JP2018203838A - スチレン系樹脂組成物、延伸シートおよび成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、強度、製膜性、滑り性、成形性が良好で、耐熱性、耐油性に優れたスチレン系樹脂組成物、延伸シートおよび成形品を提供する。【解決手段】スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)、高分子量アクリル系樹脂(B)およびアクリル系樹脂(C)を含有するスチレン系樹脂組成物であって、(A)が、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有し、(B)の重量平均分子量が100万〜1500万であり、(C)が(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体もしくは共重合体または(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体であり、(A)と(B)の質量比が90/10〜97/3であり、(A)と(B)の合計含有量100質量部に対する(C)の含有量が0.1〜50質量部であり、ビカット軟化温度が106〜132℃であるスチレン系樹脂組成物とそれを用いた延伸シートと成形品である。【選択図】なし

Description

本発明は、電子レンジで加熱する食品の包装容器の用途に好適に用いることができるスチレン系樹脂組成物およびそれを用いた延伸シートと成形品に関するものである。
ポリスチレンの延伸シート、特に二軸延伸シートは、透明性、剛性に優れることから、型成形されて主に軽量容器等の成形品に大量に使用されている。しかしながら、これらの容器は、耐熱性に劣ることから、沸騰水に直接接触する用途や、電子レンジで加熱する用途へはあまり使用されていない。そこで、原料であるポリスチレンに耐熱性を付与する試みがなされてきた。耐熱性を向上させたポリスチレンとしては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体またはスチレン−メタクリル酸共重合体(特許文献1、特許文献2)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(特許文献3、特許文献4)が挙げられる。これらは一般的にスチレン系耐熱性樹脂として知られており、透明性、剛性を損なわずに耐熱性を向上させている。
しかし、上記スチレン系耐熱性樹脂は通常のポリスチレンよりも溶融押出時の流動性が低く、樹脂の生産能力やシートの生産能力を上げることが難しい。上記スチレン系耐熱性樹脂の流動性を上げるためには、(i)押出温度を高くする方法、(ii)樹脂の分子量を下げる方法が考えられる。押出温度を高くすると、上記スチレン系耐熱性樹脂中のカルボン酸基が反応し、ゲル状の異物となってシートの品質低下を招く。また、樹脂の分子量を下げると、シート押出時のドローダウンが発生しやすくなり製膜が難しくなる。
押出温度を高くしつつ、ゲル発生を抑える方法としては、例えば押出時にゲル化防止剤を添加する方法が提案されている(特許文献5)。しかし、特許文献5に記載のゲル化防止剤は可塑剤としても働くため、得られるスチレン系樹脂シートの耐熱性、耐油性が低下する。そのため、これらの性能を低下させにくい添加剤を選定する必要がある。
また、スチレン系樹脂の分子量を下げつつ、製膜性を維持する方法としては、高分子量のポリスチレンを少量添加することにより、歪み硬化性を与える方法(特許文献6)が知られている。しかし、特許文献6に記載の高分子量のポリスチレンは前記スチレン系耐熱性樹脂との相溶性が低く、期待する歪み硬化性が出にくいほか、得られるシートの透明性が低下する欠点を持つ。そのため、互いに相溶性を有するスチレン系耐熱性樹脂と高分子量ポリマーの組み合わせを選定する必要がある。
また、前記スチレン系耐熱性樹脂はシート強度、特に耐折性、耐衝撃性が低く、樹脂の分子量を下げることによって更に低下する。前記スチレン系耐熱性樹脂は、耐折性、耐衝撃性が低いことにより、特に成形工程において通紙が難しい、型抜きが困難である、切り粉が出やすいなどの不具合が発生しやすく、成形容器の生産性が低下する。さらに、成形容器において中身の視認性を確保するために、シートの製造時にシートが滑り易く、傷が付きにくいことが必要とされる。
機械的強度を向上させる方法として、メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルを主成分とする、高分子量の共重合体を少量添加することで溶融張力を向上させる方法(特許文献7)が知られている。しかし、当該方法では、外部からの耐衝撃性や曲げ強度は向上するものの、滑り性や耐傷付き性については十分に性能の向上を図ることができない。
これらの理由から、透明性、強度の両方を有しつつ、製膜性、滑り性、成形性が良好で、耐熱性、耐油性に優れたスチレン系樹脂およびそれを用いた延伸シートが求められている。
米国特許第3035033号明細書 特開2003−12734号公報 特公昭59−15133号公報 特開昭55−71530号公報 特開昭56−161409号公報 特開2011−225866号公報 特開2014−101403号公報
本発明の課題は、透明性、強度、製膜性、滑り性および成形性が良好で、耐熱性、耐油性に優れたスチレン系樹脂組成物、延伸シートおよび成形品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、スチレン系樹脂シートの成分や組成について鋭意検討を重ねた結果、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂をベースとし、高分子量アクリル系樹脂と中程度の分子量の別種のアクリル系樹脂を所定量添加したスチレン系樹脂組成物を用いることよって、その目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有している。
(1)スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)、高分子量アクリル系樹脂(B)およびアクリル系樹脂(C)を含有するスチレン系樹脂組成物であって、前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)が、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有し、前記高分子量アクリル系樹脂(B)の重量平均分子量が100万〜1500万であり、前記アクリル系樹脂(C)が(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体もしくは共重合体、または(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体であり、前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)と前記高分子量アクリル系樹脂(B)の質量比(A)/(B)が90/10〜97/3であり、前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)と前記高分子量アクリル系樹脂(B)の合計含有量を100質量部としたときの前記アクリル系樹脂(C)の含有量が0.1〜50質量部であり、ビカット軟化温度が106〜132℃の範囲であるスチレン系樹脂組成物である。
(2)前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)の重量平均分子量が12万〜25万である前記(1)に記載のスチレン系樹脂組成物である。
(3)前記高分子量アクリル系樹脂(B)が、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を含有する前記(1)または前記(2)に記載のスチレン系樹脂組成物である。
