JP2003277569A - 芳香族ビニル化合物系樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ビニル化合物系樹脂組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】シートの二次成形性が良好で、耐熱性、耐衝撃
性、剛性に優れた芳香族ビニル化合物系樹脂シート等に
好適な樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】(a)共役ジエン系ゴム状重合体に芳香族
ビニル化合物系単量体をグラフト重合して得られるゴム
変性芳香族ビニル化合物系重合体65〜90質量%と
(b)メタクリル酸含有量が2〜20質量%である芳香
族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体10〜35質
量%からなり、該樹脂組成物中のゴム状分散粒子の含有
量が10〜30質量%であることを特徴とする芳香族ビ
ニル化合物系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、シートの二次成形
性が良好で、耐熱性、耐衝撃性、剛性のバランスに優れ
た芳香族ビニル化合物系樹脂組成物に関するもので、そ
の樹脂組成物からシート状に成形したものを真空成形等
の二次成形を行うことによって、食品等の包装材、容器
等に広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレンやゴム変性ポリスチレン等
のスチレン系樹脂は剛性や成形性が良好であり、かつ安
価であることから、食品容器など様々な分野で使用され
ている。しかし、スチレン系樹脂からなる成形品は耐熱
性に劣るため、最終消費に至る過程で熱が加わった場合
に変形を生じる問題がある。スチレン系樹脂の耐熱性を
改善する方法としてはスチレン系樹脂にポリオレフィン
系樹脂をブレンドする方法が知られている。
【0003】例えば、特開2000−85071にスチ
レン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とからなる多層シー
トが開示されている。しかし、スチレン系樹脂とポリオ
レフィン系樹脂は相溶しないため相溶化剤を添加する必
要がありコストアップとなり、また、スチレン系の優れ
た特徴である剛性が大きく低下してしまう。さらに、ポ
リオレフィン系樹脂は融点を越えた後の温度による粘度
低下が大きく、シートの二次成形性を損ねてしまう。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は上述した課
題を解決し、シートの二次成形性が良好で、耐熱性、耐
衝撃性、剛性に優れた芳香族ビニル化合物系樹脂シート
等に好適な樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ゴム変性芳香族ビニ
ル化合物系樹脂に芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系
共重合体を含有することによって、上記課題を解決でき
ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は(a)共役ジエン系ゴ
ム状重合体に芳香族ビニル化合物系単量体をグラフト重
合して得られるゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体6
5〜90質量%と(b)メタクリル酸含有量が2〜20
質量%である芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重
合体10〜35質量%からなり、該樹脂組成物中のゴム
状分散粒子の含有量が10〜30質量%であることを特
徴とする芳香族ビニル化合物系樹脂組成物に関する。
【0007】
【発明実施の形態】以下、本発明について詳細に説明す
る。本発明で用いるゴム変性芳香族ビニル化合物系重合
体は共役ジエン系ゴム状重合体の存在下、芳香族ビニル
化合物系単量体をグラフト重合して得られるものであ
り、重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合
法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造す
ることができる。芳香族ビニル化合物系単量体とは、ス
チレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p
−メチルスチレン等の単独または混合物をいい、特に好
ましくはスチレンである。また、これらの芳香族ビニル
化合物系単量体に共重合可能な単量体、例えばアクリロ
ニトリル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル
等の単量体も本発明の効果を損なわない程度であれば共
重合することができる。
【0008】本発明のゴム変性芳香族ビニル化合物系重
合体に用いる共役ジエン系ゴム状重合体としては、例え
ばポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重
