JP4053022B2 - ポリスチレン系二軸延伸積層シート、成形体および容器 - Google Patents
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Description
1)基材層とその少なくとも片面に表層を有し、表層の樹脂組成物(A)がスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体(A1)と、スチレン系単量体単位及びアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸のうちの少なくとも一種の単量体単位とからなる共重合体(A2)からなり、基材層がスチレン系単量体単位とアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸のうちの少なくとも一種の単量体単位からなる共重合体(B)からなり、かつA1中のスチレン系単量体単位以外の質量組成比(RA1)とA2中のスチレン系単量体単位以外の質量組成比(RA2)が下記の数4式の条件を満足し、更に表層の樹脂組成物(A)のビカット軟化点をVA[℃]、基材層の共重合体(B)のビカット軟化点をVB[℃]とした場合、VB−VAが20℃未満であることを特徴とするポリスチレン系二軸延伸積層シート。
4)上記1)〜3)記載のポリスチレン系二軸延伸積層シートにおいて、その縦方向の配向緩和応力をσM、横方向の配向緩和応力をσTとした場合、下記の数6式の条件を満足することを特徴とするポリスチレン系二軸延伸積層シート。
6)上記1)〜5)に記載のポリスチレン系二軸延伸積層シートを熱成形してなる成形品およびその食品包装容器。
本発明の樹脂組成物(A)はスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体(A1)とスチレン系単量体単位及びアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸のうちの少なくとも一種の単量体単位からなる共重合体(A2)とからなる。(A1)成分を構成するスチレン系単量体とは、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、エチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等をあげることができるが、好ましくはスチレン、α-メチルスチレン、特に好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独でもよいが二種類以上を併用してもよい。
樹脂組成物1〜16
下記の方法から得られた共重合体(A1)−1〜5と共重合体(A2)−1〜6から樹脂組成物(A)−1〜5を表1に示した配合割合にてヘンシェルミキサーで混合した後、二軸押出機(東芝機械社製TEM35B、シリンダー温度230℃)を用いて溶融混練してペレットを作製し樹脂組成物1〜16を得た。樹脂組成物1〜16のビカット軟化点を表1に記載した。
共重合体(A1−1)
内容積200リットルの重合缶に、純水70.4kg、第三リン酸カルシウム300gを加え、攪拌した後、スチレン76.0kg、メチルメタクリレート4.0kg、ベンゾイルパーオキサイド267.2gを加え、密封して100℃で6時間反応させた。これを冷却した後、中和、脱水、乾燥した。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、メチルメタクリレート質量組成比(RA1)は5%であった。
スチレン64.0kg、メチレメタクリレート16.0kgとした以外は、上記共重合体(A1)−1と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メチルメタクリレート質量組成比(RA1)は20%であった。
スチレン44.0kg、メチレメタクリレート36.0kgとした以外は、上記共重合体(A1)−1と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メチルメタクリレート質量組成比(RA1)は45%であった。
スチレン24.0kg、メチレメタクリレート56.0kgとした以外は、上記共重合体(A1)−1と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メチルメタクリレート質量組成比(RA1)は70%であった。
スチレン8.0kg、メチレメタクリレート72.0kgとした以外は、上記共重合体(A1)−1と同様の操作をして共重合体を得た。これをを上記同様の分析を実施した結果、メチルメタクリレート質量組成比(RA1)は90%であった。
(2)共重合体(A2)の製造
内容積210リットルの重合缶に、純水90.0kg、ポリビニルアルコール100gを加え、攪拌した後、スチレン49.0kg、メタクリル酸1.0kg、重合開始材としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート55g、エチル−3、3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート10g、連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマー45gを仕込み、温度112℃の昇温して6時間、その後温度132℃で4.5時間保持し重合を行なった。得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出してペレット形状の樹脂を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は2%であった。
スチレンの仕込み量を47kg、メタクリル酸の仕込み量を3kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は6%であった。
スチレンの仕込み量を45kg、メタクリル酸の仕込み量を5kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は10%であった。
スチレンの仕込み量を42.5kg、メタクリル酸の仕込み量を7.5kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は15%であった。
スチレンの仕込み量を40.0kg、メタクリル酸の仕込み量を10.0kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は20%であった。
スチレンの仕込み量を37.5kg、メタクリル酸の仕込み量を12.5kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は25%であった。
スチレンの仕込み量を48.5kg、メタクリル酸の仕込み量を1.5kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は3%であった。