(4)前記高分子量アクリル系樹脂(B)が、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を65/35〜85/15の質量比で含有する前記(3)に記載のスチレン系樹脂組成物である。
(5)前記アクリル系樹脂(C)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70〜100質量%含有する前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物である。
(6)前記アクリル系樹脂(C)の重量平均分子量が5万〜35万である前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物である。
(7)前記アクリル系樹脂(C)の鉛筆硬度がF〜5Hの範囲である前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物である。
(8)前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)および前記高分子量アクリル系樹脂(B)の合計含有量を100質量部としたときに、ゴム成分を含有する耐衝撃性スチレン系樹脂(D)3質量部以下を更に含有する前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物である。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物からなる延伸シートである。
(10)耐衝撃性スチレン系樹脂(D)に由来するゴム成分の含有量が0.03〜1.0質量%であり、前記ゴム成分の平均ゴム粒子径が1.2〜12μmである前記(8)に記載のスチレン系樹脂組成物からなる延伸シートである。
(11)ゲル含有量が1質量%以下である前記(9)または前記(10)に記載の延伸シートである。
(12)スチレン単量体の含有量が1000ppm以下であり、メタクリル酸単量体の含有量が150ppm以下である前記(9)〜(11)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(13)単量体およびオリゴマーの含有量の合計が20000ppm以下である前記(9)〜(12)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(14)厚みが0.01〜0.7mmであり、縦方向と横方向の延伸倍率がいずれも1.5〜3.5倍であり、縦方向と横方向の配向緩和応力がいずれも0.3〜1.2MPaである前記(9)〜(13)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(15)滑り傾斜角が10〜35°である前記(9)〜(14)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(16)前記(9)〜(15)のいずれか1項に記載の延伸シートを二次成形してなる成形品である。
(17)圧縮強度が0.05N以上20N以下である前記(16)に記載の成形品である。
(18)電子レンジ加熱用食品包装容器である前記(16)または前記(17)に記載の成形品である。
本発明のスチレン系樹脂組成物、延伸シートおよび成形品は、透明性、強度、製膜性、滑り性および成形性が良好で、耐熱性、耐油性に優れている。また、本発明の成形品は、電子レンジで加熱する食品の包装容器に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)と高分子量アクリル系樹脂(B)とアクリル系樹脂(C)を所定の質量比で混合してなる。
本発明の延伸シートは、前記スチレン系樹脂組成物を押出成形し、得られた未延伸シートを延伸することによって得ることができる。以下、スチレン系樹脂組成物の各成分について説明する。
(スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A))
本発明におけるスチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)は、スチレンとメタクリル酸との共重合体である。スチレンとメタクリル酸の共重合比率は、所望とする耐熱性と機械的強度等に応じて種々設定可能である。耐熱性、機械的強度、シートの透明性に優れた樹脂が得られることから、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有することが必要である。メタクリル酸単量体単位の含有量が6質量%未満であると、耐熱性が不足し、また電子レンジ加熱時に穴あき、変形が起こりやすくなる。メタクリル酸単量体単位の含有量は、好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上である。一方、メタクリル酸単量体単位の含有量が16質量%を超えると、製膜時の流動性の低下、二次成形時の賦型性の低下などの加工性の低下に加え、ゲル発生による外観低下が起こり易くなる。メタクリル酸単量体単位の含有量は、好ましくは14質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下である。また、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)は、必要に応じて、発明の効果を損なわない限りにおいて、スチレンとメタクリル酸以外の他の単量体を適宜、共重合させてもよい。他の単量体の含有率は10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5%質量以下、さらに好ましくは3質量%以下である。10質量%を超えると、スチレンまたはメタクリル酸の比率が低下し、十分な透明性、機械的強度及び耐熱性が得られない場合がある。
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、12万〜25万であることが好ましく、より好ましくは14万〜22万、さらに好ましくは15万〜20万である。重量平均分子量が12万未満であると、流動性が過剰であるほか、製膜性が低下して、シートのドローダウンやネックインが発生し易くなる。また、重量平均分子量が25万を超えると、流動性が不足するほか、製膜時の厚みムラやダイラインなどが発生し易くなり、シート外観が低下する。
また、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnは、2.0〜3.0であることが好ましく、より好ましくは2.2〜2.8である。Mw/Mnが3.0を超えると、容器成形時の熱板接触による表面荒れが発生し易くなる。一方、Mw/Mnが2.0未満であると、流動性低下による製膜時の厚みムラや容器成形時の賦型不良が発生し易くなる。また、Z平均分子量(Mz)とMwとの比Mz/Mwは、1.5〜2.0であることが好ましく、より好ましくは1.6〜1.9である。Mz/Mwが1.5未満であると、製膜性が低下してシートのドローダウンやネックインが発生し易くなり、延伸配向の不足も発生し易くなる。一方、Mz/Mwが2.0を超えると、流動性低下による製膜時の厚みムラやダイラインなどが発生し易くなり、シート外観が低下する。
なお、上述の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)は、GPC測定にて、以下の方法にて単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製 PLgel 10μm MIXED−B