合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等を挙げ
ることができる。
【0009】本発明のゴム変性芳香族ビニル化合物系重
合体中の共役ジエン系ゴム重合体からなる分散粒子、す
なわちゴム状分散粒子は、芳香族ビニル化合物系単量体
を内部に包含している構造のものであり、サラミ構造で
あってもコアシェルタイプ或いはオニオンタイプ等の構
造であってもよい。
【0010】ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体中の
共役ジエン系ゴム重合体からなる分散粒子の粒子径は公
知の方法、例えば用いる共役ジエン系重合体の組成や溶
液粘度、ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体の重合反
応時の攪拌速度、温度、溶媒の種類及び量、重合開始剤
の種類及び量、連鎖移動剤の種類及び量等を変更するこ
とにより調整される。重合開始剤としては、過酸化ベン
ゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパー
オキシベンゾネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−
ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジクミル
パーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t
−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート、2,2−ビス(4,4−
ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、
エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレー
ト、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられ
る。また、連鎖移動剤としてはt−ドデシルメルカプタ
ン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダ
イマー等が挙げられる。ゴム変性芳香族ビニル化合物系
重合体のゴム状分散粒子量(質量%)および膨潤度も、
ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体の重合方法、重合
時の連鎖移動剤及び或いは重合開始剤の使用法、未反応
単量体除去工程の温度条件、重合開始剤の種類及び添加
量等により調整される。
【0011】本発明で用いるゴム変性芳香族ビニル化合
物系重合体のゴム状分散粒子の中位径は0.2〜20μ
mであることが好ましい。中位径が0.2μm未満であ
ると得られる樹脂組成物の耐衝撃性が著しく低下する。
また、中位径が20μmを超えると光沢が低下し、外観
が著しく低下し、剛性も低下する。なお、ゴム状分散粒
子の中位径(μm)は、ゴム変性芳香族ビニル化合物系
重合体をジメチルホルムアミドに溶解させ、レーザー回
折方式粒度分布測定装置(コールター製レーザー回折方
式粒子アナライザーLS−230型)により測定して求
めた体積基準の粒径分布曲線の50体積%粒子径をもっ
て本発明の中位径とする。
【0012】本発明で用いるゴム変性芳香族ビニル化合
物系重合体のメタノール可溶分は1.0〜4.5質量%
であることが好ましい。メタノール可溶分が1.0質量
%未満であると耐衝撃性や引張時の伸びが低下する。ま
た、メタノール可溶分が4.5質量%を超えると耐熱性
が低下する。なお、メタノール可溶分とは樹脂組成物中
のメタノールに可溶な成分を指し、例えば、ポリスチレ
ンの重合過程で副生成するスチレンオリゴマーの他にホ
ワイトオイル、シリコーンオイル等の各種添加剤が含ま
れる。なお、メタノール可溶分は質量Pの樹脂組成物を
メチルエチルケトンに溶解し、該溶液をメチルエチルケ
トンに対し30倍量のメタノール中に投入してメタノー
ル不溶分を沈殿させ、ろ過してメタノール不溶分を取り
出した後、70℃で15時間乾燥し、20分間デシケー
タ中で冷却した後、乾燥した沈殿物の質量Nを測定し、
次式によって求めることができる。 メタノール可溶分(質量%)=(P−N)/P×100
【0013】本発明の芳香族ビニル化合物−メタクリル
酸系共重合体は、芳香族ビニル化合物系単量体とメタク
リル酸を共重合して得られる共重合体からなる。芳香族
ビニル化合物系単量体とは、スチレン、α−メチルスチ
レン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の単
独または混合物をいい、特に好ましくはスチレンであ
る。
【0014】本発明の芳香族ビニル化合物−メタクリル
酸系共重合体は懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の公知
の技術により製造することができ、重合開始剤や連鎖移
動剤等を添加して重合することもできる。
