度に十分な改善効果が認められない。逆に高分子加工助剤の量が10質量部を超えると溶融流動性の低下を招きやすい。
〈その他〉
有機色素としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。例えば、ターフェニルなどが挙げられる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
蛍光体として、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
また、本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物には、他の耐衝撃性改良剤を用いてもよい。他の耐衝撃性改良剤としては、アクリル系ゴムもしくはジエン系ゴムをコア層成分として含むコアシェル型改質剤;ゴム粒子を複数包含した改質剤などが挙げられる。他の耐衝撃性改良剤は通常の使用量よりも少ない量で添加することが好ましい。
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物は、前記メタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに前記ブロック共重合体(B)からなるドメインが分散してなるものである。ブロック共重合体(B)からなる分散ドメインの大きさは、好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、更に好ましくは0.08〜0.5μmである。分散ドメインの平均径が0.05μmより小さいと成形品が脆くなり取扱性が低下する傾向になる。分散ドメインの平均径が2μmより大きいと透明性及び表面性が低下傾向になり好ましくない。
ブロック共重合体(B)からなる分散ドメインは、ブロック共重合体(B)からなる海相にメタクリル系樹脂(A)からなる島相が分散してなる海島構造を成していることが好ましい。このような海島構造の分散ドメインを持つゴム変性メタクリル系樹脂組成物は、成形品の耐衝撃性を格段に向上させる。成形品の耐衝撃性を向上させる観点から、分散ドメイン中のメタクリル系樹脂(A)からなる島相の平均合計面積が分散ドメイン面積の30%以上を占めていることが好ましい。また、分散ドメイン中の島相の合計面積が分散ドメイン面積の30%以上を占めている該分散ドメインが全分散ドメインの30質量%以上であることが好ましい。なお、分散ドメインの面積および島相の面積は電子顕微鏡写真観察によって求める。
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物は、その調製方法によって、特に限定されない。例えば、ゴム変性樹脂(I)に、熱劣化防止剤(II)、紫外線吸収剤(III)、および必要に応じて他の添加剤(IV)を添加し、混練することによって得ることができ、または、前述したゴム変性樹脂(I)を製造する工程において、熱劣化防止剤(II)、紫外線吸収剤(III)、および必要に応じて他の添加剤(IV)を添加し、混合することによって、得ることができる。
ゴム変性樹脂(I)に各添加剤を添加および混練することによる調製方法は、各添加剤の添加の順序、混練手段、混練手順などによって特に限定されない。例えば、添加と同時に混練する方法や、非混練下に添加してから混練する方法などを採用することができる。混合手段としては、タンブラー、ミキサー、ブレンダーなどの混合装置を用いることができ、また混練手段としてはスクリュー押出機などの混練装置を用いることができる。
一方、ゴム変性樹脂(I)を製造する工程において各添加剤を添加およひ混合することによる調製方法では、例えば、単量体混合物の重合反応後に、一括添加、分割添加または連続添加するなどの方法を採用できる。
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物では、メタクリル系樹脂(A)に対するブロック共重合体(B)の質量割合が規定する範囲内であれば、上記の調製方法で得られた樹脂組成物を、別途製造された単独のメタクリル系樹脂(A)で希釈してもよい。
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物は、ISO 1133に準じて測定したメルトフローレートが、成形性を良好にする点から、1g/10分以上であるのが好ましく、2g/10分以上であるのがより好ましい。
〔ゴム変性メタクリル系樹脂組成物の用途〕
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物を成形用材料として用いれば、強靭化された成形品を得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、真空成形法などの、従来より知られる溶融加熱成形法が挙げられる。該成形品においては、分散ドメインの大きさや形が多少変化した部分もあるが、本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物におけるドメイン構造がほぼ維持されている。
また、本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物は、熱に対する安定性に優れているので、ゴム変性メタクリル系樹脂組成物を一旦成形品とした後に再び成形用材料に戻した場合でも、該リサイクル成形用材料は、リサイクル前の成形用材料と同等の特性を維持していることが期待できる。