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)の重合方法としては、ポリスチレン等で工業化されている塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法等の公知の重合方法が挙げられる。品質面や生産性の面では、塊状重合法、溶液重合法が好ましく、連続重合であることが好ましい。溶媒としては例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレン等のアルキルベンゼン類やアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類が使用できる。
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)の重合時に、必要に応じて重合開始剤、連鎖移動剤を使用することができる。重合開始剤としては、有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾネート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ポリエーテルテトラキス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。連鎖移動剤の具体例としては、脂肪族メルカプタン、芳香族メルカプタン、ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマーおよびテルピノーレン等が挙げられる。
(高分子量アクリル系樹脂(B))
本発明における高分子量アクリル系樹脂(B)は、アクリル酸およびそのエステル、メタクリル酸およびそのエステルを重合してなる超高分子量の単独重合体または共重合体である。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これらのうち、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルが好ましく、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルが特に好ましい。高分子量アクリル系樹脂(B)は、上記のアクリル酸およびそのエステル、メタクリル酸およびそのエステルの中のいずれかの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
メタクリル酸エステルとしてメタクリル酸メチルを用いた高分子量アクリル系樹脂(B)の場合、メタクリル酸メチルの含有量は、65〜85質量%が好ましく、より好ましくは70〜80質量%、さらに好ましくは72〜78質量%である。メタクリル酸メチルの含有量が65質量%未満であると、前記スチレン−メタクリル酸共重合体(A)との混合時にシートの透明性が低下する。一方、メタクリル酸メチルの含有量が85質量%を超えると、後述のアクリル酸ブチルの含有量が低下し、アクリル系樹脂の不溶化物が発生し易くなる。
また、アクリル酸エステルとしてアクリル酸ブチルを用いた高分子量アクリル系樹脂(B)の場合、アクリル酸ブチルの含有量は、15〜35質量%が好ましく、より好ましくは20〜30質量%、さらに好ましくは22〜28質量%である。アクリル酸ブチルの含有量が15質量%未満であると、高分子量アクリル系樹脂(B)の流動性が低下することにより、アクリル系樹脂の不溶化物が発生しやすくなる。一方、アクリル酸ブチルの含有量が35質量%を超えると、上記メタクリル酸メチルの含有量が低下し、シートの透明性が低下する。
従って、メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルを用いた高分子量アクリル系樹脂(B)の場合、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を65/35〜85/15の質量比で含有する高分子量アクリル系樹脂(B)が好ましい。
また、高分子量アクリル系樹脂(B)のガラス転移点は、40〜100℃が好ましく、より好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃である。ガラス転移点が低過ぎると前記スチレン−メタクリル酸共重合体(A)との混合時に耐熱性が低下する可能性がある。また、高過ぎると前記スチレン−メタクリル酸共重合体(A)との混合時にアクリル樹脂が溶融しにくくなり、均一に混合しにくくなる可能性がある。
高分子量アクリル系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、100万〜1500万であり、好ましくは120万〜1000万、更に好ましくは150万〜500万である。高分子量アクリル系樹脂(B)の重量平均分子量が100万未満では電子レンジ加熱に対する耐久性を十分発揮できない。一方、高分子量アクリル系樹脂(B)の重量平均分子量が1500万を超えると高分子量アクリル系樹脂(B)の不溶化物がゲルとして発生し、二軸延伸シートの外観を損ねる。高分子量アクリル系樹脂(B)の重量平均分子量の測定は、前記のスチレン−メタクリル酸共重合体(A)の重量平均分子量の測定方法に準じて行うことができる。
高分子量アクリル系樹脂(B)の重合方法としては、例えば、乳化重合、ソープフリー乳化重合、微細懸濁重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等の公知の重合方法が挙げられる。これらの重合方法の中でも、高分子量体の生成が容易であることから、乳化重合が好ましい。
高分子量アクリル系樹脂(B)を乳化重合によって製造するときの乳化剤としては、公知の乳化剤を用いることができる。例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、高分子乳化剤、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する反応性乳化剤が挙げられる。
(アクリル系樹脂(C))
本発明におけるアクリル系樹脂(C)は、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体もしくは共重合体、または(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体である。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。また、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
上記アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。上記メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これらのうち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
アクリル系樹脂(C)は、上記のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの中から選択されるいずれか1種の単独重合体であってもよいし、上記のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの中から選択されるいずれか2種以上の共重合体であってもよいし、上記のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選択されるいずれか1種以上とアクリル酸およびメタクリル酸から選択されるいずれか1種以上との共重合体であってもよい。
アクリル系樹脂(C)の組成としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70〜100質量%含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位以外は、実質的に(メタ)アクリル酸単量体単位である。アクリル系樹脂(C)の組成は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位80〜99質量%かつ(メタ)アクリル酸単量体単位1〜20質量%であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル単量体単位90〜97質量%かつ(メタ)アクリル酸単量体単位3〜10質量%である。