【0015】本発明の芳香族ビニル化合物−メタクリル
酸系共重合体中のメタクリル酸含有量は2〜20質量%
である。メタクリル酸含有量が2質量%未満では耐熱性
や二次成形性が劣り、20質量%を超えると成形加工性
が劣る。
【0016】本発明の芳香族ビニル化合物系樹脂組成物
中の芳香族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体含量
は10〜35質量%の範囲である。芳香族ビニル化合物
−メタクリル酸系共重合体含量が10質量%未満である
と、得られる樹脂組成物の耐熱性が低下し、35質量%
を超えると耐衝撃性が低下する。
【0017】本発明の芳香族ビニル化合物系樹脂組成物
中のゴム状分散粒子量は10〜30質量%であることが
必須である。ゴム状分散粒子量が10質量%未満である
と、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、30質量
%を超えると、得られる樹脂組成物の剛性が低下する。
尚、芳香族ビニル化合物系樹脂組成物中のゴム状分散粒
子量(質量%)は、質量Sの芳香族ビニル化合物系樹脂
組成物をメチルエチルケトンに5%の割合で溶解し、そ
の溶液を遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテー
ションにより上澄み液を除去して不溶分を得、70℃で
15時間真空乾燥し、20分間デシケーター中で冷却し
た後、乾燥した不溶分の質量Wを測定して次のように求
めることができる。 ゴム状分散粒子量(質量%)=(W/S)×100
【0018】本発明の芳香族ビニル化合物系樹脂組成物
にメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系共重合
体及び/またはスチレン−ブタジエン系ブロックエラス
トマーを添加してもよい。配合方法はとくに制限はな
く、押出機で芳香族ビニル化合物系樹脂組成物と溶融混
錬して樹脂組成物とする方法などが挙げられる。
【0019】本発明における測定周波数1Hzの引張貯
蔵弾性率E´が100MPaの時の温度をT1(℃)、
10MPaの時の温度をT2(℃)としたとき、1/
(T2−T1)が0.18以下であることが好ましい。
1/(T2−T1)が0.18を超えると、得られる樹
脂組成物の二次成形性が低下する。1/(T2−T1)
は引張貯蔵弾性率E´の温度依存性を表しており、1/
(T2−T1)が小さいほど温度による引張貯蔵弾性率
E´の低下の度合いが小さく、二次成形できる温度範囲
が広いと考えられる。なお、測定周波数1Hzの引張貯
蔵弾性率E´は引張型のレオメータを用いて測定するこ
とができる。本発明では次のようにして測定した。 (1)レオメータ:レオメトリック・サイエンティフィ
ック・エフ・イー株式会社製「粘弾性アナライザーRS
A−II」(商品名) (2)手順:試験片の作成はJIS K−7151に準
拠し、プレス成形機にて成形温度230℃、予熱時間5
分間、成形時間2分間、成形圧力10MPaで0.4m
m厚のシート状成形品を得た。測定は、JIS K−7
244−4に準拠し、次のように行った。得られたシー
トを長さ30mm、幅3mmの短冊状に切削し、クラン
プにしっかりと装着した(チャック間距離は、約22.
5mm)。次いで、測定周波数1Hz、歪み0.1%、
昇温速度4℃/minで40℃〜150℃の引張貯蔵弾
性率E´の温度依存性を測定した。尚、成形品の残留歪
みは測定結果に影響を及ぼすので、測定前の試験片はア
ニーリングする必要がある。アニーリングは80℃で3
時間以上は必要である。得られた結果より、引張貯蔵弾
性率E´が100MPaの時の温度T1(℃)、10M
Paの時の温度T2(℃)を得ることができる。
【0020】本発明の樹脂組成物には必要に応じて種々
の添加剤を配合することができる。添加剤の種類はプラ
スチックに一般的に用いられるものであれば特に制限は
ないが、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、ブロッ
キング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、耐光性向上剤、軟
化剤、可塑剤、無機補強剤、架橋剤、顔料、染料、その
他或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0021】本発明の樹脂組成物は、公知の混合方法で
製造することができる。例えば、ヘンシェルミキサー、
リボンブレンダー、スーパーミキサー及びVブレンダー
等でドライブレンドしてもよく、更に押出機で溶融して
ペレット化してもよい。また、重合体溶液同士を混合し
た後、溶剤を除去する方法も用いることができる。
【0022】得られた樹脂組成物は、押出成形、射出成
形、中空成形等によって、シート、フィルム、各種形状
の射出成形品、中空成形品、真空成形品等に容易に成形
加工することができが、特に押出成形によるシート成形
に好適であり、そのシートを真空成形等の二次成形する
ことによって食品容器等の素材として好適に使用するこ
とができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定される