本発明のゴム変性メタクリル系樹脂組成物は、耐衝撃性のみならず、耐候性、透明性に優れ、金型汚れ等による生産効率の低下などを生じ難いので、各種の成形用品、または成形部品に適している。その用途としては、例えば広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、屋上看板などの看板部品;ショーケース、仕切板、店舗ディスプレイなどのディスプレイ部品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、シャンデリアなどの照明部品;ペンダント、ミラーなどのインテリア部品;ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、レジャー用建築物の屋根などの建築用部品;航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車用サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバーなどの輸送機関係部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク、自動販売機などの電子機器部品;保育器、レントゲン部品などの医療機器部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、観察窓などの機器関係部品;液晶保護板、導光板、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面板、拡散板などの光学関係部品;道路標識、案内板、カーブミラー、防音壁などの交通関係部品;自動車内装用表面材、携帯電話の表面材、マーキングフィルムなどのフィルム部材;洗濯機の天蓋材やコントロールパネル、炊飯ジャーの天面パネルなどの家電製品用部材;その他、温室、大型水槽、箱水槽、時計パネル、バスタブ、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、熔接時の顔面保護用マスクなどが挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらにより何ら制限されるものではない。ブロック共重合体(B)の合成では、常法により乾燥精製した薬品を用い、以下に示す合成例によって実施した。その際、重合転化率の測定や合成したブロック共重合体(B)の分析は、以下の方法によって実施した。また、実施例及び比較例における物性値の測定または評価は以下の方法により行った。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)およびブロック共重合体の生成率の測定
下記の装置および測定条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析を行い、分子量既知の標準ポリスチレンで較正して求めた。
装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー社製TSKgel G2000HHR(1本)およびGMHHR−M(2本)を直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)計
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
(2)仕込み単量体の重合転化率の測定
下記の装置および測定条件にて、ガスクロマトグラフィー(GC)による分析を行い、それに基づいて求めた。
装置:島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
カラム:GL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
分析条件:injection温度180℃、detector温度180℃、60℃(5分間保持)→昇温速度10℃/分→200℃(10分間保持)
(3)側鎖ビニル結合量
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解し試験液を得、1H−NMR(日本電子社製磁気共鳴装置(JNM−LA400)を用いて該試験液を分析し、化学シフト4.7〜5.2ppmの1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)シグナルの積分強度C0と、化学シフト5.2〜5.8ppmのビニルプロトン(=CH−)シグナルの積分強度D0をそれぞれ求め、次式によって、側鎖ビニル結合量V0[mol%]を計算して求めた。
0=〔(C0/2)/{(C0/2)+(D0−(C0/2))/2}〕×100
(4)ガラス転移温度(Tg)
重合体ブロック(a)として用いたポリアクリル酸n−ブチルのガラス転移温度(Tg)は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition」VI/199頁,Wiley Interscience社(1998年)に記載の値(ポリアクリル酸n−ブチル:−49℃)を用いた。
また、重合体ブロック(b)として用いたポリ1,3−ブタジエンのガラス転移温度(Tg)は、「ANIONIC POLYMERIZATION」434頁, MARCEL DEKKER社(1996年)に記載の1,2−ビニル結合量とTgの関係より導かれる値を用いた。
(5)屈折率(nd
ブロック共重合体(B)が30質量%となるようトルエンに均一に溶解した。室温にて当該溶液およびトルエンの密度、屈折率を測定し、下記(式1)〜(式3)の式を用いブロック共重合体(B)の屈折率を求めた。
(nd 2−1)/(nd 2+2)×V=r=一定・・・(式1)
3=w11+w22・・・(式2)
2=1/ρ1−1/w2(1/ρ1−1/ρ3)・・・(式3)
d:屈折率、V:比容、r:分子屈折、w:質量分率 ρ:密度
下付き1:トルエン 下付き2:ブロック共重合体(B) 下付き3:溶液
実測:V3、nd3、V1、nd1
式(1)および式(2)の出典元: 熱力学的・電気的および光学的性質 高分子実験学 全18巻 第12巻 昭和59年1月5日 初版1刷発行 高分子学会高分子実験学編集委員長 共立出版株式会社
式(3)の出典元: 高分子溶液 高分子実験学 全18巻 第11巻 昭和57年8月25日 初版1刷発行 高分子学会高分子実験学編集委員長 共立出版株式会社
(6)分散ドメインの平均径