アクリル系樹脂(C)の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が70質量%を超えると、それを成分として含有するスチレン系樹脂組成物の表面硬さが増大し、耐傷付き性や滑り性が向上する傾向にある。一方、(メタ)アクリル酸単量体単位が30質量%を超えると、製膜時の流動性の低下が起こり易い。
アクリル系樹脂(C)のJIS K 5600に基づく鉛筆硬度はF〜5Hであることが好ましい。アクリル系樹脂(C)の鉛筆硬度は、より好ましくはH〜4Hであり、さらに好ましくは2H〜3Hである。鉛筆硬度がF未満であると、シートやその成形品の表面硬度が不足するため、耐傷付き性や滑り性が低下する傾向にある。鉛筆硬度が6H以上であると、成形時にシートが割れ易くなり、賦形性が低下するため好ましくない。
アクリル系樹脂(C)は、重量平均分子量(Mw)が5万〜35万であることが好ましい。また、Mz/Mwが1.3〜2.8であることが好ましい。Mwが5万より小さい場合、アクリル系樹脂(C)は脆く、それを成分として含有するスチレン系樹脂組成物も脆くなる。また、Mwが35万より大きい場合、溶融粘度が大きくなり、それを成分として含有するスチレン系樹脂組成物の溶融粘度も大きくなり、シート成形や二次成形加工性が低下する。更にアクリル系樹脂(C)のMz/Mwが1.3〜2.8の範囲外にある場合、それを成分として含有するスチレン系樹脂組成物のシート成形性や二次成形加工性が低下する。さらに好ましくは、Mwが6万〜30万であり、Mz/Mwが1.4〜2.5であり、特に好ましくは、Mwが7万〜25万であり、Mz/Mwが1.5〜2.5である。
(スチレン系樹脂組成物)
本発明に係るスチレン系樹脂組成物は、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)、高分子量アクリル系樹脂(B)およびアクリル系樹脂(C)を含有している。スチレン系樹脂組成物におけるスチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)と高分子量アクリル系樹脂(B)との質量比(A)/(B)は、90/10〜97/3である。質量比(A)/(B)は、好ましくは91/9〜96/4であり、より好ましくは93/7〜95/5である。高分子量アクリル系樹脂(B)の含有量が3質量%未満では、電子レンジ加熱に対する耐久性を十分発揮できない。一方、高分子量アクリル系樹脂(B)の含有量が10質量%を超えると、アクリル系樹脂の不溶化物がゲルとして発生し、二軸延伸シートの透明性を大きく損ねるだけでなく、それを成分として含有するスチレン系樹脂組成物の溶融粘度も高くなり、シート成形性や二次成形加工性が低下する。
また、前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)と前記高分子量アクリル系樹脂(B)の合計含有量を100質量部としたときの前記アクリル系樹脂(C)の含有量は0.1〜50質量部である。前記アクリル系樹脂(C)の含有量は、好ましくは0.1質量部以上10質量部未満であり、より好ましくは0.1質量部以上5質量部未満である。アクリル系樹脂(C)は、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)と高分子量アクリル系樹脂(B)の相溶化剤としても働くため、シートの透明性向上に高い効果が得られる。アクリル系樹脂(C)の含有量が0.1質量部未満であると、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)と高分子量アクリル系樹脂(B)の相溶性の問題から、シートの透明性が十分に担保できなくなったり、シート成形性や二次成形加工性も低下する恐れがある。一方、アクリル系樹脂(C)の含有量が50質量部を超えると、それを成分として含有するスチレン系樹脂組成物の中の高分子量アクリル系樹脂(B)の成分比率が少なくなり、電子レンジ加熱に対する耐久性を十分発揮できなくなる。
スチレン系樹脂組成物には、ゴム成分を含有する耐衝撃性スチレン系樹脂(D)を外観および透明性を損ねない程度の量添加してもよい。耐衝撃性スチレン系樹脂(D)を添加することにより、シートの脆性、容器のブロッキング性を改善することができる。
耐衝撃性スチレン系樹脂(D)としては、ゴム成分が含まれるスチレン系樹脂であれば良く、スチレンの単独重合体中にゴム成分が含まれているもの、スチレン−メタクリル酸共重合体中にゴム成分が含まれているもの、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等、いずれも好適に用いることができる。ゴム成分は、マトリックス樹脂となるポリスチレンやスチレン−メタクリル酸共重合体中に、独立して粒子状になって分散していてもよいし、ゴム成分にポリスチレンやスチレン−メタクリル酸共重合体がグラフト重合して粒子状に分散しているものであってもよい。
ゴム成分としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体などが挙げられる。特に、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体として含まれていることが好ましい。
耐衝撃性スチレン系樹脂(D)の含有量は、シートの外観および透明性を維持するため、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)および高分子量アクリル系樹脂(B)の合計含有量を100質量部としたときに、3質量部以下であることが好ましい。また、シートの脆性、容器のブロッキング性の改善効果を十分に与えるためには、スチレン−メタクリル酸共重合体(A)と高分子量アクリル系樹脂(B)の合計含有量100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。
スチレン系樹脂組成物は、ビカット軟化温度が106〜132℃の範囲である。ビカット軟化温度が106℃未満であると、シートの耐熱性が不足し、電子レンジ加熱時に変形が起こり易くなる。ビカット軟化温度は、好ましくは108℃以上、さらに好ましくは110℃以上である。一方、ビカット軟化温度が132℃を超えると、製膜時および容器成形時の加工性が低下するおそれがある。ビカット軟化温度は、好ましくは128℃以下、さらに好ましくは126℃以下である。なお、ビカット軟化温度は、JIS K7206に準拠し、昇温速度50℃/hr、試験荷重50Nの条件で測定できる。
さらに、スチレン系樹脂組成物には、用途に応じて各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、ゲル化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、鉱油等の添加剤、ガラス繊維、カーボン繊維およびアラミド繊維等の補強繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウムなどの充填剤が挙げられる。また、上記スチレン系樹脂組成物をシート化したときの外観の観点から、酸化防止剤およびゲル化防止剤を単独または2種類以上を併用して配合することが好ましい。これらの添加剤は、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)、高分子量アクリル系樹脂(B)およびアクリル系樹脂(C)の重合工程、脱揮工程または造粒工程にて添加しても良いし、スチレン系樹脂組成物を製造するときに添加しても良い。しかし、例えば可塑剤などを多量に添加するとビカット軟化温度などのベース樹脂の物性を低下させてしまう恐れがあること、また、マイカや炭酸カルシウムなどの充填材を多量に添加するとシートの透明性を損なう恐れがある。そのため、上記添加剤の添加量の数値に具体的な制限はないが、本発明のスチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度等の樹脂物性や、シートの透明性を損なわない範囲内で添加することが好ましい。