スチレンの仕込み量を48.25kg、メタクリル酸の仕込み量を1.75kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は3.5%であった。
スチレンの仕込み量を46.0kg、メタクリル酸の仕込み量を4.0kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は8%であった。
スチレンの仕込み量を44.0kg、メタクリル酸の仕込み量を6.0kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は12%であった。
スチレンの仕込み量を37.5kg、メタクリル酸の仕込み量を12.5kgとした以外は、共重合体(A2−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メタクリル酸質量組成比(RA2)は25%であった。
JIS−K7206に準拠して、樹脂組成物1〜16及び共重合体(B)−1〜5を各々用いて、試験片として厚み3.2mmの射出成型品を成形後、23℃×50%の恒温恒温室にて24時間放置し、状態調整を行い、5kgのウェイトを使用し、50℃/hr.の昇温速度で温度上昇させ、試験片に圧子が1mm進入したときの温度を記録した。これを3回繰り返しその平均値を採用した。
多層押出機のTダイからシート化する際に、ロール粘着が著しくシートが不可能だったものを×、順調に製膜ができて、得られたシートの厚み精度を幅方向で10cm間隔で5点測定した。厚みの精度(厚みの最大値と最小値の差と、各測定点での厚みの平均値との比)が10%を超え30%以下のものを○、10%以下のものを◎とした。
多層押出機のTダイから得られた多層シートの界面における波打ち現象が著しく外観不良のものを×、やや劣るものを△、良好なものを○とした。
後記する実施例で得られたシートのHazeを測定し、Hazeの値が1.5未満のものを○、1.5以上3.0未満のものを△、3.0以上のものを×とした。
後記する実施例の共重合体の二軸延伸シートを用いASTM D1504に準じてシート押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)での配向緩和応力の最大値を測定した。
試験評価用の勘合容器の成型条件
後記する実施例の共重合体の二軸延伸シートを用い、下記の条件の金型及び成型条件等で勘合容器を得た。
(イ)金型:
天面 :90×170[mm]
高さ :50[mm]
勘合面:120×200[mm](ロ)成型条件:
成型機:関西自動成型機社製、圧空真空成型機
ヒーター温度:145[℃]
金型温度 :145[℃]
成型時間 :15[sec]
圧接圧空遅れ:0.8[sec]
圧接真空遅れ:1.0[sec]
圧接時間 :5.0[sec]
成型圧空時間:3.5[sec]
耐油性の評価として、得られた容器成形品の天面部中央部より50×30[mm]の試験片を採取し90℃の椰子油(月島食品工業株式会社製精製ヤシ油)に5分間漬けた後に取り出し、白濁の有無を目視で観察した。
◎:良好
○:やや白濁あり
△:白濁
×:大きく変形し、亀裂が入る
上記成形条件で得られた容器成形品を110℃に設定した熱風乾燥機に10分間入れた後の容器の変形を目視で観察した。
○:変形がわからない。
△:変形があるが、外寸はあまり変わらない。
×:大きく変形し、寸法も変わっている
強度の評価として、上記成形条件で得られた容器成形品の天面中央に錐を落下させ、割れが発生するエネルギー([J]=錐高さ[m]×錐重さ[kg])を測定し、これを落錐強度とした。錐は成形品に接触する部分は同じで、質量を変化させることができ、接触する先端部は直径15[mm]の半球状である。割れが発生するまで高さを1cm刻みで高くしてシートが割れるまで予備テストを行う。シートに割れが発生すると落下高さを1cm低くし、また割れが発生しない場合は落下高さを1cm高くするというテストを繰返す。測定値には10回測定したその平均値を採用した。
◎:50[J]以上
○:30以上50未満[J]
×:30[J]未満
上述の樹脂組成物2を表層用に、共重合体(B)−3基材層用に用い、それぞれ240℃で多層押出機のTダイから共押出された樹脂を縦延伸機にて設定温度115℃で流れ方向に2.2倍、ついで横延伸機にて設定温度115℃で幅方向に2.2倍延伸して厚さ約0.3mmの2種3層の各構成の多層二軸延伸シートを得た。この時、所定の表層割合となるように、基材層用押出機と表層用押出機の吐出量を調整した。得られた多層シートの縦方向の配向緩和応力と、横方向の配向緩和応力の差 |σM−σT|、総シート厚さに占める表層厚さの割合、製膜性、シート外観、透明性、及び得られた多層シートを135℃にて熱板成形した容器の耐油性、耐熱性、落錐強度を表2に示す。各評価項目において結果が良好でバランスが取れていることがわかる。
表層と基材層に用いる樹脂を変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
Claims (7)
- 基材層とその少なくとも片面に表層を有し、表層の樹脂組成物(A)がスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体(A1)と、スチレン系単量体単位及びアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸のうちの少なくとも一種の単量体単位とからなる共重合体(A2)からなり、基材層がスチレン系単量体単位とアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸のうちの少なくとも一種の単量体単位からなる共重合体(B)からなり、かつA1中のスチレン系単量体単位以外の質量組成比(RA1)とA2中のスチレン系単量体単位以外の質量組成比(RA2)が下記の数1式の条件を満足し、更に表層の樹脂組成物(A)のビカット軟化点をVA[℃]、基材層の共重合体(B)のビカット軟化点をVB[℃]とした場合、VB−VAが20℃未満であることを特徴とするポリスチレン系二軸延伸積層シート。
- 基材層を構成する共重合体(B)中のスチレン系単量体単位以外の成分が占める割合が3.5〜20質量%であることを特徴とする請求項1または2記載のポリスチレン系二軸延伸積層シート 。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリスチレン系二軸延伸積層シートにおいて、総シート厚さに占める表層厚さが5%以上25%以下であることを特徴とするポリスチレン系二軸延伸積層シート。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載のポリスチレン系二軸延伸積層シートを熱成形してなる成形品。
- 請求項6記載の食品包装容器。
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