成形品をダイヤモンドナイフを用いて切り出し超薄切片を得、この切片を四酸化オスミウムで染色(ポリブタジエン部が染色される。)し、透過型電子顕微鏡を用いて観察像を写真撮影を行った。無作為に全体が写っている30個の分散ドメインを選択し、個々の分散ドメインの径を測定した後、それらの平均値を求めた。
(7)成形品の透明性の評価
JIS K7136に準拠して、厚さ3mmのシートのヘイズを測定した。
(8)成形品の測色の評価
JIS Z8722に準拠して、厚さ3mmのシートのクロマティクネス指数b*を測定した。
(9)成形品の耐候性の評価
岩崎電気(株)製EYE SUPER UV TESTER SUV−F1型にて150時間紫外線曝露を行った。曝露前および曝露後の耐衝撃性および色調指標b*を求めた。
耐衝撃性の評価は、JIS K7111に準拠して、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定することによって行った。
色調指標b*は、射出成形機で成形した板状成形品から190mm×50mm×5mmの試験片を切り出し、分光光度計を用いて、光路長190mmにて、透過光の色調測定で求めた。
(10)熱安定性の評価
実施例または比較例で得られたペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物を、40φベント付き単軸押出機を用いて280℃で加熱溶融して再ペレット化した。再ペレット化によってゴム変性メタクリル系樹脂組成物に再度熱を加えた。
再ペレット化前後のペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物それぞれを、リップ幅300mmおよび上下空隙0.2mmのTダイ押出成形機に通して溶融押出し、縦方向に延伸しながら引き取って厚さ0.05mmのフィルムを製造した。
ゲルカウンター(型式FS−5/Optical Control Systems社製)によって、厚さ50μmフィルムにおける単位面積あたりのブツ(フィッシュアイ)の個数を測定し、その個数の再ペレット化前後による変化により熱安定性の評価を行った。
[単位面積あたりのブツ数の評価基準]
○:1平方メートル面積あたりの個数が10,000個未満
△:1平方メートル面積あたりの個数が10,000個以上50,000個未満
×:1平方メートル面積あたりの個数が50,000個以上
(11)金型汚れの評価
東芝機械(株)製「IS−60B」射出成形機を用い、平板金型(鋼材:NAK80、成形品寸法:40mm×200mm×2mm)で、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数50rpm、金型温度60℃、背圧0.5MPa、冷却時間15秒間、保圧無し(ショートショット)の条件下で700ショットの射出成形を行った。成形終了後に、金型表面の汚れ具合を調べた。その程度に応じて以下の指標で評価を示した。
(金型汚れの評価指標)
○:金型汚れ無し。
×:金型汚れが認められる。
《参考例1》ブロック共重合体(B−1)の製造
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801ml及び1,2−ジメトキシエタンを0.07mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.8mlを加え、次いで1,3−ブタジエン97mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が51,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−77℃であった。
(2)上記(1)で得られた反応混合物を−30℃に冷却し、0.45mol/lのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを含有するトルエン溶液17.2mlおよび1,2−ジメトキシエタン8.1mlを添加し、10分間撹拌して均一な溶液とした。
(3)次いで、上記(2)で得られた溶液を激しく撹拌しながら、アクリル酸n−ブチル71mlを添加し、−30℃で3時間重合させた。得られた反応混合物の一部をサンプリングし、GPC(ポリスチレン換算)により分子量を分析した結果、反応混合物中のブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が84,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であることが判明した。また、アクリル酸n−ブチルの重合で得られた重合体ブロック(a)のガラス転移温度は−49℃であった。
(4)上記(3)で得られた反応混合物を−30℃で保持し、激しく攪拌したまま、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート2.0mlを加え2時間重合した。次いでメタノール約1mlを添加して重合を停止させた。
(5)上記(4)で得られた反応混合物をメタノール8000mlに注ぎ入れてブロック共重合体(B−1)を析出させることによって得た。得られたブロック共重合体(B−1)の収率はほぼ100%であった。
得られたブロック共重合体(B−1)は、星型ブロック共重合体と腕重合体ブロックとの混合物であった。ブロック共重合体(B−1)は、GPCの面積比より算出した星型ブロック共重合体の割合が92質量%であった。
星型ブロック共重合体は、その数平均分子量(Mn)が330,000(腕数=3.92)、そのMw/Mnが1.16であった。
腕重合体ブロックは、前述したブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)49質量%とアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)51質量%とからなるジブロック共重合体)であった。
ブロック共重合体(B−1)の屈折率は1.492であった。表1にブロック共重合体(B−1)の特性を示した。なお、表1中のBAはアクリル酸n−ブチル、BDは1,3−ブタジエンを意味する。