ゲル化防止剤は、メタクリル酸の脱水反応によるゲル化反応を抑制する効果を有する。ゲル化防止剤としては、例えば、脂肪族アルコール等が有効である。一般的な脂肪族アルコールとして、7−メチル−2−(3−メチルブチル)−1−オクタノール、5−メチル−2−(1−メチルブチル)−1−オクタノール、5−メチル−2−(3−メチルブチル)−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−1−オクタノール、8−メチル−2−(4−メチルヘキシル)−1−デカノール、2−ヘプチル−1−ウンデカノール、2−ヘプチル−4メチル−1−デカノール、2−(1,5−ジメチルヘキシル)−(5,9−ジメチル)−1−デカノールなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチルテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)および1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクチル−3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルージートリデシル)ホスファイト、(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルオクチルホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)1,4−フェニレンージーホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン等の燐系酸化防止剤が挙げられる。
(延伸シート)
本発明の延伸シートは、前記のスチレン系樹脂組成物を延伸加工して得られるものである。延伸加工は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。二軸延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれであってもよい。以下、二軸延伸シートの場合を中心にして説明するが、一軸延伸シートの場合も同様に考えることができる。
二軸延伸シートは、例えば、次のような方法で製造することができる。まず、前記スチレン系樹脂組成物を押出機により溶融混練して、ダイ(特にTダイ)から押し出して未延伸シートを製造する。次に、未延伸シートを縦方向(シート流れ方向、MD;Machine Direction)および横方向(シート流れ方向に垂直な方向、TD;Transverse Direction)の二軸方向に逐次又は同時で延伸することによって、二軸延伸シートが製造される。
二軸延伸シートの厚みは、シートおよび容器の強度、特に剛性を確保するために、0.01mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.10mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上である。一方、賦型性および経済性の観点から、二軸延伸シートの厚みは、0.7mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.6mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
二軸延伸シートの縦方向および横方向の延伸倍率はいずれも、1.5〜3.5倍の範囲にあることが好ましい。延伸倍率が1.5倍未満では、シートの耐折性が低下し易い。一方、延伸倍率が3.5倍を超えると、熱成形時の収縮率が大き過ぎることにより賦形性が損なわれる。
なお、延伸倍率の測定方法は、以下のとおりである。二軸延伸シートの試験片に対して、縦方向(MD)および横方向(TD)に100mm長の直線Yを引く。JIS K7206に準拠して測定したシートのビカット軟化温度より30℃高い温度のオーブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さZ[mm]を測定する。縦方向および横方向の延伸倍率(倍)は、それぞれ次式によって算出した数値である。
延伸倍率(倍)=100/Z
二軸延伸シートの縦方向および横方向の配向緩和応力はいずれも、0.3〜1.2MPaの範囲にあることが好ましい。配向緩和応力が0.3MPa未満ではシートの耐折性が低下するおそれがある。一方、配向緩和応力が1.2MPaを超えると熱成形時の収縮応力が大きすぎることにより賦形性が損なわれるおそれがある。また、シートの耐折性および賦形性のバランスの観点から、縦方向および横方向の配向緩和応力の差は0.2MPa以下であると好ましい。
なお、二軸延伸シートの配向緩和応力は、ASTM D1504に準じて、シートを構成する樹脂組成物のビカット軟化温度より30℃高い温度のシリコーンオイル中でのピーク応力値として測定した値である。
スチレン系樹脂組成物に耐衝撃性スチレン系樹脂(D)が添加されている場合、耐衝撃性スチレン系樹脂(D)に由来するゴム成分の含有量は、延伸シート中のゴム成分の含有量として0.03〜1.0質量%であることが好ましい。ゴム成分の含有量が0.03質量%未満ではシート脆性の改善効果が十分発揮できないおそれがある。一方、ゴム成分の含有量が1.0質量%を超えるとシートの透明性が低下するおそれがある。また、延伸シート中のゴム成分の平均ゴム粒子径は、1.2〜12μmであることが好ましい。平均ゴム粒子径が1.2μm未満ではシート脆性の改善効果が十分発揮できないおそれがある。一方、平均ゴム粒子径が12μmを超えるとシートの透明性が低下するおそれがある。
延伸シート中のゴム成分の含有量は、延伸シートをクロロホルムに溶解し、一塩化ヨウ素を加えてゴム成分中の二重結合を反応させた後、ヨウ化カリウムを加え、残存する一塩化ヨウ素をヨウ素に変え、チオ硫酸ナトリウムで逆滴定する一塩化ヨウ素法によって測定される。
延伸シート中のゴム成分の平均ゴム粒子径は、超薄切片法にて観察面がシート平面と平行方向となるよう切削し、四酸化オスミウム(OsO)にてゴム成分を染色した後、透過型顕微鏡にて粒子100個の粒子径を測定し、以下の式により算出した値である。
平均ゴム粒子径=Σni(Di)/Σni(Di)
ここで、niは測定個数、Diは測定した粒子径を示す。
延伸シート中のゲル含有量は、二次成形時の加工性、外観の観点から、少ないことが好ましい。延伸シート中のゲル含有量は、延伸シートをMEK(2−ブタノン)溶剤に溶かし、遠心分離を行い、溶剤不溶分を沈降させ、上澄みを除去した後に乾燥させ秤量することで求めることができる。延伸シート中のゲル含有量は、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
延伸シート中のスチレン単量体の含有量は1000ppm以下であり、メタクリル酸単量体の含有量は150ppm以下であることが好ましい。これらの単量体の含有量が規定量よりも多いと、シートを成形加工する際に成形加工機の金型等に付着し、成形品の外観を損ねたり、金型汚れを引き起こして、その後の成形容器の外観を損なう懸念がある。
なお、スチレン単量体およびメタクリル酸単量体の定量は、下記のガスクロマトグラフィーを用い、内部標準法にて測定した。
装置名:GC−12A(島津製作所社製)
カラム:ガラスカラム φ3[mm]×3[m]