ものではない。
【0024】(a)ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合
体としてのゴム変性スチレン系重合体の製造 表1に実施例、比較例で用いる(a)成分のゴム変性ス
チレン系重合体を示す。ゴム変性スチレン系重合体はポ
リブタジエンゴムを溶解させたスチレンを塊状重合し、
表1に示すような構造上の特徴を持つゴム変性スチレン
系重合体即ちHIPSを製造した。尚、ゴム状分散粒子
量や中位径は、使用するポリブタジエンの添加量や重合
温度、重合時の攪拌数、重合開始剤の添加量で各々調整
することができる。なお、本発明における重量平均分子
量は、東ソー(株)社製、HLC−802A型ゲルパー
ミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、
次の条件で測定した。 (イ)カラム:東ソー(株)カラム (ロ)移動相:テトラヒドロフラン (ハ)試料濃度:0.3質量% (ニ)測定温度:38℃ (ホ)検出器:示差屈折計
【0025】
【参考例1】(1)ブタジエン系ゴム状重合体として旭
化成社製ジエン55AE(商品名)7.6質量%を7
8.4質量%のスチレンモノマーと14質量%のエチル
ベンゼンとの混合溶液に溶解し、原料溶液とした。 (2)容積18Lの攪拌機付きのオートクレーブ及びオ
ートクレーブの後段に直列に接続された容積42Lの管
型反応器に原料溶液を12.0kg/hrで、重合開始
剤である1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサンのエチルベンゼン1
0質量%溶液を15.6g/hrで、ホワイトオイル
(エクソンモービル社製ホワイトレックス335(商品
名))を24g/hrで、t−ドデシルメルカプタン2
0質量%溶液を15.0g/hrで連続的に供給した。 (3)オートクレーブの攪拌数は250rpm、反応温
度を130℃に調節した。 (4)オートクレーブ出口の反応溶液に重合開始剤であ
るt−ブチルクミルパーオキサイドのエチルベンゼン1
0質量%溶液を36g/hrで連続的に供給し、管型反
応器の反応温度は反応溶液の流れ方向に130〜160
℃の温度勾配がつくように調節した。管型反応器の出口
におけるモノマー転化率は85質量%であった。 (5)管型反応器を出た反応溶液は熱交換器によって2
30℃まで加熱されたあと、真空度2.0kPaに調節
された脱溶媒槽に導かれ、未反応モノマー及び溶剤等揮
発分を除去した後、ギアポンプで脱溶媒槽からポリマー
を抜き出しダイプレートを通してストランドとし、水冷
後ペレット化してゴム変性スチレン系重合体HIPS−
1を得た。
【0026】
【参考例2】ホワイトオイルの添加量を150g/hr
に変えた以外は参考例1と同様に操作し、HIPS−2
を得た。
【0027】
【参考例3】(1)ブタジエン系ゴム状重合体として旭
化成社製ジエン55AE(商品名)3.3質量%を8
2.7質量%のスチレンモノマーと14質量%のエチル
ベンゼンとの混合溶液に溶解し、原料溶液とした。 (2)容積18Lの攪拌機付きのオートクレーブ及びオ
ートクレーブの後段に直列に接続された容積42Lの管
型反応器に原料溶液を12.0kg/hrで、重合開始
剤である1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサンのエチルベンゼン1
0質量%溶液を10.4g/hrで、ホワイトオイル
(エクソンモービル社製ホワイトレックス335(商品
名))を150g/hrで、t−ドデシルメルカプタン
20質量%溶液を12.0g/hrで連続的に供給し
た。 (3)オートクレーブの攪拌数は150rpm、反応温
度を130℃に調節した。 (4)オートクレーブ出口の反応溶液に重合開始剤であ
るt−ブチルクミルパーオキサイドのエチルベンゼン1
0質量%溶液を36g/hrで連続的に供給し、管型反
応器の反応温度は反応溶液の流れ方向に130〜160
℃の温度勾配がつくように調節した。管型反応器の出口
におけるモノマー転化率は85質量%であった。 (5)管型反応器を出た反応溶液は熱交換器によって2
30℃まで加熱されたあと、真空度2.0kPaに調節
された脱溶媒槽に導かれ、未反応モノマー及び溶剤等揮
発分を除去した後、ギアポンプで脱溶媒槽からポリマー
を抜き出しダイプレートを通してストランドとし、水冷
後ペレット化してゴム変性スチレン系重合体HIPS−
3を得た。
【0028】
【表1】
【0029】(b)芳香族ビニル化合物−メタクリル酸
系共重合体としてのスチレン−メタクリル酸系共重合体
の製造 スチレンとメタクリル酸を懸濁重合することでスチレン
−メタクリル酸系共重合体即ちSMAAを製造した。メ
タクリル酸含有量はメタクリル酸の添加量で調整するこ
とができる。
【0030】
【参考例4】内容量200Lのジャケット、攪拌機付き
オートクレーブに純水100kg、ポリビニルアルコー
ル100gを加え、130rpmで攪拌した。続いてス
チレン73.6kg、メタクリル酸3.2kg及びt−
ブチルパーオキサイド20gを仕込み、オートクレーブ
を密閉して、110℃に昇温して5時間重合を行った。