《参考例2》ブロック共重合体(B−2)の製造
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801ml及び1,2−ジメトキシエタンを0.07mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.8mlを加え、次いで1,3−ブタジエン95mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が51,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−77℃であった。
(2)上記(1)で得られた反応混合物を−30℃に冷却し、0.45mol/lのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを含有するトルエン溶液17.2mlおよび1,2−ジメトキシエタン8.1mlを添加し、10分間撹拌して均一な溶液とした。
(3)次いで、上記(2)で得られた溶液を激しく撹拌しながら、アクリル酸n−ブチル72mlを添加し、−30℃で3時間重合させた。得られた反応混合物の一部をサンプリングし、GPC(ポリスチレン換算)により分子量を分析した結果、反応混合物中のブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が84,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であることが判明した。また、アクリル酸n−ブチルの重合で得られた重合体ブロック(a)のガラス転移温度は−49℃であった。
得られたブロック共重合体(B−2)は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)48質量%とアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)52質量%とからなるジブロック共重合体であった。ブロック共重合体(B−2)の屈折率は1.492であった。表1にブロック共重合体(B−2)の特性を示した。
Figure 0005281976
《実施例1》
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル57質量部、アクリル酸メチル3質量部およびトルエン30.5質量部を仕込み、そしてブロック共重合体(B−1)9.5質量部を添加し、30℃で8時間攪拌して、均一に溶解させた。次いで、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」 日本油脂社製、水素引抜能:22%、1時間半減期温度:92.1℃)0.025質量部およびn−オクチルメルカプタン0.11質量部を加え、均一に溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度110℃に制御された3Lの槽型反応器Aに平均滞留時間85分間となるように一定流量で供給して、重合を実施した。反応器Aの採取管より反応液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は35質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」 日本油脂社製、水素引抜能:22%、1時間半減期温度:92.1℃)を原料液全体に対して0.012質量部となるように、槽型反応器Aから排出された液に添加して、連続的に混合し、それを110℃に制御された5Lの槽型反応器Bに平均滞留時間120分間となるように一定流量で供給して、重合を実施した。反応器Bの採取管より反応液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は65質量%であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部において、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン (「パーヘキサC」 日本油脂社製、水素引抜能:35%、1時間半減期温度:111.1℃)を原料液全体に対して0.080質量部となるように、槽型反応器Bから排出された液に添加して、連続的に混合し、それを内壁温度110℃に制御された管型反応器Cに平均滞留時間10分間となるように一定流量で供給して、重合を実施した。管型反応器Cの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Cの排出口から反応液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は70質量%であった。
管型反応器Cから排出された液を、内壁温度120℃に制御された管型反応器Dに一定流量で供給した。管型反応器Dでの平均滞留時間50分間で重合を実施した。管型反応器Dの内圧は0.7MPaとした。管型反応器Dの排出口から反応液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は90質量%であった。
管型反応器Dから排出された液を230℃に加温し、260℃に制御された二軸押出機に一定流量で供給した。該二軸押出機において未反応単量体を主成分とする揮発分が分離除去されて、反応物がストランド状に押し出された。該ストランドをペレタイザーでカットし、ペレット状のゴム変性樹脂(I−1)を得た。残存揮発分は0.1質量%であった。
得られたペレット状のゴム変性樹脂(I−1)に表2に示す添加剤を所定割合でスーパーミキサーにて混合した。該混合物を40φベント付き単軸押出機を用いて240℃にてペレット化しペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物を得た。当該ペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物から板状成形品を射出成形した。該成形品について上記の評価を行った。評価結果を表3に示す。成形品の透過型電子顕微鏡写真観察では、マトリックス中に分散する粒状の分散ドメインが観察された。分散ドメインの中には島相が分散していた。島相全面積が分散ドメイン面積の30%以上を占めている分散ドメインが全分散ドメインの30質量%以上であった。