定量法:内部標準法(シクロペンタノール)
延伸シート中の単量体およびオリゴマーの含有量の合計は、加工性、外観、耐熱性の観点から、20000ppm以下であることが好ましく、10000ppm以下であることがより好ましく、5000ppm以下がさらに好ましい。なおオリゴマーとは、スチレン単量体のダイマーやトリマーのことを指し、それらの構造異性体も含まれる。
延伸シートは、滑り性に優れており、滑り傾斜角が10〜35°である。滑り傾斜角は、JIS P 8147に準拠して測定される。滑り傾斜角がこの数値範囲内にあるとき、延伸シートの二次成形品においてスタッキング性に優れるため、取り扱いが容易である。
延伸シートには、必要に応じて、公知の離型剤・剥離剤(例えばシリコーンオイル)、防曇剤(例えばショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、二酸化珪素等)、帯電防止剤(例えば各種ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等)の内の1種または2種以上を混合して、シートの片面または両面に塗布してもよい。
これら塗工剤を二軸延伸シートに塗工する方法は特に限定されることはなく、簡便にはロールコーター、ナイフコーター、グラビアロールコーター等を用い塗工する方法が挙げられる。また、噴霧法、浸漬法等を採用することもできる。
延伸シートから成形品を得る方法としては、特に制限はなく、従来の延伸シートの二次成形方法において慣用されている方法を用いることができる。例えば、真空成形法や圧空成形法等の熱成形方法によって二次成形を行うことができる。これらの方法は例えば高分子学会編「プラスチック加工技術ハンドブック」日刊工業新聞社(1995)に記載されている。延伸シートの成形品の用途としては、電子レンジ加熱用食品包装容器等が本発明の特徴が十分に発揮されるため、特に好ましい。
延伸シートを二次成形して得た成形品は、厚みや容器の形状にもよって変わるが、圧縮強度が0.05N以上20N以下であることが好ましい。より好ましくは0.2N以上18N以下であり、さらに好ましくは2.5N以上15N以下であると良い。圧縮強度が0.05N未満の場合、割れ易く、取扱い上実用的でなくなる恐れがある。また圧縮強度が20Nを超える場合、蓋の嵌合性が低下し、容器として扱いづらくなる恐れがある。ここで、圧縮強度とは、成形品を2段に重ね、断面が20mm径の円柱錘で上部より荷重をかけていき、成形品が3mm圧縮された際の圧縮強度ピーク値のことである。
二軸延伸シートを二次成形して得た成形品においては、成形品の平坦面から切り出し、前記方法で測定して、縦方向および横方向の延伸倍率がいずれも、1.5〜3.5倍の範囲にあり、かつ縦方向および横方向の配向緩和応力がいずれも、0.3〜1.2MPaの範囲となる場合、耐折性などの強度の面で二次成形していないシートと同様の性能が得られる。
以下に実施例を用いて、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
[スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)の製造]
内容量200Lのジャケット、攪拌機付きオートクレーブに純水100kg、ポリビニルアルコール100gを加え、130rpmで攪拌した。続いてスチレン72.0kg、メタクリル酸4.0kgおよびジ−t−ブチルパーオキサイド20gを仕込み、オートクレーブを密閉して、110℃に昇温して5時間重合を行った(ステップ1)。また、4.0kgのメタクリル酸を、重合温度が110℃に達した時点から2時間かけて、均等に追加添加した(ステップ2)。さらに140℃で3時間保持し、重合を完結させた(ステップ3)。得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出し、表1に記載のペレット状のスチレン−メタクリル酸共重合樹脂A−1を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、スチレン単量体/メタクリル酸単量体の質量比(%)は、90/10であった。また、GPC測定により求めた数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)はそれぞれ、8.0万、20万、36万であった。
実験例1の各種原料仕込み量を調整し、上記と同様の製造条件で、表1に記載の各種スチレン−メタクリル酸共重合樹脂A−2〜A−13を得た。
(実験例2)
[高分子量アクリル系樹脂(B)の製造]
温度計、窒素導入管、冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコ(容量5リットル)に、分散媒としてイオン交換水300質量部(3000グラム)、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.1質量部、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.01質量部、単量体としてメタクリル酸メチル75質量部、アクリル酸ブチル25質量部を投入した。このセパラブルフラスコに窒素気流を通じることにより、フラスコ内雰囲気の窒素置換を行なった。次いで、内温を60℃まで昇温させ、過硫酸カリウム0.15質量部、脱イオン水5質量部を加えた。その後、加熱攪拌を2時間継続して重合を終了し、アクリル系樹脂ラテックスを得た。
得られたアクリル系樹脂ラテックスを25℃まで冷却後、酢酸カルシウム5質量部を含む70℃の温水500質量部中に滴下した後、90℃まで昇温させて凝析させた。得られた凝析物を分離洗浄後、60℃で12時間乾燥させて、高分子量アクリル系樹脂B−1を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、メタクリル酸メチル単量体/アクリル酸ブチル単量体の質量比(%)は、75/25であった。高分子量アクリル系樹脂B−1のガラス転移点を、JIS K 7121:2012プラスチックの転移温度測定方法に準じた示差走査熱量測定(DSC)により測定したところ、60℃であった。
実験例2の各種原料仕込み量を調整し、上記と同様の製造条件で、表2に記載の各種高分子量アクリル系樹脂B−2〜B−7を得た。
(実験例3)
〔アクリル系樹脂(C)の製造〕
攪拌機および採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル92質量部、アクリル酸メチル8質量部を入れて単量体混合物を調製した。単量体混合物のb*値は0.2であった。単量体混合物に重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、AIBN、水素引抜能:1%、140℃における半減期4秒間)0.00653質量部および連鎖移動剤(n−オクチルメルカプタン)0.45質量部を加え溶解させて原料液を得た。原料液中の重合開始剤の濃度は65ppmであった。窒素ガスにより製造装置内の酸素ガスを追出した。
ブライン冷却凝縮器を備えた連続流通式槽型反応器(容量0.1m、槽径500mm、マックスブレンド翼、翼径260mm、回転数200rpm)に、反応器天面に相互対称に設置された2箇所の供給口より前記原料液を平均滞留時間150分間となるように一定流量で供給し、同時に該反応器の気相部に窒素ガスを原料液中の単量体のモル数の総和100モルに対し3.3モルの割合で導入した。反応液温度は140℃に制御し、反応器の圧力はブライン冷却凝縮器を経由した圧力調整弁により0.3MPaで制御して塊状重合させた。また、運転中、凝縮器の受器の原料液および水は全量系外に抜き出した。3日間の運転後、反応槽採取管から反応生成液を分取し、分析したところ、反応生成液は、粘度が1.08Pa・s、密度が1000kg/m、(メタ)アクリル樹脂の含有量(重合転化率)が52質量%であった。また、カールフィッシャーによって測定したところ水分は250ppmであった。