また、3.2kgのメタクリル酸を、重合温度が110
℃に達した時点から2時間かけて、均等に追加添加し
た。さらに140℃で3時間保持し、重合を完結させ
た。重合して得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した
後、押出機を用いペレット形状のSMAA−1を得た。
得られたSMAA−1のメタクリル酸含有量は8質量%
で、重量平均分子量は20万であった。
【0031】
【参考例5】内容量200Lのジャケット、攪拌機付き
オートクレーブに純水100kg、ポリビニルアルコー
ル100gを加え、130rpmで攪拌した。続いてス
チレン79.2kg、メタクリル酸0.8kg及びt−
ブチルパーオキサイド20gを仕込み、オートクレーブ
を密閉して、110℃に昇温して5時間重合を行った。
さらに140℃で3時間保持し、重合を完結させた。重
合して得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出
機を用いペレット形状のSMAA−1を得た。得られた
SMAA−1のメタクリル酸含有量は1質量%で、重量
平均分子量は22万であった。
【0032】
【実施例1〜4、比較例1〜4】表2、表3の割合でゴ
ム変性スチレン系重合体(a)とスチレン−メタクリル
酸系共重合体(b)とを単軸押出機を用いてブレンドし
ペレット化した。得られたペレットについて、射出成形
機を用いて試験片を作成し物性測定を行った。その結果
を表2に示す。流動性を表すメルトマスフローレートは
JIS K−7210により、耐熱性を表すビカット軟
化温度はJIS K−7206により、耐衝撃性を表す
シャルピー衝撃強さはJIS K−7111により、曲
げ強度および剛性を表す曲げ弾性率は、JIS K−7
171により求めた。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】また、得られたペレットを40mmφの単
軸シート押出機にて230℃の樹脂温度で押出成形し、
2mm厚のシートを得た。得られたシートを単発真空成
形機(浅野研究所社製)にて、130℃、135℃、1
40℃、145℃の各温度(シート表面温度)で、口径
65mmφ、高さ103mmの深絞り丸カップに二次成
形した(プラグアシスト有り)。得られた容器の肉厚の
均一性と耐熱性を次のように評価した。 肉厚の均一性:容器底面から20mmの高さの厚みと容
器底面から50mmの高さの厚みとの比率が 1.5未満の時 ○、 1.5以上2.0未満の時 △、 2.0以上のとき × とした。 耐熱性評価:容器を100℃に設定したギア・オーブン
に20分間入れ、耐熱性を評価した。変形の度合いを成
形品の高さ保持率(=100×耐熱性評価後の容器高さ
/耐熱性評価前の容器高さ)で表し、これをもって耐熱
性とした。
【0036】本発明で規定する範囲のスチレン系樹脂組
成物は、耐衝撃性や剛性などの物性バランスに優れ、二
次成形の温度範囲が広く耐熱性に優れていることがわか
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E033 AA08 BA13 CA01 CA07 FA02 FA04 4F071 AA12X AA22 AF14 AF23 AF26 AF45 AH05 BA01 BB05 BB06 BC01 4J002 BC042 BN141 GG01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)共役ジエン系ゴム状重合体に芳香族
    ビニル化合物系単量体をグラフト重合して得られるゴム
    変性芳香族ビニル化合物系重合体65〜90質量%と
    (b)メタクリル酸含有量が2〜20質量%である芳香
    族ビニル化合物−メタクリル酸系共重合体10〜35質
    量%からなり、該樹脂組成物中のゴム状分散粒子の含有
    量が10〜30質量%であることを特徴とする芳香族ビ
    ニル化合物系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ゴム変性芳香族ビニル化合物系重合体
    (a)は、ゴム状分散粒子の中位径が0.2〜20μm
    であり、メタノール可溶分が1.0〜4.5質量%であ
    ることを特徴とする請求項1記載の芳香族ビニル化合物
    系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】測定周波数1Hzの引張貯蔵弾性率E´が
    100MPaの時の温度をT1(℃)、10MPaの時
    の温度をT2(℃)としたとき、1/(T2−T1)が
    0.18以下であることを特徴とする請求項1または2
    記載の芳香族ビニル化合物系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3記載の芳香族ビニル化合物系
    樹脂組成物よりなることを特徴とするシート。
  5. 【請求項5】請求項4記載のシートを成形してなる容
    器。
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