《実施例2〜3、比較例1〜3》
表2に示す処方の添加剤に変えた以外は、実施例1と同じ手法によってペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物を得た。当該ペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物から板状成形品を射出成形し、上記の評価を行った。評価結果を表3に示す。
《実施例4》
ブロック共重合体(B−1)をブロック共重合体(B−2)に替えた以外は、実施例1と同じ手法によってペレット状ゴム変性樹脂(I−2)を得た。得られたペレット状ゴム変性樹脂(I−2)に表2に示す処方の添加剤をスーパーミキサーにて混合した。該混合物を40φベント付き単軸押出機を用いて、240℃にてペレット化しペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物を得た。当該ペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物から板状成形品を射出成形した。該成形品について上記の評価を行った。評価結果を表3に示す。成形品の透過型電子顕微鏡写真観察では、マトリックス中に分散する粒状の分散ドメインが観察された。粒状分散ドメインの中には島相が分散していた。島相全面積が分散ドメイン面積の30%以上を占めている分散ドメインが全分散ドメインの30質量%以上であった。
《実施例5、比較例4》
表2に示す処方の添加剤に変えた以外は、実施例4と同じ手法によってペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物を得た。当該ペレット状ゴム変性メタクリル系樹脂組成物から板状成形品を射出成形した。該成形品について上記の評価を行った。評価結果を表3に示す。
表2中、SMGSは、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート; SMGMは、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート; TN329は、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール; VSUは、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド; IR1010は、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕; IR1076は、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート; IR168は、トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイト; ADHPは、2,2−メチレンビス(4,6−ジt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト; STOHは、ステアリルアルコール; STMGは、ステアリン酸モノグリセライド である。
Figure 0005281976
Figure 0005281976
表2および表3から、メタクリル系樹脂(A)とブロック共重合体(B)とからなるゴム変性樹脂(I)、熱劣化防止剤(II)、および紫外線吸収剤(III)を含有し、且つ前記メタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに前記ブロック共重合体(B)からなるドメインが分散してなるゴム変性メタクリル系樹脂組成物(実施例1〜5)は、比較例1〜4で得られた樹脂組成物に比べ耐衝撃性、熱安定性、耐候性及び透明性に優れた成形品が得られることがわかる。

Claims (3)

  1. メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)100質量部および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)1〜80質量部からなるゴム変性樹脂(I)100質量部、
    式(X)で表される熱劣化防止剤(II)0.005〜0.5質量部、および
    紫外線吸収剤(III)0.005〜1質量部を含有し、
    前記メタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに前記ブロック共重合体(B)からなるドメインが分散してなるゴム変性メタクリル系樹脂組成物。
    Figure 0005281976
    [式(X)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を示し、R5は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基又は水素原子を示す。]
  2. ブロック共重合体(B)が、複数の腕重合体ブロックから構成される星型ブロック共重合体であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出したポリスチレン換算の数平均分子量が、式:
    [星型ブロック共重合体の数平均分子量]>2×[腕重合体ブロックの数平均分子量]
    を満たすものである請求項1に記載のゴム変性メタクリル系樹脂組成物。
  3. 請求項1〜2のいずれか1項に記載のゴム変性メタクリル系樹脂組成物からなる成形品。
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