抜き出された反応生成液を、230℃に加温し、フラッシュタンクに供給した。フラッシュタンクの供給口にはフラッシュノズルが設けられている。該フラッシュノズルから反応生成液を噴出させ、未反応の単量体混合物をフラッシュ蒸発させて、気体と液体とに分離した。単量体蒸気はフラッシュタンク頂部から抜き出し、反応生成液はフラッシュタンク底部から抜き出した。抜き出された反応生成液を二軸押出機においてストランド状に押し出し、該ストランドをペレタイザーでカットし、ペレット状のアクリル系樹脂C−1を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、メタクリル酸メチル単量体/メタクリル酸単量体の質量比(%)は、95/5であった。また、アクリル系樹脂C−1の鉛筆硬度は2Hであった。
実験例3の各種原料仕込み量を調整し、上記と同様の製造条件で、表3に記載の各種アクリル系樹脂C−2〜C−12を得た。
(実験例4)
[耐衝撃性スチレン系樹脂(D)の製造]
ゴム状重合体として3.4質量%のローシスポリブタジエンゴム(旭化成製、商品名ジエン55AS)を使用し、91.6質量%のスチレンと、溶剤として5.0質量%のエチルベンゼンに溶解して重合原料とした。また、ゴムの酸化防止剤(チバガイギー製、商品名イルガノックス1076)0.1質量部を添加した。この重合原料を翼径0.285mの錨型撹拌翼を備えた14リットルのジャケット付き反応器(R−01)に12.5kg/hrで供給した。反応温度は140℃、回転数は2.17sec−1で反応させた。得られた樹脂液を直列に配置した2基の内容積21リットルのジャケット付きプラグフロー型反応器に導入した。1基目のプラグフロー型反応器(R−02)では、反応温度が樹脂液の流れ方向に120〜140℃、2基目のプラグフロー型反応器(R−03)では、反応温度が樹脂液の流れ方向に130〜160℃の勾配を持つようにジャケット温度を調整した。得られた樹脂液は230℃に加熱後、真空度667Paの脱揮槽に送られ、未反応単量体、溶剤を分離・回収した。その後、脱揮槽からギヤポンプで抜き出し、ダイプレートを通してストランドとした後、水槽を通してペレット化し、製品として回収した。得られた樹脂D−1の樹脂率は70%であった。ここで、樹脂率とは、下記式によって算出される。
樹脂率(%)=100×(生成したポリマー量)/{(仕込んだモノマー量)+(溶剤量)}
また、得られた樹脂D−1中のゴム成分含有量は10.0質量%、平均ゴム粒子径は2.0μmであった。
実験例4の各種原料仕込み量を調整し、上記と同様の製造条件で、表4に記載の各種耐衝撃性スチレン系樹脂D−2〜D−5を得た。
Figure 2018203838
Figure 2018203838
Figure 2018203838
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(実施例1〜35、比較例1〜8)
下記に、二軸延伸シートの作製例を記す。
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A−1)95.0質量%、高分子量アクリル系樹脂(B−1)5.0質量%に対し、アクリル系樹脂(C−1)0.5質量%をハンドブレンドし、ペレット押出機(真空ベント付き二軸同方向押出機 TEM35B (東芝機械製))を用い、押出温度230℃、回転数250rpm、ベント脱揮圧力−760mmHgにてダイプレートを通してストランドとした。その後、水槽にて冷却したのち、ペレタイザーを通してペレット化し、樹脂組成物を得た。なお、ベント脱揮圧力は、常圧に対する差圧値として示した。得られた樹脂組成物中のスチレン単量体の含有量は500ppm、メタクリル酸単量体の含有量は50ppmであった。また、ビカット軟化温度は116℃、JIS K7210のH条件(200℃、5kg)におけるメルトフローインデックス(MFI)は1.0g/10minであった。上記樹脂組成物をシート押出機(Tダイ幅500mm、リップ開度1.5mm、φ40mmのエキストルーダー(田辺プラスチック機械社製))を用い、押出温度230℃、吐出量20kg/hにて未延伸シートを得た。このシートをバッチ式二軸延伸機(東洋精機社製)を用いて、(ビカット軟化温度+30)℃に予熱し、歪み速度0.1/secで、MD2.4倍、TD2.4倍(面倍率5.8倍)に延伸し、二軸延伸シートを得た。得られたシートの厚みは0.3mm、延伸倍率(MD/TD)は2.4/2.4倍、配向緩和応力(MD/TD)は0.6/0.6MPaであった。
上記作製例にある樹脂の配合量および樹脂組成物の押出条件を調整し、表5〜7、表9に記載の実施例1〜35及び比較例1〜8の二軸延伸シートを得た。
(実施例36〜42)
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)、高分子量アクリル系樹脂(B)の合計100質量%に対してアクリル系樹脂(C)及び耐衝撃性スチレン系樹脂(D)を加え、前記と同様に押出機にてペレット化し、スチレン系樹脂組成物を得た後、製膜、延伸を実施し、表8に記載の実施例36〜42の二軸延伸シートを得た。
得られたシートについて、以下に記載した方法にて各種性能を測定し、評価を行った。○、△、×の相対評価においては、○または△のときを合格と判定した。結果は表5〜表9に記載した。
(1)製膜性
未延伸シートにMD方向およびTD方向に20mm間隔で直線を5本ずつ格子状に引いた時の交点25点についてマイクロゲージを用いて厚みを測定し、その変動係数C.V.(標準偏差を平均値で割った数値)を下記基準で評価した。
○:C.V.が5%未満
△:C.V.が5%以上、10%未満
×:C.V.が10%以上
(2)流動性(メルトフローレート)
JIS K7210のH条件(200℃、5kg)に従って測定した。
○:1.0g/10分以上かつ3.0g/10分未満
△:0.5g/10分以上かつ1.0g/10分未満、または、
3.0g/10分以上かつ5.0g/10分未満
×:0.5g/10分未満または5.0g/10分以上
(3)シート外観
二軸延伸シート350mm×350mmの範囲について、1)面積100mm以上のロール付着跡、2)面積10mm以上の気泡、3)透明および不透明異物、4)付着欠陥、5)幅3mm以上のダイライン(製膜時にTダイ出口で発生するシート流れ方向に走る欠陥)を欠点とし、欠点の個数を下記基準で評価した。
○:0個
△:1〜2個
×:3個以上
(4)延伸性
二軸延伸シートにMD方向およびTD方向に50mm間隔で直線を5本ずつ格子状に引いた時の交点25点についてマイクロゲージを用いて厚みを測定し、その変動係数C.V.を下記基準で評価した。
○:C.V.が20%未満
△:C.V.が20%以上、40%未満
×:C.V.が40%以上
(5)透明性
JIS K−7361−1に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)を用いて、二軸延伸シートのヘーズを測定した。
○:ヘーズ1.5%未満
△:ヘーズ1.5%以上、3.0%未満
×:ヘーズ3.0%以上
(6)剛性
後記されるフードパックの本体に500gの錘を入れ、蓋をした弁当容器を5段重ね、24時間静置後の蓋材の変形状態を確認した。
○: 形状変化なし。
△: 変形有り。
×: 割れ有り。
(7)耐折性
ASTM D2176に準じて、シート押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)の耐折曲げ強さを測定し、最小値を求め、以下のように評価した。
○:5回以上
△:2回以上、5回未満
×:2回未満
(8)滑り性
JIS K 7125:1999に準じて滑り傾斜角を測定し、以下のように評価した。
○:15°以上25°未満
△:10°以上15°未満、または25°以上35°未満
×:10°未満、または35°以上
(9)賦型性
熱板成形機HPT?400A(脇坂エンジニアリング社製)にて、熱板温度150℃、加熱時間2.0秒の条件で、フードパック(寸法 蓋:縦150×横130×高さ30mm、本体:縦150×横130×高さ20mm)を成形し、賦型性を下記基準にて評価した。
○:良好
△:コーナー部に僅かな形状不良
×:寸法と異なる形状またはコーナー部に著しい形状不良
(10)金型汚れ性
上記フードパックの成形時、金型等の汚れの転写を下記基準にて評価した。
○:転写なし(透明、白濁なし)
△:一部に転写あり(不透明、表面が白濁)
×:全体に転写あり(不透明、表面が白濁)
(11)耐熱性
上記成形条件で得られたフードパックを110℃に設定した熱風乾燥機に60分間入れた後、容器の変形を目視で観察した。
○:変形なし
△:軽微な変形、外寸変化5%未満
×:大変形、外寸変化5%以上
(12)耐油性
上記フードパックのヒンジ部にサラダ油(日清製油社製)、マヨネーズ(味の素社製)、ココナードML(登録商標、花王社製)の試験液をしみ込ませたガーゼ10×10mmを貼り付け、60℃オーブンにて24時間静置し、付着部の表面観察を行った。
○:変化無し
△:わずかに白化あり
×:著しい白化、割れあり
(13)電子レンジ加熱耐性
上記フードパックの蓋中央に5mm×5mmの範囲でマヨネーズを9点付着させ、容器本体に水300gを入れ、蓋容器をかぶせて1500Wの電子レンジで90秒間加熱した後、マヨネーズ付着部分の様子を目視で評価した。
○:変化なし
△:白化あり、容器がわずかに変形
×:穴あきあり、容器が著しく変形
(14)表面硬度
アクリル系樹脂(C)の200μm厚の押出フィルムを作成し、積層して、2mm厚の積層体を作成した。JIS K5600−5−4に準拠し、750g荷重で鉛筆硬度の測定を行い、表面に目視で傷が付かなかった鉛筆の硬度を評価結果とした。鉛筆は三菱鉛筆Uni(商品名)を使用した。
Figure 2018203838
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Figure 2018203838
Figure 2018203838
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表5〜表9の結果から、実施例1〜42で得られた本発明の規定を満たす二軸延伸シートは、いずれも製膜性(製膜性、流動性、シート外観、延伸性)、透明性、シート物性(剛性、耐折性、滑り性)、成形性(賦型性、金型汚れ性)、耐熱性、耐油性、電子レンジ加熱耐性のいずれの性能においても、優れた性能を有するものであった。
一方、比較例1〜8は、スチレン−メタクリル酸共重合体(A)、高分子量アクリル系樹脂(B)、アクリル系樹脂(C)のいずれかにおいて、本発明の規定を満足していないものであり、流動性、シート外観、透明性、剛性、耐折性、滑り性、賦形性、耐熱性、耐油性、電子レンジ加熱耐性のうちのいずれかの性能において劣るものであった。

Claims (18)

  1. スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)、高分子量アクリル系樹脂(B)およびアクリル系樹脂(C)を含有するスチレン系樹脂組成物であって、
    前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)が、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有し、
    前記高分子量アクリル系樹脂(B)の重量平均分子量が100万〜1500万であり、
    前記アクリル系樹脂(C)が(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体もしくは共重合体、または(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体であり、
    前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)と前記高分子量アクリル系樹脂(B)の質量比(A)/(B)が90/10〜97/3であり、
    前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)と前記高分子量アクリル系樹脂(B)の合計含有量を100質量部としたときの前記アクリル系樹脂(C)の含有量が0.1〜50質量部であり、
    ビカット軟化温度が106〜132℃の範囲であるスチレン系樹脂組成物。
  2. 前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)の重量平均分子量が12万〜25万である請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
  3. 前記高分子量アクリル系樹脂(B)が、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を含有する請求項1または請求項2に記載のスチレン系樹脂組成物。
  4. 前記高分子量アクリル系樹脂(B)が、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を65/35〜85/15の質量比で含有する請求項3に記載のスチレン系樹脂組成物。
  5. 前記アクリル系樹脂(C)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70〜100質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  6. 前記アクリル系樹脂(C)の重量平均分子量が5万〜35万である請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  7. 前記アクリル系樹脂(C)の鉛筆硬度がF〜5Hの範囲である請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  8. 前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A)および前記高分子量アクリル系樹脂(B)の合計含有量を100質量部としたときに、ゴム成分を含有する耐衝撃性スチレン系樹脂(D)3質量部以下を更に含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物からなる延伸シート。
  10. 耐衝撃性スチレン系樹脂(D)に由来するゴム成分の含有量が0.03〜1.0質量%であり、前記ゴム成分の平均ゴム粒子径が1.2〜12μmである請求項8に記載のスチレン系樹脂組成物からなる延伸シート。
  11. ゲル含有量が1質量%以下である請求項9または請求項10に記載の延伸シート。
  12. スチレン単量体の含有量が1000ppm以下であり、メタクリル酸単量体の含有量が150ppm以下である請求項9〜11のいずれか1項に記載の延伸シート。
  13. 単量体およびオリゴマーの含有量の合計が20000ppm以下である請求項9〜12のいずれか1項に記載の延伸シート。
  14. 厚みが0.01〜0.7mmであり、縦方向と横方向の延伸倍率がいずれも1.5〜3.5倍であり、縦方向と横方向の配向緩和応力がいずれも0.3〜1.2MPaである請求項9〜13のいずれか1項に記載の延伸シート。
  15. 滑り傾斜角が10〜35°である請求項9〜14のいずれか1項に記載の延伸シート。
  16. 請求項9〜15のいずれか1項に記載の延伸シートを二次成形してなる成形品。
  17. 圧縮強度が0.05N以上20N以下である請求項16に記載の成形品。
  18. 電子レンジ加熱用食品包装容器である請求項16または請求項17に記載の成形品。
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